【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る発電装置は、
風車ロータと、
前記風車ロータを支持するタワーと、
前記タワーの下部の周囲又は前記タワーが立設される土台構造の周囲に設けられ、太陽熱により空気を加温するように構成された集熱部と、
前記集熱部からの空気を前記タワーの内部に取り入れるための空気導入部と、
前記空気導入部よりも上方に設けられ、前記タワーの内部の空気を外部へ排出するための空気排出部と、
前記集熱部から前記空気導入部を通って前記空気排出部に向かう空気流により駆動されるように構成されたタービンと、
を備える。
【0008】
上記(1)の構成では、空気導入部と、空気排出部との間の空気流路として、一般的に背の高い風車タワーの内部空間を利用するので、空気導入部と、空気排出部との間に高低差を設けやすい。したがって、空気導入部における比較的高温の空気と、タワー外部における比較的低温の空気との間に生じる密度差に起因してタワー内部の比較的高温の空気に生じる浮力により、タワー内部を上昇する上昇気流を効率的に形成することができる。すなわち、集熱部から空気導入部を通ってタワー内部に導入され、タワー内部を上昇しながら空気排出部に向かう空気流を効率的に形成することができる。
また、上記(1)の構成では、集熱部をタワーの下部又は土台構造の周囲に設けたので、集熱部で加温した空気を、比較的下方に設けられる空気導入部に導入しやすくなり、このため、上述の空気流を効率的に形成することができる。
したがって、上記(1)の構成によれば、風車のタワーを有効利用して、集熱部から空気導入部を通って空気排出部に向かう空気流を効率的に形成できるとともに、この空気流によりタービンを駆動することができる。よって、上記(1)の構成によれば、効率的に発電を行うことができる。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記空気導入部が、前記タワーの下端部に設けられる。
【0010】
上記(2)の構成によれば、空気導入部をタワーの下端部に設けたので、空気導入部と空気排出部との高低差を大きくとりやすい。したがって、空気導入部における比較的高温の空気と、タワー外部における比較的低温の空気との間に生じる密度差を大きくしやすくなるため、タワー内部を上昇する上昇気流をより効率的に形成することができる。よって、集熱部から空気導入部を通って空気排出部に向かう空気流をより効率的に形成して、タービンを駆動することができる。
【0011】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
高さ方向における前記タワーの下端と前記タワーの上端との距離をHtとしたとき、前記空気排出部は、前記高さ方向において、前記下端を基準とした高さが0.8×Htの位置よりも上方に設けられる。
【0012】
上記(3)の構成によれば、風速が大きくなる比較的高所に空気排出部を設けたので、風車の周囲を流れる風によるエゼクター効果が得られやすくなり、これにより、タワー内部を上昇する上昇気流をより効率的に形成することができる。よって、集熱部から空気導入部を通って空気排出部に向かう空気流をより効率的に形成して、タービンを駆動することができる。
【0013】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記空気排出部は、前記タワーの上部における前記タワーの壁に設けられ、前記タワーの内部空間と外部空間とを連通させる出口開口を含む。
【0014】
上記(4)の構成によれば、タワーの壁に空気排出部としての出口開口を設けた比較的簡素な構成で、集熱部から空気導入部を通って出口開口(即ち空気排出部)に向かう空気流を形成することができ、これによりタービンを駆動することができる。
【0015】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記発電装置は、前記風車ロータを回転可能に支持するように構成されたナセルをさらに備え、
前記空気排出部は、前記ナセルの後部に設けられる。
【0016】
上記(5)の構成によれば、空気排出部をナセルの後部に設けたので、タワー内を上昇してきた空気流を、ナセルの内部を通過させてから外部に排出することができる。よって、ナセル内部を通過する空気流により、ナセルの内部に設置された機器を冷却することができる。このため、風車を効率的に運転することができる。
また、ナセルの後部は、通常、風車の周囲を流れる風の風下側に位置する。この点、上記(5)の構成によれば、ナセルの後部に設けた空気排出部を介して空気流を外部に排出するようにしたので、風車の周囲を流れる風により空気排出部の排気能力が低減されるのを抑制することができる。
【0017】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、
前記集熱部は、光透過性の材料で形成され、地面又は水面との間に空間を隔てて前記地面又は前記水面を覆うように設けられる屋根部を含む。
【0018】
上記(6)の構成によれば、光透過性の材料で形成された屋根部を含む比較的簡素な構成により、集熱部から空気導入部を通って空気排出部に向かう空気流を形成することができ、これによりタービンを駆動することができる。
【0019】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、
前記タービンは、軸方向に間隔をあけて配置された複数の円盤を有するロータを含み、前記複数の円盤の間の前記軸方向における隙間を流れる前記空気と、前記複数の円盤とのせん断力により駆動されるように構成される。
【0020】
上記(7)の構成によれば、複数の円盤と、複数の円盤の間を流れる空気とのせん断力により駆動されるタービンを採用したので、上記(1)の構成により形成される空気流(すなわち、集熱部から空気導入部を通って空気排出部に向かう空気流)の流量が少なく、比較的低圧であっても、気体の温度がある程度確保された低熱源の空気から効率的に発電を行うことができる。
【0021】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れかの構成において、
前記タービンは、前記タワーの壁の内部に設けられ、前記空気導入部から導入された空気は、前記壁の内部に設けられた流路を介して前記タービンに供給される。
【0022】
上記(8)の構成によれば、タービンと、タービンに空気を供給する流路とを、タワーの壁の内部に設けることができる。
【0023】
(9)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、
前記タービンは、前記タワーの壁の内部に設けられ、前記空気導入部から導入された空気は、前記壁の内部に設けられた流路を介して、前記タービンの径方向外側から径方向内側に向けて、前記複数の円盤の間の軸方向隙間に供給される。
【0024】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかの構成において、
前記発電装置は、
前記タービンにより駆動される発電機と、
前記発電機で生成した電力によって駆動されるように構成された補機と、
をさらに備える。
【0025】
上記(10)の構成によれば、上記(1)の構成により形成される空気流(すなわち、集熱部から空気導入部を通って空気排出部に向かう空気流)により駆動されるタービンを用いて生成した電力によって補機を駆動するようにしたので、風車ロータを含む風車を効率的に運転することができる。
【0026】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(10)の何れかの構成において、
前記土台構造は、少なくとも部分的に水上に設けられる基礎構造又は浮体構造である。
【0027】
上記(11)の構成によれば、風車ロータ及びタワーを含む風車は、水上に設けられる洋上風車であるので、風車の周囲に、集熱部を設けるための広い設置空間を確保しやすい。よって、風車の設置エリアを有効利用して集熱部を設けることで、上記(1)で述べたように、集熱部から空気導入部を通って空気排出部に向かう空気流を効率的に形成して、タービンを駆動することができる。