【解決手段】評価部43は、参考画像データ61、化粧前画像データ63、および比較画像データ65に基づいて、使用者に施された化粧の出来映えを評価する。評価部43は、主として、抽出部43aと、第1演算部43bと、有無判断部43cと、第2演算部43dと、仕上判断部43eと、を有する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
<1.第1の実施の形態>
<1.1.化粧評価装置の構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態における化粧評価装置40の構成の一例を示すブロック図である。
図2から
図4は、それぞれ参考画像データ61、化粧前画像データ63、および比較画像データ65を説明するための図である。
【0023】
ここで、化粧評価装置40は、使用者(視覚障がい者を含む)の顔に施された化粧を評価するための装置である。化粧評価装置40は、いわゆるパーソナルコンピュータやワークステーションにより構成された電子計算機、または、いわゆるスマートフォン(Smartphone)やタブレット端末のような携帯端末により構成されている。
【0024】
図1に示すように、化粧評価装置40は、主として、CPU41と、大容量記憶部51と、RAM52と、ROM53と、表示部54と、通信処理部55と、入力部56と、撮像部57と、を有している。また、CPU41、大容量記憶部51、RAM52、ROM53、通信処理部55、表示処理部58、および入出力処理部59は、バス41aを介して電気的に接続されている。
【0025】
撮像部57は、いわゆるCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary MOS)センサを撮像素子とするカメラにより構成されている。撮像部57は、使用者の顔画像を撮像可能とされている。
【0026】
大容量記憶部51は、シリコンディスクドライブやハードディスクドライブ等のようにRAM52と比較して記憶容量の大きな素子により構成された記憶部であり、必要に応じてRAM52との間でデータの授受を行う。
【0027】
RAM52は、いわゆる揮発性の記憶部により構成されている。RAM52は、CPU41の演算で使用されるデータ(少なくとも、使用者の顔画像データである参考画像データ61、化粧前画像データ63、および比較画像データ65、並びに第1データベース70等)を記憶可能とされている。
【0028】
ここで、参考画像データ61は、使用者の顔に参考となる化粧が施された状態(例えば、化粧品会社の美容部員の方が使用者の顔に化粧を施した状態)で、使用者の顔が予め撮像された顔画像データである(
図2参照)。また、化粧前画像データ63は、化粧前の使用者の顔が撮像部57により撮像された顔画像データである(
図3参照)。
【0029】
また、比較画像データ65は、化粧前画像データ63の撮像に続いて、撮像部57により撮像された顔画像データである(
図4参照)。この顔画像データには、使用者の顔の少なくとも一部に化粧が施された状態で、使用者の顔が撮像されている。
【0030】
さらに、参考画像データ61、化粧前画像データ63、および比較画像データ65は、撮像部57により撮像された画像を左右反転したものが用いられても良い。すなわち、各画像データに含まれる各顔要素は、鏡に映った顔画像と同様な配置となる。例えば、
図2の場合、顔要素91が左眉に、顔要素92が右眉に、それぞれ対応する。
【0031】
ROM53は、いわゆる不揮発性メモリにより構成されている。ROM53には、例えば、プログラム53aが格納されている。なお、RAM52およびROM53としては、読み書き自在の不揮発性メモリであるフラッシュメモリが使用されてもよい。
【0032】
CPU41は、ROM53のプログラム53aに従った動作制御やデータ処理を実行する。また、
図1中のCPU41内に記載されているブロック(それぞれ符号43(43a〜43e)、45、46が付与されている)に対応する演算機能は、CPU41により実現される。なお、各ブロック42〜46に対応する演算機能については後述する。
【0033】
入力部56は、例えば、キーパッド、キーボード、またはマウスのような入力機器である。これにより、化粧評価装置40の使用者は、表示部54の表示内容に基づいた入力作業を行う(例えば、使用者からの指示を受け付ける)ことができる。
【0034】
表示部54は、いわゆる液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイにより構成された表示機器であり、画面に文字や画像等を表示する。表示処理部58は、ビデオコントローラにより構成されており、信号線58aを介して表示部54と電気的に接続されている。したがって、表示処理部58により描画処理が実行されると、表示部54の画面には文字や図形等が表示される。
【0035】
通信処理部55は、CPU41からの指令に従い、ネットワーク9を介して接続された外部装置との間で、データの送受信を実行する。入出力処理部59は、化粧評価装置40と、化粧評価装置40に接続された外部機器との間のデータ授受に使用される。
図1に示すように、入出力処理部59は、信号線59aを介して、入力部56と電気的に接続されている。これにより、化粧評価装置40のCPU41は、入力部56からの入力情報を受け付けることができる。
【0036】
<1.2.化粧評価装置のCPUにより実現される演算機能>
図5から
図7のそれぞれは、化粧評価に用いられる各顔画像データ61、63、65を説明するための図である。
図8は、第1データベース70のデータ構造の一例を説明するための図である。ここでは、
図1、および
図5から
図8を参照しつつ、評価部43、報知部45、および登録部46に対応する機能を説明する。
【0037】
評価部43は、参考画像データ61、化粧前画像データ63、および比較画像データ65に基づいて、使用者に施された化粧の出来映えを評価する。
図1に示すように、評価部43は、主として、抽出部43aと、第1演算部43bと、有無判断部43cと、第2演算部43dと、仕上判断部43eと、を有する。
【0038】
なお、説明の都合上、本実施の形態では、参考画像データ61、化粧前画像データ63、および比較画像データ65では、顔要素91〜95のみを化粧の出来映え評価の対象とする。
【0039】
抽出部43aは、参考画像データ61、化粧前画像データ63、および比較画像データ65のそれぞれから、各顔要素91〜95を存在領域に対応する画像データを抽出可能とされている。
【0040】
例えば、(一の)顔要素91(左眉)が注目要素とされる場合、参考画像データ61からは存在領域91aに対応する画像データが、化粧前画像データ63からは存在領域91bに対応する画像データが、比較画像データ65からは存在領域91cに対応する画像データが、それぞれ抽出される。
【0041】
また、顔要素92(右眉)が注目要素とされる場合、参考画像データ61からは存在領域92aに対応する画像データが、化粧前画像データ63からは存在領域92bに対応する画像データが、比較画像データ65からは存在領域92cに対応する画像データが、それぞれ抽出される。
【0042】
また、顔要素95(唇付近)が注目要素とされる場合、参考画像データ61からは存在領域95aに対応する画像データが、化粧前画像データ63からは存在領域95bに対応する画像データが、比較画像データ65からは存在領域95cに対応する画像データが、それぞれ抽出される。
【0043】
さらに、複数の顔要素93(アイラインが引かれる左瞼付近)、および顔要素94(アイラインが引かれる右瞼付近)が注目要素とされる場合、参考画像データ61からは存在領域93a、94aに対応する画像データが、化粧前画像データ63からは存在領域93b、94bに対応する画像データが、比較画像データ65からは存在領域93c、94cに対応する画像データが、それぞれ抽出される。
【0044】
第1演算部43bは、化粧前画像データ63および比較画像データ65から注目要素に対応する存在領域を、抽出部43aにより抽出させる。また、第1演算部43bは、抽出された領域(第1および第2領域)のぞれぞれに含まれる画像データを用いることにより、注目要素に含まれる各顔要素についての第1指標値を演算する。
【0045】
例えば、(一の)顔要素91が注目要素とされる場合、第1演算部43bは、化粧前画像データ63からは存在領域91b(第1領域)に対応する画像データを、比較画像データ65からは存在領域91c(第2領域)に対応する画像データを、それぞれ抽出部43aにより抽出させる。
【0046】
そして、第1演算部43bは、存在領域91b(第1領域)に対応する画像データと、存在領域91c(第2領域)に対応する画像データと、について、対応画素における濃度値の差分を合算したもの(差分合算値)を、顔要素91の第1指標値として演算する。
【0047】
また、複数の顔要素93、94が注目要素とされる場合、第1演算部43bは、化粧前画像データ63からは存在領域93b、94bに対応する画像データを、比較画像データ65からは存在領域93c、94cに対応する画像データを、それぞれ抽出部43aにより抽出させる。
【0048】
そして、第1演算部43bは、存在領域93b(第1領域)に対応する画像データと、存在領域93c(第2領域)に対応する画像データと、について、対応画素における濃度値の差分を合算したものを、顔要素93の第1指標値として演算する。
【0049】
また同様に、第1演算部43bは、存在領域94b(第1領域)に対応する画像データと、存在領域94c(第2領域)に対応する画像データと、について、対応画素における濃度値の差分を合算したものを、顔要素94の第1指標値として演算する。
【0050】
有無判断部43cは、注目要素に含まれる各顔要素に化粧が施されているか否かの判断を、第1演算部43bで演算された第1指標値のうち、対応するものに基づいて実行するように構成されている。
【0051】
例えば、(一の)顔要素91が注目要素とされる場合、有無判断部43cは、顔要素91に対応する第1指標値(差分合算値)が所定値以上となるときに、顔要素91に化粧が施されていると判断する。
【0052】
また、複数の顔要素93、94が注目要素とされる場合、有無判断部43cは、各顔要素93、94について、化粧有無の判断を実行する。すなわち、顔要素93に対応する第1指標値(差分合算値)が所定値以上となるとき、有無判断部43cは、顔要素93に化粧が施されていると判断する。また同様に、顔要素94に対応する第1指標値(差分合算値)が所定値以上となるとき、有無判断部43cは、顔要素94に化粧が施されていると判断する。
【0053】
第2演算部43dは、注目要素に含まれる顔要素のうち化粧が施されていると有無判断部43cにより判断された化粧済要素について、比較画像データ65および参考画像データ61から、この化粧済要素に対応する存在領域を、抽出部43aにより抽出させる。
【0054】
また、第2演算部43dは、抽出された領域(第3および第4領域)のそれぞれに含まれる画像データを用いることにより、化粧済要素に含まれる各顔要素についての第2指標値を演算する。
【0055】
例えば、(一の)顔要素91が化粧済要素とされる場合、第2演算部43dは、比較画像データ65からは存在領域91c(第3領域)に対応する画像データを、参考画像データ61からは存在領域91a(第4領域)に対応する画像データを、それぞれ抽出部43aにより抽出させる。
【0056】
そして、第2演算部43dは、存在領域91c(第3領域)に対応する画像データと、存在領域91a(第4領域)に対応する画像データと、についての相関係数(共分散を各画像データの標準偏差で割ったもの)を、顔要素91の第2指標値として演算する。
【0057】
また、複数の顔要素93、94が化粧済要素とされる場合、第2演算部43dは、
比較画像データ65からは存在領域93c、94cに対応する画像データを、参考画像データ61からは存在領域93a、94aに対応する画像データを、それぞれ抽出部43aにより抽出させる。
【0058】
そして、第2演算部43dは、存在領域93c(第3領域)に対応する画像データと、存在領域93a(第4領域)に対応する画像データと、についての相関係数を、顔要素93の第2指標値として演算する。また同様に、第2演算部43dは、存在領域94c(第3領域)に対応する画像データと、存在領域94a(第4領域)に対応する画像データと、についての相関係数を、顔要素94の第2指標値として演算する。
【0059】
仕上判断部43eは、化粧済要素に含まれる各顔要素の出来映えの判断を、第2演算部43dで演算された第2指標値のうち、対応するものに基づいて実行するように構成されている。
【0060】
例えば、(一の)顔要素91が化粧済要素とされる場合、仕上判断部43eは、顔要素91に対応する第2指標値(相関係数)が所定値以上となるときに、顔要素91に所望の出来映えを満たす化粧が施されていると判断する。
【0061】
また、複数の顔要素93、94が化粧済要素とされる場合、仕上判断部43eは、各顔要素93、94について、出来映えの判断を実行する。すなわち、顔要素93に対応する第2指標値(相関係数)が所定値以上となるとき、仕上判断部43eは、顔要素93に所望の出来映えを満たす化粧が施されていると判断する。また同様に、顔要素94に対応する第2指標値(相関係数)が所定値以上となるとき、仕上判断部43eは、顔要素93に所望の出来映えを満たす化粧が施されていると判断する。
【0062】
ここで、第1データベース70について説明する。第1データベース70は、各顔要素91〜95に対して化粧を施す順番を示すシーケンス情報を、対応する顔要素91〜95と関連付けて格納可能なデータ群であり、RAM52(
図1参照)に記憶可能とされている。
図8に示すように、第1データベース70、主として、「識別ID71」、「顔要素情報72」、および「完了フラグ73」の各フィールド(列)を有している。
【0063】
「識別ID71」フィールドには、第1データベース70に登録されている各レコード(各行)を一意に識別するための値が、格納されている。「顔要素情報72」には、各顔要素を識別するための文字列が、格納されている。
【0064】
ここで、「識別ID71」の値が昇順となるように各レコードがソートされている場合、「顔要素情報72」フィールドの並びが、各顔要素の化粧順となる。例えば、本実施の形態の場合、
図8に示すように、顔要素91(左眉)、顔要素92(右眉)、顔要素93(アイラインが引かれる左瞼付近)、顔要素94(アイラインが引かれる右瞼付近)、および顔要素95(唇付近)が予め設定された化粧順である。
【0065】
「完了フラグ73」は、対応する顔要素に所望の出来映えを満たす化粧が施されているか否かを示すフラグである。本実施の形態において、化粧開始時には、すべてのレコードの「完了フラグ73」に「FALSE」値が設定される。また、対応する顔要素に対して所望の出来映えを満たす化粧が施されていると仕上判断部43eにより判断される場合、対応するレコードの「完了フラグ73」に「TRUE」値が設定される。このように、「完了フラグ73」は、各顔要素に対する化粧が完了したか否かを示す完了情報として用いることができる。
【0066】
このように、第1データベース70は、各顔要素に対応するレコードを含む。また、第1データベース70に含まれる各レコードは、少なくとも、
(1)対応する顔要素の化粧を施す順番を示す識別ID71(シーケンス情報)と、
(2)対応する顔要素を識別するための顔要素情報72と、
(3)対応する顔要素の化粧が完了したか否かを示す完了フラグ73(完了情報)と、
を格納可能とされている。
【0067】
報知部45は、使用者に対して所望の情報を報知する。例えば、報知部45は、仕上判断部43eの判断結果を、音声、振動、および/または、表示部54への表示を用いることによって、使用者に報知しても良い。
【0068】
すなわち、注目要素のうちの一部について、所望の出来映えを満たす化粧が施されていると判断される場合、報知部45は、例えば、出来映えが良いと判断された顔要素の名称、および出来映えが所望のレベル達していない顔要素の名称、を使用者に報知する。
【0069】
登録部46は、注目要素(より具体的には、化粧済要素)に含まれる少なくとも1つの顔要素について化粧が完了したと評価部43により判断される場合に、この顔要素について化粧が完了したことを示す完了情報を第1データベース70に登録する。
【0070】
例えば、登録部46は、仕上判断部43eの判断結果が所望範囲(例えば、第2指標値が所定値以上)となるときに、第1データベース70に含まれる対応レコードの「完了フラグ73」を「FALSE」値から「TRUE」値に変更する。
【0071】
これにより、報知部45は、第1データベース70に登録された各レコードの識別ID71、顔要素情報72、および完了フラグ73に基づいて、次に化粧すべき顔要素を使用者に対して報知することができる。
【0072】
例えば、第1データベース70の各レコードの値が
図8のようになっている場合、報知部45は、第1データベース70から、(1)「完了フラグ73」=「FALSE」、かつ、(2)「識別ID71」値が最小となるレコードを抽出する。 そして、報知部45は、抽出されたレコードの顔要素情報72を読み取ることによって、次に顔要素92を化粧すべき旨を使用者に報知する。
【0073】
<1.3.化粧評価の手順>
図9は、化粧評価手順を示すフローチャートである。
図10は、第1データベース70のデータ構造の一例を説明するための図である。ここでは、
図5から
図10を参照しつつ、化粧評価装置40を用いた化粧の評価手順を説明する。
【0074】
まず、本判定手順では、RAM52(記憶部)に記憶された比較画像データ65の格納状況が監視される(S101)。そして、
(1)撮像部57により撮像された顔画像が、比較画像データ65としてRAM52に新たに記憶されたとき、または、
(2)撮像部57により撮像された顔画像によって、RAM52に記憶された比較画像データ65が更新されたとき、
評価部43は、ステップS102からS106に従って、使用者に施された化粧の出来映えを評価する。例えば、撮像部57により顔画像が撮像され、RAM52の比較画像データ65が
図7に示すものに更新された場合、ステップS102に進む。
【0075】
ステップS102の抽出処理では、第1データベース70に含まれる各レコードの「完了フラグ73」が参照されるとともに、参照された各レコードの「完了フラグ73」に基づいて、注目要素が抽出される(S102)。
【0076】
例えば、
図8の場合、「完了フラグ73」=「FALSE」となるレコード(「識別ID71」=「2」から「5」となるレコード)が抽出される。そして、各顔要素のうち、抽出レコードに対応するもの(「顔要素情報72」=「顔要素92」から「顔要素95」となるもの)が、注目要素として抽出される。
【0077】
続いて、第1演算部43bによって、注目要素に含まれる各顔要素の第1指標値を演算されるとともに(S103)、有無判断部43cによって、注目要素に含まれる各顔要素に化粧が施されているか否かの判断がなされる(S104)。
【0078】
ここで、有無判断部43cによって、注目要素に含まれるいずれの顔要素についても化粧が施されていないと判断される場合(例えば、第1指標値が差分合算値の場合、演算された全ての第1指標値が所定値未満となるとき:S104)、注目要素に含まれるいずれの顔要素にも化粧が施されていないと判断してステップS108に進む。
【0079】
これに対して、注目要素のうちの少なくとも1つの顔要素に化粧が施されていると判断される場合(S104)、第2演算部43dによって、化粧済要素に含まれる各顔要素の第2指標値が演算されるとともに(S105)、仕上判断部43eによって、化粧済要素に含まれる各顔要素の化粧が完了しているか否かの判断がなされる(S106)。
【0080】
ここで、仕上判断部43eによって、化粧済要素に含まれるいずれの顔要素についても化粧が完了していないと判断される場合(例えば、第2指標値が相関係数の場合、演算された全ての第2指標値が所定値未満となるとき:S106)、化粧済要素に含まれるいずれの顔要素にも化粧が完了していないと判断してステップS108に進む。
【0081】
これに対して、化粧済要素のうちの少なくとも1つの顔要素について、この顔要素に施された化粧の出来映えが良いと判断される場合(S106)、第1データベース70に含まれるレコードのうち対応するものに完了情報が登録された後(S107)、ステップS108に進む。
【0082】
例えば、
図7および
図8の場合において、既に顔要素91の化粧が完了している状態で、新たに顔要素93の化粧が完了していると判断される場合、登録部46は、第1データベース70に含まれるレコードのうち、「識別ID71」=「3」となるレコードを抽出するとともに、抽出されたレコードの「完了フラグ73」を「FALSE」値から「TRUE」値に変更する(
図10参照)。
【0083】
ステップS108では、報知部45によって、ステップS104の注目要素に含まれる各顔要素、またはステップS106の化粧済要素に含まれる各顔要素の化粧状況が報知される。
【0084】
例えば、ステップS104において、注目要素に含まれるいずれの顔要素についても化粧が施されていないと判断された場合、報知部45は、
(1)「完了フラグ73」=「FALSE」に対応する各顔要素(
図8の場合、顔要素92〜顔要素95)について化粧が施されていないこと、および、
(2)次に化粧すべき顔要素(
図8の場合、顔要素92)、
を使用者に対して報知する。
【0085】
また、ステップS106において、化粧済要素に含まれるいずれの顔要素についても化粧が完了していない(所望の出来映えを満たす化粧が施されていない)と判断された場合、報知部45は、
(1)化粧済要素に含まれる全ての顔要素に施された化粧を落とすこと、および、
(2)次に化粧すべき顔要素(
図8の場合、顔要素92)、
を使用者に対して報知する。
【0086】
さらに、ステップS106において、化粧済要素に含まれる顔要素のうち少なくとも1つの要素の化粧が完了していないと判断された場合、報知部45は、
(1)上述の少なくとも1つの要素(以下、「未完要素」と称する)に施された化粧を落とすこと、および、
(2)次に化粧すべき顔要素、
を使用者に対して報知する。
【0087】
なお、ステップS106において、化粧済要素に含まれる顔要素のうち少なくとも1つの要素の化粧が完了していないと判断された場合、次に化粧すべき顔要素は、顔要素を登録部46により更新された第1データベース70に基づいて選択される。
【0088】
そして、ステップS109において、顔要素の一部について化粧が完了していないと判断される場合(すなわち、第1データベース70に含まれる一部のレコードの「完了フラグ73」が「FALSE」となっている場合)、ステップS101に戻る。この場合、RAM52に記憶された比較画像データ65は、入力部56からの指示に応じ、撮像部57により撮像された顔画像によって、更新されても良い。
【0089】
これに対して、ステップS109において、全ての顔要素の化粧が完了していると判断される場合(すなわち、第1データベース70に含まれる全てのレコードの「完了フラグ73」が「TRUE」となっている場合)、化粧評価を終了する。
【0090】
<1.4.第1の実施の形態の化粧評価装置の利点>
以上のように、第1の実施の形態の化粧評価装置40では、参考画像データ61、化粧前画像データ63、および比較画像データ65を用いることによって、視覚を用いることなく、使用者に施された化粧の出来映えを評価することができる。そのため、視覚障がい者であっても自身の顔に良好に化粧を施すことができる。
【0091】
また、第1の実施の形態の化粧評価装置40において、参考画像データ61、化粧前画像データ63、および比較画像データ65のそれぞれは、撮像された画像を左右反転したものとすることができる。すなわち、各画像データに含まれる各顔要素は、鏡に映った顔画像と同様な配置となる。そのため、使用者は、自身の顔を鏡に映した場合と同様の感覚で、化粧をすることができる。
【0092】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1および第2の実施の形態の化粧評価装置40および化粧評価システム100は、同様な機能を実現する点で共通する。また、化粧評価装置40で実現される機能が、端末110および情報処理装置140のいずれかで実現される点で相違する。そこで、以下では、この相違点を中心に説明する。
【0093】
なお、化粧評価装置40および化粧評価システム100で同様な構成要素には、同一符号が付されており、この同一符号が付された構成要素は、第1の実施の形態で説明済みである。そのため、本実施の形態では説明を省略する。
【0094】
<2.1.化粧評価システムの構成>
図11から
図13は、それぞれ本発明の第2の実施の形態における化粧評価システム100、端末110、および情報処理装置140の構成の一例を示すブロック図である。化粧評価システム100の使用者(視覚障がい者を含む)は、このシステム100を用いることによって、自身の顔に施された化粧を評価することができる。
図11に示すように、化粧評価システム100は、主として、一又は複数の端末110(110a、110b)と、情報処理装置140と、を有している。
【0095】
端末110は、いわゆるスマートフォン(Smartphone)やタブレット端末のような携帯端末により構成されている。
図11に示すように、端末110は、ネットワーク9を介し情報処理装置140と接続されている。なお、端末110の詳細な構成については、後述する。
【0096】
情報処理装置140は、いわゆるパーソナルコンピュータやワークステーションにより構成された電子計算機であり、端末110から送信された画像データに従い、所望の処理を実行する。なお、情報処理装置140の詳細な構成については、後述する。
【0097】
<2.2.端末の構成>
図12は、端末110の構成の一例を示す図である。
図12に示すように、端末110は、主として、CPU111と、RAM122と、ROM123と、通信処理部125と、タッチパネル部126と、撮像部127と、を有している。また、CPU111、RAM122、ROM123、通信処理部125、表示処理部128、および入出力処理部129は、バス111aを介して電気的に接続されている。
【0098】
RAM122は、いわゆる揮発性の記憶部により構成されている。RAM122には、CPU111の演算で使用されるデータが格納可能とされている。ROM123は、いわゆる不揮発性メモリにより構成されている。ROM123には、例えば、プログラム123aが格納されている。なお、RAM122およびROM123としては、読み書き自在の不揮発性メモリであるフラッシュメモリが使用されてもよい。
【0099】
CPU111は、ROM123のプログラム123aに従った動作制御やデータ処理を実行する。また、
図12中のCPU111内に記載されている報知部114は、報知部45と同様な演算機能であり、CPU111により実現される。
【0100】
通信処理部125は、CPU111からの指令に従い、ネットワーク9を介して接続された情報処理装置140との間で、データの送受信を実行する。タッチパネル部126は、例えば、液晶ディスプレイのような「表示機器」としての機能と、指や専用のペンで画面に触れることによって画面上の位置を指定できる「タッチパネル」としての機能と、を有している。
【0101】
撮像部127は、撮像部57と同様に、いわゆるCCDセンサやCMOSセンサを撮像素子とするカメラにより構成されている。これにより、撮像部127は、使用者の顔画像を撮像可能とされている。
【0102】
表示処理部128は、表示処理部38と同様に、ビデオコントローラにより構成されており、信号線128aを介してタッチパネル部126と電気的に接続されている。したがって、表示処理部128により描画処理が実行されると、タッチパネル部126の画面には文字や図形等が表示される。
【0103】
入出力処理部129は、端末110と、端末110の外部機器との間のデータ授受に使用される。
図12に示すように、入出力処理部129は、信号線129aを介して、タッチパネル部126および撮像部127と電気的に接続されている。これにより、端末110のCPU111は、タッチパネル部126の画面上の位置情報を取得できる。
【0104】
<2.3.情報処理装置の構成>
図13に示すように、情報処理装置140は、主として、CPU141と、大容量記憶部51と、RAM52と、ROM53と、表示部54と、通信処理部55と、入力部56と、撮像部57と、を有している。また、CPU141、大容量記憶部51、RAM52、ROM53、通信処理部55、表示処理部58、および入出力処理部59は、バス41aを介して電気的に接続されている。
【0105】
CPU141は、ROM123のプログラム123aに従った動作制御やデータ処理を実行する。また、
図13中のCPU141内に記載されているブロック(それぞれ符号43(43a〜43e)、45、46が付与されている)に対応する演算機能は、CPU141により実現される。
【0106】
<2.4.第2の実施の形態の化粧評価システムの利点>
以上のように、第2の実施の形態の化粧評価システム100では、第1の実施の形態の化粧評価装置40と同様に、参考画像データ61、化粧前画像データ63、および比較画像データ65を用いることによって、視覚を用いることなく、使用者に施された化粧の出来映えを評価することができる。そのため、視覚障がい者であっても自身の顔に良好に化粧を施すことができる。
【0107】
<3.第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第2および第3の実施の形態の化粧評価システム100、200は、対応するRAM52、252、およびRAM122、222に格納されるデータが異なる点を除いては、同様な構成を有する。そこで、以下では、この相違点を中心に説明する。
【0108】
なお、化粧評価システム100、200で同様な構成要素には、同一符号が付されており、この同一符号が付された構成要素は、第1および第2の実施の形態で説明済みである。そのため、本実施の形態では説明を省略する。
【0109】
図14から
図16は、それぞれ本発明の第3の実施の形態における化粧評価システム200、端末210、および情報処理装置240の構成の一例を示すブロック図である。
図14に示すように、化粧評価システム200は、主として、一又は複数の端末210(210a、210b)と、情報処理装置240と、を有している。
【0110】
図15は、端末210の構成の一例を示すブロック図である。
図15に示すように、端末210は、主として、CPU111と、RAM222と、ROM123と、通信処理部125と、タッチパネル部126と、撮像部127と、を有している。また、CPU111、RAM222、ROM123、通信処理部125、表示処理部128、および入出力処理部129は、バス111aを介して電気的に接続されている。
【0111】
RAM222は、RAM122と同様に、いわゆる揮発性の記憶部により構成されている。RAM222は、CPU111の演算で使用されるデータ(少なくとも、使用者の顔画像データである化粧前画像データ63および比較画像データ65、並びに第1データベース70等)を記憶可能とされている。
【0112】
図16は、情報処理装置240の構成の一例を示すブロック図である。
図16に示すように、情報処理装置240は、主として、CPU141と、大容量記憶部51と、RAM252と、ROM53と、表示部54と、通信処理部55と、入力部56と、撮像部57と、を有している。また、CPU141、大容量記憶部51、RAM252、ROM53、通信処理部55、表示処理部58、および入出力処理部59は、バス41aを介して電気的に接続されている。
【0113】
RAM252は、RAM52と同様に、いわゆる揮発性の記憶部により構成されている。RAM252は、CPU141の演算で使用されるデータ(少なくとも、使用者の顔画像データである参考画像データ61等)を記憶可能とされている。
【0114】
以上のように、第3の実施の形態の化粧評価システム200では、第2の実施の形態の化粧評価システム100と同様に、参考画像データ61、化粧前画像データ63、および比較画像データ65を用いることによって、視覚を用いることなく、使用者に施された化粧の出来映えを評価することができる。そのため、視覚障がい者であっても自身の顔に良好に化粧を施すことができる。
【0115】
<4.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0116】
(1)第1から第3の形態における評価部43は、CPU41(
図1参照)、CPU141(
図13、
図16参照)によりソフトウェア的に実現されるものとして説明したが、これに限定されるものでない。例えば、評価部43の機能は、電子回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、化粧評価装置であって、使用者の顔画像を撮像可能とされた撮像部と、少なくとも前記使用者の顔画像データ、すなわち、前記使用者の顔に参考となる化粧が施された状態で、前記使用者の顔が予め撮像された参考画像データと、化粧前の前記使用者の顔が前記撮像部により撮像された化粧前画像データと、前記化粧前画像データの撮像に続いて前記撮像部により撮像された顔画像データであって、前記使用者の顔の少なくとも一部に化粧が施された状態で、前記使用者の顔が撮像された比較画像データとを記憶可能とされた記憶部と、前記参考画像データと、前記化粧前画像データと、前記比較画像データと、に基づいて、前記使用者に施された化粧の出来映えを評価する評価部と、前記使用者に対して所望の情報を報知する報知部とを備え、前記使用者の顔に含まれる各顔要素のうち
、前記評価部は、前記参考画像データ、前記化粧前画像データ、および前記比較画像データのそれぞれから、各顔要素の存在領域に対応する画像データを抽出可能とされた抽出部と、前記化粧前画像データおよび前記比較画像データから前記注目要素に対応する存在領域を、それぞれ第1および第2領域として、前記抽出部により抽出させた上で、前記第1および第2領域のそれぞれに含まれる画像データを用いることにより、前記注目要素に含まれる各顔要素について第1指標値を演算する第1演算部と、前記注目要素に含まれる各顔要素に化粧が施されているか否かの判断を、前記第1演算部で演算された第1指標値のうち、対応するものに基づいて実行するように構成された有無判断部と、前記有無判断部により前記注目要素に含まれる顔要素のうち化粧が施されていると判断された化粧済要素について、前記比較画像データおよび前記参考画像データから前記化粧済要素に対応する存在領域を、それぞれ第3および第4領域として、前記抽出部により抽出させた上で、前記第3および第4領域のそれぞれに含まれる画像データを用いることにより、化粧済要素に含まれる各顔要素についての第2指標値を演算する第2演算部と、前記化粧済要素に含まれる各顔要素の出来映えの判断を、前記第2演算部で演算された第2指標値のうち、対応するものに基づいて実行するように構成された仕上判断部とを有し、前記報知部は、前記仕上判断部の判断結果を前記使用者に報知することを特徴とする。
また、請求項8の発明は、化粧評価システムであって、端末と、情報処理装置とを備え、前記端末は、使用者の顔画像を撮像可能とされた撮像部と、前記使用者に対して所望の情報を報知する報知部とを有し、前記情報処理装置は、少なくとも前記使用者の顔画像データ、すなわち、前記使用者の顔に参考となる化粧が施された状態で、前記使用者の顔が撮像された参考画像データと、化粧前の前記使用者の顔が前記撮像部により撮像された化粧前画像データと、前記化粧前画像の撮像に続いて前記撮像部により撮像された顔画像データであって、前記使用者の顔の少なくとも一部に化粧が施された状態で、前記使用者の顔が撮像された比較画像データとを記憶可能とされた記憶部と、前記参考画像データと、前記化粧前画像データと、前記比較画像データと、に基づいて、前記使用者に施された化粧の出来映えを評価する評価部とを有し、前記使用者の顔に含まれる各顔要素のうち
、前記情報処理装置の前記評価部は、前記参考画像データ、前記化粧前画像データ、および前記比較画像データのそれぞれから、各顔要素の存在領域に対応する画像データを抽出可能とされた抽出部と、前記化粧前画像データおよび前記比較画像データから前記注目要素に対応する存在領域を、それぞれ第1および第2領域として、前記抽出部により抽出させた上で、前記第1および第2領域のそれぞれに含まれる画像データを用いることにより、前記注目要素に含まれる各顔要素について第1指標値を演算する第1演算部と、前記注目要素に含まれる各顔要素に化粧が施されているか否かの判断を、前記第1演算部で演算された第1指標値のうち、対応するものに基づいて実行するように構成された有無判断部と、前記有無判断部により前記注目要素に含まれる顔要素のうち化粧が施されていると判断された化粧済要素について、前記比較画像データおよび前記参考画像データから前記化粧済要素に対応する存在領域を、それぞれ第3および第4領域として、前記抽出部により抽出させた上で、前記第3および第4領域のそれぞれに含まれる画像データを用いることにより、化粧済要素に含まれる各顔要素についての第2指標値を演算する第2演算部と、前記化粧済要素に含まれる各顔要素の出来映えの判断を、前記第2演算部で演算された第2指標値のうち、対応するものに基づいて実行するように構成された仕上判断部とを有し、前記仕上判断部の判断結果を受信した前記端末の前記報知部は、該判断結果を前記使用者に報知することを特徴とする。
また、請求項12の発明は、化粧評価方法であって、(a)参考画像データと、化粧前画像データと、比較画像データと、に基づいて、使用者に施された化粧の出来映えを評価する工程と、(b)前記使用者に対して所望の情報を報知する工程とを備え、前記使用者の顔に含まれる各顔要素のうち
、前記参考画像データは、前記使用者の顔に参考となる化粧が施された状態で、前記使用者の顔が撮像された顔画像データであり、前記化粧前画像データは、化粧前の前記使用者の顔が撮像部により撮像された顔画像データであり、比較画像データは、前記化粧前画像の撮像に続いて前記撮像部により撮像された顔画像データであって、前記使用者の顔の少なくとも一部に化粧が施された状態で、前記使用者の顔が撮像されたものであり、前記工程(a)は、(a-1)前記参考画像データ、前記化粧前画像データ、および前記比較画像データのそれぞれから、各顔要素の存在領域に対応する画像データを抽出する工程と、(a-2)前記化粧前画像データおよび前記比較画像データから前記注目要素に対応する存在領域を、それぞれ第1および第2領域として、前記工程(a-1)により抽出した上で、前記第1および第2領域のそれぞれに含まれる画像データを用いることにより、前記注目要素に含まれる各顔要素について第1指標値を演算する工程と、(a-3)前記注目要素に含まれる各顔要素に化粧が施されているか否かの判断を、前記工程(a-2)で演算した第1指標値のうち、対応するものに基づいて実行する工程と、(a-4)前記有無判断部により前記注目要素に含まれる顔要素のうち化粧が施されていると判断された化粧済要素について、前記比較画像データおよび前記参考画像データから前記化粧済要素に対応する存在領域を、それぞれ第3および第4領域として、前記工程(a-1)により抽出した上で、前記第3および第4領域のそれぞれに含まれる画像データを用いることにより、化粧済要素に含まれる各顔要素についての第2指標値を演算する工程と、(a-5)前記化粧済要素に含まれる各顔要素の出来映えの判断を、前記工程(a-4)で演算した第2指標値のうち、対応するものに基づいて実行する工程とを有し、前記工程(b)は、前記報知部は、前記工程(a-5)の判断結果を前記使用者に報知することを特徴とする。