【解決手段】a.約2mg/mL〜約100mg/mLの抗体、およびb.約0.002%〜約0.01%のポリソルベート20を含み、前記抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、特定の配列のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、別の特定の配列のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む、安定した水性抗体製剤である。
約2mg/mL〜約100mg/mLの抗体を含み、前記抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む、安定した水性抗体製剤であって、約40℃で少なくとも1ヶ月間の保存時に安定している、安定した水性抗体製剤。
約40℃で少なくとも1ヶ月間保存された前記抗体が、保存されていない参照抗体と比較して、IL−5Rポリペプチドとの結合能力の少なくとも80%を保つ、請求項1〜22のいずれか一項に記載の抗体製剤。
約5℃で少なくとも6ヶ月間保存された前記抗体が、保存されていない参照抗体と比較して、IL−5Rポリペプチドとの結合能力の少なくとも80%を保つ、請求項1〜23のいずれか一項に記載の抗体製剤。
約40℃で少なくとも1ヶ月間保存された前記抗体が、保存されていない参照抗体と比較して、IL−5Rポリペプチドとの結合能力の少なくとも95%を保つ、請求項1〜24のいずれか一項に記載の抗体製剤。
約5℃で少なくとも6ヶ月間保存された前記抗体が、保存されていない参照抗体と比較して、IL−5Rポリペプチドとの結合能力の少なくとも95%を保つ、請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体製剤。
約40℃で少なくとも1ヶ月間の保存時に、HPSECによる判定による判定で、2%未満の前記抗体が凝集を形成する、請求項1〜26のいずれか一項に記載の抗体製剤。
請求項1〜32のいずれか一項に記載の製剤、請求項33に記載の容器、請求項34〜42のいずれか一項に記載の単位用量剤形、または請求項43〜52のいずれか一項に記載のプレフィルドシリンジを含む、キット。
a.重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗体を約1mg/mL〜約400mg/mLに精製するステップと;
b.前記単離抗体を安定化製剤に入れて、安定した水性抗体製剤を形成するステップであって、前記得られた安定した水性抗体製剤が、
i.約2mg/mL〜約100mg/mLの抗体、および
ii.約0.002%〜約0.01%のポリソルベート20
を含む、ステップと
を含む、安定した水性抗体製剤を製造する方法。
a.重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗体を約1mg/mL〜約400mg/mLに精製するステップと;
b.i.約0.002%〜約0.01%のポリソルベート20、
ii.約40mM〜約60mMのトレハロース、および
iii.約110mM〜約150mMのL−アルギニン
を含む溶液中に、前記抗体を約2mg/mL〜約20mg/mLの前記抗体に希釈するステップと
を含む、安定した水性抗体製剤を製造する方法。
a.重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗体を約1mg/mL〜約400mg/mLに精製するステップと;
b.i.約0.002%〜約0.01%のポリソルベート20、および
ii.約200mM〜約300mMのトレハロース
を含む溶液中に、前記抗体を約20mg/mL〜約100mg/mLの前記抗体に希釈するステップと
を含む、安定した水性抗体製剤を製造する方法。
重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗体を含む、再構成された抗体製剤を作成する方法であって、
a.細胞培養物から前記抗体を精製するステップと;
b.前記単離抗体を凍結乾燥するステップと;
c.前記凍結乾燥抗体を水溶液に添加して、再構成された抗体製剤を形成するステップであって、前記再構成された抗体製剤が、
i.約2mg/mL〜約100mg/mLの前記抗体、および
ii.約0.002%〜約0.01%のポリソルベート20
を含む、ステップと
を含む、方法。
重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗体を含み、粒子を本質的に含まない、抗体製剤。
重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗体を含み、活性グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)を本質的に含まない、抗体製剤。
重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗体を精製する方法であって、
a.前記抗体を含む細胞培養物を得るステップと、
b.前記抗体にアフィニティクロマトグラフィーを実施するステップと、
c.前記抗体にカチオン交換を実施するステップと、
d.前記抗体に混合モードクロマトグラフィーを実施するステップと
を含む、方法。
対象において肺疾患または障害を治療する方法であって、請求項1〜32のいずれか一項に記載の抗体製剤、請求項33に記載の容器、請求項34〜42のいずれか一項に記載の単位用量剤形、または請求項43〜52のいずれか一項に記載のプレフィルドシリンジの治療有効量を投与するステップを含む、方法。
前記肺疾患または障害が、喘息、COPD、好酸球性喘息、混合型好酸球性・好中球喘息、アスピリン感受性喘息、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、急性および慢性好酸球性気管支炎、急性および慢性好酸球性肺炎、チャーグ・ストラウス症候群、過好酸性症候群、薬物・刺激物・放射線誘発性肺好酸球増加症、感染誘発性肺好酸球増加症(真菌、結核、寄生生物)、自己免疫関連肺好酸球増加症、好酸球性食道炎、クローン病、またはそれらの組み合わせである、請求項49に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書に示され記載される特定の実装は例であり、本出願の範囲をどのようにも限定しないものと理解される。本明細書に記載される本発明の実施形態および特性のそれぞれは、あらゆる全ての方法で併用し得るものと理解される。
【0028】
本明細書で参照される公開特許、特許出願、ウェブサイト、企業名、および学術文献は、それぞれが具体的かつ個別に参照によって援用されると示されるのと同程度に、その内容全体を参照によって本明細書に援用する。本明細書で参照されるあらゆる参考文献と、本明細書の特定の教示間のあらゆる矛盾は、本教示を支持して解決されるものとする。同様に、当該技術分野で理解される語または語句の定義と、本明細書で具体的に教示される語または語句の定義の間のあらゆる矛盾は、本教示を支持して解決されるものとする。
【0029】
本明細書の用法では、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容が明確に指示しない限り、それが言及する用語の複数形もまた具体的に包含する。
【0030】
本開示全体にわたり、百分率、比率などの全ての表現は、特に断りのない限り、「重量基準」である。本明細書の用法では、「重量基準」は、「質量基準」という用語と同義であり、本明細書で定義される比率または百分率が、容積、厚さ、またはその他の尺度でなく、重量に準拠することを示す。
【0031】
「約」という用語は、本明細書では、およそ、範囲、大体、または前後を意味するために使用される。数値範囲に関連して「約」という用語が使用される場合、それは記載される数値の上下の境界を延長することで、範囲を修飾する。一般に「約」という用語は、規定値の上下の数値を10%の差異で修飾するために、本明細書で使用される。
【0032】
本明細書で使用される技術的および科学的用語は、特に断りのない限り、本出願が関係する技術分野の当業者によって通常理解される意味を有する。本明細書では、当業者に知られている様々な方法論および材料に言及する。その各開示内容全体を参照によって本明細書に援用する、Sambrook et al.,“Molecular Cloning:A Laboratory Manual,”2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1989);Kaufman et al.,Eds.,“Handbook of Molecular and Cellular Methods in Biology in Medicine,”CRC Press,Boca Raton(1995);およびMcPherson,Ed.,“Directed Mutagenesis:A Practical Approach,”IRL Press,Oxford(1991)をはじめとする標準的基準研究が、組み換えDNA技術の一般的原理を記載している。
【0033】
本発明は、安定した水性抗体製剤を対象とする。本明細書に記載される「抗体製剤」という用語は、1つまたは複数の抗体分子を含む組成物を指す。本発明の「抗体」という用語は、特に限定的でない。明確さのために、「抗体」はその最も広い意味で解釈され、あらゆる免疫グロブリン(Ig)、その活性変異体または所望の変異体、およびその活性断片または望ましい断片(例えばFab断片、ラクダ科動物抗体(一本鎖抗体)、およびナノボディ)を含む。「抗体」という用語はまた、二量体または多量体をも指し得る。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得、天然にまたは組み換え的に生成され得る。したがってヒト、非ヒト、ヒト化、およびキメラ抗体は、全て「抗体」という用語に包含される。典型的に、抗体は、IgG、IgE、IgM、IgD、およびIgAクラスの1つのモノクローナル抗体であり、より典型的には、IgGまたはIgAのモノクローナル抗体である。
【0034】
本発明の抗体は、鳥および哺乳類をはじめとする、あらゆる動物起源であり得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法の抗体は、ヒト、マウス(例えばマウスおよびラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリである。本明細書の用法では、「ヒト」抗体としては、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体が挙げられ、ヒト免疫グロブリンライブラリーから単離された抗体、または1つまたは複数のヒト免疫グロブリンで組み換えられて内在性免疫グロブリンを発現しない動物から単離された抗体が含まれる。例えばKucherlapatiらに付与された、米国特許第5,939,598号明細書を参照されたい。
【0035】
本発明の抗体としては、例えば、天然抗体、無処理モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの無処理抗体から生成される多特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、抗体断片(例えば1つまたは複数の抗原と結合しおよび/またはそれを認識する抗体断片)、ヒト化抗体、ヒト抗体(Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature 362:255−258(1993);Bruggermann et al.,Year in Immunol.7:33(1993);米国特許第5,591,669号明細書および米国特許第5,545,807号明細書)、抗体ファージライブラリーから単離される抗体群および抗体断片(McCafferty et al.,Nature 348:552−554(1990);Clackson et al.,Nature 352:624−628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1991);Marks et al.,Bio/Technology10:779−783(1992);Waterhouse et al.,Nucl.Acids Res.21:2265−2266(1993))が挙げられる。本発明の方法によって精製される抗体は、N−またはC末端で、異種ポリペプチドと組み換え的に融合し得、またはポリペプチドまたはその他の組成物と化学的に結合し得る(共有結合および非共有結合を含む)。例えば本発明の方法によって精製される抗体は、検出アッセイ中で標識として有用な分子と、および異種ポリペプチド、薬剤、または毒素などのエフェクター分子と、組み換え的に融合または共役し得る。例えばPCT公開国際公開第92/08495号パンフレット;国際公開第91/14438号パンフレット;国際公開第89/12624号パンフレット;米国特許第5,314,995号明細書;および欧州特許第396,387号明細書を参照されたい。
【0036】
いくつかの実施形態では、本発明の抗体製剤は、抗IL5受容体(抗IL5R)抗体を含む。本発明の抗体は、関心のある抗原またはその断片と特異的に結合し、その他の抗原またはその断片とは特異的に結合しない。例えば抗IL5R抗体は、インターロイキン−5受容体ポリペプチドと免疫特異的に結合し、その他のポリペプチドとは特異的に結合しない。好ましくは、IL−5受容体と免疫特異的に結合する抗体または抗体断片は、その他のポリペプチドまたはその他のポリペプチド断片に対する親和性と比較して、IL−5受容体またはIL−5受容体ポリペプチド断片に対してより高い親和性を有する。抗体の親和性は、単一抗原−抗体部位における特異的抗原に対する結合の尺度であり、本質的に、抗体の抗原結合部位と特定のエピトープとの間の相互作用に存在する、全ての引力および斥力の総和である。特定の抗原(例えばIL−5ポリペプチドまたはIL−5ポリペプチド断片)に対する抗体の親和性は、式、K=[Ag Ab]/[Ag][Ab]によって定義される平衡定数Kによって表されてもよく、それは抗体結合部位の親和性であり、式中、[Ag]は遊離抗原の濃度であり、[Ab]は遊離抗体の濃度であり、[Ag Ab]は抗原−抗体複合体の濃度である。抗原および抗体が共に強力に反応する場合、遊離抗原または遊離抗体は非常にわずかとなり、したがって抗体の平衡定数または親和性は高くなる。高親和性抗体は、抗原と抗体の間に良好な適合がある場合に見られる(抗体親和性の考察については、Sigal and Roned.,1994,Immunology and Inflammation−Basic Mechanisms and Clinical Consequences,McGraw−Hill,Inc.New York,pp.56−57;およびSeymour et ah,1995,Immunology−An Introduction for the Health Sciences,McGraw−Hill Book Company,Australia,pp.31−32を参照されたい)。好ましくは、IL−5ポリペプチドまたはその断片と免疫特異的に結合する抗体または抗体断片は、その他の抗原と交差反応しない。すなわち、その他のポリペプチドまたはその他のポリペプチド断片に対するよりも高いエネルギーで、IL−5ポリペプチドまたはその断片と免疫特異的に結合する抗体または抗体断片(例えば抗体特異性の考察については、Paul ed.,1989,Fundamental Immunology,2nd ed.,Raven Press,New York,pp.332−336を参照されたい)。IL−5ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体または抗体断片は、例えば、放射免疫測定法(RIA)などの免疫測定法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、およびBIAcoreアッセイ、または当業者に知られているその他の技術によって同定し得る(例えばインビボで抗体−抗原相互作用を判定するための様々なアッセイの考察については、Seymour et al,1995,Immunology−An Introduction for the Health Sciences,McGraw−Hill Book Company,Australia,pp.33−41を参照されたい)。IL−5ポリペプチドまたはその断片と免疫特異的に結合する抗体または抗体断片は、IL−5ポリペプチドのみと拮抗し、その他の活性とは顕著に拮抗しない。
【0037】
一実施形態では、IL−5Rポリペプチドは、ヒトIL−5R、その類似体、誘導体または断片である。ヒトIL−5Rのヌクレオチド配列は、GenBankデータベースに見られる(例えば受入番号M96652.1を参照されたい)。ヒトIL−5Rのアミノ酸配列は、GenBankデータベースに見られる(例えば受入番号Q01344を参照されたい)。これらの受入番号のそれぞれは、明示的に参照によって本明細書に援用する。
【0038】
いくつかの実施形態では、抗体製剤は、例えばヒト抗IL5R抗体などの抗IL5R抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗IL5R抗体は、配列番号2を含む軽鎖と、配列番号4を含む重鎖とを含む。いくつかのさらなる実施形態では、抗IL5R抗体は、配列番号1を含む軽鎖可変領域と、配列番号3を含む重鎖可変領域とを含む。さらなる実施形態では、抗IL5R抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。当業者は、Chothia定義、Abm定義またはその他のCDRを容易に同定し得る。
【0039】
一実施形態では、抗IL5R抗体は、ベンラリズマブである。本明細書で提供される方法で使用するためのベンラリズマブ(またはその断片)に関する情報は、その開示の内容全体を参照によって本明細書に援用する、米国特許出願公開第2010/0291073A1号明細書に見られる。
【0040】
本明細書の用法では、抗体の文脈で「アナログ」または「抗体アナログ」という用語は、第2の抗体、すなわち抗体と同様または同一の機能を持つが、必ずしも抗体と同様または同一のアミノ酸配列を含まず、または抗体と同様または同一の構造を有しない、抗体アナログを指す。同様のアミノ酸配列を有する抗体とは、以下の少なくとも1つを満たす抗体アナログを指す:(a)抗体のアミノ酸配列と、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有する抗体アナログ;(b)少なくとも5連続アミノ酸残基、少なくとも10連続アミノ酸残基、少なくとも15連続アミノ酸残基、少なくとも20連続アミノ酸残基、少なくとも25連続アミノ酸残基、少なくとも40連続アミノ酸残基、少なくとも50連続アミノ酸残基、少なくとも60連続アミノ残基、少なくとも70連続アミノ酸残基、少なくとも80連続アミノ酸残基、少なくとも90連続アミノ酸残基、少なくとも100連続アミノ酸残基、少なくとも125連続アミノ酸残基、または少なくとも150連続アミノ酸残基の抗体をコードするヌクレオチド配列と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる抗体アナログ;および(c)抗体をコードするヌクレオチド配列と、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一のヌクレオチド配列によってコードされる抗体アナログ。抗体と同様の構造がある抗体アナログとは、抗体と同様の二次、三次または四次構造を有するタンパク性作用物質を指す。抗体アナログまたは抗体の構造は、ペプチド配列決定、X線結晶構造解析、核磁気共鳴、円二色性、および結晶学的電子顕微鏡検査をはじめとするが、これに限定されるものではない、当業者に知られている方法によって判定し得る。
【0041】
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の%同一性を判定するために、最適比較目的で配列を整列させる(例えば第2のアミノ酸または核酸配列との最適アラインメントのために、第1のアミノ酸配列または核酸配列の中にギャップを導入し得る)。次に対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド配列部位にある、アミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められる場合、分子はその位置において同一である。2つの配列間の%同一性は、配列により共有される同一位置数の関数である(すなわち%同一性=同一重複位置数/位置総数×100%)。一実施形態では、2つの配列は長さが同じである。
【0042】
2つの配列間の%同一性の判定は、数学的アルゴリズムを使用しても達成し得る。2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの非限定的一例は、Karlin and Altschul,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.87:2264−2268に記載され、Karlin and Altschul,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:5873−5877に記載されるように修正されている、アルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、Altschul et ah,1990、J.Mol.Biol.215:403のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。本発明の核酸分子と相同的なヌクレオチド配列を得るために、例えばscore=100、wordlength=12のNBLASTヌクレオチドプログラムパラメータセットで、BLASTヌクレオチド検索を実施し得る。本発明のタンパク質分子と相同的なアミノ酸配列を得るために、例えばscore=−50、wordlength=3のXBLASTプログラムパラメータセットで、BLASTタンパク質検索を実施し得る。比較目的で、ギャップありアラインメントを得るために、Altschul et al,1997,Nucleic Acids Res.25:3389−3402に記載されるGapped BLASTを利用し得る。代案としては、PSI−BLASTを使用して、分子間の距離関係(Id)を検出する反復サーチを実施し得る。BLAST、Gapped BLAST、およびPSI−BLASTプログラムを使用する場合、それぞれのプログラムの(例えばXBLASTおよびNBLASTの)デフォルトパラメータを使用し得る(例えばNCBIウェブサイトを参照されたい)。配列比較のために利用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定的例は、Myers and Miller,1988,CABIOS 4:11−17のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを使用する場合、PAM 120 weight residue table、gap length penalty=12、およびgap penalty=4を使用し得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、抗体製剤中の抗体は、抗体製剤に添加される前に精製される。「単離する」および「精製する」という用語は、例えば宿主細胞タンパク質を含む組成物など、抗体がその中にある組成物中の不純物またはその他の汚染物質からの抗体の分離を指す。いくつかの実施形態では、抗体から、少なくとも50%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、または99.9%(w/w)の不純物が浄化される。例えばいくつかの実施形態では、例えば抗IL5R抗体などの抗体の精製は、組成物中に元々存在する、99%(w/w)の宿主細胞タンパク質からの抗体の分離を含むであろう。
【0044】
いくつかの実施形態では、「単離する」、および「精製する」という用語は、例えば世界保健機関または米国食品医薬品局など、政府機関のガイドラインに一致する程度に、例えば抗IL5R抗体などの抗体を組成物中の不純物またはその他の汚染物質から分離することを指す。
【0045】
抗体を精製する方法は、当業者に知られている。精製を実施するための適切な技術としては、アフィニティクロマトグラフィー、疎水性相互作用、イオン交換(カチオン交換クロマトグラフィーまたは混合モードクロマトグラフィーなど)などの様々なタイプのクロマトグラフィー、および濾過が挙げられる。
【0046】
アフィニティクロマトグラフィーは、それによって抗体が、その特異的結合特性のために抗体に対する親和性リガンドと結合する、分離法を指す。機能的親和性リガンドは、抗体を含む組成物がリガンドおよび固体担体の上を通過すると、リガンドに対する特異的結合親和性を有する抗体がリガンドに吸着され、1つまたは複数のその他の不純物は吸着されずに(またはより低い親和力で結合して)、抗体から分離されるように、固体または半固体担体上に固定化し得る。典型的に結合しない(または十分に結合しない)不純物の例としては、処理関連不純物(例えば、宿主細胞タンパク質、DNA、培地成分)およびいくつかの生成物関連不純物(例えば抗体断片)が挙げられる。いくつかの実施形態では、吸着された抗体をリガンドおよび担体から除去する前に、リガンドを含む固体担体を緩衝液で1回または複数回洗浄して、追加的な不純物を除去する。1つまたは複数の不純物が除去された後、吸着された抗体をリガンドおよび担体から除去(溶出)して、最初の組成物からの抗体の単離をもたらし得る。リガンドおよび担体から抗体を除去する方法は、リガンドに依存して、当業者に知られており、例えば、pH、添加またはカオトロピック剤または変性剤、あるいは市販の溶出緩衝液の添加などの環境変化が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗体組成物に対して、2つ以上の親和性精製処理を用い得る。プロテインAおよびプロテインG(およびそれらの組み合わせ)をはじめとする様々な親和性リガンドが、当該技術分野で公知である。固定化リガンドは、市販される。例えば、プロテインAアフィニティシステムとしては、MabSelect、MabSelect SuRe、MabSelect Xtra、MabSelect SuRe LX、Sepaharose CL−4B、ProSep vA、ProSep vA Ultra、およびCeramic HyperDが挙げられる。
【0047】
イオン交換クロマトグラフィーとしては、カチオン交換クロマトグラフィーおよび混合クロマトグラフィーが挙げられる。カチオン交換クロマトグラフィーは、カチオン交換マトリックスを使用して、電荷の差に基づいて、抗体および数種の不純物を分離させ得る任意の方法を指す。カチオン交換マトリックスは、通常は、共有結合した負荷電基を含む。弱いまたは強力なカチオン交換樹脂を用いてもよい。通常、強力なカチオン交換樹脂は、pH次第でスルホン酸またはスルホネート基を含む、担持される有機基を含む。弱いカチオン交換体樹脂は、通常、pH次第でカルボン酸またはカルボキシレート基を含む、担持される有機基を含む。特定の実施形態では、追加的な結合機構、ならびに例えば水素結合相互作用および疎水性相互作用の1つまたは複数のイオン性相互作用を組み込んだ、マルチモーダルカチオン交換樹脂を利用し得る。適切なカチオン交換樹脂の例は、当該技術分野で周知であり、フラクトゲル、カルボキシメチル(CM)、スルホエチル(SE)、スルホプロピル(SP)、ホスフェート(P)およびスルホネート(S)、PROPAC WCX−10(商標)(Dionex)、Capto S、S−セファロースFF、フラクトゲルEMD SO
3M、Toyopearl Megacap II SP 550C、Poros 50 HS、およびSP−セファロースマトリックスが挙げられるが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、組成物に対して、2つ以上のカチオン交換クロマトグラフィー処理を用い得る。
【0048】
混合モードクロマトグラフィーは、不純物(例えば、宿主細胞タンパク質、DNAなどの処理関連不純物、および/または内在性または偶発性ウイルス)からの分析物の分離を達成するために、固定層と分析物間の相互作用の2つ以上の形態を利用する方法を指す。適切なアニオン交換マトリックスの例は、当該技術分野で公知であり、Capto Adhere、Sartobind Q、Natrix Q、Chromasorb Q、およびMustang Qが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0049】
いくつかの実施形態では、追加的な濾過ステップを利用して、不純物を除去し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ナノ濾過または限外濾過が使用される。ナノ濾過は、例えば、75nm未満、50nm未満、および未満15nmでさえある孔径を有するマトリックスを通して、組成物を通過させ、例えばウイルスなどの不純物を抗体から分離するステップを含む。用い得る市販のナノフィルターおよびウルトラフィルターは、Millipore Corporation(Billerica,Mass.、例えば、Viresolve ProおよびViresolve Pro+)、PallCorporation(East Hills,N.Y.)、GE Healthcare Sciences(Piscataway,N.J.)、およびSartorius Corporation(Goettingen,Germany)などの様々な供給業者によって製造される。
【0050】
いくつかの実施形態では、例えば、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む、抗IL5Rなどの本発明の抗体は、1mg/ml〜200mg/ml、2mg/ml〜100mg/ml、2mg/ml〜30mg/ml、2mg/ml〜25mg/ml、2mg/ml〜20mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、11mg/ml、12mg/ml、13mg/ml、14mg/ml、15mg/ml、16mg/ml、17mg/ml、18mg/ml、19mg/ml、または20mg/mlで存在する。いくつかの実施形態では、例えば抗IL5Rなどの本発明の抗体は、約20mg/ml、25mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、45mg/ml、50mg/ml、55mg/ml、60mg/ml、65mg/ml、70mg/ml、75mg/ml、80mg/ml、85mg/ml、90mg/ml、95mg/ml、または100mg/mlの濃度である。
【0051】
本発明の抗体製剤は、非荷電賦形剤を含み得る。賦形剤という用語は、本明細書に記載される抗体と共に製剤化される、薬理学的不活性物質を指す。いくつかの実施形態では、賦形剤は、変性防止を促進し、または別の方法での抗体の安定化を促進し得る。医薬組成物で使用してもよい適切な賦形剤は、当該技術分野で公知である。例は、例えば手引き書Gennaro,Alfonso R.:“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1990にある。いくつかの実施形態では、賦形剤は、「非荷電」賦形剤であり、すなわち、陽性「+」または陰性「−」電荷のどちらも保有しない賦形剤である。いくつかの実施形態では、賦形剤は、フルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、乳糖、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、トレハロース、ソルビトール、エリスリトール、イソモルト、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、グリセロール、ラクチトール、ヒドロキシエチルデンプン、水溶性グルカンからなる群から選択される。
【0052】
いくつかの実施形態では、非荷電賦形剤は、抗体製剤中に、約1mM〜約1M、約2mM〜約500mM、約5mM〜約400mM、約10mM〜約300mMまたは約20mM〜約250mMで存在する。いくつかの実施形態では、非荷電賦形剤は、抗体製剤中に、約5mM〜約150mM、約10mM〜約100mM、約20mM〜約80mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM、または約70mMで存在し、例えば抗体製剤は、2〜20mg/mLの抗体を含む。一実施形態では、非荷電賦形剤は、抗体製剤中に約50mMで存在する。いくつかの実施形態では、非荷電賦形剤は、抗体製剤中に、約50mM〜約800mM、約100mM〜約500mM、約150mM〜約400mM、約200mM、約400mM、約200mM、約300mM、または約250mMで存在し、例えば、抗体製剤は、20〜100mg/mLの抗体を含む。一実施形態では、非荷電賦形剤は、抗体製剤中に約250mMで存在する。
【0053】
いくつかの実施形態では、非荷電賦形剤は、式、
【化1】
によって表わされるトレハロースである。
【0054】
いくつかの実施形態では、トレハロースは、抗体製剤中に、約1mM〜約1M、約2mM〜約500mM、約5mM〜約400mM、約10mM〜約300mMまたは約20mM〜約250mMで存在する。いくつかの実施形態では、トレハロースは、抗体製剤中に、約5mM〜約150mM、約10mM〜約100mM、約20mM〜約80mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM、または約70mMで存在し、例えば、抗体製剤は、2〜20mg/mLの抗体を含む。一実施形態では、トレハロースは、抗体製剤中に約50mMで存在する。いくつかの実施形態では、トレハロースは、抗体製剤中に、約50mM〜約800mM、約100mM〜約500mM、約150mM〜約400mM、約200mM、約400mM、約200mM、約300mM、または約250mMで存在し、例えば、抗体製剤は、20〜100mg/mLの抗体を含む。一実施形態では、トレハロースは、抗体製剤中に約250mMで存在する。
【0055】
本発明の抗体製剤は、アルギニンを含む。アルギニンは、式、
【化2】
によって表わし得る、条件的非必須アミノ酸である。本明細書の用法では、アルギニンは、アルギニンの遊離塩基形態、ならびにあらゆる全てのそれらの塩を含み得る。いくつかの実施形態では、アルギニンは、その薬学的に許容可能な塩を含む。例えばアルギニンは、塩酸アルギニンを含むであろう。本明細書の用法では、アルギニンは、全ての鏡像異性体(例えばL−アルギニンおよびS−アルギニン)、および鏡像異性体の任意の組み合わせ(例えば50%のL−アルギニンと50%のS−アルギニン;90%〜100%のL−アルギニンと10%〜0%のS−アルギニンなど)もまた含む。いくつかの実施形態では、「アルギニン」という用語は、99%を超えるL−アルギニンおよび1%未満のS−アルギニンを含む。いくつかの実施形態では、「アルギニン」という用語は、鏡像異性的に純粋なL−アルギニンを含む。いくつかの実施形態では、アルギニンは製薬等級のアルギニンである。
【0056】
様々な濃度のアルギニンが、抗体製剤中に存在し得る。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、50mMを超えるアルギニン、75mMを超えるアルギニン、100mMを超えるアルギニン、125mMを超えるアルギニン、130mMを超えるアルギニン、150mMを超えるアルギニン、175mMを超えるアルギニン、または200mMを超えるアルギニンを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、抗体製剤は、最大で800mMのアルギニン、最大で600mMのアルギニン、最大で400mMのアルギニン、最大で200mMのアルギニン、最大で150mMのアルギニン、最大で130mMのアルギニン、または最大で125mMのアルギニンを含む。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、50mM〜300mM、75mM〜250mM、100mM〜200mM、110mM〜160mM、120mM〜150mM、または約125mMのアルギニンを含む。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、125mMのアルギニンを含む。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、130mMのアルギニンを含む。いくつかの実施形態では、アルギニンは、製剤の浸透圧を保つのに十分な量で添加される。いくつかの実施形態では、アルギニンは、高張性溶液を得るのに十分な量で添加される。本出願人らは、いくつかの実施形態では、抗体製剤のイオン強度の増大が、安定性増大と粒子形成低下を提供することを見出した。
【0058】
本明細書に記載される抗体製剤は、様々な粘度を有し得る。抗体製剤の粘度測定法は当業者に知られており、例えばレオメータ(例えば50mm、40mmまたは20mmプレートアクセサリー付きAnton Paar MCR301レオメータ)が挙げられる。本発明のいくつかの実施形態では、粘度は、毎秒剪断速度1000の高剪断限界で報告された。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、20センチポアズ(cP)未満、18cP未満、15cP未満、13cP未満、または11cP未満の粘度を有する。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、13cP未満の粘度を有する。当業者は、粘度が温度に左右され、したがって特に断りのない限り、本明細書で提供される粘度は、特に断りのない限り25℃で測定されることを理解するであろう。
【0059】
「射出力」という用語は、抗体製剤を針を通過させるのに必要な圧力(ニュートン単位)である。射出力は、抗体製剤を対象に投与する際に、抗体製剤によって提供される抵抗性と相関する。射出力は、投与する針のゲージ、ならびに温度に左右される。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、27Ga肉薄PFS針を通過する際に、15N、12N、10N、または8N未満の射出力を有する。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、29Ga肉薄PFS針を通過する際に、15N、12N、10N、または8N未満の射出力を有する。
【0060】
抗体製剤は、異なるモル浸透圧濃度を有し得る。抗体製剤のモル浸透圧濃度の測定法は、当業者に知られており、例えば浸透圧計(例えばAdvanced Instrument Inc 2020凝固点降下浸透圧計)が挙げられる。いくつかの実施形態では、製剤は、200〜600mosm/kg、260〜500mosm/kg、または300〜450mosm/kgのモル浸透圧濃度を有する。
【0061】
本発明の抗体製剤は、様々なpHレベルを有し得る。いくつかの実施形態では、抗体製剤のpHは、4〜7、4.5〜6.5、または5〜6である。いくつかの実施形態では、抗体製剤のpHは5.0である。いくつかの実施形態では、抗体製剤のpHは6.0である。いくつかの実施形態では、抗体製剤のpHは≧7.0である。適切な緩衝液の添加をはじめとするが、これに限定されるものではない様々な手段を利用して、所望のpHレベルを得てもよい。
【0062】
抗体製剤には、様々なその他の成分が含まれ得る。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、緩衝液(例えばヒスチジン、酢酸、リン酸またはクエン酸緩衝液)、界面活性剤(例えばポリソルベート)、および/または安定剤(例えばヒトアルブミン)などを含み得る。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、例えば、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、スクロース、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミンなどの塩または電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、およびポリエチレングリコールをはじめとする、薬学的に許容可能な担体を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート、ドデシル硫酸ナトリウム、および非イオン性界面活性剤からなる群から選択される。
【0063】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、式、
【化3】
によって表わされるポリソルベート20、すなわち、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートである。ポリソルベート20(PS−20)は、例えば、Alkest(登録商標)TW20(Oxiteno,Brazil)、およびTween(登録商標)20(Pierce,Rockford IL)などのいくつかの商業的供給業者から市販される。本出願人らは、抗体製剤中のPS−20の濃度を注意深く制御することで、抗体が追加的な安定性を有して、長期間保存時における粒子形成量が低下することを見出した。
【0064】
いくつかの実施形態では、PS−20は、抗体製剤の約0.001%〜約0.02%、約0.002%〜約0.015%、約0.002%〜約0.01%、約0.004%〜約0.009%、約0.005%〜約0.008%、約0.007%、または約0.006%である。
【0065】
いくつかの実施形態では、抗体製剤は、ヒスチジンをさらに含む。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、約1mM〜約100mM、約5mM〜約80mMのヒスチジン、約10mM〜約60mMヒスチジン、約15mM〜約50mMのヒスチジン、約15mM〜約30mMのヒスチジン、または約20mMのヒスチジンを含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、抗体製剤から様々な成分を省くことができ、または抗体製剤は、その成分を「実質的に含まない」。「実質的に含まない」という用語は、本明細書の用法では、0.01%未満、0.001%未満、0.0005%未満、0.0003%未満、または0.0001%未満の指定された成分を含有する、抗体製剤を指す。
【0067】
いくつかの実施形態では、抗体製剤は糖類を実質的に含まず、すなわち抗体製剤、前記製剤は、0.01%未満、0.001%未満、0.0005%未満、0.0003%未満、または0.0001%未満の糖類を含有する。「糖類」という用語は、本明細書の用法では、多価アルコール誘導体である分子のクラスを指す。糖類は、通常、炭水化物と称され、例えば、単糖類、二糖類、および多糖類などの異なる量の糖(糖類)単位を含有してもよい。いくつかの実施形態では、製剤は、二糖類を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤は、還元糖、非還元糖、または糖アルコールを実質的に含まない。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、ヒスチジン、プロリン、グルタミン酸、ソルビトール、二価の金属イオン、および/またはコハク酸を実質的に含まない。
【0068】
いくつかの実施形態では、本発明は、(a)約2mg/mL〜約20mg/mLの抗体、(b)約0.002%〜約0.01%のポリソルベート20、(c)約40mM〜約60mMのトレハロース、および(d)約110〜約150mMのヒスチジンを含む、安定した水性抗体製剤を対象とし、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約20mMのヒスチジンをさらに含む。一実施形態では、本発明は、(a)約2mg/mL〜約20mg/mLの抗体、(b)約0.006%のポリソルベート20、(c)約50mMのトレハロース、(d)約130mMのL−アルギニン、および(e)約20mMのヒスチジンを含む、安定した水性抗体製剤を対象とし、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、本発明は、(a)約20mg/mL〜約100mg/mLの抗体、(b)約0.002%〜約0.01%のポリソルベート20、(c)約200mM〜約300mMのトレハロース、および(d)約20mMのヒスチジンを含む、安定した水性抗体製剤を対象とし、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。一実施形態では、本発明は、(a)約20mg/mL〜約100mg/mLの抗体、(b)約0.006%のポリソルベート20、(c)約250mMのトレハロース、および(d)約20mMのヒスチジンを含む、安定した水性抗体製剤を対象とし、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。別の実施形態では、本発明は、(a)約30mg/mLの抗体、(b)約0.006%のポリソルベート20、(c)約250mMのトレハロース、および(d)約20mMのヒスチジンを含む、安定した水性抗体製剤を対象とし、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。
【0070】
本発明の抗体製剤は、水溶液である。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、凍結温度にさらされず、および/または冷凍されず、すなわち、それらは液体状態のままであった。いくつかの実施形態では、抗体製剤中の抗体は凍結乾燥されなかった。
【0071】
本明細書の用法では、「安定性」という用語は、一般に、タンパク質、ペプチド、または別の生理活性高分子などの生物活性作用物質の完全性維持、または分解、変性、凝集またはアンフォールディングの最小化に関連する。本明細書の用法では,「改善された安定性」とは、一般に、分解、変性、凝集またはアンフォールディングをもたらすことが知られている条件下で、関心のあるタンパク質(例えば抗IL5(YTE)などの抗体)、ペプチドまたは別の生理活性高分子が、対照タンパク質、ペプチドまたは別の生理活性高分子と比較して、より大きな安定性を維持することを意味する。
【0072】
いくつかの実施形態では、安定性とは、低から検出不能レベルの粒子形成を有する抗体製剤を指す。「低から検出不能レベルの粒子形成」という語句は、本明細書の用法では、HIAC分析または視覚的分析による判定で、30個未満の粒子/mL、20個未満の粒子/ml、20個未満の粒子/ml、15個未満の粒子/ml、10個未満の粒子/ml、5個未満の粒子/ml、2個未満の粒子/mlまたは1個未満の粒子/mlを含有するサンプルを指す。いくつかの実施形態では、HIAC分析または視覚的分析のいずれによっても、抗体製剤中に粒子は検出されない。
【0073】
いくつかの実施形態では、安定性は、抗体断片化の低下を指す。「低から検出不能レベルの断片化」という用語は、本明細書の用法では、例えば、HPSECによる判定で単一ピーク内に、または還元キャピラリーゲル電気泳動(rCGE)による判定で2ピーク(例えば重鎖および軽鎖)(またはサブユニット内の全てのピーク)内に、非分解抗体またはその非分解断片に相当する、80%、85%、90%、95%、98%または99%以上の総タンパク質を含有し、5%を超え、4%を超え、3%を超え、2%を超え、1%を超え、または0.5%を超える総タンパク質をそれぞれ有する、その他の単一ピークを含有しないサンプルを指す。「還元キャピラリーゲル電気泳動」という用語は、本明細書の用法では、抗体中のジスルフィド結合を還元するのに十分な還元条件下における、キャピラリーゲル電気泳動を指す。
【0074】
当業者は、タンパク質の安定性が、製剤組成に加えて、その他の特性に左右されることを理解するであろう。例えば安定性は、温度、圧力、湿度、pH、および外的形態の放射線によって影響され得る。したがって、特に断りのない限り、本明細書で言及される安定性は、5℃、1気圧、50%相対湿度、pH6.0、および標準的バックグラウンドレベルの放射線で測定されると見なされる。抗体製剤中の抗体安定性は、様々な手段によって判定し得る。いくつかの実施形態では、抗体安定性は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって判定される。SECは、それらの流体力学的サイズ、拡散係数、および表面特性の組み合わせに基づいて、分析物(例えばタンパク質および抗体などの巨大分子)を分離する。したがって例えばSECは、様々な変性状態にある抗体および/または分解された抗体から、天然の三次元立体構造にある抗体を分離し得る。SECでは、固定層は、一般に、ガラスまたは鋼鉄カラム内の緻密な三次元マトリックスに充填された、不活性粒子から構成される。移動相は、純水、水性緩衝液、有機溶剤、これらの混合物、またはその他の溶媒であり得る。固定相粒子は、特定サイズ未満の化学種のみを進入させる小さな孔および/またはチャンネルを有する。したがって大型粒子は、これらの孔およびチャンネルから排除されるが、より小型の粒子は、流動移動相から取り出される。粒子が、固定相孔内で固定化状態にある時間は、それらが孔内にどの程度浸透したかに、ある程度左右される。移動相流から取り出されることで、それらのカラムからの溶出にはより長い時間がかかり、サイズの違いに基づいて粒子間の分離がもたらされる。
【0075】
いくつかの実施形態では、SECを同定技術と組み合わせて、タンパク質またはその断片を同定し、または特性解析する。タンパク質同定および特性解析は、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などのクロマトグラフィー技術、免疫測定法、電気泳動、紫外線/可視/赤外線分光法、ラマン分光法、表面増強ラマン分光法、質量分光分析、ガスクロマトグラフィー、静的光散乱(SLS)、フーリエ変換赤外線分光法(FTIR)、円二色性(CD)、尿素誘導タンパク質アンフォールディング技術、内在性トリプトファン蛍光、示差走査熱量測定、および/またはANSタンパク質結合をはじめとするがこれに限定されない、様々な技術によって達成し得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、タンパク質同定は、高圧液体クロマトグラフィーによって達成される。HPLC実施するための様々な手段および装置が、当業者に知られている。一般にHPLCは、その中で分離が起きる分離カラムに、関心のあるタンパク質を含有する液体溶媒を装填することを伴う。HPLC分離カラムは、固体粒子(例えばシリカ、ポリマー、または吸着材)で充填され、サンプル混合物は、カラム粒子との相互作用に伴って、化合物に分離される。HPLC分離は、液体溶媒条件(例えば圧力、温度)、サンプル混合物と液体溶媒との化学相互作用(例えば疎水性、プロトン付加など)、およびサンプル混合物と分離カラム内に充填された固体粒子との化学相互作用(例えばリガンド親和性、イオン交換など)の影響を受ける。
【0077】
いくつかの実施形態では、SECおよびタンパク質の同定は、同一装置内で、または同時に行われる。例えばSECとHPLCは併用し得、SE−HPLCと称されることが多い。
【0078】
いくつかの実施形態では、水性製剤は、約2mg/mL〜約100mg/mLの抗体を含み、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、前記製剤は、約40℃で少なくとも1ヶ月間の保存時に安定している。いくつかの実施形態では、製剤は、約25℃で少なくとも3ヶ月間の保存時に安定している。いくつかの実施形態では、製剤は、約5℃で少なくとも6ヶ月間の保存時に安定している。いくつかの実施形態では、製剤は、約5℃で少なくとも12ヶ月間の保存時に安定している。いくつかの実施形態では、製剤は、約5℃で少なくとも18ヶ月間の保存時に安定している。いくつかの実施形態では、製剤は、約5℃で少なくとも24ヶ月、または36ヶ月間の保存時に安定している。
【0079】
「安定した」という用語は相対的であり得、絶対的でない。したがって、いくつかの実施形態では、抗体を2℃〜8℃で6ヶ月間保存した際に、SEC HPLCによる測定で、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満の抗体が、分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合に、抗体は安定している。いくつかの実施形態では、抗体を2℃〜8℃で12ヶ月間保存した際に、SEC HPLCによる測定で、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満の抗体が、分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合に、抗体は安定している。いくつかの実施形態では、抗体を2℃〜8℃で18ヶ月間保存した際に、SEC HPLCによる測定で、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満の抗体が、分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合に、抗体製剤中の抗体は安定している。いくつかの実施形態では、抗体を2℃〜8℃で24ヶ月間保存した際に、SEC HPLCによる測定で、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満の抗体が、分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合に、抗体製剤中の抗体は安定している。
【0080】
いくつかの実施形態では、抗体を23℃〜27℃で3ヶ月間保存した際に、SEC HPLCによる測定で、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満の抗体が、分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合に、抗体は安定している。いくつかの実施形態では、抗体を23℃〜27℃で6ヶ月間保存した際に、SEC HPLCによる測定で、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満の抗体が、分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合に、抗体は安定している。いくつかの実施形態では、抗体を23℃〜27℃で12ヶ月間保存した際に、SEC HPLCによる測定で、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満の抗体が、分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合に、抗体は安定している。いくつかの実施形態では、抗体を23℃〜27℃で24ヶ月間保存した際に、SEC HPLCによる測定で、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満の抗体が、分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合に、抗体は安定している。
【0081】
いくつかの実施形態では、抗体を40℃で保存した際に、SEC HPLCによる測定で、1ヶ月あたり、6%未満、4%未満、3%未満、2%未満または1%未満の抗体が、分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合に、抗体は安定している。いくつかの実施形態では、抗体を5℃で保存した際に、SEC HPLCによる測定で、1ヶ月あたり、6%未満、4%未満、3%未満、2%未満または1%未満の抗体が、分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合に、抗体は安定している。
【0082】
いくつかの実施形態では、8週間、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月または24ヶ月間にわたり、例えばELISAなどの当業者に知られている抗体結合アッセイによる測定で、抗体が、参照抗体と比較して、製剤の抗体(その抗体断片を含む)の結合活性に、非常にわずかまたは皆無の低下を示す場合に、本発明の抗体製剤は安定していると見なし得る。いくつかの実施形態では、約40℃で少なくとも1ヶ月間保存された抗体は、保存されていない参照抗体と比較して、IL−5受容体ポリペプチドとの結合能力の少なくとも80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を保つ。いくつかの実施形態では、約5℃で少なくとも6ヶ月間保存された抗体は、保存されていない参照抗体と比較して、IL−5受容体ポリペプチドとの結合能力の少なくとも80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を保つ。いくつかの実施形態では、約40℃で少なくとも1ヶ月間保存された抗体は、保存されていない参照抗体と比較して、IL−5受容体ポリペプチドとの結合能力の少なくとも95%を保つ。いくつかの実施形態では、約5℃で少なくとも6ヶ月間保存された抗体は、保存されていない参照抗体と比較して、IL−5受容体ポリペプチドとの結合能力の少なくとも95%を保つ。
【0083】
抗体製剤は、低から検出不能レベルの抗体凝集を提供し得る。「低から検出不能レベルの凝集」という語句は、本明細書の用法では、高性能サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)または静的光散乱(SLS)技術による判定で、重量基準で約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、および約0.5%以下のタンパク質凝集を含有するサンプルを指す。いくつかの実施形態では、約40℃で少なくとも4週間の保存時に、HPSECによる判定による判定で、2%未満の抗体が凝集を形成する。いくつかの実施形態では、約5°で少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも15ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、または少なくとも36ヶ月間の保存時に、HPSECによる判定で、2%未満の抗体が凝集を形成する。
【0084】
本出願人らは、本明細書で提供される抗体製剤が、目視検査、マイクロフローイメージング(MFI)、またはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による判定で、粒子形成の大幅低下をもたらすことを見出した。いくつかの実施形態では、製剤は、約40℃で少なくとも1ヶ月間の保存時に、目視検査による判定で、粒子を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤は、約5℃で少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも15ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、または少なくとも36ヶ月間の保存時に、目視検査による判定で粒子を実質的に含まない。
【0085】
いくつかの実施形態では、本発明の抗体製剤は、製薬目的で使用し得る。製薬用途で使用される抗体は、概して、特に細胞タンパク質汚染物質、細胞DNA汚染物質、ウイルスおよびその他の伝染性作用物質をはじめとする、細胞培養物からの汚染物質に関して、高レベルの純度を有しなくてはならない。“WHO Requirements for the use of animal cells as in vitro substrates for the production of biologicals:Requirements for Biological Substances No.50.”No.878.Annex 1,1998を参照されたい。汚染物質に対する懸念に応えて、世界保健機関(WHO)は、様々な汚染物質のレベルに対する制限を設けた。例えばWHOは、タンパク質製品の投与あたり10ng未満のDNA許容限度を推奨する。同様に米国食品医薬品局(FDA)は、0.5pg/mgタンパク質以下のDNA許容限度を設定する。したがっていくつかの実施形態では、本発明は、例えば米国食品医薬品局および/または世界保健機関などの1つまたは複数の政府機関によって規定される、汚染物質制限を満たし、またはそれに優る、抗体製剤を対象とする。
【0086】
いくつかの実施形態では、抗本明細書に記載される抗体製剤は、薬学的に許容可能である。「薬学的に許容可能」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性またはその他の合併症なしに、ヒトおよび動物組織との接触に適する、妥当な利点/リスク比が釣り合った抗体製剤を指す。
【0087】
抗体製剤の純度は、変動し得る。いくつかの実施形態では、例えば抗IL5抗体などの関心のある治療用抗体は、抗体製剤中に存在する全ポリペプチドの90%(wt/wt)を超える。いくつかの実施形態では、例えば抗IL5などの関心のある治療用抗体は、抗体製剤中に存在する全ポリペプチドの95%(wt/wt)、98%(wt/wt)、99%(wt/wt)、99.5%(wt/wt)または99.9%(wt/wt)を超える。
【0088】
本明細書で提供されるような製剤は、対象の治療に適し得る。本明細書の用法では、「対象」は、「患者」と同義的に使用し得、ヒト、ならびに飼育動物および家畜、動物園動物、スポーツ用動物、およびペットなどであるが、これに限定されるものではない、非ヒトをはじめとする、哺乳類に分類されるあらゆる動物を指す。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトを指す。
【0089】
「治療する」および「治療」という用語は、治療処置と、予防的、保全的、または防止的手段との双方を指し、目的は、望まれない生理学的な病状、障害または疾患を予防または緩和(軽減)し、あるいは有益なまたは所望の臨床結果を得ることである。「治療する(treat)」、「治療(treatment)」、および「治療する(treating)」という用語は、(1つまたは複数の予防薬または治療薬の投与をはじめとするが、これに限定されるものではない)1つまたは複数の治療法の実施から得られる、このような疾患または障害(例えばIL−5ポリペプチドの異常な発現および/または活性によって特徴付けられる疾患または障害、IL−5ポリペプチドまたはその1つもしくは複数のサブユニットの異常な発現および/または活性によって特徴付けられる疾患または障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染症)の進行、重症度、および/または持続期間の低下または改善、あるいはその1つまたは複数の症状の改善を指す。特定の実施形態では、このような用語は、好酸球媒介性炎症に伴う炎症の低下を指す。別の実施形態では、このような用語は、肥満細胞による炎症性作用物質放出の低下、またはこのような炎症性作用物質による生物学的効果の低下を指す。別の実施形態では、このような用語は、過剰増殖性細胞(例えばがん性細胞)の増殖、形成および/または増加の低下を指す。なおも別の実施形態では、このような用語は、気道、皮膚、胃腸管、またはそれらの組み合わせの炎症の低下を指す。なおも別の実施形態では、このような用語は、喘息に伴う症状の低減を指す。いくつかの実施形態では、このような用語は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に伴う症状の低減を指す。
【0090】
本発明の抗体製剤は、様々な手段を通じて対象に投与し得る。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、例えば、吸入(例えば、粉末またはエアゾールスプレー)、経粘膜、静脈内、皮下、または筋肉内投与を通じた非経口投与に適する。いくつかの実施形態では、製剤は注射用製剤である。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるような抗体製剤のいずれかを含む、密封容器を対象とする。
【0091】
いくつかの態様では、本発明は様々な医薬品剤形を対象とする。様々な剤形が、本明細書で提供される製剤に適用し得る。例えばPharmaceutical Dosage Form:Parenteral Medications,Volume 1,2nd Editionを参照されたい。一実施形態では、本発明の医薬単位用量は、例えば、バイアルまたはシリンジなどの適切な容器内の抗体製剤を構成する。一実施形態では、本発明の医薬単位用量は、静脈内、皮下、または筋肉内に送達される抗体製剤を構成する。別の実施形態では、本発明の医薬単位用量は、煙霧剤で送達される抗体製剤を構成する。特定の実施形態では、本発明の医薬単位用量は、皮下送達される抗体製剤を構成する。別の実施形態では、本発明の医薬単位用量は、煙霧剤で送達される抗体製剤を構成する。さらなる実施形態では、本発明の医薬単位用量は、鼻腔内投与される抗体製剤を構成する。
【0092】
本発明の抗体製剤は、単回使用のための水性抗体製剤のアリコートを含有するバイアルを調製することで、単位用量剤形として調製し得る。例えば、バイアルあたりの単位用量は、約0.1mg/ml〜約300mg/mlの範囲にわたるIL5受容体に特異的に結合する抗体を、1ml、2ml、3ml、4ml、5ml、6ml、7ml、8ml、9ml、10ml、15ml、または20mlの異なる濃度で含有してもよい。必要ならば、これらの製剤は、各バイアルに無菌希釈剤を添加することで、所望の濃度に調節し得る。特定の実施形態では、本発明の水性抗体製剤は、約2mg/mL〜約20mg/mLの抗体、約0.002%〜約0.01%ポリソルベート20、約40mM〜約60mMトレハロース、および約110mM〜約150mMのL−アルギニンを含有する無菌液体として、単回用量バイアルに製剤化され、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。別の特定の実施形態では、本発明の水性抗体製剤は、約20mg/mL〜約100mg/mLの抗体、約0.002%〜約0.01%ポリソルベート20、および約200mM〜約300mMのトレハロースを含有する無菌液体として、単回用量バイアルに製剤化され、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。一実施形態では、本発明の抗体は、3cc USP I型ホウケイ酸琥珀色バイアル(West Pharmaceutical Servicesパーツ番号6800−0675)内に2〜20mg/mlで提供される。別の実施形態では、本発明の抗体は、3cc USP I型ホウケイ酸琥珀色バイアル内に20〜100mg/mlで提供される。目的充填容量は、1.2mLである。
【0093】
本発明の抗体製剤は、単回使用のための水性抗体製剤のアリコートを含有するプレフィルドシリンジを調製することで、単位用量剤形として調製し得る。例えば、プレフィルドシリンジあたりの単位用量は、約2mg/ml〜約100mg/mlの範囲にわたるIL−5ポリペプチドに特異的に結合する抗体を、0.1ml、0.2ml、0.3ml、0.4ml、0.5ml、0.6ml、0.7ml、0.8ml、0.9ml、1ml、2ml、3ml、4ml、5ml、6ml、7ml、8ml、9ml、10ml、15ml、または20mlの異なる濃度で含有してもよい。特定の実施形態では、本発明の水性抗体製剤は、約2mg/mL〜約20mg/mLの抗体、約0.002%〜約0.01%ポリソルベート20、約40mM〜約60mMトレハロース、および約110mM〜約150mMのL−アルギニンを含有する無菌液体として、単回用量プレフィルドシリンジに製剤化され、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。別の特定の実施形態では、本発明の水性抗体製剤は、約20mg/mL〜約100mg/mLの抗体、約0.002%〜約0.01%ポリソルベート20、および約200mM〜約300mMのトレハロースを含有する無菌液体として、単回用量プレフィルドシリンジに製剤化され、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。
【0094】
様々な用量が、単回使用で投与され得る。例えば、いくつかの実施形態では、単回用量で、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1.0mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、1.6mg、1.7mg、1.8mg、1.9mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、12mg、14mg、16mg、18mg、20mg、30mg、40mg、50mg、70mg、または100mgの抗体を投与し得る。
【0095】
様々なタイプのシリンジを使用し得る。シリンジは、対象への投与の例えば1週間、1日、6時間、3時間、2時間、1時間、30分間、20分間、または10分間未満前など、対象への投与直前に抗体製剤で充填し得る。いくつかの実施形態では、シリンジは、小売販売の時点で、または対象の治療が行われる施設によって、抗体製剤で充填される。いくつかの実施形態では、シリンジはあらかじめ充填され、例えば、シリンジは、対象への投与の1日、2日、4日、1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、3年、または4年以上前などに、抗体製剤で充填される。いくつかの実施形態では、プレフィルドシリンジは、例えば、27G通常針、27G肉薄針、29G通常針、または29G肉薄針などの針を含む。いくつかの実施形態では、プレフィルドシリンジは、29G肉薄針を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、所望の対象への投与に適する任意のシリンジを使用し得る。いくつかの実施形態では、シリンジは、プラスチックシリンジまたはガラスシリンジである。いくつかの実施形態では、シリンジは、タングステンを実質的に含まない材料からできている。いくつかの実施形態では、シリンジは、シリコーンで被覆される。いくつかの実施形態では、プレフィルドシリンジは、フルオロポリマー樹脂ディスクを有するプランジャーを含む。シリンジの例としては、Becton Dickinson Hypak 1mL longプランジャーストッパー4023付きHypak(商標)for Biotech 1ml Long(Becton Dickinson);Flurotec Daikyo Si1000(カタログ番号47271919);C3Pin(ロット番号E912701);Hypak(商標)for Biotech 0.8mgシリコーン油(Becton Dickinson);およびCZシリンジ(West、カタログ番号19550807)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0097】
本発明の水性抗体製剤は、滅菌濾過、放射線などをはじめとする様々な滅菌法によって、滅菌されてもよい。特定の実施形態では、透析濾過抗体製剤は、滅菌済み0.2ミクロンフィルターによって濾過滅菌される。本発明の滅菌された水性抗体製剤は、例えば炎症応答などの免疫応答を予防、治療および/または管理するために、対象に投与されてもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、プレフィルドシリンジは、(a)約2mg/mL〜約20mg/mLの抗体、および(b)約0.002%〜約0.01%のポリソルベート20を含み、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。いくつかの実施形態では、プレフィルドシリンジは、(c)約40mM〜約60mMのトレハロース、および(d)約110mM〜約150mMのL−アルギニンをさらに含む。いくつかの実施形態では、プレフィルドシリンジは、(a)約20mg/mL〜約100mg/mLの抗体、および(b)約0.002%〜約0.01%のポリソルベート20を含み、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。いくつかの実施形態では、プレフィルドシリンジは、(c)約200mM〜約300mMのトレハロースをさらに含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体製剤、本明細書に記載される容器、本明細書に記載される単位用量剤形、または本明細書に記載されるプレフィルドシリンジのいずれかを含むキットを対象とする。
【0100】
いくつかの実施形態では、本発明はまた、抗体を含む安定した水性抗体製剤を製造する方法を対象とし得、方法は、(a)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗体を約1mg/mL〜約400mg/mLに精製するステップと、(b)単離抗体を安定化製剤に入れて、(i)約2mg/mL〜約100mg/mLの抗体、および(ii)約0.002%〜約0.01%のポリソルベート20を含み、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む、安定した水性抗体製剤を形成するステップとを含む。いくつかの実施形態では、本発明は、安定した水性抗体製剤を製造する方法を対象とし、方法は、(a)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗体を約1mg/mL〜約400mg/mLに精製するステップと、(b)(i)約0.002%〜約0.01%のポリソルベート20、(ii)約40mM〜約60mMのトレハロース、および(iii)約110mM〜約150mMのL−アルギニンを含む溶液中に、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗体を約2mg/mL〜約20mg/mLの抗体に希釈するステップとを含む。いくつかの実施形態では、本発明は、安定した水性抗体製剤を製造する方法を対象とし、方法は、(a)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗体を約1mg/mL〜約400mg/mLに精製するステップと、(b)(i)約0.002%〜約0.01%のポリソルベート−20、(ii)約200mM〜約300mMのトレハロース、および(iii)約20mMのヒスチジンを含む溶液中に、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗体を約20mg/mL〜約100mg/mLの抗体に希釈するステップとを含む。
【0101】
本発明の多くの態様は、水性製剤を対象とするが、均等物の目的で、本発明の抗体または抗体製剤は、必要に応じて凍結乾燥されてもよいことに留意すべきである。したがって、本発明は、後から水性形態に再構成される、本発明の製剤の凍結乾燥形態、または凍結乾燥抗体を包含する。いくつかの実施形態では、本発明は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む、再構成された抗体製剤を製造する方法を対象とし、方法は、(a)細胞培養物から抗体を精製するステップと;(b)単離抗体を凍結乾燥するステップと;(c)凍結乾燥抗体を水溶液に添加して、(i)約2mg/mL〜約100mg/mLの抗体、および(ii)約0.002%〜約0.01%のポリソルベート20を含み、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む、再構成された抗体製剤を形成するステップとを含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、本発明者らは、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)濃度が低下している抗IL5R抗体製剤が、粒子形成の低下(例えば検出不能)をもたらすことを見出した。粒子の除去は、潜在的免疫原性を回避し、ならびに製品品質に対する影響を制限するために重要である。いくつかの実施形態では、GST濃度は、アフィニティクロマトグラフィーによって低下される。いくつかの実施形態では、GST濃度は、プロテインAカラムを使用して低減される。いくつかの実施形態では、プロテインAカラムは、MabSelect Sure(GE Healthcare Life Sciences)である。いくつかの実施形態では、GST濃度は、混合モードクロマトグラフィーを使用して低下される。いくつかの実施形態では、混合モードカラムは、Capto(商標)Adhere(GE Healthcare Life Sciences)である。
【0103】
いくつかの実施形態では、本発明は、抗体を含む抗体製剤を対象とし、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、抗体製剤は、粒子を本質的に含まない。いくつかの実施形態では、「粒子を本質的に含まない」をという用語は、ライトボックスの下で観察した際の可視粒子の不在を指す。いくつかの実施形態では、「粒子を本質的に含まない」という用語は、前述の「低から検出不能レベルの粒子形成」という語句と同義である。いくつかの実施形態では、粒子を本質的に含まないとは、サンプルが、30個未満の粒子/mL、20個未満の粒子/ml、20個未満の粒子/ml、15個未満の粒子/ml、10個未満の粒子/ml、5個未満の粒子/ml、2個未満の粒子/mlまたは1個未満の粒子/mlを含有することを指し、粒子は25μmよりも大きく、粒子数はHIAC分析または視覚的分析によって確認される。いくつかの実施形態では、粒子を本質的に含まないとは、サンプルが、1〜50個の粒子/mL、2〜40個の粒子/ml、3〜30個の粒子/ml、4〜25個の粒子/ml、または5〜20個の粒子/mlを含有することを指し、粒子は25μmよりも大きく、粒子数はHIAC分析または視覚的分析によって確認される。いくつかの実施形態では、「可視粒子」という用語は、25μmよりも大きい粒子を指す。
【0104】
いくつかの実施形態では、粒子を本質的に含まないとは、1〜200個の粒子/mL、10〜150個の粒子/ml、30〜100個の粒子/ml、または40〜80個の粒子/mlを含有するサンプルを指し、粒子は5μmよりも大きく、粒子数はHIAC分析または視覚的分析によって確認される。いくつかの実施形態では、「可視粒子」という用語は、5μmよりも大きい粒子を指す。いくつかの実施形態では、HIAC分析または視覚的分析のいずれによっても、抗体製剤中に粒子は検出されない。
【0105】
いくつかの実施形態では、本発明は、抗体を含む抗体製剤を対象とし、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、抗体製剤は、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)を本質的に含まない。特に断りのない限り、「グルタチオンS−トランスフェラーゼを本質的に含まない」または「GSTを本質的に含まない」という用語は、活性GSTを欠く(しかし不活性GSTは含有し得る)組成物、ならびに活性形態または不活性形態のいずれのGSTタンパク質も有しない組成物を包含する。いくつかの実施形態では、本発明は、抗体を含む抗体製剤を対象とし、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、抗体製剤は、活性GSTを本質的に含まない。「活性GST」という用語は、GS−DNB抱合体を形成するための、1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン(CDNB)などの求電子性化合物へのグルタチオン(GSH)のチオール基の形成を触媒できるGSTを指す。GSTまたはグルタチオンS−トランスフェラーゼは酵素ファミリーを指し、それは多数の反応を触媒できるが、主にスルフヒドリル基を介した、例えば、芳香族、二重結合、C−Cl
xなどの求電子中心への還元グルタチオンのコンジュゲーションである反応を触媒できる。GSTモノマーは、一般に22〜29kDaの範囲であるが、それらは、二量体、三量体、およびまた(その他のタンパク質との)ヘテロ二量体として生じ得る。いくつかの実施形態では、GSTという用語は、GS−DNB抱合体を形成する、1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン(CDNB)へのグルタチオン(GSH)のチオール基形成を触媒できるタンパク質を指す。
【0106】
いくつかの実施形態では、本発明は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む、抗体を含む抗体製剤を対象とし、抗体製剤は、38〜42℃での保存時に、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも8ヶ月間、少なくとも10ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、または少なくとも18ヶ月間にわたり粒子を本質的に含まない。いくつかの実施形態では、本発明は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む、抗体を含む抗体製剤を対象とし、抗体製剤は、2〜6℃での保存時に、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも8ヶ月間、少なくとも10ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、少なくとも30ヶ月間、少なくとも36ヶ月間、または少なくとも48ヶ月間にわたり粒子を本質的に含まない。
【0107】
いくつかの実施形態では、抗体製剤は、GSTを本質的に含まない。いくつかの実施形態では、「GSTを本質的に含まない」という用語は、約0.5単位/mg抗体未満、約0.3単位/mg抗体未満、約0.1単位/mg抗体未満、約0.08単位/mg抗体未満、約0.05単位/mg抗体未満、約0.03単位/mg抗体未満、約0.01単位/mg抗体未満、約0.005単位/mg抗体未満、約0.001単位/mg抗体未満、約5×10
-3単位/mg抗体未満、約1×10
-4単位/mg抗体未満、約1×10
-5単位/mg抗体、または約1×10
-6単位/mg抗体未満のGST活性を有する抗体製剤を指す。いくつかの実施形態では、「本質的に含まない」という用語は、通常のGST検出技術を使用して検出不能なGSTのレベルを指す。
【0108】
GST活性を判定する様々な方法が、当業者に知られている。いくつかの実施形態では、GST活性は、グルタチオン(GSH/GSSG/合計)蛍光定量的アッセイキット(BioVision,San Francisco CA)を使用して判定される。
【0109】
いくつかの実施形態では、本発明は、(i)抗体を含む細胞培養物を得るステップと、(ii)抗体にアフィニティクロマトグラフィー実施するステップと、(iv)抗体にカチオン交換を実施するステップと、(v)抗体に混合モードクロマトグラフィーを実施するステップとを含む、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む、抗体を精製する方法を対象とする。いくつかの実施形態では、本発明は、(i)抗体を含む細胞培養物を得るステップと、(ii)抗体をプロテインAカラムに結合させるステップと、(iii)抗体をプロテインAカラムから溶出させるステップと、(iv)抗体にカチオン交換を実施するステップと、(v)抗体に混合モードクロマトグラフィーを実施するステップとを含む、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号5〜7のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号8〜10のKabat定義CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む、抗体を精製する方法を対象とする。いくつかの実施形態では、抗体を精製する方法は、ウイルス不活性化処理をさらに含む。いくつかの実施形態では、ウイルス不活性化ステップは、pHを4.0未満に低下させることで実施される。いくつかの実施形態では、方法は、透析濾過処理をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、濾過処理をさらに含む。いくつかの実施形態では、活性ウイルス粒子を除去するのに、濾過処理で十分である。
【0110】
いくつかの実施形態では、本発明は、患者を治療する方法を対象とする。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載される抗体製剤をそれを必要とする対象に投与するステップと、本明細書に記載される容器、本明細書に記載される単位用量剤形、または本明細書に記載されるプレフィルドシリンジを含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体製剤を投与することで、肺疾患または障害を治療するのに適する。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体製剤を投与することで、好酸球性疾患または障害がある患者を治療する方法を対象とする。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体製剤を投与するステップを含む、対象において肺疾患または障害を治療する方法を対象とする。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体製剤を投与するステップを含む、対象において好酸球性疾患または障害を治療する方法を対象とする。いくつかの実施形態では、本発明は,本明細書に記載される抗体製剤を投与するステップを含む、対象における、例えば、喘息、COPD、好酸球性喘息、混合型好酸球性・好中球喘息、アスピリン高感度喘息、アレルギー性気管支肺のアスペルギルス症、急性および慢性好酸球性気管支炎、急性および慢性好酸球性肺炎、チャーグ・ストラウス症候群、過好酸性症候群、薬物・刺激物・放射線誘発性肺好酸球増加症、感染誘発性肺好酸球増加症(真菌、結核、寄生生物)、己免疫関連肺好酸球増加症、好酸球性食道炎、またはクローン病またはそれらの組み合わせなどの肺疾患または障害の治療法を対象とする。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体製剤を投与するステップを含む、対象における喘息の治療法を対象とする。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体製剤を投与するステップを含む、対象におけるCOPの治療法を対象とする。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体製剤の治療有効量が投与されて、病状が治療される。本明細書の用法では、「治療有効量」という用語は、疾患または障害(例えばIL−5受容体ポリペプチドの異常な発現および/または活性によって特徴付けられる疾患または障害、IL−5受容体またはその1つまたは複数のサブユニットの異常な発現および/または活性によって特徴付けられる疾患または障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染症(好ましくは呼吸器感染症)あるいは1つまたは複数のその症状)の重症度を低下させ、呼吸器病状の持続期間を低下させ、このような疾患または障害の1つまたは複数の症状を改善し、このような疾患または障害の進行を予防し、このような疾患または障害の退縮を引き起こし、または別の治療法の治療効果を高めまたは改善するのに十分な治療法(例えばIL−5ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体)の量を指す。いくつかの実施形態では、治療有効量は、前もって特定され得ず、例えば用量漸増などの様々な手段を使用して、例えば医師またはその他の保健医療提供者などの介護者によって判定され得る。適切な治療有効量はまた、例えば動物モデルを使用して、日常的実験法によって判定し得る。
【0113】
「治療法(therapies)」および「治療法(therapy)」という用語は、疾患または障害(例えばIL−5ポリペプチドの異常な発現および/または活性によって特徴付けられる疾患または障害、IL−5受容体またはその1つもしくは複数のサブユニットの異常な発現および/または活性によって特徴付けられる疾患または障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染症(好ましくは呼吸器感染症)あるいはその1つまたは複数の症状)の予防、治療、管理、または改善において使用し得る、あらゆるプロトコル、方法、および/または作用物質を指し得る。特定の実施形態では、「治療法(therapy)」および「治療法(therapy)」という用語は、熟練した医療関係者に知られている、そのような疾患または障害あるいは1つまたは複数の症状の治療、管理、予防、または改善において有用な、生物学的療法、支持療法、および/またはその他の治療法を指す。
【0114】
本明細書の用法では、「治療法プロトコル」という用語は、投薬および治療的に有効な1つまたは複数の治療法(例えば治療薬)の実施のタイミングのためのレジメンを指す。
【0115】
本発明の抗体製剤の投与経路は、例えば、経口、非経口、吸入または局所投与法を介し得る。非経口という用語は、本明細書の用法では、例えば静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸または膣内投与を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、抗IL5R抗体であり、投与経路は筋肉内注射である。これらの投与形態は全て、本発明の範囲内として明確に検討される一方で、いくつかの実施形態では、抗体製剤は、注射、特に静脈内もしくは動脈内注射または点滴による投与に適する。
【0116】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、コストの削減、方法段階の削減、誤りの機会の減少、安全でないまたは不適切な添加剤の導入の機会の減少、廃棄物の低減、保存時間の増加などのいずれかによって、製造会社がより効率的な方法で、ヒトへの投与に適した抗体製剤を製造できるようにする。
【実施例】
【0117】
実施例1
製剤化試験を実施して、プレフィルドシリンジ(またはバイアルバックアップ形状)からの皮下送達を通じて、2〜100mgの用量を送達するのに適する安定した抗IL5R抗体製剤を開発した。具体的には、2〜20mg/mLの製剤と、20〜100mg/mLの製剤の2つの別個の抗体濃度製剤が開発された。
【0118】
1.材料および方法
a.抗IL5R原料および製剤の調製
これらの試験では、複数ロットの抗IL5Rが使用された。全てのロットは、MedImmuneによって様々な規模で製造されて透析濾過され、pH6で20mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl中のおよそ130g/Lに濃縮された後に届けられた。いくつかのロットはまた、透析濾過緩衝液中に250mMのトレハロースを有した。
【0119】
抗IL5Rは、賦形剤添加緩衝液(EAB)に添加して、100g/Lの抗IL5R濃度と、適切な緩衝液および賦形剤化学種の濃度を得ることで、製剤化された。100g/Lの製剤から、より低濃度の原薬が作成された。
【0120】
2.加速ストレス法
a.上昇した温度での保存
保存中に一定温度を保つために、バイアルおよびシリンジは、管理される安定性チャンバー内に保存された。チャンバーは、2〜8℃、23〜27℃/60%RH、または38〜42℃/75%RHに保たれたが、以後、それらの中点温度である5℃、25℃、または40℃によって言及される。バイアルは、特に断りのない限り直立で保存され、プレフィルドシリンジは、先端を下向きにして保存された。
【0121】
b.凍結解凍サイクル
これらの試験では、管理されるおよび管理されない凍結解凍サイクルの双方が使用された。管理されない凍結解凍は、バイアルを−40℃チャンバー内で凍結し、室温でそれらを解凍することで実施された。
【0122】
c.輸送および振盪
多様な方法を使用して、抗IL5Rに対する輸送の影響が調査された。バイアルの卓上振盪は、150rpmで24時間の軌道振盪によって実施された。実際の輸送は、製品を離れた場所に配送することで模倣された。製品は2往復させ、4日間にわたり、地上および航空輸送した。凍結およびコールドパックの組み合わせを利用して製品温度を2〜8℃に保ち、0℃未満9℃以上の温度を示すセンサーによってモニターした。
【0123】
スクリーニング試験のために、振動台(輸送シミュレータ)を使用して輸送をシミュレートした。製品は、往復輸送中に経験されるものと同様のパターンで、「航空」および「地上」輸送された。プロセスには12時間かかり、この場合も温度をコールドパックで2〜8℃に管理し、センサーは使用されなかった。気泡移動の可能性、ならびに薬剤とバレル全体、針先端、およびストッパーとの可能な接触のために、実際のまたは疑似配送中に考えられる最悪の方向として、水平方向を選択した。
【0124】
3.実験法
a.SOPに従ったまたはそれから派生した方法
粒子とタンパク石濁標準物質とを比較することで、目視検査を実施した。SE−HPLCによって、凝集および断片化をモニターした。10g/L未満の抗IL5R濃度では、より大容量の注射を使用して、注射あたりで同様の総タンパク質量を得る。いくつかのサンプルは、cIEF測定およびRP−HPLCのためにもまた使用されて、断片化がモニターされた。
【0125】
b.タンパク質濃度
連続重量希釈によってタンパク質をおよそ0.5g/Lに希釈し、吸光度を280nmで測定して、タンパク質濃度を測定した。吸光係数および希釈係数から濃度を計算して、50g/Lを超える初期濃度の重量希釈液に対する密度の効果について補正した。
【0126】
c.肉眼不可視粒子数
MFIおよびHIACの双方を使用して、肉眼不可視粒子数を得た。MFIでは、水で光学的照明を実施した後に、0.9mLの無希釈溶液で実施した。最初の0.2mLは装置をパージするために使用され、分析には包まれなかった。<0.85のアスペクト比フィルターを使用して、球状気泡またはシリコーン油滴を除去した。HIACでは、濃度>5g/Lの溶液をおよそ5g/Lに希釈した一方で、希釈サンプルは無希釈で実施した。希釈は、使用直前に濾過された20mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl、pH6緩衝液によって、層流フード内部で実施された。サンプルは、試験の少なくとも30分前に真空下で脱気された。3回の実験の平均に希釈係数を乗じて、最終的な結果とした。HIACによって、シリコーン油滴はタンパク質粒子と区別されなかった。
【0127】
4.データおよび考察
a.ポリソルベート20濃度スクリーン
最初の目的は、水性抗体製剤中のPS−20濃度を最適化することであった。境界面における変性および凝集からタンパク質を保護するために、ポリソルベートを溶液に含め、必要な濃度は、液体製品中では凍結乾燥製品と異なることが予測された。主要な界面応力は、凍結解凍および輸送中に遭遇されたため、実験計画は、これらを模倣することに焦点を合わせた。以前の経験は、0.02%のポリソルベート20が、これらの双方のストレスから完全に保護するのに十分であることを示唆した(データ未掲載)。検証として、臨床用製造について予期される順序でこれらのストレスを逐次組み合わせ、ストレス後にインキュベーション期間を追加して、あらゆる可能な粒子の増殖を可能にした。最初に、原薬に3回の管理されない凍結解凍サイクルを施して、材料を濾過し、バイアルに充填した。次に、それを卓上で振盪し、SE−HPLCおよびMFIによって試験する前に、40℃で1週間インキュベートした。試験された条件は、240mMのトレハロース、20mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl、pH6で、0〜0.03%w/vの様々なレベルのPS−20中に配合された、2〜100g/Lの濃度範囲の極値であった。結果は、
図2、3、および4に見られる。
【0128】
モノマー画分データは、2g/Lの溶液がポリソルベートレベルとは無関係に純粋なままであったことを示し、およそ0.005%未満の少量のポリソルベート20は100g/Lで小量の凝集を引き起こしたが、これらの結果それ自体は「不適合境界」を示唆しなかった。利用されたストレスは重度であり、劣化レベルは最小であり、したがって試験された任意のPS−20レベルが、SEC凝集の観点から適切であり得る。2g/Lでは、肉眼不可視粒子数が非常に高く、試験された範囲のポリソルベート20によって制御されなかった。100g/Lでは、高い肉眼不可視粒子数は、0.003%以上のPS−20の存在によって制御された。総合すると、このデータは、PS−20レベルが0.003%以上に維持されるべきであることを示唆した。
【0129】
以下で考察されるように、肉眼不可視粒子を制御する代替え方法が、低濃度溶液に対して必要であった。
【0130】
b.pHのスクリーン
溶液pHの効果は、5〜7.5のpH価で、2、20、および100g/L溶液で試験された。配合の残りは一定であり、240mMのトレハロース、20mMのヒスチジン/ヒスチジン−HCl、および0.02%のPS−20を含んだ。溶液を調製し、試験する前に40℃で1ヶ月間保存した。全てのサンプルについて、SE−HPLCによるモノマー損失、MFIによる肉眼不可視の粒子、および目視検査による可視粒子を評価した。100g/Lのサンプルについて、RP−HPLCおよびcIEFをはじめとする追加的な試験を実施した。結果は、
図5および6に提供される。
【0131】
凝集および断片化は、5.5〜6.5のpH範囲内で最小化された。cIEFからの結果は、pH7.0以上の標準試料と相反した。肉眼不可視粒子数は、低いか、または溶液pHに関するいかなるパターンも示さないかのどちらかであった。可視粒子スコアは、pH5.5〜6.5でより高かった。これらのスコアは高かったが、サンプルは、より高い粒子数が慣例的に見られる、光の近くで検査された。プロテインA上のさらなる精製によってHCPレベルが低下したのは材料であったことから、原材料もまた、高い粒子レベルに寄与している可能性があった。この試験は、粒子形成視点からの最適pHが、pH5またはpH≧7であることを示唆した。しかし、可視粒子スコアは、ここでは過大評価されていると理解されるため、この試験の結果として、pHをpH6.0から変化させることはしなかった。
【0132】
c.配送の効果
製剤は、配送のために堅固である必要があるため、それらをプレフィルドシリンジ内の様々なタンパク質およびPS−20濃度で試験した。製剤は、2〜100g/Lの抗IL5Rおよび0〜0.05%のPS−20で変動し、その他の条件は、240mMのトレハロース、20mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl、pH6で一定であった。グリシン、塩化カルシウム、pH5.5、pH6.5、および0.02%のポリソルベート80をはじめとするいくつかのその他の条件を2g/Lで試験した。これらの条件のいずれも、ポリソルベート20添加pH6のトレハロース製剤に対する改善を示さなかったため、さらに考察されなかった。
【0133】
1mLのサンプルが、0.4mgのシリコーン油と共に、プラットフォームPFS内に充填された。サンプルは、配送され、5℃、25℃、および40℃で保存されて、目視検査、MFI、およびHIACによって2ヶ月間にわたり試験された。結果は、
図7に報告される。
【0134】
プロットは、25℃で1ヶ月間の保存後におけるMFIからの肉眼不可視粒子数を示す。HIACからの、またはその他の温度での保存後の、肉眼不可視粒子数は、示されるデータセットと同様の傾向を示した。目視検査は、塩化カルシウムを含有したものを除いて、サンプルのいずれでも高い可粒子数を示さなかった。高タンパク質濃度の溶液(≧20g/L)は、いくらかのPS−20が存在がしさえすれば配送のために堅固であった。そのため、20〜100g/Lの溶液の長期安定性試験のために、トレハロース製剤を使用した。
【0135】
配送データは、高く極めて変わりやすい肉眼不可視粒子数によって観察されるように、低濃度の製剤が堅固でないことを確認した。データはまた、ポリソルベート単独では問題が解決されなかったことを示し、したがって低濃度溶液には組成変更が必要であった。
【0136】
d.低濃度DSの組成変更
低濃度組成変更スクリーンに疑似輸送によるストレスを与えて、MFIによって試験した。示される肉眼不可視粒子数は粒子>10μmであり、アスペクト比フィルターされ、傾向はその他の粒度と同様であった。
【0137】
製造中に、トレハロースを含有する高濃度(≧100g/L)の未処方原薬(UDS)を製造して冷凍した。この高濃度中間体の保存は、2〜100mg/mLの製剤範囲にわたる様々な製剤への希釈を可能にするために必要である。UDSからの希釈は、いくらかの残留トレハロースをもたらし、組成の均一性のために、低用量範囲全体にわたり、単一トレハロース濃度が使用される。緩衝液およびpHは、変更されなかった。
【0138】
最初のスクリーンを使用して、トレハロース製剤が安定している最小タンパク質濃度を判定し、75mMのアルギニンHClまたは塩化ナトリウムを添加した150mMのトレハロース中に配合することによる、イオン強度増大の効果を判定した。下に示される結果は、タンパク質濃度≧10g/Lが安定していることを示唆するが、堅固さのために低濃度範囲を2〜20g/Lに設定した。イオン強度増大は、双方の賦形剤でより安定した溶液をもたらした。例えば、
図8を参照されたい。
【0139】
次の試験は、アルギニンまたはNaCl濃度の最適化に焦点を合わせ、全ての試験で、最悪例として場合2g/Lのタンパク質濃度が使用された。各賦形剤について、0.02%のPS−20で、広いおよび狭い賦形剤濃度スクリーンを実施した。最初のアルギニンスクリーンを様々な量のトレハロースで実施し、溶液は、270mMのアルギニンを250mMのトレハロースと合わせることで作成された。目的は浸透圧を保つことであったが、計算が誤っていたため(アルギニンHClは二価である)、アルギニンを含有する溶液は高浸透圧性であった。残りの賦形剤濃度スクリーンは、100g/L原液からの希釈後の20g/Lトレハロースをベースとして、40または50mMの一定のトレハロース濃度で実施された。結果は、
図9および10に提供される。
【0140】
幅広いアルギニンおよびNaClスクリーンの結果は、安定した製剤を製造するためには、濃度が、50mMのアルギニンまたは75mMのNaClを上回る必要があることを示唆した。75〜150mMのアルギニンまたは100〜200mMのNaClの狭い濃度スクリーンは、範囲全体を通じて、低い粒子数をもたらした。これは、これらの範囲中央の濃度が、堅固な製剤をもたらすことを示唆し、50mMの残留トレハロースとの組み合わせで、130mMが等浸透圧として選択された。
【0141】
同一方法を使用して、新規製剤について、PS−20濃度の最適化をチェックした。これらの実験は、狭い賦形剤濃度スクリーンと併行して実施されたため、中間点濃度を使用した。試験された条件は、0.01〜0.1%のPS−20、115mMのアルギニンHCl、40mMのトレハロース、および0.01〜0.05%のPS−20、150mMのNaCl、50mMのトレハロースであった。0.02%のPS−80で、2、3のサンプルが試験されたが、対応するPS−20の結果よりも高いカウントが得られた(データ未掲載)。粒子数は、試験された全てのポリソルベートレベルにおいて低く、新規製剤中でレベルを0.02%から変更する必要がないことが示唆された。例えば、
図11を参照されたい。
【0142】
低濃度の抗IL5Rに対する組成変更の結果は、アルギニンまたはNaClのどちらも、製剤を短期間安定化できることを示唆した。検討された製剤は、2〜20g/Lのタンパク質濃度のための50mMのトレハロース、20mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl、0.02%のPS−20が添加された、130mMのアルギニンHClまたは130mMのNaCl、pH6であった。
【0143】
e.バイアルおよびPFS考察
上で開発された3種の製剤(トレハロース中の20〜100mg/mL、トレハロース/アルギニン中の2〜20mg/mL、およびトレハロース/NaCl中の2〜20mg/mL)は、バイアルおよびPFS形状の双方に適した。バイアル形状は、4432/50 Westストッパー付きの3cc Schottバイアルであった。バイアル形状に関する最大リスクは、ストッパー上のシリコーン油レベルであったため、シリコーン油レベルが、一般に使用されるもの(0.007〜0.024mg/cm
2)よりも、高いストッパー(0.039mg/cm
2)で、長期安定性試験を実施した。
【0144】
抗IL5R製剤と共に試験されたシリンジは、0.4mgのSi油を含有して、BD260硬質針シールドで覆われる、クリップドフランジおよびステーキド29G肉薄針付きのプラットフォームシリンジBD 1mL Long PFSであった(カタログ番号47363119)。
【0145】
f.長期安定性試験
2つの長期安定性試験を実施して、スクリーニング試験からの判定を確認した。安定性試験#1は、PFSおよびバイアル中のトレハロースおよびアルギニン/トレハロース製剤の長期安定性を調べた。さらに、PFSの比較を行ったが、これはここでは考察されない。安定性試験#2は、試験#1で調べた形状について別ロットの材料からのデータを提供するために、およびまたNaCl/トレハロース製剤区分と、PFSおよびバイアル内の1/2mL〜1mLの充填容量の影響を調査するために開始した。
【0146】
i.安定性試験#1:抗IL5RPFS提供形態の安定性
バイアルを対照として、シリンジ内で安定性試験を実施した。配合区分の各端点を各一次容器内で試験した。試験されたシリンジは、プラットフォームHypak(商標)for Biotechであり、これは、実質的にタングステンを含まない、29G肉薄針付き、0.4mgのシリコーン油含有、BD glass 1mL longシリンジであった。使用されたバイアルは、West 4423/50ストッパーおよび被覆シール付きの3cc Schottバイアルであった。
【0147】
充填された製剤は、次のとおりであった。
・2および20mg/mLの抗IL5R抗体、125mMのアルギニンHCl、50mMのトレハロース、20mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl、0.02%のPS−20、pH6;および
・20および100mg/mLの抗IL5R抗体、250mMのトレハロース、20mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl、0.02%のPS−20、pH6。
【0148】
a.抗IL5Rプレフィルドシリンジ提供形態の純度
いずれの製剤についても、モノマー損失に対する一次容器の有意な効果はなかった。タンパク質濃度のいくらかの影響が観察されたが、モノマー損失率は一貫して低かった。
図12Aを参照されたい。
【0149】
b.抗IL5Rプレフィルドシリンジ提供形態の粒子分析
粒子形成は、抗IL5Rの主要な分解経路と考えられるため、適切なPFSの判定に大きな役割を果たすと考えられる。HIACによる肉眼不可視粒子測定は、おそらくシリコーン油滴に起因するPFS中の粒子数の増大を示した(
図12Bおよび12Cを参照されたい)。しかし、全粒子数は、全ての形状について、6000個の粒子>10μm/mLおよび600個の粒子>25μm/mLのUSP許容限度を十分下回ったままである。MFIが直交法として使用され、同様の結果が示されたが、シリコーン油小滴は、MFIソフトウェアの結果からフィルターして除去し得るため、容器間ではより少ない差が観察された。
【0150】
ii.5℃におけるHypak(商標)for Biotech内の安定性の要約
表1は、アルギニン製剤では最長16ヶ月間、トレハロース製剤では24ヶ月間までの、5℃における、Hypak(商標)for Biotechシリンジ内の抗IL5Rについて得られる、安定性データ(安定性試験#1)の要約を示す。視覚的粒子が検出され,それはPS−20濃度の0.02%から0.006%への低下を引き起した。その他の高リスクが同定されたが、肉眼不可視粒子数は変動しなかった。
【0151】
【表1】
【0152】
iii.安定性試験#2
安定性試験#2は、プレフィルドシリンジおよびバイアル内の切り分けされた安定性試験であり、低用量製剤および充填容量を決定して、プラセボ安定性を確認するように設計された。
【0153】
PFSを選択するために利用した先の安定性試験は、1mLの充填容量のみを有した。しかし、より低い充填容量には、注射時の疼痛低減、皮下のより小さいしこり、より迅速な投与、および投与部位からのより少量の漏出をはじめとする、いくつかの潜在的利益があった。
【0154】
1mL充填オプションのための切分けストラテジーは、2〜20g/Lの低用量および20〜100g/Lの高用量のタンパク質濃度の2つの区分であった。1/2mL充填のための同一区分は、1〜50mgの用量範囲をカバーし、およびまた50〜100mgの用量のための1/2〜1mLからの100g/Lの充填容量区分を要した。これは、明確にするために、
図13にグラフで示される。どちらの場合も、アルギニンおよびNaClベース双方の製剤中で、最低用量区分が試験された。
【0155】
充填された原薬およびプラセボは、次のとおりである。
・全ての溶液:20mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl、0.02%のPS−20、pH6.0
・2Arg/20Arg:2または20g/Lの抗IL5R、125mMのアルギニンHCl、50mMのトレハロース
・2NaCl/20NaCl:2または20g/Lの抗IL5R、130mMのNaCl、50mMのトレハロース
・20Tre/100Tre:20または100g/Lの抗IL5R、250mMのトレハロース
・Argプラセボ:125mMのアルギニンHCl、50mMのトレハロース
・NaClプラセボ:130mMのNaCl、50mMのトレハロース
・Treプラセボ:250mMのトレハロース
【0156】
1/2mL充填容量は、より高い表面積対体積比のために、考えられる最悪の形状である見込みが高かったため、試験全体のサイズを低下させるために、1mLの充填容量形状は、いずれのバイアル形状またはPFS内のプラセボについても試験されなかった。
【0157】
全てのサンプルを配送し、次に、5、25、および40℃で安定させた。バイアルは、安定中に倒立して保存して、ストッパーとの接触を最大化した。その時点で、より以前の試験中に可視粒子が発見され、この定性試験について6週間のデータが収集された。さらに、この試験の3〜6ヶ月間の時点で、NaCl製剤中で粒子が観察され(データ未掲載)、アルギニン製剤の選択につながり、NaCl製剤が拒否された。
【0158】
可視粒子形成を軽減するのに要した追加的な製剤研究が、続く実施例に記載され、ポリソルベート20濃度の0.02%〜0.006%への低下がもたらされた。この製剤に関して、その他の安定性懸念は観察されず、容器または充填容量の有意な影響も観察されなかった。可視粒子スコア、SECによる純度低下、HIACによる粒子数、および効力をはじめとする、1年間の安定性データが
図14に要約される(全ての形状が全ての時点で試験されたわけではない)。
【0159】
実施例1の結論
凍結/解凍、撹拌、シリコーン油添加、および加速安定性をはじめとする様々なストレス方法を使用して、製剤スクリーニングが実施された。長期安定性を使用して、スクリーニング試験の結果を確認した。第2b相トレハロース製剤は、ポリソルベート濃度を増大させた高濃度の液体では成功したが、低濃度の液体にすると、主に肉眼不可視粒子形成を通じて不安定性を示した。低い濃度範囲は、塩酸アルギニンまたは塩化ナトリウムのどちらかのイオン強度を増大させることで組成変更されて、安定した溶液がもたらされた。
【0160】
幅広い可能な用量(2〜100mg)をカバーするための、3つの可能な配合区分は、次のとおりであった。
・2〜20g/L、130mMの塩酸アルギニン、50mMのトレハロース二水和物、20mMのヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩、0.02%のポリソルベート−20、pH6.0;
・2〜20g/L、130mMの塩化ナトリウム、50mMのトレハロース二水和物、20mMのヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩、0.02%のポリソルベート−20、pH6.0;および
・20−100g/L、250mMのトレハロース二水和物、20mMのヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩、0.02%ポリソルベート−20、pH6.0。
【0161】
最大で24ヶ月間の長期安定性は、全ての3つの製剤が、2〜8℃で撹拌に対して安定しており、シリコーン油に対して比較的非感受性で、バイアルおよびPFSと適合性であったことを示唆する。さらに、高温において最小の劣化が観察された。アルギニンオプションと比較して可視粒子形成が増大したために、2つの低濃度製剤の継続する観察はNaClオプションを除外し、2つの配合区分がもたらされた。データは、プレフィルドシリンジが、1mLまたは1/2mL充填容量のどちらについても許容できる一次容器であることを示唆した。以下の実施例で対処されるように、可視粒子形成は、これらの製剤に関わる残された問題であった。
【0162】
実施例2 − 抗IL5R製剤中の粒子形成
可視粒子は、以前の長期安定性試験において、バイアルおよびPFSの双方内で抗IL5Rの水性製剤中に検出され、最初の検出発生は6ヶ月の時点であった(データ未掲載)。長期間にわたり保存された、ポリソルベート20(PS−20)を含む抗IL5R抗体製剤中の可視粒子形成を軽減するために、試験が実施された。以下の実施例は、粒子形成を軽減する上でPS−20濃度が有する重要性を確認するための、様々なPS−20およびタンパク質濃度を含む製剤の長期間試験を記載する。この試験は、0.002〜0.01%のPS−20の許容範囲をもたらした。
【0163】
【0164】
予備試験
実施例1に記載される長期安定性試験において、粒子形成が検出された。しかし、粒子は非常に小さく、個々の粒子というよりも雲のように見えた。粒子を見るために、サンプルは光源近くで検査された。粒子は、バイアルおよびPFS標準物質セットのものと異なったため、サンプルは、互いに、ならびに各時点における標準物質と比較された。
【0165】
粒子は、0.02%のPS−20添加100g/LのTreバイアル内で、6ヶ月時点で最初に検出された。
【0166】
(1)バイアルおよび(2)プレフィルドシリンジ(PFS)内で、6ヶ月目および11ヶ月目のサンプルを比較した。どちらの試験も粒子形成が、PFSよりもバイアル内でさらに重度であることを示したが、PFS標準物質はその時点で利用できなかったため、数値的な比較は入手不能である。PFSからのサンプルは、外観試験のためにデカントしてバイアルに注入された。これらのバイアル内では、粒子はもはや観察されず、違いが経路長効果ではないことが確認された。トレハロース製剤中では、このバイアル−対−PFSの差異が、アルギニン製剤中よりもさらに顕著であった。
【0167】
配送後における、バイアルおよびPFSの双方内の100g/LのTre製剤中の様々なPS−20濃度(0、0.01、0.02、および0.03%)の比較を行った。より低いPS−20濃度である、0および0.01%のPS−20では、11ヶ月時点で全く粒子を含まなかった。0.02%および0.03%のPS−20では、バイアルおよびPFSの双方内で粒子が目に見えた。20ヶ月目には、0および0.01%のPS−20PFSおよび0%のPS−20バイアルは、透明なままであったが、0.01%のバイアルは、粒子の非常に小さな漏斗雲を有した。
【0168】
標的化試験では、光源近くに保持した場合、100g/LのTre、0.02%のPS−20バイアルおよびPFS内で、場合によっては早くも3〜4ヶ月で、粒子が明確に視認できた。Tre区分の低濃度(20g/L)端では、粒子ははるかにより緩慢に形成されて、21ヶ月目のバイアルのみで観察された。最長21ヶ月間の利用可能データによれば、20g/LのTre PFS内では、いかなるPS−20濃度でも粒子は観察されなかった。アルギニン製剤中の粒子形成は、いくらかより緩慢であり、6〜9ヶ月目における0.02%のPS−20で、区分の高濃度(20g/L)端で粒子が観察された。最長16ヶ月間の利用可能データによれば、あらゆるPS−20濃度の2g/LのArg製剤中では、どちらの容器内にも粒子が観察された。
【0169】
加速およびストレス温度試験は、粒子形成に関する洞察を提供しなかった。40℃では、3ヶ月間の試験期間にわたり、粒子は全く形成しなかった。25℃では、粒子形成は、5℃と比較して同様であり、またはわずかに低下した。
【0170】
このデータは、区分の高タンパク質濃度端には可視粒子のリスクが高く、低端には長期的な潜在リスクがあることを示唆した。粒子形成を軽減するために、PS−20の濃度の低減を調べた。一次容器は、プラットフォームPFSのままであり、バイアル内では粒子形成がより重度でより容易に見られることから、バイアルが粒子形成の早期読み取りとして使用された。
【0171】
様々なPS−20濃度の調査
大規模な安定性試験を設計して、様々な製剤、様々なPS−20濃度、および様々な抗体濃度における粒子形成を調べた。全てのサンプルをPFSおよびバイアルの双方内に充填して、別々の場所に2回配送して、流通過程加工をシミュレートし、5℃で安定させた。外観試験を毎月実施した。0、3、6、および9ヶ月の時点で、サンプルの部分集合について、SEC、HIAC、およびMFIもまた試験した。
図15は、この試験の一部として調製されたサンプルを示す。
【0172】
0時間目のPFSに関する
図16のMFIデータによって示されるように、いかなるPS−20もなければ、肉眼不可視粒子は配送時に形成された。試験された最低レベル以上のPS−20(0.002%)は、配送ストレスから保護するのに十分であった。さらに、最低PS−20濃度(0.002%)は、規模縮小モデルを使用した、タンク内のDS配送ストレスから保護するのに十分であることが確認された(本明細書にはデータ未掲載)。
【0173】
粒子の外観結果は、双方の配合区分について、約0.01%のPS−20のバイアル内に顕著な粒子形成があり、0.02%のPS−20のPFS内にいくらかの粒子があり、双方の区分のより低い濃度端では、より少ない粒子が観察されたことを示した。
図17を参照されたい。粒子の最初の観察は、100g/LのTreでは3ヶ月目であり、20g/LのArgでは6ヶ月目であった。図は、最新の時点である9ヶ月目における粒子形成に対する、タンパク質およびPS−20濃度影響を例示する。粒子形成観察は、全て光源近くで実施されたことに留意されたい。
【0174】
外観データは、PS−20濃度の上限を0.01%に設定し、肉眼不可視粒子数は、下限を0.002%に設定する(利用可能データからであり、実際の限界はより低くあってもよい)。この許容範囲(0.006%)の中点が、新規PS−20濃度として設定された。
【0175】
2g/LのArgおよび20g/LのArgでは最長9ヶ月間のデータ、20g/LのTreおよび100g/LのTreでは最長18ヶ月間のデータを含む、区分端サンプルについて、PFSの総合安定性を確認した。以下のアッセイが、試験された:
A.0.002、0.006、および0.01%のPS−20:外観、HIAC、MFI、およびSEC。
B.0.006%のPS−20のみ:インストロン、BioAssay、BioAnalyzer、RP、およびcIEF。
【0176】
全てのデータは、新規製剤が安定しており、低リスクであったことを示唆する。データの要約は、表2に示される。
【0177】
【表2】
【0178】
実施例2からの利用可能データは、PS−20濃度の0.006%への低下が粒子形成を軽減し、その後の不良の徴候なしに、少なくとも9ヶ月間(アルギニン製剤)または18ヶ月間(トレハロース製剤)にわたり安定している、抗体製剤製品が製造されたことを示唆した。
【0179】
実施例3
粒子検出のための直交法
粒子検出および定量化のための主要方法は、実施例2に例示されるような目視検査による外観試験であった。目視検査は、いくつかの理由から変動した。一般に、目視検査は、ヒト知覚の内在的変動性のために変動し、異なる個人では異なる結果がもたらされた。これらの粒子の非常に小さなサイズのために、それらの視認性は光量に高度に左右され、それらはバイアルおよびPFSの双方で、粒子標準物質とは異なった。これらの要因は、時点間および分析者間における結果の変動性を増大させた。
【0180】
外観結果を確認するために、直交法を調べた。トレハロース製剤中で形成された粒子は、個々に見るには小さすぎたため、肉眼不可視粒子法を調べた。2週間、および2、5、および9ヶ月目の様々なロットからの最悪例サンプル(100g/L、Tre、0.02%のPS−20、バイアル)が、DLS、FC、HIAC、およびMFIによって比較された。
【0181】
DLSが100g/Lで実施され、予測されたように主要ピークの過小評価と、全てのピークサイズの不信頼性をもたらした。2、5、および9ヶ月目のサンプルでは、サイズが1.4〜2.2μmの大きなピークが検出された。報告されたサイズは信頼できなかったが、ピークの存在は可視粒子と相関した。しかし、報告された粒度または粒子ピーク強度のどちらも、外観結果と相関しなかった。
【0182】
HIAC結果は、全てのサンプルで同様であり、粒子は検出されなかった。
【0183】
>10μmおよび>25μm粒子のMFIカウントは、全てのサンプルで同様であった。しかし、>1μmおよび>2μm粒子のMFIカウント、およびFCカウントは、外観結果と同じ傾向を示しており、試料齢の関数として増大する。これらのサンプルの結果は、
図18に示される。
【0184】
さらなる実験は、MFIによる>1μm粒子が、大型粒子またはFCカウントよりも、さらに信頼できる外観結果に関する傾向を提供することを示唆する(データ未掲載)。
【0185】
可視粒子を示す20g/LのArgサンプルで同様の実験を実施したが、いずれの直交法も、これらの粒子の検出に成功しなかった。アルギニン製剤中に形成された粒子は、トレハロース中に形成されたものよりもはるかに大型のようであり、個々の粒子が見られたが、これが、肉眼不可視粒子法でそれらが検出されなかった理由であると思われた。
【0186】
MFIを使用して、実施例2におけるPS−20濃度の効果を確認した。MFIと外観スコアの比較は、実施例2の9ヶ月時点について
図19に示される。追加的な測定値(図示せず)と共に、比較は、MFI数が、およそ100,000個の粒子>1μm/mLを超えた場合に、粒子が目に見えたことを示唆した。MFI結果は、0.002〜0.01%のPS−20によって、特にPFS内で、粒子形成が軽減されたという結論への追加的支持を提供した。バイアルデータは、最悪例を検討し、0.006%のPS−20の標的濃度で安定していた。
【0187】
実施例4
安定性試験
追加的な安定性試験を実施して、0.006%のPS−20濃度という新しい標的で、先の試験の全ての形状を調べ、これらの製剤が安定しているという信頼性を追加した。タンパク質濃度区分ならびに充填容量区分に含まれる区分は、
図20にグラフで示される。
【0188】
充填容量区分の追加は、トレハロース製剤によってカバーされる用量範囲を増大させた。これらの追加的な形状は、粒子形成がより緩慢で直交法によって検出され得ないためにより危険度の高い、アルギニン製剤と関連するリスクを低下させた。この安定性試験に含まれるサンプルは、次のとおりであった:
・0、2、および20g/Lの1mL充填、アルギニン製剤、0.006%のPS−20;
・0および2g/Lの0.3mL充填、アルギニン製剤、0.006%のPS−20;
・0、20、50、および100g/Lの1mL充填、トレハロース製剤、0.006%PS−20;および
・0および20g/Lの0.3mL充填、トレハロース製剤、0.006%PS−20。
【0189】
サンプルを離れた場所に2回配送して流通過程をシミュレートし、次に5℃、25℃、および40℃で安定させた。
【0190】
アルギニン製剤では9ヶ月間のデータが収集され、トレハロース製剤では12ヶ月間のデータが収集された。結果は、歴史的データに一致して、この時点までに、これらのサンプル中に粒子は観察されなかった。さらに、肉眼不可視粒子中に経時的傾向は観察されなかったが、中程度に高い外れ値が、少数出現した。全てのアッセイの結果の範囲は、表3に示される。
【0191】
【表3】
【0192】
データは、総用量範囲に関する、この製剤区分の推奨を支持した。トレハロース区分は、リスクがアルギニン区分よりも低く、6mg程度に低い用量について推奨された。
【0193】
実施例2〜4の結論
以前の長期安定性試験における粒子観察は、安定性を改善するために変化させ得る製剤変数の研究に導いた。重要な変数であるタンパク質およびポリソルベート濃度が試験され、分析された。上で報告されるデータに基づいて、0.002%〜0.01%の許容範囲、および0.006%のポリソルベートの標的は、抗IL5R抗体製剤に関して最適の配合と判定された。この観察は、18および12ヶ月間の利用可能データがある2つの安定性試験によって、主に外観試験によって支持された。
【0194】
20mg/mLで0.3〜1.0mLの容量区分を使用して、6〜20mgの範囲において、アルギニン製剤でなくトレハロース製剤を使用し得ることもまた、観察された。トレハロース製剤は、より大型のデータセットとより良い検出のために、アルギニン製剤よりもさらに予測可能であることが分かった。
【0195】
実施例5
宿主細胞タンパク質(HCP)の低減に焦点を合わせて、追加的な精製開発を実施して、粒子形成に対するHCPの効果を判定した。抗IL5Rは、
図21に概説されるようにして精製された。
【0196】
プロテインAカラムの通過画分の2Dゲル分析は、いくつかのタンパク質種が存在したことを示唆した。例えば、
図22を参照されたい。逆相質量分光分析(RP−MS)による判定で、主要な不純物は、約60%のFab断片、約5%の軽鎖(LC)および断片、および約40%の非抗IL5R関連宿主細胞タンパク質(HCP)を含んだ。非抗IL5R関連HCPは、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、フルクトース二リン酸アルドラーゼ、およびトランスアルドラーゼを含んだ。
【0197】
プロテインAカラムの通過画分をタンパク質Lカラムにさらに通過させて、(1)Fab断片を(2)非抗IL5R HCPからさらに分離した。Fab断片でなく、非抗IL5R HCP中のいくつかの材料が、粒子形成の原因であることが分かった(データ未掲載)。
【0198】
主要なHCPが、粒子形成の原因であることを判定するために、GSTを最初に調べた。粒子形成におけるGSTの役割は、(1)粒子形成に対する効果を判定するためのGSTの選択的除去、(2)ペレット中のGSTの存在を判定するための粒子ペレットの分析、および(3)粒子形成に対する効果を判定するための抗IL5R製剤へのGST添加によって調べた。
【0199】
グルタチオン−セファロース抱合体からできているアフィニティマトリックスを使用したGSTの特異的除去の予備的証拠は、GST除去が粒子形成低下をもたらしたことを示唆した(データ未掲載)。プロテインA通過画分から形成されるペレット分析は、ペレット中の高濃度のGSTを示唆した(データ未掲載)。
【0200】
粒子を欠く精製抗IL5R製剤に、GSTを添加(すなわち、スパイク)して、粒子製剤に対するGSTの効果を判定した。GSTは、商業的供給源(Prospec)から入手された。50mg/mLの抗IL5R、20mMのヒスチジン−HCl緩衝液、9%(w/v)のトレハロース、0.02%のPS−20、pH6.0を含む製剤にGSTを添加して、3.8μg/mgおよび7.6μg/mgのGST濃度を得た。サンプルは、38〜42℃でインキュベートした。サンプルをライトボックスに載せて、粒子を観察した。粒子形成を観察するために必要なインキュベーション時間は、GSTの存在レベルに左右された。3.8μg/mgおよび7.6μg/mgの双方のGST添加サンプルについて、38〜42℃で24時間後に粒子が観察された(データ未掲載)。
【0201】
これらの結果は、抗IL5R製剤へのGST添加が、抗IL5R製剤中で粒子形成を引き起こすことを示唆した。
【0202】
実施例6
様々な手段によって精製された様々な抗IL5R製剤中のGST活性を調べた。準備事項として、GST(BioVision)の活性アッセイを使用してGST濃度を判定し、標準曲線を形成した。GSTは、340nMで検出されるGS−DNB抱合体を形成するために、1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン(CDNB)などの求電子性化合物へのグルタチオン(GSH)のチオール基形成を触媒する。したがって、340nMにおける吸収増大は、GST活性と正比例する。このアッセイを使用して、様々な手順を使用して精製された様々な抗IL5R製剤(サンプルA〜J)について、GSTの濃度を判定した。GST濃度と粒子形成の間の相関が、注目された。結果は、表4に提供される。
【0203】
【表4】
【0204】
この証拠は、GSTの存在が、粒子形成と関連があることを確認する。
【0205】
実施例7
様々な精製カラムを調べて、抗IL5R製剤中のGST濃度を低下させる最も効率的な方法を同定した。表5を参照されたい。実施例7で概説されるようにして、GST濃度を判定した。
【0206】
【表5】
【0207】
表5は、プロテインAカラム(MabSelect Sure)と混合モードクロマトグラフィーカラム(CaptoAdhere)の双方が、抗IL5R抗体の精製中に、GST濃度を検出可能レベル未満に低減することに成功したことを示唆する。
【0208】
実施例8
その他の抗体製剤中のGSTの存在を調べた。これらの抗体製剤中の粒子の存在もまた調べた。結果は、コメントと共に表6に報告される。
【0209】
【表6】
【0210】
本明細書に記載される全ての様々な実施形態または選択肢は、あらゆる全てのバリエーションで組み合わせ得る。そのいくつかの実施形態を参照して、本発明を具体的に示し説明したが、当業者は、それらが単なる例として提示され、限定でなく、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更が可能であることを理解するであろう。したがって本発明の広さおよび範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ定義されるべきである。
【0211】
学術誌論文または抄録、公開されたまたは対応する米国または外国特許出願、付与された特許もしくは外国特許、またはあらゆるその他の文献をはじめとする、本明細書で引用される全ての文献は、引用された文献中に提示される全てのデータ、表、数値、および文章を含めて、それぞれその全体を参照によって本明細書に援用する。