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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-156117(P2021-156117A)
(43)【公開日】2021年10月7日
(54)【発明の名称】先受け鋼管の継ぎ足し方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/04 20060101AFI20210910BHJP
【FI】
   E21D9/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-59860(P2020-59860)
(22)【出願日】2020年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(72)【発明者】
【氏名】坂根 一聡
(72)【発明者】
【氏名】樋口 晃輔
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC20
2D054FA07
2D054GA82
(57)【要約】
【課題】トンネルの掘進方向前方の地山に打ち込まれる先受け鋼管の継ぎ足しに際し、経験の浅い作業者であっても、打設済みの先受け鋼管に対する次打設の先受け鋼管の角度及び位置のずれを的確に判断可能にして、先受け鋼管の連結作業を効率化する。
【解決手段】複数のレーザー光源31をドリルジャンボ20のガイドセル23上にセットした次打設の先受け鋼管14の側方に互いに離して鋼管14と平行に配置する。これらレーザー光源31からレーザー光31aを照射し、各レーザー光31aが打設済みの先受け鋼管13の尾端13dの近傍位置に当たるように、次打設の先受け鋼管14の向きを調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの掘進方向前方の地山にドリルジャンボによって打ち込まれる先受け鋼管の継ぎ足し方法であって、
前記ドリルジャンボのガイドセル上にセットした次打設の先受け鋼管の側方に互いに離して前記次打設の先受け鋼管と平行に配置した複数のレーザー光源からレーザー光を照射し、
前記レーザー光が打設済の先受け鋼管の尾端の近傍位置に当たるように、前記次打設の先受け鋼管の向きを調整することを特徴とする先受け鋼管の継ぎ足し方法。
【請求項2】
前記レーザー光源を、前記次打設の先受け鋼管を保持するセントライザーの両側部にそれぞれ取り付けることを特徴とする請求項1に記載の継ぎ足し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばNATM(New Austrian Tunneling Method)工法によるトンネル施工の際の補助工法であるAGF(All Ground Fasten)工法における掘進方向前方の地山に打ち込まれる先受け鋼管の継ぎ足し方法に関し、詳しくは直前に打設した先受け鋼管の尾端に次打設(後続)の先受け鋼管を継ぎ足す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
NATM工法によってトンネルを構築する際は、例えばAGF工法による地山補強が行われる。AGF工法に用いる先受け鋼管は1本あたり3メートル程度の長さがある。これを4本程度順次一直線に継ぎ足しながら、掘進方向前方の地山に打ち込む。
【0003】
継ぎ足しの際は、次打設の先受け鋼管をドリルジャンボのガイドセルに据え付け、かつ打ち込み済みの先受け鋼管に対して一直線になるよう、ドリルジャンボを操作したうえで、直前に打ち込んだ先受け鋼管の尾端に次打設の先受け鋼管の先端を接続する。ところが、ドリルジャンボの操作員は、継ぎ足し場所から離れており、状況がはっきりとは分からない。このため、継ぎ足し場所に居る作業員と声や身振り手振りで合図を取りながら、ドリルジャンボを操作する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−121073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記作業員は、打ち込み済みの先受け鋼管に対する次打設の先受け鋼管の角度及び位置のずれを感覚又は勘で判断して合図を送っている。合図を受けた操作員も同様に感覚や勘でドリルジャンボを操作している。このため、操作員や作業員が不慣れな場合、連結作業の時間が長くかかってしまう。
本発明は、かかる事情に鑑み、経験の浅い作業者であっても、打ち込み済みの先受け鋼管に対する次打設の先受け鋼管の向きを的確に判断可能にして、先受け鋼管の連結作業を効率化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る方法は、トンネルの掘進方向前方の地山にドリルジャンボによって打ち込まれる先受け鋼管の継ぎ足し方法であって、
前記ドリルジャンボのガイドセル上にセットした次打設の先受け鋼管の側方に互いに離して前記次打設の先受け鋼管と平行に配置した複数のレーザー光源からレーザー光を照射し、
前記レーザー光が打設済の先受け鋼管の尾端の近傍位置に当たるように、前記次打設の先受け鋼管の向きを調整することを特徴とする。
レーザー光は、次打設の先受け鋼管の延長線に沿って照射される。したがって、地山面などにおけるレーザー光の照射スポットから、次打設の先受け鋼管の向きを容易に判断できる。これによって、次打設の先受け鋼管が、打設済の先受け鋼管に対して一直線に配置されるように、容易に調整でき、次打設の先受け鋼管を打設済の先受け鋼管の尾端に支障無く継ぎ足すことができる。
【0007】
前記レーザー光源を、前記次打設の先受け鋼管を保持するセントライザーの両側部にそれぞれ取り付けることが好ましい。
これによって、ガイドセル上の次打設の先受け鋼管を挟んでその両側にレーザー光源が配置される。したがって、次打設の先受け鋼管の延長線が2つのレーザー照射スポットどうしの中間を通る。このため、これら2つのレーザー照射スポットを目印にして、次打設の先受け鋼管を打設済の先受け鋼管に対して一直線に配置されるように容易に向き調整できる。
【0008】
複数のレーザー光源を、ドリルジャンボのガイドセル上にセットした次打設の先受け鋼管の周方向に互いに離して配置してもよい。
直前に打設された先受け鋼管又はその内部のロッドの尾端にターゲット部材を設けてもよい。前記ターゲット部材が、前記尾端を囲むターゲット板と、前記ターゲット板に設けられ、前記尾端の外周に着脱可能に取り付けられる取付部とを含んでいてもよい。
前記ガイドセル上にセットした次打設の先受け鋼管の管軸は、前記ドリルジャンボのドリフタの軸線と一致していることが好ましい。
【0009】
前記ターゲット板の主面には、前記所定位置を示す指標が表示されていることが好ましい。前記指標上にレーザー光が当たるように、次打設の先受け鋼管の角度及び位置を調整することで、次打設の先受け鋼管を打ち込み済みの先受け鋼管に対して一直線に配置できる。
前記所定位置ないしは指標の配置は、前記レーザー光源の配置と対応している。
前記指標が、前記ターゲット板の周方向に沿う環状の線であってもよい。前記指標となる環状の線の半径が、前記ガイドセル上にセットした次打設の先受け鋼管の管軸ひいては前記ドリルジャンボのドリフタの軸線から前記レーザー光源までの距離と対応していてもよい。
前記主面を同心円状に色分けし、前記所定位置が含まれる円部分を前記指標としてもよい。
【0010】
前記取付部が、前記ターゲット板の外周縁の一箇所から前記中央部へ向かう切り欠き部を含むことが好ましい。これによって、ターゲット部材を先受け鋼管に対して容易に着脱できる。直前の先受け鋼管に次打設の先受け鋼管を接続した後でもターゲット部材を外すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、経験の浅い作業者であっても、次打設の先受け鋼管の向きを的確に判断でき、打設済の先受け鋼管との連結作業を効率化できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1実施形態を示し、施工中のトンネルの断面図である。
図2図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。
図3図3は、本発明の第2実施形態を示し、次打設の先受け鋼管の断面図である。
図4図4は、本発明の第3実施形態を示し、次打設の先受け鋼管の断面図である。
図5図5は、本発明の第4実施形態を示し、施工中のトンネルの断面図である。
図6図6は、図5のVI−VI線に沿う断面図である。
図7図7は、図6における分解断面図である。
図8図8は、本発明の第5実施形態を示し、レーザー照射装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(図1図2)>
図1は、NATM工法によって構築施工中の山岳トンネル1を示したものである。補助工法としてAGF工法が実施されることで、掘進前方(図1において左方)の地山2に長尺先受け鋼管10が打ち込まれている。長尺先受け鋼管10は、先端部がトンネル1の径方向外側へ向くようトンネル軸線に対して少し斜めになっている。詳細な図示は省略するが、長尺先受け鋼管10は、トンネル軸線に沿って一定スパン置きに、かつ各スパンあたりトンネル周方向に間隔を置いて多数配置されている。図では、打設中の1つの長尺先受け鋼管10のみを図示する。
【0014】
長尺先受け鋼管10は、複数本(例えば4本)の先受け鋼管11,12,13,14を一直線に連ねることによって構成されている。打ち込み済みの先受け鋼管11,12,13のうち直前に打ち込まれた先受け鋼管13の尾端13dに、次打設の先受け鋼管14の先端14eが連結されて継ぎ足される。
なお、長尺先受け鋼管10の内部には削孔用のロッド19(19A〜19D)が挿通されている。ロッド19も先受け鋼管11〜14と同様に継ぎ足される。先頭のロッド19Aが、長尺先受け鋼管10の先端の削孔ビット18に駆動力を伝達可能かつ分離可能に接続されている。
【0015】
直前の先受け鋼管13の尾端13dは、地山2からトンネル1内に突出されている。
次打設の先受け鋼管14は、ドリルジャンボ20(掘削機)に搭載されている。ドリルジャンボ20は、機体21と、該機体21から延びるブーム22と、ブーム22の先端部に設けられた直線状のガイドセル23と、ガイドセル23に沿って進退可能なドリフタ24(回転打撃装置)と、セントライザー25,26を備えている。
【0016】
ガイドセル23の先端部にセントライザー25が設けられている。ガイドセル23の中間部にサブセントライザー26が設けられている。図2に示すように、サブセントライザー26は、一対の凸板部26aと、これら凸板部26aの底部どうしを連結する底板部26bを有し、正面視で凹字状の鋼板によって構成されている。一対の凸板部26aと底板部26bとによって、鋼管保持凹部26cが形成されている。鋼管保持凹部26cは、サブセントライザー26の上縁の中央部に達している。
図示は省略するが、先端のセントライザー25は、サブセントライザー26と同様の形状、構造を有している。
【0017】
ガイドセル23上に次打設の先受け鋼管14がセットされている。次打設の先受け鋼管14は、前後のセントライザー25,26の鋼管保持凹部に収容されて保持されている。
ガイドセル23上の次打設の先受け鋼管14は、ドリフタ24の駆動軸24cの軸線の延長上に配置されており、該次打設の先受け鋼管14の軸線L14は、ドリフタ24の駆動軸24cの軸線と一致している。詳細な図示は省略するが、先受け鋼管14内のロッド19Dがドリフタ24の駆動軸24cに接続される。
【0018】
図2に示すように、先受け鋼管13,14どうしの継ぎ足しには、作業を補助するために継ぎ足し補助システム3が用いられる。継ぎ足し補助システム3は、レーザー照射装置30と、サブセントライザー26とによって構成されている。レーザー照射装置30は、2つ(複数)のレーザー光源31と、レーザー光源31ごとに設けられた取付治具33とを含む。
【0019】
レーザー光源31としては例えば市販のレーザーポインターを用いることができる。各レーザー光源31の側部に取付治具33が設けられている。取付治具33によって、レーザー光源31がサブセントライザー26に取り付けられている。取付治具33は、一対の挟持部とこれら挟持部をバネ力で閉るバネを含むクリップでもよく、マグネット式でもよく、ネジを回して固定する方式でもよい。
【0020】
サブセントライザー26の両側部の一対の凸板部26aにそれぞれレーザー光源31が取り付けられている。したがって、次打設の先受け鋼管14を挟んで両側にレーザー光源31が配置されている。2つのレーザー光源31は、次打設の先受け鋼管14の側方に互いに離れて、次打設の先受け鋼管14と平行に配置されている。各レーザー光源31の光軸が、次打設の先受け鋼管14の軸線L14と平行に向けられている。好ましくは、2つのレーザー光源31の光軸のちょうど中間に、次打設の先受け鋼管14の軸線L14が配置されている。
【0021】
先受け鋼管14の継ぎ足し作業は、次のようにして行われる。
作業員Bは、次打設の先受け鋼管14をセントライザー25,26に保持させるようにして、ガイドセル23に設置する。サブセントライザー25には一対のレーザー光源31を取り付け、各レーザー光源31からレーザー光を照射させる。
その後、操作員Aが、ブーム22及びガイドセル23を操作することで、先受け鋼管14を、打設済の先受け鋼管13とある程度一直線になるように向ける。すると、各レーザー光源31からのレーザー光31aが先受け鋼管13の尾端13dの近くの地山面に照射される。地山面には、2つのレーザー光源31による2つのレーザー照射スポットが形成される。
【0022】
レーザー光31aは、次打設の先受け鋼管14の軸線L14の延長線と平行であるから、作業者Bは、地山面のレーザー照射スポットから、次打設の先受け鋼管14の向きを容易に判断できる。さらに、次打設の先受け鋼管14の軸線L14の延長線が2つのレーザー照射スポットどうしの中間を通るから、作業者Bは、次打設の先受け鋼管14の向きを一層正確に把握できる。したがって、2つのレーザー照射スポットを目印にして、次打設の先受け鋼管14を打設済の先受け鋼管13に対して一直線に配置されるように容易に向き調整できる。
作業員Bは、2つのレーザー照射スポットが、打設済の先受け鋼管13の尾端13dを挟んで両側に配置されるようになる方向を操作員Aに発声や身振り手振りで示す。
【0023】
要するに、作業員Bは、レーザー光31aの照射スポットを見ることで、次打設の先受け鋼管14が打設済の先受け鋼管13に対して、どの角度にどの程度位置ずれしているかを容易に判断できる。格別な経験や技能は必要としない。したがって、経験の浅い作業員Bであっても、ずれが解消される方向を操作員Aに的確に指示することができる。
操作員Aは、指示に基づいてブーム22及びガイドセル23を操作し、先受け鋼管14の角度及び位置を調整する。このようにして、調整作業を楽に行う事ができる。
【0024】
地山面の2つのレーザー照射スポットが、打設済の先受け鋼管13の尾端13dを挟んで両側に配置されるようになったとき、次打設の先受け鋼管14が打設済の先受け鋼管13に対して一直線に並ぶ。これによって、作業員Bは、先受け鋼管14を先受け鋼管13に支障無く継ぎ足すことができる。ロッド19C,19Dどうしの継ぎ足しも容易に行うことができる。このようにして、簡易な構成の継ぎ足し補助システム3を用いて、継ぎ足し作業を効率的に短時間で行うことができる。
その後、操作員Aの操作によってドリルジャンボ20のドリフタ24を駆動し、長尺先受け鋼管10の打ち込み作業を再開する。ドリフタ24の駆動時には、レーザー光源31をサブセントライザー25から取り外すことにしてもよい。
【0025】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態(図3)>
図3に示すように、第2実施形態においては、3つのレーザー光源31が、ガイドセル23上の次打設の先受け鋼管14の外周面の周方向に互いに離れて配置されている。ひいては、これらレーザー光源31が、軸線L14のまわりに互いに離れて配置されている。各レーザー光源31は、取付治具33Bを介して先受け鋼管14に着脱可能に取り付けられている。取付治具33Bは、例えばマグネット式であるが、これに限らず、クランプ式(第3実施形態(図4)参照)やネジ締め式であってもよい。各レーザー光源31のレーザー照射方向は、軸線L14と平行に打ち込み方向へ向けられている。
【0026】
第2実施形態においては、3つのレーザー照射スポットどうしの中間位置に打設済の先受け鋼管13の尾端13dが配置されるようにすることで、次打設の先受け鋼管14が、打設済の先受け鋼管13に対して一直線に並ぶようにでき、これら鋼管13を確実に継ぎ足すことができる。
【0027】
<第3実施形態(図4)>
図4に示すように、第3実施形態においては、ドリルジャンボのガイドセル上にセットした次打設の先受け鋼管14へのレーザー光源31の取り付け手段として、クランプ式の取付治具50が用いられている。
【0028】
取付治具50は、一対のクランプ部材51と、これらクランプ部材51の開閉機構52を含む。各クランプ部材51は、鋼管14の外周に沿う概略円弧状に形成されており、上端部(連結端部)が連結部材53に回転可能に連結されている。開閉機構52は、軸部材54と、一対のリンク部材55を含む。ボルトからなる軸部材54にナットからなる前記連結部材53が螺合されている。リンク部材55は、軸部材54の下端部(基端部)のベース部材56に回転可能に連結されるとともに、対応するクランプ部材51の中間部にスライド可能に連結されている。軸部材54の上端部(先端部)のレバー57を回すことで、連結部材53が昇降され、リンク部材55のリンク作用によって、一対のクランプ部材51どうしが開閉される。
【0029】
図6の二点鎖線にて示すように、一対のクランプ部材51を開状態にすることで、取付治具50を鋼管14から分離できる。
図6の実線にて示すように、一対のクランプ部材51を閉状態にすることで、これらクランプ部材51の先端部(下端部)及びベース部材56が、次打設の鋼管14の周方向に離れた3箇所に当たり、取付治具50が次打設の鋼管14に取り付けられる。
【0030】
ベース部材56と、一対のクランプ部材51の先端部とにレーザー光源31が設けられている。したがって、1つの取付治具50を次打設の鋼管14に取り付けることで、同時に、3つ(複数)のレーザー光源31を次打設の鋼管14の周りに設置することができる。
クランプ部材51の開閉操作によって、取付治具50を次打設の鋼管14に簡単に着脱できる。
【0031】
<第4実施形態(図5図7)>
図5及び図6に示すように、本発明の第4実施形態においては、打設済の先受け鋼管13の尾端13dに、ターゲット部材40が着脱可能に設けられている。ターゲット部材40は、ターゲット板41と、取付部42を備えている。ターゲット板41は、概略円形ないしはU字形の平板状に形成されている。ターゲット板41の主面41aの所定位置には指標43が表示されている。指標43は、ターゲット板41と同心の円形(環状)になっている。指標43は、破線になっているが、実線であってもよい。円形をなす指標43の半径R43図4)は、先受け鋼管14の軸線L14ひいてはドリフタ24の軸線からレーザー光源31のレーザー光軸までの距離LD(図3参照)と等しい(R43=LD)。
【0032】
図6に示すように、主面41aは、同心円をなす2つ(複数)の環状領域41b,41cに区画されている。環状領域41b,41cごとに色分けされている。何れの環状領域41b,41cの色も、レーザー光31aが当てられたとき見易い色であることが好ましい。外周側の環状領域41bに指標43が配置されている。外周側の環状領域41bの全体が指標となっていてもよい。
【0033】
図7に示すように、ターゲット板41には、挿通孔42aと、切り欠き部42bが互いに一体に連なるように形成されている。これら挿通孔42a及び切り欠き部42bによって、ターゲット板41が先受け鋼管13に取り付けられるための取付部42が構成されている。
【0034】
挿通孔42aは、ターゲット板41の中央部に配置され、円形に形成されている。挿通孔42aの内径は、先受け鋼管13の外径と実質等しいか僅かに小さい。
図6に示すように、挿通孔42aに先受け鋼管13の尾端13dが挿通されている。ターゲット板41が先受け鋼管13の尾端13dを囲んでいる。好ましくは、挿通孔42aの内周縁が、先受け鋼管13の尾端13dの外周面に押し当てられている。これによって、ターゲット板41が先受け鋼管13から脱落しないように保持されている。
【0035】
切り欠き部42bは、ターゲット板41の外周縁の一箇所からターゲット板41の中央部へ向かって延び、挿通孔42aに連なっている。切り欠き部42bの幅は、挿通孔42aの内直径と等しい。
なお、切り欠き部42bの幅が、挿通孔42aの直径より若干小さくてもよい。
【0036】
先受け鋼管14の継ぎ足し作業は、次のようにして行われる。
例えば切羽側の作業員Bが、直前の先受け鋼管13の尾端13dの外周にターゲット部材40を取り付ける。ターゲット部材40を後方から先受け鋼管13に嵌めてもよく、ターゲット部材40を側方から先受け鋼管13の外周に嵌めてもよい。後方からのときは、先受け鋼管13を挿通孔42aに直接挿通できる。側方からのときは、先受け鋼管13を切り欠き部42bから挿通孔42aまで挿し入れる。
【0037】
さらに作業員Bは、ガイドセル23に次打設の先受け鋼管14を設置するとともに、該次打設の先受け鋼管14の外周にレーザー光源31を取り付ける。
作業員Bは、これらレーザー光源31のレーザー光31aがターゲット板41に当たるか否かを確認し、当たっていないときは、当たるようになる方向を操作員Aに発声や身振り手振りで示す。さらに、レーザー光31aがターゲット板41に単に当たるだけでなく、3つのレーザー光31aのすべてが指標43(所定位置)に当たるようになる方向を操作員Aに発声や身振り手振りで示す。
作業員Bは、レーザー光31aの当たる位置を見ることで、先受け鋼管13がどの角度にどの程度位置ずれしているかを容易に判断でき、操作員Aに的確に指示することができる。
操作員Aは、指示に基づいてブーム22及びガイドセル23を操作し、先受け鋼管14の角度及び位置を調整する。このようにして、調整作業を楽に行う事ができる。
【0038】
作業員Bは、次打設の先受け鋼管14を連結するのと前後して、次打設の先受け鋼管14からレーザー光源31及び取付治具33を取り外す。また、作業員Bは、ターゲット部材40を直前の先受け鋼管13から取り外す。先受け鋼管13,14どうしの連結後であっても、切り欠き部42bに先受け鋼管13を通すことによって、ターゲット部材40を先受け鋼管13の側方へ引き出して分離することができる。
その後、操作員Aの操作によってドリルジャンボ20を駆動し、長尺先受け鋼管10の打ち込作業を再開する。
【0039】
<第5実施形態(図8)>
図8に示すように、本発明の第5実施形態においては、複数(図では3つ)のレーザー光源31をオンオフするための入切操作部32が設けられている。作業員Bが、次打設の先受け鋼管14の向き調整する際に、入切操作部32によってレーザー光源31をオンし、向き調整後、入切操作部32によってレーザー光源31をオフできる。
【0040】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、レーザー光源31の数は、2つ又は3つに限らず、4つ以上でもよい。
レーザー光源31が、ドリフタ24に対して着脱又は固定できるようになっていてもよい。
ターゲット部材40が、打ち込み済み先受け鋼管13の内に通されたロッド19Cの尾端に取り付けられてもよい。ターゲット部材40の挿通孔42aの内直径がロッド19Cの外直径と実質等しいか僅かに小さくてもよい。
ターゲット部材40の取付部が、直前の先受け鋼管13の尾端13d又はロッド19Cの尾端に弾性的に押し当てられるバネ部ないしはクリップ部を有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、例えばNATMトンネルの施工に適用できる。
【符号の説明】
【0042】
14 軸線
1 山岳トンネル
2 地山
10 長尺先受け鋼管
13 直前に打ち込まれた先受け鋼管
13d 尾端
14 次打設の先受け鋼管
14e 先端
19(19A〜19D) ロッド
20 ドリルジャンボ(掘削機)
22 ブーム
23 ガイドセル
24 ドリフタ(回転打撃装置)
24c 駆動軸
25 セントライザー
26 サブセントライザー
26a 凸板部
26b 底板部
26c 鋼管保持凹部
3 継ぎ足し補助システム
30 レーザー照射装置
31 レーザー光源
31a レーザー光
32 入切操作部
33 取付治具
33B 取付治具
40 ターゲット部材
41 ターゲット板
41a 主面
41b 外周領域
41c 内周領域
42 取付部
42a 挿通孔
42b 切り欠き部
43 指標
50 取付治具
51 クランプ部材
52 開閉機構
53 連結部材
54 軸部材
55 リンク部材
56 ベース部材
57 レバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8