(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-149230(P2021-149230A)
(43)【公開日】2021年9月27日
(54)【発明の名称】業務平準化システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20210830BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2020-45947(P2020-45947)
(22)【出願日】2020年3月17日
(71)【出願人】
【識別番号】719008276
【氏名又は名称】兼折 政教
(72)【発明者】
【氏名】兼折 政教
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA10
(57)【要約】
【課題】特定の人に業務が偏るコミュニティにおいて、コミュニティ内の業務を平準化するシステムを提供する。
【解決手段】特定の人に業務が偏るコミュニティ内において、業務が偏る特定の人に対して、周囲からの業務を制限する。具体的には、周囲の人が、業務が偏る特定の人へ、業務を振る・任せる・お願い等をする回数を明確にし、制限・管理等する。制限する回数を、一定の期間毎・時期等に応じて増減させ、業務を平準化させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の人に対して、アクションする回数を制限・管理・増減等するシステム・そのシステムに係る一部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務平準化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、厚生労働省は「働き方改革」を推進している。「働き方改革」を通じて、労働参加率の向上、イノベーション等を通じた生産性の向上、企業文化・風土の変革、働く人のモチベーションの向上、賃金の上昇と需要の拡大、職務の内容や職務に必要な能力等の明確化、公正な評価・処遇等の効果を期待している。結果的に、誰もが生きがいを持って、その能力を有効に発揮することができる社会、多様な働き方を可能とし、自分の未来を自ら創ることができる社会、意欲ある人々に多様なチャンスを生み出し、企業の生産性・収益力の向上が図られる社会を目指している。
【0003】
また、企業は上述する社会に向けて、労働時間の短縮等の労働環境整備、均衡のとれた待遇の確保、多様な働き方の整備、育児・介護・治療と仕事の両立支援等、多様な対策を計画・実施している。
【0004】
しかし、「働き方改革」を進める一方で、労働力不足のため、営業時間の短縮サービス、事業の質が低下、事業の縮小、中間管理職の負担増、人材確保に伴う人件費の増加等、少なからず弊害も出始めている。
【0005】
また、「働き方改革」を実施するにあたり、最も影響を受けやすいのは、各企業の現場で働く労働者である。多種多様な職種、事業形態、サービス、環境、コミュニティ等が在る中、現場で働く労働者は、日々の業務に追われながらも、厚生労働省・各企業が促進する「働き方改革」を実践しようと苦労している。しかし、根本的な労働者不足、残業時間の規制、休暇取得促進に伴う労働時間の減少等、労働力が減少する中、業務量は変わらない現場も多い。そこで、各現場では様々な方法で、業務改善・業務効率化等に努めている。
【0006】
各現場で様々な方法を用いて努力する中、ある特定の労働者に業務が偏ることがある。原因としては、特定の労働者しかできない業務、非定型業務の増加、本店・各支店・部署・グループ間の人員配置が不適当、人員調整不足、労働者の能力・個性等が挙げられる。業務が偏った結果、特定の労働者は、残業時間の増加、身体的・精神的に疾病するリスクの増加、業務品質の低下、不平不満が増加することに伴う離職等、企業・労働者にとって不利益が生じる。
【0007】
業務の偏りを減らす方法として、業務の平準化がある。業務量・負荷等が、特定の人・時期に集中するといった偏りを減らし、均等に近づける方法である。
【0008】
特定の人に業務が偏る原因のひとつとして、その人の性格・人間性に起因するものが考えられる。各職場では、多種多様な人が働くのが一般的である。業務が偏る人の特徴のひとつとして、「良い人」が挙げられる。例として、優しい人、真面目な人、穏やかな人、責任感が強い人、仕事ができる人、怒らない人、面倒見が良い人、相談に乗ってくれる人、温厚な人等が挙げられる。職場で「良い人」と呼ばれる人は、上述の例に当てはまると考えられる。
【0009】
業務をするうえで、上司・部下・同僚・顧客等それぞれの立場は違っても、誰かとコミュニケーションを取る必要がある。誰とコミュニケーションを取るか、選択の余地があるのならば、「良い人」とコミュニケーションを取りたがるのが自然である。職場内で「良い人」と呼ばれる人には、自然と人が集中する。人が集中するのに併せて、業務も集中する。結果的に、「良い人」に業務が偏ると考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】厚生労働省 労働施策基本方針
【非特許文献2】ビジネスプロセス改革推進室 業務量を平準化するために必要な6個の原則
【非特許文献3】FNNPRIME 働き方改革で犠牲となるのは管理職 専門家が語る「日本ならでは」の問題点
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特定の人に業務が偏るコミュニティにおいて、コミュニティ内の業務を平準化するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
コミュニティ内において、業務が偏る特定の人に対して、周囲からの業務を制限する。具体的には、周囲の人が、業務が偏る特定の人へ、業務を振る・任せる・お願い等をする回数を明確にし、制限・管理等する。制限する回数を、一定の期間毎・時期等に応じて増減させ、業務を平準化させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、業務が偏る特定の人の業務量が減少し、コミュニティ内の業務が平準化される。
【0014】
また、業務が偏る特定の人に余裕が生まれ、高水準・高品質な業務、新たな業務等をすることが可能となる。
【0015】
また、周囲の人が、業務が偏る特定の人に、振る・任せる・お願い等をしてきた業務を、コミュニティ内の他の人で対応することになる。その結果、コミュニティ内全員の生産性・能力等が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一例として、特定の人がいるコミュニティ内において、どのようにして業務が偏っていくのかを示した図である。
【
図2】
図1の一例において、本発明を実施した場合に、コミュニティ内の業務がどのようにして平準化されるのかを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、あるコミュニティ内において、特定の人に対して、周囲の人からのアクションを図示している。ひとつのコミュニティ内では、上司・部下・同僚・顧客・取引先・外注先等、それぞれの立場は違うが、数人から数十人の人達とコミュニケーションを取って業務を遂行する必要がある。特定の人は、仕事を、上司・先輩・顧客から任され・振られ・要望され、同僚・部下から仕事のお願い・相談を受け、部下・後輩・取引先・外注先から教えを乞われ・頼られ・聞かれ、自らの案件も遂行する必要がある。人一人が限られた時間の中で、遂行できる業務量には限度があり、業務量が一定量を超えた場合に、残業処理・品質低下等を招く。
【0019】
特定の人を除いたコミュニティ内の人に対して、何らかの方法で、特定の人に対してのアクションを制限する。何らかの方法の一例として、カードを用いたものを以下に記述する。
【0020】
一定期間毎に、一定量のカードを、コミュニティ内の特定の人以外に配布する。特定の人に何かしらのアクションを取る際に、カードを消費するものとする。同期間内にカードを消費しきった場合、同期間内は特定の人に対してアクションを取れないものとする。
【0021】
図2は、あるコミュニティ内において、特定の人に対して、周囲の人からのアクションを制限した場合を図示している。従来、特定の人へ行っていたアクションを、コミュニティ内の他の人に行うことで、特定の人の負荷が軽減する。
【0022】
また、多種多様な職種、事業形態、サービス、環境、コミュニティ等が在る中、それぞれの現場に合った制限の方法を用いる必要がある。例として、通常時は制限を掛けるが、通常時であっても立場・状況に応じて制限解除、緊急時・重要案件については制限解除、社外の人については制限解除等、様々な方法がある。臨機応変に対応することで、企業・労働者にとって、本当の「働き方改革」への助力となり得る。