【実施例】
【0039】
(実施例1〜29)及び(比較例1〜8)
表1〜3に記載の配合により実施例1〜29及び比較例1〜8に係る殺菌・ウイルス不活性化組成物を作製した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
(タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定)
(1)ネコカリシウイルスを、ネコ腎由来株化細胞であるCRFK細胞(ATCC CCL−94)に感染させて細胞を培養した。
(2)次に、ネコカリシウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認した。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕した。
(3)牛肉エキス(ナカライテスク社製)0.1gをOPTI−MEM培地で溶解して10%肉エキス液を作製し、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清と、10%肉エキスとを1:1の割合(容量)で混合し、ウイルス溶液とした。
(4)各実施例及び各比較例に係る殺菌・ウイルス不活性化組成物と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、OPTI−MEM培地で100倍希釈することにより、各殺菌・ウイルス不活性化組成物のウイルスに対する作用を停止させた。
この工程により得られた溶液を殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液とする。
(5)OPTI−MEM培地と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合した直後、OPTI−MEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液を殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液とした。
(6)殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液、殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液を、それぞれ、OPTI−MEM培地により10倍段階希釈した。CRFK細胞を培養した96wellマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を100μLずつ加えた。
(7)殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液及び殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたCRFK細胞を37℃、5%CO2の条件で、4日間培養した。
(8)培養したCRFK細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量した。
(9)上記(1)〜(8)の工程を3回独立に行い、殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0分におけるウイルス感染力価とし、殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値とした。
評価基準は以下の通りである。結果を表1〜3に示す。
A:4.0以上の感染力価の減少(充分な効果あり)
B:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(効果あり)
C:2.0未満の感染力価の減少(効果なし)
【0044】
(タンパク質汚れなしネコカリシウイルス感染力価測定)
各実施例及び各比較例に係る殺菌・ウイルス不活性化組成物を用い、上記(タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定)の(3)工程において、10%肉エキスを混合せず、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清をウイルス溶液とした以外は、上記(タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定)と同様にタンパク質汚れなしネコカリシウイルス感染力価測定を行った。
作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は上記(タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定)の評価基準と同様である。結果を表1〜3に示す。
【0045】
(タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定)
(1)マウスノロウイルスを、マウスのマクロファージ由来細胞株であるRAW 264.7細胞(ATCC TIB−71)に感染させて細胞を培養した。
(2)次に、マウスノロウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認した。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕した。
(3)牛肉エキス(ナカライテスク社製)0.1gをDMEM培地で溶解して10%肉エキス液を作製し、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清と、10%肉エキスとを1:1の割合(容量)で混合し、ウイルス溶液とした。
(4)各実施例及び各比較例に係る殺菌・ウイルス不活性化組成物と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、10%牛胎児血清含有DMEM培地で100倍希釈することにより、各殺菌・ウイルス不活性化組成物のウイルスに対する作用を停止させた。
この工程により得られた溶液を殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液とした。
(5)10%牛胎児血清含有DMEM培地と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合した直後、10%牛胎児血清含有DMEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液を殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液とした。
(6)殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液及び殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液を、それぞれ、10%牛胎児血清含有DMEM培地により、10倍段階希釈した。1ウェルにRAW 264.7細胞を50μLずつ分注した96wellマイクロプレートに、各段階希釈液を50μLずつ加えた。
(7)殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液及び殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたRAW 264.7細胞を37℃、5%CO
2の条件で、4日間培養した。
(8)培養したRAW 264.7細胞のCPEを指標にTCID
50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量した。
(9)上記(1)〜(8)の工程を3回独立に行い、殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0分におけるウイルス感染力価とし、殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値とした。
評価基準は以下の通りである。結果を表1〜3に示す。
A:4.0以上の感染力価の減少(充分な効果あり)
B:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(効果あり)
C:2.0未満の感染力価の減少(効果なし)
【0046】
(タンパク質汚れなしマウスノロウイルス感染力価測定)
各実施例及び各比較例に係る殺菌・ウイルス不活性化組成物を用い、上記(タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定)の(3)工程において、10%肉エキスを混合せず、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清をウイルス溶液とした以外は、上記(タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定)と同様にタンパク質汚れなしマウスノロウイルス感染力価測定を行った。
作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は上記(タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定)の評価基準と同様である。結果を表1〜3に示す。
【0047】
(タンパク質汚れ存在時インフルエンザウイルス感染力価測定)
(1)インフルエンザウイルスを、イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来株化細胞であるMDCK細胞に感染させて細胞を培養した。
(2)次に、インフルエンザウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認した。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕した。
(3)牛肉エキス(ナカライテスク社製)0.1gをEMEM培地で溶解して10%肉エキス液を作製し、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清と、10%肉エキスとを1:1の割合(容量)で混合し、ウイルス溶液とした。
(4)各実施例及び各比較例に係る殺菌・ウイルス不活性化組成物と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、2μg/mLトリプシン(牛脾臓由来結晶)を含むEMEM培地(以下、トリプシン含有EMEM培地)で100倍希釈することにより、各殺菌・ウイルス不活性化組成物のウイルスに対する作用を停止させた。
この工程により得られた溶液を殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液とした。
(5)トリプシン含有EMEM培地と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合した直後、トリプシン含有EMEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液を殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液とした。
(6)殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液、殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液を、それぞれ、トリプシン含有EMEM培地により10倍段階希釈した。MDCK細胞を培養した96wellマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を100μLずつ加えた。
(7)殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液及び殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたMDCK細胞を37℃、5%CO
2の条件で、4日間培養した。
(8)培養したMDCK細胞のCPEを指標にTCID
50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量した。
(9)上記(1)〜(8)の工程を3回独立に行い、殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0分におけるウイルス感染力価とし、殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値とした。
評価基準は以下の通りである。結果を表1〜3に示す。
A:4.0以上の感染力価の減少(充分な効果あり)
B:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(効果あり)
C:2.0未満の感染力価の減少(効果なし)
【0048】
(タンパク質汚れなしインフルエンザウイルス感染力価測定)
各実施例及び各比較例に係る殺菌・ウイルス不活性化組成物を用い、上記(タンパク質汚れ存在時インフルエンザウイルス感染力価測定)の(3)工程において、10%肉エキスを混合せず、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清をウイルス溶液とした以外は、上記(タンパク質汚れ存在時インフルエンザウイルス感染力価測定)と同様にタンパク質汚れなしインフルエンザウイルス感染力価測定を行った。
作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は上記(タンパク質汚れ存在時インフルエンザウイルス感染力価測定)の評価基準と同様である。結果を表1〜3に示す。
【0049】
(殺菌効果の評価)
(1)大腸菌(
Escherichia coli NBRC3972)及び黄色ブドウ球菌(
Staphylococcus aureus NBRC12732)を、それぞれ、普通ブイヨン培地に接種し、35℃で24時間培養し菌液とした。
【0050】
(2)各実施例及び各比較例の殺菌・ウイルス不活性化組成物と菌液とを99:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、SCDLP培地に1白金耳移植し、35℃で48時間培養後、菌の生死を判定した。
【0051】
(3)SCDLP培地に濁りが見られた場合、菌が死滅しなかったと判断し、濁りが見られない場合菌が死滅したと判断した。
【0052】
また、10倍に希釈した各実施例及び各比較例の殺菌・ウイルス不活性化組成物を用い上記(1)〜(3)と同様の操作を繰り返し、菌の生死を判定した。
【0053】
結果を表1〜3に示す。評価基準は以下の通りである。
[大腸菌について]
〇:大腸菌が死滅した。
×:大腸菌が死滅しなかった。
[黄色ブドウ球菌について]
〇:黄色ブドウ球菌が死滅した。
×:黄色ブドウ球菌が死滅しなかった。
【0054】
表1〜3より、実施例に係る殺菌・ウイルス不活性化組成物は優れた殺菌効果及び抗ウイルス効果を奏することが判明した。
特に、殺菌・ウイルス不活性化組成物が水により希釈されたとしても、充分な殺菌効果を奏することが判明した。