【解決手段】本実施形態に係る可変利得増幅器は、第1経路と、整合回路と、増幅回路と、第2経路と、第3経路とを備える。第1経路は、減衰回路を有し、一端が第1入力端子に接続され、入力された信号を減衰して出力する。整合回路は、入力が整合回路の他端と接続され、出力が第1出力端子に接続され、入力された信号を増幅する。第2経路は、第1経路に並列接続される。第3経路は、一端が第1入力端子に接続され、他端が第1出力端子に接続される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態に係る可変利得増幅器について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0008】
(第1実施形態)
図1乃至
図5を用いて、第1実施形態に係る可変利得増幅器1の構成を説明する。
図1は、可変利得増幅器1の構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態に係る可変利得増幅器1は、例えば高周波信号を扱う各種無線通信機器に搭載可能である。
【0009】
図1に示すように、本実施の形態に係る可変利得増幅器1は、第1入力端子RFIN1と、スイッチ回路SW1〜5と、減衰経路70と、第1バイパス経路20と、整合回路30と、高周波低雑音増幅回路(LNA)40と、第2バイパス経路50と、バイアス生成回路60と、出力端子OUTと、を備える。第1入力端子RFIN1には、例えば高周波信号が供給される。
【0010】
可変利得増幅器1は、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板上に配置される。すなわち、第1入力端子RFIN1、スイッチ回路SW1〜SW5、減衰経路70、第1バイパス経路20、整合回路30、高周波低雑音増幅回路40、第2バイパス経路50、バイアス生成回路60、及び出力端子OUTなどはSOI基板上に配置される。
【0011】
第1バイパス経路20は、ノードn1と、ノードn3との間に接続され、スイッチ回路SW1を有する。ノードn1は、第1入力端子RFIN1に接続される。スイッチ回路SW1は、ノードn1と、ノードn3と、の間に接続される。ノードn3は、スイッチ回路SW3及び整合回路30の一端が接続される。スイッチ回路SW1は、第1バイパス経路20の高周波信号を導通状態又は非導通状態の一方に切り替える。
【0012】
図2は、スイッチ回路SW1の構成例を示す図である。スイッチ回路SW1は、例えばN型トランジスタFET0と、抵抗RSとを有する。スイッチ回路SW1は、抵抗RSを介して制御端子に供給される制御電圧により、ON/OFF動作する。例えば、制御信号がHレベル(高電位)である場合に導通状態(ON)となり、Lレベル(低電位)である場合に非導通状態(OFF)となる。なお、本実施形態に係るスイッチ回路SW1は、Hレベルである場合に導通状態(ON)となり、Lレベルである場合に非導通状態(OFF)となるが、これに限定されない。例えば、制御信号がLレベルである場合に導通状態(ON)となり、Hレベルである場合に非導通状態(OFF)となるように構成してもよい。また、スイッチ回路SW1の構成は、N型トランジスタに限定されない。
【0013】
本実施の形態に係るスイッチ回路SW2〜5は、スイッチ回路SW1と同等の構成を有する。すなわち、制御信号がHレベルである場合にONとなり、Lレベルである場合にOFFとなる。なお、本実施形態に係るスイッチ回路SW2またはスイッチ回路SW3が第1スイッチに対応し、スイッチ回路SW1が第2スイッチに対応し、スイッチ回路SW4が第3スイッチに対応する。
【0014】
減衰経路70は、一端がノードn2に、他端がノードn3に接続され、スイッチ回路SW1、SW2及び減衰回路(ATT)10を有する。ノードn2は、第1入力端子RFIN1に接続される。
スイッチ回路SW2は、一端がノードn2に接続され。他端が減衰回路10の入力端子ATTinに接続される。
減衰回路10は、入力端子ATTinがスイッチ回路SW2を介して第1入力端子RFIN1に接続され、入力された高周波信号を減衰して出力する。
スイッチ回路SW3は、一端が減衰回路10の出力端子ATToutに接続され、他端がノードn3に接続される。なお、本実施形態に係るノードn1が第1ノードに対応し、ノードn2が第2ノードに対応する。
【0015】
図3は、減衰回路10の回路構成例を示す図である。
図3に示すように、入力端子ATTinは抵抗R2の一端に接続され、かつ抵抗R1の一端に接続される。抵抗R2の他端はグランドに接続され、また抵抗R1の他端は抵抗R3の一端に接続されるとともに、出力端子ATToutに接続される。R3の他端はグランドに接続される。このように、減衰回路10は、例えばパイ型構成のインピーダンス変換回路により構成される。このインピーダンス変換回路は抵抗のみで構成されているので、周波数特性はフラットであるが、入力出力間で信号が減衰する。なお、減衰回路10は、パイ型構成のインピーダンス変換回路に限定されず、一般的なインピーダンス変換回路を用いることも可能である。例えば、減衰回路10は、インダクタやキャパシタなどを含んでもよい。
【0016】
整合回路30は、入力がノードn3に接続され、出力が高周波低雑音増幅回路40の入力端子LNAinに接続される。
図4は、整合回路30の一例を示す図である。整合回路30は、例えばインダクタである。整合回路30は、入力端子RFinから入力された高周波信号、たとえば1.9GHzの無線周波数の入力信号を高周波低雑音増幅回路40に対する最適利得または雑音指数NFが最適化するようにインピーダンスマッチングする。
【0017】
高周波低雑音増幅回路40は、出力端子LNAoutがスイッチ回路SW5を介して、出力端子OUTに接続される。高周波低雑音増幅回路40は、高周波低雑音増幅回路40は、整合回路30から供給された高周波信号を増幅し、出力端子OUTに出力する。
図5は、高周波低雑音増幅回路40の回路構成例を示す図である。
【0018】
図5の高周波低雑音増幅回路40は、N型トランジスタFET1、N型トランジスタFET2と、インダクタLd、Lsと、抵抗Rd、RB1、RB2と、キャパシタCin、Cx、Cout、CB2とを備えている。高周波低雑音増幅回路40の詳細は後述する。
【0019】
図1に示すように、第2バイパス経路50は、スイッチ回路SW4を有し、一端がノードn2に、他端が出力端子OUTに接続される。第2バイパス経路50は、第1バイパスモード時に高周波信号を、ノードn2を介して接続した第1入力端子RFN1から出力端子OUTに導通させる。
【0020】
バイアス生成回路60は、ゲインモードか第1バイパスモードかによって、電圧Vdd_LNA(
図5)、バイアス電圧VB1(
図5)、バイアス電圧VB2(
図5)の電圧レベルを切り替えて出力する。ゲインモードには、後述するように、高利得モードと低利得モードとが含まれる、本実施形態では、高利得モード及び低利得モードにおいて、高周波低雑音増幅回路40は、高周波信号の増幅を行う同等の駆動をする。また、バイアス生成回路60は、スイッチ回路SW1〜5の制御電圧も生成する。
【0021】
ここで、より詳細に、高周波低雑音増幅回路40の構成を説明する。
図5に示すように、バイアス生成回路60は、ゲインモード時に、FET2がオンするようにバイアス電圧VB2を生成し、かつバイアス電圧VB1をFET1のドレイン−ソース間電圧よりも低く設定する。また、バイアス生成回路60は、第1バイパスモード時に、FET2がオフするようにバイアス電圧VB2を生成し、かつFET1のチャネルが強反転状態になるようにバイアス電圧VB1を生成する。
【0022】
FET1のゲートには、キャパシタCxを介して入力端子RFinから高周波信号が入力される。キャパシタCxは直流カット用の容量であり、特性インピーダンスに悪影響を与えないように大きい値に設定される。
【0023】
FET1のゲートには、抵抗RB1を介して、バイアス生成回路60から出力されたバイアス電圧VB1が入力される。抵抗RB1は、バイアス電圧VB1を出力するバイアス生成回路60の出力端子側に高周波信号が回り込むことを防止するために設けられている。
【0024】
FET1のゲートとソースの間にはキャパシタCinが接続されている。FET2のドレインには、抵抗Rd、インダクタLd、キャパシタCoutの各一端が接続されている。抵抗RdとインダクタLdの各他端には、バイアス生成回路60から出力される電圧Vdd_LNAが入力される。キャパシタCoutの他端には、可変利得増幅器1の出力端子LNAoutが接続されている。
【0025】
抵抗Rdは、安定化抵抗であり、発振を抑制し、出力インピーダンスを低くする機能を有する。インダクタLdとキャパシタCoutにて出力整合が取られる。抵抗Rdを設けることで、インダクタLdの値を小さくできる。
【0026】
FET2のゲートには、抵抗RB2を介して、バイアス生成回路60から出力されたバイアス電圧VB2が入力される。バイアス電圧VB2を出力するバイアス生成回路60の出力端子と接地ノードとの間には、キャパシタ(対地容量)CB2が接続されている。抵抗RB2は高抵抗であり、抵抗RB2を設けることで、FET2がオンしている間に、FET2のゲートからの高周波信号の漏洩を防止できる。FET2は、FET1のソースをインダクタLsの一端と導通させるか否かを切り替えるスイッチとして機能する。
【0027】
可変利得増幅器1は、互いに利得が異なる少なくとも3つの動作モード、すなわち、高利得モード、低利得モード、第1バイパスモードを切り替えることができる。可変利得増幅器1は、第1バイパス経路20、第2バイパス経路50、及び減衰経路70の導通状態を切り替えることで、3つの動作モードを切り替える。高利得モードは、第1バイパス経路20を介して、高周波信号を整合回路30及び高周波低雑音増幅回路40により増幅するモードである。つまり、高利得モードは、減衰経路70を介さずに、高周波信号を増幅する。一方で、低利得モードは、減衰経路10を介して、高周波信号を整合回路30及び高周波低雑音増幅回路40により増幅するモードである。また、第1バイパスモードは、高周波信号を、第2バイパス経路50を介して出力端子OUTに出力するモードである。第1バイパスモードは、高周波信号を、減衰回路10、整合回路30及び高周波低雑音増幅回路40を介さずに、出力する。
【0028】
図6は、可変利得増幅器1の動作モードと、電圧Vdd_LNAと、バイアス電圧VB1と、バイアス電圧VB2と、スイッチ回路SW1〜5の制御電圧との対応関係を示す図である。上述のように、バイアス生成回路60は、FET1のゲートを駆動するためのバイアス電圧VB1と、FET2のオンまたはオフの切り替えを行うバイアス電圧VB2と、抵抗RdとインダクタLdの各他端に入力される電圧Vdd_LNAとを生成する。電圧Vdd_LNAは、FET1のドレイン電圧を設定するために用いられる電圧である。
【0029】
図6に示すように、高利得モードのときに、例えばVdd_LNA=0.8V、VB1=0.35V、VB2=1.6Vになる。高利得モードのときに、スイッチ回路SW1〜SW5の制御電圧はそれぞれ、H、L、L、L、Hである。一方、低利得モードのときに、スイッチ回路SW1〜SW5の制御電圧はそれぞれ、L、H、H、L、Hである。
【0030】
また、第1バイパスモードのときに、Vdd_LNA=0V、VB1=1.6V、VB2=0Vになる。このとき、スイッチ回路SW1〜SW5の制御電圧はそれぞれ、L、L、L、H、Lである。
【0031】
図7は、高利得モードのときの高周波信号の流れを示す図である。
図7に示すように、スイッチ回路SW1、SW5がON、スイッチ回路SW2、SW3、SW4がOFFし、破線で示す経路を信号が通る。これにより、第1入力端子RFIN1から入力された信号が高周波低雑音増幅回路40で増幅され、出力端子OUTから出力される。高利得モードのときに、減衰回路10が信号経路に入らないことから、高利得モードでのNF悪化を抑えたまま、高利得を達成できる。
【0032】
図8は、低利得モードのときの高周波信号の流れを示す図である。
図8に示すように、スイッチ回路SW2、SW3、SW5がON、スイッチ回路SW1、SW4がOFFし、破線で示す経路を信号が通る。これにより、第1入力端子RFIN1から入力された信号が減衰回路10によって減衰したのち、高周波低雑音増幅回路40で増幅され、高利得モード時よりも低い出力レベルの信号が出力端子OUTから出力される。低利得モード時においても、高周波低雑音増幅回路40への信号入力前に減衰回路10を通ることにより信号が減衰するので、信号の歪の悪化を抑制できる。
【0033】
図9は、第1バイパスモードのときの高周波信号の流れを示す図である。
図9に示すように、スイッチ回路SW4がON、スイッチ回路SW1、SW2、SW3、SW5がOFFし、破線で示す経路を信号が通る。これにより、第1入力端子RFIN1から入力された信号が、減衰あるいは増幅されることなくそのまま出力端子OUTから出力される。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、可変利得増幅器1は、直列に接続された、減衰回路10を有する減衰経路70と、整合回路30と、低雑音増幅回路40とを有する。可変利得増幅器1は、減衰経路70に並列接続され、高利得モード時に減衰経路10を迂回させる第1バイパス経路20と、一端が入力端子RFINに接続され、他端が出力端子OUTに接続され、第1バイパスモード時に信号を出力端子OUTに迂回させる第2バイパス経路50と、を有する。これにより、可変利得増幅器1は、信号の導通経路を切り替えることで、利得が異なる複数の動作モードを切り替え、出力する信号の利得を調整できる。
【0035】
可変利得増幅器1は、減衰回路10が高利得モードの信号経路に入らないことから、高利得モードでのNF悪化を抑えることができる。また低利得モード時においても、高周波低雑音増幅回路40への信号入力前に減衰回路10を信号が通ることにより信号が減衰するので、歪の悪化を抑制できる。可変利得増幅器1は、第1バイパスモードにおいて、信号を増幅せずに出力し、信号増幅に要する消費電力を削減し、信号のノイズ発生を抑制する。
【0036】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る可変利得増幅器1aは、第1入力端子RFIN1、出力端子OUTのリターンロスを低減する第2バイパスモードを更に有する点で第1実施形態に係る可変利得増幅器1と相違する。以下では、第1実施形態に係る可変利得増幅器1と相違点を説明する。
【0037】
図10は、第2実施形態に係る可変利得増幅器1aのブロック図である。
図10に示すように、可変利得増幅器1aは、ノードn1とノードn2との間にスイッチ回路SW6を更に有する。ノードn2は、スイッチ回路SW6及びノードn1を介して、第1入力端子RFIN1と接続される。なお、本実施形態に係るSW6が第4スイッチに対応する。
【0038】
図11は、第2実施形態に係る第1バイパスモードのときの高周波信号の流れを示す図である。
図11に示すように、スイッチ回路SW4、SW6がON、スイッチ回路SW1、SW2、SW3、SW5がOFFし、破線で示す経路を信号が通る。これにより、第1入力端子RFIN1から入力された信号が、そのまま出力端子OUTから出力される。この場合、
Vdd_LNA=0V、VB1=1.6V、VB2=0Vであり、スイッチ回路SW1〜6の制御電圧はそれぞれ、L、L、L、H、L、Hである。
【0039】
図12は、第2実施形態に係る第2バイパスモードのときの高周波信号の流れを示す図である。
図12に示すように、スイッチ回路SW1、SW2、SW3、SW4がON、スイッチ回路SW5、SW6がOFFし、破線で示す経路を信号が通る。この場合、第1入力端子RFIN1から入力された信号が、減衰回路10を通って減衰し、出力端子OUTから出力される。この経路を通る場合、反射波が減衰回路10によって減衰することでリターンロス特性が改善される。このとき、Vdd_LNA=0V、VB1=1.6V、VB2=0Vであり、スイッチ回路SW1〜6の制御電圧はそれぞれ、H、H、H、H、L、Lである。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、可変利得増幅器1aをノードn1とノードn2との間の経路に第6スイッチ回路SW6を有するように構成した。これにより、可変利得増幅器1aは、第2バイパスモードのときに、第1入力端子RFIN1から入力された信号を、減衰回路10を通って減衰させ、出力端子OUTから出力することが可能となる。このため、反射波が減衰回路10によって減衰することでリターンロス特性が改善される。
【0041】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る可変利得増幅器1bは、第2入力端子RFIN2を更に有する点で第2実施形態に係る可変利得増幅器1aと相違する。以下では、第2実施形態に係る可変利得増幅器1aと相違点を説明する。
【0042】
図13は、第3実施形態に係る可変利得増幅器1bのブロック図である。
図13に示すように、ノードn4は、ノードn2と接続される。ノードn6は、ノードn3と接続される。可変利得増幅器1bは、ノードn5と接続された第2入力端子RFIN2を更に有する。また、可変利得増幅器1bは、ノードn4とノード5との間にスイッチ回路SW7を更に有する。また、可変利得増幅器1bは、ノードn5と、ノードn6と、の間にスイッチ回路SW8を更に有する。なお、本実施形態に係るSW7が第5スイッチに対応し、SW8が第6スイッチに対応する。
【0043】
図14は、第3実施形態に係る高利得モードのときの高周波信号の流れを示す図である。
図14に示すように、スイッチ回路SW1、SW5がON、その他のスイッチ回路SWがOFFし、破線で示す経路を信号が通る。これにより、RFIN1端子から入力された信号が高周波低雑音増幅回路40で増幅され、出力端子OUTから出力される。高利得モードのときに、減衰回路10が高利得モードの信号経路に入らないことから、高利得モードでのNF悪化を抑えたまま、高利得を達成できる。なお、第2入力端子RFIN2から高周波信号が入力される場合には、スイッチ回路SW1の替わりにスイッチ回路SW8をONにすることで同等の処理が可能である。
【0044】
図15は、第3実施形態に係る低利得モードのときの高周波信号の流れを示す図である。
図15に示すように、スイッチ回路SW2、SW3、SW5、SW6がON、その他のスイッチ回路SWがOFFし、破線で示す経路を信号が通る。これにより、RFIN1端子から入力された信号が減衰回路10によって減衰したのち、高周波低雑音増幅回路40で増幅され、高利得モード時よりも低い出力レベルの信号が出力端子OUTから出力される。低利得モード時においても、高周波低雑音増幅回路40へ信号入力前に減衰回路10を通ることにより信号が減衰するので、歪の悪化を抑制できる。なお、第2入力端子RFIN2から高周波信号が入力される場合には、スイッチ回路SW6の替わりにスイッチ回路SW7をONにすることで同等の処理が可能である。
【0045】
図16は、第3実施形態に係る第1バイパスモードのときの高周波信号の流れを示す図である。
図16に示すように、スイッチ回路SW4、SW6がON、その他のスイッチ回路SWがOFFし、破線で示す経路を信号が通る。これにより、第1入力端子RFIN1から入力された信号が、そのまま出力端子OUTから出力される。なお、第2入力端子RFIN2から高周波信号が入力される場合には、スイッチ回路SW6の替わりにスイッチ回路SW7をONにすることで同等の処理が可能である。
【0046】
図17は、第3実施形態に係る第2バイパスモードのときの高周波信号の流れを示す図である。
図17に示すように、スイッチ回路SW1、SW2、SW3、SW4がON、その他SWがOFFし、破線で示す経路を信号が通る。これにより、第1入力端子RFIN1から入力された信号が、そのまま出力端子OUTから出力される。この場合、第1入力端子RFIN1から入力された信号が、減衰回路10を通って減衰し、出力端子OUTから出力される。この経路を通る場合、反射波が減衰回路10によって減衰することでリターンロス特性が改善される。なお、第2入力端子RFIN2から高周波信号が入力される場合には、スイッチ回路SW1の替わりにスイッチ回路SW8をONにすることで同等の処理が可能である。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の入力端子RFIN1,2を有する場合においても、高利得モードでのNF悪化、および低利得モードでの歪悪化を抑制できる。またバイパスモード時において、信号強度を維持したい場合、およびリターンロスを低減したい場合のそれぞれに合わせて、第1バイパスモード時と第2バイパスモード時とで信号経路を可変にすることが可能である。
【0048】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る可変利得増幅器1cは、第1バイパス経路及び減衰経路の設け方が第1実施形態に係る可変利得増幅器1と相違する。以下では、第1実施形態に係る可変利得増幅器1と相違点を説明する。
【0049】
図18は、第4実施形態に係る可変利得増幅器1cのブロック図である。
図18に示すように、可変利得増幅器1cは、スイッチ回路SW2、SW3及び減衰回路10が設けられず、スイッチ回路SW9及び減衰回路11をさらに有する。
【0050】
可変利得増幅器1cは、スイッチ回路SW9及び減衰回路11を備える。スイッチ回路SW9は、スイッチ回路SW1と、ノードN3との間に設けられる。減衰回路11は、スイッチ回路SW9と並列接続される。ノードn7は、スイッチ回路SW9と、スイッチ回路SW1と、の間のノードである。可変利得増幅器1cでは、ノードn7〜ノードn3間の減衰回路11を通る経路が、第1経路、つまり減衰経路に対応する。可変利得増幅器1cでは、ノードn7〜ノードn3間のスイッチ回路SW9を通る経路が、第2経路つまり第1バイパス経路に対応する。
【0051】
可変利得増幅器1cの高利得モードと低利得モードとの間の切り替えは、スイッチ回路SW1が導通した状態で、スイッチ回路SW9が導通または非導通が切り替わることで実現される。可変利得増幅器1cは、スイッチ回路SW9の切り替わることで、ノードn7に入力された信号が減衰回路11を通過するかまたはパススルーするかが切り替わる。可変利得増幅器1cは、可変利得増幅器1と比して、高利得モード時においてスイッチ回路SW9の挿入損失が生じるが、全体として設けるスイッチ回路SWの数を減らすことができる。
【0052】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置、方法及びプログラムは、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置、方法及びプログラムの形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。