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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-149140(P2021-149140A)
(43)【公開日】2021年9月27日
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/28 20060101AFI20210830BHJP
【FI】
   G06F1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-45139(P2020-45139)
(22)【出願日】2020年3月16日
(71)【出願人】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】五嶋 数哉
【テーマコード(参考)】
5B011
【Fターム(参考)】
5B011GG03
5B011GG06
(57)【要約】
【課題】電子部品から検出される物理情報に基づいて該電子部品の状態を精度よく分析することが容易な電子装置を提供する。
【解決手段】電子装置10であって、CPU12を含む複数の電子部品12と、複数の電子部品12の各々の電圧V、電流Iおよび温度Tを検出する検出部14と、を備え、CPU12は、複数の電子部品12の各々について、電圧V、電流Iの取得後に温度Tが取得される順序で、電圧V、電流Iおよび温度Tを検出部14から周期的に取得する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPUを含む複数の電子部品と、
前記複数の電子部品の各々の電圧、電流および温度を検出する検出部と、
を備え、
前記CPUは、前記複数の電子部品の各々について、前記電圧、前記電流の取得後に前記温度が取得される順序で、前記電圧、前記電流および前記温度を前記検出部から周期的に取得する、電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置であって、
前記順序は、前記電子部品の前記電圧および前記電流を取得してから別の前記電子部品の前記電圧および前記電流を取得することを繰り返すことにより前記複数の電子部品の前記電圧および前記電流を取得した後、前記複数の電子部品の前記温度を取得するものである、電子装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子装置であって、
前記順序は、前記複数の電子部品の前記電圧および前記電流の取得を予め決められた回数だけ繰り返した後、前記複数の電子部品の前記温度を取得するものである、電子装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電子装置であって、
前記順序は、前記電子部品の前記電圧、前記電流および前記温度を取得してから別の前記電子部品の前記電圧、前記電流および前記温度を取得することを繰り返すものである、電子装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子装置であって、
前記CPUが前記電圧、前記電流および前記温度のいずれか1つを取得する取得周期の時間長は、前記検出部が前記電圧、前記電流および前記温度を検出する検出周期の時間長以下である、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置から検出可能な物理情報に基づくことで、電子装置の状態を監視する技術が提案されている。その技術の一例は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2014−516446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子装置から検出可能な物理情報には、時間経過による変動幅が大きいものと小さいものとが存在する。時間経過による変動幅が大きい物理情報を例示すると、それは例えば電子装置の電圧や電流である。時間経過による変動幅が小さい物理情報を例示すると、それは例えば電子装置の温度である。
【0005】
ここで例えば、電子装置の電子部品の状態を、ある時点における該電子部品の電圧、電流および温度に基づいて分析しようとする場合を考える。この場合、時間経過による変動幅が大きい電圧と電流との各々の検出時刻をできるだけ互いに近くすることが、分析を精度よく行うためには好ましい。
【0006】
そこで、本発明は、電子部品から検出される物理情報に基づいて該電子部品の状態を精度よく分析することが容易な電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様は、電子装置であって、CPUを含む複数の電子部品と、前記複数の電子部品の各々の電圧、電流および温度を検出する検出部と、を備え、前記CPUは、前記複数の電子部品の各々について、前記電圧、前記電流の取得後に前記温度が取得される順序で、前記電圧、前記電流および前記温度を前記検出部から周期的に取得する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子部品から検出される物理情報に基づいて該電子部品の状態を精度よく分析することが容易な電子装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態の電子装置の概略構成図である。
図2】実施の形態の検出部による物理情報の検出制御について説明するためのタイムチャートである。
図3】実施の形態のCPUによる物理情報の取得処理について説明するための第1のタイムチャートである。
図4】実施の形態のCPUによる物理情報の取得処理について図3に引き続き説明するための第2のタイムチャートである。
図5】本実施の形態が適用されないCPUによる取得処理を例示するタイムチャートである。
図6】変形例1のCPUによる物理情報の取得処理について説明するためのタイムチャートである。
図7】変形例2のCPUによる物理情報の取得処理について説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の電子装置について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0011】
[実施の形態]
図1は、実施の形態の電子装置10の概略構成図である。
【0012】
電子装置10は、それは例えば工作機械を制御するために提供される数値制御装置であって、複数の電子部品12と、検出部14と、を備える。
【0013】
複数の電子部品12は、その総数はN(Nは自然数)であって、CPU(Central Processing Memory)12を含む。電子装置10は、CPU12がメイン処理とサブ処理とを制御周期(ITP)内に完了させることを繰り返すことにより動作する。
【0014】
CPU12のメイン処理とは、本実施の形態では工作機械の制御処理のことであり、サブ処理とはメイン処理以外の処理のことである。サブ処理には、電子部品12から検出される物理情報に基づいて、電子部品12の異常を察知する予知保全(以下、分析処理とも呼ぶ)が含まれる。
【0015】
複数の電子部品12のうち、CPU12以外のものとしては、限定されないが、本実施の形態ではDSP(Digital Signal Processor)12、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)12およびメモリ12が含まれる。これらはCPU12とシリアルバスを介して接続される。
【0016】
メモリ12は、それは例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のハードウェアである。メモリ12には、図示しないが、CPU12が読み取って実行可能な所定の制御プログラムが記憶される。CPU12は、この所定の制御プログラムを実行することにより、前述のメイン処理およびサブ処理を実現する。
【0017】
検出部14は、複数の電子部品12の各々から複数の物理情報を検出するものであって、それは例えば複数のセンサを有するセンサ群として構成される。
【0018】
本実施の形態では、CPU12を含む複数の電子部品12の各々に、電圧センサ、電流センサおよび温度センサを有する検出部14を設ける。これにより、CPU12を含む複数の電子部品12の各々の電圧V、電流Iおよび温度Tが検出されるようになる。
【0019】
図2は、実施の形態の検出部14による物理情報の検出制御について説明するためのタイムチャートである。
【0020】
検出部14は、自己の最小の制御周期として設定される検出周期Cに従って物理情報を検出する。検出部14は、図2に示すように、ある時点Pで、自身が設けられた電子部品12の電圧V(VN、P1)、電流I(IN、P1)および温度T(TN、P1)を検出する。そしてその後、時点Pから検出周期C後の時点Pで電圧V(VN、P2)、電流I(IN、P2)および温度T(TN、P2)を再び検出する。
【0021】
検出部14が出力する物理情報の値は、直前の検出時点における検出値である。つまり、P−Pm+1間の時間帯(時点Pを含み、時点Pm+1を除く。以下同じ)における検出部14の出力値は、該時間帯内である限り、時点Pで検出された物理情報となる。検出周期Cは検出部14の最小の制御周期であるため、検出周期Cおきに訪れる各時点P、P、…、P、…以外で検出部14が物理情報を検出することはない。
【0022】
なお、図2では電圧V、電流Iおよび温度Tの各々の検出タイミング(時点P…P、…)が統一されているが、電圧V、電流Iおよび温度Tの各々の検出タイミングは互いに異なってもよい。また、電圧Vを検出する検出周期C、電流Iを検出する検出周期Cおよび温度Tを検出する検出周期Cは、時間長が互いに異なっていてもよい。
【0023】
電子部品12から検出される複数の物理情報は、分析処理を実行するためにCPU12が取得する。以下、物理情報を取得するためにCPU12が行う処理を取得処理とも呼ぶ。取得処理には、複数の物理情報をメモリ12に記憶させることも含まれる。
【0024】
分析処理、すなわち予知保全は、取得処理によって取得した物理情報を統計学的処理や機械学習などを用いて分析し、異常判定や残存寿命の推定を行うことで実現される処理である。なお、前述の通り本実施の形態ではこれらの処理を含む分析処理をCPU12が行うこととして説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、複数の電子部品12のうちのCPU12以外のものが分析処理を行ってもよいし、電子装置10の外部装置に必要な情報を適宜出力することで、当該外部装置に分析処理を行わせてもよい。
【0025】
取得処理は、CPU12のサブ処理に該当する。したがって、取得処理の実行には、他処理も含めて1ITP内に完了しなければならない。そこで、本実施の形態では、CPU12が1ITPのうちに取得する物理情報の数を1つに制限する。これにより、1ITP内において取得処理に要する処理時間を最小限にすることができる。
【0026】
また、本実施の形態では、複数の電子部品12の各々について電圧V、電流Iの取得後に温度Tが取得される順序で、CPU12に物理情報を取得させる。この順序の指定は、前述の制御プログラムにより指定できる。
【0027】
本実施の形態では、CPU12が物理情報を取得する順序を、具体的に次の通りに例示する。すなわち、CPU12は、まず自己の電圧Vおよび電流Iを取得する。次いで、DSP12の電圧Vおよび電流I、ASIC12の電圧Vおよび電流I、メモリ12の電圧Vおよび電流Iを、この順序で取得する。そして、これらを取得した後、CPU12の温度T、DSP12の温度T、ASIC12の温度T、およびメモリ12の温度Tを取得する。
【0028】
このように、CPU12は、まずは電子部品12の電圧Vおよび電流Iを取得してから別の電子部品12の電圧Vおよび電流Iを取得することを繰り返すことにより、複数の電子部品12の電圧Vおよび電流Iを取得する。そしてその後、複数の電子部品12の温度Tを取得する。取得処理はこれを1セットとして、電子装置10の稼働中周期的に繰り返される。
【0029】
これにより、CPU12は、複数の電子部品12の各々について時間経過による変動幅が比較的大きい電圧Vおよび電流Iをお互いに近いタイミングで取得しやすくなる。なお、以上の順序において、電圧Vと電流Iとの取得の順番は特に限定されない。また、電圧Vならびに電流Iを取得するときの複数の電子部品12の順番、および温度Tを取得するときの複数の電子部品12の順番も、特に限定されない。
【0030】
図3は、実施の形態のCPU12による物理情報の取得処理について説明するための第1のタイムチャートである。なお、図3に示した情報のうち、V、IおよびTは、いずれもCPU12の電圧V、電流Iおよび温度Tである(後で説明する図4図7も同様)。
【0031】
前述の順序に基づくCPU12の取得処理について、例を挙げながら説明する。前述の通り、CPU12は、まずは自己の電圧Vを取得した後、1ITP後に電流Iを取得する。ここで、CPU12の電圧Vは、図3では時間長が検出周期CであるP−Pの時間帯内で取得される。つまり、ここで取得されるCPU12の電圧Vは、時点Pで検出された電圧V1、P1である。同様に、P−Pの時間帯内で取得されるCPU12の電流Iは、時点Pで検出された電流I1、P1である。
【0032】
CPU12は、同様の取得処理をDSP12、ASIC12およびメモリ12についても順番に行うことにより、DSP12、ASIC12およびメモリ12の各々の電圧Vおよび電流Iを順々に取得していく。
【0033】
図4は、実施の形態のCPU12による物理情報の取得処理について図3に引き続き説明するための第2のタイムチャートである。なお、図4のタイムチャート中のV1、P1、I1、P1、…、V4、P2およびI4、P2は、CPU12の電圧V1、P1、電流I1、P1、…、メモリ12の電圧V4、P2およびメモリ12のI4、P2が取得されたタイミングをそれぞれ示す。
【0034】
CPU12は、複数の電子部品12の電圧Vおよび電流Iを一通り取得した後は、続いてCPU12の温度Tを取得する。また、それに続いて、DSP12、ASIC12およびメモリ12の各々の温度Tを順番に取得する。
【0035】
以上の通りに取得されるCPU12の温度Tは、図4の例示ではP−Pの時間帯内で取得されている。つまり、図4の例示で取得されるCPU12の温度Tは、電圧V1、P1および電流I1、P1の検出タイミングであった時点P図3参照)とは異なる時点Pを検出タイミングとする温度T1、P3である。これと同様に、図4の例示ではDSP12の温度Tとして温度T2、P3が、
ASIC12の温度として温度T3、P3が、メモリ12の温度として温度T4、P4が、それぞれCPU12により取得される。
【0036】
以上の順序で複数の電子部品12の電圧V、電流Iおよび温度Tを取得することにより、分析処理を精度よく行うことが可能となる。すなわち、電圧Vおよび電流Iは温度Tと比較して時間経過による変動幅が大きいため、検出時刻が異なればその検出値も全く異なってしまう。そのため、検出時刻が互いに大きく異なる電圧Vと電流Iとに基づいて精度よく分析処理を行うことは難しい。しかしながら、本実施の形態の順序に基づいて取得すれば、複数の電子部品12の各々について、検出時刻が互いに近い電圧Vと電流Iとを取得しやすくなる。このため、電圧Vと電流Iとの互いの検出時刻の相違によって分析処理の精度が悪化するおそれを最小限にすることができる。また、温度Tは電圧Vや電流Iと比較して時間経過による変動幅が小さいため、取得される温度Tの検出時刻が電圧Vや電流Iと異なったとしても、分析処理の精度に悪影響をおよぼすことはほとんどない。したがって、時点Pで検出された電圧V1、P1および電流I1、P1と、時点Pで検出された温度T1、P3と、に基づくことにより、CPU12は自己についての分析処理を精度よく行うことが可能である。これは、DSP12、ASIC12およびメモリ12に対する分析処理についても同様である。
【0037】
ここで、本実施の形態のCPU12と、本実施の形態が適用されないCPU12’との相違点について説明する。CPU12’は、CPU12とは異なる順序(便宜的に「従来順序」と呼ぶ)で物理情報を取得するものである。その従来順序は、例えば、複数の電子部品12の電圧Vを取得した後、次に複数の電子部品12の電流Iを取得し、最後に複数の電子部品12の温度Tを取得するものである。
【0038】
図5は、本実施の形態が適用されないCPU12’による取得処理を例示するタイムチャートである。
【0039】
図5に、従来順序に従って取得された複数の物理情報と、例としてCPU12’の電圧Vおよび電流Iと、を時系列で対応付けて例示する。図5のうち、例えばCPU12’の物理情報に注目すると、取得される電圧V1、P1は検出タイミングが時点Pであるのに対し、取得される電流I1、P2は検出タイミングが時点Pである。このように、本実施の形態が適用されないCPU12’では、同一の電子部品12について取得する電圧Vと電流Iとの検出時刻が互いに異なりやすい。
【0040】
これに対し、前述したように、本実施の形態の場合では、複数の電子部品12の各々について、時間経過による変動幅が比較的大きい電圧Vおよび電流Iをお互いに近い検出時刻のもの同士を取得しやすくなっている。このため、本実施の形態の電子装置10では、予知保全のような分析処理を精度よく行うことが容易である。
【0041】
なお、検出部14について、電圧V、電流Iおよび温度Tの各々の検出タイミングが互いに異なってもよいことを前述した。また、電圧Vを検出する検出周期C、電流Iを検出する検出周期Cおよび温度Tを検出する検出周期Cは、時間長が互いに異なっていてもよいことを前述した。その場合は複数の電子部品12の各々について検出時刻が互いに全く同じ電圧Vと電流Iとを取得できるとは限らないが、検出時刻が近い電圧Vと電流Iとを取得しやすくはなる。したがって、本実施の形態が適用されないCPU12’が用いられる場合よりも予知保全のような分析処理を精度よく行うことが本実施の形態によって容易になることに変わりはない。
【0042】
このように、本実施の形態によれば、電子部品12から検出される物理情報に基づいて該電子部品12の状態を精度よく分析することが容易な電子装置10が提供される。
【0043】
[変形例]
以上、本発明の一例として実施の形態が説明された。実施の形態には、多様な変更または改良を加えることが可能である。また、その様な変更または改良を加えた形態が本発明の技術的範囲に含まれ得ることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0044】
(変形例1)
CPU12が複数の電子部品12の各々の電圧V、電流Iおよび温度Tを取得する際の順序は、実施の形態に限定されない。以下、その一例を開示する。
【0045】
CPU12は、複数の電子部品12の各々について、電圧V、電流Iの取得後に温度Tが取得される順序で、電圧V、電流Iおよび温度Tを検出部14から周期的に取得すればよい。したがって、該順序は、例えば複数の電子部品12の電圧Vおよび電流Iの取得を予め決められた回数だけ繰り返した後、複数の電子部品12の温度Tを取得するものであってもよい。
【0046】
図6は、変形例1のCPU12による物理情報の取得処理について説明するためのタイムチャートである。
【0047】
本変形例のCPU12が物理情報を取得する順序を、図6に例示する。この例示において、CPU12は、複数の電子部品12の各々の電圧Vおよび電流Iを順番に取得することを複数回繰り返した後、複数の電子部品12の各々の温度Tを取得する。CPU12は、これを大きな1セットとして、電子装置10の稼働中周期的に繰り返す。
【0048】
これにより、ハードウェアの変更や追加コストなしに、時間経過による変動幅が比較的大きい物理情報(電圧Vおよび電流I)の取得間隔を短くすることができる。その結果、電子部品12が故障に至る前の振る舞いを捉えやすくなり、電子部品12の分析処理の、特に予知保全の信頼性が向上する。
【0049】
(変形例2)
CPU12が複数の電子部品12の各々の電圧V、電流Iおよび温度Tを取得する際の順序について、さらに別の変形例を開示する。すなわち、該順序は、電子部品12の電圧V、電流Iおよび温度Tを取得してから別の電子部品12の電圧V、電流Iおよび温度Tを取得することを繰り返すものであってもよい。
【0050】
図7は、変形例2のCPU12による物理情報の取得処理について説明するためのタイムチャートである。なお、図3と同様に、CPU12、DSP12、ASIC12およびメモリ12以外の電子部品12については省略した。
【0051】
本変形例のCPU12が物理情報を取得する順序を、図7に例示する。この例示において、CPU12は、まずは自己の電圧V1、P1、電流I1、P1および温度T1、P1を取得する。その後、DSP12の電圧V2、P1、電流I2、P1および温度T2、P1、ASIC12の電圧V3、P1、電流I3、P1および温度T3、P1、メモリ12の電圧V4、P1、電流I4、P1、温度T4、P1を順々に取得する。CPU12は、これを大きな1セットとして、電子装置10の稼働中周期的に繰り返す。
【0052】
本変形例においても、複数の電子部品12の各々について、電圧Vおよび電流Iがお互いに近い時刻で取得される。これにより、電子部品12の分析処理を精度よく行うことが可能となる。また、本変形例においては、温度Tについても電圧Vおよび電流Iに近い時刻で取得される。
【0053】
本変形例は、検出部14が電圧V、電流Iおよび温度Tを検出する検出周期Cの時間長が、1つの電子部品12の分析処理に必要な物理情報の数(電圧V、電流I、温度Tであれば、3)にITPを乗じた時間長以上である場合に適用されることが好ましい。
【0054】
[実施の形態から得られる発明]
上記実施の形態および変形例から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0055】
電子装置(10)であって、CPU(12)を含む複数の電子部品(12)と、前記複数の電子部品(12)の各々の電圧(V)、電流(I)および温度(T)を検出する検出部(14)と、を備え、前記CPU(12)は、前記複数の電子部品(12)の各々について、前記電圧(V)、前記電流(I)の取得後に前記温度(T)が取得される順序で、前記電圧(V)、前記電流(I)および前記温度(T)を前記検出部(14)から周期的に取得する。
【0056】
これにより、電子部品(12)から検出される物理情報に基づいて該電子部品(12)の状態を精度よく分析することが容易な電子装置(10)が提供される。
【0057】
前記順序は、前記電子部品(12)の前記電圧(V)および前記電流(I)を取得してから別の前記電子部品(12)の前記電圧(V)および前記電流(I)を取得することを繰り返すことにより前記複数の電子部品(12)の前記電圧(V)および前記電流(I)を取得した後、前記複数の電子部品(12)の前記温度(T)を取得するものであってもよい。これにより、時間経過による変動幅が比較的大きい物理情報(電圧(V)および電流(I))の取得間隔を短くすることができる。
【0058】
前記順序は、前記複数の電子部品(12)の前記電圧(V)および前記電流(I)の取得を予め決められた回数だけ繰り返した後、前記複数の電子部品(12)の前記温度(T)を取得するものであってもよい。これにより、分析処理の信頼性が向上する。
【0059】
前記順序は、前記電子部品(12)の前記電圧(V)、前記電流(I)および前記温度(T)を取得してから別の前記電子部品(12)の前記電圧(V)、前記電流(I)および前記温度(T)を取得することを繰り返すものであってもよい。これにより、分析処理の信頼性がよりいっそう向上する。
【0060】
前記CPU(12)が前記電圧(V)、前記電流(I)および前記温度(T)のいずれか1つを取得する取得周期(ITP)の時間長は、前記検出部(14)が前記電圧(V)、前記電流(I)および前記温度(T)を検出する検出周期(C)の時間長以下であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…電子装置
12…電子部品(CPU、DSP、ASICおよびメモリを含む)
14…検出部 C…検出部の制御周期(検出周期)
I…電流 ITP…CPUの制御周期(取得周期)
T…温度 V…電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7