【解決手段】実施形態の半導体装置の製造方法は、表面と、表面と対向する裏面と、表面と裏面との間の側面とを有する炭化珪素基板の、表面、裏面、及び、側面に接するように第1のシリコン膜を形成し、表面に形成された第1のシリコン膜を除去し、表面からイオン注入法を用いて不純物を炭化珪素基板に注入し、不純物を注入した後に、裏面に形成された第1のシリコン膜を除去し、裏面に形成された第1のシリコン膜を除去した後に、不純物を活性化する熱処理を行う。
表面と、前記表面と対向する裏面と、前記表面と前記裏面との間の側面とを有する炭化珪素基板の、前記表面、前記裏面、及び、前記側面に接するように第1のシリコン膜を形成し、
前記表面に形成された前記第1のシリコン膜を除去し、
前記表面からイオン注入法を用いて不純物を前記炭化珪素基板に注入し、
前記不純物を注入した後に、前記裏面に形成された前記第1のシリコン膜を除去し、
前記裏面に形成された前記第1のシリコン膜を除去した後に、前記不純物を活性化する熱処理を行う半導体装置の製造方法。
表面と、前記表面と対向する裏面と、前記表面と前記裏面との間の側面とを有し、前記表面、前記裏面、及び、前記側面に接するように第1のシリコン膜が形成された炭化珪素基板を準備し、
前記表面に形成された前記第1のシリコン膜を除去し、
前記表面からイオン注入法を用いて不純物を前記炭化珪素基板に注入し、
前記不純物を注入した後に、前記裏面に形成された前記第1のシリコン膜を除去し、
前記裏面に形成された前記第1のシリコン膜を除去した後に、前記不純物を活性化する熱処理を行う半導体装置の製造方法。
前記表面に形成された前記第1のシリコン膜を除去する際に、前記側面に形成された前記第1のシリコン膜を残存させる請求項1ないし請求項5いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
前記裏面に形成された前記第1のシリコン膜のうち、前記炭化珪素基板の中央部の前記第1のシリコン膜を除去する請求項1ないし請求項6いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する場合がある。
【0009】
また、以下の説明において、n
+、n、n
−及び、p
+、p、p
−の表記は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちn
+はnよりもn型不純物濃度が相対的に高く、n
−はnよりもn型不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、p
+はpよりもp型不純物濃度が相対的に高く、p
−はpよりもp型不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n
+型、n
−型を単にn型、p
+型、p
−型を単にp型と記載する場合もある。
【0010】
不純物濃度は、例えば、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)により測定することが可能である。また、不純物濃度の相対的な高低は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。また、不純物領域の深さ、厚さなどの距離は、例えば、SIMSで求めることが可能である。また。不純物領域の深さ、厚さ、幅、間隔などの距離は、例えば、SCM像とSIMSの測定結果を用いて求めることが可能である。また、絶縁層の形状などは、例えば、SEM(Scanning Electron Microscope)、又は、TEM(Transmisson Electron Microscope)により判断することが可能である。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置の製造方法は、表面と、表面と対向する裏面と、表面と裏面との間の側面とを有する炭化珪素基板の、表面、裏面、及び、側面に接するように第1のシリコン膜を形成し、表面に形成された第1のシリコン膜を除去する。また、表面に形成された第1のシリコン膜を除去した後に、表面からイオン注入法を用いて不純物を炭化珪素基板に注入し、不純物を注入した後に、裏面に形成された第1のシリコン膜を除去し、裏面に形成された第1のシリコン膜を除去した後に、不純物を活性化する熱処理を行う。また、上記熱処理の後に、裏面に第2のシリコン膜を形成する。
【0012】
図1は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法により製造される半導体装置の模式断面図である。
【0013】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法により製造される半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型のMOSFET100である。MOSFET100は、ボディ領域とソース領域をイオン注入で形成する、Double Implantation MOSFET(DIMOSFET)である。MOSFET100は、電子をキャリアとする縦型のnチャネル型のMOSFETである。
【0014】
MOSFET100は、炭化珪素基板10、ソース電極12、ドレイン電極14、ゲート絶縁層16、ゲート電極18、層間絶縁層20、周辺絶縁層21を備える。
【0015】
炭化珪素基板10の中には、n
+型のドレイン領域22、n
−型のドリフト領域24、p型のボディ領域26、n
+型のソース領域28、p
+型のコンタクト領域30、p
−型のリサーフ領域32を備える。
【0016】
炭化珪素基板10は、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。炭化珪素基板10は、表面S1(front surface)と裏面S2(back surface)とを有する。炭化珪素基板10は、単結晶のSiCである。炭化珪素基板10は、例えば、4H−SiCである。
【0017】
n
+型のドレイン領域22は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。ドレイン領域22のn型不純物濃度は、例えば、1×10
18cm
−3以上1×10
21cm
−3以下である。
【0018】
n
−型のドリフト領域24は、ドレイン領域22と表面S1との間に設けられる。n
−型のドリフト領域24は、ドレイン領域22の上に設けられる。
【0019】
ドリフト領域24は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。ドリフト領域24のn型不純物濃度は、ドレイン領域22のn型不純物濃度よりも低い。ドリフト領域24のn型不純物濃度は、例えば、4×10
14cm
−3以上1×10
17cm
−3以下である。ドリフト領域24の厚さは、例えば、4μm以上150μm以下である。
【0020】
p型のボディ領域26は、ドリフト領域24と表面S1との間に設けられる。ボディ領域26は、MOSFET100のチャネル領域として機能する。
【0021】
ボディ領域26は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。ボディ領域26のp型不純物濃度は、例えば、1×10
17cm
−3以上5×10
18cm
−3以下である。ボディ領域の深さは、例えば、0.3μm以上0.8μm以下である。
【0022】
ボディ領域26は、ソース電極12の電位に固定される。
【0023】
n
+型のソース領域28は、ボディ領域26と表面S1との間に設けられる。ソース領域28は、例えば、リン(P)をn型不純物として含む。ソース領域28のn型不純物濃度は、ドリフト領域24のn型不純物濃度よりも高い。
【0024】
ソース領域28のn型不純物濃度は、例えば、5×10
18cm
−3以上1×10
21cm
−3以下である。ソース領域28の深さは、ボディ領域26の深さよりも浅く、例えば、0.1μm以上0.3μm以下である。
【0025】
ソース領域28は、ソース電極12に電気的に接続される。ソース領域28は、ソース電極12の電位に固定される。
【0026】
p
+型のコンタクト領域30は、ボディ領域26と表面S1との間に設けられる。コンタクト領域30のp型不純物濃度は、ボディ領域26のp型不純物濃度よりも高い。
【0027】
コンタクト領域30は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。コンタクト領域30のp型不純物濃度は、例えば、5×10
18cm
−3以上1×10
21cm
−3以下である。
【0028】
コンタクト領域30の深さは、例えば、0.3μm以上0.6μm以下である。
【0029】
コンタクト領域30は、ソース電極12に電気的に接続される。コンタクト領域30は、ソース電極12の電位に固定される。
【0030】
p
−型のリサーフ領域32は、ドリフト領域24と表面S1との間に設けられる。リサーフ領域32は、ボディ領域26の外周に設けられる。リサーフ領域32は、MOSFET100のオフ時に、終端部での横方向の電界を緩和し、MOSFET100の絶縁破壊耐圧を向上させる機能を有する。
【0031】
ゲート電極18は、炭化珪素基板10の表面S1の側に設けられる。ゲート電極18は、導電層である。ゲート電極は、例えば、p型不純物又はn型不純物を含む多結晶質シリコンである。
【0032】
ゲート絶縁層16は、ゲート電極18と、ボディ領域26との間に設けられる。ゲート絶縁層16は、例えば、酸化シリコンである。
【0033】
ボディ領域26の、ゲート電極18と対向する領域がMOSFET100のチャネル領域として機能する。
【0034】
ソース電極12は、炭化珪素基板10の表面S1の側に設けられる。ソース電極12は、例えば、バリアメタル層とメインメタル層との積層構造を有する。ソース電極12は、金属を含む。
【0035】
バリアメタル層は、例えば、チタン(Ti)を含む。バリアメタル層は、例えば、チタン又は窒化チタンである。バリアメタル層は、例えば、チタン及び窒化チタンである。
【0036】
メインメタル層は、例えば、アルミニウム(Al)を含む。メインメタル層は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金である。
【0037】
ソース電極12と炭化珪素基板10の間には、例えば、図示しないシリサイド層が設けられる。
【0038】
ドレイン電極14は、炭化珪素基板10の裏面S2の側に設けられる。ドレイン電極14は、ドレイン領域22に接する。
【0039】
ドレイン電極14は、例えば、金属又は金属半導体化合物である。ドレイン電極14は、例えば、ニッケルシリサイド、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、及び、金(Au)から成る群から選ばれる少なくとも一つの材料を含む。
【0040】
層間絶縁層20は、ソース電極12とゲート電極18との間に設けられる。層間絶縁層20は、例えば、酸化シリコンである。
【0041】
周辺絶縁層21は、ソース電極12と炭化珪素基板10との間に設けられる。周辺絶縁層21は、ソース電極12とリサーフ領域32との間に設けられる。周辺絶縁層21は、例えば、酸化シリコンである。
【0043】
最初に、炭化珪素基板10を準備する。
図2(a)は炭化珪素基板10の平面図、
図2(b)は炭化珪素基板10の断面図である。
図2(a)は炭化珪素基板10の表面側の図である。
図2(b)は、
図2(a)のAA’断面である。
【0044】
炭化珪素基板10は、例えば、オリエンテーションフラットOFを有する炭化珪素ウェハである。炭化珪素基板10は、表面(
図2(b)中“S1”)、裏面(
図2(b)中“S2”)、及び側面(
図2(b)中“S3”)を備える。裏面S2は、表面S1と対向する。側面S3は、表面S1と裏面S2との間に位置する。炭化珪素基板10の厚さは、例えば、500μm以上800μm以下である。
【0045】
次に、炭化珪素基板10の表面S1、裏面S2、側面S3に接するように、シリコン膜40が形成された基板を準備する。炭化珪素基板10の表面S1、裏面S2、側面S3に接するように、シリコン膜40を形成する(
図3)。形成されたシリコン膜40は、炭化珪素基板10に直接に接する。シリコン膜40は、第1のシリコン膜の一例である。
【0046】
なお、シリコン膜40が炭化珪素基板10に直接に接するとは、シリコン膜40を形成する前に、炭化珪素基板10の上に他の膜を形成する工程を積極的に設けていないことを意味する。例えば、炭化珪素基板10の上に形成された自然酸化膜が、炭化珪素基板10とシリコン膜40との間に介在する場合は、シリコン膜40が炭化珪素基板10に直接に接しているとみなす。
【0047】
シリコン膜40は、例えば、減圧化学気相成長法(LPCVD法)により形成される。シリコン膜40は、非晶質又は多結晶質である。シリコン膜40の膜厚は、例えば、500nm以上2μm以下である。
【0048】
次に、炭化珪素基板10の表面S1に形成されたシリコン膜40を除去する(
図4)。シリコン膜40は、例えば、等方性のドライエッチングで除去する。
【0049】
図5は、
図4の一部の拡大図である。炭化珪素基板10は、n
+型のドレイン領域22とn
−型のドリフト領域24を有する。ドレイン領域22のn型不純物濃度は、例えば、1×10
18cm
−3以上1×10
21cm
−3以下である。ドリフト領域24は、例えば、ドレイン領域22の上にエピタキシャル成長法により形成される。ドリフト領域24のn型不純物濃度は、例えば、1×10
15cm
−3以上2×10
16cm
−3以下である。
【0050】
次に、炭化珪素基板10に、p型のボディ領域26、n
+型のソース領域28、p
+型のコンタクト領域30、p
−型のリサーフ領域32を形成する。ボディ領域26、ソース領域28、コンタクト領域30、リサーフ領域32は、炭化珪素基板10の表面S1から不純物を、炭化珪素基板10にイオン注入法を用いて注入することにより形成される。不純物は、例えば、図示しないパターニングされたフォトレジスト層をマスクに所定の領域に注入される(
図6)。不純物は、導電性不純物である。導電性不純物は、p型不純物又はn型不純物である。
【0051】
次に、炭化珪素基板10の裏面S2に形成されたシリコン膜40を除去する(
図7)。シリコン膜40は、例えば、等方性のドライエッチングで除去する。
【0052】
次に、炭化珪素基板10の表面S1に炭素膜42を形成する(
図8)。炭素膜42は、例えば、塗布したレジストの炭化、又はスパッタ法により形成される。炭素膜42は、次に行われる熱処理の際に、炭化珪素基板10の炭素が雰囲気中に外方拡散し、炭化珪素基板10の表面が荒れることを抑制する。炭素膜42はいわゆるキャップ膜である。
【0053】
次に、炭化珪素基板10に注入されたp型不純物及びn型不純物を活性化する熱処理を行う。熱処理は、例えば、不活性ガス雰囲気中で行う。熱処理は、例えば、アルゴンガス雰囲気中で行う。熱処理の温度は、例えば、1500℃以上2000℃以下である。熱処理は、いわゆる活性化アニールである。
【0054】
次に、炭化珪素基板10の表面S1の炭素膜42を除去する。炭素膜42は、例えば、酸素プラズマを用いるアッシングにより除去される。
【0055】
次に、炭化珪素基板10の表面S1に、第1の絶縁膜44を形成する(
図9)。第1の絶縁膜44は、例えば、LPCVD法により形成される。第1の絶縁膜44は、例えば、酸化シリコン膜である。
【0056】
次に、第1の絶縁膜44をパターニングして、周辺絶縁層21を形成する(
図10)。第1の絶縁膜44のパターニングは、例えば、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法を用いて行われる。
【0057】
次に、炭化珪素基板10の表面S1及び周辺絶縁層21の上に第2の絶縁膜46を形成する。第2の絶縁膜46は、例えば、LPCVD法により形成される。第2の絶縁膜46は、例えば、酸化シリコン膜である。第2の絶縁膜46の一部は、最終的にゲート絶縁層16となる。
【0058】
次に、炭化珪素基板10の表面S1、裏面S2、及び側面S3の上にシリコン膜48を形成する(
図11)。シリコン膜48は、第2の絶縁膜46の上に形成される。シリコン膜48は、第2のシリコン膜の一例である。
【0059】
シリコン膜48は、例えば、LPCVD法により形成される。第2の絶縁膜46の上のシリコン膜48は、非晶質又は多結晶質である。シリコン膜48は、例えば、n型不純物又はp型不純物を含む。シリコン膜48の一部は、最終的にゲート電極18となる。
【0060】
次に、炭化珪素基板10の表面S1のシリコン膜48、及び、第2の絶縁膜46をパターニングする(
図12)。シリコン膜48、及び、第2の絶縁膜46のパターニングは、例えば、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法を用いて行われる。パターニングされたシリコン膜48は、ゲート電極18となる。パターニングされた第2の絶縁膜46は、ゲート絶縁層16となる。
【0061】
次に、ゲート電極18の上に、層間絶縁層20を形成する(
図13)。層間絶縁層20の形成は、例えば、LPCVD法、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法を用いて行われる。層間絶縁層20は、例えば、酸化シリコンである。
【0062】
次に、炭化珪素基板10の表面S1に、金属膜50を形成する(
図14)。金属膜50は、例えば、スパッタ法により形成される。金属膜50は、例えば、窒化チタン膜とアルミニウム膜との積層膜である。
【0063】
次に、金属膜50をパターニングして、ソース電極12を形成する(
図15)。金属膜50のパターニングは、例えば、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法を用いて行われる。
【0064】
次に、炭化珪素基板10の裏面研削(back grinding)を行う(
図16)。炭化珪素基板10を裏面S2側から研削し、炭化珪素基板10の厚さを薄くする。炭化珪素基板10の裏面S2の上のシリコン膜48も同時に研削され、除去される。炭化珪素基板10の厚さが、例えば、5μm以上200μm以下になるように研削する。
【0065】
次に、炭化珪素基板10の裏面S2に、ドレイン電極14を形成する。ドレイン電極14は、例えば、例えば、スパッタ法により形成される。ドレイン電極14は、例えば、金属又は金属半導体化合物である。
【0066】
上記製造方法により、
図1に示すMOSFET100が製造される。
【0067】
次に、第1の実施形態のMOSFET100の作用及び効果について説明する。
【0068】
半導体デバイスの製造工程において、半導体製造装置内での半導体基板のアライメントや半導体基板のエッジ検出に光学センサが用いられる。半導体製造装置は、例えば、フォトリソグラフィ用の露光装置、エッチング装置、膜堆積装置、熱処理装置、基板洗浄装置、寸法測定装置、欠陥検査装置等である。
【0069】
例えば、不透明基板であるシリコン基板用の光学センサを、透明基板である炭化珪素基板に用いると、基板の光学特性の違いからアライメントやエッジ検出が困難となる。このため、シリコン基板と炭化珪素基板とを同一の半導体製造装置で処理することは困難である。
【0070】
炭化珪素基板を処理するためには、半導体製造装置の光学センサを炭化珪素基板用の光学センサに変更する必要がある。
【0071】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法は、MOSFET100を製造する際に、最初に炭化珪素基板10の裏面S2にシリコン膜40を形成する。裏面S2に不透明なシリコン膜40を設けることで、その後の製造工程で、シリコン基板用の光学センサによるアライメントやエッジ検出が可能となる。よって、炭化珪素基板10のアライメントやエッジ検出が容易となる。
【0072】
その結果、シリコン基板と炭化珪素基板10とを同一の半導体製造装置で処理することが可能になる。したがって、例えば、同一の製造ラインで、シリコンデバイスと炭化珪素デバイスの両方を製造することが容易になる。
【0073】
また、裏面S2に不透明なシリコン膜40を設けることで、例えば、炭化珪素基板10の裏面S2にレーザマーカ等で刻印された裏面ナンバリング等も光学的に読みやすくなる。
【0074】
シリコン膜40の膜厚は、500nm以上2μm以下であることが好ましい。シリコン膜40の膜厚が500nm以上あることで、光学センサによるアライメントやエッジ検出の精度が向上する。また、シリコン膜40の膜厚が2μm以下であることにより、炭化珪素基板10の応力による変形が抑制できる。
【0075】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法では、裏面S2のシリコン膜40は、炭化珪素基板10にイオン注入されたp型不純物及びn型不純物を活性化する熱処理の前に除去される。炭化珪素基板10では、シリコン基板の場合と比べ、不純物の活性化の熱処理に高い温度が要求される。例えば、1500℃以上の温度が活性化のために必要となる。シリコン膜40と熱処理の前に除去することで、シリコン膜40が軟化又は融解して、炭化珪素基板10の処理が不可能になることを防止する。
【0076】
また、第1の実施形態の半導体装置の製造方法では、不純物の活性化の熱処理後に、新たに裏面S2にシリコン膜48を形成する。したがって、シリコン膜48を形成した後の製造工程で、シリコン基板用の光学センサによるアライメントやエッジ検出が可能となる。シリコン膜48は、炭化珪素基板10の表面S1にゲート電極18を形成するためのシリコン膜である。
【0077】
炭化珪素基板10には、炭化珪素基板10を貫通するマイクロパイプが存在する場合がある。マイクロパイプは、中空の欠陥である。マイクロパイプが存在すると、例えば、マイクロパイプの中にフォトレジストが入り込むことで、炭化珪素基板10の処理が不可能になる場合がある。マイクロパイプの中に入り込んだ、フォトレジストが汚染源となったり、ダストの発生源となったりするためである。
【0078】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法では、炭化珪素基板10の、表面S1、裏面S2、及び、側面S3に接するようにシリコン膜40を形成する。このため、仮に炭化珪素基板10にマイクロパイプが存在しても、シリコン膜40で埋め込むことが可能となる。マイクロパイプをシリコン膜40で埋め込むことにより、マイクロパイプの中にフォトレジストが入り込むことはなくなり、炭化珪素基板10の処理を続行することが可能となる。
【0079】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法では、炭化珪素基板10の裏面S2のシリコン膜48は、炭化珪素基板10の裏面研削の際に除去される。したがって、裏面S2のシリコン膜48を除去するための工程の追加は不要である。
【0080】
以上、第1の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、裏面にシリコン膜を設けることで、炭化珪素基板のアライメントやエッジ検出を容易にすることが可能となる。
【0081】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置の製造方法は、第2のシリコン膜を除去した後に、表面に金属膜を形成する点で、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と異なる。以下、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0082】
第2の実施形態の半導体装置の製造方法により製造される半導体装置は、第1の実施形態の製造方法と同様、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型のMOSFET100である。
【0084】
炭化珪素基板10に注入された不純物を活性化する熱処理の後、炭化珪素基板10の表面S1の炭素膜42を除去するまでは、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同様である(
図17)。
【0085】
次に、炭化珪素基板10の表面S1、裏面S2、側面S3に接するように、シリコン膜52を形成する(
図18)。シリコン膜52は、第2のシリコン膜の一例である。
【0086】
シリコン膜52は、例えば、減圧化学気相成長法(LPCVD法)により形成される。シリコン膜52は、非晶質又は多結晶質である。シリコン膜52の膜厚は、例えば、500nm以上2μm以下である。
【0087】
次に、炭化珪素基板10の表面S1に形成されたシリコン膜52を除去する(
図19)。シリコン膜52は、例えば、等方性のドライエッチングで除去する。
【0088】
次に、炭化珪素基板10の表面S1に、第1の絶縁膜44を形成する(
図20)。第1の絶縁膜44は、例えば、LPCVD法により形成される。第1の絶縁膜44は、例えば、酸化シリコン膜である。
【0089】
次に、第1の絶縁膜44をパターニングして、周辺絶縁層21を形成する(
図21)。第1の絶縁膜44のパターニングは、例えば、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法を用いて行われる。
【0090】
次に、炭化珪素基板10の表面S1及び周辺絶縁層21の上に第2の絶縁膜46を形成する。第2の絶縁膜46は、例えば、LPCVD法により形成される。第2の絶縁膜46は、例えば、酸化シリコン膜である。第2の絶縁膜46の一部は、最終的にゲート絶縁層16となる。
【0091】
次に、炭化珪素基板10の表面S1、裏面S2、及び側面S3の上にシリコン膜48を形成する(
図22)。シリコン膜48は、第2の絶縁膜46の上に形成される。シリコン膜48は、裏面S2のシリコン膜52の上に形成される。
【0092】
シリコン膜48は、例えば、LPCVD法により形成される。第2の絶縁膜46の上のシリコン膜48は、非晶質又は多結晶質である。シリコン膜48は、例えば、n型不純物又はp型不純物を含む。シリコン膜48の一部は、最終的にゲート電極18となる。
【0093】
次に、炭化珪素基板10の表面S1のシリコン膜48、及び、第2の絶縁膜46をパターニングする(
図23)。シリコン膜48、及び、第2の絶縁膜46のパターニングは、例えば、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法を用いて行われる。パターニングされたシリコン膜48は、ゲート電極18となる。パターニングされた第2の絶縁膜46は、ゲート絶縁層16となる。
【0094】
次に、ゲート電極18の上に、層間絶縁層20を形成する(
図24)。層間絶縁層20の形成は、例えば、LPCVD法、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法を用いて行われる。層間絶縁層20は、例えば、酸化シリコンである。
【0095】
次に、炭化珪素基板10の裏面S2に形成されたシリコン膜52及びシリコン膜48を除去する(
図25)。シリコン膜52及びシリコン膜48は、例えば、等方性のドライエッチングで除去する。
【0096】
次に、炭化珪素基板10の表面S1に、金属膜50を形成する(
図26)。金属膜50は、例えば、スパッタ法により形成される。金属膜50は、例えば、窒化チタン膜とアルミニウム膜との積層膜である。
【0097】
次に、金属膜50をパターニングして、ソース電極12を形成する(
図27)。金属膜50のパターニングは、例えば、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法を用いて行われる。
【0098】
次に、炭化珪素基板10の裏面研削(back grinding)を行う(
図28)。炭化珪素基板10を裏面S2側から研削し、炭化珪素基板10の厚さを薄くする。
【0099】
次に、炭化珪素基板10の裏面S2に、ドレイン電極14を形成する。ドレイン電極14は、例えば、例えば、スパッタ法により形成される。ドレイン電極14は、例えば、金属又は金属半導体化合物である。
【0100】
上記製造方法により、
図1に示すMOSFET100が製造される。
【0101】
第2の実施形態の半導体装置の製造方法では、不純物の活性化の熱処理の直後に、新たに裏面S2にシリコン膜52を形成する。シリコン膜52は、第1の絶縁膜44を形成する前に形成される。すなわち、シリコン膜52は、周辺絶縁層21を形成する前に形成される。シリコン膜52は、第2の絶縁膜46及びシリコン膜48を形成する前に形成される。すなわち、シリコン膜52は、ゲート絶縁層16及びゲート電極18を形成する前に形成される。
【0102】
不純物の活性化の熱処理の直後に、新たに裏面S2にシリコン膜52を形成することで、熱処理の後の製造工程で、シリコン基板用の光学センサによるアライメントやエッジ検出が可能となる。
【0103】
第2の実施形態の半導体装置の製造方法では、炭化珪素基板10の裏面S2からシリコン膜52及びシリコン膜48を除去した後に、炭化珪素基板10の表面S1にソース電極12用の金属膜50を形成する。金属膜50は不透明である。このため、金属膜50を形成した後は、裏面S2にシリコン膜が存在しない場合でも、シリコン基板用の光学センサによるアライメントやエッジ検出が可能となる。
【0104】
そして、金属膜50を形成する前にシリコン膜52及びシリコン膜48を除去することで、炭化珪素基板10の応力による変形が抑制できる。炭化珪素基板10の応力による変形を抑制することで、例えば、フォトリソグラフィによるパターン形成の精度が向上する。したがって、MOSFET100の加工精度が向上する。
【0105】
なお、金属膜50を形成した後、金属膜50のパターニング前に、シリコン膜52及びシリコン膜48を除去する構成とすることも可能である。
【0106】
以上、第2の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の実施形態と同様、裏面にシリコン膜を設けることで、炭化珪素基板のアライメントやエッジ検出を容易にすることが可能となる。また、第1の実施形態よりも多くの工程で、炭化珪素基板のアライメントやエッジ検出を容易にすることが可能となる。また、製造される半導体装置の加工精度が向上する。
【0107】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体装置の製造方法は、炭化珪素基板の表面に形成された第1のシリコン膜を除去する際に側面に形成された第1のシリコン膜を残存させる点で、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と異なる。以下、第1又は第2の実施形態の半導体装置の製造方法と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0108】
第3の実施形態の半導体装置の製造方法により製造される半導体装置は、第1の実施形態の製造方法と同様、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型のMOSFET100である。
【0109】
図29は、第3の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式断面図である。
【0110】
炭化珪素基板10の表面S1、裏面S2、側面S3に接するように、シリコン膜40を形成するまでは、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同様である。
【0111】
次に、炭化珪素基板10の表面S1に形成されたシリコン膜40を除去する。この際、炭化珪素基板10の側面S3に形成されたシリコン膜40を残存させる(
図29)。
【0112】
シリコン膜40は、例えば、化学機械研磨法(CMP法)で除去する。CMP法を用いることで、側面S3に形成されたシリコン膜40を残存させることが容易となる。
【0113】
なお、CMP法に変えて、例えば、炭化珪素基板10の側面S3に保護膜を形成した後に、等方性のドライエッチングで、表面S1に形成されたシリコン膜40を除去することも可能である。
【0114】
炭化珪素基板10の表面S1に形成されたシリコン膜40を除去した後の製造方法は、第1の実施形態又は第2の実施形態の製造方法と同様である。
【0115】
基板のアライメントやエッジ検出の際に、基板の裏面ではなく、基板の側面に光を照射してアライメントやエッジ検出を行う側面検知方式の光学センサがある。第3の実施形態の半導体装置の製造方法では、炭化珪素基板10の側面S3に不透明なシリコン膜40が存在する。したがって、第3の実施形態の半導体装置の製造方法では、側面検知方式の光学センサを備えた半導体製造装置を、MOSFET100の製造に用いることが可能となる。
【0116】
以上、第3の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、第1及び第2の実施形態と同様、裏面にシリコン膜を設けることで、炭化珪素基板のアライメントやエッジ検出を容易にすることが可能となる。また、側面検知方式の光学センサを備えた半導体製造装置を、半導体装置の製造に用いることが可能となる。
【0117】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体装置の製造方法は、第1のシリコン膜を形成した後に、炭化珪素基板の裏面に形成された第1のシリコン膜のうち、炭化珪素基板の中央部の第1のシリコン膜を除去する点で、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と異なる。以下、第1又は第2の実施形態の半導体装置の製造方法と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0118】
第4の実施形態の半導体装置の製造方法により製造される半導体装置は、第1の実施形態の製造方法と同様、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型のMOSFET100である。
【0119】
図30は、第4の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図である。
図30(a)は炭化珪素基板10の平面図、
図30(b)は炭化珪素基板10の断面図である。
【0120】
炭化珪素基板10の表面S1に形成されたシリコン膜40を除去するまでは、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同様である。
【0121】
次に、炭化珪素基板10の裏面S2に形成されたシリコン膜40のうち、炭化珪素基板10の中央部のシリコン膜40を除去する。裏面S2に形成されたシリコン膜40のうち、炭化珪素基板10の周辺部のシリコン膜40は残存させる。
【0122】
中央部のシリコン膜40の選択的な除去は、例えば、炭化珪素基板10の周辺部に保護膜を形成した後に、等方性のドライエッチングで、中央部のシリコン膜40を除去することで行う。
【0123】
図30(a)は炭化珪素基板10の裏面側の図である。
図30(b)は、
図30(a)のBB’断面である。
【0124】
図30に示すように、炭化珪素基板10の裏面S2では、炭化珪素基板10の中央部のシリコン膜40が除去され、炭化珪素基板10の周辺部のみにシリコン膜40が残る。
【0125】
炭化珪素基板10の裏面S2の中央部のシリコン膜40を除去した後の製造方法は、裏面S2の中央部のシリコン膜40が存在しない以外は、第1の実施形態又は第2の実施形態の製造方法と同様である。
【0126】
第4の実施形態の半導体装置の製造方法では、裏面S2の中央部のシリコン膜40を除去することで、炭化珪素基板10の応力による変形が抑制できる。したがって、MOSFET100の加工精度が向上する。
【0127】
以上、第4の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の実施形態と同様、裏面にシリコン膜を設けることで、炭化珪素基板のアライメントやエッジ検出を容易にすることが可能となる。また、製造される半導体装置の加工精度が向上する。
【0128】
第1ないし第4の実施形態では、製造される半導体装置として、プレーナゲート型の縦型のMOSFETを例に説明したが、半導体装置はプレーナゲート型の縦型のMOSFETに限定されるものではない。例えば、製造される半導体装置はトレンチゲート型のMOSFET、ショットキーバリアダイオード、PiNダイオード、ダイオードを内蔵するMOSFETなど、炭化珪素基板を用いたあらゆる半導体装置とすることができる。
【0129】
第1ないし第4の実施形態では、炭化珪素基板10の裏面S2にシリコン膜が露出している場合を例に説明したが、裏面S2のシリコン膜の上に、例えば、窒化シリコン膜等の絶縁膜を設けることも可能である。
【0130】
第1ないし第4の実施形態では、SiCの結晶構造として4H−SiCの場合を例に説明したが、本発明は6H−SiC、3C−SiC等、その他の結晶構造のSiCを用いたデバイスに適用することも可能である。
【0131】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。