【解決手段】半導体装置は、第1トレンチと第2トレンチの間に設けられ、第1半導体領域14b及び第2半導体領域12に電気的に接続された第3電極42bと、第1絶縁膜と第3電極の間に設けられた第2半導体領域16bと、第3電極との間に設けられ、第1半導体領域よりも第2導電型不純物濃度の高い第3半導体領域20a1と、第2絶縁膜と第3電極42bの間に設けられた第2半導体領域16cと、第3電極の間に設けられ、第1半導体領域よりも第2導電型不純物濃度の高い第4半導体領域22a1と、第1半導体層10と第3電極の間に、第3半導体領域及び第4半導体領域と離間して設けられ、第1半導体領域よりも第2導電型不純物濃度の高い第5半導体領域24a、24bと、を備える。
前記第3半導体領域は、前記第1絶縁膜と前記第3電極の間に設けられた前記第2半導体領域の第1下面より上に設けられた第1部分と、前記第1下面より下に設けられた第2部分と、を有し、
前記第4半導体領域は、前記第2絶縁膜と前記第3電極の間に設けられた前記第2半導体領域の第2下面より上に設けられた第3部分と、前記第2半導体領域の前記第2下面より下に設けられた第4部分と、を有する、
請求項1記載の半導体装置。
前記第1半導体層と前記第2半導体層が積層された方向である第1方向に垂直な方向である第2方向における前記第1部分の第1幅は、前記第2方向における前記第2部分の第2幅より大きく、
前記第2方向における前記第3部分の第3幅は、前記第2方向における前記第4部分の第4幅より大きい、
請求項2記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0008】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0009】
以下、第1導電型がn型、第2導電型がp型である場合を例に説明する。
【0010】
以下の説明において、n
+、n、n
−および、p
+、p、p
−の表記は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちn
+はnよりもn型の不純物濃度が相対的に高く、n
−はnよりもn型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、p
+はpよりもp型の不純物濃度が相対的に高く、p
−はpよりもp型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n
+型、n
−型を単にn型、p
+型、p
−型を単にp型と記載する場合もある。
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第1導電型の第1半導体層と、第1半導体層の上に設けられた、第1導電型の第2半導体層と、第2半導体層の上に設けられた、第2導電型の第1半導体領域と、第1半導体領域の上に設けられた、第1導電型の第2半導体領域と、第1半導体領域の上から第2半導体層に到達する第1トレンチ内に、第1半導体領域と第1絶縁膜を介して設けられた第1電極と、第1半導体領域の上から第2半導体層に到達する第2トレンチ内に、第1半導体領域と第2絶縁膜を介して設けられた第2電極と、第2半導体領域の上から第1半導体領域に到達し、第1トレンチと第2トレンチの間に設けられ、第1半導体領域及び第2半導体領域に電気的に接続された第3電極と、第1絶縁膜と第3電極の間に設けられた第2半導体領域と、第3電極の間に設けられ、第1半導体領域よりも第2導電型不純物濃度の高い第3半導体領域と、第2絶縁膜と第3電極の間に設けられた第2半導体領域と、第3電極の間に設けられ、第1半導体領域よりも第2導電型不純物濃度の高い第4半導体領域と、第1半導体層と第3電極の間に、第3半導体領域及び第4半導体領域と離間して設けられ、第1半導体領域よりも第2導電型不純物濃度の高い第5半導体領域と、を備える。
【0012】
図1は、本実施形態の半導体装置100の模式断面図である。
図2は、本実施形態の半導体装置100の要部の模式断面図である。半導体装置100は、例えば、縦型のMOSFETである。
【0013】
半導体装置100は、ドレイン層10と、ドリフト層12と、ベース領域14と、ソース領域16と、第1p
+領域20と、第2p
+領域22と、第3p
+領域24と、バリアメタル36と、ドレイン電極38と、ソース電極42と、第1トレンチ50と、第3絶縁膜52と、絶縁膜53と、第1フィールドプレート電極54と、第5絶縁膜56と、第1ゲート電極58と、層間絶縁膜60と、第2トレンチ70と、第4絶縁膜72と、絶縁膜73と、第2フィールドプレート電極74と、第6絶縁膜76と、第2ゲート電極78と、を備える。
【0014】
なお、ドレイン層10は、第1半導体層の一例である。ドリフト層12は、第2半導体層の一例である。ベース領域14は、第1半導体領域の一例である。ソース領域16は、第2半導体領域の一例である。第1p
+領域20は、第3半導体領域の一例である。第2p
+領域22は、第4半導体領域の一例である。第3p
+領域24は、第5半導体領域の一例である。ソース電極42の一部である第2電極部分42bは、第3電極の一例である。第1フィールドプレート電極54は、第4電極の一例である。第1ゲート電極58は、第1電極の一例である。第2フィールドプレート電極74は、第5電極の一例である。第2ゲート電極78は、第2電極の一例である。ドレイン電極38は、第6電極の一例である。絶縁膜53としての絶縁膜53bは、第1絶縁膜の一例である。絶縁膜73としての絶縁膜73aは、第2絶縁膜の一例である。
【0015】
ドレイン層10は、MOSFETのドレインとして機能する層である。ドレイン層10は、例えば、n
+型の半導体材料を含む。
【0016】
ドレイン電極38は、ドレイン層10の下に設けられ、ドレイン層10と電気的に接続されている。言い換えると、ドレイン層10は、ドレイン電極38とドリフト層12の間に設けられている。ドレイン電極38は、MOSFETのドレイン電極として機能する電極である。
【0017】
ドリフト層12は、ドレイン層10の上に設けられている。ドリフト層12は、MOSFETのドリフト層として機能する層である。ドリフト層12は、例えば、n
−型の半導体材料を含む。
【0018】
ここで、X方向と、X方向に対して垂直に交差するY方向と、X方向及びY方向に垂直に交差するZ方向を定義する。ドレイン電極38、ドレイン層10及びドリフト層12は、X方向及びY方向に平行なXY平面に平行に設けられた層である。Z方向は、ドレイン電極38、ドレイン層10及びドリフト層12が積層された方向である。
【0019】
ベース領域14は、ドリフト層12の上に設けられている。ベース領域14は、MOSFETのベースとして機能する領域である。ベース領域14は、第1ゲート電極58又は第2ゲート電極78に電圧が印加された場合にチャネルを形成し、ソース領域16とドレイン層10の間にキャリアが流れることを可能とする領域である。ベース領域14は、例えば、p
−型の半導体材料を含む。半導体装置100は、ベース領域14としての、ベース領域14a、14b及び14cを含む。
【0020】
ソース領域16は、ベース領域14の上に設けられている。ソース領域16は、MOSFETのソースとして機能する領域である。第1ゲート電極58又は第2ゲート電極78に適切な電圧が印加された場合に、ソース領域16とドレイン層10の間にキャリアが流れる。ソース領域16は、例えば、n
+型の半導体材料を含む。半導体装置100は、ソース領域16としての、ソース領域16a、16b、16c及び16dを含む。
【0021】
第1トレンチ50は、ベース領域14の上からドリフト層12に到達するように設けられている。
【0022】
第2トレンチ70は、ベース領域14の上からドリフト層12に到達するように設けられている。
【0023】
第1フィールドプレート電極54は、第1トレンチ50内に、第3絶縁膜52を介して設けられている。第1フィールドプレート電極54は、例えば、第1ゲート電極58とドレイン電極38の間の逆方向電界の集中を緩和して、耐圧を増加させるために設けられている。例えば、第1フィールドプレート電極54は、
図1の奥行き方向に設けられた、図示されていない部分において、上方に延びた部分を有する。そして、第1フィールドプレート電極54は、かかる上方に延びた部分を用いて、ソース電極42と電気的に接続されている。なお、第1フィールドプレート電極54とソース電極42の接続のされ方は、これに限定されるものではない。また、第1フィールドプレート電極54は、設けられていなくても良い。
【0024】
第2フィールドプレート電極74は、第2トレンチ70内に、第4絶縁膜72を介して設けられている。第2フィールドプレート電極74は、例えば、第2ゲート電極78とドレイン電極38の間の逆方向電界の集中を緩和して、耐圧を増加させるために設けられている。例えば、第2フィールドプレート電極74は、
図1の奥行き方向に設けられた、図示されていない部分において、上方に延びた部分を有する。そして、第2フィールドプレート電極74は、かかる上方に延びた部分を用いて、ソース電極42と電気的に接続されている。なお、第2フィールドプレート電極74とソース電極42の接続のされ方は、これに限定されるものではない。また、第2フィールドプレート電極74は、設けられていなくても良い。
【0025】
第3絶縁膜52は、第1トレンチ50内に設けられている。第3絶縁膜52は、第1フィールドプレート電極54をドリフト層12から絶縁する、フィールドプレート絶縁膜として機能する。例えば、第3絶縁膜52は、第1フィールドプレート電極54の周囲に、第1フィールドプレート電極54を覆うように設けられていても良い。
【0026】
絶縁膜53は、第1トレンチ50内の、第3絶縁膜52の上に設けられている。絶縁膜53としての絶縁膜53aは、ベース領域14aと第1ゲート電極58の間に設けられている。絶縁膜53としての絶縁膜53bは、ベース領域14bと第1ゲート電極58の間に設けられている。言い換えると、第1ゲート電極58は、第1トレンチ50内に、絶縁膜53aを介してベース領域14aに対向するように設けられている。また、第1ゲート電極58は、第1トレンチ50内に、絶縁膜53bを介してベース領域14bに対向するように設けられている。絶縁膜53は、第1ゲート電極58をベース領域14から絶縁する、ゲート絶縁膜として機能する。絶縁膜53aの膜厚及び絶縁膜53bの膜厚は、第3絶縁膜52の膜厚より薄い。
【0027】
第3絶縁膜52及び絶縁膜53は、第1フィールドプレート電極54及び第1ゲート電極58を、ドリフト層12、ベース領域14及びソース領域16から絶縁している。
【0028】
第4絶縁膜72は、第2トレンチ70内に設けられている。第4絶縁膜72は、第2フィールドプレート電極74をドリフト層12から絶縁する、フィールドプレート絶縁膜として機能する。例えば、第4絶縁膜72は、第2フィールドプレート電極74の周囲に、第2フィールドプレート電極74を覆うように設けられていても良い。
【0029】
絶縁膜73は、第2トレンチ70内の、第4絶縁膜72の上に設けられている。絶縁膜73としての絶縁膜73aは、ベース領域14bと第2ゲート電極78の間に設けられている。絶縁膜53としての絶縁膜73bは、ベース領域14cと第2ゲート電極78の間に設けられている。言い換えると、第2ゲート電極78は、第2トレンチ70内に、絶縁膜73aを介してベース領域14bに対向するように設けられている。また、第2ゲート電極78は、第2トレンチ70内に、絶縁膜73bを介してベース領域14cに対向するように設けられている。絶縁膜73は、第2ゲート電極78をベース領域14から絶縁する、ゲート絶縁膜として機能する。絶縁膜73aの膜厚及び絶縁膜73bの膜厚は、第4絶縁膜72の膜厚より薄い。なお、絶縁膜73は、第4絶縁膜72と同じ工程で同時に形成されていても良いし、別の工程で形成されていてもかまわない。
【0030】
第4絶縁膜72及び絶縁膜73は、第2フィールドプレート電極74及び第2ゲート電極78を、ドリフト層12、ベース領域14及びソース領域16から絶縁している。
【0031】
第5絶縁膜56は、第1フィールドプレート電極54の上に設けられている。例えば、第3絶縁膜52が第1フィールドプレート電極54を覆うように設けられている場合、第5絶縁膜56は、第3絶縁膜52の一部の上に設けられている。第5絶縁膜56は、例えばPSG(Phosphosilicate Glass)により形成された絶縁膜である。なお、第5絶縁膜56が設けられずに、第3絶縁膜52が、第5絶縁膜56が設けられた部分に形成されていてもかまわない。
【0032】
第6絶縁膜76は、第2フィールドプレート電極74の上に設けられている。例えば、第4絶縁膜72が第2フィールドプレート電極74を覆うように設けられている場合、第6絶縁膜76は、第4絶縁膜72の一部の上に設けられている。第6絶縁膜76は、例えばPSG(Phosphosilicate Glass)により形成された絶縁膜である。第6絶縁膜76は、例えば第4絶縁膜72と同時に形成される。なお、第6絶縁膜76が設けられずに、第4絶縁膜72が、第6絶縁膜76が設けられた部分に形成されていてもかまわない。
【0033】
第1ゲート電極58は、第5絶縁膜56の上に設けられている。第1ゲート電極58は、MOSFETのゲートとして機能する電極である。
【0034】
第2ゲート電極78は、第6絶縁膜76の上に設けられている。第2ゲート電極78は、MOSFETのゲートとして機能する電極である。
【0035】
層間絶縁膜60としての層間絶縁膜60aは、第1ゲート電極58の上に設けられている。層間絶縁膜60としての層間絶縁膜60bは、第2ゲート電極78の上に設けられている。
【0036】
ソース電極42は、第1電極部分42a、第2電極部分42b、第3電極部分42c、第4電極部分42d、第5電極部分42e、第6電極部分42f及び第7電極部分42gと、を有する。第7電極部分42gは、層間絶縁膜60の上にわたって設けられている。第4電極部分42d、第5電極部分42e及び第6電極部分42fは、第7電極部分42gの下に、層間絶縁膜60を貫通して設けられている。第1電極部分42aは、第4電極部分42dの下に、ベース領域14aに到達して設けられている。第2電極部分42bは、第5電極部分42eの下に、ベース領域14bに到達して設けられている。第3電極部分42cは、第6電極部分42fの下に、ベース領域14cに到達して設けられている。ソース電極42は、MOSFETのソースとして機能する電極である。例えば、第1電極部分42a、第2電極部分42b、第3電極部分42c、第4電極部分42d、第5電極部分42e、第6電極部分42f及び第7電極部分42gは、同時に形成される。しかし、第1電極部分42a、第2電極部分42b、第3電極部分42c、第4電極部分42d、第5電極部分42e、第6電極部分42f及び第7電極部分42gは、同時に形成されなくてもかまわない。
【0037】
第1p
+領域20である第1p
+領域20a
1、20a
2及び20bは、第3絶縁膜52と第2電極部分42bの間に設けられたソース領域16bと、第2電極部分42bの間に設けられている。第1p
+領域20a
1は、ソース領域16bの下面16b
1より上に設けられている。第1p
+領域20a
2は、ソース領域16bの下面16b
1より下に設けられている。第1p
+領域20bは、ソース領域16bの下面16b
1より下の、第1p
+領域20a
2の下方及び側方に設けられている。第1p
+領域20a
1、20a
2及び20bは、例えば、p
+型の半導体材料を含む。第1p
+領域20bは、不純物活性化のための熱処理の際に、第1p
+領域20a
1及び20a
2に含まれているp型不純物が拡散して形成された領域である。例えば、第1p
+領域20bのp型不純物濃度は、第1p
+領域20a
1及び20a
2のp型不純物濃度より低い。なお第1p
+領域20a
1は第1部分の一例であり、第1p
+領域20a
2は第2部分の一例である。また、ソース領域16bの下面16b
1は、第1下面の一例である。
【0038】
第2p
+領域22である第2p
+領域22a
1、22a
2及び22bは、第4絶縁膜72と第2電極部分42bの間に設けられたソース領域16cと、第2電極部分42bの間に設けられている。第2p
+領域22a
1は、ソース領域16cの下面16c
1より上に設けられている。第2p
+領域22a
2は、ソース領域16cの下面16c
1より下に設けられている。第2p
+領域22bは、ソース領域16cの下面16c
1より下の、第2p
+領域22a
2の下方及び側方に設けられている。第2p
+領域22a
1、22a
2及び22bは、例えば、p
+型の半導体材料を含む。第2p
+領域22bは、不純物活性化のための熱処理の際に、第2p
+領域22a
1及び22a
2に含まれているp型不純物が拡散して形成された領域である。例えば、第2p
+領域22bのp型不純物濃度は、第2p
+領域22a
1及び22a
2のp型不純物濃度より低い。なお第2p
+領域22a
1は第3部分の一例であり、第2p
+領域22a
2は第4部分の一例である。また、ソース領域16cの下面16c
1は、第2下面の一例である。
【0039】
ここで、ソース領域16bは、第1p
+領域20の上に延在している。また、ソース領域16cは、第2p
+領域22の上に延在している。
【0040】
同様に、第1電極部分42aと絶縁膜53aの間にp
+領域26が設けられ、第3電極部分42cと絶縁膜73bの間にp
+領域28が設けられている。
【0041】
第3p
+領域24である第3p
+領域24a及び24bは、ドリフト層12と第2電極部分42bの間に、第1p
+領域20及び第2p
+領域22と離間して設けられている。第3p
+領域24a及び24bは、例えば、p
+型の半導体材料を含む。第3p
+領域24bは、不純物活性化のための熱処理の際に、第3p
+領域24aに含まれているp型不純物が拡散して形成された領域である。例えば、第3p
+領域24bのp型不純物濃度は、第3p
+領域24aのp型不純物濃度より低い。
【0042】
同様に、第1電極部分42aとドリフト層12の間にp
+領域30が設けられ、第3電極部分42cとドリフト層12の間にp
+領域32が設けられている。
【0043】
バリアメタル36は、ベース領域14、ソース領域16、第1p
+領域20、第2p
+領域22、第3p
+領域24、p
+領域26、p
+領域28、p
+領域30及び層間絶縁膜60と、ソース電極42との間に設けられている。バリアメタル36は、ソース電極42と、半導体装置100に用いられている半導体材料との、反応防止のために用いられる膜である。バリアメタル36は、例えばTi(チタン)、TiN(窒化チタン)、Ta(タンタル)又はTaN(窒化タンタル)等を含む。
【0044】
例えば、
図2に示すように、第3p
+領域24aは、第2電極部分42bの底面に設けられたバリアメタル36aと接している。また、例えば、
図2に示すように、第1p
+領域20である第1p
+領域20a
1、20a
2及び20bは、第2電極部分42bの左側面に設けられたバリアメタル36bと接している。また、例えば、
図2に示すように、第2p
+領域22である第2p
+領域22a
1、22a
2及び22bは、第2電極部分42bの右側面に設けられたバリアメタル36cと接している。バリアメタル36dは、第5電極部分42e及びソース領域16bと接している。バリアメタル36eは、第5電極部分42e及びソース領域16cと接している。バリアメタル36fは、層間絶縁膜60a及び第5電極部分42eと接している。バリアメタル36gは、層間絶縁膜60b及び第5電極部分42eと接している。バリアメタル36hは、第7電極部分42g及び層間絶縁膜60aと接している。バリアメタル36iは、第7電極部分42g及び層間絶縁膜60bと接している。なお、バリアメタル36aは第1バリアメタル部の一例である。また、バリアメタル36bは第2バリアメタル部の一例である。また、バリアメタル36cは第3バリアメタル部の一例である。また、バリアメタル36dは第4バリアメタル部の一例である。また、バリアメタル36eは第5バリアメタル部の一例である。また、バリアメタル36fは第6バリアメタル部の一例である。また、バリアメタル36gは第7バリアメタル部の一例である。また、バリアメタル36hは第8バリアメタル部の一例である。また、バリアメタル36iは第9バリアメタル部の一例である。
【0045】
ドレイン層10、ドリフト層12、ベース領域14、ソース領域16、第1p
+領域20、第2p
+領域22、第3p
+領域24、p
+領域26、p
+領域28、p
+領域30及びp
+領域32に用いられる半導体材料は、例えばシリコン(Si)である。しかし、ドレイン層10、ドリフト層12、ベース領域14、ソース領域16、第1p
+領域20、第2p
+領域22、第3p
+領域24、p
+領域26、p
+領域28、p
+領域30及びp
+領域32に用いられる半導体材料は、例えば炭化シリコン(SiC)、窒化ガリウム(GaN)又はヒ化ガリウム(GaAs)等の他の半導体材料であってもかまわない。
【0046】
半導体材料としてシリコンが用いられる場合、n型不純物としては例えばヒ素(As)、リン(P)又はアンチモン(Sb)を、またp型不純物としては例えばB(ホウ素)を、それぞれ用いることができる。
【0047】
第1ゲート電極58、第2ゲート電極78、第1フィールドプレート電極54及び第2フィールドプレート電極74は、不純物を含むポリシリコン等の導電材料を含む。
【0048】
第3絶縁膜52、第4絶縁膜72及び層間絶縁膜60は、酸化シリコン又は窒化シリコン(SiN)等の絶縁材料を含む。
【0049】
ドレイン電極38及びソース電極42は、例えばアルミニウム(Al)等の金属を含む。
【0050】
図3ないし
図9は、本実施形態の半導体装置100の製造工程を示す模式断面図である。
【0051】
まず、ドレイン層10の上に、例えばエピタキシャル成長により、ドリフト層12を形成する。例えば、ドレイン層10を半導体基板とし、ドレイン層10の上にエピタキシャル成長によりドリフト層12を形成する。次に、例えばフォトリソグラフィー及びRIE(Reactive Ion Etching)を用いて、ドリフト層12に第1トレンチ50及び第2トレンチ70を形成する(
図3)
【0052】
次に、例えば特許文献2(特開2018−046253号公報)記載の製造方法を用い、
図4に示された製造途中の半導体装置を形成する。
【0053】
次に、例えばCVDにより、ソース領域16、第1ゲート電極58及び第2ゲート電極78の上に、層間絶縁膜60を形成する(
図5)。
【0054】
次に、例えばフォトリソグラフィー及びRIEによりエッチングを行い、層間絶縁膜60にトレンチ82a、トレンチ82b及びトレンチ82cを形成する。次に、例えばRIEにより、それぞれトレンチ82a、トレンチ82b及びトレンチ82cの下に、ベース領域14に到達するトレンチ80a、トレンチ80b及びトレンチ80cを形成する(
図6)。なお形成されたトレンチ80及びトレンチ82の形は、
図6に示したような、下方に向かって幅が狭くなっていくものであってもかまわない。
【0055】
次に、薬液を用いて層間絶縁膜60を選択的にエッチングし、トレンチ82a、82b及び82cの幅を広げる(
図7)。
【0056】
次に、例えばp型不純物の一例であるBのイオン注入により、第1p
+領域20、第2p
+領域22、第3p
+領域24、p
+領域26、p
+領域28、p
+領域30及びp
+領域32をそれぞれ形成する(
図8)。次に、不純物活性化のため、適宜熱処理を行う。
【0057】
次に、トレンチ80内、トレンチ82内及び層間絶縁膜60の側面及び上面に、例えばスパッタリングを用いて、バリアメタル36を形成する(
図9)。
【0058】
次に、例えばCVD又はPVD(Physical Vapor Deposition)を用いて、ソース電極42及びドレイン電極38を形成する。以上により、本実施形態の半導体装置を得る。
【0059】
次に、本実施形態の半導体装置100の作用効果を記載する。
【0060】
従前、複数のソース領域16の間にベース領域14を設ける構造が用いられていた。一方で、上記の構造を微細化するために、複数のソース領域16の下にベース領域14を設け、複数のソース領域16の間にベース領域14に到達するソース電極42の一部(例えば第2電極部分42b)を設け、ソース領域16及びベース領域14とソース電極42を電気的に接続させる構造が用いられるようになった。
【0061】
ここで、半導体装置100に逆方向電圧が加わった場合には、ベース領域14をホールが移動する。そして、かかるホールは、ベース領域14に到達するソース電極42の一部に向かって流れる。本来ベース領域14の電圧は、逆方向電圧が加わったときの素子破壊を抑制するために、ソース電極42の電位と等しいことが好ましい。しかし、ベース領域14の電位とソース電極42の電位の間に電位差が発生すると、ソース領域16、ベース領域14及びドリフト層12により形成される寄生バイポーラトランジスタが動作し、素子破壊が発生してしまう。そのため、ベース領域14の電位とソース電極42の電位の間に電位差が発生しないようにすることが求められていた。
【0062】
この素子破壊を抑制するために、第2電極部分42bの下に、ベース領域14よりもp型不純物濃度の高い第3p
+領域24を設けることが考えられる。第3p
+領域24のホールの伝導度はベース領域14のホール伝導度より高いため、ベース領域14にソース電極42の電位との電位差が発生しにくくなるためである。
【0063】
ここで、ベース領域14内にp型不純物濃度が高い領域を設ける場合、p型不純物がMOSFETのチャネルにまで拡散すると、MOSFETの閾値電圧V
thが増加してしまう。一般に、MOSFETの閾値電圧V
thとアバランシェ耐量には二律背反(トレードオフ)の関係がある。そのため、閾値電圧V
thの増加を抑制しつつ、アバランシェ耐量を増加させることが望まれていた。
【0064】
本実施形態の半導体装置100は、ソース領域16bと第2電極部分42bの間に設けられ、ベース領域14よりもp型不純物濃度の高い第1p
+領域20と、ソース領域16cと第2電極部分42bの間に設けられ、ベース領域14よりもp型不純物濃度の高い第2p
+領域22と、を備える。ここで、第3p
+領域24は、第1p
+領域20及び第2p
+領域22と離間して設けられている。第1p
+領域20及び第2p
+領域22のホール伝導度はベース領域14のホール伝導度よりも高いため、さらにベース領域14にソース電極42の電位との電位差が発生しにくくなる。
【0065】
図10は、本実施形態の半導体装置100の作用効果を説明するための模式図である。ベース領域14内におけるMOSFETのチャネル及びその近傍のA点、及びA点よりもドリフト層12に近い、MOSFETのチャネル及びその近傍のB点が示されている。
図10中「ソース領域」はチャネル近傍のキャリア濃度(電子濃度)である。
図10中「ベース領域その1」は、第1p
+領域20及び第2p
+領域22を設けない場合の、チャネル近傍のキャリア濃度(ホール濃度)である。
図10中「ベース領域その2」は、第1p
+領域20及び第2p
+領域22を設けた場合の、チャネル近傍のキャリア濃度(ホール濃度)である。
【0066】
A点におけるp型不純物濃度は、第1p
+領域20及び第2p
+領域22を設けなくても、比較的高い。そのため、新たに第1p
+領域20及び第2p
+領域22を設け、p型不純物がA点に拡散しても、A点では電子濃度がホール濃度に比べてはるかに高いため、閾値電圧V
thに与える影響は少ない。これに対して、B点におけるp型不純物濃度は、第1p
+領域20及び第2p
+領域22を設けない場合、比較的低い。もし、第1p
+領域20及び第2p
+領域22を、第3p
+領域24と離間せずに設けた場合には、B点に拡散するp型不純物の量が多くなりすぎて、閾値電圧V
thが増加してしまう。そのために、アバランシェ耐量が低下してしまう。本実施形態のように、第3p
+領域24を、第1p
+領域20及び第2p
+領域22と離間して設けることにより、閾値電圧V
thの増加を抑制することが可能となる。
【0067】
第1p
+領域20は、ソース領域16bの下面16b
1より上に設けられた第1p
+領域20a
1と、ソース領域16bの下面16b
1より下に設けられた第1p
+領域20a
2及び第1p
+領域20bを有している。また、第2p
+領域22は、ソース領域16cの下面16c
1より上に設けられた第2p
+領域22a
1と、ソース領域16cの下面16c
1より下に設けられた第2p
+領域22a
2及び第2p
+領域22bを有している。これは、ソース領域16の下面より下にp型不純物密度の高い領域を設け、ホールがより第2電極部分42bに流れやすくなるようにするためである。
【0068】
ソース領域16bは、第1p
+領域20の上に延在している。また、ソース領域16cは、第2p
+領域22の上に延在している。これは、ソース領域16b及びソース領域16cと第2電極部分42bをよく電気的に接続させて、ソース領域16の電位を下げるためである。
【0069】
本実施形態の半導体装置100によれば、信頼性の高い半導体装置の提供が可能となる。
【0070】
(第2実施形態)
本実施形態の半導体装置110は、ドレイン層とドリフト層が積層された方向に垂直な方向における第1部分の第1幅は、ドレイン層とドリフト層が積層された方向に垂直な方向における第2部分の第2幅より大きく、ドレイン層とドリフト層が積層された方向に垂直な方向における第3部分の第3幅は、ドレイン層とドリフト層が積層された方向に垂直な方向における第4部分の第4幅より大きい点で、第1実施形態の半導体装置100と異なっている。ここで、第1実施形態と重複する点の記載は省略する。
【0071】
図11は、本実施形態の半導体装置110の要部の模式断面図である。第1p
+領域20a
1の第1幅d
1は第1p
+領域20a
2の第2幅d
2より大きく、第2p
+領域22a
1の第3幅d
3は第2p
+領域22a
2の第4幅d
4より大きい。ここで幅は、XY面に平行な方向の長さである。
【0072】
第2電極部分42bとMOSFETのチャネルの距離を短くすれば、ベース領域14を流れるホールの抵抗は低下する。しかし、本実施形態の半導体装置110によれば、第2電極部分42bとMOSFETのチャネルの距離を短くすることなく、p
+領域の体積を大きくして、ベース領域14を流れるホールの抵抗を小さくすることができる。これにより、信頼性の高い半導体装置の提供が可能となる。
【0073】
(第3実施形態)
本実施形態の半導体装置120は、第1絶縁膜と第3電極の間に設けられた第2半導体領域は、第3半導体領域の上及び第3半導体領域と第3電極の間に延在し、第2絶縁膜と第3電極の間に設けられた第2半導体領域は、第4半導体領域の上及び第4半導体領域と第3電極の間に延在する点で、第1実施形態の半導体装置100及び第2実施形態の半導体装置110と異なっている。また、第3半導体領域の第3下面は第1半導体領域と接し、第4半導体領域の第4下面は第1半導体領域と接する点で、第1実施形態の半導体装置100及び第2実施形態の半導体装置110と異なっている。ここで、第1及び第2実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0074】
図12は、本実施形態の半導体装置120の要部の模式断面図である。
【0075】
ソース領域16bは、第1p
+領域20の上及びソース領域16bと第2電極部分42bの間に延在している。ソース領域16cは、第2p
+領域22の上及びソース領域16cと第2電極部分42bの間に延在している。
【0076】
半導体装置120においては、第1p
+領域20は、第2電極部分42bの左側面に設けられたバリアメタル36bと接していない。また、第2p
+領域22は、第2電極部分42bの右側面に設けられたバリアメタル36cと接していない。
【0077】
本実施形態の半導体装置120によっても、第2電極部分42bとMOSFETのチャネルの距離を短くすることなく、p
+領域の体積を大きくして、ベース領域14をホールが流れるときの抵抗を小さくすることができる。これにより、信頼性の高い半導体装置の提供が可能となる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。