【課題】単身居住者や独居老人などの被監視者の操作を極力簡易化し、できるだけ操作することなく、特別な装置開発や、センサ取り付けなどの設置工事を要せず、極めて低コストな安否確認システム及び方法を提供する。
【解決手段】被監視者が所持する被監視者携帯通信端末1と監視者が所持する監視者通信端末2とがクラウドネットワークを介して接続されている監視システムにおいて、被監視者携帯通信端末は、体動検知センサ12と、送信手段と、を有する。体動検知センサが取得した被監視者の体動検知期間及び非検知期間からなる体動パターンは、クラウドネットワークのクラウドサーバ3へ常時又は定期的に送信される。監視者通信端末は、被監視者の体動パターンをクラウドサーバより取得する受信手段を有し、監視者通信端末の受信手段により把握した被監視者の体動パターンを用いて被監視者の安否を確認する。
被監視者が所持する被監視者携帯通信端末と監視者が所持する監視者通信端末とがクラウドネットワークを介して接続されている監視システムにおいて、前記被監視者携帯通信端末は体動検知センサと送信手段とを有し、前記体動検知センサが取得した被監視者の体動検知期間及び非検知期間からなる体動パターンは、前記クラウドネットワークのクラウドサーバへ常時又は定期的に送信され、前記監視者通信端末は前記被監視者の体動パターンを前記クラウドサーバより取得する受信手段を有し、前記監視者通信端末の受信手段により把握した前記被監視者の体動パターンを用いて被監視者の安否を確認することを特徴とする監視システム。
前記被監視者携帯通信端末は、更にタイマー手段を有しており、前記体動パターンは、前記クラウドネットワークのクラウドサーバへ前記タイマー手段により設定された間隔で自動的に送信されることを特徴とする請求項1記載の監視システム。
前記体動検知センサは、ジャイロセンサ、コンパスセンサ、加速度センサ、GPSセンサのいずれか又はそれらの組合せであることを特徴とする請求項1記載の監視システム。
前記被監視者の体動パターンはクラウドサーバ上で記憶され、前記記憶手段において所定時間を超える前記非検知期間が1日、1週間、又は1ヶ月毎の定常的非検知期間として検知された場合、前記定常的非検知期間中は、前記監視者及び・又は前記被監視者の宛先に前記アラート信号と共に定常的非検知期間中である旨のメッセージが送信されることを特徴とする請求項1乃至4記載の監視システム。
被監視者携帯通信端末装置内の体動検知センサにより被監視者の検知期間と非検知期間とから成る体動パターンを検知するステップと、前記体動パターンをクラウドネットワークを介してクラウドサーバに送信するステップと、送信された前記被監視者の体動パターンをクラウドサーバに記憶するステップと、記憶された前記体動パターンの非検知期間の継続的積算時間が所定の基準値以上経過したことを検知した場合、前記監視者及び前記被監視者宛にアラート信号を発信するステップとを備えることを特徴とする被監視者の安否確認方法。
記憶された所定時間を超える前記非検知期間が1日、1週間、又は1ヶ月毎の定常的非検知期間として検知された場合、前記定常的非検知期間中は、前記監視者及び・又は前記被監視者の宛先に前記アラート信号と共に定常的非検知期間中である旨のメッセージが送信されるステップとを備えることを特徴とする請求項6記載の被監視者の安否確認方法。
【背景技術】
【0002】
高齢者の単身居住者は、高齢化に伴い増加傾向にあり、単身生活による日常生活の異常事態(病気、事件、事故、死亡など)を早期に検知し、処置し、対応することは社会的課題として重要となってきている。異常事態が生じた場合又はその恐れや可能性があることを検知し、単身居住者の安否確認を行う必要性は、単身居住者の親族・関係者の心配だけでなく、病気などの早期処置、事件、事故の早期発見により致命的状況を回避したり、また、単身居住者の住居貸主にとっては孤独死の事態をできるだけ回避し、万一死亡者が出た場合でも早期対応により住居価値を維持するためにも必要となる。
【0003】
このような単身居住者や高齢者の安否確認技術は、従来より種々開示されている。例えば、特許文献1では水道にセンサを取り付け水道使用状態により孤独死を早期検知する方法が開示されており、特許文献2では、日常生活で利用するドアのノブなどにセンサを取り付け、電話回線を介して安否確認センターなどで安否状況を確認する方法が開示されている。
【0004】
また、本件発明者は、特許文献3において、室内の照明具などに取り付けたバイタルセンサを用いて居住者の心拍、呼吸、体動を離れた場所からマイクロ波による検知を行い安否確認する方法、装置を提案している。また、携帯装置を利用して安否確認する方法、装置も多く提案されている。例えば、特許文献4においては、監視センターから安否確認のメッセージが対象者の携帯端末へ発信され、対象者が携帯端末を叩くことにより安否を確認する方法が示されており、また特許文献5においては、身体センサを組み込んだ子機により対象者の身体情報を親機である携帯装置へ送信し、対象者の安否状態を常に関しする方法及び装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1及び特許文献2に開示されている技術では、日常使用している水道やドアノブなどにセンサを取り付け、センサと通信装置との間で信号を授受する装置の設置が必要となり、これらのシステムを構築するのに設置工事や装置の開発を要することとなる。
【0007】
また、特許文献3の安否確認技術においては、対象者のバイタル情報を取得するため対象者の健康状態や生死を確実に判別できるものの、装置やシステム構築が煩雑であり、またシステム維持のための管理費用や通信費用などと併せるとシステムとしては高価なものとなる。
【0008】
さらに、特許文献4では、携帯装置を利用して安価に安否確認が可能であるが、安否確認の問合せに対しユーザが携帯端末を操作するなどして安否を知らせる方法であるため、高齢者による操作が不慣れなため正確に安否連絡できない状態が生じることがある。同じく、携帯端末により安否を確認する技術として特許文献5では、携帯端末を親機とし、子機にバイタルセンサを設置し、子機により取得した身体の心拍、心動、呼吸、体動などのバイタル情報を親機である携帯端末へ送信し、かかる情報を監視センターへ送信し、安否確認を行うため、携帯端末の親機だけでなくバイタルセンサである子機を設置し、保持する必要がある。
【0009】
このような従来技術の技術では単身居住者、特に独居老人などの安否確認を行うには、コストや維持費用が比較的高価となったり、操作が苦手な高齢者にとっては不便でかつ煩雑であったりして利便性を欠くものであった。本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、これらの課題を解決し、(1)見守り対象者(被監視者)の操作を極力簡易化し、できるだけ操作することなく安否確認ができること、(2)特別な装置開発や、センサ取り付けなどの設置工事を要しないで安否確認できること、(3)極めて安価なコストで安否確認が行いうるシステム及び方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決するために本発明は、以下のような特徴を有している。被監視者が所持する被監視者携帯通信端末と監視者が所持する監視者通信端末とがクラウドネットワークを介して接続されている監視システムにおいて、前記被監視者携帯通信端末は体動検知センサと送信手段とを有し、前記体動検知センサが取得した被監視者の体動検知期間及び非検知期間からなる体動パターンは、前記クラウドネットワークのクラウドサーバへ常時又は定期的に送信され、前記監視者通信端末は前記被監視者の体動パターンを前記クラウドサーバより取得する受信手段を有し、前記監視者通信端末の受信手段により把握した前記被監視者の体動パターンを用いて被監視者の安否を確認することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る監視システムにおいて、前記被監視者携帯通信端末は、更にタイマー手段を有しており、前記体動パターンは、前記クラウドネットワークのクラウドサーバへ前記タイマー手段により設定された間隔で自動的に送信されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る監視システムにおいて、前記体動検知センサは、ジャイロセンサ、コンパスセンサ、加速度センサ、GPSセンサのいずれか又はそれらの組合せであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の監視システムにおいて、前記非検知期間が設定された所定の時間を超えた場合、アラート信号が被監視者に対し発信されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の監視システムにおいて、前記被監視者の体動パターンはクラウドサーバ上で記憶され、前記記憶手段において所定時間を超える前記非検知期間が1日、1週間、又は1ヶ月毎の定常的非検知期間として検知された場合、前記定常的非検知期間中は、前記監視者及び・又は前記被監視者の宛先に前記アラート信号と共に定常的非検知期間中である旨のメッセージが送信されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る安否確認方法において、被監視者携帯通信端末装置内の体動検知センサにより被監視者の検知期間と非検知期間とから成る体動パターンを検知するステップと、前記体動パターンをクラウドネットワークを介してクラウドサーバに送信するステップと、送信された前記被監視者の体動パターンをクラウドサーバに記憶するステップと、記憶された前記体動パターンの非検知期間の継続的積算時間が所定の基準値以上経過したことを検知した場合、前記監視者及び前記被監視者宛にアラート信号を発信するステップとを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る安否確認方法は、前記体動パターンを記憶し、記憶された所定時間を超える前記非検知期間が1日、1週間、又は1ヶ月毎の定常的非検知期間として検知された場合、前記定常的非検知期間中は、前記監視者の宛先に前記アラート信号と共に定常的非検知期間中である旨のメッセージが送信されるステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の安否確認システム及び方法においては、単身居住者や独居老人である被監視者が携帯通信端末を所有するだけで、何ら特別な操作することもなく、また、監視装置やセンサなどの設置工事も必要とせず、定期的かつ自動的に被監視者の体動パターンが監視者へ送信され単身居住者や独居老人などの安否を低コストで確認することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
携帯通信端末装置(スマートフォン等)は、その機能が会話、メールから数多くの機能を増加させ、日常生活では極めて利便性が高く、不可欠の物となってきている。特に、従来の機能に追加してインターネット、緊急速報、地図・ナビゲーション、カメラ、ビデオ、金銭決済、ヘルスケア、各種測定、セキュリティなどあらゆる機能が小型化された携帯端末内で可能となってきている。このため、携帯通信端末装置は、各種センサがデファクトとして組み込まれるようになっている。
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。なお、説明において、実施例に記載されているいずれの図面も本発明の説明用に概略的な模式図として描かれており、必然的かつ当然に具備されている手段や構成は省略されている。また、寸法や形状も厳密なものではない。従って、構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限り発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0021】
図4は、標準的な携帯通信端末装置50のハードウェア構成の説明図である。主たるハードウェア構成部分は、アンテナを含む送受信部(通信部)51、モデム部52、アプリケーション・プロセッサ(AP)53、D−RAMメモリー54,フラッシュメモリー55、ディスプレイ56,カメラ・ビデオ57,オーディオ部58,スピーカ・マイク59、インターフェース(I/O)部60などの基本構成に加え、多くの付加機能を達成するためセンサ部61を含む各種センサ類が装備されている。また、周辺デバイス62としてGPS、ナビゲーション、各種測定(時計、タイマー、ストップウォッチ、高度、気圧、など)、各種通信(W−LAN、ブルートゥースなど)及び電源部63などの機能がほぼデフォルトとして備えられている。
【0022】
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術の進展により、スマートフォンの機能は拡張され、付加機能であるGSP、地図探索、ナビゲーション、ゲーム、歩行計、高度計、気圧計、コンパス、加速度計、スマートフォンの上下・縦横表示切替機能などに対応したハードウェア・デバイスとしての動きセンサ部61がほぼ標準として組み込まれている。特に、ジャイロセンサ、地磁気コンパスセンサ、加速度センサ、GPSセンサなどはこれらの機能達成には不可欠の動きセンサであり、これらのセンサを利用してスマートフォンユーザの体動や行動を高感度に検知することができるようになっている。したがって、動きセンサ部61に具備されたこれらのセンサ類は、ユーザが保有しているだけでユーザの上下、左右移動、回転移動などの体動や移動速度、移動方向、移動場所などを自動的に取得することができる。
【0023】
このような動きセンサ部61の各種センサは通信ネットワークを介してクラウドサーバと連携してナビゲーション、ゲーム、コンパスなどの機能達成のために用いられており、クラウド側に格納されたソフトウェアアプリケーションを操作することにより各種センサ出力を取得し、記憶することができる。
【0024】
本発明においては、単身居住者や独居老人である被監視者が保有する携帯通信端末装置(スマートフォン)に本発明に基づく安否確認用アプリケーションソフトウェアを組み込み、種々のデフォルトで組み込まれている動きセンサ部61のいずれかの動きセンサを利用して被監視者の体動検知を行い、その体動パターンを定期的かつ自動的に監視者が取得することで被監視者の安否状態を常に確認する。
【0025】
本実施形態に係る被監視者の安否を監視するシステムの具体的構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る安否監視システムの要部構成を示す説明図である。被監視者の所有する携帯通信端末装置(被監視者端末)1及び監視者の所有する通信端末装置(監視者端末)2とは、ネットワークを介してクラウドサーバ3に接続されている。被監視者端末1は、
図4で示すような構成のスマートフォンを用いることができる。被監視者端末1は、通信ネットワークとの送受信部11,体動検知センサ12,及び表示部13を有しており、これらはいずれも標準的スマートフォンに具備されている。本発明に用いられる体動検知センサ12は
図4におけるセンサ部61のセンサであり、前述のジャイロセンサ、地磁気コンパスセンサ、加速度センサ、GPSセンサのいずれか又はその組合せを体動検知用として利用する。
【0026】
体動検知センサ12として例えばジャイロセンサを使用する場合、ジャイロセンサの一例は、X軸, Y軸、Z軸の立体方向の動きを検知するもので、MEMS素子部を振動させるための駆動回路とX軸, Y軸、Z軸のそれぞれのコリオリ力から得られた静電容量信号を電圧に変換して出力する。検知回路ブロックはコリオリ力により発生した静電容量(電荷)の変化を捉え、電圧値に変換することで電極間の距離変化に比例した出力信号を提供する。このため、被監視者が上下又は左右に動いた場合、駆動回路から電圧信号が発生し、センサ出力として検知できる。本発明においては体動の有無検知が重要であり、上下、左右の方向や移動速度や移動距離などの情報は特に必要ない。
【0027】
体動検知センサ12の出力は、検知センサの種類及び端末のOS(Operating System)により異なるが逐次送受信部11より通信ネットワークを介してクラウドサーバ3に常時又は随時、自動的に送信され、クラウドサーバに記憶・蓄積される。本発明の目的である体動の有無を検知するにはいずれの検知センサやOSであってもかまわない。
【0028】
被監視者が被監視者端末1を保持し、体動検知センサ12から出力が生じている場合、かかる出力は逐次クラウドサーバ3へ送信され体動検知時点から所定時間体動検知信号として保持され、検知期間(オン期間と称する)となる。そのような保持時間内に次の体動信号が検知されればその時点から保持期間が検知期間(オン期間)として継続することとなる。オン信号が途切れた時点で体動非検知である非検知期間(オフ期間と称する)をカウント開始する。体動検知信号を常時そのままクラウドサーバ3上へアップロードしても良いが、被監視者端末1内のタイマー手段などにより所定間隔(例えば、15分間隔)をもってクラウドサーバ3上へアップロードし、その所定間隔内で体動が検知されていればオン期間としてクラウドサーバ3へ送信する方法でも良い。このようなオン期間、オフ期間は
図2に示すような単純なオン・オフの繰り返しで時系列に沿って体動パターンとして把握することができる。本発明において、前記被監視者の体動心動が検知されるオン期間を体動検知期間と称し、オン期間が途切れて体動信号が検知されないオフ期間を体動非検知期間と称し、体動パターンは、被監視者の体動に関する検知期間と非検知期間とからなる。
【0029】
被監視者端末1の送受信部11よりクラウドサーバ3に送信(アップロード)され、記憶された体動情報は、監視者の監視者端末2がクラウドサーバ3にアクセスすることにより監視者端末2上で把握することができる。監視者端末2は、被監視者(単身居住者、独居老人など)の親族や関係者、セキュリティ会社、住居貸主などの複数の監視者が所有又はアクセスすることができる。監視者端末2は、常時又は随時クラウドサーバ3に送信・記憶された体動情報を送受信部21で受信(ダウンロード)し、表示部22において体動パターンを表示する。この表示部22における表示は、監視時点の体動パターンとしてオン期間は体動検知状況(例えば、「元気です」)を表示し、オフ期間は体動非検知状況(例えば、「○○分間体動非検知です」)を表示したり、必要に応じ過去の体動パターンの記録を表示することもできる。上記監視者端末2からクラウドサーバ3への体動パターン検知のためのアクセスによる安否監視は、監視者の必要に応じて常時又は定期的のいずれであっても構わない。
【0030】
この体動パターンの監視者端末2における表示方法は、予め設定された監視者の監視者端末2の表示部22に体動パターンの映像表示、ショートメッセージ、メール、音声等いずれかの方法で行われる。なお、監視者端末2は、クラウドサーバ3の体動パターン信号やメッセージを受信(ダウンロード)し、表示できるものであればスマートフォン、タブレット、PCなどいずれの端末装置でも良い。これらの一連の操作は、基本的にクラウドサーバ3が保有する記憶手段31、タイマー手段32、演算制御手段33などの機能を用いてソフトプログラムによりクラウド側で制御されるため、被監視者端末1は単に体動センサ12で取得した被監視者の体動パターンをアップロードするだけの機能で達成することができる。
【0031】
オン信号(体動検知信号)が一定時間維持され、途切れた時点からオフ信号(体動非検知信号)のカウントが開始され、このオフ信号期間(体動非検知期間)が一定時間(例えば12時間)以上継続した場合、第一のアラート信号(アラート1信号)が被監視者端末1に対して発信される。このアラート1信号のタイミングや発信指令は、クラウドサーバ側のプログラムを設定することによりプッシュ通信機能を用いて被監視者端末1へ発信される。このアラート1信号は、一定時間(例えば12時間)以上体動信号が検知されていないことを示しており、被監視者に対して異常確認又は何らかの返信を要求するメッセージ(例えば、「体動非検知12時間以上ですが、元気ですか?スマホ保持してください」)を発信するものである。本発明においてアラート信号は、被監視者及び・又は監視者への注意喚起、警告信号のことであり、このアラート1信号は、クラウドサーバ3側で予め設定されたプログラムにより自動的に発信され、被監視者の保有する被監視者端末1の表示部13上でメッセージ表示したり、音声アラートや照明点滅などと併せ連絡する。また、このアラート1信号はクラウドサーバ3側より監視者端末2の表示部22へも同時に送信される。
【0032】
アラート1信号を受信した被監視者は、特に異常がなく、単に被監視者端末1(スマートフォン)を所持していないだけの場合、被監視者はスマートフォンを単に保持するだけで再度体動センサが稼働し、オン状態(体動検知状態)が確保され、反応し、返信したこととなる。
【0033】
しかし、アラート1信号に対して被監視者側から何らの反応がない場合、所定時間(例えば、12時間)以上に亘ってスマートフォンにより被監視者の体動が検知されていないことを意味しており、被監視者に何らかの異常事態が生じているか、又は、スマートフォンが不所持であることが考えられる。この時点で、監視者は、必要性又は異常可能性を勘案して被監視者に対し監視者端末2の入力部23より被監視者の状況に応じたメッセージ又は電話したり、若しくは監視員を派遣するなどの手段により直接状態確認の手段を講じても良い。
【0034】
また、アラート1信号に対し何らの反応がない場合、更なる所定時間(例えば、24時間)を置いて第二のアラート信号(アラート2信号)を発信するようにすることもできる。この場合、被監視者に対してはクラウドサーバ3側でプログラムされた設定によりアラート1信号の発信と同様にプッシュ通信機能によりアラート2信号をメッセージ、音声、照明などにより被監視者端末1に対して行う。また、監視者に対してもクラウドサーバ3側より監視者端末2宛にアラート2信号を送信する。
【0035】
アラート2信号により被監視者に特に異常がなく、単に被監視者端末1(スマートフォン)を所持していないだけの場合、被監視者はスマートフォンを単に保持するだけで再度体動センサが稼働し、オン状態(体動検知状態)が確保され、反応し、返信したこととなる。しかし、アラート2信号によっても被監視者より何らの反応が得られない場合、更なる所定時間(例えば24時間)以上に亘って体動信号が検知されていないことを意味しており、監視者は、アラート1信号の場合より更に確実な状況確認が必要となるため直接被監視者に電話やメッセージで確認したり、直接訪問して被監視者の状態を確認したり、管理者などの見守り要員を派遣したりするなどの手段により状態確認をする。このようなアラート信号の繰り返し間隔や回数は、状況や環境に合わせ1回であっても2回以上であっても設定により変更することができる。
【0036】
本発明による被監視者の体動情報送信は、常時又は随時、定期的にかつ自動的に監視者へ送信されるが、その間隔は設定により変更することができる。
図2は、体動検知センサ12により取得したオン信号期間(体動検知期間)及びオフ信号期間(静止期間)の1日あたりの時系列推移例を示したものである。
図2において、T1、T2、T3、T4は、オフ期間の例であり、この時間はスマートフォンが被監視者により所持されていないか、所持していても体動が生じていない異常状態であるかである。このオフ期間には、被監視者の就寝時、充電中、電池切れ、所持忘れ、病気その他により病床にあるか、スマートフォンを操作出来ない時などが考えられる。
【0037】
被監視者がスマートフォンを所持しないで放置していた場合や充電器に設置して所持しない場合、近くにあればスマートフォンを保有するだけで被監視者は反応することができる。また、所持するのを忘れて外出した場合などは、外出から帰宅した時点で何らかの反応が可能となる。しかし、最もオフ期間で問題となるのは、長時間(例えば6時間以上)に亘ってオフ期間が継続する就寝時や長時間スマートフォンを携帯しないかあるいは携帯出来ない場合などである。このような就寝時などには、その期間中に(例えば60分毎の)定期的に体動情報を取得し体動情報送信を行う必要はなく、また、その期間にアラート信号などを被監視者宛に送信しても被監視者は反応出来ないためアラート信号送信の時点をずらして、被監視者が対応可能な時間帯に体動情報の取得(送信)やアラート信号の送信を行うことが望ましい。そのために本発明においては、長時間に亘って毎日、毎週あるいは毎月、必ずオフ期間が生じると推定される定常的非検知期間を被監視者の体動パターンの学習により除外条件として設定する。
【0038】
この被監視者による就寝時間などの長時間スマートフォン不携帯時間である定常的非検知期間の除外条件は、監視者端末2の手動入力部23により除外時間を設定することも可能であるが、日常の体動パターンのルーティーンを継続的に取得し、学習することで監視者端末2よりの操作によりクラウドサーバ3内においてほぼ自動的に設定することが可能となる。本発明による被監視者端末1内において、体動信号の出力信号は、常にクラウドサーバ3で記憶され、1日、1週間、場合によっては1ヶ月をルーティーン単位として平均的就寝時間帯及び長時間に亘るスマートフォン不携帯時間帯を推定する。この1日単位、週単位又は1ヶ月単位での体動ルーティーンをパターン積算し、常時蓄積し学習する。
【0039】
予め設定された所定時間以上に亘る昼寝時間、外出時間、診療時間、入浴時間などが被監視者固有のスマートフォン不携帯の体動ルーティーンであれば、これらを蓄積し、この期間を除外条件として、除外条件期間中の対応を設定する。例えば、除外条件期間中は、(1)監視者端末2に対する体動情報送信を行わず、除外条件(例えば、就寝中、外出中など)を付して送信する、(2)アラート信号送信が必要な場合でもアラート発信は行わず、除外条件期間の開始前又は終了後に送信するなどの設定とするか、又は除外条件期間終了後(就寝あけなど)に被監視者より反応するように条件メッセージ付でアラート送信する。このようにすることでより効率的かつ利便性の高い安否確認ができる。ただし、この除外条件期間は、就寝時などの除外条件期間(定常的非検知期間)中であっても被監視者に異常事態が生じている可能性があるため、オフ期間の積算には当然これらの就寝時もオフ期間(非検知期間)として積算される。また、この除外条件を何時間以上とするかの時間設定は被監視者の行動パターンや生活習慣を考慮して任意に設定することができる。
【0040】
この除外条件設定は、利用当初や携帯通信端末の長期不携帯(例えば、6時間以上)が確定しているような場合には監視者端末2の入力部23により推定時間を手動で設定又は変更し得るが、通常はクラウドサーバ2に記憶され自動的に体動情報を取得しながら、積算し、学習することでルーティーン情報におけるオフ期間(定常的非検知期間)がより正確に設定される。このような除外条件設定に基づく被監視者の体動ルーティーン情報は被監視者の生活状態を表しており、監視者である家族・関係者、管理人、住居貸主にとっては見守りを行う上で極めて有用な情報となるため、監視者へも提供できるようにすることが望ましい。
【0041】
図3は、本発明による被監視者の端末における安否確認方法の主な流れを示すフローチャートである。被監視者が通信携帯端末及び安否確認用アプリをオン状態にすることで、安否確認監視がスタートする。その端末が稼働状態にあれば常に被監視者の体動信号はジャイロセンサなどの動きセンサにより取得され、クラウドサーバ3へ常時又は定期的に送信(アップロード)される(ステップ1;S1と略す、以下同様)。クラウドサーバ3へアップロードされた体動信号は、体動の有無が判定される(S2)。体動が検知されていれば(S2、Yes)監視者へ体動有りのメッセージ(例えば、「元気メッセージ」)が自動的に送信され(S4)、更にスタートに戻り監視を継続する。当該期間中に体動が検知されない場合(S2、No)、第一アラートを発信する所定の時間(例えば、12時間)経過したがどうかの判定を行う(S4)。第一アラート設定時間が経過していない場合(S4,No)、監視者へはその旨のメッセージ(例えば、「○○分間体動検知なし」)が送信され(S5)、更にスタートに戻り監視を継続する。この場合、体動検知無し時間は体動が検知されない限り継続して積算される。
【0042】
体動信号が検知されない状態が所定時間(例えば12時間以上)経過してもなお継続している場合(S4、Yes)、除外条件(定常的非検知期間)に該当するか否かを判定するステップ(S6)へ進む。この除外条件は、前述の通り手動で入力しても良いが、S1で検知された体動信号の有無を経過時間と共に記憶手段により記憶し(S7)、体動信号を常時蓄積、学習しながら1日、1週間、1ヶ月の体動ルーティーンを分析し(S8)、除外条件を設定・更新し(S9)、除外条件該当・否該当判定の基準とする。従って、この除外条件の基準は、常時体動ルーティーンの変化により常時更新されている。
【0043】
S6のステップにおいて除外条件(定常的非検知期間)に該当する場合(S6,Yes)、監視者へは条件付きメッセージ(例えば、「○○分体動検知なし、除外条件:就寝中」など)が送信され(S10)、更にスタートに戻り監視を継続する。この場合も、体動検知無し時間は継続して積算される。S6のステップにおいて除外条件に該当しない場合(S6,No)、被監視者の体動が第一アラート発信の基準時間(例えば、12時間)以上に亘って検知されず、かつ除外条件にも該当しないこととなる。このことは、被監視者に異常事態が生じているか、又は被監視者が端末を放置し続けていることを意味している。そのため、端末は、自動的に被監視者と監視者に対し第一アラート信号(アラート1信号)をメッセージ(例えば、「12時間以上体動検知なしですが、元気ですか?スマホ保持してください」)又は音声、ブザー、照明点滅などにより発信する(S11)。アラート1のメッセージは、被監視者への状態問合せであり、何らかの返信・反応を求める(S12)。
【0044】
被監視者の携帯通信端末側では、被監視者からの反応又は返信メッセージの有無を判定する(S13)。第一アラートに対し被監視者が自身の端末を再度保持するだけで、体動が再度検知され被監視者からの反応有りと判定され(S13,Yes)、スタートに戻り監視を継続する。この場合オフ期間の積算はリセットされる。第一アラートに対し被監視者は端末を再度保持する代わりに何らかの異常なしのメッセージ(例えば、「元気です」)を自動で送信する(S14)ように設定しても良い。
【0045】
第一アラートに対し何らの反応もなく、何らの返信メッセージも受信されない場合(S13、No)、オフ期間の積算は更に継続する。次に、このオフ期間状態が第二アラートの設定時間(例えば24時間)を経過したかどうかを判定する(S15)。第二アラート設定時間を経過していない場合(S15、No)、監視者へは監視継続メッセージ(例えば、「○○分体動検知なし、監視継続中」)が送信され(S16)、スタートに戻り更に監視を継続する。この場合、オフ期間の積算はリセットされず更に継続する。第二アラート設定時間経過後もなお体動なしが継続し、第二アラート設定時間(例えば24時間)以上経過したような場合(S15、Yes)、端末は自動的に第二アラート信号(アラート2信号)をメッセージ(例えば、「24時間以上体動検知なしですが、異常ありませんか?至急スマホ保持してください」)又は音声、ブザー、照明点滅などにより発信する(S17)。アラート2信号のメッセージは、アラート1信号と異なりより被監視者の注意を喚起する状態問合せであり、何らかの返信・反応を緊急として求める送信である(S18)。
【0046】
アラート2信号による被監視者へ緊急状態問合せに対し、反応の有無が判定される(S19)。被監視者が端末を放置しているような場合、アラート1のメッセージへの応答と同様に被監視者が端末を再度保持するだけで体動が再度検知され被監視者からの反応有りと判定され(S19,Yes)、スタートに戻り監視を継続する。この場合オフ期間の積算はリセットされる。また、アラート2信号に対し被監視者は端末を再度保持する代わりに何らかの異常なしのメッセージ(例えば、「元気です」)を自動で送信する(S16)ように設定しても良い。
【0047】
しかし、アラート2信号に対し被監視者より何らの反応もなく、何らの返信メッセージも受信されない場合(S19、No)、被監視者がより深刻な状態に陥っている可能性もあり監視者に対する異常信号が送信され(S21)、異常信号を受信した監視者は管理人、家主、又は関係者へ通知したり、担当者を派遣したりして直接単身居住者や独居老人などの安否を確認する(S22)。
【0048】
上述したフローの各ステップは、被監視者端末と監視者端末とクラウドサーバとの間でのやり取りによる処理であり、最初の体動信号取得・送信ステップ(S1)は、被監視者の保有する被監視者端末で処理されるが、その他のステップは、主としてクラウドサーバ側でのソフト処理として実行されている。そのため、被監視者端末及び監視者端末での負担は軽減され、かつ安否確認のための状況に応じたソフトウェアの変更など統括的に行えるため管理面での利便性に優れている。
【0049】
上述の実施形態においては、本発明における安否確認方法の各ステップ処理を主として主としてクラウド側のソフト処理として説明したが、これらの処理ステップを被監視者端末1や監視者端末2側に組み込んで実行したり、又はそれぞれで分担して実行させても良い。また、実施例の説明においては、被監視者端末として最も汎用性に優れた携帯通信端末であるスマートフォンを念頭においているが、必ずしもスマートフォンである必要はない。少なくとも体動検知センサ、送受信部を備え、かつ表示部の代替としてブザーなどを用いることで極めて小型化した被監視者端末を構成し、本発明を実施することができる。
【0050】
以上のフローに基づく安否確認のステップは、クラウド上に組み込まれた安否確認用アプリケーションソフトウェアを市販の被監視者端末1や監視者端末2にダウンロードすることで達成することが可能であり、被監視者がこれらのソフトウェアをダウンロードした被監視者端末装置を保持していれば、見守り対象者である単身居住者や独居老人などの被監視者及びそれら居住者の親族や関係者、管理人、住居貸主などの監視者が何ら特別な操作を要する事なく、自動的かつ定期的に安否確認が可能となる。このことは、特に携帯端末装置の操作が困難な高齢者にとっては極めて利便性が高く、また家主や貸主にとっては特別な監視設備や設備工事を要しないため、低コストで居住者の安否確認が可能となる。