【解決手段】実施形態の半導体装置は、第1及び第2の面と、第1及び第2のトレンチ、第1のトレンチと隣り合う第3のトレンチ、第2のトレンチと隣り合う第4のトレンチ、第1ないし第4の半導体領域、を有する半導体層と、第1ないし第4のトレンチの中にそれぞれ設けられた第1ないし第4のゲート電極と、第1のトレンチと第3のトレンチとの間の半導体層との第1の接触面積が第3のトレンチと第4のトレンチとの間の半導体層との間の第2の接触面積よりも大きく、第2のトレンチと第4のトレンチとの間の半導体層との第3の接触面積が第2の接触面積よりも大きい第1の面の側の、第1の電極と、第2の面の側の第2の電極と、第1及び第2のゲート電極と接続された第1のゲート電極パッドと、第3及び第4のゲート電極と接続された第2のゲート電極パッドと、を備える。
前記半導体層は、前記第3の半導体領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第3のトレンチに接し、前記第3の半導体領域よりも第1導電形不純物濃度の高い第1導電形の第7の半導体領域とを有する請求項1ないし請求項5いずれか一項記載の半導体装置。
前記半導体層は、前記第3の半導体領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第3のトレンチと前記第4のトレンチとの間に設けられ、前記第3の半導体領域よりも第1導電形不純物濃度の高い第1導電形の第8の半導体領域とを有する請求項1ないし請求項6いずれか一項記載の半導体装置。
前記第1のゲート電圧をターンオン電圧からターンオフ電圧に変化させる前に、前記第2のゲート電圧を第1の電圧から第2の電圧に変化させ、前記第2の電圧は、第1導電形がp形の場合には負電圧であり、第1導電形がn形の場合には正電圧である請求項1ないし請求項9いずれか一項記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材などには同一の符号を付し、一度説明した部材などについては適宜その説明を省略する。
【0011】
本明細書中、n
+形、n形、n
−形との表記がある場合、n
+形、n形、n
−形の順でn形の不純物濃度が低くなっていることを意味する。また、p
+形、p形、p
−形の表記がある場合、p
+形、p形、p
−形の順で、p形の不純物濃度が低くなっていることを意味する。
【0012】
本明細書中、半導体領域の不純物濃度の分布及び絶対値は、例えば、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)を用いて測定することが可能である。また、2つの半導体領域の不純物濃度の相対的な大小関係は、例えば、走査型静電容量顕微鏡法(Scanning Capacitance Microscopy:SCM)を用いて判定することが可能である。また、不純物濃度の分布及び絶対値は、例えば、拡がり抵抗測定法(Spreading Resistance Analysis:SRA)を用いて測定することが可能である。SCM及びSRAでは、半導体領域のキャリア濃度の相対的な大小関係や絶対値が求まる。不純物の活性化率を仮定することで、SCM及びSRAの測定結果から、2つの半導体領域の不純物濃度の間の相対的な大小関係、不純物濃度の分布、及び、不純物濃度の絶対値を求めることが可能である。
【0013】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置は、第1の面と、第1の面と対向する第2の面を有する半導体層であって、第1の面の側に設けられ、第1の面に平行な第1の方向に延びる第1のトレンチと、第1の面の側に設けられ、第1の方向に延びる第2のトレンチと、第1の面の側の第1のトレンチと第2のトレンチとの間に設けられ、第1のトレンチと隣り合い、第1の方向に延びる第3のトレンチと、第1の面の側の第3のトレンチと第2のトレンチとの間に設けられ、第2のトレンチと隣り合い、第1の方向に延びる第4のトレンチと、第1導電形の第1の半導体領域と、第1の半導体領域と第1の面との間に設けられた第2導電形の第2の半導体領域と、第2の半導体領域と第1の面との間に設けられた第1導電形の第3の半導体領域と、第3の半導体領域と第1の面との間に設けられ、第1のトレンチに接し、第3のトレンチと離間し、第2の半導体領域よりも第2導電形不純物濃度の高い第2導電形の第4の半導体領域と、第3の半導体領域と第1の面との間に設けられ、第2のトレンチに接し、第4のトレンチと離間し、第2の半導体領域よりも第2導電形不純物濃度の高い第2導電形の第5の半導体領域と、を有する半導体層と、第1のトレンチの中に設けられた第1のゲート電極と、第2のトレンチの中に設けられた第2のゲート電極と、第3のトレンチの中に設けられた第3のゲート電極と、第4のトレンチの中に設けられた第4のゲート電極と、半導体層の第1の面の側に設けられ、第4の半導体領域及び第5の半導体領域に電気的に接続され、第1のトレンチと第3のトレンチとの間の半導体層との第1の接触面積が第3のトレンチと第4のトレンチとの間の半導体層との間の第2の接触面積よりも大きく、第2のトレンチと第4のトレンチとの間の半導体層との第3の接触面積が第2の接触面積よりも大きい第1の電極と、半導体層の第2の面の側に設けられ、第1の半導体領域に電気的に接続された第2の電極と、半導体層の第1の面の側に設けられ、第1のゲート電極及び第2のゲート電極と電気的に接続され、第1のゲート電圧が印加される第1のゲート電極パッドと、半導体層の第1の面の側に設けられ、第3のゲート電極と第4のゲート電極と電気的に接続され、第2のゲート電圧が印加される第2のゲート電極パッドと、を備える。
【0014】
第1の実施形態の半導体回路は、上記半導体装置と、上記半導体装置を駆動し、第1のゲート電圧をターンオン電圧からターンオフ電圧に変化させる前に、第2のゲート電圧を第1の電圧から第2の電圧に変化させ、第2の電圧は、第1導電形がp形の場合には負電圧であり、第1導電形がn形の場合には正電圧である制御回路と、を備える。
【0015】
第1の実施形態の半導体回路は、半導体装置と、半導体装置を制御する制御回路で構成される。
【0016】
第1の実施形態の半導体装置は、半導体層に形成されたトレンチの中にゲート電極を備えるトレンチゲート形のIGBT100である。IGBT100は、ダブルゲート駆動が可能なIGBTである。以下、第1導電形がp形、第2導電形がn形である場合を例に説明する。
【0017】
第1の実施形態の制御回路は、ゲートドライバ回路150である。
【0018】
図1は、第1の実施形態の半導体回路の模式図である。
図1は、メインゲートトレンチ、コントロールゲートトレンチ、ダミーゲートトレンチ、メインゲート電極、コントロールゲート電極、ダミーゲート電極、メインゲート絶縁膜、コントロールゲート絶縁膜、ダミーゲート絶縁膜、第1のゲート電極パッド、第2のゲート電極パッド、及び、制御回路の配置と接続関係を示す。
図2は、第1の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図である。
図3は、第1の実施形態の半導体装置の一部の模式上面図である。
図3は、第1の面P1における上面図である。
図2は、
図3のAA’断面である。
【0019】
第1の実施形態のIGBT100は、半導体層10、エミッタ電極12(第1の電極)、コレクタ電極14(第2の電極)、メインゲート絶縁膜16、コントロールゲート絶縁膜17、ダミーゲート絶縁膜18、メインゲート電極21a(第1のゲート電極)、メインゲート電極21b(第2のゲート電極)、コントロールゲート電極22a(第3のゲート電極)、コントロールゲート電極22b(第4のゲート電極)、コントロールゲート電極22c(第6のゲート電極)、コントロールゲート電極22d、ダミーゲート電極23a(第5のゲート電極)、ダミーゲート電極23b、ダミーゲート電極23c、層間絶縁層28、第1のゲート電極パッド101、第2のゲート電極パッド102を備える。
【0020】
以下、メインゲート電極21a、メインゲート電極21bを総称して、メインゲート電極21と称する場合がある。また、コントロールゲート電極22a、コントロールゲート電極22b、コントロールゲート電極22c、コントロールゲート電極22dを総称して、コントロールゲート電極22と称する場合がある。また、ダミーゲート電極23a、ダミーゲート電極23b、ダミーゲート電極23cを総称して、ダミーゲート電極23と称する場合がある。
【0021】
半導体層10の中には、メインゲートトレンチ31a(第1のトレンチ)、メインゲートトレンチ31b(第2のトレンチ)、コントロールゲートトレンチ32a(第3のトレンチ)、コントロールゲートトレンチ32b(第4のトレンチ)、コントロールゲートトレンチ32c(第6のトレンチ)、コントロールゲートトレンチ32d、ダミーゲートトレンチ33a(第5のトレンチ)、ダミーゲートトレンチ33b、ダミーゲートトレンチ33c、コレクタ領域36(第1の半導体領域)、バッファ領域38、ドリフト領域40(第2の半導体領域)、バリア領域42、ベース領域44(第3の半導体領域)、エミッタ領域46a(第4の半導体領域)、エミッタ領域46b(第5の半導体領域)、エミッタ領域46c(第6の半導体領域)、エミッタ領域46d、コンタクト領域48(第7の半導体領域)、p形領域50(第8の半導体領域)が設けられる。
【0022】
以下、メインゲートトレンチ31a、メインゲートトレンチ31bを総称して、メインゲートトレンチ31と称する場合がある。また、コントロールゲートトレンチ32a、コントロールゲートトレンチ32b、コントロールゲートトレンチ32c、コントロールゲートトレンチ32dを総称して、コントロールゲートトレンチ32と称する場合がある。また、ダミーゲートトレンチ33a、ダミーゲートトレンチ33b、ダミーゲートトレンチ33cを総称して、ダミーゲートトレンチ33と称する場合がある。また、エミッタ領域46a、エミッタ領域46b、エミッタ領域46c、エミッタ領域46dを総称して、エミッタ領域46と称する場合がある。
【0023】
半導体層10は、第1の面P1と、第1の面P1に対向する第2の面P2とを有する。半導体層10は、例えば、単結晶シリコンである。半導体層10の膜厚は、例えば、40μm以上700μm以下である。
【0024】
本明細書中、第1の面P1に平行な一方向を第1の方向と称する。また、第1の面P1に平行で第1の方向に直交する方向を第2の方向と称する。また、第1の面P1の法線方向を第3の方向と称する。また、本明細書中、「深さ」とは、第1の面P1を基準とする第3の方向の距離と定義する。
【0025】
エミッタ電極12は、半導体層10の第1の面P1の側に設けられる。エミッタ電極12の少なくとも一部は半導体層10の第1の面P1に接する。エミッタ電極12は、例えば、金属である。
【0026】
エミッタ電極12は、エミッタ領域46、コンタクト領域48、及び、ベース領域44に電気的に接続される。エミッタ電極12は、エミッタ領域46a、エミッタ領域46b、エミッタ領域46c、エミッタ領域46dに電気的に接続される。エミッタ電極12には、エミッタ電圧が印加される。エミッタ電圧は、例えば、0Vである。
【0027】
メインゲートトレンチ31aとコントロールゲートトレンチ32aとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが接触する領域の面積を、第1の接触面積と定義する。また、コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが接触する領域の面積を、第2の接触面積と定義する。
【0028】
第1の接触面積は、第2の接触面積よりも大きい。第1の接触面積は、第2の接触面積の、例えば、10倍以上である。例えば、コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間の領域では、半導体層10とエミッタ電極12とは接触しない。
【0029】
メインゲートトレンチ31bとコントロールゲートトレンチ32bとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが接触する領域の面積を、第3の接触面積と定義する。第3の接触面積は、第2の接触面積よりも大きい。第3の接触面積は、第2の接触面積の、例えば、10倍以上である。
【0030】
図2の断面では、コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが、まったく接していない。コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間の一部で、半導体層10とエミッタ電極12とが接する構成とすることも可能である。コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間の全域で、半導体層10とエミッタ電極12とが、まったく接しない構成とすることも可能である。この場合、第2の接触面積はゼロである。
【0031】
コレクタ電極14は、半導体層10の第2の面P2の側に設けられる。コレクタ電極14の少なくとも一部は半導体層10の第2の面P2に接する。コレクタ電極14は、例えば、金属である。
【0032】
コレクタ電極14は、p形のコレクタ領域36に電気的に接続される。コレクタ電極14には、コレクタ電圧が印加される。コレクタ電圧は、例えば、200V以上6500V以下である。
【0033】
コレクタ領域36は、p形の半導体領域である。コレクタ領域36は、コレクタ電極14に電気的に接続される。コレクタ領域36は、コレクタ電極14に接する。
【0034】
コレクタ領域36は、IGBT100のオン状態の際にホール(正孔)の供給源となる。
【0035】
バッファ領域38は、n形の半導体領域である。バッファ領域38は、コレクタ領域36と第1の面P1との間に設けられる。バッファ領域38は、IGBT100のオフ状態の際に、空乏層の伸びを抑制する機能を有する。バッファ領域38を設けない構成とすることも可能である。
【0036】
ドリフト領域40は、n
−形の半導体領域である。ドリフト領域40は、コレクタ領域36と第1の面P1との間に設けられる。ドリフト領域40は、バッファ領域38と第1の面P1との間に設けられる。ドリフト領域40のn形不純物濃度は、バッファ領域38のn形不純物濃度より低い。
【0037】
ドリフト領域40は、IGBT100のオン状態の際にオン電流の経路となる。ドリフト領域40は、IGBT100のオフ状態の際に空乏化し、IGBT100の耐圧を維持する機能を有する。
【0038】
バリア領域42は、n形の半導体領域である。バリア領域42は、ドリフト領域40と第1の面P1との間に設けられる。バリア領域42は、ドリフト領域40とベース領域44との間に設けられる。
【0039】
バリア領域42のn形不純物濃度は、ドリフト領域40のn形不純物濃度より高い。バリア領域42のn形不純物の最大濃度は、例えば、ドリフト領域40のn形不純物濃度の100倍以上である。
【0040】
ドリフト領域40よりもn形不純物濃度の高いバリア領域42を、第1の面P1側に設けることにより、IGBT100がオン状態の際に、ドリフト領域40の中のホールのエミッタ電極12への排出が制限される。したがって、ドリフト領域40の第1の面P1側のキャリア濃度が高くなる。よって、バリア領域42は、IGBT100のオン抵抗を低減する機能を有する。
【0041】
なお、ドリフト領域40とバリア領域42とは、同じn形不純物領域であり、n形不純物濃度はドリフト領域40からバリア領域42に向かって連続的に高くなる。なお、バリア領域42を設けない構成とすることも可能である。
【0042】
ベース領域44は、p形の半導体領域である。ベース領域44は、ドリフト領域40と第1の面P1との間に設けられる。ベース領域44は、バリア領域42と第1の面P1との間に設けられる。
【0043】
ベース領域44の深さは、例えば、4μm以下である。ベース領域44のメインゲート電極21と対向する領域には、IGBT100のオン状態の際に反転層が形成される。ベース領域44はトランジスタのチャネル領域として機能する。
【0044】
エミッタ領域46は、n
+形の半導体領域である。エミッタ領域46は、ベース領域44と第1の面P1との間に設けられる。エミッタ領域46は、第1の面P1において、第1の方向に延伸する。
【0045】
エミッタ領域46は、メインゲートトレンチ31に接する。エミッタ領域46は、メインゲート絶縁膜16に接する。エミッタ領域46は、コントロールゲートトレンチ32と離間する。エミッタ領域46は、コントロールゲートトレンチ32と接していない。エミッタ領域46は、コントロールゲート絶縁膜17と離間する。エミッタ領域46は、コントロールゲート絶縁膜17と接していない。
【0046】
エミッタ領域46aは、メインゲートトレンチ31aとコントロールゲートトレンチ32aとの間に設けられる。エミッタ領域46aは、メインゲートトレンチ31aに接する。エミッタ領域46aは、コントロールゲートトレンチ32aと離間する。
【0047】
エミッタ領域46bは、メインゲートトレンチ31bとコントロールゲートトレンチ32bとの間に設けられる。エミッタ領域46bは、メインゲートトレンチ31bに接する。エミッタ領域46aは、コントロールゲートトレンチ32bと離間する。
【0048】
エミッタ領域46cは、メインゲートトレンチ31aとコントロールゲートトレンチ32cとの間に設けられる。エミッタ領域46cは、メインゲートトレンチ31aに接する。エミッタ領域46aは、コントロールゲートトレンチ32cと離間する。
【0049】
エミッタ領域46のn形不純物濃度は、ドリフト領域40のn形不純物濃度より高い。
【0050】
エミッタ領域46は、エミッタ電極12に電気的に接続される。エミッタ領域46は、エミッタ電極12に接する。エミッタ領域46は、メインゲート電極21を有するトランジスタのオン状態の際に電子の供給源となる。
【0051】
コンタクト領域48は、p
+形の半導体領域である。コンタクト領域48は、ベース領域44と第1の面P1との間に設けられる。コンタクト領域48は、第1の面P1において、第1の方向に延伸する。
【0052】
コンタクト領域48は、エミッタ電極12に電気的に接続される。コンタクト領域48とエミッタ電極12との接触領域は、第1の方向に連続的に延びる。コンタクト領域48のp形不純物濃度は、ベース領域44のp形不純物濃度よりも高い。
【0053】
p形領域50は、p
+形の半導体領域である。p形領域50は、ベース領域44と第1の面P1との間に設けられる。p形領域50は、第1の面P1において、第1の方向に延伸する。p形領域50は、例えば、図示しない領域でエミッタ電極12に電気的に接続される。コンタクト領域48のp形不純物濃度は、ベース領域44のp形不純物濃度よりも高い。
【0054】
p形領域50は、例えば、図示しないコンタクト部分でエミッタ電極12に電気的に接続される。コンタクト部分で、p形領域50とエミッタ電極12が接触する。コンタクト部分は、例えば、コントロールゲートトレンチ32やダミーゲートトレンチ33の端部より外側の領域に設けられる。コンタクト部分は、例えば、コントロールゲートトレンチ32とダミーゲートトレンチ33の間の領域に、第1の方向に断続的に設けられる。
【0055】
p形領域50は、コンタクト部分とベース領域44との間の抵抗を低減し、ベース領域44からのホールの排出を促進する機能を有する。
【0056】
なお、p形領域50を設けない構成とすることも可能である。
【0057】
メインゲートトレンチ31は、
図3に示すように、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。メインゲートトレンチ31a、メインゲートトレンチ31bは、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。
【0058】
メインゲートトレンチ31は、ストライプ形状を有する。複数のメインゲートトレンチ31は、例えば、第1の方向に直交する第2の方向に繰り返し配置される。
【0059】
メインゲートトレンチ31は、ベース領域44及びバリア領域42を貫通し、ドリフト領域40に達する。メインゲートトレンチ31の深さは、例えば、4μm以上8μm以下である。
【0060】
メインゲート電極21は、メインゲートトレンチ31の中に設けられる。メインゲート電極21aは、メインゲートトレンチ31aの中に設けられる。メインゲート電極21bは、メインゲートトレンチ31bの中に設けられる。
【0061】
メインゲート電極21は、例えば、半導体又は金属である。メインゲート電極21は、例えば、n形不純物又はp形不純物を含む、アモルファスシリコン又は多結晶シリコンである。
【0062】
メインゲート電極21は、第1のゲート電極パッド101に電気的に接続される。メインゲート電極21a及びメインゲート電極21bは、第1のゲート電極パッド101に電気的に接続される。
【0063】
メインゲート絶縁膜16は、メインゲート電極21と半導体層10との間に設けられる。メインゲート絶縁膜16は、メインゲート電極21とドリフト領域40との間、メインゲート電極21とバリア領域42との間、メインゲート電極21とベース領域44との間、及び、メインゲート電極21とエミッタ領域46との間に設けられる。メインゲート絶縁膜16は、ドリフト領域40、バリア領域42、ベース領域44、及び、エミッタ領域46に接する。メインゲート絶縁膜16は、例えば、酸化シリコンである。
【0064】
コントロールゲートトレンチ32は、
図3に示すように、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。コントロールゲートトレンチ32a、コントロールゲートトレンチ32b、コントロールゲートトレンチ32c、コントロールゲートトレンチ32dは、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。
【0065】
コントロールゲートトレンチ32は、ストライプ形状を有する。複数のコントロールゲートトレンチ32は、例えば、第1の方向に直交する第2の方向に繰り返し配置される。
【0066】
コントロールゲートトレンチ32は、ベース領域44及びバリア領域42を貫通し、ドリフト領域40に達する。コントロールゲートトレンチ32の深さは、例えば、4μm以上8μm以下である。
【0067】
コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32cとの間に、メインゲートトレンチ31aが位置する。
【0068】
コントロールゲート電極22は、コントロールゲートトレンチ32の中に設けられる。コントロールゲート電極22aは、コントロールゲートトレンチ32aの中に設けられる。コントロールゲート電極22bは、コントロールゲートトレンチ32bの中に設けられる。コントロールゲート電極22cは、コントロールゲートトレンチ32cの中に設けられる。コントロールゲート電極22dは、コントロールゲートトレンチ32dの中に設けられる。
【0069】
コントロールゲート電極22は、例えば、半導体又は金属である。コントロールゲート電極22は、例えば、n形不純物又はp形不純物を含む、アモルファスシリコン、又は、多結晶シリコンである。
【0070】
コントロールゲート電極22は、第2のゲート電極パッド102に電気的に接続される。コントロールゲート電極22a、コントロールゲート電極22b、コントロールゲート電極22c、及び、コントロールゲート電極22dは、第2のゲート電極パッド102に電気的に接続される。
【0071】
コントロールゲート絶縁膜17は、コントロールゲート電極22と半導体層10との間に設けられる。コントロールゲート絶縁膜17は、コントロールゲート電極22とドリフト領域40との間、コントロールゲート電極22とバリア領域42との間、コントロールゲート電極22とベース領域44との間、及び、コントロールゲート電極22とコンタクト領域48との間に設けられる。コントロールゲート絶縁膜17は、ドリフト領域40、バリア領域42、ベース領域44、及び、コンタクト領域48に接する。コントロールゲート絶縁膜17は、エミッタ領域46に接しない。コントロールゲート絶縁膜17は、エミッタ領域46と離間する。コントロールゲート絶縁膜17は、例えば、酸化シリコンである。
【0072】
ダミーゲートトレンチ33は、
図3に示すように、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。ダミーゲートトレンチ33a、ダミーゲートトレンチ33b、ダミーゲートトレンチ33cは、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。
【0073】
ダミーゲートトレンチ33は、ストライプ形状を有する。複数のダミーゲートトレンチ33は、例えば、第1の方向に直交する第2の方向に繰り返し配置される。
【0074】
ダミーゲートトレンチ33は、ベース領域44及びバリア領域42を貫通し、ドリフト領域40に達する。ダミーゲートトレンチ33の深さは、例えば、4μm以上8μm以下である。
【0075】
ダミーゲート電極23は、ダミーゲートトレンチ33の中に設けられる。ダミーゲート電極23aは、ダミーゲートトレンチ33aの中に設けられる。ダミーゲート電極23bは、ダミーゲートトレンチ33bの中に設けられる。ダミーゲート電極23cは、ダミーゲートトレンチ33cの中に設けられる。
【0076】
ダミーゲート電極23は、例えば、半導体又は金属である。ダミーゲート電極23は、例えば、n形不純物又はp形不純物を含む、アモルファスシリコン、又は、多結晶シリコンである。
【0077】
ダミーゲート電極23は、例えば、エミッタ電極12に電気的に接続される。ダミーゲート電極23a、ダミーゲート電極23b、及び、ダミーゲート電極23cは、例えば、エミッタ電極12に電気的に接続される。
【0078】
ダミーゲート絶縁膜18は、ダミーゲート電極23と半導体層10との間に設けられる。ダミーゲート絶縁膜18は、ダミーゲート電極23とドリフト領域40との間、ダミーゲート電極23とバリア領域42との間、ダミーゲート電極23とベース領域44との間、及び、ダミーゲート電極23とp形領域50との間に設けられる。ダミーゲート絶縁膜18は、ドリフト領域40、バリア領域42、ベース領域44、及び、p形領域50に接する。ダミーゲート絶縁膜18は、エミッタ領域46に接しない。ダミーゲート絶縁膜18は、例えば、酸化シリコンである。
【0079】
IGBT100では、コントロールゲートトレンチ32に隣り合ってメインゲートトレンチ31が設けられる。IGBT100では、コントロールゲート電極22に隣り合ってメインゲート電極21が設けられる。
【0080】
IGBT100では、2つのコントロールゲートトレンチ32の間に、少なくとも一つのダミーゲートトレンチ33が設けられる。2つのコントロールゲート電極22の間に、少なくとも一つのダミーゲート電極23が設けられる。
【0081】
層間絶縁層28は、メインゲート電極21とエミッタ電極12との間、コントロールゲート電極22とエミッタ電極12との間、及び、ダミーゲート電極23とエミッタ電極12との間に設けられる。層間絶縁層28は、メインゲート電極21とエミッタ電極12との間、コントロールゲート電極22とエミッタ電極12との間、及び、ダミーゲート電極23とエミッタ電極12との間を電気的に分離する。
【0082】
層間絶縁層28は、p形領域50とエミッタ電極12との間に設けられる。層間絶縁層28は、p形領域50と、p形領域50の直上のエミッタ電極12との間を電気的に分離する。
【0083】
第1のゲート電極パッド101は、半導体層10の第1の面P1の側に設けられる。第1のゲート電極パッド101は、メインゲート電極21に電気的に接続される。第1のゲート電極パッド101とメインゲート電極21は、例えば、図示しない金属配線で接続される。第1のゲート電極パッド101には、第1のゲート電圧(Vg1)が印加される。
【0084】
第2のゲート電極パッド102は、コントロールゲート電極22に電気的に接続される。第2のゲート電極パッド102とコントロールゲート電極22は、例えば、図示しない金属配線で接続される。第2のゲート電極パッド102には、第2のゲート電圧(Vg2)が印加される。
【0085】
ゲートドライバ回路150は、例えば、IGBT100と同一のモジュール内、又は、IGBT100と同一の回路基板上に設けられる。ゲートドライバ回路150は、IGBT100を駆動する機能を有する。
【0086】
ゲートドライバ回路150は、第1のゲート電極パッド101及び第2のゲート電極パッド102に、所望の第1のゲート電圧(Vg1)及び所望の第2のゲート電圧(Vg2)を、所望のタイミングで印加する機能を有する。
【0087】
ゲートドライバ回路150は、第1のゲート電圧(Vg1)をターンオン電圧からターンオフ電圧に変化させる前に、第2のゲート電圧(Vg2)を第1の電圧から第2の電圧に変化させる。第2の電圧は、第1導電形がp形の場合には負電圧であり、第1導電形がn形の場合には正電圧である。
【0088】
次に、IGBT100の駆動方法について説明する。
【0089】
図4は、第1の実施形態の半導体装置の駆動方法の説明図である。
図4は、第1のゲート電極パッド101に印加される第1のゲート電圧(Vg1)と、第2のゲート電極パッド102に印加される第2のゲート電圧(Vg2)のタイミングチャートである。
【0090】
以下、メインゲート電極21を有するトランジスタの構造と、コントロールゲート電極22を有する構造は、明確に分離された構造ではないが、動作説明の便宜上、メインゲート電極21を有するトランジスタという記載をするものとする。
【0091】
IGBT100のオフ状態では、例えば、エミッタ電極12には、エミッタ電圧が印加される。エミッタ電圧は、例えば、0Vである。コレクタ電極14には、コレクタ電圧が印加される。コレクタ電圧は、例えば、200V以上6500V以下である。
【0092】
IGBT100のオフ状態では、第1のゲート電極パッド101には、ターンオフ電圧(Voff)が印加されている。第1のゲート電圧(Vg1)がターンオフ電圧(Voff)となる。したがって、メインゲート電極21にもターンオフ電圧(Voff)が印加されている。
【0093】
ターンオフ電圧(Voff)は、メインゲート電極21を有するトランジスタがオン状態とならない閾値電圧未満の電圧であり、例えば、0V又は負電圧である。
【0094】
オフ状態では、メインゲート電極21と対向し、メインゲート絶縁膜16に接するベース領域44には、n形反転層は形成されない。
【0095】
IGBT100のオフ状態では、第2のゲート電極パッド102には、初期電圧(V0)が印加されている。初期電圧(V0)は、例えば、コントロールゲート電極22と対向し、コントロールゲート絶縁膜17に接するドリフト領域40にp形反転層が形成されない電圧である。初期電圧(V0)は、例えば、0V又は正電圧である。
【0096】
IGBT100をオン状態にする際(
図4の時刻t1)に、第1のゲート電極パッド101にターンオン電圧(Von)を印加する。第1のゲート電圧(Vg1)がターンオン電圧(Von)となる。メインゲート電極21にもターンオン電圧(Von)が印加される。
【0097】
ターンオン電圧(Von)とは、メインゲート電極21を有するトランジスタの閾値電圧を超える正電圧である。ターンオン電圧(Von)は、例えば、15Vである。メインゲート電極21へのターンオン電圧(Von)の印加により、メインゲート電極21を有するトランジスタがオン状態になる。
【0098】
IGBT100をオン状態にする際(
図4の時刻t1)に、第2のゲート電極パッド102には、第1の電圧(V1)が印加される。第2のゲート電圧(Vg2)は、第1の電圧(V1)となる。
【0099】
第1の電圧(V1)は、例えば、初期電圧(V0)よりも高い正電圧である。第1の電圧(V1)は、例えば、ターンオン電圧(Von)に等しい。第2のゲート電極パッド102に第1の電圧(V1)が印加されることにより、コントロールゲート電極22に対向し、コントロールゲート絶縁膜17に接するバリア領域42にn形蓄積層が形成される。
【0100】
IGBT100をオフ状態にする際(
図4の時刻t3)に、第1のゲート電極パッド101にターンオフ電圧(Voff)を印加する。第1のゲート電圧(Vg1)がターンオフ電圧(Voff)となる。
【0101】
第1のゲート電圧(Vg1)をターンオン電圧(Von)からターンオフ電圧(Voff)に変化させる前、すなわち時刻t3の前に、第2のゲート電圧(Vg2)を第1の電圧(V1)から第2の電圧(V2)に変化させる。第2のゲート電極パッド102に印加する電圧を時刻t2に、第1の電圧(V1)から第2の電圧(V2)に変化させる。
【0102】
第2の電圧(V2)は負電圧である。第2の電圧(V2)は、例えば、−15V以上0V未満である。第2のゲート電極パッド102に第2の電圧(V2)が印加されることにより、コントロールゲート電極22に対向し、コントロールゲート絶縁膜17に接するドリフト領域40及びコントロールゲート絶縁膜17に接するバリア領域42にp形反転層が形成される。
【0103】
時刻t2と時刻t3との間は、例えば、0.1マイクロ秒以上3マイクロ秒以下である。時刻t2と時刻t3との間は、例えば、1マイクロ秒である。
【0104】
次に、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0105】
IGBTのオン抵抗を低減するためには、オン状態のドリフト領域のキャリア濃度を大きくすることが有効である。一方、IGBTのターンオフ時に、ドリフト領域からのキャリアの排出が遅くなると、ターンオフ時間が長くなり、スイッチング損失が増大する。したがって、オン抵抗の低減と、スイッチング損失の低減の両立を図ることが望まれる。
【0106】
第1の実施形態のIGBT100は、メインゲートトレンチ31aとコントロールゲートトレンチ32aとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが接触する領域の面積を、第1の接触面積と定義し、コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが接触する領域の面積を、第2の接触面積と定義した場合に、第1の接触面積が第2の接触面積よりも大きい。言い換えれば、第2の接触面積は、第1の接触面積以下である。
【0107】
第1の実施形態のIGBT100は、メインゲートトレンチ31bとコントロールゲートトレンチ32bとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが接触する領域の面積を、第3の接触面積と定義し、コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが接触する領域の面積を、第2の接触面積と定義した場合に、第3の接触面積が第2の接触面積よりも大きい。言い換えれば、第2の接触面積は、第3の接触面積以下である。
【0108】
IGBT100では、コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間の領域でエミッタ電極12が半導体層10に接する面積が、メインゲートトレンチ31aとコントロールゲートトレンチ32aとの間の領域で半導体層10とエミッタ電極12とが接触する面積と比較して小さくなる。また、IGBT100では、コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間の領域でエミッタ電極12が半導体層10に接する面積が、メインゲートトレンチ31bとコントロールゲートトレンチ32bとの間の半導体層10との間の領域でエミッタ電極12とが接触する面積と比較して小さくなる。したがって、コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間の領域では、オン状態の際に、ドリフト領域40からエミッタ電極12へのホールの排出が抑制される。したがって、IGBT100のオン抵抗が低減される。
【0109】
オン抵抗を低減する観点から、第1の接触面積は第2の接触面積の10倍以上であることが好ましい。オン抵抗を低減する観点から、第3の接触面積は第2の接触面積の10倍以上であることが好ましい。
【0110】
また、オン抵抗を低減する観点から、コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間の領域では、半導体層10とエミッタ電極12は接触しないことが好ましい。すなわち、第2の接触面積がゼロであることが好ましい。
【0111】
また、IGBT100は、バリア領域42を設けることで、オン状態の際に、ドリフト領域40の中のホールがエミッタ電極12へ排出されることが制限される。したがって、IGBT100のオン抵抗が低減する。更に、IGBT100では、オン状態の際に、第2のゲート電極パッド102に正の電圧である第1の電圧(V1)が印加されることにより、コントロールゲート絶縁膜17に接するバリア領域42にn形蓄積層が形成される。n形蓄積層が形成されることで、更に、バリア領域42を通ってエミッタ電極12へホールが排出されることが制限される。したがって、更にIGBT100のオン抵抗が低減する。
【0112】
上述のように、IGBT100ではオン抵抗が低減する。しかし、IGBT100のオン状態でのドリフト領域40のキャリア濃度が大きくなるため、IGBT100をオフ状態にする際にドリフト領域40からのホールの排出が遅くなり、ターンオフ時間が長くなるおそれがある。
【0113】
第1の実施形態のIGBT100は、メインゲートトレンチ31内のメインゲート電極21と、コントロールゲートトレンチ32内のコントロールゲート電極22とを備える。メインゲート電極21に印加される第1のゲート電圧(Vg1)と、コントロールゲート電極22に印加される第2のゲート電圧(Vg2)は独立に制御される。
【0114】
IGBT100は、第1のゲート電圧(Vg1)をターンオン電圧(Von)からターンオフ電圧(Voff)に変化させる前に、第2のゲート電圧(Vg2)を負電圧にする。第2のゲート電圧(Vg2)を負電圧にすることにより、コントロールゲート電極22と対向し、コントロールゲート絶縁膜17に接するドリフト領域40及びコントロールゲート絶縁膜17に接するバリア領域42にp形反転層が形成される。
【0115】
第2のゲート電圧(Vg2)を負電圧にすることで、ドリフト領域40よりもn形不純物濃度が高いバリア領域42にもp形反転層を形成することが可能となる。
【0116】
ドリフト領域40のホールが、このp形反転層を通ってエミッタ電極12へ排出される。したがって、ドリフト領域40の第1の面P1側のキャリア蓄積量が少なくなる。
【0117】
第1のゲート電圧(Vg1)をターンオン電圧(Von)からターンオフ電圧(Voff)に変化させる際(
図4の時刻t3)には、既に、ドリフト領域40の第1の面P1側のキャリア蓄積量が少なくなっているため、ターンオフ時間が短くなる。よって、IGBT100のスイッチング損失を低減することが可能となる。
【0118】
第1の実施形態のIGBT100では、ターンオフ時にバリア領域42にp形反転層を形成することで、ドリフト領域40からのホールの排出が促進され、ターンオフ時間を短くすることが可能となる。よって、スイッチング損失を低減することが可能となる。
【0119】
なお、第1の電圧(V1)を、例えば、0Vとすることも可能である。
【0120】
IGBT100では、ターンオフ時に、コントロールゲート電極22に負電圧を印加してコントロールゲートトレンチ32の近傍にp形反転層が形成され、ホールの排出経路が形成される。このため、コントロールゲートトレンチ32の近傍の電界強度が高くなり、ダイナミックアバランシェ現象が発生し、IGBT100の破壊や長期的な特性変動が起こるおそれがある。長期的な特性変動とは、例えば、IGBT100の長期的な使用によって生じるスイッチング特性の変動である。
【0121】
IGBT100では、コントロールゲートトレンチ32に隣り合ってメインゲートトレンチ31が設けられる。IGBT100では、コントロールゲート電極22に隣り合ってメインゲート電極21が設けられる。
【0122】
メインゲート電極21を有するトランジスタは、エミッタ電極12からドリフト領域40に電子を注入する。このため、IGBT100では、ホールの排出経路に隣り合って電子の注入経路が存在することになる。したがって、コントロールゲートトレンチ32の近傍の電界強度が低くなる。よって、ダイナミックアバランシェ現象に起因するIGBT100の破壊や長期的な特性変動が抑制される。
【0123】
また、IGBT100では、コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間に、ダミーゲートトレンチ33aが設けられる。コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間に、ダミーゲートトレンチ33aを設けることで、半導体層10にトレンチを一定の周期的で設けることが可能となる。したがって、トレンチのパターンを安定して形成することが可能となる。
【0124】
また、ダミーゲートトレンチ33aを設けることにより、IGBT100のオフ状態での、コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間の領域での電界強度が緩和され、IGBT100の耐圧が向上する。
【0125】
以上、第1の実施形態のIGBTによれば、オン抵抗の低減と、スイッチング損失の低減が可能となる。また、第1の実施形態のIGBTによれば、アバランシェブレークダウンに起因する破壊が抑制される。
【0126】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置は、半導体層は、第1の面の側に、第3のトレンチとの間に第1のトレンチが位置し、第1の方向に延びる第7のトレンチと、第7のトレンチの中に設けられ、第1のゲート電極パッドに電気的に接続された第7のゲート電極と、を有し、第4の半導体領域は、第1のトレンチと第7のトレンチとの間に設けられる点で、第1の実施形態と異なっている。
【0127】
第2の実施形態の半導体回路は、上記半導体装置と、上記半導体装置を駆動し、第1のゲート電圧をターンオン電圧からターンオフ電圧に変化させる前に、第2のゲート電圧を第1の電圧から第2の電圧に変化させ、第2の電圧は、第1導電形がp形の場合には負電圧であり、第1導電形がn形の場合には正電圧である制御回路と、を備える。
【0128】
以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0129】
第2の実施形態の半導体回路は、半導体装置と、半導体装置を制御する制御回路で構成される。
【0130】
第2の実施形態の半導体装置は、半導体層に形成されたトレンチの中にゲート電極を備えるトレンチゲート形のIGBT200である。IGBT200は、ダブルゲート駆動が可能なIGBTである。以下、第1導電形がp形、第2導電形がn形である場合を例に説明する。
【0131】
第2の実施形態の制御回路は、ゲートドライバ回路150である。
【0132】
図5は、第2の実施形態の半導体回路の模式図である。
図5は、メインゲートトレンチ、コントロールゲートトレンチ、ダミーゲートトレンチ、メインゲート電極、コントロールゲート電極、ダミーゲート電極、メインゲート絶縁膜、コントロールゲート絶縁膜、ダミーゲート絶縁膜、第1のゲート電極パッド、第2のゲート電極パッド、及び、制御回路の配置と接続関係を示す。
図6は、第2の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図である。
図7は、第2の実施形態の半導体装置の一部の模式上面図である。
図7は、第1の面P1における上面図である。
図6は、
図7のBB’断面である。
【0133】
第2の実施形態のIGBT200は、半導体層10、エミッタ電極12(第1の電極)、コレクタ電極14(第2の電極)、メインゲート絶縁膜16、コントロールゲート絶縁膜17、ダミーゲート絶縁膜18、メインゲート電極21a(第1のゲート電極)、メインゲート電極21b(第2のゲート電極)、メインゲート電極21c(第7のゲート電極)、メインゲート電極21d、コントロールゲート電極22a(第3のゲート電極)、コントロールゲート電極22b(第4のゲート電極)、ダミーゲート電極23a(第5のゲート電極)、ダミーゲート電極23b、ダミーゲート電極23c、層間絶縁層28、第1のゲート電極パッド101、第2のゲート電極パッド102を備える。
【0134】
以下、メインゲート電極21a、メインゲート電極21b、メインゲート電極21c、メインゲート電極21dを総称して、メインゲート電極21と記載する場合がある。また、コントロールゲート電極22a、コントロールゲート電極22bを総称して、コントロールゲート電極22と記載する場合がある。また、ダミーゲート電極23a、ダミーゲート電極23b、ダミーゲート電極23cを総称して、ダミーゲート電極23と称する場合がある。
【0135】
半導体層10の中には、メインゲートトレンチ31a(第1のトレンチ)、メインゲートトレンチ31b(第2のトレンチ)、メインゲートトレンチ31c(第7のトレンチ)、メインゲートトレンチ31d、コントロールゲートトレンチ32a(第3のトレンチ)、コントロールゲートトレンチ32b(第4のトレンチ)、ダミーゲートトレンチ33a(第5のトレンチ)、ダミーゲートトレンチ33b、ダミーゲートトレンチ33c、コレクタ領域36(第1の半導体領域)、バッファ領域38、ドリフト領域40(第2の半導体領域)、バリア領域42、ベース領域44(第3の半導体領域)、エミッタ領域46a(第4の半導体領域)、エミッタ領域46b(第5の半導体領域)、コンタクト領域48(第7の半導体領域)、p形領域50(第8の半導体領域)が設けられる。
【0136】
以下、メインゲートトレンチ31a、メインゲートトレンチ31b、メインゲートトレンチ31cを総称して、メインゲートトレンチ31と称する場合がある。また、コントロールゲートトレンチ32a、コントロールゲートトレンチ32bを総称して、コントロールゲートトレンチ32と称する場合がある。また、ダミーゲートトレンチ33a、ダミーゲートトレンチ33b、ダミーゲートトレンチ33cを総称して、ダミーゲートトレンチ33と称する場合がある。また、エミッタ領域46a、エミッタ領域46bを総称して、エミッタ領域46と称する場合がある。
【0137】
エミッタ電極12は、エミッタ領域46、コンタクト領域48、及び、ベース領域44に電気的に接続される。エミッタ電極12は、エミッタ領域46a、エミッタ領域46bに電気的に接続される。エミッタ電極12には、エミッタ電圧が印加される。エミッタ電圧は、例えば、0Vである。
【0138】
メインゲートトレンチ31aとコントロールゲートトレンチ32aとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが接触する領域の面積を、第1の接触面積と定義する。また、コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが接触する領域の面積を、第2の接触面積と定義する。また、メインゲートトレンチ31bとコントロールゲートトレンチ32bとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが接触する領域の面積を、第3の接触面積と定義する。
【0139】
第1の接触面積は、第2の接触面積よりも大きい。第1の接触面積は第2の接触面積の、例えば、10倍以上である。第3の接触面積は、第2の接触面積よりも大きい。第3の接触面積は第2の接触面積の、例えば、10倍以上である。例えば、コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間の領域では、半導体層10とエミッタ電極12とは接触しない。
【0140】
図6の断面では、コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが、まったく接していない。コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間で、半導体層10とエミッタ電極12とが、まったく接しない構成とすることも可能である。
【0141】
エミッタ領域46は、n
+形の半導体領域である。エミッタ領域46は、ベース領域44と第1の面P1との間に設けられる。エミッタ領域46は、第1の面P1において、第1の方向に延伸する。
【0142】
エミッタ領域46は、メインゲートトレンチ31に接する。エミッタ領域46は、メインゲート絶縁膜16に接する。エミッタ領域46は、コントロールゲートトレンチ32と離間する。エミッタ領域46は、コントロールゲート絶縁膜17と離間する。エミッタ領域46は、コントロールゲート絶縁膜17と接していない。
【0143】
エミッタ領域46aは、メインゲートトレンチ31aとメインゲートトレンチ31cとの間に設けられる。エミッタ領域46aは、メインゲートトレンチ31a及びメインゲートトレンチ31cに接する。エミッタ領域46aは、コントロールゲートトレンチ32aと離間する。
【0144】
コンタクト領域48は、p
+形の半導体領域である。コンタクト領域48は、ベース領域44と第1の面P1との間に設けられる。コンタクト領域48は、第1の面P1において、第1の方向に延伸する。コンタクト領域48は、メインゲートトレンチ31とコントロールゲートトレンチ32との間に設けられる。
【0145】
メインゲートトレンチ31は、
図7に示すように、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。メインゲートトレンチ31a、メインゲートトレンチ31b、メインゲートトレンチ31c、メインゲートトレンチ31dは、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。
【0146】
メインゲートトレンチ31は、ストライプ形状を有する。複数のメインゲートトレンチ31は、例えば、第1の方向に直交する第2の方向に繰り返し配置される。
【0147】
メインゲート電極21は、メインゲートトレンチ31の中に設けられる。メインゲート電極21aは、メインゲートトレンチ31aの中に設けられる。メインゲート電極21bは、メインゲートトレンチ31bの中に設けられる。メインゲート電極21cは、メインゲートトレンチ31cの中に設けられる。メインゲート電極21dは、メインゲートトレンチ31dの中に設けられる。
【0148】
メインゲート電極21は、第1のゲート電極パッド101に電気的に接続される。メインゲート電極21a、メインゲート電極21b、メインゲート電極21c、及び、メインゲート電極21dは、第1のゲート電極パッド101に電気的に接続される。
【0149】
コントロールゲートトレンチ32は、
図7に示すように、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。コントロールゲートトレンチ32a、コントロールゲートトレンチ32bは、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。
【0150】
コントロールゲートトレンチ32は、ストライプ形状を有する。複数のコントロールゲートトレンチ32は、例えば、第1の方向に直交する第2の方向に繰り返し配置される。
【0151】
コントロールゲートトレンチ32aとメインゲートトレンチ31cとの間に、メインゲートトレンチ31aが位置する。
【0152】
コントロールゲート電極22は、コントロールゲートトレンチ32の中に設けられる。コントロールゲート電極22aは、コントロールゲートトレンチ32aの中に設けられる。コントロールゲート電極22bは、コントロールゲートトレンチ32bの中に設けられる。
【0153】
コントロールゲート電極22は、第2のゲート電極パッド102に電気的に接続される。コントロールゲート電極22a、コントロールゲート電極22bは、第2のゲート電極パッド102に電気的に接続される。
【0154】
ダミーゲートトレンチ33は、
図7に示すように、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。ダミーゲートトレンチ33a、ダミーゲートトレンチ33b、ダミーゲートトレンチ33cは、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。
【0155】
ダミーゲートトレンチ33は、ストライプ形状を有する。複数のダミーゲートトレンチ33は、例えば、第1の方向に直交する第2の方向に繰り返し配置される。
【0156】
IGBT200では、コントロールゲートトレンチ32に隣り合ってメインゲートトレンチ31が設けられる。IGBT200では、コントロールゲート電極22に隣り合ってメインゲート電極21が設けられる。
【0157】
IGBT200では、2つのコントロールゲートトレンチ32の間に、少なくとも一つのダミーゲートトレンチ33が設けられる。2つのコントロールゲート電極22の間に、少なくとも一つのダミーゲート電極23が設けられる。
【0158】
IGBT200の駆動方法は、IGBT100の駆動方法と同様である。
【0159】
IGBT200は、第1の実施形態のIGBT100と同様、オン抵抗の低減と、スイッチング損失の低減が可能となる。また、アバランシェブレークダウンに起因する破壊が抑制される。
【0160】
さらに、IGBT200は、エミッタ領域46aを、メインゲートトレンチ31aとメインゲートトレンチ31cとの間に設ける。したがって、トレンチとトレンチとの間に、エミッタ領域46とコンタクト領域48の境界が設けられない。よって、エミッタ領域46のパターン形成が容易となる。
【0161】
以上、第2の実施形態のIGBTによれば、オン抵抗の低減と、スイッチング損失の低減が可能となる。また、第2の実施形態のIGBTによれば、アバランシェブレークダウンに起因する破壊が抑制される。また、第2の実施形態のIGBTによれば、エミッタ領域のパターン形成が容易となる。
【0162】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体装置は、第5のトレンチを備えない点で、第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0163】
第3の実施形態の半導体装置は、半導体層に形成されたトレンチの中にゲート電極を備えるトレンチゲート形のIGBT300である。
【0164】
図8は、第3の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図である。
【0165】
IGBT300は、コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間に、ダミーゲートトレンチが設けられない。
【0166】
IGBT300は、第1の実施形態のIGBT100と同様、オン抵抗の低減と、スイッチング損失の低減が可能となる。また、アバランシェブレークダウンに起因する破壊が抑制される。
【0167】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体装置は、第1の面と、前記第1の面と対向する第2の面を有する半導体層であって、第1の面の側に設けられ、第1の面に平行な第1の方向に延びる第1のトレンチと、第1の面の側に設けられ、第1の方向に延びる第2のトレンチと、第1の面の側の第1のトレンチと第2のトレンチとの間に設けられ、第1のトレンチと隣り合い、第1の方向に延びる第3のトレンチと、第1の面の側の第3のトレンチと第2のトレンチとの間に設けられ、第2のトレンチと隣り合い、第1の方向に延びる第4のトレンチと、第1導電形の第1の半導体領域と、第1の半導体領域と第1の面との間に設けられた第2導電形の第2の半導体領域と、第2の半導体領域と第1の面との間に設けられた第1導電形の第3の半導体領域と、第3の半導体領域と第1の面との間に設けられ、第1のトレンチに接し、第3のトレンチと離間し、第2の半導体領域よりも第2導電形不純物濃度の高い第2導電形の第4の半導体領域と、第3の半導体領域と第1の面との間に設けられ、第2のトレンチに接し、第4のトレンチと離間し、第2の半導体領域よりも第2導電形不純物濃度の高い第2導電形の第5の半導体領域と、を有する半導体層と、第1のトレンチの中に設けられた第1のゲート電極と、第2のトレンチの中に設けられた第2のゲート電極と、第3のトレンチの中に設けられた第3のゲート電極と、第4のトレンチの中に設けられた第4のゲート電極と、半導体層の第1の面の側に設けられ、第4の半導体領域及び第5の半導体領域に電気的に接続され、第1のトレンチと第3のトレンチとの間の半導体層との第1の接触面積が第3のトレンチと第4のトレンチとの間の半導体層との間の第2の接触面積よりも大きく、第2のトレンチと第4のトレンチとの間の半導体層との第3の接触面積が第2の接触面積よりも大きい第1の電極と、半導体層の第2の面の側に設けられ、第1の半導体領域に電気的に接続された第2の電極と、半導体層の第1の面の側に設けられ、第1のゲート電極及び第2のゲート電極と電気的に接続され、第1のゲート電圧が印加される第1のゲート電極パッドと、半導体層の第1の面の側に設けられ、第3のゲート電極と電気的に接続され、第2のゲート電圧が印加される第2のゲート電極パッドと、を備え、第4のゲート電極は、第1の電極に電気的に接続される。
【0168】
第4の実施形態の半導体回路は、上記半導体装置と、上記半導体装置を駆動し、第1のゲート電圧をターンオン電圧からターンオフ電圧に変化させる前に、第2のゲート電圧を第1の電圧から第2の電圧に変化させ、第2の電圧は、第1導電形がp形の場合には負電圧であり、第1導電形がn形の場合には正電圧である制御回路と、を備える。
【0169】
第4の実施形態の半導体回路は、半導体装置と、半導体装置を制御する制御回路で構成される。
【0170】
第4の実施形態の半導体装置は、第4のトレンチがコントロールゲートトレンチではなく、ダミートレンチである点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。
【0171】
以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0172】
第4の実施形態の半導体装置は、半導体層に形成されたトレンチの中にゲート電極を備えるトレンチゲート形のIGBT400である。IGBT400は、ダブルゲート駆動が可能なIGBTである。以下、第1導電形がp形、第2導電形がn形である場合を例に説明する。
【0173】
第4の実施形態の制御回路は、ゲートドライバ回路150である。
【0174】
図9は、第4の実施形態の半導体回路の模式図である。
図9は、メインゲートトレンチ、コントロールゲートトレンチ、ダミーゲートトレンチ、メインゲート電極、コントロールゲート電極、ダミーゲート電極、メインゲート絶縁膜、コントロールゲート絶縁膜、ダミーゲート絶縁膜、第1のゲート電極パッド、第2のゲート電極パッド、及び、制御回路の配置と接続関係を示す。
図10は、第4の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図である。
図11は、第4の実施形態の半導体装置の一部の模式上面図である。
図11は、第1の面P1における上面図である。
図10は、
図11のBB’断面である。
【0175】
第4の実施形態のIGBT400は、半導体層10、エミッタ電極12(第1の電極)、コレクタ電極14(第2の電極)、メインゲート絶縁膜16、コントロールゲート絶縁膜17、ダミーゲート絶縁膜18、メインゲート電極21a(第1のゲート電極)、メインゲート電極21b(第2のゲート電極)、コントロールゲート電極22a(第3のゲート電極)、コントロールゲート電極22d、ダミーゲート電極23a(第5のゲート電極)、ダミーゲート電極23b、ダミーゲート電極23c、ダミーゲート電極23d(第4のゲート電極)、ダミーゲート電極23e、層間絶縁層28、第1のゲート電極パッド101、第2のゲート電極パッド102を備える。
【0176】
以下、メインゲート電極21a、メインゲート電極21bを総称して、メインゲート電極21と称する場合がある。また、コントロールゲート電極22a、コントロールゲート電極22dを総称して、コントロールゲート電極22と称する場合がある。また、ダミーゲート電極23a、ダミーゲート電極23b、ダミーゲート電極23c、ダミーゲート電極23d、ダミーゲート電極23eを総称して、ダミーゲート電極23と称する場合がある。
【0177】
半導体層10の中には、メインゲートトレンチ31a(第1のトレンチ)、メインゲートトレンチ31b(第2のトレンチ)、コントロールゲートトレンチ32a(第3のトレンチ)、コントロールゲートトレンチ32d、ダミーゲートトレンチ33a(第5のトレンチ)、ダミーゲートトレンチ33b、ダミーゲートトレンチ33c、ダミーゲートトレンチ33d(第4のトレンチ)、ダミーゲートトレンチ33e、コレクタ領域36(第1の半導体領域)、バッファ領域38、ドリフト領域40(第2の半導体領域)、バリア領域42、ベース領域44(第3の半導体領域)、エミッタ領域46a(第4の半導体領域)、エミッタ領域46b(第5の半導体領域)、エミッタ領域46c(第6の半導体領域)、エミッタ領域46d、コンタクト領域48(第7の半導体領域)、p形領域50(第8の半導体領域)が設けられる。
【0178】
以下、メインゲートトレンチ31a、メインゲートトレンチ31bを総称して、メインゲートトレンチ31と称する場合がある。また、コントロールゲートトレンチ32a、コントロールゲートトレンチ32dを総称して、コントロールゲートトレンチ32と称する場合がある。また、ダミーゲートトレンチ33a、ダミーゲートトレンチ33b、ダミーゲートトレンチ33cを総称して、ダミーゲートトレンチ33と称する場合がある。また、エミッタ領域46a、エミッタ領域46b、エミッタ領域46c、エミッタ領域46dを総称して、エミッタ領域46と称する場合がある。
【0179】
半導体層10は、第1の面P1と、第1の面P1に対向する第2の面P2とを有する。半導体層10は、例えば、単結晶シリコンである。半導体層10の膜厚は、例えば、40μm以上700μm以下である。
【0180】
本明細書中、第1の面P1に平行な一方向を第1の方向と称する。また、第1の面P1に平行で第1の方向に直交する方向を第2の方向と称する。また、第1の面P1の法線方向を第3の方向と称する。また、本明細書中、「深さ」とは、第1の面P1を基準とする第3の方向の距離と定義する。
【0181】
エミッタ電極12は、半導体層10の第1の面P1の側に設けられる。エミッタ電極12の少なくとも一部は半導体層10の第1の面P1に接する。エミッタ電極12は、例えば、金属である。
【0182】
エミッタ電極12は、エミッタ領域46、コンタクト領域48、及び、ベース領域44に電気的に接続される。エミッタ電極12は、エミッタ領域46a、エミッタ領域46b、エミッタ領域46c、エミッタ領域46dに電気的に接続される。エミッタ電極12には、エミッタ電圧が印加される。エミッタ電圧は、例えば、0Vである。
【0183】
メインゲートトレンチ31aとコントロールゲートトレンチ32aとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが接触する領域の面積を、第1の接触面積と定義する。また、コントロールゲートトレンチ32aとダミーゲートトレンチ33dとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが接触する領域の面積を、第2の接触面積と定義する。
【0184】
第1の接触面積は、第2の接触面積よりも大きい。第1の接触面積は、第2の接触面積の、例えば、10倍以上である。例えば、コントロールゲートトレンチ32aとダミーゲートトレンチ33dとの間の領域では、半導体層10とエミッタ電極12とは接触しない。
【0185】
メインゲートトレンチ31bとダミーゲートトレンチ33dとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが接触する領域の面積を、第3の接触面積と定義する。第3の接触面積は、第2の接触面積よりも大きい。第3の接触面積は、第2の接触面積の、例えば、10倍以上である。
【0186】
図10の断面では、コントロールゲートトレンチ32aとダミーゲートトレンチ33dとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが、まったく接していない。コントロールゲートトレンチ32aとダミーゲートトレンチ33dとの間の一部で、半導体層10とエミッタ電極12とが接する構成とすることも可能である。コントロールゲートトレンチ32aとダミーゲートトレンチ33dとの間の全域で、半導体層10とエミッタ電極12とが、まったく接しない構成とすることも可能である。この場合、第2の接触面積はゼロである。
【0187】
コレクタ電極14は、半導体層10の第2の面P2の側に設けられる。コレクタ電極14の少なくとも一部は半導体層10の第2の面P2に接する。コレクタ電極14は、例えば、金属である。
【0188】
コレクタ電極14は、p形のコレクタ領域36に電気的に接続される。コレクタ電極14には、コレクタ電圧が印加される。コレクタ電圧は、例えば、200V以上6500V以下である。
【0189】
コレクタ領域36は、p形の半導体領域である。コレクタ領域36は、コレクタ電極14に電気的に接続される。コレクタ領域36は、コレクタ電極14に接する。
【0190】
コレクタ領域36は、IGBT400のオン状態の際にホール(正孔)の供給源となる。
【0191】
バッファ領域38は、n形の半導体領域である。バッファ領域38は、コレクタ領域36と第1の面P1との間に設けられる。バッファ領域38は、IGBT400のオフ状態の際に、空乏層の伸びを抑制する機能を有する。バッファ領域38を設けない構成とすることも可能である。
【0192】
ドリフト領域40は、n
−形の半導体領域である。ドリフト領域40は、コレクタ領域36と第1の面P1との間に設けられる。ドリフト領域40は、バッファ領域38と第1の面P1との間に設けられる。ドリフト領域40のn形不純物濃度は、バッファ領域38のn形不純物濃度より低い。
【0193】
ドリフト領域40は、IGBT400のオン状態の際にオン電流の経路となる。ドリフト領域40は、IGBT400のオフ状態の際に空乏化し、IGBT400の耐圧を維持する機能を有する。
【0194】
バリア領域42は、n形の半導体領域である。バリア領域42は、ドリフト領域40と第1の面P1との間に設けられる。バリア領域42は、ドリフト領域40とベース領域44との間に設けられる。
【0195】
バリア領域42のn形不純物濃度は、ドリフト領域40のn形不純物濃度より高い。バリア領域42のn形不純物の最大濃度は、例えば、ドリフト領域40のn形不純物濃度の100倍以上である。
【0196】
ドリフト領域40よりもn形不純物濃度の高いバリア領域42を、第1の面P1側に設けることにより、IGBT100がオン状態の際に、ドリフト領域40の中のホールのエミッタ電極12への排出が制限される。したがって、ドリフト領域40の第1の面P1側のキャリア濃度が高くなる。よって、バリア領域42は、IGBT400のオン抵抗を低減する機能を有する。
【0197】
なお、ドリフト領域40とバリア領域42とは、同じn形不純物領域であり、n形不純物濃度はドリフト領域40からバリア領域42に向かって連続的に高くなる。なお、バリア領域42を設けない構成とすることも可能である。
【0198】
ベース領域44は、p形の半導体領域である。ベース領域44は、ドリフト領域40と第1の面P1との間に設けられる。ベース領域44は、バリア領域42と第1の面P1との間に設けられる。
【0199】
ベース領域44の深さは、例えば、4μm以下である。ベース領域44のメインゲート電極21と対向する領域には、IGBT400のオン状態の際に反転層が形成される。ベース領域44はトランジスタのチャネル領域として機能する。
【0200】
エミッタ領域46は、n
+形の半導体領域である。エミッタ領域46は、ベース領域44と第1の面P1との間に設けられる。エミッタ領域46は、第1の面P1において、第1の方向に延伸する。
【0201】
エミッタ領域46は、メインゲートトレンチ31に接する。エミッタ領域46は、メインゲート絶縁膜16に接する。エミッタ領域46は、コントロールゲートトレンチ32と離間する。エミッタ領域46は、コントロールゲートトレンチ32と接していない。エミッタ領域46は、コントロールゲート絶縁膜17と離間する。エミッタ領域46は、コントロールゲート絶縁膜17と接していない。
【0202】
エミッタ領域46aは、メインゲートトレンチ31aとコントロールゲートトレンチ32aとの間に設けられる。エミッタ領域46aは、メインゲートトレンチ31aに接する。エミッタ領域46aは、コントロールゲートトレンチ32aと離間する。
【0203】
エミッタ領域46bは、メインゲートトレンチ31bとダミーゲートトレンチ33dとの間に設けられる。エミッタ領域46bは、メインゲートトレンチ31bに接する。エミッタ領域46aは、ダミーゲートトレンチ33dと離間する。
【0204】
エミッタ領域46cは、メインゲートトレンチ31aとダミーゲートトレンチ33eとの間に設けられる。エミッタ領域46cは、メインゲートトレンチ31aに接する。エミッタ領域46aは、ダミーゲートトレンチ33eと離間する。
【0205】
エミッタ領域46のn形不純物濃度は、ドリフト領域40のn形不純物濃度より高い。
【0206】
エミッタ領域46は、エミッタ電極12に電気的に接続される。エミッタ領域46は、エミッタ電極12に接する。エミッタ領域46は、メインゲート電極21を有するトランジスタのオン状態の際に電子の供給源となる。
【0207】
コンタクト領域48は、p
+形の半導体領域である。コンタクト領域48は、ベース領域44と第1の面P1との間に設けられる。コンタクト領域48は、第1の面P1において、第1の方向に延伸する。
【0208】
コンタクト領域48は、エミッタ電極12に電気的に接続される。コンタクト領域48とエミッタ電極12との接触領域は、第1の方向に連続的に延びる。コンタクト領域48のp形不純物濃度は、ベース領域44のp形不純物濃度よりも高い。
【0209】
p形領域50は、p
+形の半導体領域である。p形領域50は、ベース領域44と第1の面P1との間に設けられる。p形領域50は、第1の面P1において、第1の方向に延伸する。p形領域50は、例えば、図示しない領域でエミッタ電極12に電気的に接続される。コンタクト領域48のp形不純物濃度は、ベース領域44のp形不純物濃度よりも高い。
【0210】
p形領域50は、例えば、図示しないコンタクト部分でエミッタ電極12に電気的に接続される。コンタクト部分で、p形領域50とエミッタ電極12が接触する。コンタクト部分は、例えば、コントロールゲートトレンチ32やダミーゲートトレンチ33の端部より外側の領域に設けられる。コンタクト部分は、例えば、コントロールゲートトレンチ32とダミーゲートトレンチ33の間の領域に、第1の方向に断続的に設けられる。
【0211】
p形領域50は、コンタクト部分とベース領域44との間の抵抗を低減し、ベース領域44からのホールの排出を促進する機能を有する。
【0212】
なお、p形領域50を設けない構成とすることも可能である。
【0213】
メインゲートトレンチ31は、
図11に示すように、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。メインゲートトレンチ31a、メインゲートトレンチ31bは、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。
【0214】
メインゲートトレンチ31は、ストライプ形状を有する。複数のメインゲートトレンチ31は、例えば、第1の方向に直交する第2の方向に繰り返し配置される。
【0215】
メインゲートトレンチ31は、ベース領域44及びバリア領域42を貫通し、ドリフト領域40に達する。メインゲートトレンチ31の深さは、例えば、4μm以上8μm以下である。
【0216】
メインゲート電極21は、メインゲートトレンチ31の中に設けられる。メインゲート電極21aは、メインゲートトレンチ31aの中に設けられる。メインゲート電極21bは、メインゲートトレンチ31bの中に設けられる。
【0217】
メインゲート電極21は、例えば、半導体又は金属である。メインゲート電極21は、例えば、n形不純物又はp形不純物を含む、アモルファスシリコン又は多結晶シリコンである。
【0218】
メインゲート電極21は、第1のゲート電極パッド101に電気的に接続される。メインゲート電極21a及びメインゲート電極21bは、第1のゲート電極パッド101に電気的に接続される。
【0219】
メインゲート絶縁膜16は、メインゲート電極21と半導体層10との間に設けられる。メインゲート絶縁膜16は、メインゲート電極21とドリフト領域40との間、メインゲート電極21とバリア領域42との間、メインゲート電極21とベース領域44との間、及び、メインゲート電極21とエミッタ領域46との間に設けられる。メインゲート絶縁膜16は、ドリフト領域40、バリア領域42、ベース領域44、及び、エミッタ領域46に接する。メインゲート絶縁膜16は、例えば、酸化シリコンである。
【0220】
コントロールゲートトレンチ32は、
図11に示すように、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。コントロールゲートトレンチ32a、コントロールゲートトレンチ32dは、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。
【0221】
コントロールゲートトレンチ32は、ストライプ形状を有する。複数のコントロールゲートトレンチ32は、例えば、第1の方向に直交する第2の方向に繰り返し配置される。
【0222】
コントロールゲートトレンチ32は、ベース領域44及びバリア領域42を貫通し、ドリフト領域40に達する。コントロールゲートトレンチ32の深さは、例えば、4μm以上8μm以下である。
【0223】
コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32cとの間に、メインゲートトレンチ31aが位置する。
【0224】
コントロールゲート電極22は、コントロールゲートトレンチ32の中に設けられる。コントロールゲート電極22aは、コントロールゲートトレンチ32aの中に設けられる。コントロールゲート電極22dは、コントロールゲートトレンチ32dの中に設けられる。
【0225】
コントロールゲート電極22は、例えば、半導体又は金属である。コントロールゲート電極22は、例えば、n形不純物又はp形不純物を含む、アモルファスシリコン、又は、多結晶シリコンである。
【0226】
コントロールゲート電極22は、第2のゲート電極パッド102に電気的に接続される。コントロールゲート電極22a、及び、コントロールゲート電極22dは、第2のゲート電極パッド102に電気的に接続される。
【0227】
コントロールゲート絶縁膜17は、コントロールゲート電極22と半導体層10との間に設けられる。コントロールゲート絶縁膜17は、コントロールゲート電極22とドリフト領域40との間、コントロールゲート電極22とバリア領域42との間、コントロールゲート電極22とベース領域44との間、及び、コントロールゲート電極22とコンタクト領域48との間に設けられる。コントロールゲート絶縁膜17は、ドリフト領域40、バリア領域42、ベース領域44、及び、コンタクト領域48に接する。コントロールゲート絶縁膜17は、エミッタ領域46に接しない。コントロールゲート絶縁膜17は、エミッタ領域46と離間する。コントロールゲート絶縁膜17は、例えば、酸化シリコンである。
【0228】
ダミーゲートトレンチ33は、
図11に示すように、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。ダミーゲートトレンチ33a、ダミーゲートトレンチ33b、ダミーゲートトレンチ33c、ダミーゲートトレンチ33d、ダミーゲートトレンチ33eは、第1の面P1において、第1の面P1に平行な第1の方向に延伸する。
【0229】
ダミーゲートトレンチ33は、ストライプ形状を有する。複数のダミーゲートトレンチ33は、例えば、第1の方向に直交する第2の方向に繰り返し配置される。
【0230】
ダミーゲートトレンチ33は、ベース領域44及びバリア領域42を貫通し、ドリフト領域40に達する。ダミーゲートトレンチ33の深さは、例えば、4μm以上8μm以下である。
【0231】
ダミーゲート電極23は、ダミーゲートトレンチ33の中に設けられる。ダミーゲート電極23aは、ダミーゲートトレンチ33aの中に設けられる。ダミーゲート電極23bは、ダミーゲートトレンチ33bの中に設けられる。ダミーゲート電極23cは、ダミーゲートトレンチ33cの中に設けられる。
【0232】
ダミーゲート電極23は、例えば、半導体又は金属である。ダミーゲート電極23は、例えば、n形不純物又はp形不純物を含む、アモルファスシリコン、又は、多結晶シリコンである。
【0233】
ダミーゲート電極23は、例えば、エミッタ電極12に電気的に接続される。ダミーゲート電極23a、ダミーゲート電極23b、ダミーゲート電極23c、ダミーゲート電極23d、及び、ダミーゲート電極23eは、エミッタ電極12に電気的に接続される。
【0234】
ダミーゲート絶縁膜18は、ダミーゲート電極23と半導体層10との間に設けられる。ダミーゲート絶縁膜18は、ダミーゲート電極23とドリフト領域40との間、ダミーゲート電極23とバリア領域42との間、ダミーゲート電極23とベース領域44との間、及び、ダミーゲート電極23とp形領域50との間に設けられる。ダミーゲート絶縁膜18は、ドリフト領域40、バリア領域42、ベース領域44、及び、p形領域50に接する。ダミーゲート絶縁膜18は、エミッタ領域46に接しない。ダミーゲート絶縁膜18は、例えば、酸化シリコンである。
【0235】
IGBT400では、コントロールゲートトレンチ32に隣り合ってメインゲートトレンチ31が設けられる。IGBT400では、コントロールゲート電極22に隣り合ってメインゲート電極21が設けられる。
【0236】
IGBT400では、2つのコントロールゲートトレンチ32の間に、少なくとも一つのダミーゲートトレンチ33が設けられる。2つのコントロールゲート電極22の間に、少なくとも一つのダミーゲート電極23が設けられる。
【0237】
層間絶縁層28は、メインゲート電極21とエミッタ電極12との間、コントロールゲート電極22とエミッタ電極12との間、及び、ダミーゲート電極23とエミッタ電極12との間に設けられる。層間絶縁層28は、メインゲート電極21とエミッタ電極12との間、コントロールゲート電極22とエミッタ電極12との間、及び、ダミーゲート電極23とエミッタ電極12との間を電気的に分離する。
【0238】
層間絶縁層28は、p形領域50とエミッタ電極12との間に設けられる。層間絶縁層28は、p形領域50と、p形領域50の直上のエミッタ電極12との間を電気的に分離する。
【0239】
第1のゲート電極パッド101は、半導体層10の第1の面P1の側に設けられる。第1のゲート電極パッド101は、メインゲート電極21に電気的に接続される。第1のゲート電極パッド101とメインゲート電極21は、例えば、図示しない金属配線で接続される。第1のゲート電極パッド101には、第1のゲート電圧(Vg1)が印加される。
【0240】
第2のゲート電極パッド102は、コントロールゲート電極22に電気的に接続される。第2のゲート電極パッド102とコントロールゲート電極22は、例えば、図示しない金属配線で接続される。第2のゲート電極パッド102には、第2のゲート電圧(Vg2)が印加される。
【0241】
ゲートドライバ回路150は、例えば、IGBT400と同一のモジュール内、又は、IGBT400と同一の回路基板上に設けられる。ゲートドライバ回路150は、IGBT400を駆動する機能を有する。
【0242】
ゲートドライバ回路150は、第1のゲート電極パッド101及び第2のゲート電極パッド102に、所望の第1のゲート電圧(Vg1)及び所望の第2のゲート電圧(Vg2)を、所望のタイミングで印加する機能を有する。
【0243】
ゲートドライバ回路150は、第1のゲート電圧(Vg1)をターンオン電圧からターンオフ電圧に変化させる前に、第2のゲート電圧(Vg2)を第1の電圧から第2の電圧に変化させる。第2の電圧は、第1導電形がp形の場合には負電圧であり、第1導電形がn形の場合には正電圧である。
【0244】
次に、IGBT400の駆動方法は、IGBT100の駆動方法と同様である。したがって、IGBT400の駆動方法については記述を省略する。
【0245】
次に、第4の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0246】
IGBTのオン抵抗を低減するためには、オン状態のドリフト領域のキャリア濃度を大きくすることが有効である。一方、IGBTのターンオフ時に、ドリフト領域からのキャリアの排出が遅くなると、ターンオフ時間が長くなり、スイッチング損失が増大する。したがって、オン抵抗の低減と、スイッチング損失の低減の両立を図ることが望まれる。
【0247】
第4の実施形態のIGBT400は、メインゲートトレンチ31aとコントロールゲートトレンチ32aとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが接触する領域の面積を、第1の接触面積と定義し、コントロールゲートトレンチ32aとダミーゲートトレンチ33dとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが接触する領域の面積を、第2の接触面積と定義した場合に、第1の接触面積が第2の接触面積よりも大きい。言い換えれば、第2の接触面積は、第1の接触面積以下である。
【0248】
第4の実施形態のIGBT400は、メインゲートトレンチ31bとダミーゲートトレンチ33dとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが接触する領域の面積を、第3の接触面積と定義し、コントロールゲートトレンチ32aとダミーゲートトレンチ33dとの間の半導体層10とエミッタ電極12とが接触する領域の面積を、第2の接触面積と定義した場合に、第3の接触面積が第2の接触面積よりも大きい。言い換えれば、第2の接触面積は、第3の接触面積以下である。
【0249】
IGBT400では、コントロールゲートトレンチ32aとダミーゲートトレンチ33dとの間の領域でエミッタ電極12が半導体層10に接する面積が、メインゲートトレンチ31aとコントロールゲートトレンチ32aとの間の領域で半導体層10とエミッタ電極12とが接触する面積と比較して小さくなる。また、IGBT400では、コントロールゲートトレンチ32aとダミーゲートトレンチ33dとの間の領域でエミッタ電極12が半導体層10に接する面積が、メインゲートトレンチ31bとダミーゲートトレンチ33dとの間の半導体層10との間の領域でエミッタ電極12とが接触する面積と比較して小さくなる。したがって、コントロールゲートトレンチ32aとダミーゲートトレンチ33dとの間の領域では、オン状態の際に、ドリフト領域40からエミッタ電極12へのホールの排出が抑制される。したがって、IGBT400のオン抵抗が低減される。
【0250】
オン抵抗を低減する観点から、第1の接触面積は第2の接触面積の10倍以上であることが好ましい。オン抵抗を低減する観点から、第3の接触面積は第2の接触面積の10倍以上であることが好ましい。
【0251】
また、オン抵抗を低減する観点から、コントロールゲートトレンチ32aとダミーゲートトレンチ33dとの間の領域では、半導体層10とエミッタ電極12は接触しないことが好ましい。すなわち、第2の接触面積がゼロであることが好ましい。
【0252】
また、IGBT400は、バリア領域42を設けることで、オン状態の際に、ドリフト領域40の中のホールがエミッタ電極12へ排出されることが制限される。したがって、IGBT400のオン抵抗が低減する。更に、IGBT400では、オン状態の際に、第2のゲート電極パッド102に正の電圧である第1の電圧(V1)が印加されることにより、コントロールゲート絶縁膜17に接するバリア領域42にn形蓄積層が形成される。n形蓄積層が形成されることで、更に、バリア領域42を通ってエミッタ電極12へホールが排出されることが制限される。したがって、更にIGBT400のオン抵抗が低減する。
【0253】
上述のように、IGBT400ではオン抵抗が低減する。しかし、IGBT400のオン状態でのドリフト領域40のキャリア濃度が大きくなるため、IGBT400をオフ状態にする際にドリフト領域40からのホールの排出が遅くなり、ターンオフ時間が長くなるおそれがある。
【0254】
第4の実施形態のIGBT400は、メインゲートトレンチ31内のメインゲート電極21と、コントロールゲートトレンチ32内のコントロールゲート電極22とを備える。メインゲート電極21に印加される第1のゲート電圧(Vg1)と、コントロールゲート電極22に印加される第2のゲート電圧(Vg2)は独立に制御される。
【0255】
IGBT400は、第1のゲート電圧(Vg1)をターンオン電圧(Von)からターンオフ電圧(Voff)に変化させる前に、第2のゲート電圧(Vg2)を負電圧にする。第2のゲート電圧(Vg2)を負電圧にすることにより、コントロールゲート電極22と対向し、コントロールゲート絶縁膜17に接するドリフト領域40及びコントロールゲート絶縁膜17に接するバリア領域42にp形反転層が形成される。
【0256】
第2のゲート電圧(Vg2)を負電圧にすることで、ドリフト領域40よりもn形不純物濃度が高いバリア領域42にもp形反転層を形成することが可能となる。
【0257】
ドリフト領域40のホールが、このp形反転層を通ってエミッタ電極12へ排出される。したがって、ドリフト領域40の第1の面P1側のキャリア蓄積量が少なくなる。
【0258】
第1のゲート電圧(Vg1)をターンオン電圧(Von)からターンオフ電圧(Voff)に変化させる際には、既に、ドリフト領域40の第1の面P1側のキャリア蓄積量が少なくなっているため、ターンオフ時間が短くなる。よって、IGBT400のスイッチング損失を低減することが可能となる。
【0259】
第4の実施形態のIGBT400では、ターンオフ時にバリア領域42にp形反転層を形成することで、ドリフト領域40からのホールの排出が促進され、ターンオフ時間を短くすることが可能となる。よって、スイッチング損失を低減することが可能となる。
【0260】
なお、第1の電圧(V1)を、例えば、0Vとすることも可能である。
【0261】
IGBT400では、ターンオフ時に、コントロールゲート電極22に負電圧を印加してコントロールゲートトレンチ32の近傍にp形反転層が形成され、ホールの排出経路が形成される。このため、コントロールゲートトレンチ32の近傍の電界強度が高くなり、ダイナミックアバランシェ現象が発生し、IGBT400の破壊や長期的な特性変動が起こるおそれがある。長期的な特性変動とは、例えば、IGBT400の長期的な使用によって生じるスイッチング特性の変動である。
【0262】
IGBT400では、コントロールゲートトレンチ32に隣り合ってメインゲートトレンチ31が設けられる。IGBT400では、コントロールゲート電極22に隣り合ってメインゲート電極21が設けられる。
【0263】
メインゲート電極21を有するトランジスタは、エミッタ電極12からドリフト領域40に電子を注入する。このため、IGBT400では、ホールの排出経路に隣り合って電子の注入経路が存在することになる。したがって、コントロールゲートトレンチ32の近傍の電界強度が低くなる。よって、ダイナミックアバランシェ現象に起因するIGBT400の破壊や長期的な特性変動が抑制される。
【0264】
また、IGBT400では、コントロールゲートトレンチ32aとダミーゲートトレンチ33dとの間に、ダミーゲートトレンチ33aが設けられる。コントロールゲートトレンチ32aとダミーゲートトレンチ33dとの間に、更にダミーゲートトレンチ33aを設けることで、半導体層10にトレンチを一定の周期的で設けることが可能となる。したがって、トレンチのパターンを安定して形成することが可能となる。
【0265】
また、ダミーゲートトレンチ33aを設けることにより、IGBT400のオフ状態での、コントロールゲートトレンチ32aとコントロールゲートトレンチ32bとの間の領域での電界強度が緩和され、IGBT400の耐圧が向上する。
【0266】
以上、第4の実施形態のIGBTによれば、オン抵抗の低減と、スイッチング損失の低減が可能となる。また、第4の実施形態のIGBTによれば、アバランシェブレークダウンに起因する破壊が抑制される。
【0267】
第1ないし第4の実施形態においては、半導体層が単結晶シリコンである場合を例に説明したが、半導体層は単結晶シリコンに限られることはない。例えば、単結晶炭化珪素など、その他の単結晶半導体であっても構わない。
【0268】
第1ないし第4の実施形態においては、第1導電形がp形、第2導電形がn形である場合を例に説明したが、第1導電形をn形、第2導電形をp形とすることも可能である。第1導電形をn形、第2導電形をp形とする場合、例えば、第2の電圧(V2)は正電圧となる。
【0269】
第1及び第2の実施形態においては、2つのコントロールゲートトレンチ32の間に、1つのダミーゲートトレンチ33が挟まれる場合を例に説明したが、ダミーゲートトレンチ33の数は2つ以上であっても構わない。
【0270】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。