埋設装置は、管状の管状部と、先端部と、を備え、先端部は、先端に向かって先細りする頭部と、頭部に連結し、管状部内に挿入可能な胴部と、を備え、管状部および胴部の一方が、その一方から突出する突出部を備え、管状部および胴部の他方が、突出部が入る溝状の溝部を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の埋設装置は、外筒と内筒との間隙に土砂が入り込まないようにするため突出部を備えているが、水分が多い地層では間隙に土砂を含んだ水が流入して、間隙と鋼管の間に土砂が詰まる可能性がある。また、この埋設装置は、鋼管を回転して蓋体との係止を解除して鋼管を引き抜く際、地層によっては鋼管の回転に伴って蓋体も回転し、係止が解除されない可能性もある。そして、これらにより、埋設装置は、鋼管を地中から引き抜けない可能性がある。また、この埋設装置は、外筒、内筒、係止構造および突出部を備えるなど、構成要素が多く、形状も複雑である。
【0006】
本発明は、簡易な構成で、管状部を地中から確実に引く抜くことができる埋設装置および埋設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
埋設装置は、管状の管状部と、先端部と、を備え、先端部は、先端に向かって先細りする頭部と、頭部に連結し、管状部内に挿入可能な胴部と、を備え、管状部および胴部の一方が、その一方から突出する突出部を備え、管状部および胴部の他方が、突出部が入る溝状の溝部を備える。
【0008】
また、埋設装置は、管状の管状部材を備え、管状部材は、管状部および他の管状部材に着脱可能であってもよい。
【0009】
また、埋設装置は、管状部内または管状部内および管状部材内に空気を供給する空気供給部を備え、先端部は、管状部の内部と頭部の外部とに通ずる通路である放出路を備えてもよい。
【0010】
また、埋設装置は、管状部または管状部材の開口を塞ぐ蓋部を備え、蓋部、管状部または管状部材は、管状部内または管状部内および管状部材内に通ずる供給孔を備え、空気供給部は、供給孔を介して管状部内または管状部内および管状部材内に空気を供給するものであってもよい。
【0011】
埋設方法は、管状の管状部と、先端部と、を備え、先端部は、先端に向かって先細りする頭部と、頭部に連結し、管状部内に挿入可能な胴部と、を備え、管状部および胴部の一方が、側方に突出する突出部を備え、管状部および胴部の他方が、突出部が入る溝状の溝部を備える埋設装置を用いる被埋設体の埋設方法であって、突出部を溝部に入れつつ、胴部を管状部内に挿入して先端部を管状部に装着する装着工程と、埋設装置を地中に貫入させる貫入工程と、管状部を地中から引き抜く引抜工程と、を備え、被埋設体は、装着工程においてまたは貫入工程の後で引抜工程の前に、管状部内に設置される。
【0012】
また、埋設方法において、管状の管状部材を備え、管状部材は、管状部および他の管状部材に着脱可能であり、貫入工程では、埋設装置を地中に貫入した後、地中に貫入した埋設装置の管状部または管状部材に装着された管状部材に管状部材を継ぎ足して、埋設装置を地中に貫入し、引抜工程では、管状部および管状部材を地中から引き抜き、被埋設体は、貫入工程の後であって引抜工程の前に、管状部内および管状部材内に設置されるものであってもよい。
【0013】
また、埋設方法において、被埋設体は、互いに着脱可能な複数の被埋設部材からなり、装着工程では、先端部が装着された管状部内に1の被埋設体が挿入され、貫入工程では、埋設装置を地中に貫入した後、地中に貫入した埋設装置の管状部または管状部材に装着された管状部材に管状部材を継ぎ足すとともに、地中に貫入した被埋設部材に被埋設部材を継ぎ足して、埋設装置を地中に貫入するものであってもよい。
【0014】
また、埋設方法は、貫入工程において、頭部から空気を放出しながら埋設装置を地中に貫入させてもよい。
【発明の効果】
【0015】
埋設装置および被埋設体の埋設方法によると、簡易な構成で、管状部を地中から確実に引く抜くことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1〜
図3に示すように、第1実施形態の埋設装置1は、管状部10と、先端部20とを備えている。
なお、以下の説明において、埋設装置に関し、管状部10の長手方向が前後方向であるものとする。
【0018】
管状部10は、管状のものである。管状部10は、例えば、金属や合成樹脂等で形成されている。本実施形態では、管状部10には、外周および内周が円形の鋼管が用いられている。
【0019】
先端部20は、頭部22と、胴部24とを備えている。頭部22は、先端に向かって先細りするものである。本実施形態では、頭部22は、ほぼ円錐状の形状となっている。胴部24は、管状部10内に挿入可能なものである。本実施形態では、胴部24は、円柱状の形状となっている。胴部24は、その一端が頭部22の後部、ここでは頭部22の後端面(底面)に同軸で連結している。胴部24の径は、管状部10の内径以下となっている。胴部24の径は、管状部10の内径に近いものであることが好ましい。このようにすることにより、管状部10内において被埋設体40を胴部24上に設置する際に、被埋設体40が胴部24から脱落しにくくなる。先端部20の後端面(底面)の径は、管状部10の外径より大きいものとなっている。このようにすることにより、埋設装置1を地盤に貫入する際、地盤から受ける貫入抵抗を小さくすることができる。上記先端部20は、後述する突出部26を含め、鉄鋼等の金属で形成されている。
【0020】
管状部10および胴部24の一方は、その一方から突出する突出部26を備えている。また、管状部10および胴部24の他方が、突出部26が入る溝状の溝部12を備えている。本実施形態では、突出部26は、胴部24に2つ備えられている。各突出部26は、略円柱状のものであり、胴部24の軸に直交する方向(側方)にその軸が平行となるように、胴部24に連結しており、互いに反対方向に突出している。また、溝部12は、2つの突出部26に対応して管状部10に2つ備えられている。各溝部12は、管状部10の一端(先端)から管状部10の長手方向(後方)に延びており、管状部10の軸を挟んで、一方の反対側に他方が設けられている。
【0021】
埋設装置1は、突出部26を溝部12に入れながら先端部20の胴部24を管状部10内に入れることにより、先端部20が、管状部10に装着される。一方の溝部12には一方の突出部26が入り、他方の溝部12には他方の突出部26が入る。先端部20が管状部10に装着された状態において、突出部26は溝部12の溝奥にあたり、管状部10は頭部22から離れる。突出部26は、埋設装置1の地盤への貫入の妨げとならないように、頭部22より側方に突出しないものであることが好ましい。本実施形態では、突出部26の先端は、側方において、管状部10の外周面とほぼ同じ位置となっている。
なお、
図4に示すように、先端部20が管状部10に装着された状態において、管状部10の先端が頭部22に接するものであってもよい。この場合、突出部26は溝部12の溝奥にあたらないものであってもよい。
【0022】
埋設装置1は、埋設装置1を地中に深く貫入させるため管状部材30を1または複数備えるものであってもよい。管状部材30は、管状部10および他の管状部材30に同軸で着脱可能なものとなっている。管状部材30は、基本的には管状部10と同じものであり、溝部12および突出部26を備えていない点のみが異なる。管状部材30は、管状部10および他の管状部材30とは、例えば管状部材30および管状部10に設けられる雄ねじと雌ねじにより着脱される。管状部材30を備えることにより、埋設装置1の長さを長くすることができる。
【0023】
管状部10および管状部材30の長さは、どのような長さであっても構わないが、例えば50cm以上130cm以下とすることが好ましく、90cm以上110cm以下とすることがより好ましい。
【0024】
次に、上述した第1実施形態の埋設装置1を用いた被埋設体40の地中への埋設方法について説明する。被埋設体40は、地中に埋設するものであればどのようなものであっても構わないが、ここでは、地中の水位や水質等を調べるために地中に設置されるものであって、外部の水を内部に通すための複数の通水孔を備えるパイプであるものとする。
【0025】
第1実施形態の埋設方法は、装着工程、貫入工程および引抜工程の順で行われる。
図5は、第1実施形態の被埋設体40の埋設方法の工程を示す。
【0026】
装着工程では、突出部26を溝部12に入れつつ、胴部24を管状部10内に挿入して先端部20を管状部10に装着する。さらに、被埋設体40を管状部10の後端から管状部10内に挿入し、管状部10内において胴部24上に設置する(
図5(A)参照)。
【0027】
次いで、貫入工程では、埋設装置1を所定の深さまで地中に貫入する(
図5(B)参照)。埋設装置1の地中への貫入には、貫入装置を用いる。貫入装置としては、貫入装置に打撃または荷重を加える装置であって作業者が支持するものまたは重機が用いられる。貫入装置は、管状部10の長さが50cm以上130cm以下であれば、作業者が支持する貫入装置が、作業時間やコストの面で適している。
【0028】
次いで、引抜工程では、管状部10を重機等の引抜装置により地中から引き抜く(
図5(C)参照)。引抜工程が完了すると、被埋設体40が先端部20とともに地中に残され、被埋設体40の地中への埋設が完了する。
【0029】
なお、被埋設体40は、装着工程ではなく、貫入工程の後であって引抜工程の前に、管状部10内に挿入してもよい。
【0030】
第2実施形態の埋設方法は、第1実施形態と同様に、装着工程、貫入工程および引抜工程の順で行われる。
図6は、第2実施形態の埋設方法の工程を示す。第2実施形態の埋設方法は、埋設装置1が管状部材30を備えている。
【0031】
装着工程では、突出部26を溝部12に入れつつ、胴部24を管状部10内に挿入して先端部20を管状部10に装着する(
図6(A)参照)。
【0032】
次いで、貫入工程では、埋設装置1を地中に貫入した後、地中に貫入した埋設装置1の管状部10に管状部材30を継ぎ足して、さらに埋設装置1を地中に貫入する(
図6(B)〜
図6(D)参照)。また、貫入工程では、埋設装置1を地中の所定の深さに貫入するまで、地中に貫入した埋設装置1の管状部材30への管状部材30の継ぎ足しと、継ぎ足された埋設装置1の地中への貫入を繰り返し行う。
【0033】
次いで、貫入工程の後であって引抜工程の前に、被埋設体40を、最も後側(地上側)の管状部材30の後端から挿入して、管状部10内および管状部材30内においいて胴部24上に設置する(
図6(E)参照)。
【0034】
次いで、引抜工程において、互いに連結した管状部10および管状部材30を引抜装置により地中から引き抜く(
図6(F)参照)。引抜工程が完了すると、被埋設体40が先端部20とともに地中に残され、被埋設体40の地中への埋設が完了する。
【0035】
なお、被埋設体40は、貫入工程において、管状部材30の最後の継ぎ足しが完了した時点で、管状部10および管状部材30内に挿入して埋設装置1に設置してもよい。
【0036】
第3実施形態の埋設方法は、第1実施形態および第2実施形態と同様に、装着工程、貫入工程および引抜工程の順で行われる。
図7は、第3実施形態の埋設方法の工程を示す。なお、引抜工程(
図7(E)参照)は第2実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0037】
第3実施形態の埋設方法は、埋設装置1が管状部材30を備えている。また、被埋設体40は、着脱可能な複数の被埋設部材42で構成されている。被埋設部材42の長さは、どのような長さであっても構わないが、本実施形態では、被埋設部材42のうち管状部10内に設置されるものは、管状部10内に設置した際、その後端が管状部10の後端付近に位置する長さとなっている。また、被埋設部材42のうち管状部材30内に設置されるものは、管状部材30と同じまたはそれに近い長さとなっている。
【0038】
装着工程では、突出部26を溝部12に入れつつ、胴部24を管状部10内に挿入して先端部20を管状部10に装着する。さらに、一つの被埋設部材42を管状部10の後端から挿入し、管状部10内において胴部24上に設置する(
図7(A)参照)。
【0039】
次いで、貫入工程では、埋設装置1を地中に貫入した後、地中に貫入した被埋設部材42に被埋設部材42を継ぎ足すとともに、地中に貫入した管状部10に管状部材30を継ぎ足して、さらに埋設装置1を地中に貫入する(
図7(B)〜
図7(D)参照)。また、貫入工程では、埋設装置1を地中の所定の深さに貫入するまで、地中に貫入した埋設装置1の管状部材30および被埋設部材42への管状部材30および被埋設部材42の継ぎ足しと、継ぎ足された埋設装置1の地中への貫入を繰り返し行う。
【0040】
次に、第2実施形態の埋設装置1について、
図8に基づいて、第1実施形態と異なる部分について説明する。第2実施形態の埋設装置1は、管状部10内または管状部10内および管状部材30内に空気を供給する空気供給部50を備え、先端部20は、管状部10の内部と頭部22の外部とに通ずる通路である放出路28を備える。放出路28のうち頭部22の外部側の開口は、頭部22の前方に向いていることが好ましい。放出路28の開口をこのようにすることにより、頭部22周辺の削られた土砂を効率よく巻き上げることができる。
【0041】
また、埋設装置1は、管状部10または管状部材30の開口を塞ぐ蓋部60を備え、蓋部60、管状部10または管状部材30が、管状部10内または管状部10内および管状部材30内に通ずる供給孔62を備え、空気供給部50が、供給孔62を介して管状部10内または管状部10内および管状部材30内に空気を供給するものであってもよい。以下、上記各構成について、具体的に説明する。
【0042】
先端部20の放出路28は、頭部22および胴部24の中心において軸方向(前後方向)に貫通した通路となっており、管状部10の内部と頭部22の外部とに通じている。また、本実施形態では、空気が管状部10と胴部24との隙間から漏れないようにするため、胴部24の径と管状部10の内径は、ほぼ同等になっている。
【0043】
蓋部60は、管状部10または管状部材30の後端に着脱可能に取り付けられるものであり、これらの後端の開口を塞ぐ。蓋部60には、管状部10または管状部材30の内部と外部とを通じさせるための供給孔62が設けられている。なお、供給孔62は、管状部10または管状部材30においてその内外を通じさせるように設けられていてもよい。
【0044】
空気供給部50は、埋設装置1に空気を供給するためのものである。空気供給部50は、空気供給源52と、空気供給路54とを備えている。空気供給源52は、空気(圧縮空気)を送り出すためのものである。本実施形態では、空気供給源52として、コンプレッサが用いられている。空気供給路54は、空気供給源52から送り出される空気の通路であり、空気供給源52と供給孔62とに接続している。本実施形態では、空気供給路54として、ホースが用いられている。
【0045】
第2実施形態の埋設装置1は、空気供給源52から送り出される空気が、空気供給部50から空気供給路54を介して管状部10内または管状部10内および管状部材30内に送られ、先端部20の放出路28から先端部20(頭部22)の外側に放出される。
【0046】
第2実施形態の埋設装置1を用いた被埋設体40の地中への埋設方法は、第1実施形態の埋設装置1を用いた埋設方法と基本的には同じであり、貫入工程において、空気供給部50から埋設装置1に空気を供給し、先端部20の放出路28から先端部20(頭部22)の外側に空気を放出しながら埋設装置1を地中に貫入する点のみが異なる。
【0047】
埋設装置1および埋設方法によると、胴部24を管状部10におよび突出部26を溝部12に出し入れするだけで先端部20と管状部10とを着脱することができるので、仮に胴部24と管状部10の間および溝部12に土砂が詰まっても、地中に埋設した埋設装置1から管状部10を確実に地中から引き抜いて、被埋設体40を地中に埋設することができる。また、埋設装置1は、先端部20と管状部10との装着および地中からの管状部10の引抜も、容易かつ短時間で行うことができる。しかも、埋設装置1は、比較的に簡易な構成で、上記の効果を奏することができる。
【0048】
埋設装置1および埋設方法は、管状部10および他の管状部材30に着脱可能な管状部材30を備えることにより、すでに地中に埋設した管状部10または管状部材30に管状部材30を継ぎ足すことができるので、埋設装置1を比較的に深く地中に埋設する場合において容易かつ効率的に埋設装置1を地中に貫入させることができる。また、埋設方法は、さらに被埋設部材42を互いに着脱可能な複数の被埋設部材42で構成することにより、埋設装置1を比較的に深く地中に埋設する場合において、より容易かつ効率的に被埋設体40を管状部10内または管状部10およびこれに連結された管状部材30の内部に挿入することができる。
【0049】
埋設装置1および埋設方法は、管状部10および管状部材30の長さを50cm以上130cm以下、より好ましくは、90cm以上110cm以下とすることにより、重機等を持ちいることなく、作業者が支持できるコンパクトな貫入装置を用いて埋設装置1を地中に貫入することができる。また、この場合、貫入装置を作業者にとって操作しやすい高さに位置させることができるので、作業者が埋設装置1の地中への貫入作業を行い易くなる。
【0050】
埋設装置1および埋設方法は、埋設装置1が先端部20に放出路28を備え、空気供給部50から供給される空気を頭部22(放出路28)から放出しながら埋設装置1を地盤に貫入することにより、頭部22周辺の削られた土砂が巻き上げられるので、埋設装置1が地盤に貫入しやすくなる。
【0051】
また、埋設装置1および埋設方法は、蓋部60を備えることにより、埋設装置1からの空気の漏れが抑えられ、空気供給部50から供給される空気を頭部22(放出路28)から効率よく放出できるので、埋設装置1がより一層地盤に貫入しやすくなる。
【0052】
また、埋設装置1および埋設方法は、胴部24の径を管状部10の内径と同等とすることにより、埋設装置1からの空気の漏れが抑えられ、空気が頭部22(放出路28)から効率よく放出されるので、埋設装置1がより一層地盤に貫入しやすくなる。
【0053】
本発明は、上記実施形態に特に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変更することができる。