【解決手段】固定金具(40)は、コネクタに隣接した箇所にボルトを介して支持されており、アンテナ装置の下面に締結されるボルトの通穴が形成されたワッシャー部(41)と、ワッシャー部の外縁からアンテナ装置の下面に向かって延びる3つの脚部(43a−43c)と、を備えている。3つの脚部は、ワッシャー部の外縁よりも折曲位置(44a−44c)を外側に出すように折り曲げられており、3つの脚部には、折り曲げに伴って折曲位置から外方に突き出す固定爪(48a−48c)が形成されている。通穴を挟んで対向する一対の脚部(43a、43c)の折曲角よりも、通穴を挟んでコネクタに対向する他の脚部(43b)の折曲角が平角に近づけられている。
前記アンテナ装置の下面に前記ボルトが仮締めされた状態で、前記一対の脚部の長さは、前記一対の脚部の先端が前記アンテナ装置の下面に接触する長さであり、前記他の脚部の長さは、前記他の脚部の先端が前記アンテナ装置の下面から離間する長さであることを特徴とする請求項2に記載の固定金具。
前記アンテナ装置の下面に前記ボルトが本締めされた状態で、前記ワッシャー部から前記一対の脚部の固定爪の爪先までの垂直距離と、前記ワッシャー部から前記他の脚部の固定爪の爪先までの垂直距離とが一致することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の固定金具。
アンテナ素子が搭載されたアンテナ基板と、前記アンテナ基板を支持するベース部材と、前記ベース部材の下面から露出するコネクタと、前記コネクタに隣接した箇所にボルトを介して支持される固定金具と、を備え、前記固定金具によって車両のルーフ開口に固定されるアンテナ装置であって、
前記固定金具は、
前記ベース部材の下面に締結される前記ボルトの通穴が形成されたワッシャー部と、
前記ワッシャー部の外縁から前記ベース部材の下面に向かって延びる3つの脚部と、を備え、
前記3つの脚部は、前記ワッシャー部の外縁よりも折曲位置を外側に出すように折り曲げられており、
前記3つの脚部には、折り曲げに伴って折曲位置から外方に突き出す固定爪が形成されており、
前記3つの脚部のうち、前記通穴を挟んで対向する一対の脚部の折曲角よりも、前記通穴を挟んで前記コネクタに対向する他の脚部の折曲角が平角に近づけられていることを特徴とするアンテナ装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態のルーフに取り付けられたアンテナ装置の斜視図である。
図2は、本実施形態のルーフに取り付けられたアンテナ装置の分解斜視図である。
図3A及び
図3Bは、比較例のアンテナ装置の取付状態の説明図である。以下の説明では、FR、RE、U、D、L、Rはそれぞれ前方向、後方向、上方向、下方向、左方向、右方向を示している。なお、
図1においては、説明の便宜上、アンテナ装置の下面側の一部のみを図示し、アウターケース等の装置外装を省略している。
【0010】
図1に示すように、アンテナ装置1は、ラジオ、GPS、TEL、V2X等の様々なメディアに使用されるものであり、爪付きの固定金具40を介して車両のルーフ開口2に取り付けられる。ルーフ開口2から車内にコネクタ12が突き出しており、コネクタ12には車内のアンプ等から延びるケーブルコネクタ13が接続される。コネクタ12の右隣のボルト50には固定金具40が支持されており、ボルト50の締付によって固定金具40の固定爪48がルーフ内面3に食い込んでいる。このように、アンテナ装置1が車外側に突き出した状態で、車内側からアンテナ装置1が固定されている。
【0011】
図2に示すように、アンテナ装置1には複数のアンテナ素子が搭載されたアンテナ基板11が設けられ、アンテナ基板11の下面には多芯型(本実施形態では同軸6芯、電源1芯)のコネクタ12が設置される。アンテナ基板11はベース部材21の上面に支持され、ベース部材21に形成された開口22にコネクタ12が挿し込まれる。ベース部材21の開口縁から回り止め用の突起23が下方に突き出しており、ベース部材21の下面から突き出したコネクタ12が突起23によって回り止めされる。また、ベース部材21の下面には開口22の隣にボス24が立設され、ボス24の周囲には窪み25が形成されている。
【0012】
ベース部材21の窪み25には下方からホルダ31が装着される。ホルダ31は平面視矩形枠状に形成されており、ホルダ31の3つの角部から下方に突起32が突き出している。各突起32の先端(下端)には片持ちアーム状の係止片33が設けられている。係止片33の弾性を利用してルーフ開口2へのホルダ31の挿入が許容され、ホルダ31の挿入後に係止片33がルーフ開口2の開口縁に係止される。各突起32の基端側は側壁34によって連らなっており、この側壁34の内壁側が一段低く形成されている。ホルダ31がボス24の周囲に装着されることで、ホルダ31の内側からボス24が下方に突き出し、ボス24の周囲に固定金具40用の設置溝35(
図6参照)が形成される。
【0013】
ベース部材21のボス24には雌ネジ27が形成されており、雌ネジ27に仮締めされたボルト50に固定金具40が支持される。ボルト50は、ボルト頭部にフランジが一体的に形成されたフランジ付きボルトである。固定金具40は、ボルト50の座面になるワッシャー部41からベース部材21側に3つの脚部43a−43cが延びている。3つの脚部43a−43cはワッシャー部41よりも外側に折曲位置が出るように浅く折り曲げられ、3つの脚部43a−43cの先端がボス24の周囲の設置溝35(
図6参照)に挿し込まれる。ボルト50の締付時に、設置溝35内の脚部43a−43cがホルダ31の突起32に接触することで固定金具40の連れ回りが防止される。
【0014】
このように構成されたアンテナ装置1は、ベース部材21のボス24にボルト50が仮締めされた状態で、車外側からルーフ開口2にコネクタ12と固定金具40が挿入される。そして、車内側からボルト50が本締めされることで、固定金具40の3つの脚部43a−43cがV字状に折り曲げられる。各脚部43a−43cには固定爪48a−48cが形成されており、脚部43a−43cの折り曲げ具合に応じて固定爪48a−48cが外方に突き出される。固定爪48a−48cがルーフ開口2の開口縁よりも外側に突き出して、固定爪48a−48cの爪先がルーフ内面3に食い込むことで、アンテナ装置1がルーフ開口2に取り付けられる。
【0015】
ところで、
図3Aの比較例に示すように、一般的な固定金具60は、ワッシャー部(不図示)の外縁から延びる3つの脚部62a−62cが同一形状に形成されている。また、固定金具60とコネクタ64が左右方向に隣接しており、ルーフ開口65は左右方向を長辺とした長方形状に形成されている。芯数の増加等によってコネクタ64の左右方向の外形幅が大きく形成されると、コネクタ64によって固定金具60が右側にシフトされる。このため、ボルト66が仮締め状態で固定金具60が変形していなくても、右側の脚部62bがルーフ開口65の開口縁に干渉して、ルーフ開口65への固定金具60の挿し込みが阻害される。
【0016】
図3Bに示すように、ルーフ開口65に固定金具60が挿し込まれたとしても、脚部62a、62cとルーフ開口2の開口縁の隙間よりも、脚部62bとルーフ開口2の開口縁の隙間が狭くなる。ボルト66が本締めされて脚部62a−62cが折り曲げられると、脚部62a−62cから固定爪63a−63cが外方に突き出すが、固定爪63a−63cの爪先とルーフ内面の接触タイミングにズレが生じる。すなわち、2点鎖線に示すように、固定爪63a、63cよりも固定爪63bが先にルーフ内面に接触して、固定爪63a−63cの爪先をルーフ内面に均一に食い込ませることができない。このため、固定金具60が傾いた状態でアンテナ装置1がルーフ開口65に取り付けられる。
【0017】
そこで、本実施形態のアンテナ装置1には、前後一対の脚部43a、43cよりも右側の脚部(他の脚部)43bを直線形状に近づけ、前後一対の脚部43a、43cよりも右側の脚部43bを短くした固定金具40が使用される(
図4B参照)。右側の脚部43bが直線形状に近づけられることで、平面視にてワッシャー部41からの脚部43bのはみ出し量が小さくなって脚部43bとルーフ開口2の開口縁の干渉を抑えることができる。また、右側の脚部43bが短く形成されることで、ルーフ内面に対する脚部43a−43cの接触タイミングが近づけられ、ルーフ内面に脚部43a−43cを均一に食い込ませることができる。
【0018】
以下、
図4A−
図4Cを参照して、本実施形態の固定金具について説明する。
図4Aは、本実施形態の固定金具の平面図、
図4Bは、本実施形態の固定金具の右側面図、
図4Cは、本実施形態の固定金具の正面図をそれぞれ示している。なお、ここでは、説明の便宜上、
図2の符号を適宜用いて説明する。
【0019】
図4A−
図4Cに示すように、固定金具40は、アンテナ装置1の下面をルーフ開口2に固定する爪付きの留め具であり、コネクタ12に隣接した箇所にボルト50を介して支持される。固定金具40は、ボルト50の通穴42が形成されたワッシャー部41と、ワッシャー部41の外縁から上下方向に延びる3つの脚部43a−43cとを有している。ワッシャー部41は、左辺を上底、右辺を下底とした平面視等脚台形状に形成されている。ワッシャー部41の前辺、右辺、後辺から脚部43a−43cが延出しており、折曲位置44a−44cがワッシャー部41の外縁よりも外側に出るように脚部43a−43cがV字状に折り曲げられている。
【0020】
脚部43a−43cは、ワッシャー部41の外縁から折曲位置44a−44cに向かって外側に傾斜する上脚部45a−45cと、折曲位置44a−44cから先端47a−47cに向かって内側に傾斜する下脚部46a−46cとを有している。脚部43a−43cの内側は打ち抜かれて、上脚部45a−45cに固定爪48a−48cが形成され、下脚部46a−46cがU字状に形成されている。上脚部45a−45cと下脚部46a−46cは固定爪48a−48cを挟んだ2箇所で連結しており、この連結箇所の折曲位置44a−44cが支点になって脚部43a−43cが折曲可能に形成されている。
【0021】
また、通穴42を挟んで対向する前後一対の脚部43a、43cの折曲角(
図4B参照)よりも、通穴42を挟んでコネクタ12に対向する右側の脚部43bの折曲角(
図4C参照)が平角に近づけられている。例えば、脚部43aの上脚部45aと下脚部46aの成す折曲角は150°であり、同様に脚部43cの上脚部45cと下脚部46cの成す折曲角は150°である。これに対し、脚部43bの上脚部45bと下脚部46bの成す折曲角は165°であり、脚部43a、43cの折曲角よりも脚部43bの折曲角が180°に近づけられている。
【0022】
これにより、平面視にて、通穴42の中心Oから脚部43a、43cの折曲位置44a、44cまでの距離La、Lcよりも、通穴42の中心Oから脚部43bの折曲位置44bまでの距離Lbが小さくなっている。すなわち、ワッシャー部41の外縁からの脚部43a、43cのはみ出し量よりも、ワッシャー部41の外縁からの脚部43bのはみ出し量が小さくなり、固定金具40の左右方向の寸法が抑えられている。よって、コネクタ12の外形幅が右側に拡張されて、固定金具40が右側にシフトされても、ルーフ開口2から固定金具40を車内に挿し込む際に、脚部43bとルーフ開口2の開口縁の干渉が防止される。
【0023】
脚部43a−43cは、鉛直方向に対する上脚部45a−45cの傾きよりも、鉛直方向に対する下脚部46a−46cの傾きが小さくなっている。例えば、上脚部45a、45cと鉛直線の成す角度が20°、下脚部46a、46cと鉛直線の成す角度は−10°である。また、上脚部45bと鉛直線の成す角度が10°、下脚部46bと鉛直線の成す角度は−5°である。これにより、ボルト50(
図2参照)の締付によって、設置面に対して垂直に近い下脚部46a−46cよりも先に、上脚部45a−45cを変形させることができる。垂直に近い下脚部46a−46cによって距離を稼いで、少ない締付によって脚部43a−43cを確実に変形できる。
【0024】
また、脚部43a、43cよりも脚部43bが短く形成されている。ワッシャー部41の底面から脚部43a、43cの先端47a、47cまでの長さL1よりも、ワッシャー部41の底面から脚部43bの先端47bまでの長さL2が短く形成されている。ボルト50が仮締めされた状態で、脚部43a、43cの長さL1は脚部43a、43cの先端47a、47cがベース部材21の下面に接触する長さである。また、脚部43bの長さL2は脚部43bの先端がベース部材21の下面から離間する長さである。これにより、ボルト50の本締め直後は脚部43a、43cだけが折り曲げられて、脚部43a、43cと脚部43bの長さが一致した時点で脚部43bが折り曲げられる。
【0025】
ボルト50が本締めされた状態で、ワッシャー部41の底面から固定爪48a、48cの爪先までの垂直距離と、ワッシャー部41の底面から固定爪48bの爪先までの垂直距離とが一致する(
図8A、B参照)。ボルト50の本締めによって、脚部43a、43cの折り曲げに遅れて脚部43bが折り曲げられ、固定爪48a、48cに遅れて固定爪48bが外方に突き出し始める。詳細は後述するが、ルーフ開口2の開口縁と脚部43a、43cの隙間よりも、ルーフ開口2の開口縁と脚部43bの隙間が狭い場合でも、ルーフ内面に対する固定爪48a−48cの接触タイミングが近づけられる。よって、固定爪48a−48cの爪先がルーフ内面に均等に食い込まされる。
【0026】
さらに、平面視にて、脚部43a−43cの角度間隔が120°に近づけられるように、脚部43a、43cの幅方向が左右方向に対して僅かに傾けられている。これにより、アンテナ装置1は様々な方向からの外力に対抗することができる。
【0027】
図5−
図8を参照して、本実施形態のアンテナ装置の取付作業について説明する。
図5は、本実施形態のボルトの仮締め状態を示す図である。
図6Aは
図5のA−A線に沿う断面図であり、
図6Bは
図5のB−B線に沿う断面図である。
図7は、本実施形態のボルトの本締め状態を示す図である。
図8Aは
図7のC−C線に沿う断面図であり、
図8Bは
図7のD−D線に沿う断面図である。なお、
図5−
図8においては、説明の便宜上、アンテナ装置の下面側の一部のみを図示し、アウターケース等の装置外装を省略している。
【0028】
図5及び
図6に示すように、ルーフ開口2から車内にコネクタ12と固定金具40が入り込んでいる。固定金具40は、コネクタ12に隣接した箇所にボルト50を介して支持されている。この初期状態では、固定金具40のワッシャー部41にボルト50の頭部が接触するまで、ベース部材21のボス24の雌ネジ27にボルト50が仮締めされている。脚部43a−43cの先端47a−47cは、それぞれボス24の周囲の設置溝35に入り込んでいる。脚部43a、43cの先端47a、47cは設置溝35の溝底に接触し、脚部43bの先端47bは設置溝35の溝底から離間している。
【0029】
ボルト50の仮締め状態では、固定金具40の脚部43a−43cの変形が抑えられている。特に、脚部43bの折曲角が平角に近づけられているため、脚部43とルーフ開口2の開口縁の干渉が抑えられてルーフ開口2への固定金具40の挿入が阻害されない。ルーフ開口2に固定金具40が挿入された状態では、脚部43a、43cとルーフ開口2の開口縁の隙間よりも、脚部43bとルーフ開口2の開口縁の隙間が小さい。また、ホルダ31の3つの係止片33がルーフ開口2の開口縁に係止されており、固定金具40が変形していない状態で、係止片33によってアンテナ装置1がルーフ開口2から抜け止めされている。
【0030】
この初期状態からボルト50が本締めされると、固定金具40のワッシャー部41がルーフ内面3(ボス24の先端)に近づけられる。脚部43a、43cの先端47a、47cは設置溝35の溝底に接触しているため、先端47a、47cからの反力によって脚部43a、43cが折曲角を狭めるようにしてV字状に折り曲げられる。脚部43a、43cの折り曲げに伴って、折曲位置44a、44cから固定爪48a、48cが外方に突き出し始める。このとき、脚部43bの先端47bが設置溝35の底面から離間しているため、ボルト50の本締め直後に脚部43bがV字状に折り曲げられることがない。
【0031】
図7及び
図8に示すように、さらにボルト50が本締めされると、脚部43bの先端47bが設置溝35の溝底に近づけられる。脚部43bの先端47bが設置溝35の溝底に接触すると、先端47bからの反力によって脚部43bが折曲角を狭めるようにしてV字状に折り曲げられる。脚部43bの折り曲げに伴って、折曲位置44bから固定爪48bが外方に突き出し始める。固定爪48a、48cに遅れて固定爪48bが外方に突き出るため、脚部43a、43cとルーフ開口2の開口縁の間隔よりも、脚部43bとルーフ開口2の開口縁の間隔が狭くても、固定爪48bだけがルーフ内面3に先に当接することが防止される。
【0032】
ワッシャー部41がボス24の先端に当接され、固定爪48a−48cがルーフ開口2の開口縁の外側に突き出される。そして、固定爪48a−48cが略同時にルーフ内面3に当接することで、ルーフ内面3に対して固定爪48a−48cの爪先が均等に食い込まれる。よって、ルーフ内面3に固定金具40が傾いた状態で、アンテナ装置1がルーフ開口2に取り付けられることがない。また、平面視にて、固定爪48a−48cが90°以上の角度間隔でボルト50から放射方向に延びているため、固定爪48a−48cによって車内側からアンテナ装置1を安定的に支持することができる。
【0033】
以上のように、本実施形態によれば、折曲角が平角に近づけられた脚部43bがコネクタ12に対向しており、平面視にてワッシャー部41の外縁からの脚部43bのはみ出し量が小さくなる。このため、コネクタ12の外形寸法の大型化に伴って、コネクタ12に隣接した固定金具40が側方にシフトされても、ルーフ開口2から固定金具40を車内に挿し込む際に、脚部43bがルーフ開口2の開口縁に干渉することを防止できる。ルーフ開口2に固定金具40が差し込まれた後は、ボルト50の締付によって脚部43a−43cが折り曲げられる。各脚部43a−43cの固定爪48a−48cが、ルーフ開口2の開口縁よりも外方に突き出されることでルーフ開口2にアンテナ装置1を固定することができる。
【0034】
なお、本実施形態では、通穴を挟んで対向する一対の脚部よりも、通穴を挟んでコネクタに対向する他の脚部が短く形成されたが、3つの脚部の長さは特に限定されない。一対の脚部の折曲角よりも他の脚部の折曲角が平角に近づけられていればよく、例えば、一対の脚部よりも他の脚部が長く形成されていてもよい。このような構成でも、ルーフ開口への固定金具の挿入時に、ルーフ開口の開口縁と脚部の干渉を抑えることができる。
【0035】
また、本実施形態では、平面視にて、一対の脚部が左右方向の中心線を基準にして対称的に形成されているが、一対の脚部が左右方向の中心線を基準にして非対称に形成されていてもよい。
【0036】
また、本実施形態では、平面視にて、一対の脚部の幅方向が左右方向に対して僅かに傾けられているが、一対の脚部の幅方向が左右方向に対して平行であってもよい。
【0037】
また、本実施形態では、初期状態で3つの脚部が折り曲げられたが、通穴を挟んでコネクタに対向する他の脚部は折り曲げられていなくてもよい。すなわち、3つの脚部のうち、通穴を挟んで対向する一対の脚部は、ワッシャー部の外縁よりも折曲位置を外側に出すように折り曲げられており、また、脚部の内側の厚みが部分的に小さくされており、通穴を挟んでコネクタに対向する他の脚部は直線的に延びていてもよい。このような構成であっても、直線的な脚部がコネクタに対向しているため、平面視にてワッシャー部の外縁からの他の脚部のはみ出し量が小さくなる。よって、本実施形態と同様に、コネクタ12の外形寸法の大型化に伴って、コネクタ12に隣接した固定金具40が側方にシフトされても、ルーフ開口2から固定金具40を車内に挿し込む際に、脚部43bがルーフ開口2の開口縁に干渉することを防止できる。
【0038】
以上の通り、本実施形態の固定金具(40)は、コネクタ(12)が設けられたアンテナ装置(1)の下面を車両のルーフ開口(2)に固定するために、コネクタに隣接した箇所にボルト(50)を介して支持される固定金具であって、アンテナ装置の下面に締結されるボルトの通穴(42)が形成されたワッシャー部(41)と、ワッシャー部の外縁からアンテナ装置の下面に向かって延びる3つの脚部(43a−43c)と、を備え、3つの脚部は、ワッシャー部の外縁よりも折曲位置(44a−44c)を外側に出すように折り曲げられており、3つの脚部には、折り曲げに伴って折曲位置から外方に突き出す固定爪(48a−48c)が形成されており、3つの脚部のうち、通穴を挟んで対向する一対の脚部(43a、43c)の折曲角よりも、通穴を挟んでコネクタに対向する他の脚部(43b)の折曲角が平角に近づけられている。この構成によれば、折曲角が平角に近づけられた他の脚部がコネクタに対向しており、平面視にてワッシャー部の外縁からの他の脚部のはみ出し量が小さくなる。このため、コネクタの外形寸法の大型化に伴って、コネクタに隣接した固定金具が側方にシフトされても、ルーフ開口から固定金具を車内に挿し込む際に、他の脚部がルーフ開口の開口縁に干渉することを防止できる。ルーフ開口に固定金具が差し込まれた後は、ボルトの締付によって3つの脚部が折り曲げられて、各脚部の固定爪がルーフ開口の開口縁よりも外方に突き出されることでルーフ開口にアンテナ装置を固定することができる。
【0039】
本実施形態の固定金具において、一対の脚部よりも、他の脚部が短く形成されている。この構成によれば、ボルトの締付によって、一対の脚部の折り曲げに遅れて他の脚部が折り曲げられる。ルーフ開口の開口縁と一対の脚部の間隔よりも、ルーフ開口の開口縁と他の脚部の間隔が狭い場合であっても、ルーフ内面に対する固定爪の接触タイミングを近づけることができる。
【0040】
本実施形態の固定金具において、アンテナ装置の下面にボルトが仮締めされた状態で、一対の脚部の長さ(L1)は、一対の脚部の先端がアンテナ装置の下面に接触する長さであり、他の脚部の長さ(L2)は、他の脚部の先端がアンテナ装置の下面から離間する長さである。この構成によれば、ボルトの本締め直後は一対の脚部だけを折り曲げて、一対の脚部と他の脚部の長さが一致した時点で他の脚部を折り曲げることができる。
【0041】
本実施形態の固定金具において、アンテナ装置の下面にボルトが本締めされた状態で、ワッシャー部から一対の脚部の固定爪の爪先までの垂直距離と、ワッシャー部から他の脚部の固定爪の爪先までの垂直距離とが一致する。この構成によれば、一対の脚部と他の脚部の固定爪の爪先をルーフ内面に均等に食い込ませることができる。
【0042】
また、本実施形態のアンテナ装置は、アンテナ素子が搭載されたアンテナ基板(11)と、アンテナ基板を支持するベース部材(21)と、ベース部材の下面から露出するコネクタと、コネクタに隣接した箇所にボルトを介して支持される固定金具と、を備え、固定金具によって車両のルーフ開口に固定されるアンテナ装置であって、固定金具は、ベース部材の下面に締結されるボルトの通穴が形成されたワッシャー部と、ワッシャー部の外縁からベース部材の下面に向かって延びる3つの脚部と、を備え、3つの脚部は、ワッシャー部の外縁よりも折曲位置を外側に出すように折り曲げられており、3つの脚部には、折り曲げに伴って折曲位置から外方に突き出す固定爪が形成されており、3つの脚部のうち、通穴を挟んで対向する一対の脚部の折曲角よりも、通穴を挟んでコネクタに対向する他の脚部の折曲角が平角に近づけられている。この構成によれば、ルーフ開口から固定金具を車内に挿し込む際に、他の脚部がルーフ開口の開口縁に干渉することを防止して、ルーフ開口にアンテナ装置を容易に取り付けることができる。
【0043】
また、本実施形態の固定金具は、コネクタが設けられたアンテナ装置の下面を車両のルーフ開口に固定するために、コネクタに隣接した箇所にボルトを介して支持される固定金具であって、アンテナ装置の下面に締結されるボルトの通穴が形成されたワッシャー部と、ワッシャー部の外縁からアンテナ装置の下面に向かって延びる3つの脚部と、を備え、3つの脚部には、折り曲げに伴って折曲位置から外方に突き出す固定爪が形成されており、3つの脚部のうち、通穴を挟んで対向する一対の脚部は、ワッシャー部の外縁よりも折曲位置を外側に出すように折り曲げられており、通穴を挟んでコネクタに対向する他の脚部は直線的に延びている。この構成によれば、直線的な他の脚部がコネクタに対向しており、平面視にてワッシャー部の外縁からの他の脚部のはみ出し量が小さくなる。このため、コネクタの外形寸法の大型化に伴って、コネクタに隣接した固定金具が側方にシフトされても、ルーフ開口から固定金具を車内に挿し込む際に、他の脚部がルーフ開口の開口縁に干渉することを防止できる。ルーフ開口に固定金具が差し込まれた後は、ボルトの締付によって3つの脚部が折り曲げられて、各脚部の固定爪がルーフ開口の開口縁よりも外方に突き出されることでルーフ開口にアンテナ装置を固定することができる。
【0044】
なお、本実施形態及び変形例を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0045】
また、本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。