(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-147805(P2021-147805A)
(43)【公開日】2021年9月27日
(54)【発明の名称】簡易間仕切り
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20210830BHJP
【FI】
E04B2/74 561H
E04B2/74 501K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-46429(P2020-46429)
(22)【出願日】2020年3月17日
(71)【出願人】
【識別番号】517394854
【氏名又は名称】後藤 正美
(71)【出願人】
【識別番号】594060831
【氏名又は名称】三福工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132137
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正美
(72)【発明者】
【氏名】清水貴志
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾茂司
(57)【要約】
【課題】組み立てが容易で、より快適な居住スペースを確保できる簡易間仕切りを提供する。
【解決手段】簡易間仕切り100は、共通のパネル10によって組み立てられる。床板として2つのパネル10a、パネル10bが用いられ、パネル10aの右側長辺と、パネル10bの左側長辺とが隣り合うように配置される。壁板として、パネル10c〜10iが用いられる。パネル10c〜10iの長辺が高さ方向になるようにパネル10c〜10iが立てられ、パネル10c〜10iが壁またはパーティションの役割を果たす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長辺の長さが短辺の長さの2倍である長方形の主表面を有し、発泡材で形成された共通のパネルを複数用いて組み立て可能な簡易間仕切りであって、
床板として、1つ以上の前記パネルが用いられ、
壁板として、複数の前記パネルが用いられ、
前記パネルは、一方の短辺の中央部分に形成された短辺側凸部と、
前記一方の短辺における前記短辺側凸部の設置位置に対応する他方の短辺の位置において、前記短辺側凸部の形状に対応して形成された短辺側凹部と、
一方の長辺に形成された少なくとも1つの長辺側凸部と、
前記一方の長辺における前記長辺側凸部の設置位置に対応する他方の長辺の位置において、前記長辺側凸部の形状に応じて形成された少なくとも1つの長辺側凹部と、
を有する簡易間仕切り。
【請求項2】
前記パネルの長辺の長さは、1600mm以上2500mm以下である請求項1に記載の簡易間仕切り。
【請求項3】
前記パネルの厚さは、10mm以上70mm以下である請求項1または2に記載の簡易間仕切り。
【請求項4】
前記パネルは、一方の長辺の内側に形成された貫通穴と、
前記一方の長辺における前記貫通穴の設置位置に対応する他方の長辺の位置の内側に形成された他の貫通穴と、
を有し、
組み立て時に、壁板として用いられる隣接するパネルのうち、一方のパネルの前記貫通穴および他方のパネルの前記他の貫通穴に締結部材が挿通される請求項1乃至3のいずれか1稿に記載の簡易間仕切り。
【請求項5】
前記共通のパネルに加え、
前記パネルの内部に開口が形成された入口用パネルが用いられる請求項1乃至4のいずれか1稿に記載の簡易間仕切り。
【請求項6】
天井板として、前記床板の数に対応した数の前記パネルが用いられる請求項1乃至5のいずれか1稿に記載の簡易間仕切り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易間仕切りに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、台風や地震による大規模な自然災害の発生により、体育館や公民館などの避難場所に避難せざるを得ない状況が頻繁に生じている。避難場所では、多数の被災者が寝起きをする。このため、避難場所において使用される、プライバシーの確保をするための簡易間仕切りが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願2012−2460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の簡易間仕切りは、壁によって他人の視線を遮ることができるものの、避難場所の床がむき出しとなるため、被災者は床に毛布や新聞などを敷いたとしても、体にかかる負担が大きいことや、冬季においては床から冷気が伝わり、体調を崩しやすいという問題があった。また、従来の簡易間仕切りは複数種類のパーツで構成されるため、組み立てに時間がかかり、避難所を迅速に設置することが困難であった。
本発明は上述のような課題を鑑みたものであり、組み立てが容易で、より快適な居住スペースを確保できる簡易間仕切りに関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様は、簡易間仕切りである。当該簡易間仕切りは、長辺の長さが短辺の長さの2倍である長方形の主表面を有し、発泡材で形成された共通のパネルを複数用いて組み立て可能な簡易間仕切りであって、床板として、1つ以上の前記パネルが用いられ、壁板として、複数の前記パネルが用いられ、前記パネルは、一方の短辺の中央部分に形成された短辺側凸部と、前記一方の短辺における前記短辺側凸部の設置位置に対応する他方の短辺の位置において、前記短辺側凸部の形状に対応して形成された短辺側凹部と、一方の長辺に形成された少なくとも1つの長辺側凸部と、前記一方の長辺における前記長辺側凸部の設置位置に対応する他方の長辺の位置において、前記長辺側凸部の形状に応じて形成された少なくとも1つの長辺側凹部と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、組み立てが容易で、より快適な居住スペースを確保できる簡易間仕切りに関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1に係る簡易間仕切りで使用されるパネルの平面図である。
【
図2】共通のパネル9枚を使用して、簡易間仕切りを形成する場合の展開図である。
【
図3】実施形態1に係る簡易間仕切りの斜視図である。
【
図4】実施形態2に係る簡易間仕切りの斜視図である。
【
図5】実施形態3に係る簡易間仕切りの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0009】
(実施形態1)
図1は、実施形態に係る簡易間仕切りで使用されるパネル10の平面図である。パネル10は、発泡材で形成されている。発泡材としては、発泡スチロール、ウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂発泡及びEPDM、NRなどのゴム発泡品が挙げられる。発泡材の発泡倍率は特に限定されないが、8倍以上15倍以下が好ましい。発泡倍率をこの範囲とすることにより、断熱性と強度を兼ね備えることができる。
【0010】
パネル10は長辺長さL1が短辺長さL2の2倍となる長方形である。典型的には、パネル10は、長辺長さL1が1920mm、短辺長さL2が960mm、厚さが40mmである。
【0011】
パネル10の長辺長さL1の下限は、1600mm以上が好ましく、1800mm以上がより好ましく、1900mm以上がさらに好ましい。パネル10の長辺長さL1の下限を上記範囲とすることにより、パネル10を立てて壁としたときに、パネル10を1枚使用するだけで大人が立った状態で目隠しとすることができる。
【0012】
長辺長さL1の上限は、2500mm以下が好ましく、2300mm以下がより好ましく、2100mm以下がさらに好ましい。パネル10の長辺長さL1の上限を上記範囲とすることにより、パネル10の持ち運びや組み立てを容易にすることができる。
【0013】
パネル10の厚さの下限は、10mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましく、30mm以上がさらに好ましい。パネル10の厚さの下限を上記範囲とすることにより、断熱性や強度を十分に確保することができる。
【0014】
パネル10の厚さの上限は、70mm以下が好ましく、60mm以下がより好ましく、50mm以下がさらに好ましい。パネル10の厚さの上限を上記範囲とすることにより、パネル10の重量が過度に重くなることを防ぎ、パネル10の持ち運びやすくし、組み立てを容易にすることができる。
【0015】
パネル10の一方の短辺(
図1では、上側の短辺。以下、上側短辺とよぶ。)の中央部分に短辺側凸部20が設けられている。また、上側短辺における短辺側凸部20の設置位置に対応する下側短辺の位置において、短辺側凸部20の形状に対応して短辺側凹部22が形成されている。したがって、パネル10の左側の長辺から短辺側凸部20の左側端部までの距離L3は、パネル10の左側の長辺から短辺側凹部22の左側端部までの距離L4と等しい。
【0016】
パネル10の短辺方向における、短辺側凸部20および短辺側凸部22の長さは、たとえば400mmである。短辺側凸部20の突出幅および短辺側凹部22の凹み幅は、パネル10の厚さと同等であり、パネル10の厚さが40mmの場合には、短辺側凸部20の突出幅および短辺側凹部22の凹み幅は40mmである。
【0017】
パネル10の一方の長辺(
図1では、右側の長辺。以下、右側長辺とよぶ。)には、2つの長辺側凸部30、長辺側凸部40が設けられている。また、パネル10の他方の長辺(
図1では、左側の長辺。以下、左側長辺とよぶ。)には、2つの長辺側凹部32、長辺側凹部42が設けられている。
長辺側凹部32は、右側長辺における長辺側凸部30の設置位置に対応する左側長辺の位置に形成されており、長辺側凸部30の形状に応じて形成されている。また、長辺側凹部42は、右側長辺における長辺側凸部40の設置位置に対応する左側長辺の位置に形成されており、長辺側凸部40の形状に応じて形成されている。
【0018】
図2は、共通のパネル9枚を使用して、簡易間仕切りを形成する場合の展開図である。
図3は、実施形態1に係る簡易間仕切りの斜視図である。
図2に示す展開図において、パネル10aおよびパネル10bの上面をパネル10における表面とすると、パネル10d、パネル10e、パネル10f、パネル10gの上面はパネル10における表面であり、パネル10c、パネル10h、パネル10iの上面はパネル10における裏面である。
【0019】
図2に示すように、床板として2つのパネル10a、パネル10bが用いられ、パネル10aの右側長辺と、パネル10bの左側長辺とが隣り合うように配置される。パネル10aの長辺側凸部30、長辺側凸部40が、パネル10bの長辺側凸部32、長辺側凸部42にそれぞれ嵌め込まれる。これにより、2つのパネル10aおよびパネル10bからなる正方形状の床板を形成される。パネル10aおよびパネル10bの長辺長さL1が1920mm、短辺長さL2が960mmである場合には、1920mm角の面積の床板となり、大人2人が寝泊まりするのに十分なスペースを確保することができる。
【0020】
また、床板の形成は、2枚のパネル10に限られず、必要に応じてパネル10の数を調節することができる。たとえば、4枚のパネル10を用い、長辺同士が隣り合うように配置された2枚のパネル10を2組用意し、一方の組のパネル10の短辺と他方の組のパネル10の短辺とが隣り合うように配置することにより、長方形の床板を形成することができる。このように、必要に応じてパネル10の枚数を増やすことにより、大人数の収容が可能なスペースを確保することができる。また、床板に用いるパネル10を1枚とし、個人用(ひとり用)のスペースを確保することもできる。
【0021】
壁板として、パネル10c〜10iが用いられる。パネル10c〜10iの長辺が高さ方向になるようにパネル10c〜10iが立てられ、パネル10c〜10iが壁またはパーティションの役割を果たす。
簡易間仕切り100の組立て時に、パネル10cの短辺側凸部20が、パネル10aの長辺側凹部32に填め込まれ、パネル10hの短辺側凸部20、パネル10iの短辺側凸部20が、パネル10aの短辺側凹部22、パネル10aの短辺側凹部22にそれぞれ填め込まれる。また、パネル10aの短辺側凸部20、パネル10bの短辺側凸部20が、パネル10dの短辺側凹部22、パネル10eの短辺側凹部22にそれぞれ填め込まれる。さらに、パネル10bの長辺側凸部30、長辺側凸部40が、パネル10fの短辺側凹部22、パネル10gの短辺側凹部22にそれぞれ填め込まれる。
【0022】
さらに、壁板となるパネル10のうち、隣接するパネル10において、一方のパネル10の長辺側凸部30、長辺側凸部40が、他方のパネル10の長辺側凹部32、長辺側凹部42にそれぞれ填め込まれ、隣接するパネル10の自立性や強度が高められる。
【0023】
図3に示すように、床板としてパネル10を2枚使用し、壁となるパネル10を7枚使用することで、入り口を有する簡易間仕切り100が形成される。
【0024】
以上説明した簡易間仕切り100は、誰でも短時間で容易に組み立てることができ、台風や地震などの自然災害発生時に迅速に設置することができる。
【0025】
また、本実施形態の簡易間仕切り100によれば、プライバシーが確保されるとともに断熱効果により快適に過ごせる空間を避難者などのユーザに提供することができる。特に、簡易間仕切りを冬場に体育館などの板張りの施設の上に設置すると、床から冷気が伝わることが抑制されるため、暖かな空間が提供される。
【0026】
床板として用いられるパネル10は発泡材で形成されているため、クッション性を有しており、パネル10に直に座ったり、寝たりしたときに、体に対する負担を軽減し、避難生活をより快適にすることができる。
【0027】
簡易間仕切り100は、同形状の複数のパネル10で組み立てが可能であるため、パネル10の生産性を高めることができ、ひいては、パネル10の生産コストを低減することができる。
【0028】
本実施形態のパネル10を簡易間仕切りとして使用しない場合には、たとえば、体育館の壁にパネル10を設置することにより、クッションとして機能させることができる。
【0029】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係る簡易間仕切りの斜視図である。本実施形態の簡易間仕切り1100では、パネルの内部に出入り口となる開口80が形成された入口用パネル11が用いられる。入口用パネル11は、開口80が設けられていることを除き、パネル10と同様な形状及び寸法を有する。入口用パネル11の長辺側凸部30、長辺側凸部40は、隣接するパネル10cの長辺側凹部32、長辺側凹部42にそれぞれ填め込まれ、入口用パネル11の長辺側凹部32、長辺側凹部42に、隣接するパネル10iの長辺側凸部30、長辺側凸部40がそれぞれ填め込まれる。これにより、組縦地の壁板の自立性や強度が高められる。
【0030】
また、
図4に示すように、壁板として使用されるパネル10の上辺に、床板用のパネル10と同数の天井用のパネル10k、パネル10lが設置されてもよい。これによれば、簡易間仕切り100が屋根付きの間仕切りとなり、より密閉性の高い空間を提供することができる。天井用のパネル10k、パネル10lには、必要に応じて明り取りの開口やシーリングライトを設置してもよい。
【0031】
(実施形態3)
図5は、実施形態3に係る簡易間仕切りの斜視図である。本実施形態の簡易間仕切り1100で用いられるパネル10は、一方の長辺の内側に形成された貫通穴80と、一方の長辺における貫通穴80の設置位置に対応する他方の長辺の位置の内側に形成された貫通穴82とを有する。本実施形態では、組み立て時に、壁板として用いられる隣接するパネル10のうち、一方のパネル10の貫通穴80および他方のパネル10の貫通穴82に締結部材が挿通される。たとえば、壁板として使用される隣接する2つのパネル10において、近接する貫通穴80、82に締結部材(図示せず)を通し、縛ることでパネルの強度や安定性を高めることができる。締結部材としては、たとえば、紐や結束バンドが挙げられる。
【0032】
貫通穴80、82には、それぞれ、穴の形状に合わせた筒状(本実施形態では円筒状)の補強部材(図示せず)が差し込まれていることが好ましい。補強部材としては、塩化ビニルなどの剛性を有するプラスチック材料が挙げられる。貫通穴80、82に補強部材を設置することにより、締結部材80、82にテンションが加えられた場合に、貫通穴80、82が破損することを抑制し、パネル10の耐久性を高めることができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0034】
10 パネル、80 貫通穴、82 貫通穴、100 簡易間仕切り