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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-150528(P2021-150528A)
(43)【公開日】2021年9月27日
(54)【発明の名称】半導体装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20210830BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20210830BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20210830BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20210830BHJP
【FI】
   H01L29/78 657D
   H01L29/78 652D
   H01L29/78 653C
   H01L29/78 655D
   H01L29/78 652J
   H01L29/91 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-49917(P2020-49917)
(22)【出願日】2020年3月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】糸数 裕子
(72)【発明者】
【氏名】末代 知子
(72)【発明者】
【氏名】岩鍜治 陽子
(72)【発明者】
【氏名】もたい 貴子
(57)【要約】
【課題】リカバリ損失を低減できる半導体装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、半導体部と、前記半導体部の裏面上に設けられた第1電極と、前記半導体部の表面上に設けられた第2電極と、前記半導体部と前記第2電極との間に設けられた制御電極と、を備える。前記制御電極は、前記半導体部に設けられたトレンチの内部に配置され、前記半導体部から第1絶縁膜により電気的に絶縁される。前記半導体部は、第1導電形の第1層と、第2導電形の第2層と、第2導電形の第3層と、を含む。前記第1層は、前記第1電極と前記第2電極との間に延在する。前記第2層は、前記第1層と前記第2電極との間に設けられ、前記第2電極に接続される。前記第3層は、前記第1層と前記第2電極との間に設けられ、前記第2層と前記第1絶縁膜とに接する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体部と、
前記半導体部の裏面上に設けられた第1電極と、
前記半導体部の表面上に設けられた第2電極と、
前記半導体部と前記第2電極との間において、前記半導体部に設けられたトレンチの内部に配置され、前記半導体部から第1絶縁膜により電気的に絶縁され、前記第2電極から第2絶縁膜により電気的に絶縁された制御電極と、
を備え、
前記半導体部は、第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、前記第2導電形の第3半導体層と、を含み、
前記第1半導体層は、前記第1電極と前記第2電極との間に延在し、前記制御電極は、前記半導体部の前記表面側から前記第1半導体層中に延在し、
前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第2電極に接続され、
前記第3半導体層は、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第2半導体層と前記第1絶縁膜とに接し、前記第2電極に電気的に接続され、前記第2半導体層の第2導電形不純物の濃度よりも高濃度の第2導電形不純物を含む半導体装置。
【請求項2】
前記第2半導体層は、前記半導体部の前記表面に沿った前記制御電極の延在方向に並び、前記第2電極に接した複数のコンタクト部を有し、
前記第3半導体層は、前記第2電極に接するコンタクト部をさらに含み、
前記第3半導体層のコンタクト部は、前記第2半導体層の複数のコンタクト部のうちの前記延在方向において隣り合う2つのコンタクト部の間に位置する請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2半導体層は、前記半導体部の前記表面に沿った前記制御電極の延在方向に並ぶ複数のコンタクト部を有し、
前記第3半導体層は、前記第2半導体層の複数のコンタクト部のうちの前記延在方向において隣り合う2つのコンタクト部の間に位置する部分をさらに含み、
前記第2電極は、前記第2半導体層の前記複数のコンタクト部、前記第3半導体層の前記第2半導体層と前記第1絶縁膜との間に位置する部分および前記複数のコンタクト部の間に位置する部分に接する請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2半導体層は、前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向における第1厚を有し、
前記第3半導体層のコンタクト部は、前記第1方向における第2厚を有し、前記第1厚は、前記第2厚よりも厚い請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3半導体層は、前記第1絶縁膜に沿って延在し、前記第1半導体層と前記第1絶縁膜との間に位置する部分を含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第3半導体層は、前記第2半導体層から前記制御電極に向かう方向における第1層厚を有し、
前記第2半導体層は、前記方向における第2層厚を有し、前記第1層厚は、前記第2層厚よりも薄い請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第3半導体層は、前記第1電極から前記第2電極に向かう方向において、前記第1絶縁膜に沿った第1長を有し、
前記第1長は、前記第1層厚よりも長い請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体部は、前記第1半導体層と前記第1絶縁膜との間に設けられ、前記トレンチの底部に沿って延在し、前記制御電極の端を覆う前記第2導電形の第5半導体層をさらに含む請求項1〜7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第5半導体層は、前記第2電極に抵抗を介して接続される請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体部は、前記第1半導体層と前記第1電極との間に設けられ、前記第1半導体層の第1導電形不純物よりも高濃度の第1導電形不純物をさらに含む請求項1〜9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項11】
請求項1〜10に記載の半導体装置の制御方法であって、
前記第2電極の電位が前記第1電極の電位よりも高くなるように、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加した状態から、前記第2電極の電位が前記第1電極の電位よりも低くなるように、前記第1電極と前記第2電極との間に印加される電圧を反転させる過程において、前記第2電極と前記制御電極との間に負電圧を印加する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力用半導体装置には、スイッチング損失を低減することが求められる。例えば、IGBT(Insulated Gate Biplar Transistor)と共に電力変換回路を構成するダイオードには、オン状態からオフ状態に移行する過程におけるリカバリ損失を低減することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−09341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、リカバリ損失を低減できる半導体装置およびその制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、半導体部と、前記半導体部の裏面上に設けられた第1電極と、前記半導体部の表面上に設けられた第2電極と、前記半導体部と前記第2電極との間に設けられた制御電極と、を備える。前記制御電極は、前記半導体部に設けられたトレンチの内部に配置され、前記半導体部から第1絶縁膜により電気的に絶縁され、前記第2電極から第2絶縁膜により電気的に絶縁される。前記半導体部は、第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、前記第2導電形の第3半導体層と、を含む。前記第1半導体層は、前記第1電極と前記第2電極との間に延在し、前記制御電極は、前記半導体部の前記表面側から前記第1半導体層中に延在する。前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第2電極に接続される。前記第3半導体層は、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第2半導体層と前記第1絶縁膜とに接する。前記第3半導体層は、前記第2電極に電気的に接続され、前記第2半導体層の第2導電形不純物の濃度よりも高濃度の第2導電形不純物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る半導体装置を模式的に示す斜視図である。
図2】実施形態に係る半導体装置を示す模式断面図である。
図3】実施形態に係る半導体装置の動作を示す模式断面図である。
図4】実施形態の変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
図5】実施形態の別の変形例に係る半導体装置を示す模式図である。
図6】第2実施形態に係る半導体装置を模式的に示す斜視図である。
図7】第2実施形態の変形例に係る半導体装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、実施形態に係る半導体装置1を模式的に示す斜視図である。半導体装置1は、例えば、ダイオードであり、トレンチゲート構造を有する。なお、図1に示すトレンチゲート構造は例示であり、これに限定される訳ではない。例えば、アノード電極とゲート電極とを電気的に接続した構成でも良い。
【0010】
半導体装置1は、半導体部10(図2(a)参照)と、制御電極20と、を備える。半導体部10は、n形半導体層11と、p形半導体層13と、p形半導体層15と、を含む。半導体部10は、例えば、シリコンである。
【0011】
制御電極20は、半導体部10に設けられたゲートトレンチGTの内部に配置される。制御電極20は、半導体部10の表面側からn形半導体層11中に延在する。制御電極20は、絶縁膜23により半導体部10から電気的に絶縁される。制御電極20の上端は、例えば、絶縁膜25に覆われる。制御電極20は、例えば、導電性を有するポリシリコンである。絶縁膜23および絶縁膜25は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0012】
制御電極20は、複数設けられる。p形半導体層13は、複数の制御電極20のうちの隣り合う2つの制御電極20の間において、n形半導体層11の上に設けられる。p形半導体層13は、半導体部10の表面側にp形不純物、例えば、ボロン(B)をイオン注入することにより形成される。
【0013】
p形半導体層15は、n形半導体層11の上に設けられ、p形半導体層13と制御電極20との間に位置する。p形半導体層15は、絶縁膜23に接する。また、p形半導体層15は、絶縁膜23を介して制御電極20の向き合うように設けられる。p形半導体層15は、p形半導体層13のp形不純物よりも高濃度のp形不純物を含む。
【0014】
p形半導体層15は、ゲートトレンチGTの内壁にp形不純物、例えば、ボロン(B)をイオン注入し、活性化させることにより形成される。例えば、半導体部10の表面に対する入射角を制御することにより、ゲートトレンチGTの上部にp形不純物をイオン注入することができる。
【0015】
図1に示すように、p形半導体層13の下端は、例えば、Z方向において、n形半導体層11とp形半導体層15との境界と略同一のレベルに位置する。また、p形半導体層13の下端は、例えば、Z方向において、n形半導体層11とp形半導体層15との境界よりも下のレベルに位置しても良い。すなわち、p形半導体層13は、p形半導体層15を介して絶縁膜23に向き合うように設けられる。p形半導体層15は、例えば、p形半導体層13から制御電極20に向かう方向(X方向)において、p形半導体層13の幅よりも狭い幅を有する。また、p形半導体層15は、絶縁膜23に沿ったZ方向の長さよりもX方向の幅が狭くなるように設けられる。
【0016】
さらに、p形半導体層13の下端は、例えば、Z方向において、n形半導体層11とp形半導体層15との境界よりも上のレベルに位置する場合もある。p形半導体層13は、例えば、n形半導体層11の近傍に位置する部分を除いて、p形半導体層15を介して絶縁膜23に向き合うように設けられる。
【0017】
図2(a)および(b)は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式断面図である。図2(a)は、X−Z平面に平行な断面を示す模式図である。図2(b)は、図2(a)中に示すA−A線に沿った断面図である。
【0018】
図2(a)に示すように、半導体部10は、第1電極30と第2電極40との間に設けられる。第1電極30は、例えば、カソード電極であり、半導体部10の裏面上に設けられる。第2電極40は、例えば、アノード電極であり、半導体部10の表面上に設けられる。第1電極30および第2電極40は、例えば、チタニウム(Ti)およびアルミニウム(Al)を含む金属層である。
【0019】
制御電極20は、ゲート絶縁膜(絶縁膜23)により半導体部10から電気的に絶縁される。また、制御電極20は、絶縁膜25により第2電極40から電気的に絶縁される。
【0020】
第2電極40は、p形半導体層13およびp形半導体層15に接続される。第2電極40は、p形半導体層13に、例えば、ショットキ接続される。また、第2電極40は、p形半導体層15に、例えば、オーミック接続される。
【0021】
半導体部10は、n形半導体層17をさらに含む。n形半導体層17は、n形半導体層11と第1電極30との間に設けられる。第1電極30は、n形半導体層17に電気的に接続される。n形半導体層17は、n形半導体層11のn形不純物の濃度よりも高濃度のn形不純物を含む。
【0022】
図2(b)に示すように、制御電極20は、半導体部10の表面10Fに沿って、例えば、Y方向に延在し、ゲート配線50に電気的に接続される。ゲート配線50は、例えば、接続部50cを有する。接続部50cは、絶縁膜25に設けられたコンタクトホール内に延在し、制御電極20に接続される。ゲート配線50は、例えば、図示しないゲートパッドに接続される。また、制御電極20は、この例に限定される訳ではなく、例えば、ゲート配線50およびゲートパッドを設けないで、第2電極40(アノード電極)に電気的に接続される形態でも良い。
【0023】
図3(a)および(b)は、実施形態に係る半導体装置1の動作を示す模式断面図である。図3(a)は、第1電極30の電位が第2電極40の電位よりも低い場合(オン状態)におけるキャリア(電子および正孔)の流れを示している。図3(b)は、第1電極30の電位が第2電極40の電位よりも高くバイアスされた時(オン状態からオフ状態へのリカバリ時)のキャリアの流れを示している。
【0024】
図3(a)に示すように、第1電極30からn形半導体層17を介してn形半導体層11に電子が注入される。これに対応して、第2電極40からp形半導体層13およびp形半導体層15を介してn形半導体層11に正孔が注入される。
【0025】
この例では、p形半導体層13と第2電極40との界面にショットキバリアが介在するため、第2電極40からp形半導体層13への正孔の注入が抑制される。このため、第2電極40からp形半導体層15へ注入された正孔が、主としてn形半導体層11へ注入される。
【0026】
このように、第2電極40からn形半導体層11へ注入される正孔の量が減少するため、第1電極30からn形半導体層11へ注入される電子の量も減少する。これにより、オン状態におけるn形半導体層11中の第2電極40側のアノード領域および第1電極30側のカソード領域におけるキャリア密度を抑制することができる。
【0027】
図3(b)に示すリカバリ時には、制御電極20と第2電極40との間にマイナスの制御電圧、例えば、マイナス15Vが印加される。これにより、n形半導体層11と絶縁膜23との間にp形反転層PIVが誘起される。
【0028】
図3(b)に示すように、n形半導体層11中の電子は、n形半導体層17を介して第1電極30に排出される。また、n形半導体層11中の正孔は、主にp形反転層PIVおよびp形半導体層15を介して第2電極40に排出される。
【0029】
この例では、p形反転層PIVを誘起することにより、n形半導体層11から第2電極40に至る正孔の排出経路が形成され、正孔の排出を促進することができる。半導体装置1では、オン状態において、n形半導体層11中のキャリア密度を抑制し、リカバリ時に、p形反転層PIVにより正孔の排出を促進する。これにより、リカバリ時間を短縮し、リカバリ損失を低減できる。
【0030】
さらに、正孔の排出経路が、n形半導体層11と絶縁膜23との界面近傍に形成される。これにより、例えば、制御電極20の下端近傍の電界集中に起因したアバランシェ現象により生じる正孔を、第2電極40へスムーズに排出できる。すなわち、半導体装置1の破壊耐量を向上させ、リカバリ時における安全動作領域を広げることができる。
【0031】
図4(a)および(b)は、実施形態の変形例に係る半導体装置2aおよび2bを示す模式断面図である。半導体装置2は、IGBTとダイオードとを一体化した構造を有する。
【0032】
図4(a)に示すように、半導体装置2aは、ダイオード領域と、IGBT領域と、を含む。半導体装置2は、ダイオード領域に設けられた制御電極20と、IGBT領域に設けられた制御電極60と、第3電極70と、を備える。
【0033】
制御電極20は、半導体部10と第2電極40との間において、半導体部10に設けられたゲートトレンチGT1の内部に配置される。
【0034】
制御電極60は、半導体部10と第2電極40との間において、半導体部10の設けられたゲートトレンチGT2の内部に配置される。制御電極60は、絶縁膜63により半導体部10から電気的に絶縁される。また、制御電極60は、絶縁膜65により第2電極40から電気的に絶縁される。
【0035】
第3電極70は、IGBT領域の端に設けられる。第3電極70は、半導体部10と第2電極40との間において、半導体部10に設けられたトレンチETの内部に配置される。第3電極70は、絶縁膜73により半導体部10から電気的に絶縁される。第3電極70は、第2電極40に電気的に接続される。
【0036】
半導体部10は、ダイオード領域において、n形半導体層11と、p形半導体層13と、p形半導体層15と、n形半導体層17と、を含む。p形半導体層13、p形半導体層15およびn形半導体層17は、図1に示す半導体装置1と同じように配置される。
【0037】
半導体部10は、IGBT領域において、p形半導体層31と、p形半導体層43と、n形半導体層45と、p形半導体層47と、をさらに含む。
【0038】
p形半導体層31は、n形半導体層11と第2電極40との間に設けられる。p形半導体層31は、例えば、p形コレクタ層であり、第1電極30に電気的に接続される。
【0039】
p形半導体層43は、n形半導体層11と第2電極40との間に設けられる。p形半導体層43は、例えば、p形ベース層である。
【0040】
n形半導体層45は、p形半導体層43と第2電極40との間に選択的に設けられる。n形半導体層45は、絶縁膜63に接する位置に設けられる。n形半導体層45は、n形半導体層11のn形不純物の濃度よりも高濃度のn形不純物を含む。
【0041】
p形半導体層47は、p形半導体層43と第2電極40との間に選択的に設けられる。p形半導体層47は、p形半導体層43のp形不純物の濃度よりも高濃度のp形不純物を含む。
【0042】
第2電極40は、例えば、n形半導体層45およびp形半導体層47に接し、且つ、電気的に接続される。
【0043】
半導体部10は、p形半導体層71をさらに備える。p形半導体層71は、ダイオード領域とIGBT領域との間の中間領域に設けられる。p半導体層71は、n形半導体層11と第2電極40との間に設けられる。p形半導体層71は、ダイオード領域の端に位置する制御電極20と、IGBT領域の端に位置する第3電極70との間に位置する。
【0044】
図4(b)に示す半導体装置2bは、n形半導体層33をさらに含む。n形半導体層33は、n形半導体層11とp形半導体層31との間、および、n形半導体層11とn形半導体層17との間に設けられる。n形半導体層33は、例えば、n形バッファ層であり、n形半導体層11のn形不純物の濃度よりも高濃度のn形不純物を含む。また、n形半導体層33は、例えば、n形半導体層17のn形不純物よりも低濃度のn形不純物を含む。
【0045】
半導体装置2aおよび2bは、第1電極30が第2電極40の電位よりも高い電位にバイアスされた状態で、IGBTとして動作する。一方、第1電極30が第2電極40の電位よりも低い電位にバイアスされた状態では、所謂、還流ダイオードとして動作する。
【0046】
半導体装置2aおよび2bでは、第2電極40に接したp形半導体層13およびp形半導体層15を有することにより、ダイオードモードからIGBTモードへのリカバリ過程におけるスイッチング損失(すなわち、リカバリ損失)を低減することができる。また、制御電極20を適宜制御することにより、リカバリ損失をさらに低減すると共に、リカバリ過程における破壊耐量を向上させることができる。
【0047】
図5(a)および(b)は、実施形態の別の変形例に係る半導体装置3を示す模式図である。図5(a)は、半導体装置3を示す斜視図である。図5(b)は、半導体装置3のX−Z平面に平行な断面を示す模式図である。
【0048】
図5(a)に示すように、半導体装置3においても、p形半導体層13およびp形半導体層15が、隣り合う制御電極20の間に設けられる。また、p形半導体層13およびp形半導体層15は、n形半導体層11上に設けられる。p形半導体層13は、複数のコンタクト部13cを含む。また、p形半導体層15は、コンタクト部15cを含む。
【0049】
p形半導体層13のコンタクト部13cは、制御電極20の延在方向(例えば、Y方向)に並ぶ。p形半導体層15のコンタクト部15cは、隣り合うコンタクト部13cの間に設けられる。
【0050】
図5(a)中に示す破線で囲まれたコンタクト領域CRでは、第2電極40がp形半導体層13およびp形半導体層15に接する。すなわち、第2電極40は、複数のコンタクト部13cを介してp形半導体層13に接続され、コンタクト部15cを介してp形半導体層15に接続される。
【0051】
図5(a)に示すように、半導体部10の表面からp形半導体層13とコンタクト部15cの境界までのZ方向の深さは、半導体部10の表面からn形半導体層11とp形半導体層13との境界までのZ方向の深さよりも浅い。
【0052】
図5(b)に示すように、第2電極40は、絶縁膜25に設けられたコンタクトホール中に延在する接続部40cを介して、p形半導体層13およびp形半導体層15に接続される。
【0053】
例えば、p形半導体層15のX方向の幅が狭い場合、接続部40cをp形半導体層15に接続することは難しくなる。この例では、p形半導体層15にコンタクト部15cを設け、接続部40cをコンタクト部15cに接続することにより、p形半導体層15と第2電極40との間の電気的な接続が容易になる。
【0054】
なお、実施形態は、図5に示すコンタクト領域CRに限定される訳ではなく、例えば、p形半導体層15のコンタクト部13cと絶縁膜23との間に位置する部分にも第2電極40が接するように、コンタクト領域CRのX方向の幅を広げても良い。
【0055】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る半導体装置4を模式的に示す斜視図である。
図6に示すように、隣り合う制御電極20の間において、p形半導体層13は、n形半導体層11上に設けられる。
【0056】
p形半導体層15は、絶縁膜23に沿って延在し、制御電極20の側面および底面に対向するように設けられる。p形半導体層15は、p形半導体層13と絶縁膜23との間に延在する部分と、n形半導体層11と絶縁膜23との間に延在する部分を含む。
【0057】
p形半導体層15は、p形半導体層13のp形不純物の濃度よりも高濃度のp形不純物を含む。第2電極40は、例えば、p形半導体層15にオーミック接続される(図2(a)参照)。また、第2電極40は、例えば、p形半導体層13にショットキ接続される。
【0058】
この例でも、第2電極40からp形半導体層13への正孔注入を抑制することにより、オン状態におけるn形半導体層11中のキャリア密度を下げ、リカバリ時間を短縮することができる。また、オン状態からオフ状態へのリカバリ過程において、p形半導体層15は、n形半導体層11から第2電極40への正孔の排出経路となる。これにより、リカバリ時間をさらに短縮し、スイッチング損失を低減することができる。
【0059】
この例では、制御電極20にマイナスの制御電圧を印加して、p形反転層PIV(図3(b)参照)を誘起する必要はなく、制御電極20に制御電圧を供給する回路(図示しない)の構成を簡略化できる。また、制御電極20を第2電極40に電気的に接続し、両者を同電位にしても良い。
【0060】
図7(a)および(b)は、第2実施形態の変形例に係る半導体装置5を示す模式図である。図7(a)は、半導体装置5を示す斜視図である。図7(b)は、半導体装置5のY−Z平面に平行な断面を示す模式図である。
【0061】
図7(a)に示すように、隣り合う制御電極20の間において、p形半導体層13およびp形半導体層15は、n形半導体層11上に設けられる。制御電極20は、絶縁膜23により半導体部10(図2(a)参照)から電気的に絶縁され、p形半導体層15は、p形半導体層13と絶縁膜23との間に設けられる。
【0062】
半導体部10は、p形半導体層19をさらに含む。制御電極20は、絶縁膜23により半導体部10から電気的に絶縁される。p形半導体層19は、絶縁膜23を介して、制御電極20の下端と対向するように設けられる。p形半導体層19は、p形半導体層13およびp形半導体層15から離れた位置に設けられる。
【0063】
図7(b)に示すように、制御電極20は、Y方向に延在し、その端において、ゲート配線50に電気的に接続される。p形半導体層19もY方向に延在し、絶縁膜23を介して、制御電極20に対向する。また、制御電極20は、この例に限定される訳ではなく、例えば、ゲート配線50を設けないで、第2電極40(アノード電極)に電気的に接続される形態でも良い。
【0064】
p形半導体層19は、制御電極20の端に沿って、Z方向に延在し、配線80に電気的に接続される。配線80は、絶縁膜25に設けられたコンタクトホール内に延在し、p形半導体層19に接するコンタクト部80cを有する。p形半導体層19は、浮遊電位であっても良いが、配線80および抵抗Rcを介して第2電極40に電気的に接続されても良い。
【0065】
この例では、リカバリ過程において、制御電極20と第2電極40との間にマイナスの制御電圧が印加される。n形半導体層11と絶縁膜23との界面には、p形反転層(図3(b)参照)が誘起され、p形半導体層15とp形半導体層19とがつながる。これにより、n形半導体層11から第2電極40への正孔の排出経路が形成され、リカバリ時間を短縮し、スイッチング損失(リカバリ損失)を低減することができる。また、制御電極20の下端における電界集中に起因したアバランシェ現象により生じる正孔は、第2電極40にスムーズに排出され、リカバリ過程における破壊耐量を向上させることができる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1、2、3、4、5…半導体装置、 10…半導体部、 10F…表面、 11、17、33、45…n形半導体層、 13、15、19、31、43、47、71…p形半導体層、 13c、15c…コンタクト部、 20、60…制御電極、 23、25、63、65、73…絶縁膜、 30…第1電極、 40…第2電極、 40c、50c…接続部、 50…ゲート配線、 70…第3電極、 80…配線、 80c…コンタクト部、 CR…コンタクト領域、 ET…トレンチ、 GT、GT1、GT2…ゲートトレンチ、 PIV…p形反転層、 Rc…抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7