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特開2021-158504電波伝播測定装置とその同期信号探索方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-158504(P2021-158504A)
(43)【公開日】2021年10月7日
(54)【発明の名称】電波伝播測定装置とその同期信号探索方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/08 20090101AFI20210910BHJP
   H04B 17/309 20150101ALI20210910BHJP
   H04W 16/18 20090101ALI20210910BHJP
   H04W 56/00 20090101ALI20210910BHJP
【FI】
   H04W24/08
   H04B17/309
   H04W16/18
   H04W56/00 130
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-56443(P2020-56443)
(22)【出願日】2020年3月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】平岩 英造
(72)【発明者】
【氏名】小野 純
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA41
5K067CC02
5K067DD02
5K067DD25
5K067EE10
5K067EE32
5K067EE64
5K067LL08
(57)【要約】
【課題】SSBを探索する箇所を絞ることにより、SSBを探索する処理時間を短縮させることができる電波伝播測定装置を提供すること。
【解決手段】設定された測定対象となる無線信号の周波数範囲のSSBが配置される箇所についてSSBの探索を行ない、SSBが存在しないと判定した場合には、探索された周波数からSSBが無いことが確実な周波数範囲についてSSBの探索を行なわず、次のSSBが配置される箇所についてSSBの探索を行なうSSB探索処理を行ない、測定対象となる無線信号の周波数範囲にSSBが無ければ、アッテネータ部の減衰量を変更して再度SSB探索処理を行なう無線受信部10を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局(2)からの無線信号の伝播状態を測定する電波伝播測定装置(1)であって、
設定された測定対象となる無線信号の周波数範囲のSSBが配置される箇所についてSSBの探索を行ない、SSBが存在しないと判定した場合には、探索された周波数からSSBが無いことが確実な周波数範囲についてSSBの探索を行なわず、次のSSBが配置される箇所についてSSBの探索を行なうSSB探索処理を行なう無線受信部(10)を備える電波伝播測定装置。
【請求項2】
前記無線受信部は、少なくともSSBの周波数帯域幅の半分を、前記SSBが無いことが確実な周波数範囲とする請求項1に記載の電波伝播測定装置。
【請求項3】
前記無線受信部は、SSBの周波数帯域幅の半分にオフセット値を加えた周波数帯域幅を、前記SSBが無いことが確実な周波数範囲とする請求項1に記載の電波伝播測定装置。
【請求項4】
前記無線受信部は、前記測定対象となる無線信号の周波数範囲にSSBが存在しないと判定した場合、前記無線信号の減衰量を変更して前記SSB探索処理を行なう請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電波伝播測定装置。
【請求項5】
基地局(2)からの無線信号の伝播状態を測定する電波伝播測定装置(1)の同期信号探索方法であって、
設定された測定対象となる無線信号の周波数範囲のSSBが配置される箇所についてSSBの探索を行なうステップと、
前記SSBが配置される箇所にSSBが存在しない判定したと場合には、探索された周波数からSSBが無いことが確実な周波数範囲についてSSBの探索を行なわず、次のSSBが配置される箇所についてSSBの探索を行なうステップと、
を備える同期信号探索方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信システムの基地局の電波の伝播状態を測定する電波伝播測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの移動体通信システムにおいては、サービス提供エリア内に多数の基地局を設置している。基地局は、出力する電波の届く範囲が隣接する基地局同士で一部重なるように設置され、サービス提供エリア内で基地局の電波の届かない場所を無くすようにしている。
【0003】
このような移動体通信システムにおいて、サービス提供エリア内の任意の地点において、基地局からの電波の伝播状態を測定することは、基地局の保守やサービス提供エリアの管理にとって重要なことである。
【0004】
特許文献1には、第5世代移動通信システム(以下、「5G」ともいう)のNR(New Radio)における、同期信号ブロック(Synchronization Signal Blok:以下、「SSB」ともいう)による無線信号の同期について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/138500号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
NRでのSSBは、受信する無線信号の周波数範囲の中心にあるとは限らず、受信する無線信号の周波数範囲の周波数軸上のどこに配置されているかは事前には分からない。
【0007】
SSBが配置される箇所はNRの規格で決まっており、周波数帯域幅が100MHzの無線信号の場合であると、最大で594箇所になる。
【0008】
SSBを見つけるには、配置される可能性のある全ての箇所を調べる必要があり、処理に時間がかかってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、SSBを探索する箇所を絞ることにより、SSBを探索する処理時間を短縮させることができる電波伝播測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電波伝播測定装置は、基地局からの無線信号の伝播状態を測定する電波伝播測定装置であって、設定された測定対象となる無線信号の周波数範囲のSSBが配置される箇所についてSSBの探索を行ない、SSBが存在しないと判定した場合には、探索された周波数からSSBが無いことが確実な周波数範囲についてSSBの探索を行なわず、次のSSBが配置される箇所についてSSBの探索を行なうSSB探索処理を行なう無線受信部を備えるものである。
【0011】
この構成により、測定対象となる無線信号の周波数範囲のSSBが配置される箇所についてSSBの探索が行なわれ、SSBが存在しないと判定された場合には、探索された周波数からSSBが無いことが確実な周波数範囲についてSSBの探索が行なわれず、次のSSBが配置される箇所についてSSBの探索が行なわれる。このため、SSBを探索する箇所を絞ることができ、SSBを探索する処理時間を短縮させることができる。
【0012】
また、本発明の電波伝播測定装置において、前記無線受信部は、少なくともSSBの周波数帯域幅の半分を、前記SSBが無いことが確実な周波数範囲とするものである。
【0013】
この構成により、少なくともSSBの周波数帯域幅の半分が、SSBが無いことが確実な周波数範囲とされる。このため、確実にSSBが無い箇所の探索をスキップすることができ、SSBを探索する処理時間を短縮させることができる。
【0014】
また、本発明の電波伝播測定装置において、前記無線受信部は、SSBの周波数帯域幅の半分にオフセット値を加えた周波数帯域幅を、前記SSBが無いことが確実な周波数範囲とするものである。
【0015】
この構成により、SSBの周波数帯域幅の半分にオフセット値を加えた周波数帯域幅が、SSBが無いことが確実な周波数範囲とされる。このため、SSBが無い箇所の探索をスキップすることができ、SSBを探索する処理時間を短縮させることができる。
【0016】
また、本発明の電波伝播測定装置において、前記無線受信部は、前記測定対象となる無線信号の周波数範囲にSSBが存在しないと判定した場合、前記無線信号の減衰量を変更して前記SSB探索処理を行なうものである。
【0017】
この構成により、測定対象となる無線信号の周波数範囲にSSBが存在しないと判定した場合、無線信号の減衰量を変更して、再度SSB探索処理が行なわれる。このため、SSB探索可能な減衰量を早期に判別することができ、SSBを探索する処理時間を短縮させることができる。
【0018】
また、本発明の同期信号探索方法は、基地局からの無線信号の伝播状態を測定する電波伝播測定装置の同期信号探索方法であって、設定された測定対象となる無線信号の周波数範囲のSSBが配置される箇所についてSSBの探索を行なうステップと、前記SSBが配置される箇所にSSBが存在しない判定したと場合には、探索された周波数からSSBが無いことが確実な周波数範囲についてSSBの探索を行なわず、次のSSBが配置される箇所についてSSBの探索を行なうステップと、を備えるものである。
【0019】
この構成により、測定対象となる無線信号の周波数範囲のSSBが配置される箇所についてSSBの探索が行なわれ、SSBが存在しないと判定された場合には、探索された周波数からSSBが無いことが確実な周波数範囲についてSSBの探索が行なわれず、次のSSBが配置される箇所についてSSBの探索が行なわれる。このため、SSBを探索する箇所を絞ることができ、SSBを探索する処理時間を短縮させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、SSBを探索する処理時間を短縮させることができる電波伝播測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る電波伝播測定装置のブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る電波伝播測定装置の減衰量最大のときの受信した無線信号のスペクトラムの例を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る電波伝播測定装置のSSB探索可能な減衰量のときの受信した無線信号のスペクトラムの例を示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る電波伝播測定装置のSSB探索処理の手順を説明するフローチャートである。
図5図5は、本発明の一実施形態の他の態様に係る電波伝播測定装置の受信した無線信号のパワーがノイズと同程度である場合のSSB探索箇所の例を示す図である。
図6図6は、本発明の一実施形態の他の態様に係る電波伝播測定装置のNRの信号が存在している場合のSSB探索箇所の例を示す図である。
図7図7は、本発明の一実施形態の他の態様に係る電波伝播測定装置のSSB探索処理の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る電波伝播測定装置ついて詳細に説明する。
【0023】
図1において、本発明の一実施形態に係る電波伝播測定装置1は、無線受信部10と、無線信号処理部11と、無線信号測定部12と、ユーザインターフェース部13と、制御部14とを含んで構成されている。
【0024】
無線受信部10は、アンテナ17を介して基地局2から受信した無線信号を、周波数変換やレベル調整、アナログデジタル変換などして無線信号処理部11に出力する。無線受信部10は、受信した無線信号のレベル調整を行なうアッテネータ部と、アナログデジタル変換部と、を含んで構成される。
【0025】
無線信号処理部11は、無線受信部10と接続され、無線受信部10の出力する無線信号から同期信号の検出などをして無線信号測定部12に出力する。
【0026】
無線信号測定部12は、無線信号処理部11と接続され、無線信号処理部11の出力する無線信号の復調、復号を行なうとともに、SS−RSRP(Synchronization Signal-Reference Signal Received Power)、SS−SIR(Synchronization Signal-Signal to Interference Ratio)、SS−RSRQ(Synchronization Signal-Reference Signal Received Quality)、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、遅延プロファイルなどを測定し、測定結果を制御部14に出力するようになっている。
【0027】
制御部14は、無線信号測定部12からの測定結果を時刻情報などと関連付けてハードディスク等に記憶しておき、ユーザの要求によりユーザインターフェース部13に表示出力させたり、ログとしてファイルに出力したりするようになっている。
【0028】
無線信号測定部12は、GPS(Global Positioning System)受信部15や内部クロック16からクロック信号を入力されるようになっている。無線信号測定部12は、GPS受信部15からのPPS(Pulse Per Second:1秒周期の信号)または内部クロック16からのクロック信号に基づいて無線信号の受信タイミングを測定するようになっている。なお、外部からGPS信号を入力するようにしてもよい。
【0029】
ユーザインターフェース部13は、ユーザからの操作入力を受け付ける入力部131と、測定のパラメータの設定画面や無線信号測定部12の測定結果などを表示する表示部132とを備えている。入力部131は、タッチパッドやキーボードやプッシュボタンやロータリーノブなどによって構成される。表示部132は、液晶表示装置などによって構成される。
【0030】
制御部14は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、ハードディスク装置と、入出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0031】
このコンピュータユニットのROM及びハードディスク装置には、各種制御定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットを制御部14として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、CPUがROM及びハードディスク装置に記憶されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータユニットは、制御部14として機能する。なお、ハードディスク装置は、フラッシュメモリによるCF(Compact Flash)カード等であっても良い。
【0032】
制御部14の入出力ポートには、無線信号測定部12、ユーザインターフェース部13が接続され、制御部14と各部は信号の送受信をできるようになっている。
【0033】
なお、本実施形態において、無線信号測定部12は、各処理を実行するようにプログラミングされたDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサによって構成されている。また、無線受信部10、無線信号処理部11は、通信モジュールによって構成されている。
【0034】
このような電波伝播測定装置1において、制御部14は、例えば、表示部132に表示させた設定画面に対する入力部131への操作入力で設定された周波数の無線信号の測定を無線信号測定部12に行なわせる。
【0035】
制御部14は、表示部132に表示させた設定画面により、測定する無線信号の中心周波数や周波数範囲(周波数帯域幅)や測定する信号数などを入力部131から入力させる。測定する無線信号の中心周波数は、複数設定可能になっている。
【0036】
制御部14は、入力部131により入力された設定情報を無線信号測定部12に通知して、無線信号の測定を行わせる。
【0037】
無線信号測定部12は、制御部14から設定情報を通知されると、通知された中心周波数や周波数範囲を無線信号処理部11に通知して、その中心周波数や周波数範囲の無線信号を処理させる。
【0038】
無線信号処理部11は、無線信号測定部12から中心周波数や周波数範囲を通知されると、その中心周波数や周波数範囲を無線受信部10に通知して、その中心周波数や周波数範囲の無線信号を受信させる。
【0039】
無線受信部10は、無線信号処理部11から中心周波数や周波数範囲を通知されると、その中心周波数や周波数範囲の無線信号を受信し、周波数変換やレベル調整などをして無線信号処理部11に出力する。
【0040】
無線信号処理部11は、無線受信部10の出力する無線信号から同期信号の検出などをして無線信号測定部12に出力する。
【0041】
無線信号測定部12は、無線信号処理部11の出力する無線信号の復調、復号を行なうとともに、SS−RSRP、SS−SIR、SS−RSRQ、RSSI、遅延プロファイルなどを測定し、測定結果を制御部14に出力する。
【0042】
制御部14は、無線信号測定部12の出力する測定結果に基づいて、入力部131の操作入力により選択された測定結果表示種別に応じて表示部132に表示させる画像を作成して表示部132に表示させる。
【0043】
本実施形態において、NRの無線信号を測定する場合、無線受信部10は、同期信号としてのSSBを探索し、見付かったSSBを無線信号処理部11に出力する。
【0044】
無線受信部10は、スペクトラムアナライザと同等の処理を行ない、設定された測定対象となる無線信号の周波数範囲のスペクトラムを取得する。
【0045】
無線受信部10は、測定対象となる無線信号の周波数範囲のスペクトラムにSSBらしきスペクトラムがあるか否かを判定する。
【0046】
SSBの周波数帯域幅は、サブキャリア間隔により決まっている。このため、無線受信部10は、SSBの周波数帯域幅に近い周波数帯域幅のスペクトラムがあれば、SSBがあると判定する。
【0047】
また、アッテネータ部の減衰量の設定は、受信した無線信号のパワーに対する適切な減衰量でなければ信号がノイズに埋もれてしまい、識別がつかなくなる。しかし、どの程度の減衰量で正しく信号を識別できるかは分からないため、無線受信部10は、例えば、アッテネータ部の減衰量を、最大の状態から段階的に減衰量を減らして測定を繰り返し、測定に適した減衰量を見付ける。
【0048】
図2に示すように、アッテネータ部の減衰量が最大の場合は、受信した無線信号のスペクトラムが判別できない。
【0049】
図3に示すように、アッテネータ部の減衰量を、例えば、−20dBとすると、受信した無線信号のスペクトラムが判別できるようになる。無線受信部10は、例えば、スペクトラムのレベルの差が所定の値以上になったアッテネータ部の減衰量からSSBの探索を行なう。
【0050】
図3において、Aで示した矢印は、測定対象となる無線信号の周波数範囲を示すもので、無線受信部10は、Aの周波数範囲の中で、サブキャリア間隔により決まるSSBの周波数帯域幅に近い周波数帯域幅のスペクトラムを探す。SSBの周波数帯域幅に近い周波数帯域幅とは、SSBの周波数帯域幅より少し広い周波数帯域幅のことで、例えば、SSBの周波数帯域幅より所定周波数帯域幅まで広い周波数帯域幅のことをいう。
【0051】
無線受信部10は、SSBの周波数帯域幅に近い幅のスペクトラムがあると判定すると、その周波数範囲の中心付近の、図中Bの矢印で示すSSBが配置される箇所についてSSBの探索を行なう。このようにすることで、図中Cの矢印で示す範囲においてはSSBの探索を行なう必要がなくなり、サーチ範囲を限定したSSBの探索処理を実行して、SSBを探索する処理時間を短縮させることができる。
【0052】
無線受信部10は、SSBの周波数帯域幅に近い幅のスペクトラムがないと判定すると、アッテネータ部の減衰量を変えて、再度SSBの周波数帯域幅に近い幅のスペクトラムを探す。
【0053】
無線受信部10は、アッテネータ部の減衰量を最小としてもSSBの周波数帯域幅に近い幅のスペクトラムがないと判定すると、受信した無線信号の周波数範囲全体についてSSBが配置される箇所でSSBの探索を行なう。
【0054】
以上のように構成された本実施形態に係る電波伝播測定装置によるSSB探索処理について、図4を参照して説明する。なお、以下に説明するSSB探索処理は、入力部131への操作入力により無線信号の測定開始が選択されると開始される。
【0055】
ステップS1において、無線受信部10は、アッテネータ部の減衰量を、例えば最大値に設定する。ステップS1の処理を実行した後、無線受信部10は、ステップS2の処理を実行する。
【0056】
ステップS2において、無線受信部10は、受信した無線信号の設定された周波数範囲のスペクトラムを確認する。ステップS2の処理を実行した後、無線受信部10は、ステップS3の処理を実行する。
【0057】
ステップS3において、無線受信部10は、設定された周波数範囲のスペクトラムにSSBがあるか否かを判定する。
【0058】
前述したように、SSBの周波数帯域幅は、サブキャリア間隔により決まっている。このため、無線受信部10は、SSBの周波数帯域幅に近い周波数帯域幅のスペクトラムがあれば、SSBがあると判定する。
【0059】
設定された周波数範囲のスペクトラムにSSBがあると判定した場合には、無線受信部10は、ステップS4の処理を実行する。設定された周波数範囲のスペクトラムにSSBが無いと判定した場合には、無線受信部10は、ステップS5の処理を実行する。
【0060】
ステップS4において、無線受信部10は、SSBがあると判定された周波数範囲の中心付近のSSBが配置される箇所についてSSBの探索を行ない、SSB探索処理を終了する。
【0061】
ステップS5において、無線受信部10は、アッテネータ部の減衰量を、例えば減少させる変更ができるか否かを判定する。
【0062】
アッテネータ部の減衰量を変更できると判定した場合には、無線受信部10は、ステップS7の処理を実行する。アッテネータ部の減衰量を変更できないと判定した場合には、無線受信部10は、ステップS6の処理を実行する。
【0063】
ステップS6において、無線受信部10は、設定された周波数範囲全体についてSSBが配置される箇所でSSBの探索を行ない、SSB探索処理を終了する。
【0064】
ステップS7において、無線受信部10は、アッテネータ部の減衰量を、例えば減少させる変更を行なう。ステップS7の処理を実行した後、無線受信部10は、ステップS2の処理を実行する。
【0065】
このように、上述の実施形態では、設定された測定対象となる無線信号の周波数範囲のスペクトラムに、SSBに近い周波数帯域幅を持つスペクトラムがあれば、その周波数範囲の中心付近のSSBが配置される箇所についてSSBの探索を行なう。
【0066】
これにより、SSBを探索する箇所を絞ることができ、SSBを探索する処理時間を短縮させることができる。
【0067】
また、設定された測定対象となる無線信号の周波数範囲のスペクトラムに、SSBに近い周波数帯域幅を持つスペクトラムが無い場合、アッテネータ部の減衰量を変更して、SSBに近い周波数帯域幅を持つスペクトラムを探す。
【0068】
これにより、SSB探索可能なアッテネータ部の設定を早期に判別することができ、SSBを探索する処理時間を短縮させることができる。
【0069】
本実施形態の他の態様としては、図1における無線受信部10は、測定対象の無線信号の周波数範囲のSSBが配置される箇所のSSBの探索において、SSBが無いと判断した場合、所定周波数範囲でのSSBの探索をスキップして、次のSSBの探索を行なう。
【0070】
無線受信部10は、例えば、SSBの探索を行なう周波数の受信した無線信号のパワーが所定の値以下であると、SSBが無いと判定する。所定の値は、ノイズのパワーと同程度の値で、SSBがないと判定できるパワーの値である。
【0071】
無線受信部10は、例えば、SSBが無いと判定した場合、サブキャリア間隔により決まるSSBの周波数帯域幅の半分にオフセット値を加えた周波数範囲のSSBの探索をスキップする。オフセット値は、SSBが無いと判定された周波数から確実にSSBが存在しないと推測できる周波数帯域幅から求められる。
【0072】
図5に示すように、Aで示した矢印の測定対象の無線信号の周波数範囲において、受信した無線信号のパワーがノイズと同程度である場合、測定対象の無線信号の周波数範囲のSSBが配置される箇所の全てにおいてSSBの探索を行なうと、測定対象の無線信号の周波数範囲全てを探索してもSSBは見つからない。
【0073】
このような場合でも、本実施形態の他の態様では、例えば、図中Bで示した矢印の箇所での探索のみで、図中Cで示した矢印の箇所での探索を行なわないでスキップすることができるので、SSBを探索する処理時間を短縮させることができる。
【0074】
図6に示すように、Aで示した矢印の測定対象の無線信号の周波数範囲において、NRの信号が存在している場合には、NRの信号が存在していない部分では、図中Cで示した矢印の箇所でSSBの探索がスキップされ、NRの信号が存在している部分では図中Bで示した矢印の箇所で探索が行なわれ、SSBを探索する処理時間を短縮させることができる。
【0075】
無線受信部10は、測定対象の無線信号の周波数範囲の全範囲においてSSBが無いと判定すると、アッテネータ部の減衰量を変えて、再度SSBの探索を行なう。
【0076】
無線受信部10は、アッテネータ部の減衰量を最小としても測定対象の無線信号の周波数範囲の全範囲においてSSBが無いと判定すると、SSBの探索を終了する。
【0077】
以上のように構成された本実施形態の他の態様に係る電波伝播測定装置によるSSB探索処理について、図7を参照して説明する。なお、以下に説明するSSB探索処理は、入力部131への操作入力により無線信号の測定開始が選択されると開始される。
【0078】
ステップS11において、無線受信部10は、測定対象の周波数範囲の、例えば、SSBが配置される箇所の最も低い周波数の箇所を測定周波数範囲として設定する。ステップS11の処理を実行した後、無線受信部10は、ステップS12の処理を実行する。
【0079】
ステップS12において、無線受信部10は、測定周波数範囲で受信した無線信号を解析しSSBを探索する。ステップS12の処理を実行した後、無線受信部10は、ステップS13の処理を実行する。
【0080】
ステップS13において、無線受信部10は、SSBが見付かったか否かを判定する。SSBが見付かったと判定した場合には、無線受信部10は、SSB探索処理を終了する。SSBが見付からなかったと判定した場合には、無線受信部10は、ステップS14の処理を実行する。
【0081】
ステップS14において、無線受信部10は、測定周波数範囲で受信した無線信号を解析した結果、受信した無線信号のパワーが取れないなど、SSBが無いことは確実であるか否かを判定する。
【0082】
SSBが無いことは確実であると判定した場合には、無線受信部10は、ステップS15の処理を実行する。SSBが無いことは確実でないと判定した場合には、無線受信部10は、隣接する次のSSBが配置される箇所を測定周波数範囲とし、ステップS11の処理を実行する。
【0083】
ステップS15において、無線受信部10は、測定周波数範囲の周波数に所定周波数帯域幅を加算してスキップした、SSBが配置される箇所を測定周波数範囲とする。ステップS15の処理を実行した後、無線受信部10は、ステップS16の処理を実行する。
【0084】
ステップS16において、無線受信部10は、例えば、測定周波数範囲が測定対象の周波数範囲から外れたか否かにより、全ての測定周波数範囲を探索したか否かを判定する。
【0085】
全ての測定周波数範囲を探索したと判定した場合には、無線受信部10は、ステップS17の処理を実行する。
【0086】
全ての測定周波数範囲を探索していないと判定した場合には、無線受信部10は、ステップS11の処理を実行する。
【0087】
ステップS17において、無線受信部10は、アッテネータ部の減衰量を、例えば減少させる変更ができるか否かを判定する。
【0088】
アッテネータ部の減衰量を変更できると判定した場合には、無線受信部10は、ステップS18の処理を実行する。アッテネータ部の減衰量を変更できないと判定した場合には、無線受信部10は、SSB探索処理を終了する。
【0089】
ステップS18において、無線受信部10は、アッテネータ部の減衰量を、例えば減少させる変更を行なう。ステップS18の処理を実行した後、無線受信部10は、ステップS11の処理を実行する。
【0090】
このように、上述の実施形態では、設定された測定対象となる無線信号の周波数範囲のSSBが配置される箇所についてSSBの探索を行ない、SSBが無いことが確実であれば、所定の周波数帯域幅だけSSBの探索をスキップし、SSBが配置される箇所についてSSBの探索を行なう。
【0091】
これにより、SSBが確実に無い箇所の探索をスキップしているため、SSBを探索する箇所を絞ることができ、SSBを探索する処理時間を短縮させることができる。
【0092】
また、SSBの探索をスキップする周波数帯域幅は、SSBの周波数帯域幅の半分にオフセット値を加えた周波数帯域幅とする。
【0093】
これにより、確実にSSBの存在しない箇所のSSBの探索をスキップすることができ、SSBを探索する処理時間を短縮させることができる。
【0094】
また、設定された測定対象となる無線信号の周波数範囲に、SSBが見付からなかった場合、アッテネータ部の減衰量を変更して、SSBの探索を行なう。
【0095】
これにより、SSB探索可能なアッテネータ部の設定を早期に判別することができ、SSBを探索する処理時間を短縮させることができる。
【0096】
なお、本実施形態と、本実施形態の他の態様とを組み合わせて実行するようにしてもよい。例えば、本実施形態において、アッテネータ部の減衰量を変更してもSSBに近い周波数帯域幅を持つスペクトラムが見付からない場合、本実施形態の他の態様の処理を行ってもよい。
【0097】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0098】
1 電波伝播測定装置
2 基地局
10 無線受信部
11 無線信号処理部
12 無線信号測定部
13 ユーザインターフェース部
14 制御部
15 GPS受信部
16 内部クロック
17 アンテナ
131 入力部
132 表示部
図1
図2
図3
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図5
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図7