特開2021-155413(P2021-155413A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-155413(P2021-155413A)
(43)【公開日】2021年10月7日
(54)【発明の名称】クレンジング化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20210910BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20210910BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20210910BHJP
【FI】
   A61K8/37
   A61K8/02
   A61Q1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2021-42080(P2021-42080)
(22)【出願日】2021年3月16日
(31)【優先権主張番号】特願2020-55606(P2020-55606)
(32)【優先日】2020年3月26日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226437
【氏名又は名称】日光ケミカルズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000228729
【氏名又は名称】日本サーファクタント工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301068114
【氏名又は名称】株式会社コスモステクニカルセンター
(72)【発明者】
【氏名】村社 敬子
(72)【発明者】
【氏名】和田 美里
(72)【発明者】
【氏名】三井 美彩
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB282
4C083AC012
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC711
4C083AC712
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD201
4C083AD202
4C083AD262
4C083AD352
4C083AD571
4C083AD572
4C083CC04
4C083CC23
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD41
4C083EE01
(57)【要約】
【課題】マスカラ、アイメイク、口紅、ファンデーション等のメイクアップ化粧料、ウォータープルーフ性の高い化粧料及び皮膚の皮脂に対して高い洗浄効果を有する、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルの組み合わせから成る水系クレンジング化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】特定のポリグリセリン脂肪酸エステルの組み合わせ、さらに安定化剤を配合することにより、優れた洗浄効果を有する安定性のある水系クレンジング化粧料を提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)脂肪酸の炭素数が6〜10であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び成分(B)脂肪酸の炭素数が12〜14のポリグリセリン脂肪酸エステル、さらに成分(C)安定化剤を配合することを特徴とする水系クレンジング化粧料。
【請求項2】
請求項1記載の成分(A)および成分(B)のポリグリセリンの平均重合度が3〜10であり、かつ成分(A)の脂肪酸のエステル化率が7〜25%であり、成分(B)の脂肪酸のエステル化率が7〜18%であるポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれた1種以上の請求項1記載の水系クレンジング化粧料。
【請求項3】
前記成分(A)と成分(B)の配合比率が、成分(A):成分(B)=9:1〜1:9であることを特徴とする請求項1〜2記載の水系クレンジング化粧料。
【請求項4】
前記成分(A)と成分(B)を合わせた配合量が2〜20質量%であることを特徴とする請求項1〜3記載の水系クレンジング化粧料。
【請求項5】
前記成分(C)の配合量が0.01〜1.0質量%であることを特徴とする請求項1〜4記載の水系クレンジング化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを組み合わせることで、優れた洗浄能力を有した水系クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
メイクアップ化粧料を落とすためのクレンジング化粧料は、オイルタイプ、クリームタイプ、ジェルタイプ、ローションタイプなど様々な剤型があり、それぞれ消費者の嗜好に応じて選択し使用されている。油性成分を含むオイルタイプ、クリームタイプは、メイクとのなじみが良く、ウォータープルーフ性の高いメイク汚れに対しても高いクレンジング性能を有する。油性成分を含まない、もしくは微量に油性成分を含むローションタイプのクレンジング化粧料は、使用時の油性感が少なく、使用後のさっぱりとした使用感が好まれており、一定の需要がある。しかしながら、ローションタイプのクレンジング化粧料は、油性成分をほとんど含んでいないためにクレンジング性能が低く、ウォータープルーフ性の高いマスカラやアイメイク、口紅などを十分に落とすことができない課題があった。
近年、クレンジング性能を向上させるために非イオン性界面活性剤を配合する水系クレンジング化粧料が提案されている(特許文献1、特許文献2)。しかし、これらの技術を持ってしても、ウォータープルーフ性の高いメイク汚れに対するクレンジング性能は十分ではなく更なる改善が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−037782号公報
【特許文献2】特開2011−126805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを組み合わせることで、優れたクレンジング性能を有する水系クレンジング化粧料であり、さらに安定化剤を配合することで経時的に優れた安定性を示す水系クレンジング化粧料を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを組み合わせ、さらに配合比率を調整することで、水系のクレンジング化粧料にもかかわらず、優れた洗浄効果のあるクレンジング化粧料、さらに安定化剤を配合することで安定性に優れたクレンジング化粧料を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを選択し、これらを組み合わせることで、皮膚の皮脂やメイクアップ化粧料、高いウォータープルーフ性を有する化粧料等をきれいに落とすことのできる優れた水系クレンジング化粧料であり、さらに安定化剤を配合することで経時的にも極めて安定である水系クレンジング化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係る成分(A)は炭素数6〜10の直鎖もしくは分岐の飽和もしくは不飽和脂肪酸残基から選択される1種以上のポリグリセリン脂肪酸エステルであり、脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリル/カプリン酸、エチルヘキサン酸等が挙げられる。
【0008】
さらに成分(B)は炭素数12〜14の直鎖もしくは分岐の飽和もしくは不飽和脂肪酸残基から選択される1種以上のポリグリセリン脂肪酸エステルであり、脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸等が挙げられる。
【0009】
本発明に係る成分(A)及び成分(B)のポリグリセリンの重合度は、3〜10である。本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは既存の合成法によりエステル化することで得ることができ、前記のポリグリセリン1モルに対して、前記各脂肪酸を成分(A)の脂肪酸のエステル化率が7〜25%であり、成分(B)の脂肪酸のエステル化率が7〜18%である。
【0010】
本発明に係る成分(A)及び成分(B)のエステル化率の算出方法は、外原規法による水酸基価から以下の式1により算出されるポリグリセリンの平均重合度(n)とポリグリセリンに対する脂肪酸の付加モル数(M)より、式2に基づいて決定される。
OHV=56110(n+2)/(74n+18) (式1)
エステル化率(%)=(M/(n+2))×100 (式2)
OHV:ポリグリセリンの水酸基価
n:ポリグリセリンの平均重合度
M:ポリグリセリンに対する脂肪酸の付加モル数
【0011】
本発明に係る成分(A)としては、特に限定されるものではないが、例えば、カプロン酸トリグリセリル、カプリル酸トリグリセリル、エチルヘキサン酸トリグリセリル、カプリン酸トリグリセリル、カプロン酸テトラグリセリル、カプリル酸テトラグリセリル、エチルヘキサン酸テトラグリセリル、カプリン酸テトラグリセリル、カプロン酸ペンタグリセリル、カプリル酸ペンタグリセリル、エチルヘキサン酸ペンタグリセリル、カプリン酸ペンタグリセリル、カプロン酸ヘキサグリセリル、カプリル酸ヘキサグリセリル、エチルヘキサン酸ヘキサグリセリル、カプリン酸ヘキサグリセリル、ジカプリン酸ヘキサグリセリル、(カプリル/カプリン酸)トリグリセリル、カプロン酸デカグリセリル、ジカプロン酸デカグリセリル、カプリル酸デカグリセリル、ジカプリル酸デカグリセリル、エチルヘキサン酸デカグリセリル、ジエチルヘキサン酸デカグリセリル、カプリン酸デカグリセリル、ジカプリン酸デカグリセリル等が挙げられ、これらを1種以上用いることができる。好ましいものは、カプロン酸トリグリセリル、カプリル酸トリグリセリル、エチルヘキサン酸トリグリセリル、カプリン酸トリグリセリル、(カプリル/カプリン酸)トリグリセリル、カプリン酸テトラグリセリル、カプリル酸テトラグリセリル、カプロン酸ペンタグリセリル、カプリン酸ヘキサグリセリル、ジカプリン酸ヘキサグリセリル、カプロン酸デカグリセリル、ジカプリル酸デカグリセリルである。本発明に係る成分(A)には、モノエステル体、ジエステル体のポリグリセリン脂肪酸エステルである。
【0012】
本発明に係る成分(B)としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラウリン酸トリグリセリル、ラウリン酸テトラグリセリル、ラウリン酸ヘキサグリセリル、ラウリン酸デカグリセリル、ジラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸トリグリセリル、ミリスチン酸テトラグリセリル、ミリスチン酸ヘキサグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル、ジミリスチン酸デカグリセリル等が挙げられ、本発明品においては、1種以上を用いることができる。好ましいものは、ラウリン酸トリグリセリル、ラウリン酸テトラグリセリル、ラウリン酸ヘキサグリセリル、ラウリン酸デカグリセリル、ジラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸ヘキサグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリルである。本発明に係る成分(B)には、モノエステル体、ジエステル体のポリグリセリン脂肪酸エステルである。市販品としては、NIKKOL Hexaglyn 1−L、NIKKOL Decaglyn 1−L、NIKKOL Decaglyn 1−M等が挙げられる。
【0013】
本発明に係る成分(A)と成分(B)は必ず併用することで、優れたクレンジング性能(洗浄能力)が発揮されるものであり、成分(A)のみの配合や、成分(B)のみの配合では、本発明の優れたクレンジング性能は発揮されない。
【0014】
本発明における水系クレンジング化粧料に配合される成分(A)と成分(B)の配合比率は特に限定されるものではないが、成分(A):成分(B)=9:1〜1:9であり、好ましくは、成分(A):成分(B)=8:2〜2:8において優れたクレンジング性能が発揮される。
【0015】
本発明に係る成分(C)の安定化剤とは、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、脂肪酸、アミノ酸エステル、加水分解コラーゲンエステル、アルキルエーテルカルボン酸、アルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸のことであり、これらを単一で配合してもよいし、これらを2種類以上で配合してもよい。具体的には、カプロイルラクチレートNa、(カプロイル/ラウロイル)ラクチレートNa、ラウロイルラクチレートNa、イソステアロイルラクチレートNa、ステアロイルラクチレートNa、ステアロイルラクチレートCa、ベヘノイルラクチレートNa、カプロイルメチルタウリンNa、ココイルメチルタウリンK、ココイルメチルタウリンNa、ココイルメチルタウリン?g、ラウロイルメチルタウリンNa、ミリストイルメチルタウリンNa、パルミトイルメチルタウリンNa、ステアロイルメチルタウリンNa、オレオイルメチルタウリンNa、ココイルアラニンNa、ココイルアラニンTEA、ココイルメチルアラニンNa、ラウロイルメチルアラニンK、ラウロイルメチルアラニンNa、ラウロイルメチルアラニンTEA、ミリストイルメチルアラニンNa、ココイル加水分解コラーゲンK、ココイル加水分解コラーゲンNa、ココイル加水分解コラーゲンTEA、ココイルサルコシンK、ココイルサルコシンNa、ココイルサルコシンTEA、ラウロイルサルコシンK、ラウロイルサルコシンNa、ラウロイルサルコシンTEA、ミリストイルサルコシンNa、パルミトイルサルコシンNa、オレオイルサルコシン、オレオイルサルコシンNa、ココイルグルタミン酸K、ココイルグルタミン酸Na、ココイルグルタミン酸TEA、ラウロイルグルタミン酸K、ラウロイルグルタミン酸Na、ラウロイルグルタミン酸TEA、ミリストイルグルタミン酸K、ミリストイルグルタミン酸Na、パルミトイルグルタミン酸Mg、ステアロイルグルタミン酸K、ステアロイルグルタミン酸Na、アシル(C12,14)アスパラギン酸Na、アシル(C12,14)アスパラギン酸TEA、ラウリルアスパラギン酸K、ラウリルアスパラギン酸Na、ラウリルアスパラギン酸TEA、ラウリルアスパラギン酸タウリンK、ラウリルアスパラギン酸タウリンTEA、ラウロイルアスパラギン酸Na、ラウロイルアスパラギン酸Zn、ミリスチルアスパラギン酸K、ミリスチルアスパラギン酸Na、ミリスチルアスパラギン酸TEA、ミリスチルアスパラギン酸タウリンK、ミリスチルアスパラギン酸タウリンTEA、ココイルグリシンK、ココイルグリシンNa、ココイルグリシンTEA、ラウロイルグリシンNa、ラウレス−3カルボン酸K、ラウレス−3カルボン酸Na、ラウレス−4カルボン酸K、ラウレス−4カルボン酸Na、ラウレス−5カルボン酸K、ラウレス−5カルボン酸Na、ラウレス−6カルボン酸K、ラウレス−6カルボン酸Na、ラウレス−8カルボン酸Na、ラウレス−10カルボン酸K、ラウレス−11カルボン酸Na、ラウレス−12カルボン酸Na、ラウレス−13カルボン酸Na、ラウレス−14カルボン酸Na、ラウレス−16カルボン酸Na、ラウレス−17カルボン酸Na、トリデセス−3カルボン酸K、トリデセス−3カルボン酸Na、トリデセス−4カルボン酸Na、トリデセス−6カルボン酸Na、トリデセス−7カルボン酸K、トリデセス−7カルボン酸Na、トリデセス−8カルボン酸Na、トリデセス−12カルボン酸Na、トリデセス−15カルボン酸K、トリデセス−15カルボン酸Na、トリデセス−19カルボン酸K、トリデセス−19カルボン酸Na、(C12−14)s−パレス−8カルボン酸Na、オレフィン(C14−16)スルホン酸Na、ラウリルリン酸K、ラウリルリン酸Na、ラウリルリン酸2Na、ラウレス−2リン酸Na、ラウレス−4リン酸Na、ジラウレス−4リン酸Na、トリラウレス−4リン酸Na、ジラウレス−10リン酸Na、ラウリル硫酸Na、ラウリル硫酸K、ラウリル硫酸TEA、ラウリル硫酸アンモニウム、ココグリセリル硫酸Na、ミリスチル硫酸Na、セチル硫酸Na、ラウレス硫酸Na、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アルギニン、ラウレス硫酸TEA、ココスルホ酢酸Na、ラウリルスルホ酢酸Na、スルホ酢酸2Na、スルホコハク酸ジエチルヘキシルNa、スルホコハク酸ジオクチルNa、スルホコハク酸ラウリル2Na、スルホコハク酸セテアリル2Na、スルホコハク酸ラウレス2Na、デセス−5スルホコハク酸2Na、デセス−6スルホコハク酸2Na、スルホコハク酸(C12−14)パレス−2Na、カプリル酸Na、カプリン酸K、カプリン酸Na、ラウリン酸K、ラウリン酸Na、ラウリン酸Mg、ミリスチン酸K、ミリスチン酸Na、ミリスチン酸Mg、ミリスチン酸Ca、パルミチン酸K、パルミチン酸Na、ステアリン酸K、ステアリン酸Na、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Ca、イソステアリン酸K、イソステアリン酸Naなどの陰イオン性界面活性剤、ココイルアルギニンエチルPCA、ベンザルコニウムクロリド、ラウロイルトリモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ジステアルジリニウムクロリド、クオタニウム−18、クオタニウム−33、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、PPG−1/PEG−1ステアラミンなどの陽イオン性界面活性剤、(カプリル/カプラミド)プロピルベタイン、ラウリルベタイン、ココベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、イソステアラミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、ステアリルジメチルベタインNa、セチルベタイン、オレイルベタイン、ベヘニルベタイン、パーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン、シア脂アミドプロピルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココアンホ酢酸Na、ラウロアンホ酢酸Na、ココアンホプロピオン酸Na、リゾレシチン、水添リゾレシチン、水酸化レシチン、水添レシチン、その他各種リン脂質を含むレシチン誘導体などの両性界面活性剤、カプロン酸 、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸などの脂肪酸、ココイルメチルアラニン、ラウロイルアラニン、ミリストイルメチルアラニン、ココイルサルコシン、ラウロイルサルコシン、ココイルグルタミン酸、ラウロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸、ラウリルアスパラギン酸、ミリスチルアスパラギン酸、カプロイルグリシン、ウンデシノイルグリシン、パルミトイルグリシンなどのアミノ酸エステル、ココイル加水分解コラーゲンなどの加水分解コラーゲンエステル、ラウレス−3カルボン酸、ラウレス−4カルボン酸、ラウレス−5カルボン酸、ラウレス−6カルボン酸、ラウレス−8カルボン酸、ラウレス−10カルボン酸、ラウレス−11カルボン酸、ラウレス−12カルボン酸、ラウレス−13カルボン酸、ラウレス−14カルボン酸、ラウレス−17カルボン酸、トリデセス−3カルボン酸、トリデセス−4カルボン酸、トリデセス−7カルボン酸、トリデセス−8カルボン酸、トリデセス−15カルボン酸、トリデセス−19カルボン酸などのアルキルエーテルカルボン酸、ラウリルリン酸などのアルキルリン酸、ラウレス−1リン酸、ラウレス−2リン酸、ラウレス−3リン酸、ラウレス−4リン酸、イソラウレス−4リン酸、ジラウレス−4リン酸、トリラウレス−4リン酸、ラウレス−7リン酸、ラウレス−8リン酸、ジラウレス−10リン酸などのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸が挙げられ、好ましいものは、ラウレス−1リン酸、トリラウレス−4リン酸、ステアラミドプロピルジメチルアミン、イソステアロイルラクチレートNa、ベタイン、スルホコハク酸ジエチルヘキシルNa、ラウロイルメチルアラニンNa、ラウロイルグルタミン酸TEA,ココアンホ酢酸Na、ココイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルタウリンNa、ラウロイルサルコシンNa、ココイルアルギニンエチルPCA、ココイルメチルタウリンNa、コカミドプロピルベタイン、水酸化レシチン、水添レシチン、イソステアリン酸、イソステアリン酸Naである。
【0016】
本発明の水系クレンジング化粧料中に配合する成分(A)と成分(B)を合わせた配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは2〜20質量%であり、より好ましくは、3〜15質量%、さらにより好ましくは、3〜10質量%である。
【0017】
本発明の水系クレンジング化粧料に配合される成分(C)は、クレンジング化粧料の安定化剤の役割を担っており、好ましい配合量としては、0.01〜1.0質量%であり、より好ましくは、0.05〜1.0質量%である。
【0018】
本発明の水系クレンジング化粧料中には、本発明の効果を損なわない範囲において、通常の化粧料に用いられる成分の油性成分、高級アルコール、ポリオール、増粘剤、保湿成分、美白成分、抗老化剤、肌荒れ防止剤などの水溶性及び/又は油溶性の有効成分、pH調整剤、香料、防腐剤等を配合することができる。例えば、油性成分としては、スクワラン、流動パラフィン、イソドデカン、水添ファルネセン、C13−15アルカン等の炭化水素油、ホホバ油、オリーブ油、ヒマワリ種子油、アンズ核油、マカデミア種子油、ヤシ油等の植物油、ラウリン酸メチルヘプチル、イソオクタン酸セチル、トリエチルヘキサノイン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等のエステル油等が挙げられ、ポリオールとして、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、プロパンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、カプリリルグリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられ、増粘剤としては、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル、グアーガム、カルボマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー等が挙げられ、水溶性及び/又は油溶性の有効成分として、植物エキス、ビタミン誘導体及びその塩、レチノール誘導体、トコフェロール誘導体、サリチル酸誘導体等が挙げられる。
【0019】
本発明の水系クレンジング化粧料の剤形は特に限定されるものではないが、例えば、ローションタイプ、ゲルタイプ、リキッドタイプ等が挙げられる。
【0020】
本発明にかかる使用用途としては、本発明を手又は指で適量に取った後、使用部位に塗り広げて、皮膚の皮脂やメイクアップ化粧料等を洗浄することができる。もしくは、布やコットン、紙等に含浸させて用いることでも皮膚の皮脂やメイクアップ化粧料を洗浄することができる。
【0021】
以下に実施例を挙げて本発明品をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。以下の各本発明品及び比較品の配合量は、質量%を示す。
【実施例1】
【0022】
本発明の水系クレンジング化粧料のクレンジング性能について評価した。
1. 実験方法
表1及び2に示すクレンジング化粧料の配合成分をそれぞれ測りとり、均一混合し、本発明品1〜6及び比較品1〜6を調製した。
2. クレンジング性能評価方法
スライドガラス上に1.5cm×1.5cmの範囲で0.02gの市販されている赤色口紅(高いウォータープルーフ性をもつ口紅)を均一塗布し、6時間乾燥させた。これを評価試料とした。その後、表1及び2の各クレンジング化粧料を評価試料に0.05g滴下し、指で10秒間なじませた。その後、コットンで10回タップして、コットンへ浮き上がった赤色口紅を吸着させ、このコットンを画像補正用カラーチャートと共に写真撮影し、それぞれの色差(ΔE)を測定した。画像補正用カラーチャートとは、パソコンを使って写真の色調とサイズを補正する際に用いるものであり、これを被写体と一緒に写すことで、色調及びサイズを一定の基準で補正することができるものであり、そのため、色差の誤差が生じにくくなる。
<判定基準:クレンジング性能>
◎:ΔE≧60(非常に高いクレンジング性能である)
〇:60>ΔE≧40(高いクレンジング性能である)
△:40>ΔE≧20(中程度のクレンジング性能である)
×:20>ΔE(低いクレンジング性能である)
【0023】
3.結果
表1および表2の結果より、本発明品1〜6はいずれも色差(ΔE)が60以上あり、高いクレンジング性能を有することが確認できた。一方、ポリグリセリン脂肪酸エステルを1種のみ配合した比較品1〜6は、いずれもΔEが40未満であり、クレンジング性能が劣る結果となった。このことより、本発明品の特定のポリグリセリン脂肪酸エステルである成分(A)と成分(B)を組み合わせることで、クレンジング性能が向上した水系クレンジング化粧料を得られることが明らかとなった。さらに、本発明品は、通常のメイクアップ化粧料及び皮膚の皮脂に対しても高いクレンジング性能を有することが確認できた。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【実施例2】
【0026】
本発明の水系クレンジング化粧料のクレンジング性能と安定性について評価した。
1. 実験方法
表3に示すクレンジング化粧料の配合成分をそれぞれ測りとり、均一混合し、発明品7〜10及び比較品7〜10を調製した。

2. クレンジング性能評価
スライドガラス上に1.5cm×1.5cmの範囲で0.02gの市販されている赤色口紅(高いウォータープルーフ性をもつ口紅)を均一塗布し、6時間乾燥させた。これを評価試料とした。その後、表3に示す各クレンジング化粧料を評価試料に0.05g滴下し、指で10秒間なじませた。その後、コットンで10回タップして、コットンへ浮き上がった赤色口紅を吸着させ、このコットンを画像補正用カラーチャートと共に写真撮影し、それぞれの色差(ΔE)を測定した。画像補正用カラーチャートとは、パソコンを使って写真の色調とサイズを補正する際に用いるものであり、これを被写体と一緒に写すことで、色調及びサイズを一定の基準で補正することができるものであり、そのため、色差の誤差が生じにくくなる。
<判定基準:クレンジング性能>
◎:ΔE≧60(非常に高いクレンジング性能である)
〇:60>ΔE≧40(高いクレンジング性能である)
△:40>ΔE≧20(中程度のクレンジング性能である)
×:20>ΔE(低いクレンジング性能である)

3. 安定性評価
表3に示す各クレンジング化粧料をガラス瓶に入れ、調製直後と45℃で3ヶ月後の各クレンジング化粧料を比較し、その安定性について目視で確認した。判定基準は次の基準により判定した。
<判定基準:安定性>
◎:外観状態に変化が無かった。
×:45℃で3ヶ月後に分離や不均一化、結晶の析出が認められた。



【0027】
4.結果
表3の結果より、成分(C)を配合した本発明品7〜9はいずれも高いクレンジング性能を有していることが確認でき、さらに成分(C)を加えることでクレンジング化粧料としての安定性が顕著に向上したことが明らかとなった。一方、成分(C)を配合していない、もしくは1.0質量%以上配合している比較品7〜9は高いクレンジング性能は有するもののクレンジング化粧料としての安定性は、分離や結晶の析出などが確認され、劣るものであった。また、成分(B)の脂肪酸のエステル化率が25%以上である比較品10〜11のクレンジング性能は本発明品よりも劣る結果となったが、成分(C)を配合した比較品11は安定性の向上が確認された。よって、成分(C)はクレンジング化粧料の安定性に寄与していることが明らかとなった。
【0028】
【表3】
【0029】
以下に本発明の水系クレンジング化粧料を示す。配合量は質量%である。また、実施例3〜10における各成分(A)及び成分(B)については、括弧内に算出したエステル化率(%)を記載する。実施例3〜10は、いずれも実施例1及び実施例2の評価方法により、優れたクレンジング性能の効果を発揮するものであることが認められ、さらに優れた経時安定性を有することを確認した。
【実施例3】
【0030】
クレンジングローション1
(カプリル/カプリン酸)トリグリセリル (20.00%) 1.50(質量%)
ラウリン酸テトラグリセリル (16.67%) 1.50
ココイルメチルタウリンNa 0.10
グリセリン 15.00
防腐剤 適量
クエン酸 適量
クエン酸Na 適量
精製水 残部
全量 100.00
(調製方法)全ての成分を均一混合する。
(結果)実施例3は、非常に高いクレンジング性能を有しており、クレンジング効果の評価を行ったところ、色差(ΔE)は63.5であった。さらに安定性を確認したところ非常に高い安定性を有するものであった。
【実施例4】
【0031】
クレンジングローション2
ジカプリン酸ヘキサグリセリル (25.00%) 3.00(質量%)
ラウリン酸ヘキサグリセリル (12.50%) 2.00
イソステアロイルラクチレートNa 0.60
イソステアリン酸Na 0.03
プロパンジオール 5.00
PPG−9ジグリセリル 5.00
エチルヘキシルグリセリン 0.50
防腐剤 適量
クエン酸 適量
クエン酸Na 適量
精製水 残部
全量 100.00
(調製方法)全ての成分を均一混合する。
(結果)実施例4は、非常に高いクレンジング性能を有しており、クレンジング効果の評価を行ったところ、色差(ΔE)は66.1であった。さらに安定性を確認したところ非常に高い安定性を有するものであった。
【実施例5】
【0032】
クレンジングローション3
カプロン酸トリグリセリル (20.00%) 2.00(質量%)
ラウリン酸デカグリセリル (8.33%) 6.00
ステアラミドプロピルジメチルアミン 0.20
1,3−ブチレングリコール 5.00
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 3.00
ベタイン 1.00
防腐剤 適量
クエン酸 適量
クエン酸Na 適量
香料 微量
精製水 残部
全量 100.00
(調製方法)全ての成分を均一混合する。
(結果)実施例5は、非常に高いクレンジング性能を有しており、クレンジング効果の評価を行ったところ、色差(ΔE)は65.8であった。さらに安定性を確認したところ非常に高い安定性を有するものであった。
【実施例6】
【0033】
クレンジングローション4
カプリル酸テトラグリセリル (16.67%) 2.00(質量%)
ラウリン酸デカグリセリル (8.33%) 10.00
スルホコハク酸ジエチルヘキシルNa 0.30
トリラウレス−4リン酸 0.05
ジプロピレングリコール 3.00
プロパンジオール 5.00
ソルビン酸カリウム 適量
安息香酸Na 適量
リン酸 適量
リン酸Na 適量
トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 0.10
精製水 残部
全量 100.00
(調製方法)全ての成分を均一混合する。
(結果)実施例6は、非常に高いクレンジング性能を有しており、クレンジング効果の評価を行ったところ、色差(ΔE)は69.2であった。さらに安定性を確認したところ非常に高い安定性を有するものであった。
【実施例7】
【0034】
クレンジングリキッド1
カプリル酸ヘキサグリセリル (12.55%) 8.00(質量%)
ミリスチン酸デカグリセリル (8.33%) 2.00
水添レシチン 0.50
ジグリセリン 3.00
ソルビトール 2.00
ウンデシレン酸グリセリル 1.00
クエン酸 適量
クエン酸Na 適量
アウロ・ヴィスコ(tm) CS 7.50
グアーガム 0.05
精製水 残部
全量 100.00
※アウロ・ヴィスコ(tm) CS:リン酸ナトリウム処理微細繊維状セルロース2質量%配合スラリー(王子ホールディングス社製)
(調製方法)全ての成分を均一混合する。
(結果)実施例7は、非常に高いクレンジング性能を有しており、クレンジング効果の評価を行ったところ、色差(ΔE)は67.4であった。さらに安定性を確認したところ非常に高い安定性を有するものであった。
【実施例8】
【0035】
クレンジングリキッド2
カプリン酸デカグリセリル (7.08%) 5.00(質量%)
ミリスチン酸トリグリセリル (18.00%) 2.00
ラウロイルメチルアラニンNa 0.40
イソステアリン酸 0.01
1,3−ブチレングリコール 3.00
ジプロピレングリコール 3.00
グリセリン 10.00
防腐剤 適量
クエン酸 適量
クエン酸Na 適量
ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル 0.10
香料 微量
精製水 残部
全量 100.00
(調製方法)全ての成分を均一混合する。
(結果)実施例8は、非常に高いクレンジング性能を有しており、クレンジング効果の評価を行ったところ、色差(ΔE)は66.5であった。さらに安定性を確認したところ非常に高い安定性を有するものであった。
【実施例9】
【0036】
クレンジングゲル1
エチルヘキサン酸トリグリセリル (20.00%) 10.00(質量%)
ジラウリン酸デカグリセリル (16.67%) 8.00
水酸化レシチン 1.00
ラウロイルグルタミン酸TEA 0.20
プロパンジオール 3.00
グリセリン 5.00
オクタンジオール 0.30
ソルビン酸カリウム 適量
安息香酸Na 適量
リン酸 適量
リン酸Na 適量
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル
(C10−30))クロスポリマー 0.30
水酸化ナトリウム 微量
ホホバ油 0.20
精製水 残部
全量 100.00
(調製方法)全ての成分を均一混合する。
(結果)実施例9は、非常に高いクレンジング性能を有しており、クレンジング効果の評価を行ったところ、色差(ΔE)は76.8であった。さらに安定性を確認したところ非常に高い安定性を有するものであった。
【実施例10】
【0037】
クレンジングゲル2
ジカプリル酸デカグリセリル (16.67%) 10.00(質量%)
ラウリン酸トリグリセリル (18.00%) 5.00
ココアンホ酢酸Na 0.70
ペンチレングリコール 2.00
1,3−ブチレングリコール 5.00
グリセリン 8.00
ヘキサンジオール 0.50
防腐剤 適量
リン酸 適量
リン酸Na 適量
カルボマー 0.20
水酸化ナトリウム 微量
イソドデカン 5.00
精製水 残部
全量 100.00
(調製方法)全ての成分を均一混合する。
(結果)実施例10は、非常に高いクレンジング性能を有しており、クレンジング効果の評価を行ったところ、色差(ΔE)は73.5であった。さらに安定性を確認したところ非常に高い安定性を有するものであった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のクレンジング化粧料は、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルで構成されかつ優れたクレンジング効果と優れた経時安定性を有する水系クレンジング化粧料を提供することができる。