(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-148123(P2021-148123A)
(43)【公開日】2021年9月27日
(54)【発明の名称】内燃機関の排ガス装置用の排ガス処理システム、およびこのような排ガス処理システムを運転するための方法
(51)【国際特許分類】
F01N 3/08 20060101AFI20210830BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20210830BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20210830BHJP
F01N 3/035 20060101ALI20210830BHJP
F01N 3/20 20060101ALI20210830BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20210830BHJP
【FI】
F01N3/08 BZAB
F01N3/24 C
F01N3/28 301P
F01N3/24 E
F01N3/035 E
F01N3/08 G
F01N3/20 H
F01N3/20 M
F01N3/28 J
B01D53/94 222
B01D53/94 300
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2021-40184(P2021-40184)
(22)【出願日】2021年3月12日
(31)【優先権主張番号】10 2020 106 882.4
(32)【優先日】2020年3月13日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】520050956
【氏名又は名称】プーレム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Purem GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング ダッツ
(72)【発明者】
【氏名】リサ ツィンマーマン
【テーマコード(参考)】
3G091
3G190
4D148
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AB02
3G091AB05
3G091AB13
3G091BA01
3G091BA14
3G091HA11
3G091HA12
3G091HA15
3G091HB03
3G190AA02
3G190CB18
3G190CB19
3G190CB23
3G190CB26
4D148AA06
4D148AB02
4D148AC03
4D148BB02
4D148CC33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】内燃機関の種々様々な運転状態への改善された適合を可能にする排ガス処理システムを提供すること。
【解決手段】内燃機関の排ガス装置用の排ガス処理システムが、複数の互いに並列接続されたSCR触媒ユニット32,34,36を含んでおり、互いに並列接続されたSCR触媒ユニット32,34,36のうちの少なくとも1つのSCR触媒ユニット32,34,36が、排ガスによる通流のために選択的に開放可能かつ遮断可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排ガス装置用の排ガス処理システムであって、複数の互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)を含んでおり、前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)のうちの少なくとも1つのSCR触媒ユニット(32,34,36)が、排ガスによる通流のために選択的に開放可能かつ遮断可能である、排ガス処理システム。
【請求項2】
前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)のうちのそれぞれのSCR触媒ユニットが、排ガスによる通流のために選択的に開放可能かつ遮断可能である、請求項1記載の排ガス処理システム。
【請求項3】
前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)のうちの、排ガスによる通流のために選択的に開放可能かつ遮断可能な前記少なくとも1つのSCR触媒ユニット(32,34,36)を選択的に開放しかつ遮断するための少なくとも1つの遮断機構(38,40,42)が設けられている、請求項1または2記載の排ガス処理システム。
【請求項4】
前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)の、排ガスによる通流のために選択的に開放可能かつ遮断可能なそれぞれのSCR触媒ユニット(32,34,36)に、1つの遮断機構(38,40,42)が割り当てられている、請求項3記載の排ガス処理システム。
【請求項5】
前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)のうちの少なくとも2つのSCR触媒ユニット(32,34,36)が、互いに異なる触媒容量を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の排ガス処理システム。
【請求項6】
互いに異なる触媒容量を備えた前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)は、互いに異なる大きさの、触媒反応を実施するのに有効な触媒表面、および/または異なるNH3貯蔵容積を有している、請求項5記載の排ガス処理システム。
【請求項7】
前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)は、触媒として有効な材料によって被覆されたまたは触媒として有効な材料によって構成された、好ましくは押出し成形されたそれぞれ1つの基体(52)を有しており、それぞれの基体(52)内に排ガス通流セル(54)が形成されており、前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)のうちの少なくとも2つのSCR触媒ユニットが、
− 互いに異なる数および/または密度の排ガス通流セル(54)を備えた基体(52)を有しており、かつ/または
− 互いに隣接した排ガス通流セル(54)の間に異なる壁厚を備えた基体(52)を有しており、かつ/または
− 内部に設けられた排ガス通流セル(54)の異なる横断面寸法および/または横断面幾何学形状を備えた基体(52)を有しており、かつ/または
− 異なる横断面寸法(D)および/または排ガス流れ方向(A)における異なる長さ(L)および/または異なる容積を備えた基体(52)を有しており、かつ/または
− 異なる基体構造材料を備えた基体(52)を有しており、かつ/または
− 基体構造材料の異なる気孔率を備えた基体(52)を有しており、かつ/または
− 触媒として有効な異なる材料によって被覆されたまたは構成された、好ましくは押出し成形された基体(52)を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載の排ガス処理システム。
【請求項8】
前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)のうちの少なくとも1つのSCR触媒ユニットが、
− 単位cm2あたり1290〜2580個の排ガス通流セルの範囲内の排ガス通流セル密度を備えた基体(52)を備えて、かつ/または
− 14〜27cmの範囲内の基体直径(D)を有する基体(52)備えて、かつ/または
− 相対的に高い気孔率を有する基体構造材料を有する基体(52)を備えて
形成されており、
前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)のうちの少なくとも1つのSCR触媒ユニットが、
− 単位cm2あたり2580〜3870個の排ガス通流セルの範囲内の排ガス通流セル密度を備えた基体(52)を備えて、かつ/または
− 24〜33cmの範囲内の基体直径を有する基体(52)備えて、かつ/または
− 相対的に低い気孔率を有する基体構造材料を有する基体(52)を備えて
形成されている、請求項7記載の排ガス処理システム。
【請求項9】
前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)に直列接続された少なくとも1つの触媒ユニット(18,24)が設けられており、かつ/または前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)に直列接続された少なくとも1つのパティキュレートフィルタユニット(20)が設けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載の排ガス処理システム。
【請求項10】
前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)に直列接続された1つの触媒ユニット(18)が、酸化触媒ユニット(18)であり、かつ/または前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)に直列接続された1つの触媒ユニット(24)が、SCR触媒ユニット(24)である、請求項9記載の排ガス処理システム。
【請求項11】
前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)に直列接続された少なくとも1つのSCR触媒ユニット(24)に、排ガスによる通流のために選択的に開放しかつ遮断するための遮断機構(30)が配設されている、請求項10記載の排ガス処理システム。
【請求項12】
それぞれのSCR触媒ユニット(24,32,34,36)に関して上流に、少なくとも1つの反応剤送入ユニット(30,50)が設けられている、請求項1から11までのいずれか1項記載の排ガス処理システム。
【請求項13】
内燃機関(13)の排ガス装置(11)に設けられた、請求項1から12までのいずれか1項記載の排ガス処理システム(10)を運転するための方法であって、前記内燃機関(13)の始動運転段階または低負荷運転段階では、互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)のすべてを、排ガスによる通流のために開放することはしない、方法。
【請求項14】
前記内燃機関(13)の、前記始動運転段階または前記低負荷運転段階と異なる第1の負荷運転段階では、前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)のうちの、前記始動運転段階または前記低負荷運転段階において排ガスによる通流のために開放された少なくとも1つのSCR触媒ユニット(32)と、前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)のうちの、前記始動運転段階または前記低負荷運転段階において排ガスによる通流のために開放されなかった少なくとも1つのSCR触媒ユニット(34,36)とを、排ガスによる通流のために開放する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記第1の負荷運転段階では、前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)のうちの、前記始動運転段階または前記低負荷運転段階において排ガスによる通流のために開放されなかったSCR触媒ユニット(34,36)のすべてを、排ガスによる通流のために同時に開放するのではなく、好ましくは、前記第1の負荷運転段階では、前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのうちの、前記始動運転段階または前記低負荷運転段階において排ガスによる通流のために開放されなかった前記SCR触媒ユニット(34,36)を、排ガスによる通流のために交互に開放する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記内燃機関(13)の、前記始動運転段階または前記低負荷運転段階と異なる第2の負荷運転段階では、前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)のうちの、前記始動運転段階において排ガスによる通流のために開放されたSCR触媒ユニット(32)を、排ガスによる通流のために開放することはなく、前記第2の負荷運転段階では、前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)のうちの、前記始動運転段階または前記低負荷運転段階において排ガスによる通流のために開放されなかった少なくとも1つのSCR触媒ユニット(34,36)を、好ましくは、前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)のうちの、前記始動運転段階または前記低負荷運転段階において排ガスによる通流のために開放されなかったそれぞれのSCR触媒ユニット(34,36)を、排ガスによる通流のために開放する、請求項13から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記内燃機関(13)の、前記始動運転段階と異なる第3の負荷運転段階では、前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)のうちの、前記始動運転段階において排ガスによる通流のために開放されなかったSCR触媒ユニット(34,36)を、排ガスによる通流のために開放しない、請求項13から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記第1の負荷運転段階は、前記内燃機関(13)の部分負荷運転段階であり、前記第2の負荷運転段階は、前記内燃機関(13)の全負荷運転段階であり、前記第3の負荷運転段階は、前記内燃機関(13)の低負荷運転段階である、請求項14、16および17記載の方法。
【請求項19】
前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)のうちの、前記始動運転段階および/または前記低負荷運転段階において排ガスによる通流のために開放された少なくとも1つのSCR触媒ユニット(32)が、単位cm2あたり1290〜2580個の排ガス通流セルの範囲内の排ガス通流セル密度を備えた、かつ/または14〜27cmの範囲内の基体直径を有した、かつ/または相対的に高い気孔率を有する基体構造材料を備えた基体を有しており、前記互いに並列接続されたSCR触媒ユニット(32,34,36)のうちの、前記内燃機関の部分負荷運転段階および/または全負荷運転段階において排ガスによる通流のために開放された少なくとも1つのSCR触媒ユニット(34,36)が、単位cm2あたり2580〜3870個の排ガス通流セルの範囲内の排ガス通流セル密度を備えた、かつ/または24〜33cmの範囲内の基体直径を有した、かつ/または相対的に低い気孔率を有する基体構造材料を備えた基体を有している、請求項13から18までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば商用車における内燃機関の排ガス装置用の排ガス処理システムであって、内燃機関から放出される排ガスの有害成分を低減するために運転される排ガス処理システムに関する。本発明はさらに、このような排ガス処理システムを運転するための方法に関する。
【0002】
ディーゼル内燃機関を備えた車両、例えば商用車では、排ガス内の窒素酸化物成分を低減するために、SCR(選択触媒還元)触媒ユニットが使用される。このようなSCR触媒ユニットの上流には、還元剤として尿素と水とから成る混合物が排ガス流内に噴射される。混合器の範囲もしくはそれぞれのSCR触媒ユニットの上流において発生させられた、排ガスと還元剤とから成る混合物は、それぞれのSCR触媒ユニット内での触媒反応で変換される。
【0003】
本発明の課題は、内燃機関の種々様々な運転状態への改善された適合を可能にする、内燃機関の排ガス装置用の排ガス処理システム、およびこのような排ガス処理システムを運転するための方法を提供することである。
【0004】
第1の態様によれば、この課題は、内燃機関の排ガス装置用の排ガス処理システムであって、複数の互いに並列接続されたSCR触媒ユニットを含んでおり、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのうちの少なくとも1つのSCR触媒ユニットが、排ガスによる通流のために選択的に開放可能かつ遮断可能である、排ガス処理システムによって解決される。
【0005】
本発明により構成された排ガス処理システムでは、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのすべてを、排ガスによる通流のために同時に開放するのではないという可能性が得られる。これによって、例えば、始動運転段階では、つまり比較的低温のシステムおよび相対的に低い排ガス温度時に、排ガスを1つのSCR触媒ユニットにもしくは数を減じられたSCR触媒ユニットに集中させること、もしくはより低い温度での運転のために特に適合させられている1つまたは複数のSCR触媒ユニットに集中させるという可能性が提供される。これによって、始動運転段階において通流されるこのSCR触媒ユニットもしくはこれらのSCR触媒ユニットの比較的迅速な加熱が保証され、ひいては、それぞれのSCR触媒ユニットにおいて触媒反応を使用するために必要な温度を比較的迅速に得ることが保証される。システムが加熱されると、もしくは排ガスが相対的に高い温度を有すると、他方のまたは複数のSCR触媒ユニットが接続もしくは運転され、これによって、排ガス処理のための、この運転のために最適な条件を準備することができる。
【0006】
運転中における高いフレキシビリティを保証できるようにするために、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのそれぞれのSCR触媒ユニットが、排ガスによる通流のために選択的に開放可能かつ遮断可能であることが提案される。
【0007】
本発明によれば、例えば、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのうちの、排ガスによる通流のために選択的に開放可能かつ遮断可能な少なくとも1つのSCR触媒ユニットを選択的に開放しかつ遮断するための少なくとも1つの遮断機構が設けられていてよく、高いフレキシビリティのために好ましくは、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットの、排ガスによる通流のために選択的に開放可能かつ遮断可能なそれぞれのSCR触媒ユニットに、1つの遮断機構が割り当てられている。
【0008】
排ガス処理システムの、内燃機関もしくは内燃機関に割り当てられた排ガス装置の種々様々な運転段階への適合のために、例えば、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのうちの少なくとも2つのSCR触媒ユニットが、互いに異なる触媒容量を有していることが提案されていてよい。
【0009】
このような互いに異なる触媒容量は、例えば、互いに異なる触媒容量を備えた互いに並列接続されたSCR触媒ユニットが、互いに異なる大きさの、触媒反応を実施するのに有効な触媒表面、および/または異なるNH
3貯蔵容積を有していることによって得ることができる。
【0010】
互いに並列接続されたSCR触媒ユニットは、触媒として有効な材料によって被覆されたまたは触媒として有効な材料によって構成された、好ましくは押出し成形されたそれぞれ1つの基体を有していてよく、それぞれの基体内に排ガス通流セルが形成されており、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのうちの少なくとも2つのSCR触媒ユニットが、
− 互いに異なる数および/または密度の排ガス通流セルを備えた基体を有しており、かつ/または
− 互いに隣接した排ガス通流セルの間に異なる壁厚を備えた基体を有しており、かつ/または
− 内部に設けられた排ガス通流セルの異なる横断面寸法および/または横断面幾何学形状を備えた基体を有しており、かつ/または
− 異なる横断面寸法および/または排ガス流れ方向における異なる長さおよび/または異なる容積を備えた基体を有しており、かつ/または
− 異なる基体構造材料を備えた基体を有しており、かつ/または
− 基体構造材料の異なる気孔率を備えた基体を有しており、かつ/または
− 触媒として有効な異なる材料によって被覆されたまたは構成された、好ましくは押出し成形された基体を有している。
【0011】
種々様々な温度状態もしくは種々様々な負荷状態への最適な適合は、例えば、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのうちの少なくとも1つのSCR触媒ユニットが、
− 単位cm
2あたり1290〜2580個の排ガス通流セルの範囲内の排ガス通流セル密度を備えた基体を備えて、かつ/または
− 14〜27cmの範囲内の基体直径を有する基体を備えて、かつ/または
− 相対的に高い気孔率を有する基体構造材料を有する基体を備えて
形成されており、
互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのうちの少なくとも1つのSCR触媒ユニットが、
− 単位cm
2あたり2580〜3870個の排ガス通流セルの範囲内の排ガス通流セル密度を備えた基体を備えて、かつ/または
− 24〜33cmの範囲内の基体直径を有する基体を備えて、かつ/または
− 相対的に低い気孔率を有する基体構造材料を有する基体を備えて
形成されていることによって得ることができる。
【0012】
排ガス中におけるさらに低減された有害物質成分のためには、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットに直列接続された少なくとも1つの触媒ユニットが設けられていてよく、かつ/または互いに並列接続されたSCR触媒ユニットに直列接続された少なくとも1つのパティキュレートフィルタユニットが設けられていてよい。
【0013】
例えば、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットに直列接続された1つの触媒ユニットが、酸化触媒ユニットであってよく、かつ/または互いに並列接続されたSCR触媒ユニットに直列接続された1つの触媒ユニットが、SCR触媒ユニットであってよい。
【0014】
このような直列接続されたSCR触媒ユニットとの関連においても運転中における高いフレキシビリティを得ることができるようにするために、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットに直列接続された少なくとも1つのSCR触媒ユニットに、排ガスによる通流のために選択的に開放しかつ遮断するための遮断機構が割り当てられていてよい。
【0015】
選択触媒還元のために必要な還元剤を噴射するために、それぞれのSCR触媒ユニットに関して上流に、少なくとも1つの反応剤送入ユニットが設けられていてよい。
【0016】
別の態様によれば、冒頭に記載した課題は、内燃機関の排ガス装置に設けられた、本発明により構成された排ガス処理システムを運転するための方法であって、内燃機関の始動運転段階または低負荷運転段階では、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのすべてを、排ガスによる通流のために開放するのではない、方法によって解決される。
【0017】
内燃機関の始動運転段階もしくは低負荷運転段階において比較的低温のシステムおよび相対的に低い排ガス温度時には、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットの一部しか、例えばただ1つのSCR触媒ユニットしか排ガスによって通流されないので、比較的小さな加熱すべき容積への集中ひいては触媒反応のより迅速な使用が得られる。
【0018】
より長い運転の後で、つまりシステムが加熱され、排ガス温度が高くなった場合に、最適な排ガス浄化を保証することができるようにするために、内燃機関の、始動運転段階または低負荷運転段階と異なる第1の負荷運転段階では、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのうちの、始動運転段階または低負荷運転段階において排ガスによる通流のために開放された少なくとも1つのSCR触媒ユニットと、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのうちの、始動運転段階または低負荷運転段階において排ガスによる通流のために開放されなかった少なくとも1つのSCR触媒ユニットとを、排ガスによる通流のために開放することが提案される。
【0019】
例えば、第1の負荷運転段階では、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのうちの、始動運転段階または低負荷運転段階において排ガスによる通流のために開放されなかったSCR触媒ユニットのすべてを、排ガスによる通流のために同時に開放するのではないことが提案されていてよい。
【0020】
運転耐用寿命にわたってほぼ均一な負荷ひいてはSCR触媒ユニットのほぼ均一なエージングを得るようにするためには、第1の負荷運転段階では、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのうちの、始動運転段階または低負荷運転段階において排ガスによる通流のために開放されなかったSCR触媒ユニットを、排ガスによる通流のために交互に開放することが提案される。
【0021】
さらに内燃機関の、始動運転段階または低負荷運転段階と異なる第2の負荷運転段階では、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのうちの、始動運転段階または低負荷運転段階において排ガスによる通流のために開放されなかったSCR触媒ユニットを、排ガスによる通流のために開放し、第2の負荷運転段階では、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのうちの、始動運転段階または低負荷運転段階において排ガスによる通流のために開放されなかった少なくとも1つのSCR触媒ユニットを、好ましくは、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのうちの、始動運転段階または低負荷運転段階において排ガスによる通流のために開放されなかったそれぞれのSCR触媒ユニットを、排ガスによる通流のために開放することが提案されていてよい。このようにすると、始動運転段階もしくは低負荷運転段階において作動する1つもしくは複数のSCR触媒ユニットの過負荷を回避することができる。
【0022】
内燃機関の、始動運転段階と異なる第3の負荷運転段階では、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのうちの、始動運転段階において排ガスによる通流のために開放されなかったSCR触媒ユニットを、排ガスによる通流のために開放しないことが提案されていてよい。つまりこの運転段階では、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットのうちの、始動運転段階においても作動させられた1つまたは複数のSCR触媒ユニットだけが運転される。
【0023】
第1の負荷運転段階は、内燃機関の部分負荷運転段階であってよく、第2の負荷運転段階は、内燃機関の全負荷運転段階であってよく、第3の負荷運転段階は低負荷運転段階であってよい。
【0024】
本発明の目的のために例えば始動運転段階の終了は、内燃機関の運転開始からの設定された時間経過によって、かつ/または設定された排ガス温度の到達によって、かつ/または排ガス処理システムの領域における設定された温度の到達によって特徴付けられていてよい。低負荷運転段階は、加熱された内燃機関もしくは加熱された排ガス装置において、内燃機関の回転数および/または内燃機関から出力される駆動トルクもしくは内燃機関への出力要求が、第1の負荷限界値を上回らない運転段階であってよい。部分負荷運転段階は、例えば、内燃機関の回転数および/または内燃機関から出力される駆動トルクもしくは内燃機関への出力要求が、第1の負荷限界値を上回っているが、しかしながら第1の負荷限界値の上にある第2の負荷限界値を上回っていないことによって特徴付けることができる。これに対して全負荷運転段階は、回転数および/または内燃機関から出力される駆動トルクもしくは内燃機関への出力要求が、第2の負荷限界値を上回っていることによって特徴付けることができる。
【0025】
効果的な排ガス浄化のために特に好適な手段では、始動運転段階および/または低負荷運転段階において排ガスによる通流のために開放された少なくとも1つのSCR触媒ユニットが、単位cm
2あたり1290〜2580個の排ガス通流セルの範囲内の排ガス通流セル密度を備えた、かつ/または14〜27cmの範囲内の基体直径を有した、かつ/または相対的に高い気孔率を有する基体構造材料を備えた基体を有していてよく、内燃機関の部分負荷運転段階および/または全負荷運転段階において排ガスによる通流のために開放された少なくとも1つのSCR触媒ユニットが、単位cm
2あたり2580〜3870個の排ガス通流セルの範囲内の排ガス通流セル密度を備えた、かつ/または24〜33cmの範囲内の基体直径を有した、かつ/または相対的に低い気孔率を有する基体構造材料を備えた基体を有していてよい。
【0026】
次に添付の図面を参照しながら本発明について詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】内燃機関の排ガス装置用の排ガス処理システムの原理図である。
【
図2】SCR触媒ユニットのための基体の原理図である。
【0028】
図1に示された、内燃機関13の排ガス装置11用の排ガス処理システム10は、流入領域12を含んでおり、この流入領域12において、内燃機関13から放出された排ガスが排ガス処理システム10内に流入する。流出領域14において、排ガス処理システム10において処理された排ガスが排ガス処理システム10から流出する。排ガス処理システム10の、以下に記載された様々なシステム領域は、ハウジング16内に収容されていてよく、ハウジング16は、通路もしくは管路を介して互いに接続された複数のハウジング領域に分割されていてよい。
【0029】
排ガス処理システム10は、流入領域12に続いてディーゼル酸化触媒18を含んでいる。ディーゼル酸化触媒18にはパティキュレートフィルタ20が続いている。ディーゼル酸化触媒18とパティキュレートフィルタ20との間の排ガス流路において、バイパス流路22にはSCR触媒ユニット24が設けられている。SCR触媒ユニット24には、例えば弁である遮断機構26が割り当てられており、遮断機構26は、排ガス主流通路28から分岐するバイパス流路22を、選択的に排ガスによる通流のために開放する、またはバイパス流路22を排ガスによる通流に対して遮断することができる。遮断機構26は、排ガスをSCR触媒ユニット24を通して通流させたい場合に、排ガス主流通路28において流れる全排ガス流をバイパス流路22を通して導くように形成されていてよい。択一的に遮断機構26は、例えば排ガス流の可変部分をバイパス流路22内にひいてはSCR触媒ユニット24を通して導くように構成されていてよい。
【0030】
例えばバイパス流路22内においてSCR触媒ユニット24の上流には、一般的にインジェクタとも呼ばれる反応剤送入ユニット30が設けられている。反応剤送入ユニット30は、反応剤、例えばSCR触媒ユニットのために反応剤として使用される尿素/水混合物を、排ガス流内に送入する。例えば反応剤送入ユニット30に続く混合器において、排ガスと反応剤との混合を促進することができる。さらに付言すると、反応剤送入ユニット30は、バイパス流路22内においてもSCR触媒ユニット24に関して上流に設けられていてもよい。
【0031】
パティキュレートフィルタ20に関して下流には、排ガス処理システム10の図示の実施例では互いに並列接続された3つのSCR触媒ユニット32,34,36が設けられている。これらの並列接続されたSCR触媒ユニット32,34,36に割り当てられて、例えば弁であるそれぞれの遮断機構38,40,42が、排ガス主流通路28に設けられている。これらの遮断機構38,40,42のそれぞれの遮断機構は、排ガス主流通路28において流れる排ガス流の全部または一部を、それぞれのSCR触媒ユニット32,34,36を含む分岐管路44,46,48内に導くように形成されている。このように構成されていると、互いに並列接続されたSCR触媒ユニット32,34,36のそれぞれのSCR触媒ユニットを、選択的に排ガスによる通流のために開放する、もしくは排ガスによる通流に対して遮断することができる。
【0032】
互いに並列接続されたSCR触媒ユニット32,34,36もしくはこれらのSCR触媒ユニット32,34,36に割り当てられた遮断機構38,40,42の上流には、別の反応剤送入ユニット50が設けられている。この反応剤送入ユニット50は、SCR触媒ユニット32,34,36における触媒反応を実施するために必要な反応剤、つまり例えば尿素/水混合物を、排ガス主流通路28内に噴射する。この反応剤送入ユニット50にも、噴射された反応剤を排ガスと混合するための混合器が割り当てられていてよい。
【0033】
さらに付言すると、択一的に、互いに並列接続されたSCR触媒ユニット32,34,36のそれぞれ個々のSCR触媒ユニットにも、別体の反応剤送入ユニットがそれぞれの分岐管路44,46,48においてそれぞれのSCR触媒ユニット32,34,36の上流に配設されていてよい。
【0034】
図1に示された排ガス処理システム10は、その構造上の構成に基づいて、運転中における高い可変性を有している。つまり、互いに並列接続されたSCR触媒ユニット32,34,36に直列接続されている、選択的に運転可能なSCR触媒ユニット24によって、ディーゼル酸化触媒18およびパティキュレートフィルタ20と同様に、例えば内燃機関の全負荷運転状態において高い割合の窒素酸化物が存在している場合、もしくは大量の排ガス量が放出される場合に、排ガス中における窒素酸化物割合の一部を既に分解することができる。互いに並列接続されたSCR触媒ユニット32,34,36は、例えば同様に内燃機関もしくは排ガス処理システムの運転状態に関連して選択的に作動もしくは不作動させることができる。さらに互いに並列配置されたSCR触媒ユニット32,34,36は、互いに基本的に同一構造を有していてよいが、しかしながらまた以下に記載の形式において特定の運転状態に適合して異なる構造を有していてもよい。
【0035】
内燃機関13および排ガス装置11ひいては排ガス処理システム10も比較的低い温度を有していて、内燃機関13から排出された排ガスも比較的低い温度を有している、始動運転段階では、排ガス処理システム10を可能な限り迅速に、選択触媒還元を実施するのに必要な温度が得られる状態にもたらすという目標設定がある。そのために例えば単にSCR触媒ユニット32だけを、排ガスによる通流のために開放することができ、これに対して他のすべてのSCR触媒ユニット24,34,36は、排ガスによる通流に対して遮断されている。これによって、全排ガス流は、ただ1つの開放されたSCR触媒ユニット32を通して通流させられ、その結果、このSCR触媒ユニット32が比較的迅速に加熱され、ひいては、比較的迅速に触媒還元の実施のために必要な温度に達するということが保証される。
【0036】
この始動運転段階の終了後に、つまり例えば、内燃機関13および排ガス装置11ひいては排ガス処理システム10も十分に高い温度に達した場合に、かつ/または内燃機関から放出された排ガスが十分に高い温度に達した場合に、SCR触媒ユニット34,36もまた作動させることができる。例えば部分負荷運転段階では、SCR触媒ユニット34を追加的に通流のために開放することができ、これによって、全排ガス流は、互いに並列接続された2つのSCR触媒ユニット32,34を通して導かれる。このような運転において、互いに並列接続されたSCR触媒ユニット32,34,36の均一なエージングを保証するために、例えば、SCR触媒ユニット34とSCR触媒ユニット36とを交互に排ガスによる通流のために開放することが提案されていてよく、このようにすると、両SCR触媒ユニット34,36は、運転耐用寿命にわたってほぼ等しい時間の運転負荷を受ける、つまり排ガスによって通流されることになる。互いに並列接続された3つのすべてのSCR触媒ユニット32,34,36が同一構造を有していると、始動運転段階において作動するSCR触媒ユニット32をも交互の切換に加えることができ、このようにすると始動運転段階では、互いに並列接続されたSCR触媒ユニット32,34,36のうちの常に1つのSCR触媒ユニットが、しかしながら常には同じでないSCR触媒ユニットが、作動させられることになり、部分負荷運転段階においては常に、互いに並列接続された3つのSCR触媒ユニット32,34,36のうちの常に2つのSCR触媒ユニットが、排ガスによって通流され、これに対して1つのSCR触媒ユニットは排ガスによる通流に対して遮断されている。
【0037】
全負荷運転段階では、始動運転段階において通流されないすべてのSCR触媒ユニット、つまり互いに並列接続されたSCR触媒ユニット32,34,36のうちのSCR触媒ユニット34およびSCR触媒ユニット36をも、排ガスによる通流のために開放することができ、同様にそれに対して直列接続されたSCR触媒ユニット24をも、排ガスによる通流のために開放することができる。始動運転段階において作動するSCR触媒ユニット32は、このような全負荷運転段階において排ガスによる通流に対して遮断することができ、これによって、運転耐用寿命にわたって、このSCR触媒ユニット32の過負荷を回避することができる。このような場合においても、互いに並列接続されたすべてのSCR触媒ユニット32,34,36が互いに同一構造を有している場合には、連続している始動運転段階において作動させられたSCR触媒ユニットの交換を行うことが提案されていてよく、このようにすると、それぞれの始動運転段階に続く全負荷運転段階でも、すべてのSCR触媒ユニット32,34,36の均一な運転負荷が得られる。
【0038】
低負荷運転段階では、始動運転段階において作動するSCR触媒ユニット32を、排ガスによって通流させることができ、これに対して他の両SCR触媒ユニット34,36は遮断される。このこともまた、互いに並列接続されたすべてのSCR触媒ユニット32,34,36に対する運転負荷の均一化のために貢献する。
【0039】
上において述べたように、特に、互いに並列接続されたSCR触媒ユニット32,34,36は互いに同一構造を有していてよい。しかしながらこれらのSCR触媒ユニット32,34,36を、これらのSCR触媒ユニット32,34,36を好適に使用することが望ましい運転段階に、最適に適合させるために、互いに並列接続されたSCR触媒ユニット32,34,36は、基本的には互いに異なる構造であってもよい。特にこれらのSCR触媒ユニット32,34,36は、下記のパラメータ、すなわち、
− 触媒反応を実施するのに有効な触媒表面、
− 触媒として有効な材料によって被覆された基体の基体構造材料、
− 基体構造材料の気孔率、
− それぞれの基体に設けられた排ガス通流セルの数もしくは面積密度、
− それぞれの基体において互いに隣接した排ガス通流セルを互いに分離している壁の壁厚、
− 排ガス通流セルの横断面寸法および/または横断面幾何学形状、
− それぞれの基体の横断面寸法、
− 排ガス流れ方向におけるそれぞれの基体の長さ、
− それぞれの基体の容積、
− 触媒として有効な材料、
というパラメータのうちの少なくとも1つのパラメータにおいて異なっていてもよい。
【0040】
図2には、SCR触媒ユニットのためのこのような基体52の原理図が示されている。この基体は、基本的に円筒形の構造体であってよく、排ガスが基体52をこの基体52内に形成された排ガス通流セル54の領域において通流する、排ガス流れ方向Aにおいて長さLを有している。横断面が真円形の構成では、基体は直径Dを有している。ほぼ排ガス流れ方向Aにおいて延在している通路として形成されていてよい排ガス通流セル54の間には、幾つかの排ガス通流セル54を互いに隔てている壁56が形成されている。排ガス通流通路54は、基体52の横断面にわたってほぼ均一に分配されて形成されていてよく、これによって、排ガス通流セル54の間に位置している壁56のほぼ均一な壁厚Wが得られ、本発明の目的のためにそれぞれ最小の壁厚Wを、互いに隣接した排ガス通流セル54の間に見ることができる。
図2がこのことを示すように、排ガス通流通路54は、種々様々な横断面幾何学形状を、例えば円形または角張った横断面幾何学形状を有することができ、基体52に設けられた排ガス通流通路54は、好ましくはすべて等しい横断面幾何学形状を有している。
【0041】
基体52の、排ガスがその周りを流れる表面には、例えば白金であってよいまたは白金を含んでいてよい触媒として有効な材料が設けられている。このことは例えば、基体がこのような触媒として有効な材料によって被覆されることによって、または触媒として有効な材料が基体構造材料内に混合されていて、これによって、基体52の製造時に同時に触媒反応を実施するのに有効な触媒表面が、この触媒表面に設けられた触媒として有効な材料をも備えて生ぜしめられることによって行うことができる。
【0042】
例えばSCR触媒ユニット32が、互いに並列接続されたSCR触媒ユニット32,34,36のうちの、始動運転段階および/または低負荷運転段階において運転される触媒ユニットであることが望ましい場合には、この触媒ユニットは基本的に、始動運転段階および/または低負荷運転段階において運転させるべきではないSCR触媒ユニット34,36よりも小さい、もしくは僅かな熱質量若しくは熱容量を有するように寸法設定されていてよい。このことは例えば、SCR触媒ユニット32の基体52が、SCR触媒ユニット34,36の基体よりも僅かな横断面寸法を、つまり直径Dを、かつ/または排ガス流れ方向Aにおけるより小さな長さLを有していることによって得ることができる。SCR触媒ユニット32の基体における排ガス通流セル54の数もまた、SCR触媒ユニット34,36の基体における、例えば、それぞれ基体の長手方向において延在している通路状の排ガス通流セル54の数よりも、僅かであってよい。例えばSCR触媒ユニット32の基体52は、真円形の横断面幾何学形状では約14cm〜27cm(5.7〜10.5ツォル)の範囲内の基体直径Dを有していてよく、これに対してSCR触媒ユニット34,36の基体は、約24〜33cm(9.5〜13.0ツォル)の範囲内の直径を有していてよい。SCR触媒ユニット32の基体における排ガス通流セルの密度は、単位cm
2あたり1290〜2580個の排ガス通流セル(平方ツォルあたり200〜400個の排ガス通流セル)の範囲内にあってよく、これに対してSCR触媒ユニット34,36の基体における排ガス通流セルの密度は、単位cm
2あたり2580〜3870個の排ガス通流セル(平方ツォルあたり400〜600個の排ガス通流セル)の範囲内にあってよい。これによって、また、より高い負荷ひいてはより大きな有害物質放出を伴う運転段階において作動するSCR触媒ユニットは、触媒として有効な材料の、触媒反応のために必要な温度を可能な限り迅速に得ることに的が絞られている、始動運転段階において作動させることが望ましいSCR触媒ユニット32よりも、触媒反応を実施するために設けられた触媒材料の大きな触媒表面を有していることが実現される。様々なSCR触媒ユニット32,34,36のために単位cm
2あたり異なる数の排ガス通流セルを備えた、つまりこれらのSCR触媒ユニットのために異なるセル密度を備えたこのような基体52では、これらのもしくはすべての排ガス通流セル54は、ほぼ等しい横断面積を有することができる。これによって、相対的に低いセル密度を備えた基体52では、例えばSCR触媒ユニット32のために使用することができる基体52では、互いに隣接したセルの間の壁厚Wを、相対的に高いセル密度を備えた基体52におけるよりも大きくすることができる。このことによって、低いセル密度を備えた基体52のために、相対的に高い気孔率を備えた基体構造材料を使用する場合でも、比較的高い機械的な安定性を得ることができる。択一的な構成形態では、相対的に高いセル密度を備えた基体52が、相対的に低いセル密度を備えた基体52よりも小さな横断面積を備えたセルを有することが提案されていてよい。
【0043】
SCR触媒ユニット32の熱質量(熱容量)を可能な限り小さく保つために、SCR触媒ユニット32の基体については、構造的に、可能な限り小さな熱質量にほとんど的を絞られているのではなく、可能な限り高い堅牢性ひいては可能な限り長い運転耐用寿命に的を絞られた、SCR触媒ユニット34,36の基体よりも、高い気孔率を備えた基体構造材料が準備されていてよい。それというのは、基本的に、始動運転段階において運転されるべきではないこれらのSCR触媒ユニット34,36は、内燃機関もしくは排ガス装置の運転中に、始動運転段階および/または低負荷運転段階において運転されるべきSCR触媒ユニット32よりも長い時間にわたって、排ガスによって通流されることを前提としているからである。基体構造材料における相対的に高い気孔率はまた、触媒反応を実施するために有効なより大きな触媒表面をも生ぜしめる。それというのは、触媒反応のためには、単に排ガス通流セル54の内表面だけではなく、多孔質の構造体のすべての内表面をも利用することができるからである。
【0044】
基本的に、互いに並列接続されたSCR触媒ユニット32,34,36の、始動運転段階もしくは低負荷運転段階において運転されるべきではないSCR触媒ユニット34,36は、互いに同一構造を有していてよいが、しかしながらまた、より大きな可変性を得るために、上に記載されたパラメータのうちの少なくとも1つのパラメータにおいて異なっていてもよい。さらに付言すると、互いに並列接続されたSCR触媒ユニットは3つよりも多く設けられていてもよく、このように構成されていると、内燃機関のサイズ、および内燃機関の種々様々な運転段階において予想され得る排ガス流に関連して、複数のSCR触媒ユニットの組合せによって、その都度放出される排ガス流への最適な適合を得ることができる。
【0045】
直列接続されたもしくは直列接続可能なSCR触媒ユニット24は、互いに並列接続されたSCR触媒ユニット32,34,36のうちの1つのSCR触媒ユニットと同じ構造を有することができる。
【0046】
本発明による手段は、ディーゼル内燃機関での使用に制限されるものではなく、例えば、1よりも大きな空気過剰率値で運転される、いわゆるリーンガスエンジンでのガス使用時にも使用することができる。
【外国語明細書】