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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-1537(P2021-1537A)
(43)【公開日】2021年1月7日
(54)【発明の名称】自動ダンプ制御を備えた産業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20201204BHJP
   F15B 11/04 20060101ALN20201204BHJP
【FI】
   E02F9/22 Q
   F15B11/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-99935(P2020-99935)
(22)【出願日】2020年6月9日
(31)【優先権主張番号】62/863,993
(32)【優先日】2019年6月20日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】518344748
【氏名又は名称】ジョイ・グローバル・サーフェイス・マイニング・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ロバート・ウトケ
【テーマコード(参考)】
2D003
3H089
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB04
2D003BA07
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB05
2D003FA02
3H089AA34
3H089BB06
3H089BB28
3H089CC01
3H089GG02
3H089JJ02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ダンプシリンダー内のピストンの位置を監視することにより、産業機械のダンプシリンダー内のコンポーネントが受ける衝撃力を軽減する制御を提供する。
【解決手段】ピストンの位置は、ダンプシリンダー内のセンサーを使用して判定される。センサーは出力信号を生成し、コントローラーに提供する。センサーからの出力信号に基づいて、コントローラーは、ダンプ動作中のダンプシリンダーの移動を制限して、(例えば、ダンプシリンダーが急速に伸張しまたは後退し、内部のシリンダーコンポーネントがロッドまたはキャップエンドと強く接触するときに発生する損傷を防ぐことにより)ダンプシリンダーの摩耗を減らすように構成される。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械であって、
本体とドアを有するバケットであって、前記産業機械が、前記バケットを操作して物質を掘るように構成された、バケットと、
ピストンを有し、前記ドアを開閉するように構成されたダンプシリンダーと、
前記ダンプシリンダー内の前記ピストンの位置を感知するように構成された位置センサーと、
プロセッサとメモリを含む電子コントローラーであって、
前記ドアを移動させるために、前記ダンプシリンダーを第1の位置から第2の位置に向かって初期速度で制御し、
前記位置センサーから出力信号を受信し、
前記出力信号に基づいて前記ピストンの位置を判定し、
前記ダンプシリンダーが前記第1の位置から前記第2の位置に移動するとき、前記ピストンの前記判定された位置に基づいて、前記ダンプシリンダーの速度を前記初期速度から低下させるように構成される電子コントローラーと、を含む、産業機械。
【請求項2】
前記電子コントローラーは、
前記位置センサーからのさらなる出力信号に基づいて、前記ピストンが前記第2の位置に達したときを判定し、
前記ピストンが前記第2の位置に到達したと判定したことに基づいて、前記ダンプシリンダーを停止するようにさらに構成された、請求項1に記載の産業機械。
【請求項3】
前記第1の位置は、前記ドアが開いていて、前記バケット内の物質が排出される全開目標位置、および前記ドアが閉じていて、前記バケット内の物質が保持されている全閉目標位置のグループから選択され、
前記第2の位置は、前記全開目標位置および前記全閉目標位置のうちの他方である、請求項1に記載の産業機械。
【請求項4】
前記出力信号に基づいて前記ダンプシリンダーの速度を前記初期速度から低下させるために、前記電子コントローラーは、線形ランプダウン関数、対数ランプダウン関数、および2次ランプダウン関数のグループから選択された関数にしたがって、前記ダンプシリンダーの速度を低下させるように構成される、請求項1記載の産業機械。
【請求項5】
前記第2の位置は移動終了位置であり、前記ピストンは、前記第1の位置と前記第2の位置との間に位置する速度転移点をさらに含み、前記速度転移点が前記第1の位置よりも前記第2の位置に近く、
前記出力信号に基づいて前記ダンプシリンダーの速度を前記初期速度から低下させるために、前記電子コントローラーは、
前記出力信号に基づいて、前記ピストンが前記速度転移点に達したと判定し、それに応答して、前記ダンプシリンダーの速度を前記初期速度から低下させるように構成される、請求項1記載の産業機械。
【請求項6】
前記電子コントローラーは、
前記位置センサーを較正して、故に、前記ダンプシリンダーの前記第1の位置、前記第2の位置、および前記速度転移点を学習するようにさらに構成される、請求項5に記載の産業機械。
【請求項7】
前記電子コントローラーは、
前記ドアを移動させるために前記第2の位置から前記第1の位置に向かって初期戻り速度で前記ダンプシリンダーを制御し、
前記位置センサーからさらなる出力信号を受信し、
前記さらなる出力信号に基づいて前記ピストンの位置を判定し、
前記ダンプシリンダーが前記第2の位置から前記第1の位置に移動するとき、前記さらなる出力信号に基づいて判定された前記ピストンの位置に基づいて、前記ダンプシリンダーの速度を前記初期戻り速度から低下させるようにさらに構成される、請求項1に記載の産業機械。
【請求項8】
前記初期速度および前記初期戻り速度のグループから選択される少なくとも1つは、前記ダンプシリンダーの最大速度である、請求項1に記載の産業機械。
【請求項9】
前記電子コントローラーは、
ユーザーインターフェイスから自動ダンプ制御をアクティブにする信号を受信するようにさらに構成され、
前記電子コントローラーは、前記自動ダンプ制御をアクティブにする前記信号の受信に応答して、前記第1の位置から前記第2の位置に向かって移動するように、前記ダンプシリンダーを前記初期速度で制御するようにさらに構成される、請求項1に記載の産業機械。
【請求項10】
バケットを操作して物質を掘るように構成された産業機械の前記バケットを制御する方法であって、前記バケットは、本体およびドアを有し、前記方法は、
電子コントローラーにより、前記バケットの前記ドアを動かすために第1の位置から第2の位置に向かって初期速度でダンプシリンダーを制御することであって、前記ダンプシリンダーはピストンを有し、前記ドアを開閉するように構成される、制御することと、
前記電子コントローラーによって、前記ダンプシリンダー内の前記ピストンの位置を感知するように構成された位置センサーからの出力信号を受信することと、
前記電子コントローラーにより、前記出力信号に基づいて前記ピストンの位置を判定することと、
前記ダンプシリンダーが前記第1の位置から前記第2の位置に移動するとき、前記電子コントローラーによって、前記ピストンの前記判定された位置に基づいて、前記ダンプシリンダーの速度を前記初期速度から低下させることと、を含む、方法。
【請求項11】
前記電子コントローラーによって、前記ピストンが、前記位置センサーからのさらなる出力信号に基づいて前記第2の位置に達したときを判定することと、
前記ピストンが前記第2の位置に達したと判定したことに基づき前記ダンプシリンダーを停止することと、をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の位置は、前記ドアが開いていて、前記バケット内の物質が排出される全開目標位置、および前記ドアが閉じていて、前記バケット内の物質が保持されている全閉目標位置のグループから選択され、
前記第2の位置は、前記全開目標位置および前記全閉目標位置の他方である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記出力信号に基づいて前記ダンプシリンダーの速度を前記初期速度から低下させるために、前記電子コントローラーは、線形ランプダウン関数、対数ランプダウン関数、および2次ランプダウン関数のグループから選択された関数にしたがって、前記ダンプシリンダーの速度を低下させる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の位置は移動終了位置であり、前記ピストンは、前記第1の位置と前記第2の位置との間に位置する速度転移点をさらに含み、前記速度転移点が前記第1の位置よりも前記第2の位置に近く、
前記出力信号に基づいて前記ダンプシリンダーの速度を前記初期速度から低下させるために、前記電子コントローラーは、
前記出力信号に基づいて、前記ピストンが前記速度転移点に達したと判定し、それに応答して、前記ダンプシリンダーの速度を前記初期速度から低下させる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記位置センサーを較正して、故に、前記ダンプシリンダーの前記第1の位置、前記第2の位置、および前記速度転移点を学習することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電子コントローラーによって、前記ドアを移動させるために、前記ダンプシリンダーを前記第2の位置から前記第1の位置に向かって初期戻り速度で制御することと、
前記電子コントローラーによって、前記位置センサーからのさらなる出力信号を受信することと、
前記電子コントローラーにより、前記さらなる出力信号に基づいて前記ピストンの位置を判定することと、
前記ダンプシリンダーが前記第2の位置から前記第1の位置に移動するとき、前記電子コントローラーにより、前記さらなる出力信号に基づいて判定された前記ピストンの位置に基づいて、前記初期戻り速度から前記ダンプシリンダーの速度を低下させることと、をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記初期速度および前記初期戻り速度のグループから選択される少なくとも1つが、前記ダンプシリンダーの最大速度である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記電子コントローラーにより、ユーザーインターフェイスから自動ダンプ制御をアクティブにする信号を受信することをさらに含み、
前記電子コントローラーにより、前記第1の位置から前記第2の位置に移動するために、前記ダンプシリンダーを前記初期速度で制御することは、前記自動ダンプ制御をアクティブにする前記信号を受信することに応答することである、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、ショベルまたは掘削機などの産業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧掘削機のダンププロセス(例えば、バケット開)は、例えば、フットペダルに関連するアナログセンサーを使用して、掘削機のオペレーターによって開始および制御される。しかしながら、ダンプシリンダーの位置(すなわち、ダンプシリンダー内のピストンの位置)を知ることなく、ピストンは非常に高速で完全に伸張および/または後退した位置に移動することができる。高速で完全に伸張または後退した位置に到達すると、コンポーネントの摩耗やコンポーネントの早期故障につながる可能性がある。
【0003】
本明細書に記載の実施形態は、ダンプシリンダー内のピストンの位置を監視することにより、産業機械のダンプ動作の制御を提供する。ピストンの位置は、ダンプシリンダー内に含めることができるセンサーを使用して判定される。センサーは出力信号を生成し、コントローラーに提供する。センサーからの出力信号に基づいて、コントローラーは、ダンプ動作中のダンプシリンダーの移動と速度を制限して、(例えば、ダンプシリンダーが急速に伸張または後退し、内部のシリンダーコンポーネントがロッドまたはキャップエンドと強く接触するときに発生する損傷を防ぐことにより)ダンプシリンダーの摩耗を減らすように構成される。いくつかの実施形態では、ダンプ動作は自動化されて、バケットの全可動範囲内でバケットドアを自動的に開閉する。例えば、位置センサーは、較正して、ダンプシリンダーのピストンが減速して徐々に移動終了位置に近づく減速領域を実装するために使用できる。その結果、ダンプシリンダーの内部コンポーネントが受ける衝撃力が軽減され、ダンプシリンダーの動作寿命を向上させることができる。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態では、バケット、ダンプシリンダー、位置センサー、および電子コントローラーを含む産業機械が提供される。バケットには本体とドアがあり産業機械はバケットを操作して物質を掘るように構成される。ダンプシリンダーにはピストンがありドアを開閉するように構成される。位置センサーは、ダンプシリンダー内のピストンの位置を検出するように構成される。電子コントローラーは、プロセッサおよびメモリを含み、ドアを移動させるために、第1の位置から第2の位置に向かって初期速度でダンプシリンダーを制御するように構成される。電子コントローラーは、位置センサーから出力信号を受信するようにさらに構成され、出力信号に基づいてピストンの位置を判定する。電子コントローラーは、ダンプシリンダーが第1の位置から第2の位置に向かって移動するとき、ピストンの判定された位置に基づく初期速度から、ダンプシリンダーの速度を低下させるようにさらに構成される。
【0005】
いくつかの実施形態では、電子コントローラーは、位置センサーからのさらなる出力信号に基づいて、ピストンが第2の位置に達したときを判定し、ピストンが第2の位置に到達したと判定したことに基づいて、ダンプシリンダーを停止するようにさらに構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1の位置は、ドアが開いていて、バケット内の物質が排出される全開目標位置、およびドアが閉じていて、バケット内の物質が保持されている全閉目標位置のグループから選択され、第2の位置は、全開目標位置および全閉目標位置のうちの他方である。
【0007】
いくつかの実施形態では、出力信号に基づいてダンプシリンダーの速度を初期速度から低下させるために、電子コントローラーは、線形ランプダウン関数、対数ランプダウン関数、および2次ランプダウン関数のグループから選択された関数にしたがって、ダンプシリンダーの速度を低下させるように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、第2の位置は移動終了位置であり、ピストンは、第1の位置と第2の位置との間に位置する速度転移点をさらに含み、速度転移点が第1の位置よりも第2の位置に近い。これらの実施形態のいくつかでは、出力信号に基づいてダンプシリンダーの速度を初期速度から低下させるために、電子コントローラーは、出力信号に基づいて、ピストンが速度転移点に達したと判定し、それに応答して、ダンプシリンダーの速度を初期速度から低下させるように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、電子コントローラーは、位置センサーを較正して、故に、ダンプシリンダーの第1の位置、第2の位置、および速度転移点を学習するようにさらに構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、電子コントローラーは、ドアを移動させるために第2の位置から第1の位置に向かって初期戻り速度でダンプシリンダーを制御し、位置センサーからさらなる出力信号を受信し、さらなる出力信号に基づいてピストンの位置を判定し、ダンプシリンダーが第2の位置から第1の位置に移動するとき、さらなる出力信号に基づいて判定されたピストンの位置に基づいて、ダンプシリンダーの速度を初期戻り速度から低下させるようにさらに構成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、初期速度および初期戻り速度のグループから選択される少なくとも1つは、ダンプシリンダーの最大速度である。
【0012】
いくつかの実施形態では、電子コントローラーは、ユーザーインターフェイスから自動ダンプ制御をアクティブにする信号を受信するようにさらに構成される。これらの実施形態のいくつかでは、電子コントローラーは、自動ダンプ制御をアクティブにする信号の受信に応答して、第1の位置から第2の位置に向かって移動するように、ダンプシリンダーを初期速度で制御するようにさらに構成される。
【0013】
別の実施形態では、産業機械のバケットを制御するための方法が提供される。産業機械は、バケットを操作して物質を掘るように構成され、バケットは、本体およびドアを有する。この方法は、電子コントローラーにより、バケットのドアを動かすために第1の位置から第2の位置に向かって初期速度でダンプシリンダーを制御することを含む。ダンプシリンダーはピストンを有し、ドアを開閉するように構成される。電子コントローラーは、ダンプシリンダー内のピストンの位置を感知するように構成された位置センサーからの出力信号をさらに受信し、出力信号に基づいてピストンの位置を判定する。ダンプシリンダーが第1の位置から第2の位置に移動するとき、電子コントローラーは、ピストンの判定された位置に基づいて、ダンプシリンダーの速度を初期速度から低下させる。
【0014】
方法のいくつかの実施形態では、電子コントローラーは、ピストンが、位置センサーからのさらなる出力信号に基づいて第2の位置に達したときを判定し、ピストンが第2の位置に達したと判定したことに基づきダンプシリンダーを停止する。
【0015】
方法のいくつかの実施形態では、第1の位置は、ドアが開いていて、バケット内の物質が排出される全開目標位置、およびドアが閉じていて、バケット内の物質が保持されている全閉目標位置の1つグループから選択され、第2の位置は、全開目標位置および全閉目標位置の他方である。
【0016】
方法のいくつかの実施形態では、出力信号に基づいてダンプシリンダーの速度を初期速度から低下させるために、電子コントローラーは、線形ランプダウン関数、対数ランプダウン関数、および2次ランプダウン関数のグループから選択された関数にしたがって、ダンプシリンダーの速度を低下させる。
【0017】
方法のいくつかの実施形態では、第2の位置は移動終了位置であり、ピストンは、第1の位置と第2の位置との間に位置する速度転移点をさらに含み、速度転移点が第1の位置よりも第2の位置に近い。これらの実施形態のいくつかでは、出力信号に基づいてダンプシリンダーの速度を初期速度から低下させるために、電子コントローラーは、出力信号に基づいて、ピストンが速度転移点に達したと判定し、それに応答して、ダンプシリンダーの速度を初期速度から低下させる。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法は、位置センサーを較正して、故に、ダンプシリンダーの第1の位置、第2の位置、および速度転移点を学習することをさらに含む。
【0019】
方法のいくつかの実施形態では、電子コントローラーは、ドアを移動させるために、ダンプシリンダーを第2の位置から第1の位置に向かって初期戻り速度で制御し、位置センサーからのさらなる出力信号を受信し、さらなる出力信号に基づいてピストンの位置を判定し、ダンプシリンダーが第2の位置から第1の位置に移動するとき、さらなる出力信号に基づいて判定されたピストンの位置に基づいて、初期戻り速度からダンプシリンダーの速度を低下させる。
【0020】
この方法のいくつかの実施形態では、初期速度および初期戻り速度のグループから選択される少なくとも1つが、ダンプシリンダーの最大速度である。
【0021】
方法のいくつかの実施形態では、電子コントローラーは、ユーザーインターフェイスから自動ダンプ制御をアクティブにする信号を受信し、第1の位置から第2の位置に移動するために、ダンプシリンダーを初期速度で制御することは、自動ダンプ制御をアクティブにする信号を受信することに応答する。
【0022】
実施形態の他の態様は、詳細な説明および添付図面を考慮することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本明細書に記載の実施形態による、産業機械を示す。
図2図2は、本明細書に記載の実施形態によるによる、産業機械の制御システムを示す。
図3図3は、本明細書に記載の実施形態によるによる、バケットおよびダンプシリンダーを示す。
図4図4は、本明細書に記載の実施形態による、完全に伸張した位置にあるダンプシリンダーを示す。
図5図5は、本明細書に記載の実施形態による、完全に後退した位置にあるダンプシリンダーを示す。
図6図6は、本明細書に記載の実施形態によるによる、ダンプシリンダーを示す。
図7図7は、図6のダンプシリンダーの断面を示す。
図8図8は、本明細書に記載の実施形態によるによる、センサーを含むダンプシリンダーを示す。
図9図9は、図8のセンサーを示す。
図10図10は、本明細書に記載の実施形態による、全閉位置から全開位置に移動するバケットドアのダンプシリンダー速度制御グラフを示す。
図11図11は、本明細書に記載の実施形態による、全開位置から全閉位置に移動するバケットドアのダンプシリンダー速度制御グラフを示す。
図12図12図13、および図14は、本明細書に記載の実施形態による、図1の産業機械のダンプ動作を自動的に制御するプロセスである。
図13】同上。
図14】同上。
図15図15は、本明細書に記載の実施形態による、図1の産業機械のダンプ動作を自動制御するためのプロセスである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施形態を詳細に説明する前に、実施形態は、その用途において、以下の説明に記載されるかまたは添付の図面に示されるコンポーネントの構成および配置の詳細に限定されないことを理解されたい。実施形態は、さまざまな方法で実施または実行することができる。また、本明細書で使用される表現および用語は、説明のためのものであり、限定的であるとみなされるべきではないことを理解されたい。本明細書中の「含む(including)」「含む(comprising)」または「有す(having)」およびそれらの変形は、その後に列挙されるアイテムおよびその等価物ならびに追加のアイテムを含むことを意味する。「装着される(mounted)」、「接続される(connected)」、「支持される(supported)」および「結合される(coupled)」という用語およびそれらの変形は、広範に使用され、直接的および間接的な取り付け、接続、支持および結合の両方を包含する。
【0025】
さらに、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、および説明のために、コンポーネントの大部分がハードウェアのみで実装されているかのように図示および説明され得る電子コンポーネントまたはモジュールを含み得ることを理解されたい。しかしながら、当業者は、この詳細な説明の読みに基づいて、少なくとも1つの実施形態において、電子ベースの態様が、マイクロプロセッサおよび/または特定用途向け集積回路(「ASIC」)などの1つまたは複数の処理ユニットによって実行可能である(例えば、非一時的なコンピューター読み取り可能な媒体に保存される)ソフトウェアで実装できることを理解するであろう。したがって、複数のハードウェアおよびソフトウェアベースのデバイス、ならびに複数の異なる構造コンポーネントが、実施形態を実装するために利用され得ることに留意されたい。例えば、本明細書で説明される「サーバー」、「コンピューティングデバイス」、「コントローラー」、「プロセッサ」などは、1つまたは複数の処理ユニット、1つまたは複数のコンピューター可読媒体モジュール、1つまたは複数の入出力インターフェイス、およびコンポーネントを接続するさまざまな接続(システムバスなど)を含むことができる。
【0026】
量または状態に関連して使用される、例えば、「約」、「およそ」、「実質的に」などの相対的な用語は、記載された値を含むと当業者に理解され、文脈によって判定される意味(例えば、この用語には、少なくとも測定精度に関連するエラーの程度、特定の値に関連する許容範囲(例えば、製造、組み立て、使用など)が含まれる)を有する。このような用語は、2つのエンドポイントの絶対値によって定義される範囲を開示するものとみなされる。例えば、「約2〜約4」という表現は、「2〜4」の範囲も開示する。相対的な用語は、示された値のプラスまたはマイナスのパーセンテージ(例えば、1%、5%、10%、またはそれ以上)を指し得る。
【0027】
本明細書で1つのコンポーネントによって実行されるものとして説明されている機能は、複数のコンポーネントによって分散方式で実行され得る。同様に、複数のコンポーネントによって実行される機能は、単一のコンポーネントによって統合および実行され得る。同様に、特定の機能を実行するものとして説明されているコンポーネントは、本明細書で説明されていない追加の機能も実行することができる。例えば、特定の方法で構成されるデバイスまたは構造は、少なくともそのように構成されるが、リストされていない方法で構成することもできる。
【0028】
本明細書に記載の実施形態は、さまざまな産業機械(例えば、ロープショベル、ACマシン、DCマシン、油圧掘削機など)に適用、実行、または使用することができるが、本明細書に記載の実施形態は、図1に示されるショベル100などの電気ロープまたはパワーショベルに関して説明される。ショベル100は、ショベル100を前方および後方に推進するため、およびショベル100を回転させるための(すなわち、互いに対して左右のトラックの速度および/または方向を変えることによって)トラック105を含む。トラック105は、キャブ115を含むベース110を支持する。ショベル100はさらに、旋回可能なバケットハンドル120およびアタッチメント125を含む。この実施形態では、アタッチメント125はバケットとして示されている。アタッチメント125は、アタッチメント125の内容物を捨てるためのドア130を含む。ベース110は、トラック105に対してスイングまたは旋回して、アタッチメント125を掘削場所からダンプ場所に移動させることができる。ショベル100は、アタッチメント125を上下させるために、ベース110内で巻き付けたり巻き戻したりできるブーム135およびホイストケーブル140を含む。ショベル100はまた、サドルブロック145およびシーブ150を含む。アタッチメント125の傾斜または角度は、傾斜油圧シリンダー155を使用して制御される。以下でより詳細に説明するように、ドア130は、ダンプ油圧シリンダーによって制御される。
【0029】
ショベル100は、前進および後退、ホイスト、クラウド、スイングの4つの主要なタイプの動きを使用する。この動きにより、ショベル100は、バケット125を操作して物質を掘るように構成される。前進および後退は、トラック105を使用してショベル100全体を前後に移動することである。ホイストは、アタッチメント125を上下に移動することである。クラウドは、アタッチメント125を伸張および後退させることである。スイングは、ショベル100をベース110の軸を中心に旋回させることである。ショベル100の全体的な動きは、前進および後退、ホイスト、クラウド、およびスイングの1つまたは組み合わせを利用する。
【0030】
ショベル100は、図2に示すように、コントローラー205を含む制御システム200を含む。電子コントローラーとも呼ばれるコントローラー205は、システム200またはショベル100のさまざまなモジュールまたはコンポーネントに電気的および/または通信可能に接続される。例えば、図示のコントローラー205は、ユーザーインターフェイスモジュール210、ホイスト制御ドライブ215、スイング制御ドライブ220、クラウド制御ドライブ225、1つまたは複数のダンプシリンダー位置センサー230、およびダンプ制御ドライブ235に接続されている。ダンプ制御ドライブ235は、ダンプアクチュエータ240(例えば、油圧モーター/ポンプ)に接続されており、ホイスト制御ドライブ215は、ホイストアクチュエータ245(例えば、巻き上げモーター)に接続されており、スイング制御ドライブ220は、スイングアクチュエータ250(例えば、スイングモーター)に接続されており、クラウド制御ドライブ225はクラウドアクチュエータ255(例えば、クラウドモーター)に接続されている。コントローラー205は、とりわけ、システム200の動作を制御し、ショベル100の動作を制御し、ユーザーインターフェイス210を介してユーザーから入力を受信し、ユーザーインターフェイス210等を介してユーザーに情報を提供するように動作可能なハードウェアとソフトウェアの組み合わせを含む。
【0031】
コントローラー205は、コントローラー205、システム200、および/またはショベル100内のコンポーネントおよびモジュールに電力、動作制御、および保護を提供する複数の電気および電子コンポーネントを含む。例えば、コントローラー205は、とりわけ、処理ユニット260(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラー、または別の適切なプログラム可能なデバイス)、メモリ265、入力ユニット270、および出力ユニット275を含む。処理ユニット260は、とりわけ、制御ユニット280、算術論理ユニット(「ALU」)285、および複数のレジスタ290(図2ではレジスタのグループとして示されている)を含み、および既知のコンピューターアーキテクチャー(例えば、修正されたハーバードアーキテクチャー、フォンノイマンアーキテクチャーなど)を使用して実装されている。処理ユニット260、メモリ265、入力ユニット270、および出力ユニット275、ならびにコントローラー205に接続されたさまざまなモジュールまたは回路は、1つまたは複数の制御バスおよび/またはデータバス(例えば、共通バス295)によって接続される。制御バスおよび/またはデータバスは、例示の目的のために概して図2に示されている。さまざまなモジュール、回路、およびコンポーネント間の相互接続およびそれらの間の通信のための1つまたは複数の制御バスおよび/またはデータバスの使用は、本明細書に記載の実施形態を考慮すれば当業者に既知であろう。
【0032】
メモリ265は、非一時的なコンピューター可読媒体であり、例えば、プログラム記憶領域およびデータ記憶領域を含む。プログラム記憶領域とデータ記憶領域は、ROM、RAM(DRAM、SDRAMなど)、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、SDカード、またはその他の適切な磁気、光学、物理的、または電子メモリデバイスなどの異なるタイプのメモリの組み合わせを含むことができる。処理ユニット260は、メモリ265に接続され、メモリ265のRAM(例えば、実行中)、メモリ265のROM(例えば、一般的に恒久的に)、または別のメモリまたはディスクなどの別の非一時的なコンピューター可読媒体に記憶することができるソフトウェア命令を実行する。システム200およびコントローラー205の実装に含まれるソフトウェアは、コントローラー205のメモリ265に格納することができる。ソフトウェアは、例えば、ファームウェア、1つまたは複数のアプリケーション、プログラムデータ、フィルター、ルール、1つまたは複数のプログラムモジュール、および他の実行可能な命令を含む。コントローラー205は、メモリ265から検索し、とりわけ、本明細書で説明される制御プロセスおよび方法に関連する命令を実行するように構成される。他の実施形態では、コントローラー205は、追加の、より少ない、または異なるコンポーネントを含む。例えば、コントローラー205は単一のユニットとして示されているが、いくつかの実施形態では、コントローラー205は2つ以上のコントローラーで構成され、ロジックおよび処理は複数のコントローラー間で分散され得る。ハードウェアとソフトウェアのコンポーネントは、どのように組み合わせるか、または分割するかに関係なく、同じコンピューティングデバイスに配置されてもよく、または1つまたは複数のネットワークまたは他の適切な通信リンクで接続された異なるコンピューティングデバイスに分散され得る。
【0033】
ユーザーインターフェイスモジュール210は、ショベル100を制御および/または監視するために使用される。例えば、ユーザーインターフェイスモジュール210は、バケット125の位置、ブーム135の位置、バケットハンドル120の位置などを制御するために、コントローラー205に動作可能に結合されている。コントローラー205は、ユーザーインターフェイスモジュール210から入力信号を受信するように構成される。ユーザーインターフェイスモジュール210は、ショベル100の所望のレベルの制御および監視を達成するために必要なデジタルおよびアナログ入力または出力デバイスの組み合わせを含む。例えば、ユーザーインターフェイスモジュール210は、ディスプレイ(例えば、一次ディスプレイ、二次ディスプレイなど)と、タッチスクリーンディスプレイ、ジョイスティック、複数のノブ、ダイヤル、スイッチ、ボタン、ペダルなどの入力デバイスとを含む。ユーザーインターフェイスモジュール210は、ショベル100に関連する状態またはデータをリアルタイムまたは実質的にリアルタイムで表示するように構成することもできる。例えば、ユーザーインターフェイスモジュール210は、ショベル100の測定された電気的特性、ショベル100の状態、バケット125の位置、バケットハンドル120の位置などを表示するように構成される。コントローラー205はまた、ユーザーインターフェイスモジュール210から運動コマンド信号を受信する。運動コマンド信号には、例えば、巻き上げ、巻き下げ、クラウドの伸張、クラウドの後退、時計回りのスイング、反時計回りのスイング、バケットドアのオープン、左のトラックの前進、左のトラックの逆進、右のトラックの前進、および右のトラックの後退が含まれる。動作コマンド信号を受信すると、コントローラー205は、オペレーターによって命令されたように、ホイスト制御ドライブ215、スイング制御ドライブ220、クラウド制御ドライブ225、およびダンプ制御ドライブ235を制御する。
【0034】
いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェイス210は、バケット125のドア130の自動開閉を開始するための入力(例えば、ボタン、スイッチ、ペダルなど)を含む。例えば、ダンプシリンダー位置センサー230は、バケット125に関連する1つまたは複数のダンプシリンダー内に配置することができる。図3は、ドア301、本体302、およびダンプシリンダー305を含むバケット300を示す。バケット300は、ショベル100に取り付けることができるバケット125の例である。ドア301と本体302は、ドア301が、本体302内の内容物が本体302から落下し、掘った物質を本体302内部に保持するために閉じることができるように開いてスイングするように構成されるように、ヒンジ点306で結合される。ダンプシリンダー305の一端はドア301のドア接続点307に接続され、ダンプシリンダー305の他端は本体接続点308に接続されている(図5図6参照)。ダンプシリンダー305は、伸張および後退することにより、本体302に対してドア301を開閉する。図3には1つのシリンダーのみが示されているが、同様のダンプシリンダー305がバケット300の反対側に設けられてもよい。例えば、図4は、(例えば、バケットドア130が完全に閉じていることに対応する)完全に伸張した位置にある一対のダンプシリンダー305を示す。最初に図1に示されている傾斜シリンダー155は、伸張した状態の図4にも示されている。傾斜シリンダー155はそれぞれ、ドア301に結合された第1の端部と、バケットハンドル120に結合された第2の端部とを有する。図5は、完全に後退した位置(例えば、バケットドア130が完全に開いていることに対応する)にあるダンプシリンダー305を示す。同様に、傾斜シリンダー155もまた、後退した位置にある。
【0035】
ダンプシリンダー305は、図6により詳細に示されている。ダンプシリンダー305は、シリンダー部311とピストン312とを含む。ピストン312は、本体302上の本体接続点308に結合されるように構成された第1のコネクタ313を含む。シリンダー部311は、ドア接続点307に結合されるように構成された第2のコネクタ314を含む。図6はまた、ダンプシリンダーが完全に伸張または完全に後退したときの衝撃領域315、320を示している。
【0036】
図7は、それぞれ325、330とラベル付けされた同じ衝撃領域を示しているが、ダンプシリンダー305は断面で示されている。図7に示すようにピストン312は、シャフト331およびピストンヘッド332をさらに含み、シリンダー部311の円筒形チャンバー333内で直線的に並進するように構成される。図7は、完全に後退した状態のダンプシリンダー305を示し、ピストン312は、円筒形チャンバー313内の最も右の位置に示されている。(例えば、図5に示されるように)完全に伸張された状態では、ピストン312は、図7の図において、円筒形チャンバー313内の最も左の位置にある。
【0037】
図8および9を参照すると、ダンプシリンダー305は、センサー335(例えば、線形位置センサー)を含む。センサー335は、コントローラー205(図2参照)に結合されたダンプシリンダー位置センサー230の1つの例である。センサー335は、ダンプシリンダー305のピストンの線形位置に関連するコントローラー205に出力信号を提供する。例えば、出力信号は、円筒形チャンバー333内のピストン312の直線移動によって引き起こされるセンサー335の直線伸張の量に比例する電圧信号であり得る。例えば、センサー335は、ピストン312とシリンダー部311の間の相対的な動きがセンサー335の伸張(または場合によっては、後退)を引き起こすように、シリンダー部311に接続される第1の端部と、ピストン312に接続される第2の端部とを有し得る。センサー335からの出力信号に基づいて、コントローラー205は、例えば、バケットドア130が完全に開いているか、完全に閉じているか、またはその間のどこかであるかどうかを判定するように構成される。図のように、図8は、シリンダー部111内で完全に後退したピストン312を示す。ピストン312は、移動経路341によって示されるように、ピストンヘッド332がチャンバー333の端部に到達するまで左に直線的に移動することによって、シリンダー部111から伸張することができる。他の実施形態では、異なる数、配置、および方向のダンプシリンダーの1つまたは複数がバケット300上に提供される。
【0038】
図8はまた、油圧回路338に接続されたダンプシリンダー305の油圧回路ポート336および337を示す。油圧回路338は、ダンプアクチュエータ240、油圧流体リザーバー339、および例えばコントローラー205によって制御される1つまたは複数の制御可能なバルブ(図示せず)を含む。例示的な動作では、油圧流体がポート337にポンプで送られると、ピストン312は、シリンダー部311から外に(すなわち、図8の左側に)伸張する。ピストン312が伸張すると、ピストンヘッド332は、チャンバー333内の油圧流体をポート336から押し出す。逆に、油圧流体がポート336にポンプで送り込まれると、ピストン312はシリンダー部311内に(すなわち、図8の右側に)後退し、ピストンヘッド332はポート337を通してチャンバー333から油圧流体を押し出す。いくつかの実施形態では、ダンプアクチュエータ240は、ポート336、337に出入りする油圧流体の流れを制御する油圧ポンプとして動作する。いくつかの実施形態では、他の油圧回路配置を使用して、ダンプシリンダー305の伸張および後退を制御する。
【0039】
バケットドア130が完全に閉じられるとき、ショベル100のオペレーターが、(例えば、アクティベーションボタンを押すことにより)ダンプ動作の自動制御をアクティブにすると、コントローラー205は、ダンプアクチュエータ240を制御するか、またはダンプ制御ドライブ235に制御させて、ドアシリンダー305を初期速度で(例えば、最大速度など)全開位置まで駆動する。いくつかの実施形態では、ダンプアクチュエータ240は、油圧アクチュエータである。ダンプシリンダー305のピストン312が全開位置に近づくと、ピストン312の速度は、コントローラー205によってランプダウンして、全開位置に達したときにダンプシリンダー305が受ける衝撃負荷を低減することができる。同様に、バケットドア130が完全に開いているとき、ショベル100のオペレーターがダンプ動作の自動制御をアクティブにするとき(例えば、アクティベーションボタンを押すことにより)、コントローラー205は、ダンプアクチュエータ240を制御するか、またはダンプ制御ドライブ235に制御させて、ドアシリンダー305を初期速度(例えば、最大速度など)で全閉位置まで駆動する。ダンプシリンダー305のピストン312が全閉位置に近づくと、ピストン312の速度は、コントローラー205によってランプダウンして、全閉位置に達したときにダンプシリンダー305が受ける衝撃負荷を低減することができる。いくつかの実施形態では、オペレーターは、ダンプ動作の自動制御を非アクティブにする、または、ユーザーインターフェイス210(例えば、フットペダル、サムホイールなど)で別の入力を操作することにより、いつでも自動ダンプ制御を無効にする(例えば、アクティベーションボタンをもう一度押す)ことができる。いくつかの実施形態では、自動ダンプ制御は、従来のダンプ制御(例えば、フットペダルダンプ制御)を用いて実装される。そのような実施形態では、オペレーターは自動ダンプ制御をアクティブにすることができるが、オペレーターがバケット125からの物質の流れを調整したい場合、従来の手動のダンプ制御を使用することができる。
【0040】
図10は、バケットドア130が全閉位置から全開位置に移動するときのダンプシリンダー速度制御グラフ400を示す。グラフ400は、全閉目標位置405、第1の最大速度転移点410、第2の最大速度転移点415、全開目標位置420、最大速度部分425、およびランプダウン速度部分430を含む。第2の最大速度転移点415は、全開目標位置420に近づくと、コントローラー205がダンプシリンダー305のピストンを減速し始める点に対応する。したがって、第2の最大速度転移点415は、全閉目標位置405よりも全開目標位置420に近い。第2の最大速度転移点415で、ダンプシリンダー305内のピストンの速度は、最大速度部分425からランプダウン速度部分430に遷移する。いくつかの実施形態では、全開目標位置420は、コントローラー205が、バケットドア130が全開位置にあると判定する点である。図10は、線形ランプダウン部分430を示す。いくつかの実施形態では、ピストンの速度ランプダウンを制御するために、対数、2次、または別の関数を使用することができる(例えば、非線形ランプダウン部分)。図10のグラフ400は、ダンプシリンダー305内のピストンの速度が、最大速度部分425の間に最大速度で動作することを示すが、いくつかの実施形態では、最大速度部分425内のピストン312の速度(初期速度)は、ダンプシリンダーの最大動作速度(例えば、最大速度の75%、80%、または90%)。ピストンが第2の最大速度転移点415に到達するときにかかわらず、ピストンの速度は初期速度から低下する。
【0041】
図11は、バケットドア130が全閉位置から全開位置に移動するときのダンプシリンダー速度制御グラフ400を示す。グラフ400は、全閉目標位置405、第1の最大速度転移点410、第2の最大速度転移点415、全開目標位置420、最大速度部分425、およびランプダウン速度部分435を含む。第1の最大速度転移点410は、全閉目標位置405に近づくと、コントローラー205がダンプシリンダー305のピストンを減速し始める点に対応する。したがって、第1の最大速度転移点410は、全開目標位置420よりも全閉目標位置405に近い。第1の最大速度転移点410で、ダンプシリンダー305内のピストンの速度は、最大速度部分425からランプダウン速度部分435に遷移する。いくつかの実施形態では、全閉目標位置405は、バケットドア130が全閉位置にあるとコントローラー205が判定する点である。図11は、線形ランプダウン部分435を示す。いくつかの実施形態では、ピストンの速度ランプダウンを制御するために、対数、2次、または別の関数を使用することができる(例えば、非線形ランプダウン部分)。図11のグラフ400は、ダンプシリンダー305内のピストンの速度が、最大速度部分425の間に最大速度で動作することを示すが、いくつかの実施形態では、最大速度部分425内のピストン425の速度(初期速度)は、ダンプシリンダーの最大動作速度(例えば、最大速度の75%、80%、または90%)。ピストンが第1の最大速度転移点410に到達するときにかかわらず、ピストンの速度は初期速度から低下する。
【0042】
いくつかの実施形態では、ダンプシリンダー位置センサー230の較正は自動化することができる。例えば、ユーザーインターフェイス210は、ダンプシリンダー位置センサー230の較正モードの開始に関連する入力(例えば、ボタンの押下)を受信するように構成することができる。較正モードに入った後、ユーザーインターフェイス210は、較正プロセスの開始に関連する入力(例えば、自動ダンプボタンの押下)を受信するように構成することができる。いくつかの実施形態では、自動ダンプがアクティブでない場合、較正プロセスは終了する。較正プロセス中、コントローラー205は、バケット閉鎖参照をダンプ制御ドライブ235にゆっくりと適用する(言い換えると、制御信号を送信して、ドア301をゆっくりと閉鎖するように制御する)。コントローラー205が、(例えば、ダンプシリンダー位置センサー230を使用して)ダンプシリンダー305が移動を停止したと判定したとき、コントローラー205は、ダンプシリンダー位置センサー230からの出力信号の全閉値をメモリ265に格納する。次に、コントローラー205は、バケット開参照をダンプ制御ドライブ235にゆっくりと適用することができる(言い換えれば、制御信号を送信して、ドア301をゆっくり開くように制御する)。コントローラー205が、(例えば、ダンプシリンダー位置センサー230を使用して)ダンプシリンダー305が移動を停止したと判定したとき、コントローラー205は、ダンプシリンダー位置センサー230からの出力信号の全開値をメモリ265に格納する。いくつかの実施形態では、全閉目標位置405、第1の最大速度転移点410、第2の最大速度転移点415、全開目標位置420、最大速度部分425、ランプダウン速度部分430、およびランプダウン速度部分435は、(例えば、全開位置および全閉位置に関して)メモリ265に格納された所定の値を有する。較正プロセスが完了したら、コントローラー205は、全閉目標位置405、第1の最大速度転移点410、第2の最大速度転移点415、全開目標位置420、最大速度部分425、ランプダウン速度部分430、およびランプダウン速度部分435の値を(つまり、キャリブレーションされた全開位置とキャリブレーションされた全閉位置に基づいて)、ダンプシリンダー305の動作展開に適用する。例えば、これらの値は、以下で説明されるプロセス500および700で使用され得る。したがって、とりわけ、較正プロセスを通じて、コントローラーは、ダンプシリンダーの全開目標位置420、全閉目標位置405、および速度転移点410および415を学習するように構成される。
【0043】
図12〜14は、ショベル100のバケット125のダンプ動作を自動的に制御するためのプロセス500を示している。ステップ505で、コントローラー205は、バケット125の位置が完全に閉じているかどうかを判定する。コントローラー205は、ダンプシリンダーの伸張が全閉目標位置405においてダンプシリンダーの伸張以上である場合に、バケット125の位置が全閉であると判定する。コントローラー205が、ダンプシリンダーの位置が全閉目標位置405以上であると判定すると、コントローラー205は、バケット125が全閉であると判定し(ステップ510)、プロセス500は、図13に関して示され、説明される制御セクションBに進む。ステップ505において、ダンプシリンダーの位置が全閉目標位置405未満の場合、コントローラー205は、バケットの位置が全開であるか否かを判定する(ステップ515)。コントローラー205は、ダンプシリンダーの伸張が全開目標位置420においてダンプシリンダーの伸張以下である場合に、バケット125の位置が全開であると判定する。コントローラー205が、ダンプシリンダーの位置が全開目標位置420以下であると判定すると、コントローラー205は、バケット125が完全に開いていると判定し(ステップ520)、プロセス500は、図14に関して示され、説明される制御セクションCに進む。ステップ515で、ダンプシリンダーの位置が全開目標位置420より大きい場合、コントローラー205は、(例えば、オペレーターがフットペダルを起動する、サムホイールを起動する、などによって作動された)ユーザー入力コマンドが、コントローラー205によって受信されているかどうかを判定する(ステップ525)。コントローラー205がユーザー入力コマンドを受信していない場合、プロセス500は、ステップ525で、ユーザー入力コマンドを受信するのを待つ。ステップ525でユーザー入力コマンドが受信された後、手動のオペレーター制御が開始され(ステップ530)、プロセス500はステップ505に戻る。例えば、上述のように、ステップ530において、ユーザー入力は、ユーザーインターフェイスモジュール210を介してコントローラー205によって受信され得る。このユーザー入力に応答して、コントローラー205は、バケット125の位置、ブーム135の位置、バケットハンドル120の位置などを制御するように構成される。例えば、ユーザー入力には、ホイストアップ、ホイストダウン、クラウド伸張、クラウド後退、時計回りにスイング、反時計回りにスイング、バケットドア開、左のトラックの前進、左のトラックの逆進、右のトラックの前進、および右のトラックの後退というコマンドの1つまたは複数が含まれてもよい。
【0044】
図13およびプロセス500の制御セクションBを参照し、コントローラー205は、自動ダンプ制御をアクティブにする信号が受信された(例えば、オペレーターがユーザーインターフェイス210のアクティベーションボタンを押す)か否かを判定する(ステップ535)。コントローラー205が自動ダンプ制御をアクティブにする信号を受信しない場合、コントローラー205は、オペレーターがユーザー入力コマンドを提供した(例えば、ユーザーインターフェイス210のフットペダルのアクティブにする、サムホイールのアクティブにする)かどうかを判定する(ステップ540)。コントローラー205がユーザー入力コマンドを受信しない場合、プロセス500はステップ535に戻り、自動ダンプ制御をアクティブにする信号が受信されたかどうかを判定する。ステップ540で、ユーザー入力コマンドが受信されると、手動のオペレーター制御が開始され(ステップ545)、プロセス500は、図12に関して示され、説明される制御セクションAに戻る。ステップ545における手動のオペレーター制御は、上述のステップ530における手動のオペレーター制御と同様である。
【0045】
ステップ535で、コントローラー205が自動ダンプ制御をアクティブにする信号を受信した場合、コントローラー205は自動ダンプ制御を開始してバケット125を開く(ステップ550)。バケット125を開くための自動ダンプ制御は、例えば、図10に関して示され、説明されるダンプシリンダー速度制御グラフ400に対応する。言い換えると、ドア301を開く自動ダンプ制御を実装するために、少なくともいくつかの実施形態では、コントローラー205は、図10に関して示され、説明されるダンプシリンダー速度制御グラフ400にしたがって、ダンプシリンダー305を制御する。
【0046】
バケット125の自動開放中に、コントローラー205がユーザー入力コマンドを受信した(例えば、フットペダルのアクティブにする、サムホイールのアクティブにするなど)場合(ステップ555)、コントローラー205は、バケット125の自動開放を終了し、手動のオペレーター制御を開始する(ステップ560)。ステップ560における手動のオペレーター制御は、ステップ530における手動のオペレーター制御と同様である。次に、プロセス500は、図12に関して示され、説明される制御セクションAに戻る。ステップ555でユーザー入力コマンドが受信されない場合、コントローラー205は、自動ダンプ制御を非アクティブにする信号が受信されたか(例えば、オペレーターがもう一度アクティベーションボタンを押す)否かを判定する(ステップ565)。ステップ565で、自動ダンプ制御を非アクティブにする信号が受信されると、ダンプシリンダー305の動きが停止され(ステップ570)、プロセス500は、図12に関して示され、説明される制御セクションAに戻る。ステップ565で自動ダンプ制御を非アクティブにする信号が受信されない場合、コントローラー205は、バケット125が完全に開いているかどうかを判定する(ステップ575)。バケット125が完全に開いているとコントローラー205が判定すると、ダンプシリンダー305の動きが停止され(ステップ580)、プロセス500は、図12に関して示され、説明される制御セクションAに戻る。図12のステップ515および520に関して上述したように、コントローラー205は、バケット125が、(i)ダンプシリンダー位置センサー230から出力信号を受信し、そして(ii)出力信号によって示されるダンプシリンダーのピストン位置が全開目標位置420未満であると判定することに応答して完全に開いていると判定するように構成される。ステップ575でバケット125が完全には開いていない場合、プロセス500はコントローラー205が自動ダンプ制御を実行し続けるステップ550に戻る。
【0047】
図14およびプロセス500の制御セクションCを参照し、コントローラー205は、自動ダンプ制御をアクティブにする信号が受信された(例えば、オペレーターがユーザーインターフェイス210のアクティベーションボタンを押す)か否かを判定する(ステップ585)。コントローラー205が自動ダンプ制御をアクティブにする信号を受信しない場合、コントローラー205は、オペレーターがユーザー入力コマンドを提供した(例えば、ユーザーインターフェイス210のフットペダルのアクティブにする、サムホイールのアクティブにする)かどうかを判定する(ステップ590)。コントローラー205がユーザー入力コマンドを受信しない場合、プロセス500はステップ585に戻り、自動ダンプ制御をアクティブにする信号が受信されたかどうかを判定する。ステップ590で、ユーザー入力コマンドが受信されると、手動のオペレーター制御が開始され(ステップ595)、プロセス500は、図12に関して示され、説明される制御セクションAに戻る。ステップ595における手動のオペレーター制御は、上述のステップ530における手動のオペレーター制御と同様である。
【0048】
ステップ585で、コントローラー205が自動ダンプ制御をアクティブにする信号を受信した場合、コントローラー205は自動ダンプ制御を開始してバケット125を閉じる(ステップ600)。バケット125を閉じるための自動ダンプ制御は、例えば、図11に関して示され、説明されるダンプシリンダー速度制御グラフ400に対応する。つまり、ドア301を閉める自動ダンプ制御を実装するために、少なくともいくつかの実施形態では、コントローラー205は、図11に関して示され、説明されるダンプシリンダー速度制御グラフ400にしたがって、ダンプシリンダー305を制御する。
【0049】
バケット125の自動閉鎖中に、コントローラー205がユーザー入力コマンドを受信した(例えば、フットペダルのアクティブにする、サムホイールのアクティブにするなど)場合(ステップ605)、コントローラー205は、バケット125の自動閉鎖を終了し、手動のオペレーター制御を開始する(ステップ610)。ステップ310における手動のオペレーター制御は、ステップ530における手動のオペレーター制御と同様である。次に、プロセス500は、図12に関して示され、説明される制御セクションAに戻る。ステップ605でユーザー入力コマンドが受信されない場合、コントローラー205は、自動ダンプ制御を非アクティブにする信号が受信されたか(例えば、オペレーターがもう一度アクティベーションボタンを押す)否かを判定する(ステップ615)。ステップ615で、自動ダンプ制御を非アクティブにする信号が受信されると、ダンプシリンダー305の動きが停止され(ステップ620)、プロセス500は、図12に関して示され、説明される制御セクションAに戻る。ステップ615で自動ダンプ制御を非アクティブにする信号を受信しない場合、コントローラー205は、バケット125が完全に閉じているかどうかを判定する(ステップ625)。コントローラー205が、バケット125が完全に閉じられていると判定すると、ダンプシリンダー305の動きが停止され(ステップ630)、プロセス500は、図12に関して示され、説明される制御セクションAに戻る。図12のステップ505および510に関して上述したように、コントローラー205は、バケット125が、(i)ダンプシリンダー位置センサー230から出力信号を受信し、そして(ii)出力信号によって示されるダンプシリンダーのピストン位置が全閉目標位置405より大きいと判定することに応答して完全に閉じていると判定するように構成される。ステップ625で、バケット125が完全には閉じていない場合、プロセス500はステップ600に戻り、コントローラー205は自動ダンプ制御を実行し続ける。
【0050】
図15は、ショベル100のバケット125のダンプ動作を自動的に制御するためのプロセス700を示す。ステップ710において、コントローラー205などの電子コントローラーは、初期速度でダンプシリンダー305を制御して、ドア301を第1の位置から第2の位置に移動させる。例えば、ドア301を自動的に開く(例えば、ステップ550を参照)、またはドア301を自動的に閉じる(例えば、ステップ600を参照)リクエストを検出したことに応じて、コントローラー205は、ダンプアクチュエータ240を制御して、ダンプシリンダー305のピストン312を初期速度で移動させる。初期速度でのダンプシリンダー305のこの制御は、例えば、図10および図11のグラフ400の最大速度部分425に示されている。初期速度は、最大速度または別の初期速度であり得る。第1の位置は、例えば、ドア301の全閉位置(例えば、図10および11の全閉目標位置405以下)であってもよく、またはドア301の全開位置(例えば、図10および11の全開目標位置420以上)であり得る。
【0051】
ステップ720において、コントローラー205は、位置センサー230から出力信号を受信する。例えば、前述のように、位置センサー23(その例は図9に位置センサー335として示されている)は、ダンプシリンダー305内のピストン312の位置に比例する電圧を有する電圧信号を出力することができる。ダンプシリンダー305内のピストン312の位置は、シリンダー部311からのピストン312の伸張量に対応し得る。
【0052】
ステップ730において、コントローラー205は、位置センサー230からの出力信号に基づいてピストン312の位置を判定する。例えば、コントローラー205は、位置センサー230からの出力信号の電圧レベルを判定し、電圧信号を(例えば、ルックアップテーブルまたは変換式を使用して)位置値に変換することができる。位置値は、例えば、シリンダー部311からのピストン312の伸張量を示す数値であり得る。図10および11のグラフ400を参照すると、ピストン312の伸張量を示す数値は、グラフ400のx軸に沿って表され得る。図10および11のグラフのx軸に沿って、全閉位置が、全開位置よりも小さい値として示されているが、いくつかの実施形態では、参照システムが、全閉位置が、全開位置よりも大きな値であるように、逆になる。
【0053】
ステップ740において、ダンプシリンダー305がドア301を第1の位置から第2の位置に移動させると、コントローラー205は、ピストンの判定された位置に基づいて、ダンプシリンダー305の速度を初期速度から低下させる。例えば、ダンプシリンダー305が、ドア301を第1の位置(例えば、全閉位置)から第2の位置(例えば、全開位置)に向かって移動させるように制御されているので、コントローラー205は、位置センサー230から信号を継続的に受信し、ピストン312の位置を判定することができる。コントローラー205は、判定された位置を、(閉じるときの)速度転移点410または(開くときの)速度転移点415と継続的に比較することができる。そして、コントローラー205が、位置センサー230からの出力信号に基づいて、ピストン312が、対応する速度転移点410または415に達したと判定すると、コントローラーは、ダンプシリンダーの速度を初期速度から低下させる。上記のように、コントローラー205は、線形ランプダウン関数(図10および11を参照)、対数ランプダウン関数、および2次ランプダウン関数のグループから選択された関数にしたがって、ダンプシリンダー305の速度を低下させることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、コントローラー205はさらに、位置センサー230からの信号を監視し続け、位置センサーからのさらなる出力信号に基づいて、ピストン312が第2の位置(例えば、全開目標位置420または全閉目標位置405)に到達するときを判定し得る。それに応答して、コントローラー205は、ピストン312が第2の位置に到達したと判定したことに基づいて、ダンプシリンダー305を停止することができる。例えば、コントローラー205は、制御信号を、(例えば、ダンプ制御ドライブ235を介して)ダンプアクチュエータ240に送信することを停止し、ダンプシリンダー305内の油圧流体の駆動を停止することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、上述のように、コントローラー205は、位置センサー230をさらに較正して、それによって、ダンプシリンダーの第1の位置、第2の位置、および速度転移点を学習することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、ドアが第2の位置に到達して停止した後、コントローラー205は、ダンプシリンダー305を制御して、プロセス700と同様のプロセスを使用して、第1の位置に戻ることができる。例えば、第2の位置が全開目標位置420であり、第1の位置が全閉目標位置405である場合(すなわち、プロセスステップ710〜740は、ドア301を開くために使用される)、ドア301が、完全に開かれた後、コントローラー205は、ドア301を自動的に閉じるための信号を受信することができる(例えば、図14のステップ600を参照)。それに応答して、コントローラー205は、ステップ710と同様に、ドア301を第2の位置から第1の位置に移動させるように初期戻り速度でダンプシリンダー305を制御する。次に、コントローラー205は、位置センサー230からさらなる出力信号を受信し、ステップ720および730と同様に、さらなる出力信号に基づいてピストン312の位置を判定する。次に、ステップ740と同様に、ダンプシリンダー305がドア301を第2の位置から第1の位置に移動させると、コントローラー205は、さらなる出力信号に基づいて判定されたピストン312の位置に基づいて、ダンプシリンダー305の速度を初期戻り速度から減速させる。初期戻り速度は、初期速度と同じ速度(反対方向ではある)でも、別の速度でもよい。初期戻り速度は、ダンプシリンダー305の最大速度であり得、または別の速度であり得る。コントローラーは、さらなる出力信号から、ピストン312が(ドア301を閉じるときの)速度転移点410、または(ドア301を開くときの)415に到達したことを判定することに基づいて、ダンプシリンダー305の速度を低下させると判定することができる。
【0057】
図13および14に関して説明したように、自動閉または自動開動作の過程で、コントローラー205は、手動のオペレーター制御を示すユーザー入力コマンドを受信し得る(ステップ555およびステップ605)、または、自動ダンプ制御を非アクティブにする信号を受信し得る(ステップ565およびステップ615)。同様に、いくつかの実施形態では、図15のプロセス700の間、コントローラー205は、手動のオペレーター制御を示すユーザー入力コマンドを受信、または自動ダンプ制御を非アクティブにする信号を受信することができる。手動のオペレーター制御を示すユーザー入力コマンド、または自動ダンプ制御を非アクティブにする信号の受信に応答して、コントローラー205は、プロセス700を出て、手動のオペレーター制御を開始、またはダンプシリンダー305の移動を停止することができる。
【0058】
プロセス500および700は、一連の連続して実行されるステップで、特定の順序で実行されるものとして説明されているが、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のステップは、並行して、または少なくとも部分的に並行して、または説明したのとは異なる順序で実行される。
【0059】
したがって、本明細書に記載の実施形態は、とりわけ、自動ダンプ制御を含む産業機械を提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【外国語明細書】
2021001537000001.pdf