(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-151885(P2021-151885A)
(43)【公開日】2021年9月30日
(54)【発明の名称】深絞り包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 9/04 20060101AFI20210903BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20210903BHJP
【FI】
B65B9/04
B65B57/00 A
B65B57/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-52744(P2020-52744)
(22)【出願日】2020年3月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 晋一
【テーマコード(参考)】
3E050
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB02
3E050AB05
3E050AB08
3E050CA04
3E050CB03
3E050CB09
3E050DA01
3E050DF06
3E050FB01
3E050FB08
3E050GB03
3E050GB10
(57)【要約】
【課題】 厚みのある継ぎ目部分を含むフィルム部位を縦カッター装置に供給しない深絞り包装機を提供すること
【構成】 下側フィルム4と上側フィルム10のシール部位をフィルム幅方向に横カットする横カッター装置12と、搬送方向に沿って縦カットする縦カッター装置13を備える。横カッター装置は下側フィルムの凹部の角に対向する部位をRカットする機能を有し、縦カッター装置は横に隣接する凹部間に形成されるそれぞれRカットされた部位を2枚のカッター刃で縦カットする。横カッター装置と縦カッター装置の間に、フィルムの左右両サイドを搬送方向に沿ってカットするスリッター装置30を配置する。スリッター装置は下側フィルム等の継ぎ目部分を含むフィルム部位51の左右両サイドをカットし、横カットした部分とにより当該フィルム部位を切り離すようにした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側フィルムを間欠的に搬送する搬送装置と、
前記下側フィルムの所定部位に凹部を形成する成型装置と、
前記凹部に製品を供給する位置の下流側で前記下側フィルム上に上側フィルムを重ね合わせるように供給する手段と、
重ね合わされた前記下側フィルムと前記上側フィルムの所定位置をシールするシール装置と、
前記シール装置の下流側に配置され、前記下側フィルムと前記上側フィルムのシール部位を搬送方向に対して直交する方向に横カットする横カッター装置と、
前記横カッター装置の下流側に配置され、前記下側フィルムと前記上側フィルムのシール部位を搬送方向に沿った方向に縦カットする縦カッター装置とを備えた深絞り包装機であって、
前記横カッター装置は、前記凹部の角に対向する部位をRカットするようにし、
前記縦カッター装置は、搬送方向に対して直交する方向に隣接する前記凹部の間に形成されるそれぞれRカットされた部位を2枚のカッター刃でそれぞれ縦カットするようにし、
前記横カッター装置と前記縦カッター装置の間に、前記下側フィルムと前記上側フィルムの左右両サイドを搬送方向に沿ってカットするスリッター装置を配置し、
前記スリッター装置の第二カッター刃は、前記縦カッター装置のカッター刃よりも厚いフィルム部位をカット可能であり、
前記スリッター装置は、前記上側フィルム及びまたは前記下側フィルムの継ぎ目部分を含むフィルム部位の左右両サイドをカットし、前記横カッター装置で横カットした部分とともに前記継ぎ目部分を含むフィルム部位を、前記搬送装置で搬送される前記下側フィルムから切り離し可能にすることを特徴とする深絞り包装機。
【請求項2】
前記スリッター装置のカット位置は、前記縦カッター装置の左右両サイドの縦カット位置と同じか、外側にすることを特徴とする請求項1に記載の深絞り包装機。
【請求項3】
前記横カッター装置は、前記継ぎ目部分を含むフィルム部位内に対しては横カットを行わないようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の深絞り包装機。
【請求項4】
前記スリッター装置は、前記第二カッター刃を昇降可能に備え、前記継ぎ目部分を含むフィルム部位がこない場合にはフィルムに非接触の上昇位置で待機し、前記継ぎ目部分を含むフィルム部位が通過する際には下降位置で前記第二カッター刃によりカットすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の深絞り包装機。
【請求項5】
前記スリッター装置と前記縦カッター装置の間に、切り離した前記継ぎ目部分を含むフィルム部位を、前記縦カッター装置の上方に向けて排出する排出装置を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の深絞り包装機。
【請求項6】
前記排出装置は、切り離した前記継ぎ目部分を含むフィルム部位を持ち上げるガイド部材と、その持ち上げられたフィルム部位を、前記ガイド部材との間で挟み込んで搬送力を与える駆動ローラを備えることを特徴とる請求項5に記載の深絞り包装機。
【請求項7】
前記上側フィルムと前記下側フィルムでフィルム厚が異なる場合、前記スリッター装置を用いた切り離しは、少なくともフィルム厚が厚いフィルムの継ぎ目部分を含むフィルム部位に対して行うことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の深絞り包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深絞り包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
深絞り型包装体は、製品を収納する凹部を有する容器本体と、その凹部内に製品を収納した状態でその容器本体の開口部を閉塞する蓋部材とを備えた構成を採る。容器本体は、凹部の周囲に外側に突出するフランジ部を有し、蓋部材はそのフランジ部の全周に渡って熱シールされることで無端状のシール部が形成され、凹部の内部を密封するようになっている。容器本体並びに蓋部材は、それぞれ所定材質のフィルムから構成される。
【0003】
係る深絞り型包装体を製造する深絞り包装機は、包装機のほぼ全長に渡って下側フィルムを搬送する搬送装置と、搬送途中の下側フィルムの所定位置に凹部を形成する成型装置と、成型装置の下流側に配置され凹部に製品を供給する製品供給装置と、凹部内に製品が供給された下側フィルムの上に、上側フィルムを重ねるように供給するフィルム供給装置と、上側フィルムと下側フィルムの接触した部位をシールするシール装置と、上側フィルムと下側フィルムのシールされた部位を搬送方向に対して直交する方向にカットする横カッター装置と、搬送方向に対して平行な方向にカットする縦カッター装置等を備える。横カッター装置と縦カッター装置により、凹部の周囲を縦横にカットすることで、上側フィルム,下側フィルムから分離して深絞り型包装体を製造する。
【0004】
通常、横カッター装置は、所定パターン形状の刃型を有し、上側フィルム,下側フィルムに対して押し切りするようにして、接触したフィルム部位を所定パターン形状でカットする。また縦カッター装置は、円盤状のカッター刃を有し、上側フィルム,下側フィルムを搬送方向に沿って直線状にカットする。
【0005】
また、深絞り型包装体の四隅をそれぞれ円弧状にRカットした形態のものがある。係る形態の包装体を製造するには、例えば横カッター装置の刃型の所定パターン形状を、搬送方向に対して直交方向に延びる直線状の刃部とその直線状の刃部から前後方向に延びる円弧状の刃部を備えるようにする。係る形状の刃型を備えた横カッター装置を用いると、例えば
図1(a)に示すように、下側フィルムF1,上側フィルムF2は、刃型の所定パターン形状でカットされる。すなわち搬送方向に対して直交する方向に延びる直線状ラインL1と、その直線状ラインL1に連続する円弧状ラインL2でカットされる。隣接する円弧状ラインL2の先端同士が繋がっている。
【0006】
そして、図中、二点鎖線で示すように縦カッター装置でカットするラインL3を、隣接する円弧状ラインL2の先端同士が繋がっている部位に合わせる。これにより、直線状ラインL1と、ラインL3が包装体の外周縁の4辺のそれぞれを形成し、円弧状ラインL2でカットされた部分が、包装体の一つの角部のRカットされる部位となる。
【0007】
ところで上記のようにすると、例えば縦カッター装置でカットするラインL3が、横方向にずれて円弧状ラインL2の先端同士が繋がっている部位に合わないと、包装体の外周縁が連続的に綺麗,なめらかに繋がらず、例えば小さい突起や段差等が生じるおそれもある。このようにわずかな突起などもNG品となる包装体の場合、例えば、縦カッター装置を同軸に平行に配置した2枚のカッター刃を用い、
図1(b)に示すように円弧状ラインL2の先端同士が繋がっている部位を挟んでその両側近傍を平行なラインL4でカットするようにする。このようにすると、両カッター刃が多少位置ずれをしたとしても、2本のラインL4の間に円弧状ラインL2の先端同士が存在するので、製造される包装体は、突起など生じること無くRカットされた部分と直線状の各辺が連続した形態となる。この種の2枚のカッター刃を備えた縦カッター装置は、例えば特許文献1等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6527125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した2枚のカッター刃を備えた縦カッター装置を用いた深絞り包装機は、フィルム自動供給装置(フィルムスプライサー)を使用することができない。すなわち、上側フィルムや下側フィルムは、帯状のフィルムを巻き取った原反ロールから連続して供給するが、原反ロールから全ての上側フィルム或いは下側フィルムが引き出されてしまった場合には、新たな原反ロールから上側フィルム或いは下側フィルムを供給する必要がある。フィルムスプライサーは、この新たな原反ロールからのフィルムの供給を自動的に連続して行うものである。
【0010】
このフィルムスプライサーは、例えば、フィルムを現在供給している原反ロールと、次のフィルム供給のための予備の原反ロールを備え、供給中のフィルムの終端付近のフィルム部位に、予備の原反ロールから引き出したフィルムの先頭のフィルム部位を重ねるとともに接着テープで貼り付けて一体化する。これにより、現在供給中のフィルムが包装機本体に向けて引き出されると、それと一体になって予備の原反ロールから引き出されたフィルムも搬送され、そのまま連続して包装機本体に供給される。
【0011】
ところで、先行するフィルムと、後続のフィルムの重ね合わされた部分の厚さは、フィルム2枚分なり、さらに接着テープが貼り付けられた部分は、接着テープの厚さ分も増え、1枚のフィルムに比べて2倍以上となり非常に厚くなってしまう。
【0012】
一方、2枚のカッター刃を備えた縦カッター装置に用いられるカッター刃は、例えば刃厚が1mm以下と薄い。従って、カットするフィルム部位が厚いと、カッター刃が欠けるなどの損傷を生じる。つまり、フィルムの継ぎ目部分が来ると、フィルム等が重なる枚数が多く厚くなるので、カッター刃が損傷する。そのため従来は、1つの原反ロールからのフィルム供給が終わると、人手により次の原反ロールによるフィルムのセットを行う。係る作業を行うために深絞り包装機を一時停止する必要があり、生産性が低下するばかりでなく、使用中の原反ロールの終了に近づくと、作業員は深絞り包装機のそばで待機し、終了とともに次の原反ロールからフィルムを引き出すとともに、先行するフィルムに接続する作業を行う必要がある。そのため、作業が煩雑であるばかりでなく、フィルムが完全に引き出されてしまう少し前から作業員を拘束することなり、作業性が低下する。
【0013】
そして、一般に凹部を備えた容器フィルムを構成する下側フィルムのフィルム厚は、蓋部材を構成する上側フィルムに比べて厚いので、上記の問題は下側フィルムについて顕著に生じる。
【0014】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願,補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するために、本発明の深絞り包装機は、(1)下側フィルムを間欠的に搬送する搬送装置と、前記下側フィルムの所定部位に凹部を形成する成型装置と、前記凹部に製品を供給する位置の下流側で前記下側フィルム上に上側フィルムを重ね合わせるように供給する手段と、重ね合わされた前記下側フィルムと前記上側フィルムの所定位置をシールするシール装置と、前記シール装置の下流側に配置され、前記下側フィルムと前記上側フィルムのシール部位を搬送方向に対して直交する方向に横カットする横カッター装置と、前記横カッター装置の下流側に配置され、前記下側フィルムと前記上側フィルムのシール部位を搬送方向に沿った方向に縦カットする縦カッター装置とを備えた深絞り包装機であって、前記横カッター装置は、前記凹部の角に対向する部位をRカットするようにし、前記縦カッター装置は、搬送方向に対して直交する方向に隣接する前記凹部の間に形成されるそれぞれRカットされた部位を2枚のカッター刃でそれぞれ縦カットするようにし、前記横カッター装置と前記縦カッター装置の間に、前記下側フィルムと前記上側フィルムの左右両サイドを搬送方向に沿ってカットするスリッター装置を配置し、前記スリッター装置の第二カッター刃は、前記縦カッター装置のカッター刃よりも厚いフィルム部位をカット可能であり、前記スリッター装置は、前記上側フィルム及びまたは前記下側フィルムの継ぎ目部分を含むフィルム部位の左右両サイドをカットし、前記横カッター装置で横カットした部分とともに前記継ぎ目部分を含むフィルム部位を、前記搬送装置で搬送される前記下側フィルムから切り離し可能にするようにした。
【0016】
このようすると、継ぎ目部分を含むフィルム部位は、通常よりも厚くなっていて、縦カッター装置のカッター刃では切断できずカッター刃が損傷するおそれがある場合でも、スリッター装置でカット処理することで継ぎ目部分を含むフィルム部位を切り離すことができる。よって、当該厚みのある継ぎ目部分を含むフィルム部位を縦カッター装置に供給するのを抑制できる。
【0017】
(2)前記スリッター装置のカット位置は、前記縦カッター装置の左右両サイドの縦カット位置と同じか、外側にするとよく、特に外側にするとよい。このようにすると、スリッター装置でカットされた外側のフィルム部位が、縦カッター装置のカッター刃に供給されるのを確実に抑止できる。
【0018】
(3)前記横カッター装置は、前記継ぎ目部分を含むフィルム部位内に対しては横カットを行わないようにするとよい。このようにすると、継ぎ目部分を含むフィルム部位は、前後に一定の長さが確保されるので、排出しやすくなる。
【0019】
(4)前記スリッター装置は、前記第二カッター刃を昇降可能に備え、前記継ぎ目部分を含むフィルム部位がこない場合にはフィルムに非接触の上昇位置で待機し、前記継ぎ目部分を含むフィルム部位が通過する際には下降位置で前記第二カッター刃によりカットするように構成するとよい。このようにすると、第二カッター刃の昇降だけで、継ぎ目部分を含むフィルム部位のカット処理と、係るカット処理を行わない通常の包装処理の切り替えが簡単かつ迅速に行える。
【0020】
(5)前記スリッター装置と前記縦カッター装置の間に、切り離した前記継ぎ目部分を含むフィルム部位を、前記縦カッター装置の上方に向けて排出する排出装置を備えるとよい。このようにすると、より確実に切り離した継ぎ目部分を含むフィルム部位を縦カッター装置に供給すること無く排出できる。
【0021】
(6)前記排出装置は、切り離した前記継ぎ目部分を含むフィルム部位を持ち上げるガイド部材と、その持ち上げられたフィルム部位を、前記ガイド部材との間で挟み込んで搬送力を与える駆動ローラを備えるとよい。このようにすると、(5)の発明を簡単な構成で実現できる。
【0022】
(7)前記上側フィルムと前記下側フィルムでフィルム厚が異なる場合、前記スリッター装置を用いた切り離しは、少なくともフィルム厚が厚いフィルムの継ぎ目部分を含むフィルム部位に対して行うようにするとよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、例えば以下の少なくともいずれかの効果を奏する。厚みのある継ぎ目部分を含むフィルム部位を縦カッター装置に供給することを抑止できる。また、自動で下側フィルムを接合できる。縦カッター刃の寿命が延びる。また、接着テープを縦カッター装置13で切断しないため、カッター刃が接着テープにより汚れることがないので、メンテナンス等の作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】横カッター装置と縦カッター装置の機能を説明する図である。
【
図2】本発明に係る深絞り包装機の好適な一実施形態を示す概略正面図である。
【
図3】その深絞り包装機の一部を示す平面図である。
【
図6】横カッター装置と縦カッター装置の機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0026】
図2は、本実施形態の深絞り包装機の概略構成を示している。同図に示すように、深絞り包装機のほぼ全長にわたって下側フィルム4を搬送する搬送装置1が配置されている。この搬送装置1は、フィルムを間欠搬送するもので、搬送方向の前方に設けた駆動スプロケット2と搬送方向後方に設けた従動スプロケット2a及び所定位置に設けたアイドルスプロケット2bに掛け渡すようにエンドレスチェーン3が配置されている。このエンドレスチェーン3は、下側フィルム4の搬送方向の左右両側にそれぞれ配置されている。
【0027】
係るエンドレスチェーン3には、多数の挟持爪5が取付けられ、エンドレスチェーン3とともに移動する。これにより、係る挟持爪5により下側フィルム4の両側縁を挟持し、挟持爪5の移動にともない下側フィルム4を搬送可能となる。つまり、搬送装置1の搬入側下方に設置された第一回転支持軸16に装着された原反ロール6から連続して帯状の下側フィルム4が引き出され、従動スプロケット2aの部分で開放状態となる挟持爪5内に供給され、その後挟持爪5が閉じることにより、下側フィルム4は挟持される。
【0028】
第一回転支持軸16は、2本平行に配置され、それぞれに原反ロール6と予備用の原反ロール6′を装着する。原反ロール6,6′から搬送装置1へのフィルム供給経路の途中に、図示省略するフィルムスプライサーを備える。フィルムスプライサーは、フィルムが無くなった際に、自動でフィルムをつなぐ装置であり、原反ロール6から引き出されて搬送装置1に供給されている下側フィルム4の終端付近のフィルム部位に、待機中の原反ロール6′に巻き取られた下側フィルム4の先端側のフィルム部位を重ねるとともに、接着テープで貼り付けて一体化する。これにより、現在供給中の下側フィルムが搬送装置1に向けて引き出されると、それと一体になった原反ロール6′側の下側フィルムもそのまま引き出され、連続して搬送装置1に供給される。
【0029】
また、搬送装置1の上流側の所定位置には、成型ボックス7が配設されており、その成型ボックス7にて下側フィルム4に所定形状の凹部4aを形成する。この凹部4aは、横一列に複数個並ぶとともに、前後に所定間隔をおいて配置されるように形成される。
【0030】
また、図示しないが、成型ボックス7の進行方向前方には、製品供給エリアが設けられており、そのエリア内で凹部4a内に製品8を順次供給するように構成する。この製品供給エリアにおける製品の供給は、機械による自動供給でも良く、あるいは人手による供給でも良い。
【0031】
更に、上記の製品供給エリアの下流側に位置する下側フィルム4の搬送路の略中央上方部には第二回転支持軸17が2本平行に配置され、それぞれの第二回転支持軸17に原反ロール9,9′が装着され、一体に回転可能となる。そして、一方の原反ロール9から上側フィルム10が連続して供給され、下側フィルム4の上方を被覆するように構成する。そして、この上側フィルム10の搬送経路にもフィルムスプライサーを配置し、原反ロール9と原反ロール9′から交互に上側フィルム10を供給し、一方の原反ロールからの供給の終了時に他方の原反ロールからの上側フィルムを接着して連続して下側フィルム4の上に覆うように供給してもよい。またこのようにフィルムスプライサーにより自動的に上側フィルムを繋いで連続して供給するのでなく、人手によってつないでもよい。
【0032】
また、上側フィルム10の被覆点より進行方向前方にはシール装置11が配設され、下側フィルム4と上側フィルム10の接触部分を熱シールする。上側フィルム10のフィルム幅は、下側フィルム4のフィルム幅よりも短く、上側フィルム10を下側フィルム4の上に覆った状態で下側フィルム4の両側縁は上方に露出する。よって、その露出部分が上述したように挟持爪5にて挟持される状態を保持する。そして、上側フィルム10は、凹部4a以外の下側フィルム4と接触し、その接触部分にて熱シールされる。この熱シールにより上側フィルム10と下側フィルム4が一体化し、挟持爪5の移動に伴う下側フィルム4の移動に追従して上側フィルム10も移動する。
【0033】
さらに、シール装置11の進行方向前方には横カッター装置12並びに縦カッター装置13が配設されており、下側フィルム4と上側フィルム10の所定位置を横,縦方向に切断し、後続のフィルムから分離して個々の包装体15を製造する。包装体15は、搬出コンベア18にて搬出される。
【0034】
横カッター装置12は、切断形状に対応した刃型の雄刃及び雌刃を有する押し切りタイプのものを用いる。この横カッター装置12は、例えば
図4に示すように、フィルムの搬送面の下方に上下方向に往復動作するシリンダロッド21aを備えるシリンダ21と、そのシリンダ21のシリンダロッド21aの先端に取り付けた雄刃22と、搬送面の上方に配置した雌刃23等を備えて構成する。そして、シリンダ21が駆動して雄刃22が上昇すると、雄刃22と雌刃23の間で下側フィルム4と上側フィルム10の接触部位を挟み込んで加圧し、刃型の形状に応じた形状にカットする。
【0035】
横カッター装置12は、搬送方向に沿って前後に2個配置し、一時停止中の上側フィルム10,下側フィルム4に対して、凹部4aの前後二箇所に同時に搬送方向に対して直交する方向に延びる横カットする。そして、横カッター装置の雄刃22,雌刃23は、所定の無端状の歯部を有し、フィルムを打ち抜いた際に
図6に示すようなに、搬送方向に対して直交する方向に延びるスリット25が形成されるようにしている。このスリット25は、搬送方向に対して直交する方向に延びる細幅な帯状部位25aと、凹部4aの角部付近に形成される搬送方向の前後に広がる幅広の拡張部25bを有する。その帯状部位25aの部分は、前後に配置される平行な2本の直線状ラインL5で区画され、拡張部25bの部分は、直線状ラインL5の端部に繋がる円弧状ラインL6で区画される。また、直線状ラインL5と非接続側の円弧状ラインL6の先端同士が繋がるようにするが、必ずしも円弧状ラインL6同士は繋がらなくても良い。
【0036】
縦カッター装置13は、搬送面の上方空間を搬送方向に対して直交する方向に横断するように配置される回転軸28と、その回転軸28に同軸状に取り付けられる円盤状の第一カッター刃29と、図示省略する回転軸28ひいては第一カッター刃29を回転駆動する駆動部(駆動モータ,動力伝達機構等)等を備える。第一カッター刃29は、搬送方向と平行な平面内で回転し、接触するフィルム部位をカットする。これにより、フィルムの搬送に伴い上側フィルム10,下側フィルム4は、搬送方向に沿った直線状ラインL7でカットされる。そして、本実施形態では、第一カッター刃29でカットされる直線状ラインL7が、拡張部25b内に位置するように設定される。より具体的には、直線状ラインL7は、拡張部25bを区画する円弧状ラインL6の先端(直線状ラインL5と非接続側)よりも内側のエリアで交差するように配置する。よって、スリット25の両端の拡張部25bが通過する位置には1つの第一カッター刃29を配置し、中間に位置する拡張部25bが通過する位置にはそれぞれ2つの第一カッター刃29を配置する。そして、2つの第一カッター刃29は、所定距離をおいて配置するとともに、隣接する円弧状ラインL6の先端を挟んで直線状ラインL7が来るように設定する。
【0037】
このようにすると、縦カッター装置13でカットする直線状ラインL7の位置が、搬送方向に対して直交する横方向に多少ずれたとしても、円弧状ラインL6の先端に至らず、最終的に形成される包装体15の外周縁は滑らかに連続した形態となる。
【0038】
ここで本実施形態では、横カッター装置12と縦カッター装置13の間に、上側フィルム10,下側フィルム4の左右両サイドを、搬送方向に沿って縦カットするスリッター装置30を備える。スリッター装置30は、搬送面の上方空間を搬送方向に対して直交する方向に横断するように配置される第二回転軸31と、その第二回転軸31に同軸に取り付けられる円盤状の第二カッター刃32と、図示省略する第二回転軸31ひいては第二カッター刃32を回転駆動する駆動部(例えば駆動モータ,動力伝達機構等)と、第二回転軸31を昇降する手段(例えばシリンダ等)等を備える。
【0039】
第二回転軸31が上昇位置にあるとき、
図4中実線で示すように、第二カッター刃32は、上側フィルム10,下側フィルム4と非接触の待機状態にあり、第二回転軸31が下降位置にあるとき、
図4中破線で示すように、第二カッター刃32は、その外周縁の下方部位が上側フィルム10,下側フィルム4の搬送面よりも下方に位置する。よって、当該下降位置にある状態で上側フィルム10,下側フィルム4が搬送されると、第二カッター刃32と接触するフィルム部位が、搬送方向に沿って直線状ラインL8でカットされる。
【0040】
第二カッター刃32は、第一カッター刃29に比べて厚みがあり、剛性,強度の高い構造とする。これにより、例えばフィルムスプライサーによるフィルムの継ぎ目部分のように、上側フィルム10及びまたは下側フィルム4が2枚重なり、さらに接着テープ50が重なり厚くなったフィルム部位51に対しても、第二カッター刃32が損傷すること無くカットすることができる。
【0041】
そして、この第二カッター刃32でカットする部分は、横カッター装置12で形成されたスリット25と交差し、例えば
図7に示すように縦カッター装置13でカットする左右両サイドの直線状ラインL7よりも外側とするとよい。このようにすると、下側フィルム4や上側フィルム10の継ぎ目部分を含む所定区間がスリッター装置30の設置位置を通過する間、第二回転軸31を下降位置にセットし、第二カッター刃32で所定区間のフィルム部位を直線状ラインL8でカットする。この所定区間は、継ぎ目部分で2枚の上側フィルム10及びまたは2枚の下側フィルム4が重なっているフィルム部位51と、当該フィルム部位の前後に形成されたスリット25を含む区間とするとよい。このようにすると、所定区間のフィルムの左右両サイドが直線状ラインL8でカットされるとともに、その左右の直線状ラインL8の前後端はスリット25によりそれぞれ繋がるため、矩形状に切り抜かれる。よって、切り抜かれた継ぎ目部分を含む所定区間のフィルム部位51は、搬送装置1からの搬送力を受けて移動する下側フィルム4,上側フィルム10から分離され、離脱可能となる。よって、離脱させて縦カッター装置13に供給されないようにすることで、厚みのあるフィルム部位が縦カッター装置13を通過するのを抑止する。その結果、第一カッター刃29は比較的薄く、例えば、継ぎ目部分のように厚くなったフィルム部位に対してカットすると破損するおそれがあるが、本実施形態では係る事態の発生を抑制できる。
【0042】
さらに本実施形態では、当該分離された継ぎ目部分を含む所定区間のフィルム部位51を縦カッター装置13に供給すること無く排出する排出装置40を備える。この排出装置40は、フィルムの搬送面の下方空間で待機し、上流側端を回転中心として所定角度範囲内で正逆回転するガイド部材41と、搬送面の上方に配置される駆動ローラ42と、ガイド部材41を正逆回転させるための駆動源と、駆動ローラ42を回転せせるための駆動源等を備える。ガイド部材41の横幅(搬送方向に対して直交する方向の幅)は、左右の第二カッター刃32の間隔よりも短く、その第二カッター刃32間の空間の下流側の延長上に位置する。
【0043】
またガイド部材41は、上に凸の湾曲面を有し、待機位置ではその全体が
図4中に実線で示すように搬送面の下方、より具体的には、下側フィルム4に形成する凹部より下方に位置し、通常の包装処理時における下側フィルム4(凹部4a)の通過を阻害しない。そして、その待機位置から、ガイド部材41が上流側の端部を中心に回転して
図4中二点鎖線で示すように下流側が上昇した動作位置に至ると、下流端は縦カッター装置13の上方に配置された排出用通路45の搬入側端近傍に位置する。この状態では、ガイド部材41の上面は、下流側に向けて上昇するガイド面となる。よって、切り抜かれて分離された継ぎ目部分を含む所定区間のフィルム部位51は、このガイド面に案内されて上方に向かって進む。
【0044】
さらに本形態では、動作位置に至ったガイド部材41の上面は、駆動ローラ42と接触可能となる。従って、上記のようにガイド面に案内されて移動してきたフィルム部位51は、駆動ローラ42の駆動力を受けて前進移動し、排出用通路45に至る。このように継ぎ目部分を含むフィルム部位51は、排出用通路45に至るので、縦カッター装置13に供給されることを可及的に抑制できる。
【0045】
また、継ぎ目部分を含むフィルム部位51の切り抜き、排出を行うために行う第二カッター刃32の昇降移動や、ガイド部材41の正逆回転や、横カッター装置12の一時停止等の動作の制御は、継ぎ目の検知に基づいて行うとよい。この継ぎ目の検知は、例えば、縦カッター装置13の上流側等に配置した所定の検知装置で継ぎ目を検知したり、フィルムスプライサーからの完了信号等に基づき継ぎ目のフィルム部位が各装置に至ることを検知したりするとよい。
【0046】
また、排出用通路45は、例えば各種のコンベア等の搬送機能を備え、継ぎ目部分を含むフィルム部位51を所定位置に搬送するようにしてもよいし、排出用通路45上に貯留させ、適宜のタイミングで作業員が回収するようにしてもよい。
【0047】
なお、スリッター装置30でカットされた直線状ラインL8の外側のフィルム部位は、搬送装置1の挟持爪5に把持されたまま搬送され、縦カッター装置13側に供給されるが、直線状ラインL8は、直線状ラインL7の外側に位置するレイアウトとしたため、当該外側のフィルム部位は、仮に縦カッター装置13内を通過しても、第一カッター刃29には接触しない。
【0048】
さらに本実施形態では、継ぎ目部分を含むフィルム部位51に対しては、横カッター装置12を動作させないようにする。横カッター装置12の刃型は、強度を有し、当該フィルム部位51を押し切りしてカットしても損傷することはないが、当該フィルム部位51の前後にスリット25を形成すれば、当該フィルム部位51を切り抜くことができるため、無用な動作をせずに一時停止するようにした。さらに、継ぎ目部分を含むフィルム部位51内の領域に対して横カッター装置12で横カットしてスリット25を形成すると、当該フィルム部位51がスリット25の形成ピッチで前後に分離されるので、ガイド部材41を介して排出用通路45に導きにくくなるとともに、打ち抜きに伴いフィルムくず(スリット25内に存在していたフィルム)も発生する。これに対し、本実施形態のように横カッター装置12を動作させないことで、前後に比較的長さのあるフィルム部位51を切り抜くことができ、安定して排出用通路45に導くことができるとともに、打ち抜きに伴うフィルムくず(スリット25内に存在していたフィルム部位)の発生を抑止できるので良い。
【0049】
また、継ぎ目部分、及びその前後に位置する包装体の製造に使用しない下側フィルム4には、成型ボックス7を一時停止して所定形状の凹部4aを形成しないようにするとよい。このようにすると、下側フィルム4は平坦なシート状となっているので、排出用通路45側によりスムーズに排出することができるとともに、かさばらないのでよい。また、例えば製品を手供給するシステムにおいて、継ぎ目部分の前後の包装体に使用しないフィルム部位にも凹部4aを形成するようにすると、継ぎ目付近の凹部に対して製品を入れてよいか否かの判断に迷うことがあるが、包装体に使用しないフィルム部位には凹部4aを設けないようにすると、凹部4aがあればそこに製品を供給すれは良いので、作業が簡易となるので良い。
【0050】
上述した実施形態では、下側フィルム4の継ぎ目部分と、上側フィルム10の継ぎ目部分のいずれに対しても排出処理を行うようにしたが、縦カッター装置13の仕様に応じて例えば上側フィルムと下側フィルムでフィルム厚に差がある場合には、少なくともフィルム厚が厚いフィルムの継ぎ目を対象にしたり、両方の継ぎ目が同時に発生する場合のみとしたりするなどの他、各種の態様をとれる。
【0051】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0052】
1 :搬送装置
4 :下側フィルム
4a :凹部
5 :挟持爪
6 :原反ロール
6′ :原反ロール
7 :成型ボックス
8 :製品
9 :原反ロール
9′ :原反ロール
10 :上側フィルム
11 :シール装置
12 :横カッター装置
13 :縦カッター装置
15 :包装体
25 :スリット
29 :第一カッター刃
30 :スリッター装置
32 :第二カッター刃
40 :排出装置
41 :ガイド部材
42 :駆動ローラ
45 :排出用通路