(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-153225(P2021-153225A)
(43)【公開日】2021年9月30日
(54)【発明の名称】ネットワーク試験装置およびネットワーク試験方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/70 20130101AFI20210903BHJP
H04L 29/14 20060101ALI20210903BHJP
【FI】
H04L12/70 100Z
H04L13/00 315Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-52349(P2020-52349)
(22)【出願日】2020年3月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】大坪 翼
【テーマコード(参考)】
5K030
5K035
【Fターム(参考)】
5K030GA14
5K030HB15
5K030JA10
5K030LA15
5K030MA04
5K030MB06
5K035AA03
5K035BB01
5K035CC08
5K035CC09
5K035EE01
5K035FF01
5K035GG01
5K035JJ04
(57)【要約】
【課題】時刻情報の分解能の向上を図る。
【解決手段】送信時のデータフレームに時刻情報を格納するときは、データフレームの生成時の先頭ビットを送信タイミング信号として検出し(ST1)、検出した送信タイミング信号を時刻情報を生成するための動作クロック周波数に載せ替え(ST2)、載せ替えられた送信タイミング信号で時刻を打刻し(ST3)、送信時のデータフレームに時刻情報を格納する(ST4)。受信時のデータフレームに時刻情報を格納するときは、データフレームの受信時の先頭ビットを受信タイミングとして検出し(ST11)、検出した受信タイミング信号を時刻情報を生成するための動作クロック周波数に載せ替え(ST12)、載せ替えられた受信タイミング信号で時刻を打刻し(ST13)、受信時のデータフレームに時刻情報を格納する(ST14)。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物(W)の通信規格に対応して生成される試験信号のデータフレームを前記被測定物に入力し、前記試験信号のデータフレームの入力に伴って前記被測定物から受信するデータフレームに基づいて各種試験の測定を行うネットワーク試験装置(1)において、
時刻情報を生成する時刻情報生成部(6)と、
該時刻情報生成部の動作クロック周波数よりも遅い動作クロック周波数で動作し、前記被測定物に入力する前記試験信号のデータフレームを生成するもので、前記時刻情報生成部にて生成される時刻情報を前記生成したデータフレームに格納するときに、当該データフレームの生成時の先頭ビットを送信タイミング信号として検出し、該送信タイミング信号を前記時刻情報生成部の動作クロック周波数に載せ替える信号生成部(3)と、
該信号生成部と同じ動作クロック周波数で動作し、前記被測定物からの信号のデータフレームを受信して前記各種試験の測定を行うもので、前記時刻情報生成部にて生成される時刻情報を前記受信したデータフレームに格納するときに、当該データフレームの受信時の先頭ビットを受信タイミングとして検出し、該受信タイミング信号を前記時刻情報生成部の動作クロック周波数に載せ替える信号測定部(5)と、を備え、
前記時刻情報生成部は、前記信号生成部にて生成されるデータフレームに時刻情報を格納するときに、前記信号生成部のデータフレーム生成時に載せ替えられた送信タイミング信号で時刻を打刻し、前記信号測定部にて受信されるデータフレームに時刻情報を格納するときに、前記信号測定部のデータフレーム受信時に載せ替えられた受信タイミング信号で時刻を打刻することを特徴とするネットワーク試験装置。
【請求項2】
時刻情報を生成する時刻情報生成部(6)と、該時刻情報生成部の動作クロック周波数よりも遅い動作クロック周波数で動作し、被測定物(W)の通信規格に対応した試験信号のデータフレームを生成する信号生成部(3)と、前記信号生成部と同じ動作クロック周波数で動作し、前記被測定物からの信号のデータフレームを受信して前記被測定物の各種試験の測定を行う信号測定部(5)と、を備えたネットワーク試験装置(1)を用いたネットワーク試験方法であって、
前記時刻情報生成部にて生成される時刻情報を前記信号生成部にて生成したデータフレームに格納するときに、当該データフレームの生成時の先頭ビットを送信タイミング信号として検出し、該送信タイミング信号を前記時刻情報生成部の動作クロック周波数に載せ替えるステップと、
前記時刻情報生成部にて生成される時刻情報を前記信号測定部にて受信したデータフレームに格納するときに、当該データフレームの受信時の先頭ビットを受信タイミングとして検出し、該受信タイミング信号を前記時刻情報生成部の動作クロック周波数に載せ替えるステップと、
前記信号生成部にて生成されるデータフレームに時刻情報を格納するときに、前記信号生成部のデータフレーム生成時に載せ替えられた送信タイミング信号で時刻を打刻するステップと、
前記信号測定部にて受信されるデータフレームに時刻情報を格納するときに、前記信号測定部のデータフレーム受信時に載せ替えられた受信タイミング信号で時刻を打刻するステップと、を含むことを特徴とするネットワーク試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばルータ、スイッチングハブ、伝送装置などのネットワーク機器やネットワーク回線を被測定物(DUT:Device Under Test )として各種試験を行うネットワーク試験装置およびネットワーク試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばルータ、スイッチングハブ、伝送装置などのネットワーク機器やネットワーク回線を被測定物として各種試験を行う装置として、例えば下記特許文献1や特許文献2などに開示されるネットワーク試験装置が知られている。
【0003】
ネットワーク試験装置では、被測定物の通信規格に対応して生成される試験信号を被測定物に入力し、この試験信号の入力に伴って被測定物から出力される信号を解析して各種試験を行っている。
【0004】
ところで、ネットワーク試験装置では、例えば被測定物としてのネットワークの遅延量を知るためにLatency測定が行われるが、このLatency測定には時刻情報が必要不可欠である。Latencyとは、ネットワーク試験装置から被測定物に対して送信したデータフレームを被測定物を介して受信した際、送信タイムスタンプ付きのデータフレームに対し受信時に受信タイムスタンプを付加して送信時刻と受信時刻の差分を求めて得られる送信から受信までにかかった時間を意味する。
【0005】
ところが、従来のネットワーク試験装置において、時刻情報を生成する時刻情報生成部には、一般的に、小数部の演算を避けるため、端数の無い動作クロック周波数が用いられる。このため、時刻情報生成部の動作クロック周波数には、データフレームを生成する信号生成部や被測定物からのデータフレームを受信する信号測定部の動作クロック周波数とは異なる動作クロック周波数が用いられる。したがって、データフレームの送受信時の時刻情報をデータフレームに格納する場合、時刻情報生成部の動作クロック周波数で時刻情報を生成し、生成した時刻情報を信号生成部や信号測定部の動作クロック周波数に載せ替える必要があった。
【0006】
そこで、従来のネットワーク試験装置では、ハンドシェイク型の非同期の載せ替え回路を用い、時刻情報のクロック載せ替えを行ってデータフレームに時刻情報を格納していた。以下、データフレームの送受信時の時刻情報の格納方法について
図3(a),(b)を参照しながら説明する。なお、時刻情報生成部の動作クロック周波数をC(Hz)、信号生成部と信号測定部の動作クロック周波数をD(Hz)とする。
【0007】
[データフレーム送信時の時刻情報の格納方法]
信号生成部にて生成されたデータフレームに時刻情報を格納する場合には、
図3(a)に示すように、時刻情報生成部にて動作クロック周波数C(Hz)により時刻情報を生成する(ST21)。次に、生成した時刻情報を信号生成部の動作クロック周波数D(Hz)に載せ替えるために時刻情報をホールドする(ST22)。続いて、ホールドした時刻情報を使用してデータフレーム生成時に時刻を打刻する(ST23)。そして、打刻した時刻を信号生成部の動作クロック周波数D(Hz)でデータフレームに格納する(ST24)。
【0008】
[データフレーム受信時の時刻情報の格納方法]
信号測定部にて受信されるデータフレームに時刻情報を格納する場合には、
図3(b)に示すように、時刻情報生成部にて動作クロック周波数C(Hz)により時刻情報を生成する(ST31)。次に、生成した時刻情報を信号測定部の動作クロック周波数D(Hz)に載せ替えるために時刻情報をホールドする(ST32)。続いて、ホールドした時刻情報を使用してデータフレーム受信時に時刻を打刻する(ST33)。そして、打刻した時刻を信号測定部の動作クロック周波数D(Hz)でデータフレームに格納する(ST34)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2015−195468号公報
【特許文献2】特開2015−185861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の方法では、ハンドシェイク型の非同期の載せ替え回路により、時刻情報生成部の動作クロック周波数で時刻情報をホールドしており、ホールド期間として、ホールド開始信号を信号生成部(または信号測定部)の動作クロック周波数で同期するためのフリップフロップ回路で2クロック、この同期したホールド開始信号で時刻情報をラッチしてラッチ完了信号を生成するために1クロック、さらにこのラッチ完了信号を時刻情報生成部の動作クロック周波数で同期するためのフリップフロップ回路で2クロック、この同期したラッチ完了信号で時刻情報をホールドし直すのに1クロックを要する。その結果、合計で(3×時刻情報生成部の動作クロック周波数)+(3×信号生成部(または信号測定部)の動作クロック周波数)=60nsec程度まで分解能が落ちてしまう。
【0011】
このように、従来の方法では、ハンドシェイク型の非同期の載せ替え回路を用いて時刻情報のクロック載せ替えを行うので、時刻情報生成部にて時刻情報をホールドする分だけ分解能が落ちてしまい、データフレームに格納される時刻情報の信頼性に欠けていた。
【0012】
また、従来の方法では、複数ビットのデータ(時刻情報)を非同期転送するため、ビット間にスキューが発生し、ある一定区間(サンプリングする側の周波数でデータをラッチするまで)はビットが変化しないように必ずデータを一定にする必要があった。
【0013】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、時刻情報の分解能の向上を図ることができるネットワーク試験装置およびネットワーク試験方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載されたネットワーク試験装置は、被測定物Wの通信規格に対応して生成される試験信号のデータフレームを前記被測定物に入力し、前記試験信号のデータフレームの入力に伴って前記被測定物から受信するデータフレームに基づいて各種試験の測定を行うネットワーク試験装置1において、
時刻情報を生成する時刻情報生成部6と、
該時刻情報生成部の動作クロック周波数よりも遅い動作クロック周波数で動作し、前記被測定物に入力する前記試験信号のデータフレームを生成するもので、前記時刻情報生成部にて生成される時刻情報を前記生成したデータフレームに格納するときに、当該データフレームの生成時の先頭ビットを送信タイミング信号として検出し、該送信タイミング信号を前記時刻情報生成部の動作クロック周波数に載せ替える信号生成部3と、
該信号生成部と同じ動作クロック周波数で動作し、前記被測定物からの信号のデータフレームを受信して前記各種試験の測定を行うもので、前記時刻情報生成部にて生成される時刻情報を前記受信したデータフレームに格納するときに、当該データフレームの受信時の先頭ビットを受信タイミングとして検出し、該受信タイミング信号を前記時刻情報生成部の動作クロック周波数に載せ替える信号測定部5と、を備え、
前記時刻情報生成部は、前記信号生成部にて生成されるデータフレームに時刻情報を格納するときに、前記信号生成部のデータフレーム生成時に載せ替えられた送信タイミング信号で時刻を打刻し、前記信号測定部にて受信されるデータフレームに時刻情報を格納するときに、前記信号測定部のデータフレーム受信時に載せ替えられた受信タイミング信号で時刻を打刻することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項2に記載されたネットワーク試験方法は、時刻情報を生成する時刻情報生成部6と、該時刻情報生成部の動作クロック周波数よりも遅い動作クロック周波数で動作し、被測定物Wの通信規格に対応した試験信号のデータフレームを生成する信号生成部3と、前記信号生成部と同じ動作クロック周波数で動作し、前記被測定物からの信号のデータフレームを受信して前記被測定物の各種試験の測定を行う信号測定部5と、を備えたネットワーク試験装置1を用いたネットワーク試験方法であって、
前記時刻情報生成部にて生成される時刻情報を前記信号生成部にて生成したデータフレームに格納するときに、当該データフレームの生成時の先頭ビットを送信タイミング信号として検出し、該送信タイミング信号を前記時刻情報生成部の動作クロック周波数に載せ替えるステップと、
前記時刻情報生成部にて生成される時刻情報を前記信号測定部にて受信したデータフレームに格納するときに、当該データフレームの受信時の先頭ビットを受信タイミングとして検出し、該受信タイミング信号を前記時刻情報生成部の動作クロック周波数に載せ替えるステップと、
前記信号生成部にて生成されるデータフレームに時刻情報を格納するときに、前記信号生成部のデータフレーム生成時に載せ替えられた送信タイミング信号で時刻を打刻するステップと、
前記信号測定部にて受信されるデータフレームに時刻情報を格納するときに、前記信号測定部のデータフレーム受信時に載せ替えられた受信タイミング信号で時刻を打刻するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、打刻タイミングのみ非同期載せ替えを行って打刻しているため時刻情報に変化はなく、時刻情報の分解能を落とさずにデータフレームに時刻情報を格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るネットワーク試験装置のブロック構成図である。
【
図2】(a),(b)本発明に係るネットワーク試験装置におけるデータフレームの送受信時の時刻情報の格納方法の手順を示すフローチャートである。
【
図3】(a),(b)従来のネットワーク試験装置におけるデータフレームの送受信時の時刻情報の格納方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態のネットワーク試験装置1は、操作部2、信号生成部3、入出力部4、信号測定部5、時刻情報生成部6、制御部7、表示部8を備えて概略構成される。ネットワーク試験装置1は、例えばルータ、スイッチングハブ、伝送装置などのネットワーク機器やネットワーク回線(例えば100G、400Gイーサネット(登録商標)など)を被測定物(DUT:Device Under Test )Wとし、被測定物Wの通信規格に対応して生成される試験信号を被測定物Wに入力し、試験信号の入力に伴う被測定物Wからの信号に基づいて各種試験を行うものである。
【0020】
操作部2は、装置本体に備える例えば操作ノブ、各種キー、スイッチ、ボタンの他、テンキーや各種設定キーを備えたキーボードやマウスなどの入力装置、表示部8の表面に設けられたタッチパネルなどの入力装置で構成される。操作部2は、例えば被測定物Wの各種測定の開始や停止、測定間隔などの測定条件の設定、被測定物Wに送信されるデータフレームの符号形式(NRZ(Non Return to Zero)/PAM(Pulse Amplitude Modulation))の選択設定、データフレームを生成するためのパラメータなど、被測定物Wの各種測定に関する処理を実行する際にユーザにより操作される。
【0021】
信号生成部3は、被測定物Wの通信規格に対応した試験信号としての複数レーンのデータフレームを生成し、生成した複数レーンのデータフレームの試験信号を入出力部4を介して被測定物Wに送信する。例えばクロック周波数330MHz×160bit=52.8Gbpsを1レーンのデータフレームとして、8レーンパラレルのデータフレームの試験信号を生成する。
【0022】
信号生成部3は、時刻情報生成部6の動作クロック周波数よりも遅い動作クロック周波数で動作し、時刻情報生成部6にて生成される時刻情報をデータフレームに格納して送信タイムスタンプ付きのデータフレームとする際、データフレーム生成時の送信タイミング信号(データフレーム生成時の先頭ビット:1bit)を検出し、検出した送信タイミング信号を時刻情報生成部6の動作クロック周波数に載せ替える。
【0023】
入出力部4は、信号生成部3と被測定物Wとの間で試験信号のデータフレームを送信し、被測定物Wと信号測定部5との間で試験信号のデータフレームを受信する。入出力部4は、例えばQSFP−DD、CFP8、OSFPなどの光トランシーバモジュールを備え、電気信号と光信号を相互に変換するE/O変換器やO/E変換器などを含む。
【0024】
例えばQSFP DD(DR4、LR4、FR4)の光トランシーバモジュールを採用した場合には、信号生成部3にて生成された8レーンパラレルの電気信号を4レーンパラレルの光信号に変換し、被測定物Wからの4レーンパラレルの光信号を8レーンパラレルの電気信号に変換する。
【0025】
また、QSFP DD(LR8、FR8、SR8)の光トランシーバモジュールを採用した場合には、信号生成部3にて生成された8レーンパラレルの電気信号を4レーンパラレルの光信号に変換し、被測定物Wからの8レーンパラレルの光信号を8レーンパラレルの電気信号に変換する。
【0026】
信号測定部5は、入出力部4の光トランシーバモジュールにて変換された電気信号のデータフレームをもとに、エラー検出などを含む各種測定を行う。信号測定部5は、例えばエラー検出を行う場合、操作部2にて予め設定される設定タイミングにより、被測定物Wに送信した電気信号のデータフレーム(例えば160ビットのデータ)と、入出力部4の光トランシーバモジュールからの電気信号のデータフレーム(例えば160ビットのデータ)との同期を取りビット比較してエラーの有無を検出する。すなわち、信号測定部5は、被測定物Wに送信したデータフレームと被測定物Wから受信した入出力部4の光トランシーバモジュールからのデータフレームをビット比較し、両者が一致すればエラー無し:0、両者が一致しなければエラー有り:1として、エラー検出を行う。
【0027】
なお、上記設定タイミングは、例えば表示部8の不図示の設定画面上で操作部2にて予め設定されるもので、例えばエラーを含む特定パターンと一致するパターンのデータを受信するタイミング、被測定物Wがトリガー信号を発生するタイミング、ユーザの指示(例えばボタン操作)によりトリガー信号を発生するタイミング、エラーを検知したタイミングである。
【0028】
信号測定部5は、時刻情報生成部6の動作クロック周波数よりも遅い動作クロック周波数で動作し、時刻情報生成部6にて生成される時刻情報をデータフレームに格納して送信タイムスタンプ付きのデータフレームとする際、データフレーム受信時の受信タイミング信号(データフレーム受信時の先頭ビット:1bit)を検出し、検出した受信タイミング信号を時刻情報生成部6の動作クロック周波数に載せ替える。
【0029】
時刻情報生成部6は、データフレームの生成時や受信時に時刻を打刻して時刻情報を生成するもので、信号生成部3や信号測定部5の動作クロック周波数よりも早い動作クロック周波数で動作する。時刻情報生成部6の動作クロック周波数の信号には、例えば高精度な発振器の信号やGPS(Global Positioning System :全地球測位システム)に同期した信号が用いられる。時刻情報生成部6は、信号生成部3にて生成されるデータフレームに時刻情報を格納して送信タイムスタンプ付きのデータフレームにする際、信号生成部3のデータフレーム生成時に載せ替えられた送信タイミング信号(データフレーム生成時のデータフレームの先頭ビット)で時刻を打刻する。
【0030】
また、時刻情報生成部6は、信号測定部5にて受信されるデータフレームに時刻情報を格納して受信タイムスタンプ付きのデータフレームにする際、信号測定部5のデータフレーム受信時に載せ替えられた受信タイミング信号(データフレーム受信時のデータフレームの先頭ビット)で時刻を打刻する。
【0031】
制御部7は、例えばCPU、ROM、RAMなどを含むマイクロコンピュータなどで構成され、ネットワーク試験装置を構成する各部を統括制御するもので、操作部2の設定に基づく信号生成部3でのデータフレームの生成制御、入出力部4におけるデータフレームの送受信制御、時刻情報生成部6での時刻の打刻制御、信号生成部3や信号測定部5でのデータフレームへの時刻情報の格納制御、操作部2の設定に基づく切替部13の切替制御、操作部2の設定に基づく信号測定部5での各種測定制御、表示部8への設定画面や測定結果の表示制御などを行う。
【0032】
表示部8は、例えば液晶やエレクトロルミネセンス(EL:Electroluminescence )などの表示機器で構成され、操作部2の操作に基づく各種試験を行うための設定画面の表示、信号測定部5での各種測定結果の表示などを行う。
【0033】
次に、上記のように構成されるネットワーク試験装置1の動作として、データフレームの送受信時の時刻情報の格納方法について
図2(a),(b)のフローチャートを参照しながら説明する。なお、時刻情報生成部6の動作クロック周波数をA(Hz)、信号生成部3と信号測定部5の動作クロック周波数をB(Hz)(<A(Hz))とする。
【0034】
[データフレーム送信時の時刻情報の格納方法]
信号生成部3は、
図2(a)に示すように、データフレームを生成すると、このデータフレームの先頭ビット(1bit)を送信タイミング信号として検出する(ST1)。そして、検出した送信タイミング信号を時刻情報生成部6の動作クロック周波数A(Hz)に載せ替える(ST2)。
【0035】
次に、時刻情報生成部6は、時刻情報生成部6の動作クロック周波数A(Hz)に載せ替えられた送信タイミング信号(データフレーム生成時のデータフレームの先頭ビット)で時刻を打刻する(ST3)。
【0036】
そして、打刻した時刻を信号生成部3の動作クロック周波数B(Hz)でデータフレームに格納する(ST4)。これにより、送信タイムスタンプ付きのデータフレームが得られる。
【0037】
[データフレーム受信時の時刻情報の格納方法]
信号測定部5は、
図2(b)に示すように、データフレームを受信すると、このデータフレームの先頭ビット(1bit)を受信タイミング信号として検出する(ST11)。そして、検出した受信タイミング信号を時刻情報生成部6の動作クロック周波数A(Hz)に載せ替える(ST12)。
【0038】
次に、時刻情報生成部6は、時刻情報生成部6の動作クロック周波数A(Hz)に載せ替えられた受信タイミング信号(データフレーム受信時のデータフレームの先頭ビット)で時刻を打刻する(ST13)。
【0039】
そして、打刻した時刻を信号測定部5の動作クロック周波数B(Hz)でデータフレームに格納する(ST14)。これにより、受信タイムスタンプ付きのデータフレームが得られる。
【0040】
このように、本実施の形態によれば、打刻タイミングのみ非同期載せ替えを行って打刻しているため時刻情報に変化はなく、時刻情報の分解能を落とさずにデータフレームに時刻情報を格納することができる。具体的には、本実施の形態によれば、
図3(a),(b)に示すハンドシェイク型の非同期の載せ替え回路を用いた従来の方法と比較して、分解能が60nsecから10nsecに向上し、データフレームの生成時刻やデータフレームの受信時刻の分解能の向上を図ることができる。
【0041】
また、時刻情報生成部6は、使用するデバイス(FPGA:field-programmable gate array )の能力に応じて動作クロック周波数の向上を図れば、より高精度な時刻情報をデータフレームに格納することができる。
【0042】
以上、本発明に係るネットワーク試験装置およびネットワーク試験方法の最良の形態について説明したが、この形態による記述および図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例および運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0043】
1 ネットワーク試験装置
2 操作部
3 信号生成部
4 入出力部
5 信号測定部
6 時刻情報生成部
7 制御部
8 表示部
W 被測定物(DUT)