特開2021-155368(P2021-155368A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-155368(P2021-155368A)
(43)【公開日】2021年10月7日
(54)【発明の名称】殺菌・ウイルス不活性化組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 31/04 20060101AFI20210910BHJP
   A01N 33/12 20060101ALI20210910BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20210910BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20210910BHJP
   A01N 59/00 20060101ALI20210910BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20210910BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20210910BHJP
【FI】
   A01N31/04
   A01N33/12 101
   A01N43/40 101K
   A01N25/00 101
   A01N59/00 C
   A01P1/00
   A01P3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-57980(P2020-57980)
(22)【出願日】2020年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 恵太
(72)【発明者】
【氏名】守屋 貴弘
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA01
4H011AA04
4H011BA02
4H011BA06
4H011BB03
4H011BB04
4H011BB09
4H011BC18
4H011DA13
4H011DF04
(57)【要約】
【課題】 環境中の水や汚れがあったとしても、充分な殺菌効果及び抗ウイルス効果を示す殺菌・ウイルス不活性化組成物を提供する。
【解決手段】 10.00wt%以上の低級アルコールと、カチオン界面活性剤と、アルカリ剤とを含むことを特徴とする殺菌・ウイルス不活性化組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
10.00wt%以上の低級アルコールと、
カチオン界面活性剤と、
アルカリ剤を含むことを特徴とする殺菌・ウイルス不活性化組成物。
【請求項2】
前記低級アルコールは、エタノール、イソプロピルアルコール及びプロパノールからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の殺菌・ウイルス不活性化組成物。
【請求項3】
前記カチオン界面活性剤は、四級アンモニウム化合物である請求項1又は2に記載の殺菌・ウイルス不活性化組成物。
【請求項4】
前記カチオン界面活性剤は、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライドからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1〜3のいずれかに記載の殺菌・ウイルス不活性化組成物。
【請求項5】
前記アルカリ剤は、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、ケイ酸塩及び脂肪族アミンからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1〜4に記載の殺菌・ウイルス不活性化組成物。
【請求項6】
前記アルカリ剤は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、過炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、オルソケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミンからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項5に記載の殺菌・ウイルス不活性化組成物。
【請求項7】
前記アルカリ剤は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム及び過炭酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の炭酸塩であり、前記炭酸塩の濃度は、0.05〜10wt%である請求項6に記載の殺菌・ウイルス不活性化組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌・ウイルス不活性化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
黄色ブドウ球菌や、サルモネラ菌等の細菌は、食中毒を引き起こす原因菌として知られている。これらの細菌による食中毒を防ぐために、低級アルコールや四級アンモニウム化合物等の殺菌組成物を用いてこれらの細菌を殺菌することは従来より行われている。
【0003】
また、近年、ノロウイルス等のウイルスによる感染性胃腸炎あるいは食中毒の発生が一年を通じて多発しており、特に11〜3月が発生のピークとなっている。特にノロウイルスは、カリシウイルス科、ノロウイルス属に分類されるエンベロープを持たないRNAウイルス(以下、「ノロウイルス等」と記載する)であり、アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、熱、酸性(胃酸等)、又は、乾燥等に対して強い抵抗力を有する。潜伏期間は1〜2日であると考えられており、嘔気、嘔吐、下痢の主症状が出るが、腹痛、頭痛、発熱、悪寒、筋痛、咽頭痛、倦怠感等を伴うこともある。
【0004】
細菌やウイルスによる食中毒を防ぐための組成物として、特許文献1には、以下の殺菌消毒剤が開示されている。
すなわち、特許文献1には、下記の(A)〜(C)成分を、組成物全体に対し下記割合で含有するとともに、水を含有し、且つpH(JIS Z−8802:2011「pH測定方法」)が25℃で9.5以上であることを特徴とする殺菌消毒剤組成物が開示されている。
(A)低級アルコール35〜75質量%、
(B)無機アルカリ性物質0.05〜10質量%、
(C)モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種以上の非イオン界面活性剤0.05〜5質量%。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019−52107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の殺菌消毒剤組成物は、実験室では殺菌効果及び抗ウイルス効果(「ウイルス不活性化効果」とも記載する)を示す。
しかし、特許文献1に記載のような殺菌消毒剤組成物を、実際の調理場や食堂で使用する場合、環境中の水により殺菌消毒剤組成物が希釈され、充分な殺菌効果及び抗ウイルス効果が得られないという問題が生じることがある。また、環境中の汚れ(特に、タンパク質汚れ)により、殺菌効果及び抗ウイルス効果が低下するという問題が生じることがある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされた発明であり、本発明の目的は、環境中の水や汚れがあったとしても、充分な殺菌効果及び抗ウイルス効果を示す殺菌・ウイルス不活性化組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物は、10.00wt%以上の低級アルコールと、カチオン界面活性剤と、アルカリ剤を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物は、10.00wt%以上の低級アルコール及びカチオン界面活性剤を含む。これらの化合物は、殺菌効果及び抗ウイルス効果を示す。
また、カチオン界面活性剤は少量でも殺菌効果を示すので、本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物が環境中の水により希釈されたとしても殺菌効果が低下しにくい。
【0010】
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物は、アルカリ剤を含む。
アルカリ剤は、低級アルコールと組み合わされることにより低級アルコールの抗ウイルス効果を向上させることができる。
また、アルカリ剤は、カチオン界面活性剤と組み合わされることによりカチオン界面活性剤の殺菌効果を向上させることができる。特に、カチオン界面活性剤はアルカリ性液下において成分の分解が少ないので、長期間安定してカチオン界面活性剤の殺菌効果を維持させることができる。
このようにアルカリ剤が存在すると、低級アルコール及びカチオン界面活性剤の効果を向上させることができるので、環境中の水や汚れがあったとしても、本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物は充分な殺菌効果及び抗ウイルス効果を示す。
【0011】
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物では、上記低級アルコールは、エタノール、イソプロピルアルコール及びプロパノールからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
これらの低級アルコールは、優れた殺菌効果及び抗ウイルス効果を示す。
【0012】
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物では、上記カチオン界面活性剤は、四級アンモニウム化合物であることが好ましく、上記カチオン界面活性剤は、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライドからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい
これらのカチオン界面活性剤は、優れた殺菌効果を示す。
【0013】
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物では、上記アルカリ剤は、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、ケイ酸塩及び脂肪族アミンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。また、上記アルカリ剤は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、過炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、オルソケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
これらのアルカリ剤は、低級アルコールの抗ウイルス効果を向上させることに適している。
【0014】
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物では、上記アルカリ剤は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム及び過炭酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の炭酸塩であり、上記炭酸塩の濃度は、0.05〜10.00wt%であることが好ましい。
これらの炭酸塩は、ウイルスにタンパク質が付着していたとしても、タンパク質汚れを塩析させることにより、タンパク質汚れをウイルスの周囲から分離させる作用があると考えられる。その結果、低級アルコールとウイルスとが直接接触することになり、ウイルスが不活性化されやすくなる。さらに、タンパク質汚れがない状態でも、炭酸塩がウイルスと低級アルコールやカチオン界面活性剤とが接触するのを促進し、抗ウイルス効果を増強させると考えられる。
上記炭酸塩の濃度が0.05wt%未満であると、ウイルスの周囲からタンパク質汚れを分離させる効果が充分に発揮されなくなる。
上記炭酸塩の濃度が10.00wt%を超えると、炭酸塩が析出しやすくなる。また、殺菌・ウイルス不活性化組成物を使用した箇所がべとついたり、跡残りしやすくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物は、アルカリ剤を含む。
アルカリ剤は、低級アルコールと組み合わされることにより低級アルコールの抗ウイルス効果を向上させることができる。
また、アルカリ剤は、カチオン界面活性剤と組み合わされることによりカチオン界面活性剤の殺菌効果を向上させることができる。特に、カチオン界面活性剤はアルカリ性液下において成分の分解が少ないので、長期間安定してカチオン界面活性剤の殺菌効果を維持させることができる。
このようにアルカリ剤が存在すると、低級アルコール及びカチオン界面活性剤の効果を向上させることができるので、環境中の水や汚れがあったとしても、本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物は充分な殺菌効果及び抗ウイルス効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物について具体的な実施形態を示しながら説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0017】
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物は、10.00wt%以上の低級アルコールと、カチオン界面活性剤と、アルカリ剤とを含むことを特徴とする。
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物の各構成について以下に説明する。
【0018】
(低級アルコール)
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物は、低級アルコールを含む。
低級アルコールを細菌に接触させたり、ウイルスに接触させることにより、殺菌及びウイルス不活性化を行うことができる。
【0019】
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物では、低級アルコールの濃度は10.00wt%以上である。また、低級アルコールの濃度は、15.00〜85.70wt%であることが好ましく、18.50〜70.00wt%であることがより好ましい。
低級アルコールの濃度が10.00wt%以上であると、優れた殺菌効果及び抗ウイルス効果を奏する。
なお、低級アルコールの濃度が85.70wt%を超える場合、低級アルコールの濃度が高すぎ引火しやすくなるので注意が必要になる。
【0020】
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物では、低級アルコールは特に限定されないが、エタノール、イソプロピルアルコール及びプロパノールからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの中ではエタノールであることがより好ましい。
これらの低級アルコールは、優れた殺菌効果及び抗ウイルス効果を示す。
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物では、これらの低級アルコールは単独で含まれていてもよく、複数が含まれていてもよい。
【0021】
(カチオン界面活性剤)
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物は、カチオン界面活性剤を含む。
カチオン界面活性剤を細菌に接触させたり、ウイルスに接触させることにより、殺菌及びウイルス不活性化を行うことができる。
特に、カチオン界面活性剤は少量でも殺菌効果を示すので、本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物が環境中の水により希釈されたとしても殺菌効果が低下しにくい。
【0022】
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物では、カチオン界面活性剤の濃度は、0.05〜10.00wt%であることが好ましく、0.10〜5.00wt%であることがより好ましく、0.20〜5.00wt%であることがさらに好ましい。
カチオン界面活性剤の濃度が0.05wt%未満であると、カチオン界面活性剤による殺菌効果及び抗ウイルス効果が得られにくくなる。
カチオン界面活性剤の濃度が10.00wt%を超えると、カチオン界面活性剤による殺菌効果及び抗ウイルス効果が得られにくくなる。
【0023】
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物では、カチオン界面活性剤は、四級アンモニウム化合物であることが好ましく、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライドからなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
これらのカチオン界面活性剤の中では、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライドがさらに好ましい。
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物では、これらのカチオン界面活性剤は単独で含まれていてもよく、複数が含まれていてもよい。
【0024】
(アルカリ剤)
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物は、アルカリ剤を含む。
アルカリ剤は、低級アルコールと組み合わされることにより低級アルコールの抗ウイルス効果を向上させることができる。
また、アルカリ剤は、カチオン界面活性剤と組み合わされることによりカチオン界面活性剤の殺菌効果を向上させることができる。特に、カチオン界面活性剤はアルカリ性液下において成分の分解が少ないので、長期間安定してカチオン界面活性剤の殺菌効果を維持させることができる。
このようにアルカリ剤が存在すると、低級アルコール及びカチオン界面活性剤の効果を向上させることができるので、環境中の水や汚れがあったとしても、本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物は充分な殺菌効果及び抗ウイルス効果を示す。
【0025】
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物では、アルカリ剤は、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、ケイ酸塩及び脂肪族アミンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、過炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、オルソケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
これらのアルカリ剤は、低級アルコールの抗ウイルス効果を向上させることに適している。
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物では、これらのアルカリ剤は単独で含まれていてもよく、複数が含まれていてもよい。
【0026】
これらのアルカリ剤の中では、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム及び過炭酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の炭酸塩が好ましい。
これらの炭酸塩は、ウイルスにタンパク質が付着していたとしても、タンパク質汚れを塩析させることにより、タンパク質汚れをウイルスの周囲から分離させる作用があると考えられる。その結果、低級アルコールとウイルスとが直接接触することになり、ウイルスが不活性化されやすくなる。さらに、タンパク質汚れがない状態でも、炭酸塩がウイルスと低級アルコールやカチオン界面活性剤と接触するのを促進し、抗ウイルス効果を増強させると考えられる。
【0027】
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物では、アルカリ剤の濃度は、0.05〜10.00wt%であることが好ましく、0.10〜5.00wt%であることがより好ましい。
アルカリ剤の濃度が0.05wt%未満である場合、アルカリ剤の濃度が少ないので、低級アルコール及びカチオン界面活性剤の効果を向上させる効果が得られにくくなる。
アルカリ剤の濃度が10.00wt%を超える場合、pHが強アルカリ性になりやすく、また、保管中にアルカリ剤が析出しやすくなり、扱いにくくなる。
【0028】
特に、本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物においてアルカリ剤が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム及び過炭酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の炭酸塩である場合、炭酸塩の濃度は、0.05〜10.00wt%であることが好ましく、0.10〜5.00wt%であることがより好ましい。
炭酸塩の濃度が0.05wt%未満であると、ウイルスの周囲からタンパク質汚れを分離させる効果が充分に発揮されなくなる。
炭酸塩の濃度が10.0wt%を超えると、炭酸塩が析出しやすくなる。また、殺菌・ウイルス不活性化組成物を使用した箇所がべとついたり、跡残りしやすくなる。
【0029】
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物のpHは、特に限定されないが、例えば、6〜12であってもよい。
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物は、中性〜アルカリ性の範囲において、優れた殺菌効果及び抗ウイルス効果を示す。
なお、pHの調整は、アルカリ剤及び後述するpH調整剤の量を制御することにより調整することができる。
【0030】
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物は、さらに、キレート剤、酸剤、アミノ酸、無機塩等の成分を含んでいてもよい。
【0031】
キレート剤としては、ニトリロ三酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、メチルグリシン二酢酸ナトリウム、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸ナトリウム、ホスホノブタントリカルボン酸ナトリウム等からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
なお、本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物では、これらキレート剤を1種類だけ含んでいてもよく、複数種類含んでいてもよい。
【0032】
酸剤としては、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸、酒石酸、フィチン酸、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
酸剤を用いることにより、ウイルス不活性化組成物のpHを調整することができる。
なお、本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物では、これら酸剤を1種類だけ含んでいてもよく、複数種類含んでいてもよい。
【0033】
アミノ酸としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、トレオニン(スレオニン)、システイン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
これらのアミノ酸は、中性アミノ酸及び塩基性アミノ酸である。これらのアミノ酸を用いると、本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物を中性〜弱アルカリ性に調整しやすくなる。なお、本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物では、これらアミノ酸を1種類だけ含んでいてもよく、複数種類含んでいてもよい。
【0034】
無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硝酸カリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム等が挙げられる。
本発明の滅菌・ウイルス不活性化組成物がこれらの無機塩を含むと、ウイルスの周囲のタンパク質汚れを塩溶又は塩析させることができ、エタノールをウイルスに接触させやすくなる。その結果、ウイルス不活性化効果を向上させることができる。
なお、本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物は、これらの無機塩を1種類だけ含んでいてもよく、複数種類含んでいてもよい。
【0035】
また、本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物には、上記の成分以外に保湿剤、エモリエント剤、香料、色素、増粘剤、消炎剤等が含まれていてもよい。
【0036】
次に、本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物の用途を説明する。
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物は、手洗い液、中性洗剤、消臭剤に加えてもよい。
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物を含む手洗い液、中性洗剤、消臭剤等は、ポンプボトルやスプレーボトルに詰められていてもよい。
【0037】
また本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物を、衛生資材に用いてもよい。
本発明の殺菌・ウイルス不活性化組成物は、殺菌効果及び抗ウイルス効果を奏するので、このような殺菌・ウイルス不活性化組成物を含む衛生資材を用いることにより、感染症を防ぐことができる。
【0038】
衛生資材としては、特に限定されるものではないが、例えば、マスク、使い捨て手袋、使い捨て布巾、ティッシュペーパー、ウエットティッシュ等があげられる。
【実施例】
【0039】
(実施例1〜29)及び(比較例1〜8)
表1〜3に記載の配合により実施例1〜29及び比較例1〜8に係る殺菌・ウイルス不活性化組成物を作製した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
(タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定)
(1)ネコカリシウイルスを、ネコ腎由来株化細胞であるCRFK細胞(ATCC CCL−94)に感染させて細胞を培養した。
(2)次に、ネコカリシウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認した。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕した。
(3)牛肉エキス(ナカライテスク社製)0.1gをOPTI−MEM培地で溶解して10%肉エキス液を作製し、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清と、10%肉エキスとを1:1の割合(容量)で混合し、ウイルス溶液とした。
(4)各実施例及び各比較例に係る殺菌・ウイルス不活性化組成物と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、OPTI−MEM培地で100倍希釈することにより、各殺菌・ウイルス不活性化組成物のウイルスに対する作用を停止させた。
この工程により得られた溶液を殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液とする。
(5)OPTI−MEM培地と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合した直後、OPTI−MEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液を殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液とした。
(6)殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液、殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液を、それぞれ、OPTI−MEM培地により10倍段階希釈した。CRFK細胞を培養した96wellマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を100μLずつ加えた。
(7)殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液及び殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたCRFK細胞を37℃、5%CO2の条件で、4日間培養した。
(8)培養したCRFK細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量した。
(9)上記(1)〜(8)の工程を3回独立に行い、殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0分におけるウイルス感染力価とし、殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値とした。
評価基準は以下の通りである。結果を表1〜3に示す。
A:4.0以上の感染力価の減少(充分な効果あり)
B:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(効果あり)
C:2.0未満の感染力価の減少(効果なし)
【0044】
(タンパク質汚れなしネコカリシウイルス感染力価測定)
各実施例及び各比較例に係る殺菌・ウイルス不活性化組成物を用い、上記(タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定)の(3)工程において、10%肉エキスを混合せず、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清をウイルス溶液とした以外は、上記(タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定)と同様にタンパク質汚れなしネコカリシウイルス感染力価測定を行った。
作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は上記(タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定)の評価基準と同様である。結果を表1〜3に示す。
【0045】
(タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定)
(1)マウスノロウイルスを、マウスのマクロファージ由来細胞株であるRAW 264.7細胞(ATCC TIB−71)に感染させて細胞を培養した。
(2)次に、マウスノロウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認した。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕した。
(3)牛肉エキス(ナカライテスク社製)0.1gをDMEM培地で溶解して10%肉エキス液を作製し、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清と、10%肉エキスとを1:1の割合(容量)で混合し、ウイルス溶液とした。
(4)各実施例及び各比較例に係る殺菌・ウイルス不活性化組成物と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、10%牛胎児血清含有DMEM培地で100倍希釈することにより、各殺菌・ウイルス不活性化組成物のウイルスに対する作用を停止させた。
この工程により得られた溶液を殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液とした。
(5)10%牛胎児血清含有DMEM培地と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合した直後、10%牛胎児血清含有DMEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液を殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液とした。
(6)殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液及び殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液を、それぞれ、10%牛胎児血清含有DMEM培地により、10倍段階希釈した。1ウェルにRAW 264.7細胞を50μLずつ分注した96wellマイクロプレートに、各段階希釈液を50μLずつ加えた。
(7)殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液及び殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたRAW 264.7細胞を37℃、5%COの条件で、4日間培養した。
(8)培養したRAW 264.7細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量した。
(9)上記(1)〜(8)の工程を3回独立に行い、殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0分におけるウイルス感染力価とし、殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値とした。
評価基準は以下の通りである。結果を表1〜3に示す。
A:4.0以上の感染力価の減少(充分な効果あり)
B:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(効果あり)
C:2.0未満の感染力価の減少(効果なし)
【0046】
(タンパク質汚れなしマウスノロウイルス感染力価測定)
各実施例及び各比較例に係る殺菌・ウイルス不活性化組成物を用い、上記(タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定)の(3)工程において、10%肉エキスを混合せず、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清をウイルス溶液とした以外は、上記(タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定)と同様にタンパク質汚れなしマウスノロウイルス感染力価測定を行った。
作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は上記(タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定)の評価基準と同様である。結果を表1〜3に示す。
【0047】
(タンパク質汚れ存在時インフルエンザウイルス感染力価測定)
(1)インフルエンザウイルスを、イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来株化細胞であるMDCK細胞に感染させて細胞を培養した。
(2)次に、インフルエンザウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認した。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕した。
(3)牛肉エキス(ナカライテスク社製)0.1gをEMEM培地で溶解して10%肉エキス液を作製し、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清と、10%肉エキスとを1:1の割合(容量)で混合し、ウイルス溶液とした。
(4)各実施例及び各比較例に係る殺菌・ウイルス不活性化組成物と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、2μg/mLトリプシン(牛脾臓由来結晶)を含むEMEM培地(以下、トリプシン含有EMEM培地)で100倍希釈することにより、各殺菌・ウイルス不活性化組成物のウイルスに対する作用を停止させた。
この工程により得られた溶液を殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液とした。
(5)トリプシン含有EMEM培地と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合した直後、トリプシン含有EMEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液を殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液とした。
(6)殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液、殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液を、それぞれ、トリプシン含有EMEM培地により10倍段階希釈した。MDCK細胞を培養した96wellマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を100μLずつ加えた。
(7)殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液及び殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたMDCK細胞を37℃、5%COの条件で、4日間培養した。
(8)培養したMDCK細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量した。
(9)上記(1)〜(8)の工程を3回独立に行い、殺菌・ウイルス不活性化組成物0分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0分におけるウイルス感染力価とし、殺菌・ウイルス不活性化組成物1分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値とした。
評価基準は以下の通りである。結果を表1〜3に示す。
A:4.0以上の感染力価の減少(充分な効果あり)
B:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(効果あり)
C:2.0未満の感染力価の減少(効果なし)
【0048】
(タンパク質汚れなしインフルエンザウイルス感染力価測定)
各実施例及び各比較例に係る殺菌・ウイルス不活性化組成物を用い、上記(タンパク質汚れ存在時インフルエンザウイルス感染力価測定)の(3)工程において、10%肉エキスを混合せず、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清をウイルス溶液とした以外は、上記(タンパク質汚れ存在時インフルエンザウイルス感染力価測定)と同様にタンパク質汚れなしインフルエンザウイルス感染力価測定を行った。
作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は上記(タンパク質汚れ存在時インフルエンザウイルス感染力価測定)の評価基準と同様である。結果を表1〜3に示す。
【0049】
(殺菌効果の評価)
(1)大腸菌(Escherichia coli NBRC3972)及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC12732)を、それぞれ、普通ブイヨン培地に接種し、35℃で24時間培養し菌液とした。
【0050】
(2)各実施例及び各比較例の殺菌・ウイルス不活性化組成物と菌液とを99:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、SCDLP培地に1白金耳移植し、35℃で48時間培養後、菌の生死を判定した。
【0051】
(3)SCDLP培地に濁りが見られた場合、菌が死滅しなかったと判断し、濁りが見られない場合菌が死滅したと判断した。
【0052】
また、10倍に希釈した各実施例及び各比較例の殺菌・ウイルス不活性化組成物を用い上記(1)〜(3)と同様の操作を繰り返し、菌の生死を判定した。
【0053】
結果を表1〜3に示す。評価基準は以下の通りである。
[大腸菌について]
〇:大腸菌が死滅した。
×:大腸菌が死滅しなかった。
[黄色ブドウ球菌について]
〇:黄色ブドウ球菌が死滅した。
×:黄色ブドウ球菌が死滅しなかった。
【0054】
表1〜3より、実施例に係る殺菌・ウイルス不活性化組成物は優れた殺菌効果及び抗ウイルス効果を奏することが判明した。
特に、殺菌・ウイルス不活性化組成物が水により希釈されたとしても、充分な殺菌効果を奏することが判明した。