【解決手段】制御部36は、受信処理部362、工程情報取得処理部363、製造情報取得処理部364及び抽出処理部365としても機能する。鋳型造型装置で鋳型の製造が開始されると、受信処理部362は、混練機2からの信号を受信する。工程情報取得処理部363は、受信処理部362が受信した信号に基づいて、鋳型造型工程に関する情報を取得する。製造情報取得処理部364は、工程情報取得処理部363が取得した情報に基づいて、供給される樹脂及び硬化剤の供給量を含む製造情報を取得する。抽出処理部365は、工程情報取得処理部363が取得した情報、及び、選択処理部354が取得した情報に基づいて、鋳型毎での製造情報を抽出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鋳型造型装置では、一般的に、複数の鋳型が順次造型される。これに対して、上記特許文献1に記載のシステムでは、製造に関する情報を鋳型毎で確認することができず、情報の管理がしづらいという不具合があった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、鋳型造型装置での製造情報を適切に管理でき、健全な鋳型の造型の支援をすることのできる鋳型造型支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る鋳型造型支援システムは、材料を混練する混練機を用いて鋳型を順次造型する鋳型造型装置での造型作業を支援する鋳型造型支援システムである。前記鋳型造型支援システムは、供給部と、受信処理部と、工程情報取得処理部と、製造情報取得処理部と、抽出処理部とを備える。前記供給部は、樹脂及び硬化剤を含む鋳型材料を前記混練機に向けて供給する。前記受信処理部は、前記混練機からの信号を受信する。前記工程情報取得処理部は、前記受信処理部が受信した信号に基づいて、鋳型造型工程に関する情報を取得する。前記製造情報取得処理部は、前記工程情報取得処理部が取得した情報に基づいて、樹脂及び硬化剤の供給量を含む製造情報を取得する。前記抽出処理部は、前記工程情報取得処理部が取得した情報、及び、前記製造情報取得処理部が取得した情報に基づいて、鋳型毎での製造情報を抽出する。
【0009】
このような構成によれば、鋳型造型装置で造型する鋳型に対応させて、鋳型毎の製造情報を抽出することができる。
【0010】
そのため、鋳型造型装置で造型する鋳型毎での製造情報を管理できる。よって、製造情報を適切に管理できる。そして、健全な鋳型の造型の支援をすることができる。
【0011】
(2)また、前記鋳型造型支援システムは、表示部と、帳票生成処理部と、帳票表示処理部とをさらに備えてもよい。前記帳票生成処理部は、前記抽出処理部が抽出した製造情報に基づいて、鋳型毎での製造情報を表す帳票の情報を生成する。前記帳票表示処理部は、前記帳票生成処理部が生成した情報に基づいて、鋳型毎での帳票を前記表示部に表示させる。
【0012】
このような構成によれば、鋳型造型装置で造型する鋳型毎での帳票を表示部で確認することができる。
そのため、鋳型毎で製造情報を確認できる。
【0013】
(3)また、前記鋳型造型支援システムは、選択処理部をさらに備えてもよい。前記選択処理部は、前記帳票生成処理部が生成した複数の帳票の情報から、特定の鋳型に対応する帳票の情報を選択する。前記帳票表示処理部は、前記選択処理部が選択した情報に基づいて、特定の鋳型の帳票を前記表示部に表示させる処理を行ってもよい。
【0014】
このような構成によれば、鋳型毎の帳票の情報が複数ある場合に、特定の帳票の情報を選択し、その帳票を表示部に表示させることができる。
【0015】
例えば、鋳型の製造後において、その鋳型に対応する製造情報を確認したい場合には、その鋳型の帳票の情報を選択して表示部に表示させることで、所望する製造情報を容易に確認することができる。
【0016】
よって、特定の鋳型に対応する製造情報を容易に確認できる。
【0017】
(4)また、前記鋳型造型支援システムは、表示装置と、製造情報表示処理部とをさらに備えてもよい。前記表示装置は、造型現場に設置される。前記製造情報表示処理部は、鋳型の造型中に、前記抽出処理部が抽出する造型対象の鋳型の製造情報を前記表示装置に表示させる。
【0018】
このような構成によれば、鋳型の造型中に、造型対象の鋳型の製造情報を確認することができる。
【0019】
(5)また、前記鋳型造型支援システムは、報知装置と、判定処理部と、報知処理部とをさらに備えてもよい。前記報知装置は、造型現場に設置される。前記判定処理部は、前記製造情報取得処理部が取得した情報に基づいて、鋳型材料を準備するタイミングを判定する。前記報知処理部は、前記判定処理部の判定結果に基づいて、前記報知装置を動作させて鋳型材料の準備のタイミングを報知する。
【0020】
このような構成によれば、鋳型材料が完全に無くなる前に、鋳型材料を準備すべきタイミングをユーザに報知することができる。
そのため、鋳型材料が無くなった状態で製造動作が行われることを抑制できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、鋳型造型装置で造型する鋳型に対応させて、鋳型の製造情報を抽出することができる。そのため、鋳型造型装置で造型する鋳型毎での製造情報を管理できる。よって、製造情報を適切に管理でき、健全な鋳型の造型の支援をすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.鋳型造型装置の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る鋳型造型支援システム10で用いられる鋳型造型装置1の構成を概略的に示した図である。
【0024】
後述するように、鋳型造型支援システム10は、鋳型造型装置1及びユーザ端末35などを備えている。
【0025】
鋳型造型装置1は、混練機2と、A液用硬化剤タンク4と、B液用硬化剤タンク5と、樹脂タンク6と、供給ポンプ7,8,9と、流量計11,12,13と、砂温センサ14とを備えている。鋳型造型装置1では、鋳型材料として、耐火性粒子、硬化剤及び樹脂材料が用いられる。鋳型造型装置1では、鋳型として砂型が造型される。
【0026】
この例では、混練機2としては、いわゆる連続ミキサーが用いられている。連続ミキサーは、自動運転を始めるための運転開始ボタンと、自動運転を停止するための運転停止ボタンを備えている(図示せず)。そして、混練機2において、運転開始ボタンがONされることで運転(自動運転)が開始され、運転停止ボタンがONされることで運転(自動運転)が停止される。なお、後述するように、鋳型造型装置1において、混練機としてバッチミキサーを用いることもできる。
【0027】
具体的な構成として、混練機2は、長尺な中空状に形成されており、水平方向に延びている。混練機2の内部には、回転可能なスクリューが設けられている。混練機2には、ホッパ21と、排出部22とが設けられている。
【0028】
ホッパ21は、混練機2において一端部側に設けられている。ホッパ21内には、耐火性粒子が収容されている。
排出部22は、混練機2において他端部側に設けられている。
【0029】
A液用硬化剤タンク4及びB液用硬化剤タンク5内には、それぞれ異なる種類の硬化剤が収容されている。具体的には、A液用硬化剤タンク4内には、遅硬性硬化剤が収容されており、B液用硬化剤タンク5内には、速硬性硬化剤が収容されている。A液用硬化剤タンク4は、配管15を介して混練機2に連続している。B液用硬化剤タンク5は、配管16を介して混練機2に連続している。
【0030】
樹脂タンク6内には、樹脂材料が収容されている。樹脂タンク6は、配管17を介して混練機2に連続している。
【0031】
供給ポンプ7は、配管15に介在されている。供給ポンプ8は、配管16に介在されている。供給ポンプ9は、配管17に介在されている。供給ポンプ7,8,9、A液用硬化剤タンク4、B液用硬化剤タンク5及び樹脂タンク6が、供給部の一例を構成している。
【0032】
流量計11は、配管15に接続されている。流量計12は、配管16に接続されている。流量計13は、配管17に接続されている。流量計11,12,13のそれぞれは、配管15,16,17のそれぞれを流れる材料の流量を計測する。
【0033】
砂温センサ14は、ホッパ21に設けられている。砂温センサ14は、ホッパ21内の耐火性粒子の温度(砂温)を検出する。
【0034】
混練機2の排出部22の下方には、枠18が位置している。枠18内には、原型23が配置されている。すなわち、枠18は、原型23を囲んでいる。
【0035】
鋳型材料として用いられる耐火性粒子としては、例えば、単独砂及び混合砂を挙げることができる。単独砂及び混合砂としては、例えば、硅砂、ジルコン、クロマイト、オリビン、アルミナ、合成ムライト等を挙げることができる。単独砂及び混合砂としては、新砂及び再生砂のいずれを用いてもよい。
【0036】
鋳型材料として用いられる樹脂材料としては、例えば、有機自硬性樹脂や、無機自硬性樹脂を挙げることができる。有機自硬性樹脂としては、例えば、酸硬化性樹脂や、エステル硬化性樹脂等を挙げることができる。酸硬化性樹脂としては、例えば、フラン樹脂や、フェノール樹脂等を挙げることができる。エステル硬化性樹脂としては、例えば、アルカリフェノール樹脂等を挙げることができる。無機自硬性樹脂としては、例えば、水ガラス等を挙げることができる。
【0037】
鋳型材料として用いられる硬化剤としては、樹脂材料が有機自硬性樹脂である場合には、硫酸、リン酸、有機スルホン酸を含む酸性の硬化触媒で酸強度と酸濃度を調節し速硬性及び遅硬性に分類されるものや、加水分解度及び相溶性の大小によって硬化速度が調節できる有機エステルを用いることができる。また、樹脂材料が無機自硬性樹脂である場合には、鋳型材料として用いられる硬化剤として、加水分解度及び相溶性の大小によって硬化速度が調節できる有機エステルを用いることができる。
【0038】
鋳型造型装置1を用いて鋳型を造型する場合には、まず、混練機2の運転開始ボタンがONされて、混練機2の自動運転が開始される。また、ホッパ21内の耐火性粒子が混練機2内に供給される。さらに、供給ポンプ7が動作されてA液用硬化剤タンク4内の硬化剤が混練機2内に供給され、供給ポンプ8が動作されてB液用硬化剤タンク5内の硬化剤が混練機2内に供給され、供給ポンプ9が動作されて樹脂タンク6内の樹脂材料が混練機2内に供給される。
【0039】
混練機2内で混練された材料は、排出部22から枠18内に投入される。枠18内に必要な量の材料が投入されると、運転停止ボタンがONされて、混練機2の自動運転が停止される。そして、混練材料が硬化された後、枠18が外されて原型23が抜かれることで、鋳型が造型される。その後は、ユーザにより、混練機2の運転開始ボタンが再度ONされ、上記した造型作業が再度行われる。なお、鋳型の種類を変更する場合には、枠18が交換され、その状態で上記した動作が行われる。このようにして、鋳型造型装置1では、鋳型が順次造型される。
【0040】
この一連の動作において、流量計11,12,13のそれぞれは、配管15,16,17のそれぞれを通過する材料の流量を計測している。そして、それらの値は、後述するように、鋳型造型支援システム10における処理に用いられる。
【0041】
なお、上記した造型工程において、気温(室温)と砂温センサ14が検出する値(砂温)との差に基づいて、各材料の配合比を補正する処理を行ってもよい。この場合には、砂温と室温との差が一定以上となったときに、配合比に補正をかける処理を行うことが好ましい。このようにすれば、冬場等で室温に比べて砂温が非常に高い状態で造型を行う場合であっても、適正な量で各材料を供給することができ、不良状態の鋳型が製造されることを抑制できる。
【0042】
また、作業場所に湿度計を設置し、湿度計が示す値が閾値を超える場合には、抜型に関するアラームを報知してもよい。
【0043】
2.制御部及び周辺の構成の電気的構成
図2は、鋳型造型支援システム10の電気的構成を示したブロック図である。
鋳型造型支援システム10は、上記した構成に加えて、操作部31と、記憶部32と、表示装置33と、報知装置34と、ユーザ端末35と、制御部36とを備えている。
【0044】
操作部31は、例えば、キーボード及びマウスや、タッチパネルを含む構成である。
記憶部32は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスクなどにより構成されている。記憶部32は、例えば、クラウド上に設けられているが、事務所内ネットワーク上に設けられていてもよい。
【0045】
表示装置33は、例えば、液晶表示器やタッチパネルなどにより構成されている。表示装置33は、造型現場に設けられている。
報知装置34は、例えば、ランプやブザーなどにより構成されている。報知装置34は、造型現場に設けられている。
【0046】
ユーザ端末35は、例えば、パーソナルコンピュータなどによって構成される。ユーザ端末35は、例えば、工場の事務所などに設置されている。ユーザ端末35は、記憶部32と電気的に接続されている。ユーザ端末35は、表示部351及び制御部352を備えている。
【0047】
表示部351は、例えば、液晶表示器やタッチパネルなどにより構成されている。
制御部352は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む構成である。制御部352は、表示部351と電気的に接続されている。制御部352は、CPUがプログラムを実行することにより、帳票表示処理部353、選択処理部354などとして機能する。
【0048】
帳票表示処理部353は、表示部351に帳票を表示させる処理を行う。
選択処理部354は、表示部351に表示させる帳票を選択する処理を行う。
【0049】
制御部36は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む構成である。制御部36は、混練機2、流量計11,12,13、砂温センサ14、操作部31、記憶部32、表示装置33及び報知装置34と電気的に接続されている。制御部36は、CPUがプログラムを実行することにより、設定受付処理部361、受信処理部362、工程情報取得処理部363、製造情報取得処理部364、抽出処理部365、帳票生成処理部366、製造情報表示処理部367、判定処理部368、報知処理部369などとして機能する。制御部36、操作部31、表示装置33及び報知装置34が、オートフィーダーを構成している。
【0050】
設定受付処理部361は、ユーザによる操作部31での入力を受け付けて、鋳型造型に必要となる設定を受け付ける。具体的には、設定受付処理部361は、耐火性粒子、硬化剤、樹脂材料の配合比の設定などを受け付ける。
【0051】
受信処理部362は、混練機2からの信号を受信する。受信処理部362は、混練機2からの信号に基づいて、供給ポンプ7,8,9の動作を制御する。また、供給ポンプ7,8,9の具体的な動作内容は、設定受付処理部361が受け付けた設定内容に基づいて決定される。
【0052】
工程情報取得処理部363は、受信処理部362が受信した信号に基づいて、鋳型造型工程に関する情報を取得する。具体的には、工程情報取得処理部363は、鋳型を造型した工程の日時の情報を取得する。例えば、工程情報取得処理部363は、混練機2の自動運転が継続している間の日時情報を、造型工程を特定するための情報として取得する。なお、工程情報取得処理部363が取得する情報は、鋳型を造型した工程を特定できるものであればよい。
【0053】
製造情報取得処理部364は、工程情報取得処理部363が取得した情報、流量計11,12,13及び砂温センサ14からの信号に基づいて、造型中の鋳型の製造に関する製造情報を取得する。この製造情報には、A液用硬化剤タンク4、B液用硬化剤タンク5及び樹脂タンク6から供給される樹脂及び硬化剤の供給量の情報が含まれる。
【0054】
抽出処理部365は、工程情報取得処理部363が取得した情報、及び、製造情報取得処理部364が取得した情報に基づいて、鋳型毎での製造情報を取得(抽出)する。
帳票生成処理部366は、抽出処理部365が抽出した製造情報に基づいて、鋳型毎での帳票の情報を生成する。この帳票の情報には、鋳型毎での製造情報が含まれている。帳票生成処理部366が生成した帳票の情報は、帳票データ321として記憶部32に格納される。
【0055】
製造情報表示処理部367は、表示装置33の表示処理を制御する。
判定処理部368は、製造情報取得処理部364が取得した情報に基づいて、鋳型材料を準備すべきタイミングを判定する。
【0056】
報知処理部369は、判定処理部368が判定したタイミングに基づいて、報知装置34を動作させる処理を行う。
【0057】
3.制御部の処理
図3は、鋳型造型支援システム10での制御処理を示したフローチャートであって、帳票の作成に関する処理を示している。
【0058】
まず、ユーザは、操作部31を操作して、耐火性粒子、硬化剤、樹脂材料の配合比に関する設定などを入力する。設定受付処理部361は、この設定を受け付ける。また、ユーザは、枠18を設置するとともに、混練機2の運転開始ボタンをONする。これにより、混練機2の自動運転が開始される。
【0059】
混練機2が自動運転している間は、混練機2から制御部36に信号が入力される。受信処理部362は、混練機2からの信号を受信し、混練機2からの信号を受信している間は、供給ポンプ7,8,9を動作させる。このとき、供給ポンプ7,8,9は、設定受付処理部361が受け付けた設定内容に基づいて動作が制御される。
【0060】
そして、ユーザにより混練機2の運転停止ボタンがONされて、混練機2の自動運転が停止されると(ステップS101でYES)、工程情報取得処理部363は、混練機2の自動運転が継続している間の日時情報を、造型工程を特定するための情報として取得する(ステップS102)。すなわち、工程情報取得処理部363は、受信処理部362が混練機2からの信号を受けている間の日時の情報を、造型工程を特定するための情報として取得する。
【0061】
また、製造情報取得処理部364は、工程情報取得処理部363が取得した情報(混練機2が動作している日時の情報)から、A液用硬化剤タンク4、B液用硬化剤タンク5、樹脂タンク6から供給された材料の供給量を算出する。また、製造情報取得処理部364は、流量計11,12,13が計測する計測値の情報、砂温センサ14が示す値の情報を取得し、材料の供給量の情報と併せて製造情報として取得する(ステップS103)。
【0062】
そして、抽出処理部365は、工程情報取得処理部363が取得した情報(混練機2が動作している日時の情報)、及び、製造情報取得処理部364が取得した情報を併せて、鋳型毎での製造情報として抽出(生成)する(ステップS104)。このとき、抽出処理部365は、樹脂材料及び硬化剤の供給量、樹脂材料及び硬化剤の流量の計測値、耐火性粒子の温度(砂温)の情報に加えて、硬化剤の配合比、樹脂流量の異常の有無、硬化剤流量の異常の有無、樹脂流量の誤差、硬化剤流量の誤差の情報を抽出(生成)する。
【0063】
硬化剤の配合比は、砂温で決まる。硬化剤の供給量は、設定された材料の供給量に基づいて算出される。樹脂流量の異常の有無は、流量計13が示した値が、予め定める閾値の範囲内にあるか否かに基づいて判定される。硬化剤流量の異常の有無は、流量計11,12が示した値が、予め定める閾値の範囲内にあるか否かに基づいて判定される。樹脂流量の誤差は、樹脂流量の設定値と計測値との間の差の値である。硬化剤流量の誤差は、硬化剤流量の設定値と計測値との間の差の値である。
【0064】
鋳型の造型中において、製造情報表示処理部367は、抽出処理部365が抽出する造型対象の鋳型の製造情報を表示装置33に表示させる。このとき、表示装置33には、リアルタイムで製造情報が表示されてもよいし、リアルタイムからわずかに遅れて製造情報が表示されてもよい。これにより、造型現場において、造型対象の鋳型(造型している鋳型)の製造情報を確認することができる。
【0065】
また、帳票生成処理部366は、抽出処理部365が抽出した鋳型毎での製造情報に基づいて、鋳型毎での帳票の情報(帳票作成のための情報)を生成する。帳票生成処理部366が生成した帳票の情報は、帳票データ321として記憶部32に格納される(ステップS105)。帳票データ321は、鋳型造型装置1で鋳型が製造される度に(自動運転が開始されて終了する度に)、記憶部32に記憶される。このようにして、記憶部32には、枠毎の帳票データ321が複数記憶される。
【0066】
そして、ユーザにより、ユーザ端末35において、帳票作成の指示(入力)があると(ステップS106でYES)、帳票表示処理部353は、特定の鋳型に対応する帳票を表示部351に表示させる(ステップS107)。このとき、ユーザは、複数の帳票データ321から特定の鋳型に対応する帳票データ321を選択するための入力を行う。例えば、ユーザは、ユーザ端末35において、鋳型が製造された日時の情報を入力する。選択処理部354は、その入力を受け付ける。帳票表示処理部353は、選択処理部354が受け付けた内容(日時情報)に基づいて、記憶部32から対応する帳票データ321を読み出して、そのデータを帳票として表示部351に表示させる。
【0067】
例えば、鋳型を製造した後において、鋳型に不具合があったことが判明した場合などには、その鋳型を造型した日時に対応する帳票データ321を選択して表示させることで、その鋳型を造型したときの製造情報を確認することができる。
【0068】
また、鋳型造型支援システム10では、以下のように、材料を準備すべきタイミングでユーザに向けて報知を行う。
【0069】
図4は、制御部36の処理を示したフローチャートであって、報知に関する処理を示している。
鋳型造型装置1で動作が開始されると、上記と同様にして、製造情報取得処理部364は、製造情報を取得する(ステップS201)。
【0070】
判定処理部368は、製造情報のうち、A液用硬化剤タンク4、B液用硬化剤タンク5、樹脂タンク6から供給された材料の供給量の情報から、各材料の消費量(積算使用量)を算出する(ステップS202)。
【0071】
判定処理部368は、算出した消費量(積算使用量)が予め定める閾値よりも少なければ、材料の準備タイミングではないと判定し(ステップS203でNO)、算出した消費量が予め定める閾値よりも多ければ、材料の準備タイミングであると判定する(ステップS203でYES)。
【0072】
報知処理部369は、判定処理部368が材料の準備タイミングであると判定した場合には、報知装置34を動作させて、ユーザに対して材料の準備タイミングであることを報知する。この一連の処理は、材料毎で行われる。
これにより、ユーザは、各材料が完全に無くなる前に、材料の準備を行うことができる。
【0073】
4.帳票
図5は、鋳型造型支援システム10で作成される特定の帳票40の一例を示した図である。
帳票40では、項目として、時刻、設定値、計測値、砂温、配合比、樹脂流量異常、硬化剤流量異常、樹脂流量誤差、硬化剤流量誤差の欄が設けられている。各欄に入力する値は、予め定める時間毎に取得される。すなわち、ある鋳型を製造するために鋳型造型装置1が動作している間は、予め定める時間毎に、設定値、計測値、砂温、配合比、樹脂流量異常、硬化剤流量異常、樹脂流量誤差、硬化剤流量誤差の情報が取得される。そして、帳票40では、各時刻での情報が各欄で表示される。
【0074】
このように、帳票40は、鋳型毎で作成されており、なおかつ、その内容として、造型中における一定期間毎の製造情報が表示されている。
【0075】
このように、鋳型毎で作成される帳票40では、造型中における一定期間毎の製造情報が表示される。そのため、鋳型毎の製造情報の経時的変化を細かく確認することが可能となる。
【0076】
5.鋳型造型装置の変形例
図6は、鋳型造型装置の変形例の構成を概略的に示した図である。
上記の説明では、混練機2として連続ミキサーを用いた場合を例に挙げたが、以下のように、混練機2に代えて、バッチミキサーである混練機50を用いることも可能である。なお、
図6で表示される混練機50以外の構成については、上記の説明と同様の構成である。
【0077】
バッチミキサーである混練機50は、ホッパ51、砂温センサ52及び混合部53を備えている。ホッパ51は、混練機2のホッパ21に対応しており、砂温センサ52は、混練機2の砂温センサ14に対応している。混合部53は、ホッパ21の下方に位置している。混合部53には、ホッパ51に収容されている耐火性粒子、A液用硬化剤タンク4及びB液用硬化剤タンク5に収容されている硬化剤、樹脂タンク6に収容されている樹脂が投入される。
【0078】
混練機50は、自動運転を始めるための運転開始ボタンを備えている一方で、自動運転を停止するための運転停止ボタンを備えていない。混練機50では、運転開始ボタンがONされることで運転(自動運転)が開始され、一定時間が経過すると、自動的に運転(自動運転)が停止される。
【0079】
このとき、自動運転が継続している間は、混練機50から制御部36に向けて信号が出力される。この信号は、受信処理部362により受信される。そして、鋳型造型支援システム10において、上記と同様の制御が行われる。また、一定時間が経過して自動的に運転(自動運転)が停止されると、混練機50からの信号の出力が停止される。
【0080】
自動運転中は、混合部53内で材料が混合される。自動運転が停止すると、ユーザにより混合部53内の混練材料が枠18内に投入され、その後、枠18が外されて原型23が抜かれることで鋳型が造型される。
【0081】
このように、鋳型造型装置1において、バッチミキサーである混練機50を用いた場合には、1回の運転時間が短くなる。そのため、短い運転時間に対応した帳票データ321を作成することができる。
【0082】
なお、バッチミキサーである混練機50を用いた場合において、報知処理部369による報知処理は、各材料の消費量(積算使用量)を計測するモードと、自動運転毎に各材料の消費量(積算使用量)を「0」にリセットするモードを組み合わせて行われる。自動運転毎に各材料の消費量(積算使用量)を「0」にリセットすることで、1工程毎の使用量を把握することができる。
【0083】
6.作用効果
(1)本実施形態では、
図2に示すように、制御部36は、受信処理部362、工程情報取得処理部363、製造情報取得処理部364及び抽出処理部365としても機能する。鋳型造型装置1で鋳型の製造が開始されると、受信処理部362は、混練機2からの信号を受信する。工程情報取得処理部363は、受信処理部362が受信した信号に基づいて、鋳型造型工程に関する情報を取得する。製造情報取得処理部364は、工程情報取得処理部363が取得した情報に基づいて、A液用硬化剤タンク4、B液用硬化剤タンク5及び樹脂タンク6から供給される樹脂及び硬化剤の供給量を含む製造情報を取得する。抽出処理部365は、工程情報取得処理部363が取得した情報、及び、選択処理部354が取得した情報に基づいて、鋳型毎での製造情報を抽出する。
【0084】
具体的には、抽出処理部365は、混練機2が動作している日時の情報、及び、樹脂及び硬化剤の供給量を含む製造情報を併せて、鋳型毎での製造情報として抽出(生成)する(
図3のステップS104)。
【0085】
そのため、鋳型造型装置1で造型する鋳型に対応させて、鋳型毎の製造情報を抽出することができる。
【0086】
その結果、鋳型造型装置1で造型する鋳型毎での製造情報を管理できる。よって、製造情報を適切に管理できる。そして、健全な鋳型の造型の支援をすることができる。
【0087】
(2)また、本実施形態では、
図2に示すように、制御部36は、帳票生成処理部366としても機能する。また、ユーザ端末35は、表示部351及び制御部352を備えている。制御部352は、帳票表示処理部353としても機能する。帳票生成処理部366は、抽出処理部365が抽出した製造情報に基づいて、鋳型毎での製造情報を表す帳票の情報を生成する。ユーザ端末35において、帳票表示処理部353は、その情報(帳票データ321)に基づいて、鋳型毎での帳票を表示部351に表示させる。
【0088】
そのため、鋳型造型装置1で造型する鋳型毎での帳票を表示部351で確認することができる。
その結果、鋳型毎で製造情報を確認できる。
【0089】
(3)また、本実施形態では、
図2に示すように、ユーザ端末35において、表示部351は、選択処理部354としても機能する。ユーザにより、ユーザ端末35において、複数の帳票データ321から特定の鋳型に対応する帳票データ321を選択するための入力が行われると、選択処理部354は、その入力を受け付ける。帳票表示処理部353は、選択処理部354が受け付けた内容に基づいて、記憶部32から対応する帳票データ321を読み出して、そのデータを帳票として表示部351に表示させる。
【0090】
そのため、鋳型毎の帳票の情報が複数ある場合に、特定の帳票の情報を選択し、その帳票を表示部351に表示させることができる。
【0091】
例えば、鋳型の製造後において、その鋳型に対応する製造情報を確認したい場合には、その鋳型の帳票の情報を選択して表示部351に表示させることで、所望する製造情報を容易に確認することができる。よって、特定の鋳型に対応する製造情報を容易に確認できる。
【0092】
(4)また、本実施形態では、
図2に示すように、鋳型造型支援システム10には、造型現場に設置される表示装置33が含まれる。制御部36は、製造情報表示処理部367としても機能する。製造情報表示処理部367は、鋳型の造型中に、抽出処理部365が抽出する造型対象の鋳型の製造情報を表示装置33に表示させる。
【0093】
そのため、鋳型の造型中に、造型対象の鋳型の製造情報を確認することができる。
【0094】
(5)また、本実施形態では、
図2に示すように、鋳型造型支援システム10には、造型現場に設置される報知装置34が含まれる。制御部36は、判定処理部368及び報知処理部369としても機能する。
【0095】
判定処理部368は、製造情報取得処理部364が取得する製造情報(材料の供給量の情報)から、各材料の消費量(積算使用量)を算出する(
図3のステップS202)。そして、判定処理部368は、算出した消費量(積算使用量)が予め定める閾値よりも少なければ、材料の準備タイミングではないと判定し(ステップS203でNO)、算出した消費量が予め定める閾値よりも多ければ、材料の準備タイミングであると判定する(ステップS203でYES)。また、報知処理部369は、判定処理部368が材料の準備タイミングであると判定した場合には、報知装置34を動作させて、ユーザに対して材料の準備タイミングであることを報知する。
【0096】
そのため、鋳型材料が完全に無くなる前に、鋳型材料を準備すべきタイミングをユーザに報知することができる。
その結果、鋳型材料が無くなった状態で製造動作が行われることを抑制できる。よって、不良状態の鋳型が製造されることを抑制できる。
【0097】
また、ユーザによる日々の検量作業を減らすことができ、ユーザの負担を軽減できる。
さらに、報知処理に基づいて自動運転の回数を算出すれば、各機器のメンテナンス時期を予想することも可能となる。
【0098】
7.変形例
以上の実施形態では、鋳型造型支援システム10に含まれるものとして、ユーザ端末35を挙げたが、鋳型造型支援システム10には、ユーザ端末35以外に、インターネット等の外部通信網を介して接続される管理端末や、クラウド上のサーバが含まれてもよい。
【0099】
また、以上の実施形態では、帳票データ321は、ユーザ端末35に表示されるとして説明したが、帳票データ321は、インターネット等の外部通信網を介して接続される管理端末に表示されてもよい。