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特開2021-151494非対称送信信号を用いる超音波システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-151494(P2021-151494A)
(43)【公開日】2021年9月30日
(54)【発明の名称】非対称送信信号を用いる超音波システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20210903BHJP
【FI】
   A61B8/00
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2021-88266(P2021-88266)
(22)【出願日】2021年5月26日
(62)【分割の表示】特願2017-565240(P2017-565240)の分割
【原出願日】2016年6月28日
(31)【優先権主張番号】62/185,966
(32)【優先日】2015年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】オーウェン ニール
(72)【発明者】
【氏名】クンケル サード ハリー アモン
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD18
4C601DD23
4C601EE21
4C601GB04
4C601GB06
4C601GB18
4C601GB21
4C601GB40
4C601GB42
4C601GB44
4C601HH01
4C601HH02
4C601HH21
(57)【要約】
【課題】超音波エネルギーを体に伝達する超音波システムを提供する。
【解決手段】超音波システムが、プローブトランスデューサのポーリングを強化する非対称送信信号を用いて超音波プローブの要素を駆動する。非対称な送信信号の使用は、トランスデューサ要素が、劣化なしにかなり高いRF送信電圧に耐えることを可能にする。これは、より高い音響出力及び改善された信頼性を可能にする。これは、せん断波プッシュパルスのような長時間の高エネルギー圧力波を生成するのに使用されるとき、単結晶トランスデューサ材料に特に有益である。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波エネルギーを身体に送信する超音波システムであって、
超音波トランスデューサ要素のアレイを持つ超音波プローブと、
前記超音波トランスデューサ要素に結合される送信チャネルを持ち、それぞれの送信間隔の間に非対称な送信信号を前記要素に印加する送信ビーム形成器とを有する、超音波システム。
【請求項2】
前記トランスデューサ要素が、圧電セラミックトランスデューサ要素を更に有する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項3】
前記圧電セラミックトランスデューサ要素が、単結晶トランスデューサ要素を更に有する、請求項2に記載の超音波システム。
【請求項4】
前記単結晶トランスデューサ要素が、単結晶PMN−PT、PZN−PT、又はPIN−PMN−PTを更に有する、請求項3に記載の超音波システム。
【請求項5】
各送信チャネルをトランスデューサ要素に結合するT/Rスイッチを更に有する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項6】
前記T/Rスイッチを前記トランスデューサ要素に結合するプローブケーブルを更に有する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項7】
前記超音波トランスデューサ要素が、負の極性のトランスデューサ要素を更に有し、
前記非対称送信信号は、ゼロ基準電圧に対して負の平均振幅値を示す、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項8】
前記超音波トランスデューサ要素が、正の極性のトランスデューサ要素を更に有し、
前記非対称送信信号は、ゼロ基準電圧に対して正の平均振幅値を示す、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項9】
各送信チャネルが、デジタル送信信号データを格納するハードウェアアドレス可能なメモリデバイス又はシフトレジスタを更に有する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項10】
各送信チャネルが、デジタル送信信号データを受信し、アナログ送信信号へと前記データを変換するデジタル−アナログ変換器を更に有する、請求項9に記載の超音波システム。
【請求項11】
各送信チャネルが、アナログ送信信号を受信し、トランスデューサ要素に高電圧送信信号を印加する高電圧送信増幅器を更に有する、請求項10に記載の超音波システム。
【請求項12】
前記非対称送信信号が、プッシュパルス送信信号を更に有する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項13】
前記プッシュパルス送信信号が更に、50〜1000マイクロ秒の持続時間のプッシュパルスを生成する、請求項12に記載の超音波システム。
【請求項14】
前記送信ビーム形成器が更に、非対称RF信号を印加する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項15】
前記システムが、DCバイアス回路を有し、前記非対称信号は、DCバイアスにおける対称RF信号を有する、請求項1に記載の超音波システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療診断用超音波システムに関し、特に、超音波トランスデューサアレイプローブの分極(Polarization)を維持するため、非対称な送信信号を生成する超音波システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波プローブは、圧電トランスデューサ要素を用いて、超音波を送信し、及び超音波エコー信号を受信する。これは、高電圧信号により駆動されるとき、機械的に撓み、受信されたエコー信号による振動を電気信号に変換する。伝統的に、これらの圧電要素は、より大きな機械的効率のために好まれる多結晶セラミック材料であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)のようなセラミック材料で作られる。PZTは、多結晶セラミック材料である。約15年前、研究により、PZN−PT(亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛)及びPMN−PT(マグネシウムニオブ酸鉛−チタン酸鉛)などの超音波トランスデューサ用単結晶材料の開発がもたらされた。本書で使用される単結晶という用語は、結晶が(最大正味圧電応答を与える方向において全て整列した)非常に少数のドメインを有する配向した圧電結晶と、結晶が最大圧電応答を与えるように配向された材料の単一ドメインを有する単一ドメイン結晶とを示すために使用される。PZT型セラミックスと比較して、PZN−PT及びPMN−PT単結晶は、電気エネルギーの機械エネルギーへの変換効率が高く、逆も同様である。従って、単結晶トランスデューサは、高調波イメージングのような多くの診断用超音波用途にとって好ましい。例えば、米国特許第6,532,819号(Chenその他)を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの新しい材料は、制限がないわけではない。これらの材料は、医療撮像に使用される典型的なPZT型セラミックよりも低いキュリー温度及び低い抗電場を示すことが見出されている。これらのより低い抗電界は、高い電気駆動場及び持続的な高エネルギー伝達を必要とする用途で使用されるとき、これらの単結晶材料をより脱ポーリングしやすいものとする。超音波トランスデューサが製造されるとき、トランスデューサにおける圧電材料は、トランスデューサ要素の感度及び効率を改善するため、ポーリングとも呼ばれる分極プロセスを受けることができる。ポーリングの間、圧電材料は、材料の抗電界よりも大きな電界にさらされる。ポーリング電界は、材料における正味の電気分極を実現するため、ドメインを整列させるのに十分な時間にわたって印加される。より高い温度で材料をポーリングすることは、プロセスを加速し、分極を達成するのに必要な時間を短縮することができる。一旦冷却され、ポーリング電界が除去されると、整列された圧電ドメインは向きが固定される。
【0004】
動作中にトランスデューサが高い持続電圧にさらされるとき、この整列が乱され、電気的分極が減少し、トランスデューサの感度及び効率性が低下する可能性がある。この電気分極の減少は、脱分極として知られる。脱分極を防止するため、圧電材料を脱分極させることができるが、トランスデューサの動作に使用されるRF場の減少をもたらさない電場に対抗するため、トランスデューサの圧電要素にわたり電気的DCバイアス場が供給されることができる。残念なことに、DCバイアス場を加えることは、トランスデューサハンドルにおける余分な電気部品を必要とし、設計を複雑にする。従って、DCバイアスを使用せずに圧電材料の分極を維持する方法を持つことが望ましいであろう。
【0005】
診断用超音波の用途の1つは、組織の弾性又は剛性により体内の病変を診断することである。弾性測定の1つの手法は、せん断波測定である。体内のある点が圧縮され、次に解放されると、隣接する組織が下方に圧縮され、圧縮力が解放されるとき上方にリバウンドする。しかし、圧縮力が加えられる組織は周囲の組織に連続的に結合されるので、力ベクトルの非圧縮組織側は、圧縮組織の上下運動に応答する。せん断波と呼ばれるこの横方向の波及効果は、下向きの圧縮力に対する周囲組織の応答である。せん断波は、ある速度で軟組織を通り、別のより高い速度で硬組織を通る。体内のある点におけるせん断波の速度を測定することにより、その位置における組織の病理学的関連特性についての情報が得られる。組織を下方に押すのに必要な力は、一般に「プッシュパルス」と呼ばれる超音波パルスからの放射圧により生成されることができることが示される。プッシュパルスは典型的には、持続的な高電圧駆動信号をトランスデューサに印加することにより生成される長時間(数百マイクロ秒)のパルスであり、これは脱ポーリングの危険を招く。同じ「プッシュパルス」は典型的には、体にわたってセンチメーターサイズの増分で測定するために繰り返されるので、特にプローブが単結晶材料トランスデューサを持つとき、せん断波技術は、脱ポーリング問題を著しく増大させる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの態様では、本発明は、超音波エネルギーを体に伝達する超音波システムを提供する。超音波システムは、超音波トランスデューサ要素のアレイを持つ超音波プローブと、超音波トランスデューサ要素に結合される送信チャネルを持ち、それぞれの送信間隔の間に要素に非対称送信信号を印加するよう構成される送信ビーム形成器とを含むことができる。送信ビーム形成器は、非対称RF信号を印加するよう構成されることができ、及び/又はシステムは、DCバイアス回路を含むことができ、非対称信号は、DCバイアス上に対称RF信号を含むことができる。
【0007】
特定の態様では、トランスデューサ要素は、単結晶トランスデューサ要素とすることができる圧電セラミックトランスデューサ要素を含むことができる。単結晶トランスデューサ要素は、単結晶PMN−PT、PZN−PT、又はPIN−PMN−PTのような様々な材料で作られることができる。
【0008】
いくつかの態様では、システムは、各送信チャネルをトランスデューサ要素に結合するT/Rスイッチと、オプションでT/Rスイッチをトランスデューサ要素に結合するプローブケーブルとを含むことができる。
【0009】
特定の態様では、超音波トランスデューサ要素は、負に分極されたトランスデューサ要素を含むことができ、斯かる場合、非対称な送信信号は、ゼロ基準電圧に対して負の平均振幅値を示す。超音波トランスデューサ要素は、正に分極されたトランスデューサ要素を含むことができ、非対称な送信信号は、ゼロ基準電圧に対して正の平均振幅値を示すことができる。
【0010】
いくつかの態様では、各送信チャネルは、デジタル送信信号データを格納するよう構成されたハードウェアアドレス可能なメモリデバイス又はシフトレジスタを含むことができる。各送信チャネルはまた、デジタル送信信号データを受信し、このデータをアナログ送信信号に変換するよう結合されたデジタル−アナログ変換器を含むことができる。各送信チャネルは、アナログ送信信号を受信し、トランスデューサ要素に高電圧送信信号を印加するよう結合された高電圧送信増幅器を含むことができる。
【0011】
特定の態様では、本発明は、非対称送信信号を、せん断波エラストグラフィと組み合わせて使用することを含む。こうして、いくつかの実施形態では、非対称送信信号が、プッシュパルス送信信号を含むことができる。プッシュパルス送信信号は、例えば、50から1000マイクロ秒の持続時間とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】非対称送信信号でプローブトランスデューサアレイの要素を駆動する超音波診断撮像システムをブロックダイアグラムで示す図である。
図2】トランスデューサアレイの2つの要素に結合される送信ビーム形成器の2つのチャネルの概略図である。
図3】本発明の非対称送信信号を示す測定された送信波形のプロットである。
図4】本発明の一実施形態による超音波プローブの主要な要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の特定の実施形態では、非対称送信信号でプローブのトランスデューサ要素を駆動する超音波システムが記載される。送信信号の振幅非対称性は、圧電材料の分極を強化する方向においてより大きな電界を、及び圧電材料の分極に対抗して劣化する方向においてより小さな電界を生成する。非対称送信信号は、分極を強化する。なぜなら、送信パルスの持続時間にわたってトランスデューサ要素に供給される正味エネルギーが、ドメインの整列及び分極を維持するように働く正味の機械的及び電気的力を生成するからである。
【0014】
ここで図1を参照すると、本発明の原理に基づき超音波プローブのための非対称送信信号を生成する超音波システムが、ブロック図形式で示される。図示される実施形態では、超音波システムは、体内のせん断波の測定のためのプッシュパルスを送信するよう構成される。超音波プローブ10は、超音波信号を送信及び受信するよう動作するトランスデューサ要素のトランスデューサアレイ12を持つ。トランスデューサアレイ12の要素は、PZT、PMN−PT、PZN−PT又はPIN−PMN−PT(インジウムニオブ酸鉛−マグネシウムニオブ酸鉛−チタン酸鉛)のような圧電セラミック材料から作られる。アレイは、トランスデューサ要素の1次元(1D)アレイ又は2次元(2D)アレイとして製造されることができる。いずれのタイプのアレイも、2D平面を走査することができ、アレイの前の体積領域を走査するのに、この2次元アレイが使用されることができる。プローブケーブル40は、超音波システムメインフレームにプローブを接続する。図4は、典型的な超音波プローブ10の側面図であり、プローブケーブル40が、プローブハンドルの近位端に取り付けられる。トランスデューサアレイ12は、プローブの遠位端11にあり、遠位端が患者の体に音響的に接触しているとき、超音波を送信し、プローブの前の走査領域80を介してエコー信号を受信するように配置される。
【0015】
プローブ10のトランスデューサアレイ要素は、送信/受信(T/R)スイッチ14により、超音波システムにおける送信ビーム形成器18及びマルチライン受信ビーム形成器20に結合される。送信ビーム形成器は、当該技術分野において既知であり、例えば米国特許出願公開第2013/0131511号(Petersonその他)、米国特許第6,937,176号(Freemanその他)、米国特許第7,715,204号(Miller)、及び米国特許第5,581,517号(Geeその他)に記載される。これらの各々は参照によりその全体が参照により組み込まれる。これらの刊行物に記載されるように、トランスデューサアレイ用の送信ビーム形成器は、複数のチャネルを持ち、その各々は、トランスデューサ要素に関する駆動信号又はパルス又は波形を、独立してプログラムされた時間に、他のチャネルに対して送信することができる。これは、送信ビームの集束及びステアリングを提供する個々のトランスデューサ要素への駆動信号の印加の選択された相対的なタイミングである。ビーム形成器による送信及び受信の調整は、ビーム形成器コントローラ16により制御される。このコントローラは、ユーザ制御パネル38のユーザ操作により制御される。ユーザは例えば、制御パネルを操作して、せん断波撮像の間に、単一プッシュパルス又は複数の同時プッシュパルスを送信するように超音波システムに命令することができる。マルチライン受信ビーム形成器は、単一の送信−受信間隔の間に、エコー信号の複数の空間的に異なる受信ライン(Aライン)を生成する。マルチラインビーム形成器は、当該技術分野において既知であり、例えば米国特許第6,482,157号(Robinson)、米国特許第6,695,783号(Hendersonその他)、及び米国特許第8,137,272(Cooleyその他)に記載され、これらの各々は、参照によりその全体が組み込まれる。エコー信号は、信号プロセッサ22によりフィルタリング、ノイズ除去等の処理が施され、その後Aラインメモリ24に格納される。これは、Aラインに沿って受信されたエコー信号データを記憶するデジタルメモリである。同じ空間ベクトル位置に関連する時間的に異なるAラインサンプルは、画像フィールド内の共通ポイントに関連するエコーのアンサンブルにおいて互いに関連付けられる。同じ空間ベクトルの連続的なAラインサンプリングのRFエコー信号は、AラインRF相互相関器26により相互相関される。これは、信号データの相互相関を実行し、ベクトル上の各サンプリング点の組織変位のサンプルのシーケンスを生成するようプログラムされるプロセッサである。代替的に、ベクトルに沿ったせん断波の動きを検出するため、空間ベクトルのAラインがドップラー処理されることができ、又は別の位相感知技術が使用されることができる。波面ピーク検出器28は、Aラインベクトルに沿ったせん断波変位の検出に応答して、Aライン上の各サンプリング点におけるせん断波変位のピークを検出する。好ましい実施形態では、これは、カーブフィッティングを実行するプロセッサにより行われるが、必要に応じて相互相関及び他の補間技術が使用されることもできる。せん断波変位のピークが生じる時間は、共通の時間基準に対する、他のAライン位置における同じ事象の時間に関連して記録され、この情報は、波面速度検出器30に結合される。この検出器は、隣接するAラインにおけるピーク変位時間からせん断波速度を差分計算するプロセッサである。この速度情報は、バッファに格納される速度表示マップ32に結合される。このマップは、2D又は3D画像フィールド内の空間的に異なる点におけるせん断波の速度を示す。速度表示マップは、画像ディスプレイ36に表示するため、好ましくは組織の解剖学的超音波画像をオーバーレイする速度マップを処理する画像プロセッサ34に結合される。図1の超音波システム要素の更なる詳細は、米国特許出願公開第2013/0131511号(Petersonその他)に記載され、これは、参照によりその全体が組み込まれる。
【0016】
図2は、T/Rスイッチ14及びプローブケーブル40の信号線によりN要素プローブアレイトランスデューサの要素eM及びeM+1に結合される送信及び受信ビーム形成器の2チャネルの要素の概略図である。送信位置に設定されるT/Rスイッチ14が示される。受信位置に設定されるとき、スイッチは、受信ビーム形成器チャネルへの入力においてトランスデューサ要素を増幅器42,52に結合する。T/Rスイッチは、市販されており、例えば、米国テキサス州ダラスのTexas InstrumentsからのTX810である。図示されるように送信のために設定されるとき、送信ビーム形成器18のチャネルがトランスデューサ要素に結合される。例示の実現における各送信チャネル49,50は、ハードウェアアドレス可能なメモリデバイス又はシフトレジスタ48,58を持ち、サンプリングされた波形図により示されるような送信信号のデジタルデータがそこにロードされる。チャネルに結合された要素が送信インターバルの間に超音波信号を送信する時間になるとき、記憶されたデジタル信号データが、メモリデバイス又はシフトレジスタからデジタル/アナログ変換器46,56にアドレス指定又はクロックアウトされる。この変換器は、デジタルデータをアナログ送信信号に変換する。この信号は、高電圧送信増幅器44,54により増幅される。トランスデューサ要素のピーク駆動電圧は典型的には、撮像モードに基づき、5〜100ボルトの範囲にある。高電圧送信信号は、T/Rスイッチ14及びプローブケーブル40の信号線によりトランスデューサ要素eM、eM+1に印加される。
【0017】
本発明の原理によれば、トランスデューサ要素に印加される送信信号は、図3に示されるゼロボルト基準電位に対して非対称である。この波形図は、従来の対称送信信号60及び非対称送信信号70のサンプルを示す。対称的な送信信号60は、+1から−1のピークの範囲であり、約0の平均振幅値を持つ。非対称送信信号70は、0.5の正のピークから−1の負のピークの範囲にあり、約−0.25の負の平均値を持つ。負に分極されたトランスデューサ要素に印加されるとき、非対称波形70は、負のポーリングを強化する。正の極性のトランスデューサが使用されるとき、送信波形の非対称性は、その負の位相よりも大きな正のピーク及び/又は持続時間を持ち、正のポーリングを強化する正の平均値を持つ。
【0018】
トランスデューサの分極を強化する送信信号の別の実施形態は、対称RF信号及びDCバイアス電圧の組み合わせである。この実施形態は、DCバイアスを生成するため、トランスデューサ又は超音波システムにおける余分な回路を含む。実際の実現では、DCバイアス回路は、トランスデューサアレイのAC結合コンデンサとトランスデューサ要素との間に配置されることができる。DCバイアスは、トランスデューサアセンブリ内で生成されるか、又は超音波システムからトランスデューサアセンブリに送られることができる。この代替的な実施形態の利点は、超音波システム内のより簡単な送信信号回路の使用を可能にすることである。
【0019】
本発明による非対称送信信号(例えば、非対称RF信号又は対称RF信号とDCバイアス電圧との組合せ)は、長時間の高電圧信号の場合に特に有益である。例えばせん断波診断のためのプッシュパルスを生成するのに使用される。プッシュパルスの場合、高いMI(例えば、1.5から1.9)のパルス及び長い持続時間が使用され、その結果、ビーム方向に沿って組織を下方に変位させ、せん断波の発生を引き起こすのに十分なエネルギーが送信される。典型的な実施形態では、プッシュパルスは、50〜1000マイクロ秒の持続時間の長いパルスである。典型的な持続時間は例えば、500マイクロ秒である。従来の対称送信信号では、トランスデューサ要素を脱ポーリングさせる重大な危険があるが、非対称送信信号は、実際にポーリングを強化することができる。これは、トランスデューサ要素が従来のPZT材料よりも低い電場で脱分極する単結晶材料である場合に特に当てはまる。非対称送信信号の使用は、トランスデューサ要素が、劣化なしにかなり高い送信電圧に耐えることを可能にする。これは、より高い音響出力及び改善された信頼性を可能にする。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021年6月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波エネルギーを身体に送信する超音波システムであって、
複数の超音波トランスデューサ要素のアレイを持つ超音波プローブであって、前記複数の超音波トランスデューサ要素のアレイは圧電材料の分極を提供する配向にアラインされるドメインを備える単結晶圧電材料を有する、超音波プローブと、
前記複数の超音波トランスデューサ要素に結合される複数の送信チャネルを持ち、それぞれの送信間隔の間に非対称な送信信号を前記複数の要素に印加するように構成される送信ビーム形成器であって、前記非対称な送信信号は、前記超音波エネルギーが前記身体に送信される間、前記圧電材料の前記分極が強化されるように、前記配向にアラインされるドメインを維持する力を生成するように構成される非ゼロ平均振幅を有する、送信ビーム形成器
を有する、超音波システム。
【請求項2】
前記トランスデューサ要素が、圧電セラミックトランスデューサ要素を更に有する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項3】
前記単結晶トランスデューサ要素が、単結晶PMN−PT、PZN−PT、又はPIN−PMN−PTを更に有する、請求項2に記載の超音波システム。
【請求項4】
各送信チャネルをトランスデューサ要素に結合するT/Rスイッチを更に有する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項5】
前記T/Rスイッチを前記トランスデューサ要素に結合するプローブケーブルを更に有する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項6】
前記超音波トランスデューサ要素が、負の極性のトランスデューサ要素を更に有し、
前記非対称な送信信号は、ゼロ基準電圧に対して負の平均振幅値を示す、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項7】
前記超音波トランスデューサ要素が、正の極性のトランスデューサ要素を更に有し、
前記非対称な送信信号は、ゼロ基準電圧に対して正の平均振幅値を示す、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項8】
各送信チャネルが、前記非対称な送信信号に関するデジタル送信信号データを格納するハードウェアアドレス可能なメモリデバイス又はシフトレジスタを更に有する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項9】
各送信チャネルが、デジタル送信信号データを受信し、アナログ送信信号へと前記データを変換するデジタル−アナログ変換器を更に有する、請求項8に記載の超音波システム。
【請求項10】
各送信チャネルが、アナログ送信信号を受信し、トランスデューサ要素に高電圧送信信号を印加する高電圧送信増幅器を更に有する、請求項9に記載の超音波システム。
【請求項11】
前記非対称な送信信号が、プッシュパルス送信信号を更に有する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項12】
前記プッシュパルス送信信号が更に、50乃至1000マイクロ秒の持続時間のプッシュパルスを生成する、請求項11に記載の超音波システム。
【請求項13】
前記送信ビーム形成器が更に、非対称なRF信号を印加する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項14】
前記システムが、DCバイアス回路を有し、前記非対称な信号は、DCバイアスにおける対称RF信号を有する、請求項1に記載の超音波システム。
【外国語明細書】
2021151494000001.pdf