【解決手段】搬送装置70は、各々が薬剤を収容する複数の薬剤収容部1を保管する保管位置10から、薬剤収容部に収容されている薬剤が薬剤収容部から取り出される受渡位置30へ、薬剤収容部を搬送し、収容されている薬剤の一部が取り出された薬剤収容部を、受渡位置から保管位置へ戻す。保管位置と受渡位置との間に、保管位置から搬出され受渡位置へ向かう薬剤収容部を待機させる待機位置20が設けられる。次回の調剤で用いられないと判断された薬剤を収容する薬剤収容部は、待機位置から保管位置へ戻される。次回の調剤でも用いられると判断された薬剤を収容する薬剤収容部は、保管位置へ戻されず、次回の調剤まで待機位置で待機する。
各々が薬剤を収容する複数の薬剤収容部を保管する保管位置から、前記薬剤収容部に収容されている前記薬剤が前記薬剤収容部から取り出される受渡位置へ、前記薬剤収容部を搬送し、収容されている前記薬剤の一部が取り出された前記薬剤収容部を前記受渡位置から前記保管位置へ戻す、搬送装置と、
前記搬送装置による前記薬剤収容部の搬送を制御する搬送制御部とを備え、
前記保管位置と前記受渡位置との間に、前記保管位置から搬出され前記受渡位置へ向かう前記薬剤収容部を待機させる待機位置が設けられ、
調剤のために前記受渡位置へ搬送される前記薬剤収容部に収容されている薬剤が、次回の調剤でも用いられるか否かを判断する判断部をさらに備え、
前記搬送制御部は、
前記判断部が次回の調剤で用いられないと判断した薬剤を収容する前記薬剤収容部を前記待機位置から前記保管位置へ戻し、
前記判断部が次回の調剤でも用いられると判断した薬剤を収容する前記薬剤収容部を前記保管位置へ戻さず、次回の調剤まで前記待機位置で待機させる、薬剤払出装置。
前記搬送制御部は、調剤中に、次回の調剤に用いられる薬剤を収容する前記薬剤収容部を、前記保管位置から前記待機位置へ搬送させる、請求項1に記載の薬剤払出装置。
前記搬送制御部は、前記受渡位置で前記薬剤が取り出された前記薬剤収容部を、前記待機位置を経由して、前記保管位置へ搬送させる、請求項1または請求項2に記載の薬剤払出装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0021】
(薬剤払出装置の全体構成)
図1は、薬剤払出装置の概略構成を示す模式図である。薬剤払出装置は、処方箋に基づいて薬剤を払い出す。処方箋は、医師が患者に交付する。処方箋には、処方情報が記載されている。処方情報は薬剤情報を含む。薬剤情報は、薬名、分量、用法および用量を含む。
図1に示されるように、薬剤払出装置は、保管位置10と、待機位置20と、受渡位置30と、搬送装置70とを備えている。
【0022】
保管位置10は、複数の薬剤収容部1を保管する。複数の薬剤収容部1の各々が、薬剤を収容している。薬剤収容部1は、薬剤として、たとえば固形の薬剤を供給する。固形の薬剤としては、錠剤、丸剤、カプセル剤などが挙げられる。たとえば薬剤収容部1は、同種の薬剤を収容した箱である。箱内に、複数の薬剤がPTP(Press Through Package)包装されたPTPシートが収容されてもよい。またたとえば、薬剤収容部1は、同種の薬剤を複数個収容し、収容されている薬剤を1錠ずつ払い出しが可能な、薬剤カセットである。
【0023】
受渡位置30では、薬剤収容部1に収容されている薬剤が薬剤収容部1から取り出される。受渡位置30において、薬剤払出装置を使用する使用者が薬剤収容部1から薬剤を取り出してもよい。または、薬剤払出装置は、受渡位置30において薬剤収容部1から薬剤を取り出すための装置である、薬剤取出部をさらに備えてもよい。
【0024】
図1に示される受渡位置30は、第1受渡部31と、第2受渡部32と、第3受渡部33とを有している。複数の受渡部の各々において、薬剤収容部1からの薬剤の取り出しが可能である。薬剤払出装置が複数の受渡部を有していることで、複数の受渡部において、異なる処方情報に基づく薬剤収容部1からの薬剤の取り出しを並行して行なうことが可能とされている。受渡位置30には必ずしも複数の受渡部が設けられなくてもよく、受渡位置30が1つのみの受渡部を有する構成としてもよい。
【0025】
待機位置20は、保管位置10と受渡位置30との間に設けられる。待機位置20は、保管位置10から搬出され受渡位置30へ向かう薬剤収容部1を待機させる。薬剤収容部1は、保管位置10から待機位置20を経由して受渡位置30へ搬送される。薬剤収容部1は、待機位置20から、第1受渡部31、第2受渡部32または第3受渡部33のいずれかに搬送される。受渡位置30で薬剤が取り出された薬剤収容部1は、同じ待機位置20を経由して、保管位置10へ戻される。待機位置20には、複数の薬剤収容部1を待機させることが可能である。
【0026】
搬送装置70は、保管位置10と受渡位置30との間で薬剤収容部1を搬送する。搬送装置70は、保管位置10から受渡位置30へ薬剤収容部1を搬送する。搬送装置70は、収容されている薬剤の一部が取り出された薬剤収容部1を、受渡位置30から保管位置10へ戻す。搬送装置70は、第1搬送部71と、第2搬送部72とを有している。第1搬送部71は、保管位置10と待機位置20との間で薬剤収容部1を搬送する。第2搬送部72は、待機位置20と受渡位置30との間で薬剤収容部1を搬送する。
図1に示される第1搬送部71および第2搬送部72の左右に図示された両矢印は、第1搬送部71および第2搬送部72が移動可能な方向を示し、したがって薬剤収容部1が搬送され得る方向を示す。
【0027】
保管位置10は、薬剤収容部1の搬出入ポート11を有している。保管位置10から受渡位置30へ向かう薬剤収容部1は、搬出入ポート11を経由して、保管位置10から搬出される。受渡位置30から保管位置10へ戻される薬剤収容部1は、搬出入ポート11を経由して、保管位置10へ搬入される。
【0028】
薬剤払出装置は、位置変更部60をさらに備えている。位置変更部60は、保管位置10に設けられている。位置変更部60は、
図1中に矢印で例示されるように、保管位置10に対して自在に移動可能である。位置変更部60は、保管位置10における薬剤収容部1の位置を変更可能である。位置変更部60は、たとえば、薬剤収容部1を掴んで移動させることのできる、ロボットアームである。
【0029】
(薬剤払出装置の電気的構成)
図2は、薬剤払出装置の電気的構成を示すブロック図である。
図2に示されるブロック図は、薬剤払出装置の構成のうち、薬剤収容部1の移動に関連する一部構成の機能ブロックのみを図示したものであり、薬剤払出装置の全ての構成の機能ブロックを必ずしも図示するものではない点、留意すべきである。
【0030】
薬剤払出装置は、コントローラ40を備えている。コントローラ40は、各種演算処理および制御を実行する。コントローラ40は、記憶部44を有している。記憶部44は、薬剤払出の各種の動作を実行するためのプログラムを格納するとともに、必要な情報を記憶する領域として設けられている。コントローラ40は、記憶部44に格納されているプログラムおよび情報に基づいて、薬剤払出装置の全体の動作を制御する。
【0031】
搬送制御部41は、搬送装置70による薬剤収容部1の搬送を制御する。搬送制御部41は、第1搬送部71へ制御信号を送信する。搬送制御部41は、保管位置10に保管されている複数の薬剤収容部1のうちの特定の薬剤収容部1を、保管位置10から、待機位置20の特定の位置へ搬送させる。搬送制御部41は、待機位置20の特定の位置に待機している薬剤収容部1を、待機位置20から保管位置10へ搬送させる。
【0032】
搬送制御部41は、第2搬送部72へ制御信号を送信する。搬送制御部41は、待機位置20の特定の位置に待機している薬剤収容部1を、特定の受渡位置30へ搬送させる。搬送制御部41は、待機位置20から、第1受渡部31、第2受渡部32または第3受渡部33のいずれかへ、薬剤収容部1を搬送させる。搬送制御部41は、特定の受渡位置30から待機位置20の特定の位置へ、薬剤収容部1を搬送させる。
【0033】
判断部42は、調剤のために受渡位置30へ搬送される薬剤収容部1に収容されている薬剤が、次回の調剤でも用いられるか否かを判断する。搬送制御部41は、判断部42による判断の結果に従って、搬送装置70による薬剤収容部1の搬送を制御する。
【0034】
配置決定部43は、保管位置10における複数の薬剤収容部1の各々の配置を決定する。コントローラ40は、配置決定部43が決定した配置に従って、各薬剤収容部1の配置を変更するための制御を実行する。
【0035】
操作部51は、薬剤払出装置を使用する使用者によって操作される。使用者が操作部51を操作することで、薬剤払出装置の動作に必要な情報が、コントローラ40に入力される。コントローラ40に入力される情報は、たとえば処方箋に基づく処方データである。
【0036】
入出力インタフェース46は、たとえば、外部装置と接続するためのインタフェースであり、典型的にはUSB(Universal Serial Bus)ポートなどである。または入出力インタフェース46は、たとえば、通信ネットワークを介した通信を行なうためのインタフェースであり、典型的には有線LAN(Local Area Network)モジュールまたは無線LANモジュールなどである。処方データは、外部装置から入出力インタフェース46を経由してコントローラ40に入力されてもよい。
【0037】
薬剤取出部35は、受渡位置30に設けられている。薬剤取出部35は、受渡位置30において薬剤収容部1から薬剤を取り出すための装置である。薬剤取出部35は、コントローラ40から送信される制御信号を受けて、所定の薬剤が収容されている薬剤収容部1から、所定の数量の薬剤を取り出す。
【0038】
ディスプレイ52は、情報を表示可能な表示部である。コントローラ40からディスプレイ52に対して、ディスプレイ52に表示されるべき情報が出力される。ディスプレイ52に表示される情報は、保管位置10における薬剤収容部1の配置を含んでいる。薬剤払出装置を使用する使用者は、ディスプレイ52を見ることで、各々の薬剤収容部1がどの位置に配置されるのかを認識することができる。操作部51がタッチパネルにより実現されている場合、操作部51がディスプレイ52を兼ねていてもよい。
【0039】
プリンタ53は、情報を印刷する。コントローラ40からプリンタ53に対して、プリンタ53から出力されるべき情報が出力される。プリンタ53により印刷される情報は、保管位置10における薬剤収容部1の配置を含んでいる。薬剤払出装置を使用する使用者は、プリンタ53によって印刷された印刷物を見ることで、各々の薬剤収容部1がどの位置に配置されるのかを認識することができる。
【0040】
点灯部54は、たとえばLED(Light Emitting Diode)により実現される。薬剤払出装置は、複数の点灯部54を備えている。典型的には、薬剤払出装置は、保管位置10における薬剤収容部1を設置可能な位置の数と同数の点灯部54を備えており、各々の点灯部54が薬剤収容部1を設置可能な位置に対応して取り付けられている。コントローラ40から点灯部54に対して、複数の点灯部54のうちどの点灯部54を点灯させるかを示す制御信号を出力される。薬剤払出装置を使用する使用者は、点灯している点灯部54を見ることで、各々の薬剤収容部1がどの位置に配置されるのかを認識することができる。
【0041】
ディスプレイ52、プリンタ53、および点灯部54は、薬剤払出装置を使用する使用者に保管位置10における薬剤収容部1の配置を案内する、実施形態の案内部に相当する。案内部は、薬剤収容部1の配置を案内する。使用者が保管位置10における薬剤収容部1の位置変更を行なう場合に、使用者は、ディスプレイ52またはプリンタ53によって印刷された印刷物を見て対象の薬剤収容部1と照合する、または点灯している点灯部54を確認することで、保管位置10におけるどの位置に薬剤収容部1を配置させればよいかを認識することができる。
【0042】
位置変更部60は、コントローラ40により決定された薬剤収容部1の配置に従って、保管位置10における薬剤収容部1の位置を変更する。コントローラ40から位置変更部60に対して、各薬剤収容部1の配置が出力される。さらに、コントローラ40から位置変更部60に対して、各薬剤収容部1の位置を変更して決定された配置にする制御信号が出力される。位置変更部60が保管位置10における薬剤収容部1の位置変更を行なう構成とすることで、使用者の手間を省け、各薬剤収容部1を保管位置10内の適切な位置に確実に配置させることができる。
【0043】
薬剤収容部1を保管位置10に戻すときに、保管位置10における薬剤収容部1の配置が変更されてもよい。薬剤収容部1を保管位置10内で移動させる機会にあわせて薬剤収容部1の位置変更を実行し、薬剤収容部1の位置変更のみを目的として薬剤収容部1を移動させないことで、効率的に薬剤収容部1の位置変更を行なうことができる。または、たとえば夜間など、コントローラ40に処方データが入力されておらず、したがって保管位置10から薬剤収容部1が搬出されない期間中に、薬剤収容部1の配置が変更されてもよい。このようにすれば、薬剤収容部1の位置変更が薬剤の払い出しに影響することがなく、適切に薬剤収容部1の配置の変更を行なうことができる。
【0044】
(薬剤収容部1の具体的構成の例)
図3は、薬剤収容部1の一例である箱1BXの斜視図である。
図3に示される箱1BXは、箱本体1B1を有している。箱本体1B1は開口部を有しており、その開口部は蓋1B2,1B3によって塞がれている。箱本体1B1の開口部は、典型的には上方に開口している。
【0045】
図4は、
図3に示される箱1BXから薬剤111が取り出される様子を示す斜視図である。蓋1B2,1B3が開けられることにより、箱本体1B1の開口部を経由して、箱1BXから薬剤111が取り出される。
【0046】
図4に示されるように、薬剤収容部1(箱1BX)内に、複数の薬剤111がPTP包装されたPTPシート110が収容されている。薬剤払出装置を使用する使用者は、PTPシート110ごと薬剤111を薬剤収容部1から取り出す。薬剤収容部1内には、複数のPTPシート110が収容されている。使用者は、薬剤収容部1内に収容されている複数のPTPシート110のうち、処方データに従った必要な数量のPTPシート110を薬剤収容部1から取り出す。
【0047】
使用者は、所定数のPTPシート110の取り出しを終えた箱1BXに対して、蓋1B2,1B3を閉じ、たとえばテープを用いて蓋1B2,1B3を仮止めすることができる。これにより箱1BXを、搬送に適した形態にできる。
【0048】
図5は、薬剤収容部1の一例であるカセット1CTから薬剤121が取り出される様子を示す模式図である。
図5には、
図2にも示した薬剤取出部35の一例が模式的に図示されている。カセット1CTには複数の固形の薬剤121が収容されている。
図5に示されるカセット1CTには、カプセル剤が複数収容されている。
【0049】
受渡位置30に搬送されたカセット1CTは、カセット保持部36に保持されている。カセット1CTには、詳細な図示を省略するが、薬剤121を1錠ずつカセット1CTから取り出すための払出装置が設けられている。払出装置とカセット保持部36の機構とが連動することで、カセット1CTから薬剤121が取り出される。カセット保持部36には、排出口37が形成されている。カセット1CTから払い出された薬剤121は、排出口37を経由して落下してホッパ38に受けられる。薬剤121は、ホッパ38を通過してさらに落下して、容器200に収容される。容器200は、その内部に収容された薬剤とともに、患者に手渡される。容器200内には、複数種類の薬剤が収容されてもよい。
【0050】
図4および
図5に示されるように、薬剤収容部1が箱1BXの形態であってもカセット1CTの形態であっても、薬剤収容部1からの薬剤の取り出しが使用者によって行なわれても薬剤取出部35によって行なわれても、所定の数量の薬剤を薬剤収容部1から的確に取り出すことができる。薬剤収容部1が箱1BXの形態において、薬剤収容部1からの薬剤の取り出しが薬剤取出部35によって行なわれてもよい。カセット1CTの形態において、薬剤収容部1からの薬剤の取り出しが使用者によって行なわれてもよい。
【0051】
(薬剤収容部1の搬送制御)
図6は、薬剤収容部1を搬送する処理の一例を示すフローチャートである。
図6を参照して、薬剤収容部1の搬送制御の一例について説明する。
【0052】
まずステップS1において、薬剤払出装置に処方データが入力される。薬剤払出装置を使用する使用者が操作部51を操作することで、処方データがコントローラ40に入力される。または処方データは、外部装置から入出力インタフェース46を経由して、コントローラ40に入力される。
【0053】
次にステップS2において、薬剤収容部1が搬送される。コントローラ40、より特定的には搬送制御部41は、入力された処方データに含まれる薬剤を収容する薬剤収容部1を保管位置10から待機位置20へ搬送させる制御信号を、第1搬送部71へ出力する。制御信号の入力を受けた第1搬送部71は、対象の薬剤収容部1を、保管位置10から待機位置20の特定の位置へ搬送する。搬送制御部41は、さらに第2搬送部72に制御信号を出力する。制御信号の入力を受けた第2搬送部72は、待機位置20に搬送された薬剤収容部1を、待機位置20から受渡位置30、具体的には第1受渡部31、第2受渡部32または第3受渡部33のいずれかへ搬送する。このようにして、保管位置10から受渡位置30への薬剤収容部1の搬送が行なわれる。
【0054】
続いてステップS3において、薬剤収容部1から薬剤が払い出される。
図3,4を参照して説明したように、使用者は、受渡位置30に搬送された箱1BXの蓋1B2,1B3を開けて、処方データに従った必要な数量のPTPシート110を箱1BXから取り出す。または
図5を参照して説明したように、受渡位置30に搬送されたカセット1CTから、薬剤取出部35が必要な数量の薬剤121を払い出す。このようにして薬剤の払い出しが行なわれる。
【0055】
ステップS4において、次回の調剤のための処方データが薬剤払出装置に入力される。ステップS1と同様に、操作部51または入出力インタフェース46が用いられて、次回の調剤用の処方データがコントローラ40に入力される。ステップS4における次回の処方データの入力は、必ずしもステップS3の薬剤の払い出しの後に行なわれなくてもよい。ステップS1で処方データが入力された後、ステップS2の薬剤収容部1を搬送する処理の実行中、ステップS3の薬剤収容部1から薬剤を払い出す処理の実行中、または各処理の合間に、次回の処方データの入力が実行されてもよい。
【0056】
次回の処方データが入力された後、ステップS5において、今回の調剤のための処方データに含まれる薬剤が、次回の調剤のための処方データにも含まれるか否かが判断される。つまり、今回の調剤のために受渡位置30へ搬送される薬剤収容部1に収容されている薬剤が、次回の調剤でも用いられるか否かが判断される。ステップS5の判断する処理は、コントローラ40の判断部42によって実行される。
【0057】
ステップS5の判断で、今回の調剤に用いられる薬剤が次回の調剤では用いられないと判断された場合(ステップS5においてNO)、ステップS6において、受渡位置30から保管位置10へ薬剤収容部1が搬送される。
【0058】
図7は、次回の調剤で用いられない薬剤を収容する薬剤収容部1の搬送を示す模式図である。
図7に示されるように、保管位置10から待機位置20を経由して受渡位置30に搬送され、受渡位置30で薬剤が取り出された後の薬剤収容部1は、その内部に収容されている薬剤が次回の調剤で用いられない場合、同じ待機位置20を経由して、保管位置10へ搬送される。ステップS2における搬送とは逆の手順で、第2搬送部72が受渡位置30から待機位置20へ薬剤収容部1を搬送し、第1搬送部71が待機位置20から保管位置10へ薬剤収容部1を搬送する。
【0059】
そしてステップS7において、保管位置10に戻された薬剤収容部1は、保管位置10における適切な位置に保管される。
【0060】
ステップS5の判断で、今回の調剤に用いられる薬剤が次回の調剤でも用いられると判断された場合(ステップS5においてYES)、ステップS8において、受渡位置30から待機位置20へ薬剤収容部1が搬送される。
【0061】
図8は、次回の調剤でも用いられる薬剤を収容する薬剤収容1部の搬送を示す模式図である。
図8に示されるように、保管位置10から待機位置20を経由して受渡位置30に搬送され、受渡位置30で薬剤が取り出された後の薬剤収容部1は、その内部に収容されている薬剤が次回の調剤でも用いられる場合、保管位置10へ戻されずに、待機位置20へ搬送される。第2搬送部72が、受渡位置30から待機位置20へ薬剤収容部1を搬送する。
【0062】
そしてステップS9において、待機位置20へ搬送された薬剤収容部1は、次回の調剤まで待機位置20で待機することになる。
【0063】
ステップS7の処理、またはステップS9の処理の後に、次回の調剤が開始される。
図8を再度参照して、ステップS9の処理により待機位置20において待機していた薬剤収容部1が、待機位置20から受渡位置30へ搬送される。受渡位置30において、薬剤収容部1から薬剤が払い出される。その薬剤が、ステップS5と同様の判断において次回の調剤で用いられないと判断された場合、薬剤収容部1は、待機位置20を経由して保管位置10へ戻される。
【0064】
このように、次回の調剤でも用いられる薬剤を収容する薬剤収容部1を、受渡位置30から保管位置10まで戻すのではなく、受渡位置30と保管位置10との間の待機位置20で次回の調剤まで待機させることで、次回の調剤の際にその薬剤収容部1を迅速に受渡位置30に搬送して薬剤の取り出しを開始することができる。したがって、特に調剤が連続する場合に、薬剤の払い出しの全体の所要時間をさらに短縮することができる。
【0065】
図9は、調剤中の、次回の調剤で用いられる薬剤を収容する薬剤収容部1の搬送を示す模式図である。
図9には、薬剤Xを収容する薬剤収容部1と、薬剤Yを収容する薬剤収容部1との各々の搬送が図示されている。薬剤Xが先に保管位置10から待機位置20を経由して受渡位置30に搬送され、続いて薬剤Yが保管位置10から待機位置20を経由して受渡位置30に搬送される。薬剤Xを含む処方データに続いて、コントローラ40に入力された次の処方データが、薬剤Yを含んでいてもよい。薬剤Xと薬剤Yとは、同じ処方データに含まれていてもよい。
【0066】
図9に示されるように、薬剤Xを収容する薬剤収容部1が受渡位置30に搬送されて薬剤収容部1から薬剤Xが取り出される調剤中に、薬剤Yを収容する薬剤収容部1が、保管位置10から待機位置20に搬送される。薬剤Xを収容する薬剤収容部1が依然として受渡位置30にある期間内に、薬剤Yを収容する薬剤収容部1は、待機位置20に到達している。薬剤Xの取り出しが完了するまで、薬剤Yは待機位置20で待機する。
【0067】
このように、薬剤Xの調剤中に、次回の調剤に用いられる薬剤Yを収容する薬剤収容部1を保管位置10から待機位置20へ搬送して待機位置20で待機させ、次の薬剤Yを予め準備することで、薬剤Xの取り出しを終えてから次に薬剤Yの取り出しを開始するまでの時間的間隔を短くできる。したがって、薬剤の払い出しの所要時間をさらに短縮することができる。
【0068】
図9では、第1搬送部71による薬剤Yを収容する薬剤収容部1の搬送は、薬剤Xを収容する薬剤収容部1が受渡位置30に到達した後に開始されているが、この例に限られるものではない。第1搬送部71は、薬剤Xを収容する薬剤収容部1を保管位置10から待機位置20へ搬送した後、直ちに薬剤Yを収容する薬剤収容部1の搬送を開始してもよい。第1搬送部71による薬剤Yを収容する薬剤収容部1の搬送は、薬剤Xを収容する薬剤収容部1が待機位置20で待機している間または待機位置20から受渡位置30へ搬送されている間に、開始されてもよい。
【0069】
薬剤Xの取り出しを終えた後、第2搬送部72が、薬剤Xを収容する薬剤収容部1を受渡位置30から待機位置20へ搬送する。その後に第2搬送部72は、薬剤Yを収容する薬剤収容部1を、待機位置20から受渡位置30へ搬送する。
図9では、第2搬送部72による薬剤Yを収容する薬剤収容部1の搬送は、第1搬送部71が薬剤Xを収容する薬剤収容部1を搬送している間に開始されているが、この例に限られるものではない。第2搬送部72は、薬剤Xを収容する薬剤収容部1が、待機位置20にある期間内、または保管位置10に戻された後に、薬剤Yを収容する薬剤収容部1の待機位置20から受渡位置30への搬送を開始してもよい。
【0070】
(保管位置10における薬剤収容部1の配置の決定)
図10は、調剤履歴の一例を示すテーブルである。
図10に示される調剤履歴は、記憶部44に記憶されている。
図10には、薬剤払い出しの過去の履歴が示されている。
図10に示される調剤履歴は、過去にコントローラ40に入力された処方データに基づいて薬剤払出装置が実行した払い出しの履歴であってもよい。または、他の薬剤払出装置が実行した払い出しの履歴を一括してコントローラ40に入力して、記憶部44に記憶させてもよい。処方データが新たにコントローラ40に入力されると、調剤履歴は更新される。
【0071】
図10に示される薬剤A〜Eは、それぞれ異なる種類の薬剤を示す。薬剤A〜Eは、それぞれ異なる薬剤収容部1に収容されている。
図10には、1回目から10回目までの払い出し機会に、薬剤A〜Eのうちどの薬剤が払い出されたのかの履歴が示されている。
【0072】
具体的に、1回目の払い出し機会には、1錠の薬剤Aと1錠の薬剤Bとが払い出されている。2回目の払い出し機会には、1錠の薬剤Aと1錠の薬剤Cと1錠の薬剤Dとが払い出されている。3回目の払い出し機会には、1錠の薬剤Bと1錠の薬剤Eとが払い出されている。4回目の払い出し機会には、1錠の薬剤Aと1錠の薬剤Bと1錠の薬剤Cとが払い出されている。5回目の払い出し機会には、1錠の薬剤Aと1錠の薬剤Bと1錠の薬剤Dとが払い出されている。
【0073】
6回目の払い出し機会には、1錠の薬剤Aと1錠の薬剤Dとが払い出されている。7回目の払い出し機会には、1錠の薬剤Aと1錠の薬剤Cとが払い出されている。8回目の払い出し機会には、1錠の薬剤Aと1錠の薬剤Bとが払い出されている。9回目の払い出し機会には、1錠の薬剤Cと1錠の薬剤Eとが払い出されている。10回目の払い出し機会には、1錠の薬剤Aと1錠の薬剤Bとが払い出されている。1回目、8回目および10回目の払い出し機会には、同じ処方データが薬剤払出装置に入力されている。
【0074】
1回目から10回目までの払い出し機会において、薬剤Aが合計8錠払い出され、薬剤Bが合計6錠払い出され、薬剤Cが合計4錠払い出され、薬剤Dが合計3錠払い出され、薬剤Eが合計2錠払い出されている。したがって、薬剤Aが払い出される頻度が最も高く、薬剤B、薬剤C、薬剤Dの順に頻度が下がり、薬剤Eが払い出される頻度が最も低い。
図2に示される配置決定部43は、薬剤払出装置による薬剤の払い出しの過去の履歴に基づいて、保管位置10における各薬剤を収容する薬剤収容部1の配置を決定する。配置決定部43は、高頻度で払い出される薬剤Aの搬送に係る所要時間を短くするように、薬剤収容部1の配置を決定する。
【0075】
図11は、
図10に示される調剤履歴に従った、保管位置10における薬剤収容部1の配置を示す模式図である。
図11に示される薬剤収容部1Aは、薬剤Aを収容する薬剤収容部である。薬剤収容部1Bは、薬剤Bを収容する薬剤収容部である。薬剤収容部1Cは、薬剤Cを収容する薬剤収容部である。薬剤収容部1Dは、薬剤Dを収容する薬剤収容部である。薬剤収容部1Eは、薬剤Eを収容する薬剤収容部である。
【0076】
薬剤A〜Eのうち、過去の履歴で払い出しの頻度がより高い、すなわち受渡位置30に搬送される回数がより多い薬剤を収容する薬剤収容部1が、保管位置10のうち、薬剤収容部1の搬出入ポート11のより近くに配置される。
図11に示されるように、薬剤収容部1Aが搬出入ポート11に最も近く配置され、薬剤収容部1Bは薬剤収容部1Aよりも搬出入ポート11から離れて配置され、同様に、薬剤収容部1C、薬剤収容部1D、薬剤収容部1Eの順に、搬出入ポート11からより離れる位置に配置される。
【0077】
薬剤収容部1が保管位置10の搬出入ポート11まで移動する時間を考慮して、したがって薬剤収容部1が受渡位置30まで搬送される時間を考慮して、保管位置10における薬剤収容部1の配置が決定されている。頻度の高い薬剤Aを搬出入ポート11により近く配置することで、薬剤Aを払い出すために要する時間を短くできる。したがって、薬剤払出装置が薬剤を払い出す全体の時間を短縮することができ、生産性を向上することができる。
【0078】
(第2待機位置21を備える薬剤払出装置)
図12は、第2待機位置21を備える薬剤払出装置の概略構成を示す模式図である。
図12に示される薬剤払出装置は、
図1を参照して説明した構成に加えて、第2待機位置21を備えている。
【0079】
第2待機位置21は、保管位置10と受渡位置30との間に設けられる。第2待機位置21は、受渡位置30から保管位置10へ戻される薬剤収容部1を待機させる。薬剤収容部1は、第1受渡部31、第2受渡部32または第3受渡部33のいずれかにおいて薬剤が取り出された後、第2待機位置21へ搬送される。薬剤収容部1は、第2待機位置21から保管位置10へ戻される。受渡位置30で薬剤が取り出された薬剤収容部1は、第2待機位置21を経由して、保管位置10へ搬送される。
【0080】
搬送装置70は、第3搬送部73と、第4搬送部74とを有している。第3搬送部73は、受渡位置30と第2待機位置21との間で薬剤収容部1を搬送する。第4搬送部74は、第2待機位置21と保管位置10との間で薬剤収容部1を搬送する。
【0081】
図12において、第1搬送部71、第2搬送部72、第3搬送部73および第4搬送部74の周辺に図示された矢印は、薬剤収容部1の搬送方向を示すものである。第1搬送部71、第2搬送部72、第3搬送部73および第4搬送部74は、矢印の向きと逆方向にも移動可能である。たとえば第3搬送部73は、薬剤収容部1を搭載して受渡位置30から第2待機位置21へ移動し、薬剤収容部1を搭載しない状態で第2待機位置21から受渡位置30へ移動可能である。第4搬送部74は、薬剤収容部1を搭載して第2待機位置21から保管位置10へ移動し、薬剤収容部1を搭載しない状態で保管位置10から第2待機位置21へ移動可能である。
【0082】
薬剤払出装置が待機位置20と第2待機位置21とを備え、保管位置10から受渡位置30へ向かう薬剤収容部1は待機位置20を経由して搬送され、受渡位置30から保管位置10へ向かう薬剤収容部1は第2待機位置21を経由して搬送される。これにより、待機位置20における薬剤収容部1を待機可能なスペースを有効に活用することが可能になる。つまり、受渡位置30から待機位置20へ薬剤収容部1が搬送される構成の場合、待機位置20にはその薬剤収容部1のための空きスペースを確保しておく必要がある。受渡位置30から保管位置10へ戻される薬剤収容部1が第2待機位置21へ搬送されることで、このような空きスペースを確保する必要がなくなるので、待機位置20のスペースをより有効に活用することができる。
【0083】
他方、
図1に示される、薬剤払出装置が第2待機位置21を備えずに、保管位置10から受渡位置30へ向かう薬剤収容部1と受渡位置30から保管位置10へ向かう薬剤収容部1との両方が待機位置20を経由して搬送される構成の場合、薬剤払出装置を全体として小型化できる点で有利である。
【0084】
以上のように実施形態について説明を行なったが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。