(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-1553(P2021-1553A)
(43)【公開日】2021年1月7日
(54)【発明の名称】エンジン作業機
(51)【国際特許分類】
F02B 63/00 20060101AFI20201204BHJP
【FI】
F02B63/00 F
F02B63/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-114263(P2019-114263)
(22)【出願日】2019年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】東 知世洋
(57)【要約】
【課題】品番や製品番号やロゴマーク等のデザインの取付作業を省くとともに、品番や製品番号やロゴマーク等のデザインの視認性を長期に亘って確保することができるエンジン作業機を提供する。
【解決手段】吸気口15,16,17の開口部を、ケーシング12の外板12a,12b,12cで覆うとともに、該外板12a,12b,12cに文字部15a又はデザイン部16a,17aを形成する。文字部15a又はデザイン部16a,17aは、レーザ加工又はパンチング加工で形成された、複数の貫通孔15b,16b,16c,17b,17cで構成される。吸気口15,16,17はケーシング12内にダクト15c,16d,17dを備え、ダクト15c,16d,17dの、文字部15a又はデザイン部16a,17aに対向する面をケーシング12と異なる色に着色する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気又は排気を行う通気口を備えたケーシング内に、作業機と、該作業機を駆動するエンジンとを収納したエンジン作業機において、前記通気口の開口部を、前記ケーシングを構成する外板で覆うとともに、該外板に、複数の貫通孔で形成した文字部又はデザイン部を設けたことを特徴とするエンジン作業機。
【請求項2】
前記文字部又は前記デザイン部は、レーザ加工又はパンチング加工で形成されることを特徴とする請求項1記載のエンジン作業機。
【請求項3】
前記通気口は、前記ケーシング内にダクトを備え、該ダクトの、前記文字部又はデザイン部に対向する面を前記ケーシングと異なる色に着色したことを特徴とする請求項1又は2記載のエンジン作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン作業機に関し、詳しくは、ケーシングの内部に、発電機やコンプレッサ、油圧ユニット、ポンプなどの作業機と、該作業機を駆動するエンジンとを収納したエンジン作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電機などの作業機と、該作業機を駆動するエンジンとをケーシングの内部に収容したエンジン作業機では、ケーシングに吸気口や排気口(通気口)を設け、外気によってケーシング内を冷却していた(例えば、特許文献1参照。)。また、エンジン作業機のケーシングには、品番や製品番号やロゴマーク等のデザインを表示したシールやプレートが取り付けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−137780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のエンジン作業機では、品番や製品番号やロゴマーク等のデザインを表示したシールやプレートは、エンジン作業機を組み立てて、ケーシングを塗装した後に、手作業で見栄え良く取り付けなければならないことから、手間が掛かりコストが嵩んでいた。さらに、エンジン作業機は屋外で使用されることが多いことから、品番や製品番号やロゴマーク等のデザインを表示したシールやプレートの表面が風化により摩耗したり退色するなど劣化し、視認し難くなることがあった。
【0005】
そこで本発明は、品番や製品番号やロゴマーク等のデザインの取付作業を省くとともに、品番や製品番号やロゴマーク等のデザインの視認性を長期に亘って確保することができるエンジン作業機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のエンジン作業機は、吸気又は排気を行う通気口を備えたケーシング内に、作業機と、該作業機を駆動するエンジンとを収納したエンジン作業機において、前記通気口の開口部を、前記ケーシングを構成する外板で覆うとともに、該外板に、複数の貫通孔で形成した文字部又はデザイン部を設けたことを特徴としている。
【0007】
また、前記文字部又は前記デザイン部は、レーザ加工又はパンチング加工で形成されると好ましい。さらに、前記通気口は、前記ケーシング内にダクトを備え、該ダクトの、前記文字部又はデザイン部に対向する面を前記ケーシングと異なる色に着色すると好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のエンジン作業機によれば、吸気口や排気口等の通気口の開口部を、外板で覆うとともに、該外板に、複数の貫通孔で形成した文字部又はデザイン部を設け、該文字部やデザイン部で品番や製品番号やロゴマーク等のデザインを表示することで、品番や製品番号やロゴマーク等のデザインをケーシングに取り付ける作業を省略でき、コストを抑えることができる。また、文字部やデザイン部は、風化により劣化する虞がないことから、品番や製品番号やロゴマーク等のデザインの視認性を長期に亘って確保することができる。
【0009】
さらに、文字部又はデザイン部をレーザ加工で形成することにより、デザイン性を向上させることができ、また、パンチング加工で形成することにより、迅速に加工することができる。
【0010】
また、通気口はケーシング内にダクトを備え、該ダクトの、文字部又はデザイン部に対向する面をケーシングと異なる色に着色することにより、文字部又はデザイン部を構成する貫通孔を通して、文字部又はデザイン部を着色したような状態で外部から視認することができ、視認性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一形態例を示すエンジン作業機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至
図3は、本発明のエンジン作業機の一形態例を示す図である。エンジン作業機11は、防音構造を有するケーシング12の内部を、エンジン室13と排風室14とに区画し、エンジン室13に発電機や圧縮機、ポンプなどの作業機と該作業機を駆動するエンジンとを収容し、ファンによりエンジン室側に設けた吸気口15,16,17(本発明の通気口)から外気を取り入れ、排風室14に設けた排気口(図示せず)から、取り入れた外気を排出するようにしている。
【0013】
エンジン室13の正面上部に設けられた吸気口15の開口部は、ケーシング12の天井部と側面上部とを構成する外板12aで覆われるとともに、品番や製品番号を表示する文字部15aが形成されている。文字部15aは、外板12aに形成されたスリット状の複数の貫通孔15bを組み合わせることで形成されている。
【0014】
また、エンジン室13の正面下部に設けられた吸気口16は、ケーシング12の正面部を構成する外板12bで覆われるとともに、該外板12bに、スリット状の複数の貫通孔16bと、矩形状の複数の貫通孔16cとを組み合わせて設けることで、ロゴマークやその他のデザインを表示するデザイン部16aが形成されている。さらに、エンジン室13の側面上部に設けられた吸気口17の開口部は、ケーシング12の側面部を構成する外板12cで覆われるとともに、該外板12cに、スリット状の複数の貫通孔17bと、矩形状の複数の貫通孔17cとを組み合わせて設けることで、ロゴマークやその他のデザインを表示するデザイン部17aが形成されている。
【0015】
文字部15aやデザイン部16a,17aを構成する複数の貫通孔15b,16b,16c,17b,17cの加工は、例えば、レーザ加工装置によって行うことができる。レーザ加工装置は、板材にレーザ光を照射して、材料となる板材から、ケーシング12の外板12a,12b,12c等を切り出す周知のもので、外板12a,12b,12cを切り出す際に、文字部15aやデザイン部16a,17aの加工も行うことができる。
【0016】
貫通孔15b,16b,16c,17b,17cの加工は、例えば、加工プログラムを用いた制御により行われ、レーザヘッドからのレーザ光の照射位置、照射タイミング、レーザ光の出力、レーザヘッドの移動方向、移動量、移動速度等を加工プログラムにより制御しながら、外板12a,12b,12cの所定の位置に所定の形状で加工される。また、文字部15aやデザイン部16a,17aを構成する貫通孔の形状が、小径の穴の連続である場合では、タレットパンチプレスを用いたパンチング加工で文字部15aやデザイン部16a,17aを形成することもでき、さらに、近年ではレーザ加工とパンチング加工とを一台の装置で行うことができるものも開発されており、文字部15aやデザイン部16a,17aを容易に形成することができる。
【0017】
また、吸気口15,16,17は、ケーシング12内にダクト15c,16d,17dをそれぞれ備え、ダクト15c,16d,17dの、文字部15a又はデザイン部16a,17aに対向する面をケーシング12と異なる色、例えば、ケーシング12が緑色に着色されている場合には白色、ケーシング12がアイボリーに着色されている場合には赤色等に着色する。
【0018】
上述のように形成されたエンジン作業機11では、エンジンが作動してファンが回転を開始すると、ファンの作用により、吸気口15,16,17に形成された文字部15aやデザイン部16a,17aから外気がエンジン室13内に取り入れられ、各種機器の周囲を通過し、排風室14の排気口から外部に排出され、エンジン室13内を良好に冷却させることができる。
【0019】
また、吸気口15,16,17の開口部に、複数の貫通孔15b,16b,16c,17b,17cで形成した文字部15aやデザイン部16a,17aを設け、該文字部15aやデザイン部16a,17aで品番や製品番号やロゴマーク等のデザインを表示することで、従来、品番や製品番号やロゴマーク等のデザインを表示したシールやプレートをケーシングに取り付けていた作業を省略でき、コストを抑えることができる。
【0020】
また、文字部15aやデザイン部16a,17aは、風化により劣化する虞がないことから、品番や製品番号やロゴマーク等のデザインの視認性を長期に亘って確保することができる。さらに、文字部15a又はデザイン部16a,17aをレーザ加工で形成することにより、デザイン性を向上させることができ、また、パンチング加工で形成することにより、迅速に加工することができる。
【0021】
さらに、ダクト15c,16d,17dの、文字部15a又はデザイン部16a,17aに対向する面をケーシング12と異なる色に着色することにより、文字部15a又はデザイン部16a,17aを構成する貫通孔15b,16b,16c,17b,17cを通して、文字部15a又はデザイン部16a,17aを着色したような状態で外部から視認することができ、視認性の向上を図ることができる。また、ダクト15c,16d,17dの内面を蓄光性の塗料で着色することにより、夜間での文字部15a又はデザイン部16a,17aの視認性をより向上させることができる。
【0022】
尚、本発明は、上述の形態例のように吸気口に文字部又はデザイン部を設けたものに限らず、排気口に文字部又はデザイン部を設けることもできる。また、デザイン部は、ロゴマークに限らず、製品情報を示すマークや、コーションマーク等、多様な情報をデザイン部にして表現することができ、文字部は銘板を表現するものであってもよい。さらに、文字部又はデザイン部を備えた通気口に設けられるダクトは、着色しなくても差し支えない。
【符号の説明】
【0023】
11…エンジン作業機、12…ケーシング、12a,12b,12c…外板、13…エンジン室、14…排風室、15…吸気口、15a…文字部、15b…貫通孔、15c…ダクト、16…吸気口、16a…デザイン部、16b,16c…貫通孔、16d…ダクト、17…吸気口、17a…デザイン部、17b,17c…貫通孔、17d…ダクト