特開2021-150538(P2021-150538A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-150538(P2021-150538A)
(43)【公開日】2021年9月27日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20210830BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20210830BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20210830BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20210830BHJP
   H01L 29/49 20060101ALI20210830BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20210830BHJP
【FI】
   H01L29/78 652Q
   H01L29/78 653C
   H01L29/78 652N
   H01L29/78 652D
   H01L29/78 652K
   H01L29/78 652P
   H01L29/06 301F
   H01L29/06 301V
   H01L29/78 652T
   H01L29/58 G
   H01L29/44 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-50008(P2020-50008)
(22)【出願日】2020年3月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】新井 雅俊
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104AA03
4M104AA04
4M104AA05
4M104BB01
4M104CC05
4M104FF02
4M104FF03
4M104FF10
4M104GG09
4M104GG18
4M104HH18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置において、第1半導体領域14の上から第1領域90に到達する第1トレンチ50a、b内に、第1絶縁膜54a、bを介して第1半導体領域に対向して設けられ、第1半導体層10の上に設けられた第1電極と電気的に接続された第2電極56a、56bと、第1トレンチ内の第2電極の下に、第2絶縁膜52a、bを介して第1領域90に対向して設けられ、第3電極70と電気的に接続された第4電極58ab、と、第3半導体領域24の上から第2領域92に到達する第2トレンチ60a、b内に、第3絶縁膜64a、bを介して第3半導体領域24に対向して設けられた、第1電極と電気的に接続された第5電極66a、bと、第2トレンチ内の第5電極の下に、第4絶縁膜62a、62bを介して第2領域に対向して設けられ、第1電極と電気的に接続された第6電極68a、bと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられた、第1領域及び第2領域を有する、第1導電型の第2半導体層と、
前記第1領域の上に設けられた、第2導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の上に設けられた、第1導電型の第2半導体領域と、
前記第1半導体領域の上から前記第1領域に到達する第1トレンチ内に、第1絶縁膜を介して前記第1半導体領域に対向して設けられ第2電極であって、前記第1半導体層の上に設けられた第1電極と電気的に接続された第2電極と、
前記第1トレンチ内の前記第2電極の下に、第2絶縁膜を介して前記第1領域に対向して設けられた第4電極であって、前記第2半導体領域の上に設けられ前記第2半導体領域と電気的に接続された第3電極と電気的に接続された第4電極と、
前記第2領域の上に設けられた、第2導電型の第3半導体領域と、
前記第3半導体領域の上に設けられた、第1導電型の第4半導体領域と、
前記第3半導体領域の上から前記第2領域に到達する第2トレンチ内に、第3絶縁膜を介して前記第3半導体領域に対向して設けられた第5電極であって、前記第1電極と電気的に接続された第5電極と、
前記第2トレンチ内の前記第5電極の下に、第4絶縁膜を介して前記第2領域に対向して設けられた第6電極であって、前記第1電極と電気的に接続された第6電極と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記半導体装置は半導体チップであり、
前記第2領域は前記第1領域よりも前記半導体チップの端部側に設けられている請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
複数の前記第2領域を有し、前記第1領域は複数の前記第2領域の間に設けられている請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1半導体層及び前記第2半導体層が積層された方向に垂直な面内における前記第1領域の大きさは、前記面内における前記第2領域の大きさよりも大きい請求項1乃至請求項3いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1電極は、前記第2電極の上に第5絶縁膜を介して設けられており、
前記第1電極は、前記第5絶縁膜内に設けられた第1接続電極を介して前記第2電極と電気的に接続されており、
前記第1電極は、前記第5絶縁膜内に設けられた第2接続電極を介して前記第5電極と電気的に接続されており、
前記第1電極は、前記第5絶縁膜内に設けられた第3接続電極を介して前記第6電極と電気的に接続されており、
前記第3電極は、前記第5絶縁膜内に設けられた第4接続電極を介して前記第4電極と電気的に接続されている請求項1乃至請求項4いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体装置を上から見た場合において、前記第2接続電極と前記第3接続電極の間に前記第3電極が設けられている請求項5記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体チップを有する半導体装置は、電力変換等の用途に用いられる。上述の半導体装置が縦型のMOSFETである場合、ゲート電極やソース電極は、例えばMOSFETの上面に設けられたゲートメタルやソースメタルと接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−139262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性の高い半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1導電型の第1半導体層と、第1半導体層の上に設けられた、第1領域及び第2領域を有する、第1導電型の第2半導体層と、第1領域の上に設けられた、第2導電型の第1半導体領域と、第1半導体領域の上に設けられた、第1導電型の第2半導体領域と、第1半導体領域の上から第1領域に到達する第1トレンチ内に、第1絶縁膜を介して第1半導体領域に対向して設けられ第2電極であって、第1半導体層の上に設けられた第1電極と電気的に接続された第2電極と、第1トレンチ内の第2電極の下に、第2絶縁膜を介して第1領域に対向して設けられた第4電極であって、第2半導体領域の上に設けられ第2半導体領域と電気的に接続された第3電極と電気的に接続された第4電極と、第2領域の上に設けられた、第2導電型の第3半導体領域と、第3半導体領域の上に設けられた、第1導電型の第4半導体領域と、第3半導体領域の上から第2領域に到達する第2トレンチ内に、第3絶縁膜を介して第3半導体領域に対向して設けられた第5電極であって、第1電極と電気的に接続された第5電極と、第2トレンチ内の第5電極の下に、第4絶縁膜を介して第2領域に対向して設けられた第6電極であって、第1電極と電気的に接続された第6電極と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の半導体装置の模式上面図である。
図2】実施形態の半導体装置の要部の模式断面図である。
図3】実施形態の半導体装置の模式上面図である。
図4】実施形態の半導体装置の要部の模式断面図である。
図5】比較形態の半導体装置の模式上面図である。
図6】比較形態の半導体装置の要部の模式断面図である。
図7】比較形態の半導体装置の要部の模式断面図である。
図8】実施形態の半導体装置の作用効果を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0008】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0009】
以下、第1導電型がn型、第2導電型がp型である場合を例に説明する。
【0010】
以下の説明において、n、n、nおよび、p、p、pの表記は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちnはnよりもn型の不純物濃度が相対的に高く、nはnよりもn型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、pはpよりもp型の不純物濃度が相対的に高く、pはpよりもp型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n型、n型を単にn型、p型、p型を単にp型と記載する場合もある。
【0011】
(実施形態)
実施形態の半導体装置は、第1導電型の第1半導体層と、第1半導体層の上に設けられた、第1領域及び第2領域を有する、第1導電型の第2半導体層と、第1領域の上に設けられた、第2導電型の第1半導体領域と、第1半導体領域の上に設けられた、第1導電型の第2半導体領域と、第1半導体領域の上から第1領域に到達する第1トレンチ内に、第1絶縁膜を介して第1半導体領域に対向して設けられ第2電極であって、第1半導体層の上に設けられた第1電極と電気的に接続された第2電極と、第1トレンチ内の第2電極の下に、第2絶縁膜を介して第1領域に対向して設けられた第4電極であって、第2半導体領域の上に設けられ第2半導体領域と電気的に接続された第3電極と電気的に接続された第4電極と、第2領域の上に設けられた、第2導電型の第3半導体領域と、第3半導体領域の上に設けられた、第1導電型の第4半導体領域と、第3半導体領域の上から第2領域に到達する第2トレンチ内に、第3絶縁膜を介して第3半導体領域に対向して設けられた第5電極であって、第1電極と電気的に接続された第5電極と、第2トレンチ内の第5電極の下に、第4絶縁膜を介して第2領域に対向して設けられた第6電極であって、第1電極と電気的に接続された第6電極と、を備える。
【0012】
図1は、実施形態の半導体装置100の模式上面図である。半導体装置100は、縦型のMOSFETである。
【0013】
ここで、X方向と、X方向に対して垂直に交差するY方向と、X方向及びY方向に垂直に交差するZ方向を定義する。半導体装置100は、図1又は図3に示すような、チップ面がXY面に対して平行な、半導体チップである。例えば、XY面に対して平行な面内における、かかる半導体チップの形状は、図1又は図3に示すように、正方形である。しかし、XY面に対して平行な面内における、かかる半導体チップの形状は、勿論正方形に限定されるものではない。また、XY面は、後述するドレイン層10及びドリフト層12が積層された方向に垂直な面である。
【0014】
図1には、半導体装置100の上面に設けられた、ソースパッド(第3電極の一例)70及びゲートパッド(第1電極の一例)80が示されている。ゲートパッド80は、図1の上方及び下方において、X方向に延伸している部分80a及び80bを有する。また、ゲートパッド80は、Y方向に延伸している部分80cを有する。そして、かかる部分80cの両端は、それぞれ、部分80a及び80bと接続されている。また、図1には、ソースパッド70として、ソースパッド70a及びソースパッド70bが示されている。図1において、ソースパッド70a及びソースパッド70bは、部分80cをはさむように設けられている。言い換えると、部分80cは、ソースパッド70a及びソースパッド70bの間に設けられている。ただし、ソースパッド70及びゲートパッド80の形状は、図1に示したものに限定されない。
【0015】
図2は、実施形態の半導体装置100の要部の模式断面図である。図3は、実施形態の半導体装置100の模式上面図である。
【0016】
図2(a)は、実施形態の半導体装置100の、YZ面内に平行な面内における、第1領域90及びその近傍の模式断面図である。図2(b)は、実施形態の半導体装置100の、YZ面内に平行な面内における、第2領域92及びその近傍の要部の模式断面図である。
【0017】
ドレイン層(第1半導体層の一例)10は、MOSFETのドレインとして機能する層である。ドレイン層10は、例えば、n型の半導体材料を含む。
【0018】
ドレイン電極38は、ドレイン層10の下に設けられ、ドレイン層10と電気的に接続されている。ドレイン電極38は、MOSFETのドレイン電極として機能する電極である。
【0019】
ドリフト層12(第2半導体層)は、ドレイン層10の上に設けられている。ドリフト層12は、MOSFETのドリフト層として機能する層である。ドリフト層12は、例えば、n型の半導体材料を含む。
【0020】
図3は、第1領域90及び第2領域92の位置関係を説明するための図である。ドリフト層12は、第1領域90及び第2領域92を有している。図3には、複数の第2領域92として、第2領域92a及び第2領域92bが示されている。半導体装置(半導体チップ)の端部102と第2領域92aの距離dは、半導体装置(半導体チップ)の端部102と第1領域90の距離dより短い。また、第2領域92は第1領域90よりも半導体装置(半導体チップ)の端部102側に設けられている。また、第1領域90は、第2領域92aと第2領域92bの間に設けられている。なお、図3において、XY面に平行な面内における第1領域90及び第2領域92の形状は、長方形である。しかし、XY面に平行な面内における第1領域90及び第2領域92の形状は、勿論長方形に限定されるものではない。また、C−C’断面(図1)は第2領域92a内に、D−D’断面(図1図3)は第2領域92b内に、E−E’断面(図1図3)は第1領域90内に設けられている。
【0021】
XY面内に平行な面内において、第1領域90は第2領域92より大きいことが好ましい。ただし、第1領域90は第2領域92と同じ大きさであってもかまわないし、第1領域90は第2領域92より小さくてもかまわない。
【0022】
第1ベース領域(第1半導体領域の一例)14は、ドリフト層12の第1領域90の上に設けられている。第1ベース領域14は、MOSFETのベースとして機能する領域である。第1ベース領域14は、第1ゲート電極56に電圧が印加された場合にチャネルを形成し、第1ソース領域16とドレイン層10の間にキャリアが流れることを可能とする領域である。第1ベース領域14は、例えば、p型の半導体材料を含む。
【0023】
第1ソース領域(第2半導体領域の一例)16は、第1ベース領域14の上に設けられている。第1ソース領域16は、MOSFETのソースとして機能する領域である。第1ゲート電極56に適切な電圧が印加された場合に、第1ソース領域16とドレイン層10の間にキャリアが流れる。第1ソース領域16は、例えば、n型の半導体材料を含む。ソースパッド70は第1ソース領域16の上に設けられ、ソースパッド70と電気的に接続されている。図2(a)には、第1ソース領域16としての、第1ソース領域16a及び第1ソース領域16bが示されている。
【0024】
第1コンタクト領域18は、第1ベース領域14の上に設けられている。例えば、第1コンタクト領域18は、第1ソース領域16aと第1ソース領域16bの間に設けられている。第1コンタクト領域18は、例えば、p型の半導体材料を含む。第1コンタクト領域18は、ホール導電度の高い領域を設けてアバランシェ降伏を発生しにくくするためのものである。
【0025】
第1トレンチ50は、第1ベース領域14の上からドリフト層12の第1領域90に到達するように設けられている。図2(a)では、第1トレンチ50としての、第1トレンチ50a及び第1トレンチ50bが示されている。
【0026】
第2絶縁膜52は、第1トレンチ50内に設けられている。図2(a)では、第2絶縁膜52としての、第2絶縁膜52a及び第2絶縁膜52bが示されている。第2絶縁膜52aは第1トレンチ50a内に設けられ、第2絶縁膜52bは第1トレンチ50b内に設けられている。
【0027】
第1絶縁膜54は、第1トレンチ50内の、第2絶縁膜52の上に設けられている。図2(a)では、第1絶縁膜54としての、第1絶縁膜54a及び第1絶縁膜54bが示されている。第1絶縁膜54aは第1トレンチ50a内の第2絶縁膜52aの上に設けられ、第1絶縁膜54bは第1トレンチ50b内の第2絶縁膜52bの上に設けられている。
【0028】
第1ゲート電極56(第2電極の一例)は、第1絶縁膜54を介して第1ベース領域14に対向して設けられている。そして、後述するように、第1ゲート電極56は、ゲートパッド80と電気的に接続されている。第1ゲート電極56は、MOSFETのゲートとして機能する。図2(a)には、第1ゲート電極56としての、第1ゲート電極56a及び第1ゲート電極56bが設けられている。第1ゲート電極56aは第1トレンチ50a内に設けられている。第1ゲート電極56bは第1トレンチ50b内に設けられている。
【0029】
第1フィールドプレート電極(第4電極の一例)58は、第1トレンチ50内の第1ゲート電極56の下に、第2絶縁膜52を介してドリフト層12の第1領域90に対向して設けられている。図2(a)には、第1フィールドプレート電極58としての、第1フィールドプレート電極58a及び第1フィールドプレート電極58bが示されている。第1フィールドプレート電極58bは、第2絶縁膜52bを介してドリフト層12の第1領域90に対向して設けられている。
【0030】
第2ベース領域(第3半導体領域の一例)24は、ドリフト層12の第2領域92の上に設けられている。第2ベース領域24は、MOSFETのベースとして機能する領域である。第2ベース領域24は、第2ゲート電極66に電圧が印加された場合にチャネルを形成し、第2ソース領域26とドレイン層10との間にキャリアが流れることを可能とする領域である。第2ベース領域24は、例えば、p型の半導体材料を含む。
【0031】
第2ソース領域(第4半導体領域の一例)26は、第2ベース領域24の上に設けられている。第2ソース領域26は、MOSFETのソースとして機能する領域である。第2ゲート電極66に適切な電圧が印加された場合に、第2ソース領域26とドレイン層10の間にキャリアが流れる。第2ソース領域26は、例えば、n型の半導体材料を含む。ソースパッド70は第2ソース領域26の上に設けられ、ソースパッド70と電気的に接続されている。図2(b)には、第2ソース領域26としての、第2ソース領域26a及び第2ソース領域26bが示されている。
【0032】
第2コンタクト領域28は、第2ベース領域24の上に設けられている。例えば、第2コンタクト領域28は、第2ソース領域26aと第2ソース領域26bの間に設けられている。第2コンタクト領域28は、例えば、p型の半導体材料を含む。第2コンタクト領域28は、ホール導電度の高い領域を設けてアバランシェ降伏を発生しにくくするためのものである。
【0033】
第2トレンチ60は、第2ベース領域24の上からドリフト層12の第2領域92に到達するように設けられている。図2(b)では、第2トレンチ60としての、第2トレンチ60a及び第2トレンチ60bが示されている。
【0034】
第4絶縁膜62は、第2トレンチ60内に設けられている。図2(b)では、第4絶縁膜62としての、第4絶縁膜62a及び第4絶縁膜62bが示されている。第4絶縁膜62aは第2トレンチ60a内に設けられ、第4絶縁膜62bは第2トレンチ60b内に設けられている。
【0035】
第3絶縁膜64は、第2トレンチ60内の、第4絶縁膜62の上に設けられている。図2(b)では、第3絶縁膜64としての、第3絶縁膜64a及び第3絶縁膜64bが示されている。第3絶縁膜64aは第2トレンチ60a内の第4絶縁膜62aの上に設けられ、第3絶縁膜64bは第2トレンチ60b内の第4絶縁膜62bの上に設けられている。
【0036】
第2ゲート電極66(第5電極の一例)は、第3絶縁膜64を介して第2ベース領域24に対向して設けられている。そして、後述するように、第2ゲート電極66は、ゲートパッド80と電気的に接続されている。第2ゲート電極66は、MOSFETのゲートとして機能する。図2(b)には、第2ゲート電極66としての、第2ゲート電極66a及び第2ゲート電極66bが設けられている。第2ゲート電極66aは第2トレンチ60a内に設けられている。第2ゲート電極66bは第2トレンチ60b内に設けられている。
【0037】
第2フィールドプレート電極(第6電極の一例)68は、第2トレンチ60内の第2ゲート電極66の下に、第4絶縁膜62を介してドリフト層12の第2領域92に対向して設けられている。図2(b)には、第2フィールドプレート電極68としての、第2フィールドプレート電極68a及び第2フィールドプレート電極68bが示されている。第2フィールドプレート電極68bは、第4絶縁膜62bを介してドリフト層12の第2領域92に対向して設けられている。
【0038】
言い換えると、第1領域90内においては、第1ゲート電極56はゲートパッド80を介してゲート電位となり、第1フィールドプレート電極58はソースパッド70を介してソース電位となるように接続される。一方、第2領域92内においては、第2ゲート電極66及び第2フィールドプレート電極68はゲートパッド80を介してゲート電位となるように接続される。
【0039】
図4は、実施形態の半導体装置100の要部の模式断面図である。図4(a)は、実施形態の半導体装置100の、C−C’断面(図1)の模式断面図である。図4(b)は、実施形態の半導体装置100の、E−E’断面(図1図3)の模式断面図である。図4(c)は、実施形態の半導体装置100の、接続電極84付近を示した模式上面図である。なお、D−D’断面(図1図3)の模式断面図は、C−C’断面の模式断面図とほぼ同様であるため省略する。
【0040】
ソースパッド70及びゲートパッド80は、第1ゲート電極56及び第2ゲート電極66の上に、層間絶縁膜(第5絶縁膜の一例)94を介して設けられている。
【0041】
例えば、第1領域90には、それぞれX方向に延伸する複数の第1トレンチ50が設けられている。そして、それぞれの第1トレンチ50内において、第1ゲート電極56及び第1フィールドプレート電極58はX方向に延伸している。
【0042】
例えば、第2領域92には、それぞれX方向に延伸する、複数の第2トレンチ60が設けられている。そして、それぞれの第2トレンチ内において、第2ゲート電極66、第2フィールドプレート電極68は、それぞれ、X方向に延伸している。
【0043】
第1ゲート電極56及び第2ゲート電極66は、ゲートパッド80と、接続電極84(第1接続電極及び第2接続電極の一例)を介して電気的に接続されている。第1フィールドプレート電極58は、ソースパッド70と接続電極72a(第4接続電極の一例)及び接続電極72b(第4接続電極の一例)を介して電気的に接続されている。第2フィールドプレート電極68は、ゲートパッド80と、接続電極82a(第3接続電極の一例)及び接続電極82b(第3接続電極の一例)を用いて電気的に接続されている。
【0044】
接続電極72a、72b、82a、82b及び84は、層間絶縁膜94内に設けられている。接続電極72a及び72bは、例えば、ソースパッド70に含まれている所定の第1導電材料を含むことが、製造が容易であるため好ましい。接続電極82a、82b及び84は、例えば、ゲートパッド80に含まれている所定の第2導電材料を含むことが、製造が容易であるため好ましい。
【0045】
なお、接続電極84は、ドリフト層12、第1ベース領域14、第1ソース領域16、第1コンタクト領域18、第2ベース領域24、第2ソース領域26及び第2コンタクト領域28とは、電気的に接続されていない。そして、接続電極84は、複数の第1トレンチ50内に設けられたそれぞれの第1ゲート電極56及び複数の第2トレンチ60内に設けられたそれぞれの第2ゲート電極66と、ゲートパッド80を、電気的に接続している。
【0046】
また、接続電極72は、ドリフト層12、第1ベース領域14、第1ソース領域16、第1コンタクト領域18、第2ベース領域24、第2ソース領域26及び第2コンタクト領域28とは、電気的に接続されていない。そして、接続電極72は、複数の第1トレンチ50内に設けられたそれぞれの第1フィールドプレート電極58とソースパッド70を、電気的に接続している。
【0047】
また、接続電極82は、ドリフト層12、第1ベース領域14、第1ソース領域16、第1コンタクト領域18、第2ベース領域24、第2ソース領域26及び第2コンタクト領域28とは、電気的に接続されていない。そして、接続電極82は、複数の第2トレンチ60内に設けられている複数の第2フィールドプレート電極68とゲートパッド80を、電気的に接続している。
【0048】
図1においては、接続電極72a、72b、82a、82b及び84は、図示を容易にするために、それぞれ、層間絶縁膜094中の単一の開口部に形成されているかのように図示されている。しかし、例えば接続電極84は、図4(c)に図示されるように、複数の第1ゲート電極56の直上の、層間絶縁膜94内に設けられたコンタクトホールに、それぞれ設けられている。同様に、接続電極84は、複数の第2ゲート電極66の直上の、層間絶縁膜94内に設けられたコンタクトホールに、それぞれ設けられている。接続電極72a及び72bは、接続電極84と同様の態様で、第1フィールドプレート電極58の直上の、層間絶縁膜94内に設けられたコンタクトホールに、それぞれ設けられている。接続電極82a及び82bは、接続電極84と同様の態様で、第2フィールドプレート電極68の直上の、層間絶縁膜94内に設けられたコンタクトホールに、それぞれ設けられている。
【0049】
なお、図1に示すように、半導体装置100を上から見た場合において、接続電極82aと接続電極84の間に、ソースパッド70aの一部が設けられている。また、半導体装置100を上から見た場合において、接続電極82bと接続電極84の間に、ソースパッド70bの一部が設けられている。
【0050】
ドレイン層10、ドリフト層12、第1ベース領域14、第1ソース領域16、第1コンタクト領域18、第2ベース領域24、第2ソース領域26及び第2コンタクト領域28に用いられる半導体材料は、例えばシリコン(Si)である。しかし、ドレイン層10、ドリフト層12、第1ベース領域14、第1ソース領域16、第1コンタクト領域18、第2ベース領域24、第2ソース領域26及び第2コンタクト領域28に用いられる半導体材料は、例えば炭化シリコン(SiC)、窒化ガリウム(GaN)又はヒ化ガリウム(GaAs)等の他の半導体材料であってもかまわない。
【0051】
半導体材料としてシリコンが用いられる場合、n型不純物としては例えばヒ素(As)、リン(P)又はアンチモン(Sb)を、またp型不純物としては例えばB(ホウ素)を、それぞれ用いることができる。
【0052】
第1ゲート電極56、第1フィールドプレート電極58、第2ゲート電極66、第2フィールドプレート電極68は、不純物を含むポリシリコン等の導電材料を含む。
【0053】
第1絶縁膜54、第2絶縁膜52、第3絶縁膜64、第4絶縁膜62及び層間絶縁膜94は、酸化シリコン又は窒化シリコン(SiN)等の絶縁材料を含む。
【0054】
ソースパッド70、ゲートパッド80、接続電極84、接続電極72a、接続電極72b、接続電極82a及び接続電極82bは、例えばアルミニウム(Al)や銅(Cu)等の金属材料(所定の第1導電材料及び所定の第2導電材料の一例)を含む。
【0055】
なお、上述の金属材料と、上述の半導体材料、ポリシリコン等の導電材料および絶縁材料の間には、適宜、例えばTi(チタン)、TiN(窒化チタン)、Ta(タンタル)又はTaN(窒化タンタル)等を含むバリアメタルが設けられていてもかまわない。
【0056】
次に、実施形態の半導体装置100の作用効果を記載する。
【0057】
図5は、比較形態の半導体装置800の模式上面図である。図6は、比較形態の半導体装置800の要部の模式断面図である。図6(a)は、比較形態の半導体装置800の、A−A’断面(図5)の模式断面図である。図6(b)は、比較形態の半導体装置800の、B−B’断面(図5)の模式断面図である。図7は、比較形態の半導体装置800の要部の模式断面図である。図7は、比較形態の半導体装置800の、接続電極82aを含むYZ面に平行な断面における模式断面図である。
【0058】
比較形態の半導体装置800においては、半導体装置100のように第1領域90や第2領域92は設けられていない。第1ゲート電極56は、接続電極82a又は接続電極82bを介してゲートパッド80に電気的に接続されている。第1フィールドプレート電極58は、接続電極72a、接続電極72b又は接続電極72cを介してソースパッド70に電気的に接続されている。言い換えると、比較形態の半導体装置800においては、第1ゲート電極56はゲートパッド80を介してゲート電位となり、第1フィールドプレート電極58はソースパッド70を介してソース電位となるように接続される。
【0059】
MOSFETのゲート電極にはゲートドライバ等の電気回路が接続され、電気信号が送られる。かかる電気信号によりMOSFETを制御するためには、ゲート抵抗Rgの値にばらつきが生じないことが好ましい。そのためには、ゲートパッド80と第1ゲート電極56の電気的接続不良を、製品出荷前検査において明らかにすることが好ましい。ここで、ゲート抵抗Rgの値の測定は、チップ上に形成されたMOSFETをパッケージ化した後に行うことが望ましい。しかしパッケージ化に手間がかかるため、チップ上のMOSFETにおけるゲートパッド80と第1ゲート電極56の電気的接続不良を、パッケージ化前に容易に明らかに出来ることが求められていた。
【0060】
この点、MOSFETの耐圧を測定することにより、ゲートパッド80と第1ゲート電極56の電気的接続不良を明らかにすることが出来る。MOSFETの耐圧は、チップ化する前のウェハ上に形成された状態でテストすることが出来るため、より容易に測定することが出来る。しかし、例えば、図7に示すように、第1ゲート電極56とゲートパッド80の電気的接続が、接続電極82aを介して行われていないことにより、ゲートパッド80と第1ゲート電極56の電気的接続不良が実際に起こっていても、第1ベース領域14と第1ソース領域16の間に設けられたPN接合部により電界が形成される。そのために、かかる接続不良が発生していてもある程度の耐圧を有してしまうため、十分にゲートパッド80と第1ゲート電極56の電気的接続不良を確認することができないという問題があった。
【0061】
図8は、実施形態の半導体装置100の作用効果を説明する模式図である。
【0062】
実施形態の半導体装置100は、第2トレンチ60内の第2ゲート電極66の下に、第4絶縁膜62を介して第2領域92に対向して設けられ、ゲートパッド80と電気的に接続された第2フィールドプレート電極68を備える。このようにすると、第2領域92においては、ゲートパッド80と第2フィールドプレート電極68の接続不良が発生して第2フィールドプレート電極68がフローティング状態になったときに、電界強度が大きく下がるために耐圧が大きく下がる。そのため、耐圧を測定するという測定容易な方法で、かかる接続不良を明らかにすることができる。
【0063】
上述の接続不良は、チップの外周部に近いところで発生しやすい。そこで、第2領域92を、チップの端部に近い場所に設けることにより、かかる接続不良を容易に発見することが出来る。そのため、半導体チップの端部102と第2領域92aの距離は、半導体チップの端部102と第1領域90の距離より短いことが好ましい。また、第2領域92をチップの端部に設けるという意味で、第2領域92を複数設けて、第1領域90を複数の第2領域92(例えば、第2領域92aと第2領域92b)の間に設けることが好ましい。
【0064】
フィールドプレート電極をゲート電位にする場合とソース電位にする場合で、MOSFETとしての特性は異なる。そこで、第1領域90を第2領域92よりも大きくして、フィールドプレート電極がゲート電位にされたMOSFETの数をあまり多くしないことが好ましい。
【0065】
上述の接続不良は、層間絶縁膜94内に接続電極を設け、ゲートパッド80と第1ゲート電極56の接続を、かかる接続電極により行う場合に、さらにおこりやすくなる。従って、このような場合に、実施形態の半導体装置を適用することが好ましい。
【0066】
実施形態の半導体装置100によれば、信頼性の高い半導体装置の提供が可能となる。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
10 ドレイン層(第1半導体層)
12 ドリフト層(第2半導体層)
14 第1ベース領域(第1半導体領域)
16 第1ソース領域(第2半導体領域)
18 第1コンタクト領域
24 第2ベース領域(第3半導体領域)
26 第2ソース領域(第4半導体領域)
28 第2コンタクト領域
38 ドレイン電極(第6電極)
50 第1トレンチ
52 第2絶縁膜
54 第1絶縁膜
56 第1ゲート電極(第2電極)
58 第1フィールドプレート電極(第4電極)
60 第2トレンチ
62 第4絶縁膜
64 第3絶縁膜
66 第2ゲート電極(第5電極)
68 第2フィールドプレート電極(第6電極)
70 ソースパッド(第3電極)
72a 接続電極(第4接続電極)
72b 接続電極(第4接続電極)
80 ゲートパッド(第1電極)
82a 接続電極(第3接続電極)
82b 接続電極(第3接続電極)
84 接続電極(第1接続電極、第2接続電極)
90 第1領域
92 第2領域
94 第5絶縁膜
100 半導体装置
102 半導体チップの端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8