特開2021-150537(P2021-150537A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝デバイス&ストレージ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2021150537-半導体装置及びその製造方法 図000003
  • 特開2021150537-半導体装置及びその製造方法 図000004
  • 特開2021150537-半導体装置及びその製造方法 図000005
  • 特開2021150537-半導体装置及びその製造方法 図000006
  • 特開2021150537-半導体装置及びその製造方法 図000007
  • 特開2021150537-半導体装置及びその製造方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-150537(P2021-150537A)
(43)【公開日】2021年9月27日
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20210830BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20210830BHJP
【FI】
   H01L21/78 S
   H01L21/52 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-50007(P2020-50007)
(22)【出願日】2020年3月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】山内 英敬
【テーマコード(参考)】
5F047
5F063
【Fターム(参考)】
5F047AA00
5F047BA05
5F063AA50
5F063BA22
5F063BB02
5F063CB08
5F063CB27
5F063DD42
5F063DD46
(57)【要約】
【課題】信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】基板と、基板の上に設けられた電極層と、電極層の上に設けられ、基板の基板面に対して第1角度を取る第1側面部と、第1側面部の下に設けられ、基板面に対して第1角度より小さな第2角度を取る第2側面部と、を有する半導体チップと、電極層及び半導体チップの周囲に設けられ、第1側面部及び第2側面部と接している樹脂と、を備える半導体装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に設けられた電極層と、
前記電極層の上に設けられ、前記基板の基板面に対して第1角度を取る第1側面部と、前記第1側面部の下に設けられ、前記基板面に対して前記第1角度より小さな第2角度を取る第2側面部と、を有する半導体チップと、
前記電極層及び前記半導体チップの周囲に設けられ、前記第1側面部及び前記第2側面部と接している樹脂と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第1側面部は、前記第1側面部に平行な方向において、第1ピッチで形成された複数の第1スキャロップを有し、
前記第2側面部は、前記第2側面部に平行な方向において、第2ピッチで形成された複数の第2スキャロップを有する、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2ピッチは前記第1ピッチより大きい、
請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1ピッチは10μm以下であり、
前記第2ピッチは10μm以下である、
請求項2又は請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
電極層を下に有する半導体基板の上に設けられ、第1幅の第1開口部を有するマスクを用いて、前記第1開口部の下に設けられた、前記半導体基板の第1部分の第1エッチングを行うことにより、第1側面部を有する第1間隙を形成し、
前記第1間隙の下の前記半導体基板の第2部分の第2エッチングを行うことにより、第2側面部を有する、逆テーパー形状の第2間隙を形成し、
前記第2間隙を形成することにより前記半導体基板を分断して半導体チップを形成し、
前記電極層及び前記半導体チップを基板の上に配置し、
前記基板の上の前記半導体チップの周囲に樹脂を形成する、
半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1エッチングを行うことにより、前記第1側面部に平行な方向において、第1ピッチで形成された複数の第1スキャロップを前記第1側面部に形成し、
前記第2エッチングを行うことにより、前記第2側面部に平行な方向において、第2ピッチで形成された複数の第2スキャロップを前記第2側面部に形成する、
請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2ピッチは前記第1ピッチより大きい、
請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記複数の第1スキャロップの第1ピッチは10μm以下であり、
前記複数の第2スキャロップの第2ピッチは10μm以下である、
請求項6又は請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1エッチングは、異方性エッチングである第3エッチングと、前記第3エッチングの後に行われる、等方性エッチングである第4エッチングと、の繰り返しであり、
前記第2エッチングは、異方性エッチングである第5エッチングと、前記第5エッチングの後に行われる、等方性エッチングである第6エッチングと、の繰り返しであり、
前記第6エッチングの時間は、前記第4エッチングの時間より長く、
前記第6エッチングの時間は、前記繰り返しの度に所定時間追加されて長くなる、
請求項5乃至請求項8いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体チップを有する半導体装置は、電力変換等の用途に用いられる。このような半導体チップは、樹脂で封止されて用いられる。樹脂による封止状態は良好であることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−139370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性の高い半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、基板と、基板の上に設けられた電極層と、電極層の上に設けられ、基板の基板面に対して第1角度を取る第1側面部と、第1側面部の下に設けられ、基板面に対して第1角度より小さな第2角度を取る第2側面部と、を有する半導体チップと、電極層及び半導体チップの周囲に設けられ、第1側面部及び第2側面部と接している樹脂と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図2】実施形態の半導体装置の要部の模式断面図である。
図3】実施形態の半導体装置の製造工程を示す模式断面図である。
図4】実施形態の半導体装置の要部の製造工程を示す模式断面図である。
図5】実施形態の半導体装置の要部の製造工程を示す模式断面図である。
図6】比較形態となる半導体装置の製造工程を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0008】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0009】
(実施形態)
実施形態の半導体装置は、基板と、基板の上に設けられた電極層と、電極層の上に設けられ、基板の基板面に対して第1角度を取る第1側面部と、第1側面部の下に設けられ、基板面に対して第1角度より小さな第2角度を取る第2側面部と、を有する半導体チップと、電極層及び半導体チップの周囲に設けられ、第1側面部及び第2側面部と接している樹脂と、を備える。
【0010】
図1は、実施形態の半導体装置100の模式断面図である。実施形態の半導体装置100は、例えばMOSFETである。
【0011】
半導体装置100は、基板2と、電極層6と、半導体チップ10と、樹脂20と、を備える。
【0012】
基板2は、基板面4を有する。基板2は、例えば、金属材料や、半導体材料を含む。ここで金属材料は、例えばCu(銅)、Al(アルミニウム)、Ni(ニッケル)、Ag(銀)又はAu(金)等である。また、半導体材料は、例えばSi(シリコン)、SiC(炭化珪素)、GaAs(ヒ化ガリウム)、又はGaN(窒化ガリウム)等である。しかし、基板2は、例えば樹脂材料を含む樹脂基板であってもかまわない。
【0013】
電極層6は、基板2の基板面4の上に設けられている。電極層6は、例えば基板面4と接合されている。電極層6は、例えば、MOSFETのドレイン電極として機能する。電極層6は、金属材料を含む。ここで金属材料は、例えばCu(銅)、Al(アルミニウム)、Ni(ニッケル)、Ag(銀)又はAu(金)等であるが、これに限定されるものではない。また、電極層6は、半導体チップ10の一部となっていてもかまわない。
【0014】
半導体チップ10は、電極層6の上に設けられている。例えば、電極層6は、半導体チップ10の裏面電極である。例えば、半導体チップ10の底面は、電極層6と電気的に接続されている。半導体チップ10は、側面に、第1側面部12と、第2側面部16を有する。第1側面部12は、基板面4に対して第1角度θを取っている。第1角度θは例えば90度である。図1においては、第1角度θは90度として図示をしているが、第1角度θは90度に限定されるものではない。第2側面部16は、第1側面部12の下に設けられている。第2側面部16は、基板面4に対して第1角度θより小さな第2角度θを取っている。なお、図1においては、第1角度θ及び第2角度θを、いずれも、基板面4から反時計回りにとった角度としている。後述する図2においても同様である。
【0015】
樹脂20は、電極層6及び半導体チップ10の周囲に設けられている。樹脂20は、基板面4、電極層6、半導体チップ10の上面、第1側面部12及び第2側面部16と接し、電極層6及び半導体チップ10を封止している。樹脂20は、例えばエポキシ樹脂等の封止樹脂である。また、樹脂20は、さらにシリカ(SiO)等のフィラーを含有していてもかまわない。ただし、樹脂20の種類は、これに限定されるものではない。
【0016】
図2は、実施形態の半導体装置100の要部の模式断面図である。なお、図2においては、樹脂20の図示を省略している。
【0017】
第1側面部12は、第1ピッチdで形成された複数の第1スキャロップ14を有する。図2には、複数の第1スキャロップ14としての、第1スキャロップ14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14h、14i及び14jが図示されている。第2側面部16は、第2ピッチdで形成された複数の第2スキャロップ18を有する。図2には、複数の第2スキャロップ18としての、第2スキャロップ18a、18b、18c及び18dが図示されている。第1ピッチd及び第2ピッチdは、10μm以下であることが好ましい。そして、樹脂20は、複数の第1スキャロップ14及び複数の第2スキャロップ18と接している。第2ピッチdは、第1ピッチdより大きい、すなわちd>dであることが好ましい。
【0018】
複数の第1スキャロップ14及び複数の第2スキャロップ18は、例えばSiを含む基板2をプラズマエッチングにより切断する際に、形成されるものである。ここでかかるプラズマエッチングは、後述するように、例えば、F(フッ素)系ラジカルを用いた等方性エッチング、CF(四フッ化炭素)系ラジカルを含む保護膜の形成、及びF系イオンを用いた異方性エッチングを繰り返すことにより行われる。このようなプラズマエッチングにより、貝殻状の形状を有するスキャロップが形成されている。具体的には、複数の第1スキャロップ14が第1側面部12に形成されており、複数の第2スキャロップ18が第2側面部16に形成されている。
【0019】
なお、第1角度θは、それぞれの第1スキャロップ14の間に設けられた複数の頂点15を結んだ線分と、基板面4のなす角とする。図2には、頂点15として、頂点15a、15b、15c、15d、15e、15f、15g、15h及び15iが示されている。また、第2角度θは、それぞれの第2スキャロップ18の間に設けられた複数の頂点19を結んだ線分と、基板面4のなす角とする。図2には、頂点19として、頂点19a、19b及び19cが示されている。
【0020】
図3は、実施形態の半導体装置100の製造工程を示す模式断面図である。
【0021】
実施形態の半導体装置の製造方法は、電極層6を下に有する半導体基板70の上に設けられ、第1幅Lの第1開口部62を有するマスクを用いて、第1開口部62の下に設けられた、前記半導体基板の第1部分72の第1エッチングを行うことにより、第1側面部12を有する第1間隙74を形成し、第1間隙74の下の半導体基板70の第2部分76の第2エッチングを行うことにより、第2側面部16を有する、逆テーパー形状の第2間隙78を形成し、第2間隙78を形成することにより半導体基板70を分断して半導体チップ10を形成し、電極層6及び半導体チップ10を基板2の上に配置し、基板2の上の半導体チップ10の周囲に樹脂20を形成する。
【0022】
半導体基板70は、半導体チップ10が形成される基板である。半導体基板の上面70aの上には、例えばフォトマスクであるマスク60が設けられている。マスク60は、第1幅Lの第1開口部62を有している。半導体基板の下面70bの下には、電極層6が設けられている。電極層6は、第1幅Lよりも長い第2幅Lの第2開口部8を有している。第2開口部8は、第1開口部62の下に設けられている。第1開口部62及び第2開口部8は、それぞれダイシング用のスクライブラインである。半導体チップ10が有するMOSFETは、例えば、半導体基板の上面70aに形成されている。電極層6は、公知のダイシングテープ90の上に固定されている(図3(a))。
【0023】
ここで、第1開口部62の下に設けられた、半導体基板70の第1部分72のエッチング(第1エッチングの一例)をおこなう。これにより、第1開口部62の下に、第1間隙74を形成する(図3(b))。第1間隙74は、例えば、半導体基板の上面70a又は下面70bに平行に、ストライプ状に形成される。半導体基板70の第1間隙74の側面は、第1側面部12である、第1側面部12a及び第2側面部12bとなる。
【0024】
次に、第1間隙74の下に設けられた、半導体基板70の第2部分76のエッチング(第2エッチングの一例)を行う。これにより、逆テーパー形状を有する第2間隙78を形成する。第2間隙78は、第2開口部8と第1間隙74を接続している。また、第2間隙78は、例えば、半導体基板の上面70a又は下面70bに平行に、ストライプ状に形成される。これにより、半導体基板70は分断され、半導体チップ10a及び半導体チップ10bが形成される。第2間隙78の側面は、第2側面部16である、第2側面部16a及び第2側面部16bとなる(図3(c))。
【0025】
次に、ダイシングテープ90を電極層6から剥離する。次に、電極層6及び半導体チップ10を、図3において図示しない基板2の上に配置する。次に、基板2の上の電極層6及び半導体チップの周囲に、図3において図示しない樹脂20を形成する。これにより、実施形態の半導体装置100を得る。
【0026】
図4は、実施形態の半導体装置100の要部の製造工程を示す模式断面図である。図4は、第1間隙74の製造工程を示す模式断面図である。
【0027】
半導体基板70の上に、第1幅Lの第1開口部62を有するマスク60が設けられている。第1開口部62の下に、間隙80aが形成されている。間隙80aの側面には、第1スキャロップ14aが形成されている。ここで、間隙80aの側面及び底面に、CF(四フッ化炭素)系ラジカルを用いて保護膜82aを形成する(図4(a))。
【0028】
次に、例えばSF(六フッ化硫黄)で構成されたF系イオンを用いて、異方性エッチングにより、間隙80aの底面に形成された保護膜82aの一部を除去する(図4(b))。なお、図4(b)を用いて説明した異方性エッチングは、第3エッチングの一例である。
【0029】
次に、間隙80aの底面の下に、例えばSFで構成されたF(フッ素)系ラジカルを用いた等方性エッチングにより、間隙80bを形成する。間隙80bの側面には、第1スキャロップ14bが形成される。次に、間隙80bの側面及び底面に、CF(四フッ化炭素)系ラジカルを用いて保護膜82bを形成する(図4(c))なお、図4(c)を用いて説明した等方性エッチングは、第4エッチングの一例である。
【0030】
以上の工程を繰り返し行うことにより、第1間隙74を形成する。すなわち、第1エッチングは、第3エッチングと、第4エッチングと、の繰り返しである。
【0031】
図5は、実施形態の半導体装置100の要部の製造工程を示す模式断面図である。図5は、第2間隙78の製造工程を示す模式断面図である。
【0032】
間隙84aの側面には、第2スキャロップ18aが形成されている。ここで、間隙84aの側面及び底面に、CF(四フッ化炭素)系ラジカルを用いて保護膜86aを形成する(図5(a))。
【0033】
次に、例えばSF(六フッ化硫黄)で構成されたF系イオンを用いて、異方性エッチングにより、間隙84aの底面に形成された保護膜86aの一部を除去する(図5(b))。なお、図5(b)を用いて説明した異方性エッチングは、第5エッチングの一例である。
【0034】
次に、間隙84aの底面の下に、例えばSFで構成されたF(フッ素)系ラジカルを用いた等方性エッチングにより、間隙84bを形成する。間隙84bの側面には、第2スキャロップ18bが形成される。ここで、例えば、間隙80bを形成する際の等方性エッチングの時間よりも、間隙84bを形成する際の等方性エッチングの時間を長くする。これにより、図2を用いて説明したように、第2ピッチdが第1ピッチdより大きくなる(図2)。また、第2間隙78の形状が、逆テーパー形状となる。次に、間隙84bの側面及び底面に、CF(四フッ化炭素)系ラジカルを用いて保護膜86bを形成する(図5(c))。なお、図5(c)を用いて説明した等方性エッチングは、第6エッチングの一例である。
【0035】
以上の工程を繰り返し行うことにより、第2間隙78を形成する。すなわち、第2エッチングは、第5エッチングと、第6エッチングと、の繰り返しである。さらに、第6エッチングの時間は、繰り返しの度に、長くなる。これにより、上述の逆テーパー形状が形成される。なお、第6エッチングの時間は、例えば、繰り返しの度に所定時間が追加される形で長くなってもかまわない。また、第6エッチングの時間は、他の態様で、繰り返しの度に長くなってもかまわないものであり、特に限定されるものではない。
【0036】
次に、実施形態の作用効果を記載する。
【0037】
図6は、比較形態となる半導体装置800の製造工程を示す模式断面図である。
【0038】
電極層6を下に有する半導体基板70のダイシングにおいて、電極層6の一部を除去して第2開口部8を形成した後に、第1開口部62を有するマスク60を半導体基板70の上に形成することを考える。ここで、第1開口部62及び第2開口部8はスクライブラインとして用いられるため、第1開口部62は第2開口部8の上に配置されるように形成される。
【0039】
マスク60を形成してから、ダイシングを行う場合、第2開口部8の第2幅Lを第1開口部62の第1幅Lより長くすることが好ましい。これは、第2開口部8の位置を半導体基板70の上方から観察することが困難であるため、あらかじめ第2幅Lを長くすることにより、第2開口部8の上に第1開口部62を確実に形成するためのものである。言い換えると、電極層6の第2開口部8に対するアライメントマージン(位置ずれマージン)を考慮するためである(図6(a))。
【0040】
しかし、図6(b)に示すように、半導体基板70の基板面に垂直な間隙92を形成してダイシングをおこなった場合には、半導体チップ10a及び半導体チップ10bの下面(底面)に、電極層6が形成されていない部分が形成される。そのため、樹脂20で封止する場合に、電極層6が形成されていない部分の周囲に樹脂20が入り込むことが出来ずに、ボイドVが形成されてしまう。そのため、樹脂20にクラック等が入り、半導体装置100の信頼性が低下するという問題があった。
【0041】
そこで、実施形態の半導体装置100は、電極層6の上に設けられ、基板2の基板面4に対して第1角度θを取る第1側面部12と、第1側面部12の下に設けられ基板面4に対して第1角度θより小さな第2角度θを取る第2側面部16と、を有する半導体チップ10を備える。このような第2側面部16を有することにより、良好に樹脂20が第2側面部16に入り込むため、ボイドVの形成が抑制される。そのため、信頼性の高い半導体装置の提供が可能となる。
【0042】
また、実施形態のようなプラズマエッチングを行う場合、第1側面部12には複数の第1スキャロップ14が、また第2側面部16には複数の第2スキャロップ18が、それぞれ形成される。複数の第1スキャロップ14の第1ピッチd及び複数の第2スキャロップ18の第2ピッチdは10μm以下と小さいため、樹脂20が第1スキャロップ14及び第2スキャロップ18に入り込んだ場合には樹脂と第1側面部12又は第2側面部16との接触性が向上し、より高い信頼性が得られる。一方、樹脂20が入り込まなかったとしても、形成されるボイドの大きさが極めて小さいため、信頼性には影響を及ぼさない。なお、複数の第1スキャロップ14の第1ピッチP及び複数の第2スキャロップ18の第2ピッチPが10μmより大きい場合には、ボイドが形成され信頼性が低下するおそれがある。
【0043】
実施形態の製造方法では、電極層6を下に有する半導体基板70の上に設けられ、第1幅Lの第1開口部62を有するマスクを用いて、第1開口部62の下に設けられた、前記半導体基板の第1部分72の第1エッチングを行うことにより、第1側面部12を有する第1間隙74を形成し、第1間隙74の下の半導体基板70の第2部分76の第2エッチングを行うことにより、第2側面部16を有する、逆テーパー形状の第2間隙78を形成し、第2間隙78を形成することにより半導体基板70を分断して半導体チップ10を形成し、電極層6及び半導体チップ10を基板2の上に配置し、基板2の上の半導体チップ10の周囲に樹脂20を形成する。そして、第1エッチングを行うことにより、第1側面部12に平行な方向において、第1ピッチで形成された複数の第1スキャロップ14を第1側面部12に形成し、第2エッチングを行うことにより、第2側面部16に平行な方向において、第2ピッチで形成された複数の第2スキャロップ18を第2側面部16に形成する。これにより、半導体チップ10の側面及び電極層6が形成されていない半導体チップ10の下面(底面)におけるボイドVの形成が抑制され、信頼性の高い半導体装置が形成される。
【0044】
また、第1エッチングは、異方性エッチングである第3エッチングと、前記第3エッチングの後に行われる、等方性エッチングである第4エッチングと、の繰り返しであり。さらに、第2エッチングは、異方性エッチングである第5エッチングと、前記第5エッチングの後に行われる、等方性エッチングである第6エッチングと、の繰り返しである。そして、第6エッチングの時間は、前記第4エッチングの時間より長い。さらに、第6エッチングの時間は、繰り返しの度に、長くなる。これにより、逆テーパー形状を有する第2間隙が形成され、ボイドVの形成が抑制される。なお、第6エッチングの時間を、第4エッチングの時間より長くすると、第2ピッチdが第1ピッチdより大きく(d>d)なる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
2 基板
4 基板面
6 電極層
8 第2開口部
10 半導体チップ
12 第1側面部
14 第1スキャロップ
16 第2側面部
18 第2スキャロップ
20 樹脂
60 マスク
62 第1開口部
70 半導体基板
72 第1部分
74 第1間隙
76 第2部分
78 第2間隙
80 間隙
82 保護膜
90 ダイシングテープ
100 半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6