特開2021-156506(P2021-156506A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2021156506-冷水装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-156506(P2021-156506A)
(43)【公開日】2021年10月7日
(54)【発明の名称】冷水装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20210910BHJP
   F24F 11/86 20180101ALI20210910BHJP
   F24F 11/41 20180101ALI20210910BHJP
【FI】
   F25B1/00 399Y
   F24F11/86
   F24F11/41 240
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2020-57690(P2020-57690)
(22)【出願日】2020年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
(72)【発明者】
【氏名】大西 和樹
(72)【発明者】
【氏名】城迫 駿
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB06
3L260BA36
3L260CB37
3L260EA07
3L260FB02
3L260FB26
(57)【要約】
【課題】冷凍機で冷却した冷媒を使用して水の冷却を行うようにしている冷水装置であって、熱交換器での凍結を確実に検出し、凍結発生時には凍結を解除する動作を行うことで冷水の供給が行えるようにする。
【解決手段】冷凍機3で冷却した冷媒を循環させる冷媒循環路9の部分と、冷媒体と熱交換器を行う冷水循環路8の部分からなる冷水装置において、熱交換器2の熱交換器入口冷水温度検出装置10と熱交換器出口冷水温度検出装置11を設置しておき、冷水入口と冷水出口の温度差が一定値未満となった場合、熱交換器の凍結と判断する。冷水循環路9には熱交換器の前後を繋いだ迂回路13を設置しておき、凍結判断時には、冷凍機運転を停止した状態で、熱交換器と迂回路13の間で冷水の循環を行い、凍結の解除を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍機を持ち冷凍機で冷却した冷媒を循環させる冷媒循環路の部分と、水槽を持ち水槽にためた水を熱交換器との間で循環させる冷水循環路の部分からなる冷水装置であって、冷水循環路には冷水循環ポンプを設置しておき、冷媒循環路の冷媒と冷水循環路の冷水は、前記熱交換器を通すことで冷媒によって冷水の冷却を行い、熱交換器で冷却した冷水は水槽に戻した後に冷水使用場所へ冷水を供給している冷水装置において、前記冷水循環路の熱交換器の一次側に熱交換器入口冷水温度検出装置、熱交換器の二次側に熱交換器出口冷水温度検出装置を設置し、冷水循環路の前記冷水循環ポンプ設置位置よりも水槽側には、冷水循環路の熱交換器の前後を繋ぐ迂回路を設置しておき、前記熱交換器入口冷水温度検出装置で検出している熱交換器の冷水入口温度と、前記熱交換器出口冷水温度検出装置で検出している熱交換器の冷水出口温度は、冷水装置の運転を制御する制御装置へ出力しており、冷凍機の圧縮機運転中において冷水入口温度と冷水出口温度の温度差が一定値未満となった場合、冷凍機の圧縮機運転を停止し、熱交換器と迂回路の間で冷水の循環を行うことを特徴とする冷水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機によって冷却した冷媒体を冷凍機と熱交換器の間で循環する冷媒循環路と、水槽にためた冷水を水槽と熱交換器の間で循環する冷水循環路を持ち、熱交換器で冷媒体によって冷水の冷却を行うことで冷水を製造している冷水装置であって、熱交換器の凍結を確実に検出し、凍結発生時には凍結を解除する動作を行うことでのできる冷水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2007−292351号公報に記載があるように、冷凍機で冷却した冷媒と熱交換を行うことで冷水を発生する冷水装置が知られている。この冷凍機を用いた冷水装置では、冷凍機によって冷却した冷媒を循環する冷媒循環路と、水槽にためておいた水を熱交換器との間で循環させる冷水循環路を設置する。冷媒循環路と冷水循環路は、それぞれ熱交換器に接続しておき、熱交換器において、冷媒循環路の冷媒と冷水循環路の冷水の間で熱交換を行うようにしており、冷凍機で冷却した冷媒によって冷水循環路の水を冷却し、冷却した冷水は水槽に戻す。
【0003】
水槽と熱交換器の間を繋ぐ冷水循環路では、冷水の循環を行うことによって熱交換器で冷水の冷却を行い、冷却した冷水を水槽に戻すことで水槽にためている冷水の温度を低下させる。
【0004】
熱交換器に低温の冷媒を供給する冷凍機では、圧縮・凝縮・膨張・蒸発の冷凍サイクルで冷媒を冷却する。
【0005】
特開2007−292351号公報に記載があるように、熱交換器出口水温が設定値以下になると圧縮機をOFFにして凍結を防止している。しかし、循環流量の低下や外気温・冷媒温度等によって凍結する温度が変動するため、熱交換器出口水温の検出では凍結を正しく判断できないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−292351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、冷凍機で冷却した冷媒を使用して水の冷却を行うようにしている冷水装置であって、熱交換器での凍結を確実に検出し、凍結発生時には凍結を解除する動作を行うことで冷水の供給が行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、冷凍機を持ち冷凍機で冷却した冷媒を循環させる冷媒循環路の部分と、水槽を持ち水槽にためた水を熱交換器との間で循環させる冷水循環路の部分からなる冷水装置であって、冷水循環路には冷水循環ポンプを設置しておき、冷媒循環路の冷媒と冷水循環路の冷水は、前記熱交換器を通すことで冷媒によって冷水の冷却を行い、熱交換器で冷却した冷水は水槽に戻した後に冷水使用場所へ冷水を供給している冷水装置において、前記冷水循環路の熱交換器の一次側に熱交換器入口冷水温度検出装置、熱交換器の二次側に熱交換器出口冷水温度検出装置を設置し、冷水循環路の前記冷水循環ポンプ設置位置よりも水槽側には、冷水循環路の熱交換器の前後を繋ぐ迂回路を設置しておき、前記熱交換器入口冷水温度検出装置で検出している熱交換器の冷水入口温度と、前記熱交換器出口冷水温度検出装置で検出している熱交換器の冷水出口温度は、冷水装置の運転を制御する制御装置へ出力しており、冷凍機の圧縮機運転中において冷水入口温度と冷水出口温度の温度差が一定値未満となった場合、冷凍機の圧縮機運転を停止し、熱交換器と迂回路の間で冷水の循環を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明を実施することで、熱交換器での凍結を確実に検出し、凍結発生時には凍結を解除する動作を行うことで冷水の供給ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る冷水装置の概略構成を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明に係る冷水装置の概略構成を示すフロー図である。本発明の冷水装置は、冷凍機3で冷却した冷媒を用いて冷水を製造して供給するものであり、冷媒を循環する冷媒循環路9の部分と、水を冷却する冷水循環路8の部分からなる。冷媒循環路9は冷凍機3で冷却した冷媒を冷凍機3と熱交換器2との間で循環し、冷水循環路8は水槽1にためている冷水を水槽1と熱交換器2との間で循環する。
【0012】
熱交換器2では、一方の側で流れる冷媒と、他方の側で流れる冷水の間で熱交換を行うようにしており、冷凍機3で冷却した冷媒によって冷水の温度を低下させる。冷水循環路8には冷水循環ポンプ5を設けており、冷水循環ポンプ5よりも水槽1の側に迂回路13と三方弁14を設置している。水槽1にためる冷水の冷却を行う場合、三方弁14は迂回路13側を閉鎖し、水槽1と熱交換器2の間で冷水が循環するようにし、水槽1から取り出した冷水を熱交換器2へ送り、熱交換器で冷却した冷水は水槽1へ戻す。冷水を冷水使用箇所へ供給する場合は、水槽1に接続している給水配管途中の送水ポンプ7を作動することで、水槽1から冷水を取り出して冷水使用箇所へ冷水を供給する。
【0013】
水槽1には水位検出装置4を設置しており、水位検出装置4は高い側から順にH水位、M水位、L水位、LL水位での水の有無を検出することで水槽1内の水位を検出する。H水位以上は補給水の供給を停止する水位、M水位以上H水位未満は補給水の供給を行う水位であるが、特定条件時には補給水の供給は行わない水位、L水位以上M水位未満は補給水の供給を行う水位であって、前記特定条件時にも補給水の供給を行う水位、LL水位以上L水位未満は補給水の急速供給を行う水位、LL水位未満は水位異常として冷水装置の運転を停止させる水位としている。
【0014】
また、冷水温度を検出するための温度検出装置を複数設置している。冷水循環路8の熱交換器入口部分に熱交換器入口冷水温検出装置10、冷水循環路8の熱交換器出口部分に熱交換器出口冷水温検出装置11、水槽1に水槽内冷水温検出装置12を設置する。これらの温度検出装置で検出した温度と水位検出装置4で検出した水位の情報は、冷水装置の運転を制御する制御装置6へ出力するようにしており、制御装置6では温度と水位の情報に基づいて冷水装置の運転を制御する。
【0015】
水槽1への補給水の供給は、通常給水弁15と急速給水弁16を通して供給するようにしている。通常給水弁15は通常の給水を行う際に使用する給水弁、急速給水弁16は通常給水よりも大容量の給水を行う際に使用する給水弁であり、通常給水と急速給水の2段階での給水が行えるようにしている。
【0016】
冷却運転では、冷凍機3を作動し、冷凍機3と熱交換器2の間で冷媒の循環を行うとともに、冷水循環ポンプ5を作動することで水槽1と熱交換器2の間でも冷水の循環を行う。冷凍機3で冷却した冷媒を熱交換器2へ供給している状態で、冷水循環路8でも冷水の循環を行うと、熱交換器2では冷媒と冷水の間で熱交換が行われ、冷媒によって冷水の冷却が行われる。水槽1と熱交換器2の間での冷水の循環を繰り返し行うことで、水槽1内の温度は低下していく。
【0017】
熱交換器の出口側に設置している熱交換器出口冷水温検出装置11で検出している熱交換器出口の冷水温度が冷却停止温度以下になると、冷媒循環路9での冷媒循環と冷水循環路8での冷水循環を停止し、冷凍機の運転を停止する。また、水槽内冷水温検出装置12で検出している水槽内水温が循環ポンプ起動温度以上になると、冷水循環ポンプ5の運転を開始して冷水の循環を開始する。
【0018】
そして熱交換器出口冷水温検出装置11で検出している熱交換器出口冷水温度が冷却再開温度以上になると冷媒の循環を開始し、冷凍機の運転を再開する。なお、冷凍機では頻繁な発停を防止するため、圧縮機保護制御を行うようにしている。圧縮機保護制御では、圧縮機運転信号がOFFとなってから、「圧縮機保護時間」が経過するまでは冷凍機の運転は再開させず、圧縮機保護時間が経過した以降に冷凍機の運転を再開させる。そのため、水槽内冷水温検出装置12で検出している水槽内冷水温が循環ポンプ起動温度以上となり、冷水循環ポンプ5の運転を開始しても、「圧縮機保護時間」が経過するまでは、冷凍機の運転は再開しない。
【0019】
制御装置6では、水位検出装置4で検出する水槽1内の水位に基づいて、水槽1への補給水の供給を制御する。水槽内水位がH水位より高い場合は、給水を行う必要はなく、通常給水弁15及び急速給水弁16はOFFとしておく。水槽内の水位が低下し、水槽内水位がH水位未満になると、通常給水弁15をONとして水槽への補給水の供給を行うのであるが、水槽内水位がM水位以上でH水位未満の場合、一定の条件を満たす場合には給水を行い、条件を満たさない場合は給水を行わないものとしている。ここでの条件は、水槽内の冷水温度と冷凍機の運転状況であり、制御装置6では水槽内冷水温検出装置12からの情報と、冷凍機に対する圧縮機保護運転の状態を検出して給水の制御を行う。給水は、水槽内冷水温度が給水開始温度以下であり、かつ圧縮機保護制御中ではない場合に通常給水弁15をONとするものとしており、水槽内冷水温度が給水停止温度以上または圧縮機保護制御中の場合は、通常給水弁15をOFFとし水槽への補給水の供給は行わない。
【0020】
水槽内冷水温度が低い場合には、補給水の供給によって水槽内冷水温度が少し上昇しても水槽内水温が所定温度以下で維持できている間は所定温度の冷水を供給することができるが、水槽内冷水温度が高い状態で温度の高い補給水を水槽へ供給すると、水槽内の冷水温度が高くなってしまい、所定温度以下の冷水を冷水使用箇所へ供給するということができなくなる。また、圧縮機保護制御中である場合、補給水の供給を行うことで水槽内の水温が上昇しても、冷凍機の運転は行えないために冷水を冷却することができず、この場合も水槽内の冷水温度が高くなってしまい、所定温度以下の冷水を冷水使用箇所へ供給するということができなくなる。
【0021】
そのために水槽1内の水位がM水位以上でH水位未満である貯水量が比較的多い場合には、上記条件を満たさなければ水槽への補給水の供給は行わないこととしている。水槽への補給水の供給を行わないことで、水槽内にためている冷水の温度が補給水によって上昇することがなくなる。圧縮機保護制御中は冷水の冷却を行うことはできないが、その間は補給水の供給を停止することによって水槽内冷水の温度上昇を防止し、所定温度の冷水を供給し続けることができるようにする。
【0022】
ただし、給水を行わないことによって水槽1内の水位がさらに低下し、水槽内水位がL水位以上でM水位未満となった場合は、上記の条件に関係なく給水を行う。水槽内の貯水量が足りなくなると、冷水装置の運転を行うことができなくなるため、給水を行って水量が不足になる事態を防止する。ここで給水を行う場合、給水量が比較的少ない通常給水弁15を開くことによる通常給水を行う。通常給水を行っても水槽1内の水位がさらに低下し、水槽内水位がLL水位以上でL水位未満となった場合は、給水量が比較的多くなる急速給水弁16を開くことで急速給水を行い、より多くの給水を行う。
【0023】
なお、上記では水槽内冷水温検出装置12で検出している水槽内の冷水温に基づいて制御を行うとしたが、熱交換器出口冷水温検出装置11で検出している冷水循環路8での冷水温に基づいて制御を行っても良い。水槽内水位がM水位以上でH水位未満の場合、熱交換器出口での冷水温度が給水開始温度以下であり、かつ圧縮機保護制御中ではない場合に通常給水弁15をONとするものとし、熱交換器出口での冷水温度が給水停止温度以上または圧縮機保護制御中の場合は、通常給水弁15をOFFとし水槽への補給水の供給は行わない制御を行うものであってもよい。水槽内冷水温検出装置12に異常が発生した場合でも、熱交換器出口冷水温検出装置11に基づいて上記制御を行い、補給水の供給を停止することによって水槽内冷水の温度上昇を防止することで、所定温度の冷水を供給し続けることができる。
【0024】
また制御装置6では、熱交換器入口冷水温検出装置10で検出している熱交換器の冷水入口温度と、熱交換器出口冷水温検出装置11で検出している熱交換器の冷水出口温度の差を検出し、冷水入口と冷水出口の温度差が一定値未満となった場合、凍結防止運転制御を行う。凍結防止運転制御では、三方弁14で迂回路13側を開き、冷水循環ポンプ5をONとする。三方弁14で迂回路13側を開くと、三方弁14では迂回路13と熱交換器2側が繋がり、水槽1側は閉じる。この状態で冷水循環ポンプ5の作動を行うと、迂回路13と熱交換器2の間で冷水の循環が行われる。
【0025】
冷却運転中に熱交換器2の冷水側で氷が発生すると、冷媒が流れる伝熱管から冷水への熱伝達が低下し、冷水の入口−出口間の温度差は小さくなる。凍結温度は循環流量や外気温等で変化するが、凍結発生時の冷水入口−出口間温度差低下は凍結時に発生するため凍結の発生を判断することができる。凍結検出時には冷水循環ポンプ5を作動して迂回路13と熱交換器2の間で冷水の循環を行うと、循環によって冷水の温度は上昇するため、氷を溶かすことができる。凍結防止運転制御は、水槽水位がLL水位未満、熱交換器出口冷水温度が冷却再開温度以上のいずれかを満たすと、凍結防止運転を終了する。
【0026】
なお、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 水槽
2 熱交換器
3 冷凍機
4 水位検出装置
5 冷水循環ポンプ
6 制御装置
7 送水ポンプ
8 冷水循環路
9 冷媒循環路
10 熱交換器入口冷水温検出装置
11 熱交換器出口冷水温検出装置
12 水槽内冷水温検出装置
13 迂回路
14 三方弁
15 通常給水弁
16 急速給水弁
図1