【実施例】
【0133】
(実施例)
ここで、本件開示を具体例を参照して説明することとするが、これはいかなる限定的な
方法としても解釈されるべきではない。
【0134】
(実施例1.最大18時間の培養の間のRBC及びRBCゴーストの取り込みに対する異なる抗凝
固剤(ヘパリン及びEDTA)の影響)
抗凝固剤の存在が赤血球へのタンパク質の結合能を変化させるかどうか決定するため、
ヘパリン又はEDTAを含む、又は含まない血漿中でこれらの細胞をインキュベートした。健
常ボランティアからの全血をEDTAヴァキュテナーに収集した(3 mg/mL)。ヘパリン-クエ
ン酸ヴァキュテナー中に収集した血液から血漿を収集した。デキストラン沈降法(6%デ
キストラン、1時間、室温)を使用して抗凝固処理した全血からRBCを単離し、リン酸緩衝
生理食塩水(PBS)で2回洗浄した。プロテアーゼ阻害剤(Roche cOmpleteプロテアーゼ阻
害剤カクテル)を含む高張水中で5分間RBCを溶解させることにより、RBCゴーストを単離
した。続いてゴーストを遠心分離(16,000 g、20分)により単離して、PBS中に再度懸濁
させた。単離に続き、1000万個のRBC(又は1000万個のRBCのゴースト)をヘパリン(17 I
U/mL又は1700 IU/mL)又はEDTA(30 mg/mL)を追加したPBS又は血漿のいずれかに再度懸
濁した。続いて赤血球又はゴーストを、37℃で0、1、又は18時間培養した。対照として、
ヘパリン又はEDTAを含むEDTA血漿を、同じ条件で培養した。インキュベートした後、無細
胞上清を収集して-80℃で保存した。分析前に、試料を3回の凍結解凍サイクルに供した。
試料のMIF濃度をMIF ELISAを使用して定量化した。18時間の培養の後、血漿単独における
MIFのレベルはおよそ50%増加しており、かつ赤血球を含む赤血球試料の血漿中のMIFのレ
ベルは低下していた(
図1)。このことから、MIFは無傷な細胞に結合していたことが示さ
れた。また、RBCゴーストはMIFと結合することができた(
図1)。従って、この結合活性
には必ずしも無傷な細胞である必要はないことが示された。細胞懸濁物にEDTAを追加する
と、ヘパリン処理よりもRBC溶解物及びゴースト「溶解物」中のMIFが実質的に低くなった
(
図2)。これらの結果は、赤血球培養物への抗凝固剤の追加が、細胞中のタンパク質量
及びより多くのタンパク質と結合する可能性に影響を及ぼし得ることを示している。
【0135】
(実施例2.赤血球の結合能に対する血液収集時の異なる抗凝固剤(ヘパリン、EDTA、及
びクエン酸)の影響)
血液収集時に使用された抗凝固剤によって赤血球へのタンパク質の結合能が変化するか
どうかを決定するため、全血を抗凝固剤を含む様々な収集チューブ中に収集した。健常ボ
ランティアからの全血をヘパリンヴァキュテナー、EDTAヴァキュテナー、又はクエン酸ナ
トリウムヴァキュテナーのいずれかに収集した。いかなる抗凝固剤も含まない血液のアリ
コートを収集し、PBS中への素早い希釈及び細胞洗浄により凝固を防止した。収集後、RBC
をデキストラン沈降法(6%デキストラン、1時間、室温)を使用して全血から単離し、PB
Sで2回洗浄した。続いてこれらのRBCをPBS中、組換えMIF(検査当たり5 ng)の存在下又
は非存在下で再度懸濁させた(1億細胞/mL)。この細胞懸濁物を最大24時間インキュベー
トした(37℃、5% CO
2)。インキュベートした後、無細胞上清を収集し、-80℃で保存し
た。分析前に、試料を2回の凍結解凍サイクルに供した。試料のMIF濃度をMIF ELISAを使
用して定量化した。細胞懸濁物への組換えMIF(rMIF)の追加により、24時間後の上清中
のMIFの最終濃度が変化した。ヘパリンで処理したRBCを除く全てにおいて、rMIFをインキ
ュベートした後のMIFの最終濃度は、対照よりも低くなった(
図3)。このことは、rMIFの
追加により内在のMIFの全分泌が遅くなったか、又はrMIFの追加によりMIFの取り込み速度
が増加したか、又はrMIFがプロテアーゼ活性を加速させ、従ってMIFの分解が加速したか
のいずれかであることを実証する。抗凝固剤はRBCによって隔離されていたMIFの量に対し
、明らかな影響を有していた。
【0136】
(実施例3.組換えタンパク質の存在下でのRBCの培養の影響(BioPlex標準))
培養物中のRBCに組換えMIFを追加すると、セクレトーム中のMIFの収量が期待よりもず
っと低くなる。同じことが他の組換えタンパク質の追加により観察される(BioPlex標準
の形で)かどうか調べるため、RBCを組換えタンパク質のカクテルの存在下でインキュベ
ートした。全血を健常ボランティアから収集し、EDTAヴァキュテナー中に取った。RBCを
デキストラン沈降法(6%デキストラン、1時間、室温)を使用して単離した。沈降後、RB
CをPBSで1回洗浄し、続いて2000万個のRBCを組換えサイトカイン(BioPlex標準、25 μL
、標準3)を追加して、又は追加せずに、100 μLのPBS又はプロテアーゼ阻害剤を含む100
μLのPBS中に再度懸濁した。続いて、これらの細胞懸濁物を24時間インキュベートした
(37℃、5% CO
2)。インキュベートした後、上清及び細胞を遠心分離により分離し、各
構成要素を-80℃で処理した。
【0137】
試料を3回の凍結解凍サイクルに供し、細胞の溶解を確実に完了させた。溶解後、赤血
球溶解物をPBSで希釈して、4億細胞/mL相当量とした。続いてこれらの溶解物をマルチプ
レックスサイトカインアッセイにより分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用
した。1つ目は、塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、I
L-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17
、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッ
セイする27プレックスヒトサイトカインパネルとし、2つ目は、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、I
L-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β
-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサ
イトカインパネルとした(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製
造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPle
x Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)
システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲
線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメー
タロジスティック曲線回帰により分析した。
【0138】
PBS中で24時間37℃で培養されたRBCからいくつかのタンパク質が放出された。抗炎症性
、炎症促進性、ケモカイン、又は成長因子としてのタンパク質の分類については、
図4A〜
図8Dを参照されたい。RBC溶解物中のいくつかのサイトカインの濃度は、IL-1α、IL-12p7
0、及びTRAILを含む組換えタンパク質とともにインキュベートした後、有意に増加した(
p<0.05)。また、プロテアーゼ阻害剤の追加は、赤血球と結合するタンパク質、特にIL-
18、CTACK、及びSDF-1αの量に影響を及ぼした(
図9A〜
図13D)。無細胞上清及び細胞溶
解物の両方についての測定されたサイトカインの合計量を
図14A〜
図18Dに概説する。サイ
トカインの合計濃度は、いくつかのタンパク質、例えばIL-8、IL-10、及びGRO-αについ
て、プロテアーゼ阻害剤を含めることにより低下した(
図14A〜
図18D)。プロテアーゼ阻
害剤は、RBCの分泌プロファイルに影響を及ぼす。多くの事例において、プロテアーゼ阻
害剤の使用により、標準偏差が小さくなる。プロテアーゼ阻害剤は、特定の細胞種又はRB
C集団(すなわち、比較的古いRBC)を標的化し、従って試料中の多様性を低下させる可能
性がある。
【0139】
(実施例4.RBC又はRBCの派生物の存在下でのMSC培養の影響)
RBC(及びRBCの派生物)は、高濃度のサイトカインを含む。インビボでのRBC及び間葉
性幹細胞(MSC)はしばしば、特に創傷治癒のような、多数の細胞が存在し、シグナル伝
達している状況で接触している。このRBC(及びRBCの派生物)の単純化されたモデルをMS
Cとともにインキュベートし、分泌プロファイルを評価した。初代MSCを2継代目にコンフ
ルエントまで培養し、トリプシン処理し、培養培地(DMEM+10% FBS)中T25フラスコへ
と播種した(1 mL当たり10,000細胞)。これらの細胞を3日間インキュベートし(37℃、5
% CO
2)、その後培地を交換し、RBC、洗浄したRBC、又はRBCゴースト(条件当たり5億細
胞)を適当なフラスコに加えた。赤血球を調製するため、全血をEDTAヴァキュテナー中に
収集した。RBCをデキストラン沈降法(6%デキストラン、60分、室温)により単離した。
沈降に続き、RBCをPBSで1回洗浄した。「洗浄RBC」を作製するため、単離したRBCを、細
胞懸濁物を過度に振盪して細胞を遠心分離することにより、PBSでさらに2回洗浄した。RB
Cゴーストを、低張水中で5分間RBCを静置することにより単離した。続いて、ゴーストを
遠心分離(16,000 g、20分)によって単離し、PBSに再度懸濁させた。
【0140】
MSCを何も加えない、無傷のRBC、洗浄RBC、又はRBCゴーストのいずれかで刺激し、又は
処理した。続いてこれらを72時間インキュベートした(37℃、5% CO
2)。インキュベー
トした後、馴化培地及びRBC又はRBCゴーストを遠心分離により分離した。MSCをトリプシ
ン処理し、MSC及びRBCをそれぞれフローサイトメトリー及び血液分析器を使用して計数し
た。馴化培地及びRBCを-80℃で凍結し、試料を3回の凍結/解凍サイクルに供して全ての細
胞を溶解させた。
【0141】
試料を3回の凍結解凍サイクルに供し、細胞の溶解を確実に完了させた。溶解後、赤血
球溶解物をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量とした。これらの溶解物を続いてマルチプレ
ックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。1
つ目は、塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL
-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10
、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする
27プレックスヒトサイトカインパネルとし、2つ目は、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL
-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SC
F、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカイ
ンパネルとした(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の
説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II
, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム
(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、Bio
Plexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジス
ティック曲線回帰により分析した。
【0142】
MSCの分泌プロファイルはRBCの追加により著しく変化した。より小さな変化が洗浄RBC
及びゴーストについて観察された。いくつかのサイトカインの濃度は培養後のRBC溶解物
中で増加し、このことから細胞がいくつかの細胞外サイトカイン、特にIL-8及びIL-6と結
合していたことが示された(
図19A〜
図23D)。細胞数は培養条件により異なっていた。RB
Cとともに培養したMSCは、培養後のMSCの収量が最も高かった。同様に、培養後、RBCの収
量は洗浄RBCよりも高かった(表2)。無傷のRBCとのインキュベーションはMSCの分泌プロ
ファイル及び増殖に大きな影響を及ぼし、RBCはある一部のサイトカイン(すなわち、IL-
8)を隔離した。これは、RBCによるサイトカイン緩衝システムの一部である可能性がある
。
【0143】
表2. MSCについてはフローサイトメトリーにより、及びRBCについては血液分析器により
測定した(n=1)、RBC(又はRBCの派生物)を伴って、又は伴わずに培養した後のMSCの
細胞数及び生存能
【表2】
[この文献は図面を表示できません]
【0144】
(実施例5. RBCへの剪断力の影響)
RBCはインビボで静脈循環から毛細血管床に移動する際に、絶えず剪断力にさらされて
いる。機械的ストレスに応答するRBC又は全血(WB)からのタンパク質の放出を調べた。
全血を健常ボランティアから収集し、EDTAヴァキュテナーに取った。続いて、RBCをデキ
ストラン沈降法(6%デキストラン、1時間、室温)によって単離した。沈降後、単離した
RBCをPBSで1回洗浄し、PBSに再度懸濁させて40%ヘマトクリットを達成した。続いてWB又
はRBCのアリコートを500 μLの血液試料を29ゲージ針を用いて1 mLインスリンシリンジに
加えることにより、機械的ストレスにさらした。おもりを使用して、血液をゆっくりと針
の外に押し出し、底部で収集した。WB又はRBCをすぐに分析するか(新鮮)、室温で1時間
置いた後に分析するか(新鮮+1時間)、又は分析前に凍結解凍して全ての細胞を溶解す
るか(凍結)のいずれかを行った。全ての血液試料は製造業者の説明書に従い、hsCRPキ
ットを用いてiChroma機器上で実行した。
【0145】
機械的ストレスは実にCRPの全体レベルに対し影響を及ぼし(表3)、このことからCRP
は結合していないか、ストレス後すぐに生産されることが示唆された。注目すべきことに
、機械的ストレスから1時間後、WB試料中のCRPのレベルは0.95 mg/Lから0.21 mg/Lへと低
下したが、対照(ストレスを受けていない)試料では変化しなかった。このことから、こ
の酵素が活性化され、CRPの分解を引き起こし得たことが示唆される。針を通して押し出
した後にRBCの溶解が生じているようには思われなかった。
【0146】
この例において、RBCがWB中のCRPへの主要な寄与因子であるようには思われない。血液
中のCRPの分布は、日によって変化するようである。CRPのレベルは機械的ストレスの後、
直ちに増加した。このことから、CRPは結合されておらず、又は直ちに生産され、抗体に
よる検出が可能となったことが示唆される。
【0147】
表3. 機械的ストレス刺激(針)を加えたとき、及び加えないときの全血(WB)及び赤血
球(RBC)中のCRPレベル(mg/L)。CRPレベルをiChroma装置上でhsCRPキットを使用して
測定した。
【表3】
[この文献は図面を表示できません]
【0148】
(実施例6. RBC及びRBCゴーストの活動への低酸素の影響)
血液は高度に酸素供給された環境であり、酸素含有量の変化はタンパク質含有量に二次
的影響を及ぼす可能性が高い。RBCのMIF濃度が酸素条件の変化によって影響を受けるかど
うかを試験するため、RBCを低酸素PBS中にインキュベートした。低酸素PBSは、PBSを窒素
チャンバー(5% CO
2、3% O
2、92% N
2)中で18時間以上インキュベートすることにより
作製した。全血を健常ボランティアから収集し、EDTAヴァキュテナー中に取った。続いて
、RBCをデキストラン沈降法(6%デキストラン、1時間、室温)によって単離した。沈降
後、単離したRBCをPBSで2回洗浄した。RBCゴーストを、RBCを低張水中で5分間溶解させる
ことにより単離した。続いて、ゴーストを遠心分離(16,000 g、20分)によって単離した
。無傷のRBC又はRBCゴースト(1000万個)を17 IU/mLのヘパリンを含むエッペンドルフチ
ューブ中の低酸素PBS又は正常酸素PBS(100 μL)に加えた。続いて、これらのチューブ
を完全に密封して細胞懸濁物を1時間又は18時間にわたりインキュベートした(37℃)。
インキュベートした後、馴化PBSを収集して-80℃で保存し、3回の凍結解凍サイクルに供
した。続いて低酸素条件下で「刺激」されたRBC又はRBCゴーストに自己血漿を追加し、続
いてさらに1時間又は18時間にわたりインキュベートした(37℃)。このインキュベーシ
ョンの後、上清(馴化血漿)を収集し、-80℃で保存して、3回の凍結解凍サイクルに供し
た。
【0149】
低酸素により、RBCからのMIFの放出は顕著に低下したが、RBCゴーストからのMIFの放出
に影響を及ぼすようには思われなかった(表4)。このことは、タンパク質の放出がいく
ぶん酸素含有量に関連していることを裏付けている。低酸素条件下でインキュベートした
RBC溶解物中のMIF濃度は、RBC対照(0時間)よりずっと低かった。タンパク質の分解が、
培養中に起こった可能性が高い(表5)。
【0150】
低酸素は、RBCから放出されたMIFのレベル及び細胞内MIF濃度に影響を及ぼした。タンパ
ク質の分解は、低酸素環境の結果として生じた可能性がある(表5)。反対のこと(酸素
過剰環境)も言えるならば、それはタンパク質のレベル及びRBCへの結合を調節する1つの
方法となり得る。
【0151】
表4. ヘパリン(17 IU/mL)とともにPBS又は低酸素PBS中で18時間インキュベートされたR
BC及びゴーストから放出されたMIF(n=1)
【表4】
[この文献は図面を表示できません]
【0152】
表5. ヘパリン(17 IU/mL)とともにPBS又は低酸素PBS中で18時間インキュベートされたR
BC溶解物及びRBCゴースト「溶解物」(n=1)
【表5】
[この文献は図面を表示できません]
【0153】
(実施例7. RBCから経時的に放出され、又は分泌されたタンパク質の同定)
いくつかのタンパク質がRBC溶解物において同定されている。RBCもまたこれらのタンパ
ク質を分泌し得るかどうかを調べるため、RBCをPBS中で一晩インキュベートし、馴化培地
を分析した。セクレトームを分析することにより、RBC溶解物中に存在するヘモグロビン
についての潜在的な問題は否定される。全血を健常ボランティアから収集して、EDTAヴァ
キュテナー中に取った。続いて、RBCをデキストラン沈降法(6%デキストラン、1時間、
室温)により単離した。沈降後、単離したRBCをPBSで2回洗浄した。単離したRBCをプロテ
アーゼ阻害剤を含む、又は含まない100 μL PBS中の2000万細胞へと分注した。続いて、
これらの細胞懸濁物を24時間インキュベートした(37℃、5% CO
2)。インキュベートし
た後、馴化培地及び細胞を遠心分離により分離した。続いて、これらの試料を-80℃で凍
結させ、試料を3回の凍結/解凍サイクルに供し、細胞の溶解を確実に完了させた。溶解後
、赤血球溶解物及び馴化培地試料をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量とした。続いて、こ
れらの試料をマルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレック
スアッセイを利用した。1つ目は、塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、I
L-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-1
3、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVE
GFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネルとし、2つ目は、IL-1α、I
L-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF
、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プ
レックスヒトサイトカインパネルとした(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)
。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステー
ション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標
)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインにつ
いての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用
した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0154】
RBCをPBS中で24時間インキュベートした後、いくつかのタンパク質が放出され、又は分
泌された(
図24A〜
図27)。
図24A〜
図27は、各タンパク質の平均検出濃度に従って分けら
れている。また、RBCの培養中にプロテアーゼ阻害剤を追加すると、タンパク質の放出が
変化した。細胞懸濁物中にプロテアーゼ阻害剤を含めると、典型的に馴化培地及び細胞溶
解物の両方における検出可能な濃度は低下したが、MIP-1βのような例外もいくつかあっ
た(
図28A〜
図42D)。また、プロテアーゼ阻害剤を含めると、サイトカイン濃度の生物学
的レプリケート間の生物学的変動が低下する。
【0155】
(実施例8. プロテアーゼ阻害剤の影響の調節)
37℃での保存の間に血液試料にプロテアーゼ阻害剤を含めると、RBCの分泌プロファイ
ルが変化する。この活性が不可逆であるかどうかを試験するために、24時間インキュベー
トした後にRBCからプロテアーゼ阻害剤を洗い流し、細胞をさらに24時間インキュベート
して結果として得られる馴化培地のサイトカインプロファイルの差異をモニタリングした
。全血を健常ボランティアから収集し、EDTAヴァキュテナー中に取った。RBCをデキスト
ラン沈降法(6%デキストラン、1時間、室温)により単離した。沈降後、単離したRBCをP
BSで2回洗浄した。表5に概説されているように、単離したRBCはPBS又はプロテアーゼ阻害
剤を含むPBS(100 μL)中2000万細胞のアリコートとした。続いて、細胞懸濁物を24時間
インキュベートした(37℃、5 % CO
2)。インキュベートした後、上清及び細胞を遠心分
離によって分離して、上清を収集して-80℃で凍結させた。残存する細胞をPBSで2回洗浄
し、続いて表5に概説されているように、新鮮なPBS又はプロテアーゼ阻害剤を含むPBSの
アリコート(100 μL)中に再度懸濁させた。続いてこれらの細胞懸濁物をさらに24時間
インキュベートした(37℃、5 % CO
2)。インキュベートした後、細胞及び上清を遠心分
離により分離して、これらの試料を-80℃で凍結し、3回の凍結/解凍サイクルに供し、溶
解を確実に完了させた。
【0156】
続いて試料をマルチプレックスサイトカインアッセイにより分析した。2つのマルチプ
レックスアッセイを利用した。1つ目は、塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN
-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)
、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、
及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネルとし、2つ目は、IL-
1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3
、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイ
する21プレックスヒトサイトカインパネルとした(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, B
io-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗
浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(
登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカ
インについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA
)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0157】
(実施例9. 様々な細胞種による刺激後の赤血球の分泌)
全血を健常ボランティアから収集した(n=1)。血液を各ボランティアから静脈穿刺に
より収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k
2EDTAヴァキュテナー、BD B
iosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0158】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(15
00 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム
(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v
)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チ
ューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に
富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(
PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff
, Beckman Coulter)、続いて刺激実験に使用した。
【0159】
内皮(HUVEC)、初代線維芽細胞、腎細胞(HEK-293)などの中立な組織を代表する細胞
を腸癌(HT-29)及び黒色腫(MEWO)由来の代表的な癌細胞株とともに選択した。細胞株
を37℃、5% CO
2で10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含むDMEMからなる培養培地
中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフルエントに達した時に継代した。細胞を
血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0160】
共培養実験について、細胞をT75フラスコ中に培養培地1 mL当たり0.1×10
6細胞の濃度
で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5% CO
2)。インキュベートした後、表6に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使用して
準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18 mLとし
た。
【0161】
表6. 1:100の比の、全ての代表的な細胞株及び赤血球(RBC)の共培養条件(37℃、5% C
O
2、72時間)
【表6】
[この文献は図面を表示できません]
【0162】
続いて、細胞を37℃、5% CO
2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、
赤血球を遠心分離(500 g、10分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存するあ
らゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存し
た。赤血球をPBSで1回洗浄し、血液分析器(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)を使
用して計数した。
【0163】
続いて赤血球をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量とした。次に、赤血球をPBS中、37℃、
5% CO
2で24時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球を遠心分離(500 g
、10分)によって除去し、赤血球分泌物を含む上清を保持し、分析した。2つのマルチプ
レックスアッセイ:塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra
、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-
17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてア
ッセイする27プレックスヒトサイトカインパネル、並びにIL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12
、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF
、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイト
カインパネル(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)を利用した。アッセイを製
造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPle
x Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)
システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲
線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメー
タロジスティック曲線回帰により分析した。
【0164】
図43A〜43VVに示されているように、赤血球によって放出され、又は分泌されるサイト
カインは、この例において、いくつかの異なる細胞株との共培養である「刺激」プロセス
によって変化した。赤血球の分泌プロファイルは、刺激後に変化しただけでなく、各細胞
種は赤血球を異なる形で刺激し、サイトカイン濃度は異なっていた。例えばHEK細胞でRBC
を刺激すると、IP-10、VEGF、塩基性FGF、MCP-1、及びCTACKなどのサイトカインのかなり
の増加が生じる。対照的に、初代線維芽細胞でRBCを刺激すると、GROa及びMCP-3が大きく
増加する。これらの結果から、赤血球のサイトカイン分泌プロファイルは、その環境に依
存して変化を受けやすいことが実証された。さらに、このデータから、異なる細胞種を用
いると、顕著に異なるサイトカインプロファイルを有する刺激された赤血球を作製するこ
とができることが示された。
【0165】
(実施例10. 懸濁物中の不死化ヒトTリンパ球(Jurkat細胞)による刺激後の赤血球の分
泌)
全血を健常ボランティアから収集した(n=1)。血液を各ボランティアから静脈穿刺に
より収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k
2EDTAヴァキュテナー、BD B
iosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0166】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(15
00 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム
(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v
)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チ
ューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に
富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(
PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff
, Beckman Coulter)、続いて刺激実験に使用した。
【0167】
Jurkat細胞を37℃、5% CO
2で培養培地(10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含
むRPMI)中で増殖させた。細胞を週に2回継代し、血球計算器を使用して計数した;生存
性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0168】
共培養実験について、Jurkat細胞をT75フラスコ中に培養培地1 mL当たり0.1×10
6細胞
の濃度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、
5% CO
2)。インキュベートした後、表7に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使
用して準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18
mLとした。
【0169】
表7. 1:100の比の、Jurkat細胞及び赤血球(RBC)の共培養条件(37℃、5% CO
2、72時間
)
【表7】
[この文献は図面を表示できません]
【0170】
続いて、細胞を37℃、5% CO
2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、
赤血球を遠心分離(500 g、10分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存するあ
らゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存し
た。製造業者の説明書に従って、フィコール密度分離を使用して赤血球をJurkat細胞から
分離した。赤血球画分をPBSで1回洗浄し、血液分析器(Coulter Act Diff, Beckman Coul
ter)を使用して計数した。
【0171】
続いて赤血球をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量とした。続いて、赤血球をPBS中、37℃
、5% CO
2で24時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球を遠心分離(500
g、10分)によって除去し、赤血球分泌物を含む上清を保持し、分析した。2つのマルチ
プレックスアッセイを利用した。塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL
-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13
、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEG
Fについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネル、並びにIL-1α、IL-2Ra、I
L-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、M
IG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックス
ヒトサイトカインパネル(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製
造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPle
x Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)
システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲
線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメー
タロジスティック曲線回帰により分析した。
【0172】
図44A〜44Vに示されているように、赤血球によって放出され、又は分泌されるサイトカ
インは、この例において、Jurkat細胞(不死化Tリンパ球細胞株)との共培養である「刺
激」プロセスによって変化した。赤血球の分泌するタンパク質、例えばIFN-a2、MIF、SCG
F-bの濃度は、全て共培養刺激後に顕著に増加した。一方、GROa、CTACK、IL-8、TNF-a、R
ANTES、及びIL6などのタンパク質のレベルは、全て共培養刺激後に著しく低下した。これ
らの結果から、この刺激効果が、様々な培養条件で、非接着細胞によって生じ得ることが
実証された。
【0173】
(実施例11. 間葉性幹細胞(MSC)による刺激後の赤血球)
(11.1. RBC膜)
全血を健常ボランティアから収集した(n≧3)。血液を各ボランティアから静脈穿刺に
より収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k
2EDTAヴァキュテナー、BD B
iosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0174】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(15
00 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム
(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v
)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チ
ューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に
富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(
PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff
, Beckman Coulter)、続いてddH
2Oに懸濁させて細胞を溶解した。この溶液をボルテック
スにかけ、続いて遠心分離(15000 g、20分)して膜をペレット化した。このプロセスを
繰り返し、結果として得られたペレットをPBSで再度懸濁し、刺激実験に使用した。
【0175】
MSCを37℃、5% CO
2で培養培地(10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含むDMEM
)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフルエントに達した時に継代した。細胞
を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0176】
共培養実験について、MSCをT75フラスコ中に培養培地1 mL当たり0.1×10
6細胞の濃度で
播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5% CO
2
)。インキュベートした後、表8に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使用して
準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18 mLとし
た。
【0177】
表8. 1:100の比の、MSC及び赤血球膜の共培養条件(37℃、5% CO
2、72時間)
【表8】
[この文献は図面を表示できません]
【0178】
続いて、細胞を37℃、5% CO
2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、
赤血球膜を遠心分離(15000 g、20分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存す
るあらゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保
存した。赤血球膜をPBSで1回洗浄した(15000 g、20分)。
【0179】
続いて、赤血球膜をPBSで希釈し(使用した元の赤血球の数に基づいて)4億細胞/mLか
らの膜の相当量とした。刺激された、及び刺激されていない赤血球膜を3回の凍結解凍サ
イクルに供し、溶解を確実に完了させた。これらの溶解物を続いてマルチプレックスサイ
トカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。1つ目は、塩
基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、
IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MI
P-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレック
スヒトサイトカインパネルとし、2つ目は、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18
、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β
、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネルと
した(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従
い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad
)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad
)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネ
ージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック
曲線回帰により分析した。
【0180】
図45A〜45VVに示すように、赤血球膜のサイトカインプロファイルは、この例では間葉
性幹細胞(MSC)との共培養である「刺激」プロセスによって変化した。IL-8の赤血球膜
濃度は、共培養刺激後、有意に増加した。一方、塩基性FGF及びSDF-1aなどの少数のタン
パク質のレベルは、共培養刺激後に有意に低下した。この結果から、赤血球膜のサイトカ
インプロファイルは、その環境に応じて変化を受けやすいことが実証された。いずれのサ
イトカインも完全赤血球溶解実験における刺激後には有意に差を示さず、このことから膜
が完全な赤血球に対し異なるサイトカイン結合特性を有することが示された。
【0181】
(11.2 RBC膜の分泌)
全血を健常ボランティアから収集した(n+3)。血液を各ボランティアから静脈穿刺に
より収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k
2EDTAヴァキュテナー、BD B
iosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0182】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(15
00 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム
(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v
)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チ
ューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に
富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(
PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff
, Beckman Coulter)、続いてddH
2Oに懸濁させて細胞を溶解した。この溶液をボルテック
スにかけ、続いて遠心分離(15000 g、20分)して膜をペレット化した。このプロセスを
繰り返し、結果として得られたペレットをPBSで懸濁し、刺激実験に使用した。
【0183】
間葉性幹細胞(MSC)を脂肪組織から単離し、37℃、5% CO
2で培養培地(10% FBS及び
1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含むDMEM)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフ
ルエントに達した時に継代した。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパン
ブルー染色を用いて決定した。
【0184】
共培養実験について、MSCをT75フラスコ中にADSC培養培地1 mL当たり0.1×10
6細胞の濃
度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5%
CO
2)。インキュベートした後、表9に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使用し
て準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18 mLと
した。
【0185】
表9. 1:100の比の、MSC及び赤血球(RBC)の共培養条件(37℃、5% CO
2、72時間)
【表9】
[この文献は図面を表示できません]
【0186】
続いて、細胞を37℃、5% CO
2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、
赤血球膜を遠心分離(15000 g、20分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存す
るあらゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保
存した。赤血球膜をPBSで1回洗浄した(15000 g、20分)。
【0187】
続いて、赤血球膜をPBSで希釈し(使用した元の赤血球の数に基づいて)4億細胞/mLか
らの膜の相当量とした。続いて、膜をPBS中、37℃、5% CO
2で24時間インキュベートした
。インキュベートした後、赤血球膜を遠心分離(15000 g、20分)によって除去し、膜分
泌物を含む上清を保持し、分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。塩基
性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL
-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-
1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックス
ヒトサイトカインパネル、並びにIL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、
GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α
、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネル(Bio-Plex
Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程に
ついては自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実
施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、
蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウ
ェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により
分析した。
【0188】
図46A〜46VVに示すように、赤血球膜のサイトカインプロファイルは、この例ではMSC(
間葉性幹細胞)との共培養である「刺激」プロセスによってごくわずかだけ変化した。GR
O-aの赤血球膜分泌濃度は、共培養刺激後、有意に増加した。一方、共培養刺激後に有意
に低下した検体はなかった。これらの結果から、MSCによる刺激後の赤血球の分泌プロフ
ァイルの変化は、赤血球が無傷であることに大きく依存していることが示される。
【0189】
(11.3. RBC溶解物)
全血を健常ボランティアから収集した(n≧3)。血液を各ボランティアから静脈穿刺に
より収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k
2EDTAヴァキュテナー、BD B
iosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0190】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(15
00 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム
(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v
)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チ
ューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に
富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(
PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff
, Beckman Coulter)、続いて刺激実験に使用した。
【0191】
間葉性幹細胞(MSC)を脂肪組織から単離し、37℃、5% CO
2で培養培地(10% FBS及び
1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含むDMEM)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフ
ルエントに達した時に継代した。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパン
ブルー染色を用いて決定した。
【0192】
共培養実験について、MSCをT75フラスコ中に培養培地1 mL当たり0.1×10
6細胞の濃度で
播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5% CO
2
)。インキュベートした後、表10に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使用して
準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18 mLとし
た。
【0193】
表10. 1:100の比の、MSC及び赤血球(RBC)の共培養条件(37℃、5% CO
2、72時間)
【表10】
[この文献は図面を表示できません]
【0194】
続いて、細胞を37℃、5% CO
2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、
赤血球を遠心分離(500 g、10分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存するあ
らゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存し
た。赤血球をPBSで1回洗浄し、血液分析器(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)を使
用して計数した。
【0195】
刺激された赤血球及び刺激されていない赤血球を3回の凍結解凍サイクルに供し、細胞
の溶解を確実に完了させた。溶解後、赤血球溶解物をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量と
した。続いて、これらの溶解物をマルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2
つのマルチプレックスアッセイを利用した。1つ目は、塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF
、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-1
0、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RAN
TES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネルとし
、2つ目は、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α
2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILにつ
いてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネルとした(Bio-Plex Pro 27-plex及
び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化
された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセ
イをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集し
た。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0,
Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0196】
図47A〜47VVに示すように、赤血球のサイトカインプロファイルは、この例では間葉性
幹細胞(MSC)との共培養である「刺激」プロセスによって変化した。CTACK及びGROaなど
の検体の赤血球濃度は、共培養刺激後、有意に増加した。一方、IL-1aのレベルは、共培
養刺激後に有意に低下した。この結果から、赤血球のサイトカインプロファイルは、その
環境に応じて変化を受けやすいことが実証された。これらの結果の、刺激後の赤血球によ
り放出され、又は分泌されたサイトカインの分析との比較から、分泌プロファイルを生じ
るためにRBCのPBS中でのインキュベーションを延長することにより、溶解手順よりも再現
性が有意に高くなることが示された。
【0197】
(11.4. RBC分泌物)
全血を健常ボランティアから収集した(n=3)。血液を各ボランティアから静脈穿刺に
より収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k
2EDTAヴァキュテナー、BD B
iosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0198】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(15
00 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム
(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v
)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チ
ューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に
富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(
PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff
, Beckman Coulter)、続いて刺激実験に使用した。
【0199】
間葉性幹細胞(MSC)を脂肪組織から単離し、37℃、5% CO
2で培養培地(10% FBS及び
1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含むDMEM)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフ
ルエントに達した時に継代した。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパン
ブルー染色を用いて決定した。
【0200】
共培養実験について、MSCをT75フラスコ中に培養培地1 mL当たり0.1×10
6細胞の濃度で
播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5% CO
2
)。インキュベートした後、表11に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使用して
準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18 mLとし
た。
【0201】
表11. 1:100の比の、MSC及び赤血球(RBC)の共培養条件(37℃、5% CO
2、72時間)
【表11】
[この文献は図面を表示できません]
【0202】
続いて、細胞を37℃、5% CO
2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、
赤血球を遠心分離(500 g、10分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存するあ
らゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存し
た。赤血球をPBSで1回洗浄し、血液分析器(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)を使
用して計数した。
【0203】
続いて赤血球をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量とした。続いて、赤血球をPBS中、37℃
、5% CO
2で24時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球を遠心分離(500
g、10分)によって除去し、赤血球分泌物を含む上清を保持し、分析した。2つのマルチ
プレックスアッセイを利用した。塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL
-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13
、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEG
Fについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネル、並びにIL-1α、IL-2Ra、I
L-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、M
IG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックス
ヒトサイトカインパネル(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製
造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPle
x Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)
システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲
線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメー
タロジスティック曲線回帰により分析した。
【0204】
図48A〜48VVに示すように、赤血球によって放出され、又は分泌されたサイトカインは
、この例ではMSC(間葉性幹細胞)との共培養である「刺激」プロセスによって変化した
。Gro-a、MCP-3、IL-2ra、SDF-1a、HGF、bNGF、SCF、SCGF-b、IL-8、Il-4、IL-10、MCP-1
、MIP-1a、MIP-1b、VEGF、及びIL-6などの赤血球分泌タンパク質の濃度は、共培養刺激後
、全て有意に増加した。一方、IL-1a、MIF、IL-12(p40)、IL-15、GM-CSFなどの少数のタ
ンパク質のレベルは、共培養刺激後に全て有意に低下した。この結果から、赤血球のサイ
トカイン分泌プロファイルは、その環境に応じて変化を受けやすいことが実証された。赤
血球をタンパク質に富む環境でインキュベートすることにより、細胞は多岐にわたるサイ
トカインと結合し、これらを放出することができた。
【0205】
(実施例12. MCF-7乳癌細胞による刺激後の赤血球)
(12.1 RBC膜)
全血を健常ボランティアから収集した(n≧3)。血液を各ボランティアから静脈穿刺に
より収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k
2EDTAヴァキュテナー、BD B
iosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0206】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(15
00 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム
(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v
)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チ
ューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に
富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(
PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff
, Beckman Coulter)、続いてddH
2Oに懸濁させて細胞を溶解した。この溶液をボルテック
スにかけ、続いて遠心分離(15000 g、20分)して膜をペレット化した。このプロセスを
繰り返し、結果として得られたペレットをPBSで懸濁し、刺激実験に使用した。
【0207】
MCF-7細胞を37℃、5% CO
2で培養培地(10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含
むDMEM)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフルエントに達した時に継代した
。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0208】
共培養実験について、MCF-7細胞をT75フラスコ中に培養培地1 mL当たり0.1×10
6細胞の
濃度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5
% CO
2)。インキュベートした後、表12に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使
用して準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18
mLとした。
【0209】
表12. 1:100の比の、MCF-7細胞及び赤血球膜の共培養条件(37℃、5% CO
2、72時間)
【表12】
[この文献は図面を表示できません]
【0210】
続いて、細胞を37℃、5% CO
2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、
赤血球膜を遠心分離(15000 g、20分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存す
る微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存した。
赤血球膜をPBSで1回洗浄した(15000 g、20分)。
【0211】
続いて、赤血球膜をPBSで希釈し(使用した元の赤血球の数に基づいて)4億細胞/mLか
らの膜の相当量とした。刺激された、及び刺激されていない赤血球膜を3回の凍結解凍サ
イクルに供し、細胞溶解を確実に完了させた。続いてこれらの溶解物をマルチプレックス
サイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。1つ目は
、塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL
-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1
、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレ
ックスヒトサイトカインパネルとし、2つ目は、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、I
L-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCG
F-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネ
ルとした(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書
に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-
Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-R
ad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマ
ネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティッ
ク曲線回帰により分析した。
【0212】
図49A〜49VVに示すように、赤血球膜のサイトカインプロファイルは、この例ではMCF-7
細胞(乳癌細胞株)との共培養である「刺激」プロセスによって変化した。IL-3及びIL-8
などの赤血球タンパク質の濃度は、共培養刺激後、有意に増加した。一方、IL-2raのレベ
ルは、共培養刺激後に有意に低下した。この結果から、赤血球膜のサイトカインプロファ
イルは、その環境に応じて変化を受けやすいことが実証された。IL-3はそのレベルも完全
赤血球溶解実験における刺激後に有意に変化する唯一のサイトカインであり、このことか
ら膜が完全な赤血球とは異なるサイトカイン結合特性を有することが示された。
【0213】
(12.2 赤血球膜の分泌)
全血を健常ボランティアから収集した(n=3)。血液を各ボランティアから静脈穿刺に
より収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k
2EDTAヴァキュテナー、BD B
iosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0214】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(15
00 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム
(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v
)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チ
ューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に
富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(
PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff
, Beckman Coulter)、続いてddH
2Oに懸濁させて細胞を溶解した。この溶液をボルテック
スにかけ、続いて遠心分離(15000 g、20分)して膜をペレット化した。このプロセスを
繰り返し、結果として得られたペレットをPBSで懸濁し、刺激実験に使用した。
【0215】
MCF-7細胞を37℃、5% CO
2で培養培地(10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含
むDMEM)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフルエントに達した時に継代した
。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0216】
共培養実験について、MCF-7細胞をT75フラスコ中に培養培地1 mL当たり0.1×10
6細胞の
濃度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5
% CO
2)。インキュベートした後、表13に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使
用して準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18
mLとした。
【0217】
表13. 1:100の比の、MCF-7細胞及び赤血球(RBC)からの相当量の膜の共培養条件(37℃
、5% CO
2、72時間)
【表13】
[この文献は図面を表示できません]
【0218】
続いて、細胞及び膜を37℃、5% CO
2で72時間インキュベートした。インキュベートし
た後、赤血球膜を遠心分離(15000 g、20分)により馴化培地から単離した。馴化培地に
残存するあらゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80
℃で保存した。赤血球膜をPBSで1回洗浄した(15000 g、20分)。
【0219】
続いて、赤血球膜をPBSで希釈し(使用した元の赤血球の数に基づいて)4億細胞/mLか
らの膜の相当量とした。続いて、膜をPBS中、37℃、5% CO
2で24時間インキュベートした
。インキュベートした後、膜を遠心分離(15000 g、20分)によって除去し、赤血球膜分
泌物を含む上清を保持し、分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。塩基
性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL
-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-
1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックス
ヒトサイトカインパネル、並びにIL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、
GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α
、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネル(Bio-Plex
Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程に
ついては自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実
施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、
蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウ
ェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により
分析した。
【0220】
図50A〜50VVに示すように、赤血球膜のサイトカイン分泌プロファイルは、この例ではM
CF-7細胞(乳癌細胞株)との共培養である「刺激」プロセスによって変化した。IFN-a2、
IL-18、MIF、TNF-b、IL-2ra、CTACK、GRO-a、MIG、SDF-1a、IL-16、IL-3、LIF、IL-8、IL
-9、TNF-a、IL-1ra、IL-4、MCP-1、RANTES、IL-7、IP-10、PDGF-bb、及びVEGFなどの赤血
球分泌タンパク質の濃度は全て、共培養刺激後、有意に増加した。一方、エオタキシン及
び塩基性FGFのレベルは、共培養刺激後に有意に低下した。これらの結果から、赤血球膜
はMCF-7細胞により刺激された場合に、赤血球のサイトカイン分泌プロファイルの変化に
大きく寄与することが実証された。
【0221】
(12.3 RBC分解物)
全血を健常ボランティアから収集した(n≧3)。血液を各ボランティアから静脈穿刺に
より収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k
2EDTAヴァキュテナー、BD B
iosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0222】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(15
00 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム
(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v
)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チ
ューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に
富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(
PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff
, Beckman Coulter)、続いて刺激実験に使用した。
【0223】
MCF-7細胞を37℃、5% CO
2で培養培地(10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含
むDMEM)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフルエントに達した時に継代した
。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0224】
共培養実験について、MCF-7細胞をT75フラスコ中にADSC培養培地1 mL当たり0.1×10
6細
胞の濃度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃
、5% CO
2)。インキュベートした後、表14に概説された条件を、直前に単離した赤血球
を使用して準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は
、18 mLとした。
【0225】
表14. 1:100の比の、MCF-7細胞及び赤血球(RBC)の共培養条件(37℃、5% CO
2、72時間
)
【表14】
[この文献は図面を表示できません]
【0226】
続いて、細胞を37℃、5% CO
2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、
赤血球を遠心分離(500 g、10分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存するあ
らゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存し
た。赤血球をPBSで1回洗浄し、血液分析器(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)を使
用して計数した。
【0227】
刺激された赤血球及び刺激されていない赤血球を3回の凍結解凍サイクルに供し、細胞
の溶解を確実に完了させた。溶解後、赤血球溶解物をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量と
した。続いて、これらの溶解物をマルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2
つのマルチプレックスアッセイを利用した。1つ目は、塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF
、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-1
0、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RAN
TES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネルとし
、2つ目は、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α
2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILにつ
いてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネルとした(Bio-Plex Pro 27-plex及
び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化
された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセ
イをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集し
た。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0,
Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0228】
図51A〜51VVに示すように、赤血球のサイトカインプロファイルは、この例ではMCF-7(
乳癌細胞株)との共培養である「刺激」プロセスによって変化した。IL-1a、CTACK、IL3
、及びIL-12p40などの赤血球タンパク質の濃度は、共培養刺激後、有意に増加した。一方
、IL-18のレベルは、共培養刺激後に有意に低下した。この結果から、赤血球のサイトカ
インプロファイルはその環境に応じて変化を受けやすいことが実証された。タンパク質に
富む環境中で赤血球をインキュベートすることにより、細胞はタンパク質と結合し、これ
らを放出することができた。これらの結果の刺激後に赤血球によって放出され、又は分泌
されるサイトカインの分析との比較から、分泌プロファイルを作成するためにPBS中でのR
BCのインキュベーションを延長することにより、溶解物手順よりも有意に再現性が高くな
ることが示された。
【0229】
(12.4. RBC分泌物)
全血を健常ボランティアから収集した(n=3)。血液を各ボランティアから静脈穿刺に
より収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k
2EDTAヴァキュテナー、BD B
iosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0230】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(15
00 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム
(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v
)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チ
ューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に
富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(
PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff
, Beckman Coulter)、続いて刺激実験に使用した。
【0231】
MCF-7細胞を37℃、5% CO
2で培養培地(10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含
むDMEM)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフルエントに達した時に継代した
。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0232】
共培養実験について、MCF-7細胞をT75フラスコ中にADSC培養培地1 mL当たり0.1×10
6細
胞の濃度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃
、5% CO
2)。インキュベートした後、表15に概説された条件を、直前に単離した赤血球
を使用して準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は
、18 mLとした。
【0233】
表15. 1:100の比の、MCF-7細胞及び赤血球(RBC)の共培養条件(37℃、5% CO
2、72時間
)
【表15】
[この文献は図面を表示できません]
【0234】
続いて、細胞を37℃、5% CO
2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、
赤血球を遠心分離(500 g、10分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存するあ
らゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存し
た。赤血球をPBSで1回洗浄し、血液分析器(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)を使
用して計数した。
【0235】
続いて赤血球をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量とした。続いて、赤血球をPBS中、37℃
、5% CO
2で24時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球を遠心分離(500
g、10分)によって除去し、赤血球分泌物を含む上清を保持し、分析した。2つのマルチ
プレックスアッセイを利用した。塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL
-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13
、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEG
Fについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネル、並びにIL-1α、IL-2Ra、I
L-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、M
IG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックス
ヒトサイトカインパネル(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製
造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPle
x Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)
システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲
線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメー
タロジスティック曲線回帰により分析した。
【0236】
図52A〜52VVに示すように、赤血球のサイトカイン分泌プロファイルは、この例ではMCF
-7細胞(乳癌細胞株)との共培養である「刺激」プロセスによって変化した。IL-1a、MIF
、TRAIL、IL-2ra、GRO-a、IL-16、IL-3、SCF、IL-12p40、LIF、IL-8、IL-9、IL-12p70、I
L-17、TNF-a、IL-1ra、IL-4、IL-13、MCP-1、RANTES、G-CSF、IL-7、IP-10、PDGF-bb、VE
GF、IL-2、及びIL-6などの赤血球分泌タンパク質の濃度は全て、共培養刺激後、有意に増
加した。一方、IFN-a2のレベルだけは、共培養刺激後に有意に低下した。これらの結果か
ら、赤血球のサイトカイン分泌プロファイルは、その環境に応じて変化を受けやすいこと
が実証された。タンパク質に富む環境中で赤血球をインキュベートすることにより、細胞
はタンパク質と結合し、これらを放出することができた。
【0237】
(実施例13. A549肺癌細胞による刺激後の赤血球)
全血を健常ボランティアから収集した(n≧1)。血液を各ボランティアから静脈穿刺に
より収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k
2EDTAヴァキュテナー、BD B
iosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。マルチ
プレックス分析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、-80℃で3回の凍
結解凍サイクルに供して分析前に細胞の溶解を確実に完了させた。
【0238】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(15
00 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム
(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v
)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チ
ューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に
富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(
PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff
, Beckman Coulter)、続いて刺激実験に使用した。
【0239】
A549細胞を37℃、5% CO
2でA549培養培地(10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを
含むDMEM)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフルエントに達した時に継代し
た。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した
。
【0240】
共培養実験について、A549細胞をT75フラスコ中にADSC培養培地1 mL当たり0.1×10
6細
胞の濃度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃
、5% CO
2)。インキュベートした後、表16に概説された条件を、直前に単離した赤血球
を使用して準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は
、18 mLとした。
【0241】
表16. 1:100の比の、A549細胞及び赤血球(RBC)の共培養条件(37℃、5% CO
2、72時間
)
【表16】
[この文献は図面を表示できません]
【0242】
続いて、細胞を37℃、5% CO
2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、
赤血球を遠心分離(500 g、10分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存するあ
らゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存し
た。赤血球をPBSで1回洗浄し、血液分析器(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)を使
用して計数した。続いて赤血球を-80℃で凍結し、溶解物を作製した。
【0243】
刺激された赤血球及び刺激されていない赤血球を3回の凍結解凍サイクルに供し、細胞
の溶解を確実に完了させた。溶解後、赤血球溶解物をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量と
した。続いて、これらの溶解物をマルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2
つのマルチプレックスアッセイを利用した。1つ目は、塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF
、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-1
0、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RAN
TES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネルとし
、2つ目は、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α
2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILにつ
いてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネルとした(Bio-Plex Pro 27-plex及
び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化
された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセ
イをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集し
た。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0,
Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0244】
図53A〜53UUに示すように、赤血球のサイトカインプロファイルは、この例ではA549細
胞(肺癌細胞株)との共培養である「刺激」プロセスによって変化した。IL-8、IL-10、
及びM-CSFなどの検体の赤血球濃度は、共培養刺激後、有意に増加した。一方、IL-1a及び
IL-12(p40)などの少数の検体のレベルは、共培養刺激後に有意に低下した。これらの結果
から、赤血球のサイトカインプロファイルは、その環境に応じて変化を受けやすいことが
実証された。タンパク質に富む環境中で赤血球をインキュベートすることにより、細胞は
検体と結合し、これらを放出することができた。また、赤血球のサイトカインプロファイ
ルは間葉性幹細胞とともにインキュベートした後に、調節された(すなわち、刺激された
)(データは既に最初の特許中にある)。
【0245】
(実施例14. 他の例示的な非限定的実施態様)
特許請求の範囲に記載の主題のさらなる利点は、特許請求の範囲に記載の主題のある実
施態様を説明する以下の例から明らかとなるであろう。
【0246】
1. 対象における少なくとも1つのタンパク質のレベルを調節するための方法であって:
a.) 赤血球を、1以上の赤血球タンパク質のレベルを調節する少なくとも1つの薬剤又は
少なくとも1つの条件と接触させることにより、刺激された赤血球を作製すること;並び
に
b.) 該対象に:
(i) 該刺激された赤血球;
(ii) 該刺激された赤血球のインキュベーション又は培養物から取得した上清;
(iii) 該刺激された赤血球から取得した溶解物;
(iv) 該刺激された赤血球から取得した膜;及び
(v) 該刺激された赤血球から作製した赤血球ゴースト又は膜、からなる群から選択さ
れる、1以上の刺激された赤血球構成要素を投与すること、を含み、ここで該対象に該1以
上の刺激された赤血球構成要素を投与することにより、該対象における少なくとも1つの
タンパク質のレベルが調節される、前記方法。
【0247】
2. 前記1以上の刺激された赤血球構成要素を、前記赤血球を刺激している間、及び/又は
該赤血球を刺激した後に取得する、例1記載の方法。
【0248】
3. 前記赤血球を前記対象から取得する、例2記載の方法。
【0249】
4. 前記赤血球を前記対象からは取得しない、例2記載の方法。
【0250】
5. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球である、
例1〜4の1以上記載の方法。
【0251】
6. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球のインキ
ュベーション又は培養物から取得した上清である、例1〜4の1以上記載の方法。
【0252】
7. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球から取得
した溶解物である、例1〜4の1以上記載の方法。
【0253】
8. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球から取得
した膜である、例1〜4の1以上記載の方法。
【0254】
9. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球から作製
した赤血球ゴーストである、例1〜4の1以上記載の方法。
【0255】
10. 前記少なくとも1つの薬剤が、タンパク質、酵素、核酸、プロテアーゼ阻害剤、タン
パク質変性剤、RNA安定化剤、抗凝固剤、及び細胞からなる群から選択される1以上の薬剤
である、例1記載の方法。
【0256】
11. 前記少なくとも1つの薬剤が、プロテアーゼ阻害剤、抗凝固剤、癌細胞、幹細胞、及
び免疫細胞からなる群から選択される、例10記載の方法。
【0257】
12. 前記少なくとも1つの条件が、剪断応力、低酸素、又は酸素過剰である、例1記載の方
法。
【0258】
13. 前記赤血球を少なくとも1つの対象、少なくとも1つの細胞バンク、及び少なくとも1
つの細胞株からなる群から選択される1以上の供給源から取得する、例1〜12の1以上記載
の方法。
【0259】
14. 前記対象が、ヒト又は非ヒト哺乳動物である、例1〜12の1以上記載の方法。
【0260】
15. 前記1以上の刺激された赤血球構成要素を、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋
肉内、くも膜下腔内、及び腹腔内からなる群から選択される1以上の方法を通じて前記対
象に投与する、例1〜12の1以上記載の方法。
【0261】
16. 前記1以上の赤血球タンパク質が、ケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、
細胞内シグナル伝達物質、ホルモン、核内転写調節因子、神経伝達物質、細胞外マトリッ
クス構成要素、及び酵素からなる群から選択される、例1〜12の1以上記載の方法。
【0262】
17. 前記1以上の赤血球タンパク質が、サイトカイン、ケモカイン、又は成長因子である
、例16記載の方法。
【0263】
18. 標的細胞の活動を調節する方法であって:
a.) 赤血球を、1以上の赤血球タンパク質のレベルを調節する少なくとも1つの薬剤又は
条件と接触させることにより、刺激された赤血球を作製すること;並びに
b.) 該標的細胞を:
(i) 該刺激された赤血球;
(ii) 該刺激された赤血球をインキュベートし、又は培養することから取得した上清
;
(iii) 該刺激された赤血球から取得した溶解物;
(iv) 該刺激された赤血球から取得した膜;及び
(v) 該刺激された赤血球から作製した赤血球ゴースト又は膜、からなる群から選択さ
れる、1以上の刺激された赤血球構成要素と混合すること、を含み、ここで該標的細胞を
該1以上の刺激された赤血球構成要素と混合することにより、該標的細胞の活動が調節さ
れる、前記方法。
【0264】
19. 前記刺激された赤血球により、細胞シグナル伝達、免疫反応、細胞発達、細胞成長、
細胞成長阻害、細胞死、及び細胞修復からなる群から選択される、前記標的細胞の1以上
の活動が調節される、例18記載の方法。
【0265】
20. 前記標的細胞が、免疫細胞、不死化細胞、癌細胞、幹細胞、内皮細胞、線維芽細胞、
及び滑液細胞からなる群から選択されるものの1以上である、例18記載の方法。
【0266】
21. 前記免疫細胞が、T-リンパ球、B-リンパ球、単球、マクロファージ、樹状細胞、ナチ
ュラルキラー細胞、好中球、好酸球、及び好塩基球からなる群から選択されるものの1以
上である、例20記載の方法。
【0267】
22. 前記癌細胞が、腫瘍細胞、固形腫瘍細胞、播種性腫瘍細胞、及び/又は癌性血液細胞
からなる群から選択されるものの1以上である、例20記載の方法。
【0268】
23. 前記幹細胞が、全能性幹細胞、多能性幹細胞、複能性幹細胞、組織幹細胞、胚性幹細
胞、ヒト胚性幹細胞(HeSC)、体性幹細胞、造血幹細胞(例えば、臍帯血、骨髄からのも
の)、骨髄間質幹細胞(骨格幹細胞)、人工多能性幹細胞(IPSO)、表皮幹細胞、上皮性
幹細胞、間葉性幹細胞、神経幹細胞、及び間葉性幹細胞からなる群から選択されるものの
1以上である、例20記載の方法。
【0269】
24. 前記混合することが、前記標的細胞を前記刺激された赤血球とインキュベートするこ
と、培養すること、共培養すること、及び合わせることからなる群から選択されるプロセ
スである、例18〜23の1以上記載の方法。
【0270】
25. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球である
、例18〜23の1以上記載の方法。
【0271】
26. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球のイン
キュベーション又は培養物から取得した上清である、例18〜23の1以上記載の方法。
【0272】
27. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球から取
得した溶解物である、例18〜23の1以上記載の方法。
【0273】
28. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球から取
得した膜である、例15〜20の1以上記載の方法。
【0274】
29. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球から作
製した赤血球ゴーストである、例18〜23の1以上記載の方法。
【0275】
30. 前記標的細胞が対象由来である、例24記載の方法。
【0276】
31. 前記標的細胞が対象の内にある、例24記載の方法。
【0277】
32. 前記標的細胞を対象に投与する、例18〜30の1以上記載の方法。
【0278】
33. 標的細胞、標的細胞ゴースト、標的細胞膜、標的細胞溶解物、標的細胞画分、及び標
的細胞をインキュベートし、又は培養することにより作製した上清からなる群から選択さ
れる、1以上の標的細胞構成要素を対象に投与する、例18〜30の1以上記載の方法。
【0279】
34. 刺激された赤血球、刺激された赤血球構成要素、標的細胞、及び標的細胞構成要素の
1以上を前記対象に投与する、例18〜30の1以上記載の方法。
【0280】
35. 前記刺激された赤血球、刺激された赤血球構成要素、標的細胞、又は標的細胞構成要
素の1以上を全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、くも膜下腔内、及び腹腔内か
らなる群から選択される1以上の経路により前記対象に投与する、例18〜30の1以上記載の
方法。
【0281】
36. 前記対象が疾患又は障害を有する、例18〜35の1以上記載の方法。
【0282】
37. 疾患又は障害を予防し、治療し、又は改善する方法であって、それを必要とする対象
に例1〜36の1以上に従って作製された赤血球又は標的細胞を投与することを含む、前記方
法。
【0283】
38. 前記赤血球又は標的細胞を、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、くも膜下
腔内、及び腹腔内からなる群から選択される1以上の経路によって前記対象に投与する、
例37記載の方法。
【0284】
39. 前記対象が、ヒト又は非ヒト哺乳動物である、例37記載の方法。
【0285】
40. 前記対象が、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類、又は両生類である、例37記載の方法。
【0286】
41. 前記対象が、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、フェレット、スナネズミ、ウサギ
、サル、チンパンジー、ウマ、ポニー、ロバ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、ヤギ、ネコ、又
はイヌである、例37記載の方法。
【0287】
42. 前記疾患又は障害が、癌、感染症、臓器不全、自己免疫性疾患、自己免疫性障害、炎
症、及び免疫不全からなる群から選択される、例37記載の方法。
【0288】
43. 赤血球を刺激する方法であって:
a.) 該赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルを測定すること;
b.) 該赤血球を少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させること;
c.) 該赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルを測定すること;及び
d.) 該少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させる前の該赤血球に関連
する1以上のタンパク質のレベルを、該少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と
接触させた後の該赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルと比較すること、を含み
、ここで該赤血球に関連する1以上のタンパク質の少なくとも1つのレベルの差が、該赤血
球が刺激されたことを示す、前記方法。
【0289】
44. 赤血球に関連する1以上のタンパク質、2以上のタンパク質、3以上のタンパク質、4以
上のタンパク質、5以上のタンパク質、6以上のタンパク質、7以上のタンパク質、8以上の
タンパク質、9以上のタンパク質、10以上のタンパク質、11以上のタンパク質、12以上の
タンパク質、13以上のタンパク質、14以上のタンパク質、又は15以上のタンパク質のレベ
ルを測定する、例43記載の方法。
【0290】
45. 赤血球に関連する3以上のタンパク質のレベルを測定する、例44記載の方法。
【0291】
46. 前記赤血球に関連する1以上のタンパク質のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、
少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少な
くとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なく
とも13個、少なくとも14個、又は少なくとも15個のレベルに差がある、例43〜48の1以上
記載の方法。
【0292】
47. 前記赤血球に関連する少なくとも3つのタンパク質のレベルに差がある、例46記載の
方法。
【0293】
48. 少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させる前の赤血球に関連する1
以上のタンパク質のレベルを、少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させ
た後の赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルと比較した差を、スチューデントのT
検定、ANOVA検定、混合効果モデル、マン-ホイットニー検定、ウィルコクソンの順位和、
及びスピアマンの順位相関からなる群から選択される統計解析によって決定する、例43〜
47の1以上記載の方法。
【0294】
49. 赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルが増加及び/又は低下する、例43〜48の
1以上記載の方法。
【0295】
50. 前記赤血球に関連する1以上のタンパク質の少なくとも1つのレベルが増加及び/又は
低下する、例43〜48の1以上記載の方法。
【0296】
51. 前記赤血球に関連する1以上のタンパク質の少なくとも1つのレベルが増加する、例43
〜48の1以上記載の方法。
【0297】
52. 前記赤血球に関連する1以上のタンパク質の少なくとも1つのレベルが低下する、例43
〜48の1以上記載の方法。
【0298】
53. 赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルを、1以上の抗体を使用して測定する、
例43〜48の1以上記載の方法。
【0299】
54. 前記1以上のタンパク質が、ケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、細胞内
シグナル伝達物質、ホルモン、核内転写調節因子、神経伝達物質、細胞外マトリックス構
成要素、及び酵素からなる群から選択される、例43〜48の1以上記載の方法。
【0300】
55. 前記1以上のタンパク質が、ケモカイン、サイトカイン、及び成長因子からなる群か
ら選択される、例54記載の方法。
【0301】
56. 前記少なくとも1つの薬剤が、タンパク質、酵素、核酸、プロテアーゼ阻害剤、タン
パク質変性剤、RNA安定化剤、抗凝固剤、及び細胞からなる群から選択される1以上の薬剤
である、例43〜49の1以上記載の方法。
【0302】
57. 前記少なくとも1つの条件が、剪断応力、低酸素、又は酸素過剰である、例43〜49の1
以上記載の方法。
【0303】
58. 前記刺激された赤血球により、1以上の標的細胞の活動が調節される、例43〜57の1以
上記載の方法。
【0304】
59. 前記刺激された赤血球を対象に投与する、例43〜58の1以上記載の方法。
【0305】
60. 対象の細胞表面又は内部の標的タンパク質のレベルを増加させるか、又は低下させる
ための方法であって、赤血球(RBC)を該RBCの内部に存在する、及び/又は該RBCの表面に
結合している標的タンパク質のレベルを増加させるか、又は低下させるために処理するこ
と、並びに
該対象に、それによって細胞表面又は内部の該標的タンパク質のレベルを増加させるか
、又は低下させるための:
(i) 前記処理後のRBC、
(ii) 前記処理の間及び/又は後の該RBCの溶解から取得したRBC溶解物、RBC膜、及び/又
はRBCゴースト、
(iii) 前記処理の間及び/又は後の該RBCの洗浄から取得した細胞洗浄液、
(iv) 前記処理の間及び/又は後に生成された該RBCの培養物から取得した培養上清、
(v) (i)〜(iv)の組合わせ、の1以上を投与することを含む、前記方法。
【0306】
61. 前記処理に供した前記RBCを、前記対象から取得する、例60記載の方法。
【0307】
62. 前記処理に供した前記RBCを、前記対象からは取得しない、例60記載の方法。
【0308】
63. 前記対象に投与された前記RBCが、RBCゴーストである、例60〜62の1以上記載の方法
。
【0309】
64. 前記標的タンパク質のレベルを増加させ、又は低下させることにより:前記対象にお
ける免疫反応、細胞発達、細胞成長、及び/又は細胞修復が誘導され、又は調節される、
例60〜63の1以上記載の方法。
【0310】
65. 前記標的タンパク質のレベルを増加させ、又は低下させることにより、前記対象にお
ける免疫反応が誘導され、又は調節される、例64記載の方法。
【0311】
66. (i) 前記RBC、
(ii) 前記RBC溶解物、RBC膜、及び/若しくはRBCゴースト、
(iii) 前記細胞洗浄液、
(iv) 前記培養上清、又は
(v) (i)〜(iv)の組合わせ、を前記対象に、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内
、くも膜下腔内、及び/又は腹腔内に投与する、例60〜65の1以上記載の方法。
【0312】
67. 前記対象が哺乳動物対象、ヒト対象、又は両方である、例60〜66の1以上記載の方法
。
【0313】
68. 標的細胞の機能を誘導又は調節するための方法であって:
RBCを該RBCの内部に存在する、又は該RBCの表面に結合している標的タンパク質のレベ
ルを増加させるか、又は低下させるために処理すること;並びに
該標的細胞を、それによって該標的細胞の機能を誘導するか、又は調節するための、
(i) 前記処理後のRBC、
(ii) 前記処理の間及び/又は後の該RBCの溶解から取得したRBC溶解物、RBC膜、及び/又
はRBCゴースト、
(iii) 前記処理の間及び/又は後の該RBCの洗浄から取得した細胞洗浄液、
(iv) 前記処理の間及び/又は後に生成された該RBCの培養物から取得した培養上清、
(v) (i)〜(iv)の組合わせ、の1以上と混合することを含む、前記方法。
【0314】
69. 前記標的細胞が、免疫細胞、癌細胞、幹細胞、内皮細胞、線維芽細胞、滑液細胞、及
び/又は骨髄細胞の1以上である、例68記載の方法。
【0315】
70. 前記免疫細胞が、Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュ
ラルキラー細胞、好中球、好酸球、及び/又は好塩基球の1以上である、例69記載の方法。
【0316】
71. 前記癌細胞が、腫瘍細胞、固形腫瘍細胞、播種性腫瘍細胞、及び/又は癌性血液細胞
の1以上である、例69記載の方法。
【0317】
72. 前記幹細胞が:全能性幹細胞、多能性幹細胞、複能性幹細胞、組織幹細胞、胚性幹細
胞、ヒト胚性幹細胞(HeSC)、体性幹細胞、造血幹細胞(例えば、臍帯血、骨髄からのも
の)、骨髄間質幹細胞(骨格幹細胞)、人工多能性幹細胞(IPSO)、表皮幹細胞、上皮性
幹細胞、間葉性幹細胞、神経幹細胞、間葉性幹細胞、及び/又はそれらの組合わせの1以上
である、例69記載の方法。
【0318】
73. 前記標的細胞が、幹細胞であり、前記混合することにより、該幹細胞が刺激されて特
定の細胞系譜へと向かう、例69又は72記載の方法。
【0319】
74. 所与の疾患又は障害に罹患する、又はそれを発症しやすい対象に:
(i) 前記混合後の標的細胞、
(ii) 前記処理の間及び/若しくは後の該標的細胞の溶解から取得した、標的細胞溶解物
、標的細胞膜、及び/若しくは標的細胞ゴースト、
(i) 前記処理の間及び/若しくは後の該標的細胞の洗浄から取得した、細胞洗浄液、
(ii) 前記処理の間及び/若しくは後に生成された該標的細胞の培養物から取得した、培
養上清、
(iii) (i)〜(iv)の組合わせ、を投与することをさらに含む、例68〜73の1以上記載の方
法。
【0320】
75. (i) 前記標的細胞、
(ii) 前記標的細胞溶解物、標的細胞膜、及び/若しくは標的細胞ゴースト、
(iii) 前記標的細胞洗浄液、
(iv) 前記標的細胞培養上清、又は
(v) (i)〜(iv)の組合わせ、を前記対象に、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉
内、くも膜下腔内、及び/又は腹腔内に投与する、例74に記載の方法。
【0321】
76. 前記対象に:
(i) 前記RBC、
(ii) 前記RBC溶解物、RBC膜、及び/若しくはRBCゴースト、
(iii) 前記細胞洗浄液、
(iv) 前記培養上清、又は
(v) (i)〜(iv)の組合わせ、を投与することをさらに含む、例74又は75記載の方法。
【0322】
77. 18. (i) 前記RBC、
(ii) 前記RBC溶解物、RBC膜、及び/若しくはRBCゴースト、
(iii) 前記細胞洗浄液、
(iv) 前記培養上清、又は
(v) (i)〜(iv)の組合わせ、を前記対象に、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内
、くも膜下腔内、及び/又は腹腔内に投与する、例76記載の方法。
【0323】
78. (i) 前記標的細胞、
(ii) 前記標的細胞溶解物、標的細胞膜、及び/若しくは標的細胞ゴースト、
(iii) 前記標的細胞洗浄液、
(iv) 前記標的細胞培養上清、又は
(v) (i)〜(iv)の組合わせ、を前記対象に局所に投与し、かつ
(i) 前記RBC、
(ii) 前記RBC溶解物、RBC膜、及び/又はRBCゴースト、
(iii) 前記細胞洗浄液、
(iv) 前記培養上清、又は
(v) (i)〜(v)の組合わせ、を該対象に全身又は局所に投与する、例76又は77記載の方法
。
【0324】
79. 前記対象が、哺乳動物対象、ヒト対象、又は両方である、例74〜78の1以上記載の方
法。
【0325】
80. 前記対象が、組織損傷、癌、炎症性疾患若しくは状態、又は免疫障害に罹患している
、例74〜80の1以上記載の方法。
【0326】
81. 前記RBC及び/又は前記標的細胞を、前記対象から取得する、例68〜80の1以上記載の
方法。
【0327】
82. 前記RBC及び/又は前記標的細胞を、前記対象からは取得しない、例68〜80の1以上記
載の方法。
【0328】
83. 前記処理が:
前記赤血球をプロテアーゼ阻害剤と接触させること、
該赤血球を抗凝固剤と接触させること、
該赤血球を溶解させること、
該赤血球を剪断応力にさらすこと、
該赤血球を酸素で処理すること、
該赤血球から酸素を奪うこと、の1以上を含む、例60〜82の1以上記載の方法。
【0329】
84. 前記プロテアーゼ阻害剤が:アプロチニン、ロイペプチン、α2-マクログロブリン、
アンチパイン二塩酸塩、カルパイン阻害因子I、カルパイン阻害因子II、キモスタチン、T
LCK(CAS 131918-97-3)、トリプシン阻害因子、Pefabloc SC(Roche)、PMSF(C6H5CH2S
O2F - Thermo Fisher Scientific)、cOmpleteプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)、
又はそれらの組合わせからなる群から選択される、例83記載の方法。
【0330】
85. 前記抗凝固剤が:ヘパリン、クエン酸塩、酸性クエン酸デキストロース、EDTA、及び
それらの組合わせからなる群から選択される、例83記載の方法。
【0331】
86. 前記標的タンパク質が:サイトカイン、ケモカイン、又は成長因子の1以上である、
例60〜85の1以上記載の方法。
【0332】
87. 前記標的タンパク質が、炎症性サイトカイン又は炎症性ケモカインである、例60〜86
の1以上記載の方法。
【0333】
88. 前記標的タンパク質のレベルが増加する、例60〜87の1以上記載の方法。
【0334】
89. 前記標的タンパク質が:CTACK、GRO-α、βFGF、G-CSF、CM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN
-γ、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2rα、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL
-10、IL-12-40、IL-12p70、IL-13、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IP-10、LIF、MCP-1、M
-CSF、MIF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、β-NGF、PDGF-bb、RANTES、SDF-1α、TNF-α、TNF-
β、TRAIL、VEGF、及びそれらの組合わせからなる群から選択される、例88記載の方法。
【0335】
90. 前記標的タンパク質のレベルが低下する、例60〜87の1以上記載の方法。
【0336】
91. 前記標的タンパク質が:IFN-α2、IFN-γ、IL-1β、IL-8、IL-9、IL-12p70、IL-16、
IL-17、IL-18、MIF、TNF-α、IL-2rα、IL-4、CTACK、GRO-α、IL-18、MCP-1、MIP-1 GRO
-α、MIP-1β、RANTES、SDF-1α、βFGF、G-CSF、GM-CSF、HGF、IL-3、IP-10、M-CSF、PD
FG-bb、VEGF、IL-2、IL-6、IL-12p40、及びそれらの組合わせからなる群から選択される
、例90記載の方法。
【0337】
92. 前記方法を補助療法として使用する、例60〜91の1以上記載の方法。
【0338】
93. 前記方法を、組織損傷、癌、炎症性疾患若しくは状態、及び/又は免疫障害の治療の
補助療法として使用する、例92記載の方法。