【解決手段】走行機体への装着用装着部を設けた主フレーム11と、主フレーム11の近傍に折り畳んだ収納状態と主フレーム11の側方に伸長させた伸張状態とに変更可能で、一端側を主フレーム11に連結した伸縮手段41と、伸縮手段41を水平軸周りに回動駆動させる第1シリンダ415と、第1シリンダ415は、第1シリンダ415に流出入させる流体を制御する方向制御弁25と、第1シリンダ415と方向制御弁415との間の回路には、第1電磁チェック弁及び第2電磁チェック弁と、第1シリンダ415と第1電磁チェック弁とを連結する回路の中途部に配置した蓄圧器と、を備えることを特徴とした作業機A。
前記第1シリンダと前記方向制御弁との間の回路には、前記第1シリンダと前記方向制御弁との回路を解放した開放状態と第1シリンダから前記方向制御弁側への流体の流出を阻止する阻止状態とに切換可能な第1電磁チェック弁及び第2電磁チェック弁と、
前記方向制御弁及び第1電磁チェック弁及び第2電磁チェック弁の動作を制御する制御部と、
該制御部は、前記制御部を介して前記方向制御弁を操作する操作部と、を備え、
前記操作部による操作によって、第1電磁チェック弁を阻止状態にさせ、かつ、第2電磁チェック弁を開放状態させることが可能な構成である、
ことを特徴とした請求項1に記載の作業機。
前記方向制御弁が作動した場合において、前記第1電磁チェック弁及び前記第2電磁チェック弁は、前記第1シリンダと前記方向制御弁との回路を開放した開放状態にする、
ことを特徴とした請求項1に記載の作業機。
前記第1シリンダと前記方向制御弁との間の回路には、前記第1シリンダと前記方向制御弁との回路を解放した開放状態と第1シリンダから前記方向制御弁側への流体の流出を阻止する阻止状態とに切換可能な第1電磁チェック弁及び第2電磁チェック弁と、
前記方向制御弁及び第1電磁チェック弁及び第2電磁チェック弁の動作を制御する制御部と、
該制御部は、前記制御部を介して前記方向制御弁を操作する操作部と、を備え、
前記操作部による操作によって、前記方向制御弁を中立状態にさせ、前記第1電磁チェック弁を開放状態にさせ、前記第2電磁チェック弁を開放状態させ、前記第1シリンダと前記方向制御弁との回路を開放した開放状態にする構成である、
ことを特徴とした請求項4に記載の作業機。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明に係る作業機の第1実施例の機械構造について、
図1乃至
図5及び
図17に基づき、説明する。第1実施例は、水平回動シリンダでの退避状態への移行と復帰方法に関する。
Aは、作業機である。作業機Aは、この発明の第1実施例では、草刈等の作業を行う作業機に係る。作業機Aは、トラクタ等からなる走行機体Bの装着用装着部111、112に取り付け駆動する。
トラクタ等からなる走行機体Bは、第1実施例では、
図1、
図3、に図示する作業機Aの奥側、
図2、
図4に図示する作業機Aの上方、
図5に図示する作業機Aの右側に位置する。
【0016】
11は、主フレームである。主フレーム11は、作業機Aに取り付ける。主フレーム11には、図示するように走行機体Bへの装着用の装着部111、112を設ける。2個の111は下部に設ける装着部(ロア)、112は上部に設ける装着部(トップ)であり、3点で作業機Aを走行機体Bに装着する。
【0017】
操作部uは、走行機体Bに設け、後述する方向制御弁25を操作する。
図1、
図3等に図示する22は、入力軸である。入力軸22は、取り付ける走行機体Bから駆動力を作業機Aに取り入れる。
図1、
図3等に図示する23は、変速部である。変速部23では、入力軸22により走行機体Bから入力した駆動力を変速する。
【0018】
図1、
図3等に図示する24は、流体圧発生源である油圧ポンプである。油圧ポンプ24は、入力軸22により走行機体Bから入力し、変速機23で変速した駆動力により、駆動する。油圧ポンプ24により、作業機Aの油圧で作動する油圧機器関係に油圧を配送する。
図1、
図6以下に図示する25は、方向制御弁であるバルブユニットである。バルブユニット25では、油圧の流れを切換制御する。
【0019】
図1等に図示する21は、マストフレームである。211は、マストフレーム回動軸である。マストフレーム21は、マストフレーム回動軸211によって、主フレーム11に回動自在に取り付ける。
マストフレーム21は、作業機Aの、主フレーム11の進行方向左右に対する一端部あるいは中央部に設ける。マストフレーム21は、伸縮手段41を、水平方向へ回動可能である。マストフレーム21は、伸縮手段41を鉛直軸周りであるマストフレーム回動軸211周りに回動可能である。この第1実施例において、一端側を支点に回動するマストフレーム21は、マストフレーム21の他端側を進行方向と直交する方向に位置させた時を通常位置及び通常状態、通常位置より後方側にマストフレーム21の他端側を回動させた時は退避位置及び退避状態としている。
【0020】
212は、水平回動シリンダ(マストフレーム回動軸用シリンダ)である。水平回動シリンダであるマストフレーム回動軸用シリンダ212は、油圧シリンダからなり油圧により伸縮する。
水平回動シリンダ212は、一端を主フレーム11に取り付け、他端はマストフレーム21に取り付ける。そのため、水平回動シリンダ212は、ストロークの移動によって水平回動シリンダ212を伸縮して、主フレーム11に対して、マストフレーム21を回動駆動する。
【0021】
31は、タンクである。タンク31は、第1実施例では、オイルタンクである。第1実施例では、タンク31は、作業機Aの進行方向左右に対する主フレーム11の他端部に設ける。作業機Aに使用される各シリンダは油圧シリンダであるため、タンク31は各オイルシリンダ駆動用のオイルを貯蔵する。
タンク31の前端部は、主フレーム11の前端部とほぼ同じ、あるいは、主フレーム11の前端部よりやや後方に位置する。
【0022】
41は、伸縮手段である。伸縮手段41は、一端側を主フレーム11近傍で回動可能なマストフレーム21に連結する。伸縮手段41は、
図1及び
図2に図示するように、作業部51に伸縮手段41を折り畳んで主フレーム11上に作業部51を位置させた格納状態と、
図3乃至
図5に図示するように、伸縮手段41を伸展させて、主フレーム11より進行方向に対する側方に位置させた作業部51の作業状態を取らせる。すなわち、伸縮手段41は、主フレーム11の近傍に折り畳んだ収納状態と、主フレーム11の側方に伸長させた伸張状態とに変更可能である。また、説明において伸張状態は展開状態と呼ぶことがある。
伸縮手段41は、第1ブーム411、第1連結体412、第2ブーム413、第2連結体414、第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418を有する。
【0023】
第1ブーム411は、マストフレーム21に一端部を連結し、上下方向へ回動可能に設ける。
第1連結体412は、第1ブーム411の他端側の先端部に一端部を連結し、上下方向へ回動可能に設ける。
第2ブーム413は、第1連結体412の他端側の先端部に一端部を連結し、マストフレーム21が通常位置において、進行方向に対して前後方向へ回動可能に設ける。
第2連結体414は、第2ブーム413の他端側の先端部に一端部を設け、マストフレーム21が通常位置において、第1連結体412に対して前後方向へ並行に移動可能である。
【0024】
第1シリンダ415は、油圧シリンダからなり、マストフレーム21と第1ブーム411とを、マストフレーム21と第1ブーム411を連結させたリンク機構42を介して連結する。第1シリンダ415は、第1ブーム411回動用であり、第1ブーム411に設け、伸縮すると同時に第1ブーム411共に回動して第1ブーム411を上下回動させる。
第1シリンダ415は、伸縮手段41をマストフレーム21に設けた水平軸である第1ブーム回動軸411A周りに回動駆動させる。
第1ブーム411は上下方向に、第1ブーム回動軸411Aを回動中心として回動自在にマストフレーム21に連結される。
【0025】
第2シリンダ416は、油圧シリンダからなり、第1ブーム411と第1連結体412の他端側とを連結する。第2シリンダ416は、第1連結体412の上下回動用である。
第3シリンダ417は、前後回動シリンダであって、油圧シリンダからなり、第1連結体412と第2ブーム413とを連結する。第3シリンダ417は、第2ブーム413の第1ブーム411に対する前後回動用である。第3シリンダ(前後回動シリンダ)417は、ストロークの伸縮により、マストフレーム21が通常位置において、伸縮手段41を前後方向へ回動駆動させる。
【0026】
第4シリンダ418は、油圧シリンダからなり、第2連結体414と作業部51とを連結する。第4シリンダ418は、作業部51の上下回動用である。
第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ(前後回動シリンダ)417、第4シリンダ418の各シリンダは、それぞれ、ロッド側室内(415b、416b、416b、417b)と、ボトム側室内(415a、416a、416a、417a)とを有する。
419は、ロッドである。ロッド419は、第2ブーム413と共に平行リンクを形成する。ロッド419によって、第2連結体414は第1連結体412に対して進行方向における左右方向に角度を変えることなく、前後方向に並行して移動が可能である。
【0027】
51は、作業部である。作業部51は、第2連結体414の他端側の先端部且つ第2連結体414の進行方向に対する前方側に設ける。作業部51は、更に、第2連結体414に対して上下方向へ回動可能に設ける。
作業部51は、この第1実施例では、マストフレーム21が通常位置において、進行方向と直交する方向に向けた回転軸512に複数の刃部を配置し、複数の刃部を回転駆動させることで草刈等の作業を行う。ただし、作業目的や作業部51の構造は開示した第1実施例に限定はされない。
【0028】
作業部51が格納姿勢である第1ブーム411及び第2ブーム413のそれぞれがほぼ水平状態をとって折り畳んだ場合、第1ブーム411及び第1連結体412及び第2ブーム413及び第2連結体414はタンク31の上方に位置する。より詳細に説明すると、マストフレーム21は前方側に回動した状態の通常状態に位置させ、タンク31の直上には、第1ブーム411の他端部、第2ブーム413の一端部、第2連結体414が位置する。
【0029】
作業部51が格納姿勢をとったとき、作業部51の前端部は主フレーム11の上方に位置し、作業部51の前端部が装着部(ロア)111、装着部(トップ)112より後方で、且つ、第1シリンダはタンク31の上方に位置させる。
作業部51が、格納姿勢をとったとき、
図1及び
図2に図示するように、第1ブーム411の長手方向及び第2ブーム413の長手方向は、ほぼ水平で進行方向と直交する方向に向けられ、且つ、第2ブーム413の長手方向は第1ブーム411の長手方向に対して前後方向に傾斜している。より詳細には、第2ブーム413は、他端側に向かうにつれて他端を進行方向の後方に位置するように第1ブーム411に対して傾斜させている。
【0030】
作業部51は進行方向と平行の向きに作業部51の回動軸である回動軸511を備える。作業部51の格納姿勢において、回動軸511は第1ブーム411の第1ブーム回動軸411Aと平行に配置する。回動軸511は軸方向を進行方向に対する前後方向に向けていて、マストフレーム21の回動と共に水平方向にマストフレーム回動軸211を軸にして回動することができる。
【0031】
回動軸511は、第2連結体414によって、マストフレーム21が後方側に回動したときの退避状態を除き、作業部51の展開状態及び格納状態に関わらず、常時前後方向を向いている。
伸縮手段41を伸長させて作業部51を走行機体Bの側方部に展開させた展開姿勢の場合、作業部51が障害物J等に当接していない通常の作業状態と、第1実施例において
図4、
図5に示すように、第2実施例においては
図16に図示するように、作業部51が障害物J等に当接し、作業部51及び伸縮手段41と共にマストフレーム21が後方に回動する退避状態を取ることができる。
【0032】
展開姿勢における通常状態は、マストフレーム21が前方に回動した状態であるため、マストフレーム21に連結した伸縮手段41の第1ブーム411は、平面視において、走行機体の進行方向と直交する側方に展開する。第1ブーム411は、マストフレーム21側を支点に上下方向に回動可能である。
展開姿勢での通常状態において、第2ブーム413は第1連結体412に連結した一端側を支点にして、下方に位置する他端側を前後方向に回動できる。第2ブーム413の他端側に位置する作業部51は、展開姿勢での通常状態において、第2ブーム413の前後動に伴って、進行方向に対する左右方向の角度を変えずに、前後に移動可能である。
【0033】
展開姿勢における退避状態は、走行機体Bの進行に伴って、作業部51の前方部に障害物J等が当接すると、作業部51は障害物Jによって相対的に走行機体Bの後方側に押される。作業部51は伸縮手段41を介してマストフレーム21に連結しているので、伸縮手段41と共にマストフレーム21を後方に回動させるように構成している。このように構成することによって、作業機A及び走行機体B及び障害物Jの損傷を抑制することができる。
作業部51の格納状態のとき、
図1に図示するように、第1ブーム411、第1連結体412、第2ブーム413、第2連結体414はタンク31の上方に位置させることで、作業部51あるいはタンク31が走行機体Bの側方から突出することを防ぐ。
第1ブーム411及び第2ブーム413の長さを走行機体Bの幅一杯に使用できるので、側方へ展開したときの最大長さを可能な限り大きくできる。
【0034】
この発明の第1実施例に係る油圧回路について、
図6乃至
図12に従って説明する。
aはバイパス回路、bはダブルパイロットチェック弁、cは第1リリーフ弁(第1パイロットリリーフ弁)、dは第2リリーフ弁(第2パイロットリリーフ弁)、eはスローリターンチェック弁、e1はスローリターンチェック弁eの絞り弁、e2はスローリターンチェック弁eのチェック弁(逆止弁)、fは可変絞り式スローリターンチェック弁、f1は可変絞り式スローリターンチェック弁fの可変絞り弁、f2は可変絞り式スローリターンチェック弁fのチェック弁(逆止弁)、gは逆止弁であるチェック弁である。a1は、接続点である。
【0035】
方向制御弁25は、方向制御弁(第1)251、方向制御弁(第2)252は、方向制御弁(第3)253、方向制御弁(第4)254で構成する。方向制御弁25は、電気信号によって動作する弁であり、制御部tによって動作が制御されている。
第1リリーフ弁cは、方向制御弁25に設ける。
第1リリーフ弁cは、設定圧で自動的に開き、圧力を下げる機能を備える。第1リリーフ弁cは、方向制御弁25内の回路内の流体に異常圧力が発生した時の圧力の逃がしあるいは、安全リリーフバルブである。
【0036】
水平回動シリンダ(マストフレーム回動軸用シリンダ)212は、ロッド側室内212bとボトム側室内212aとを有する。水平回動シリンダ212のロッド側室内212bはタンク(オイルタンク)31と接続する。ロッド側室内212bとタンク(オイルタンク)31とを接続する油圧回路中に、スローリターンチェック弁eを設ける。
スローリターンチェック弁eは、絞り弁e1にチェック弁e2を組込んだもので、一方向の流量を小さく絞って制限し、逆方向の流れを自由に通過させることができる。第1実施例において、ロッド側室内212bからタンク(オイルタンク)31へ向かう側への流体の流れは絞り弁e1によって制限して行い、タンク(オイルタンク)31からロッド側室内212bへ向かう流れは、チェック弁e2によって制限なく行うことができるように構成している。
【0037】
可変絞り式スローリターンチェック弁fは、可変絞り弁f1に、チェック弁f2を組込んだもので、一方向の流量を可変絞り弁f1によって無段階に絞って調整することが可能で、逆方向の流れをチェック弁f2によって自由に通過させることができる。
この発明の第1実施例において、作業機Aを用いた作業時は、可変絞り弁f1は常時閉じている。すなわち、ボトム側室内212aからタンク(オイルタンク)31へ向かう側への流体の流れは、可変絞り弁f1とチェック弁f2によって遮られ、タンク(オイルタンク)31からボトム側室内212aへ向かう流れは、制限なく行うことができるように構成している。
可変絞り弁f1は、作業時以外のメンテナンス時に開状態とすることで、回路内の流体に高い圧力をかけずとも、自由にボトム側室内212a及びロッド側室内212bに流体を流入させて、水平回動シリンダ212を伸縮させることができる。つまり、マストフレーム21を自由に回動させることができる。
【0038】
水平回動シリンダ212のボトム側室内212aから出た油圧回路は分岐して、一方はタンク31に接続し、他方はバイパス回路aの一端に、水平回動シリンダ212のボトム側室内212aから接続点a1方向への流体の移動を抑圧可能であるチェック弁gを介して、接続する。バイパス回路aの他端は、接続点a1に接続する。
水平回動シリンダ212のボトム側室内212aから出て、分岐した油圧回路の一方に、第2リリーフ弁dを設ける。つまり、ボトム側室内212aは、可変絞り式スローリターンチェック弁fと第2リリーフ弁dを介して、タンク31と接続している。
【0039】
図8に図示するように、油圧等の流体は、可変絞り式スローリターンチェック弁fのチェック弁f2側を通って、タンク31から流量の規制なくボトム側室内212aに送られる。
ボトム側室内212aの接続回路を分岐した油圧回路の一方である、水平回動シリンダ212及びタンク31を接続する回路中に、第2リリーフ弁dを備える。第2リリーフ弁dは、ボトム側室内212a及びボトム側室内212aに接続する回路で発生した油圧を、設定圧で自動的に開き、タンク31側に流体を流して圧力を下げる機能を備える。水平回動シリンダ212のボトム側室内212aの接続回路に接続する回路内の流体に異常圧力が発生した時の圧力の逃がしあるいは、安全リリーフバルブである。
【0040】
第2リリーフ弁dは、ボトム側室内212a側の回路から、タンク31に設定圧力による弁の開放によって、流体を流すことができるが、タンク31から第2リリーフ弁dを介して、ボトム側室内212a側へ向かうように流体を移動させることはできない。
水平回動シリンダ212のボトム側室内212aに、油圧等の流体を引き込み、水平回動シリンダ212のロッド側室内212bから流体を押し出すと、ストロークはストロークエンド方向に伸長し、ストロークの移動によってストロークが短縮するとボトム側室内から流体を押し出しロッド側室内212bに流体を引き込む。ストロークの移動によって水平回動シリンダ212を伸縮して、主フレーム11に対して、マストフレーム21を回動駆動する。
【0041】
タンク(オイルタンク)31から、油圧ポンプである流体圧発生源24を介して、方向制御弁25に接続する。方向制御弁25内では、方向制御弁(第4)254、方向制御弁(第3)253、方向制御弁(第2)252、方向制御弁(第1)251に順次接続する。
方向制御弁25内の、方向制御弁(第4)254、方向制御弁(第3)253、方向制御弁(第2)252、方向制御弁(第1)251は、それぞれ、第1シリンダ415、第2シリンダ416、前後回動シリンダである第3シリンダ417、第4シリンダ418と、操作部uによる操作がない場合において、それぞれの方向制御弁251,252,253,254へ流入した流体をタンク(オイルタンク)31に戻すアンロード回路(無負荷回路)hに接続する。
第1シリンダ415は、第1シリンダ415に流出入させる流体を制御する方向制御弁25に接続する。第1シリンダ415は、方向制御弁25により、第1シリンダ415に流出入させる流体を制御する。
【0042】
第1リリーフ弁cの一端は、それぞれの方向制御弁251,252,253,254からタンク(オイルタンク)31側に戻す方向制御弁251,252,253,254に設けたアンロード回路hと、前記それぞれの方向制御弁251,252,253,254から第1リリーフ弁c側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁251a,252a,253a,254aを介して方向制御弁251,252,253,254に接続する。第1リリーフ弁cの他端は、タンク(オイルタンク)31に接続する。
【0043】
図6乃至
図12に図示するように、第1シリンダ415は、ロッド側室内415bとボトム側室内415aとを有する。
第2シリンダ416は、ロッド側室内416bとボトム側室内416aとを有する。前後回動シリンダ(第3シリンダ)417は、ロッド側室内417bとボトム側室内417aとを有する。第4シリンダ418のロッド側室内418bとボトム側室内418aとを有する。
【0044】
方向制御弁(第1)251は、第1シリンダ415のロッド側室内415bとボトム側室内415aとにそれぞれ接続する。方向制御弁(第2)252は、第2シリンダ416のロッド側室内416bとボトム側室内416aとにそれぞれ接続する。方向制御弁(第3)253は、第3シリンダ417(前後回動シリンダ417)のロッド側室内とボトム側室内とにそれぞれ接続する。方向制御弁(第4)254は、第4シリンダ418のロッド側室内418bとボトム側室内418aとにそれぞれ接続する。
【0045】
方向制御弁(第1)251は、方向制御弁(第1)251から第1シリンダ415へ向かう回路と、方向制御弁(第1)251からタンク(オイルタンク)31に向かう回路を接続可能に構成している。この第1実施例において、方向制御弁(第1)251が操作されない場合においても、第1シリンダ415のロッド側室内415bは方向制御弁(第1)251内で分岐した一方の回路によってタンク(オイルタンク)31に接続する。分岐した他方の回路は、ボトム側室内415aと接続していて、ボトム側室内415aとロッド側室内415bは接続状態である。
【0046】
方向制御弁(第2)252は、方向制御弁(第2)252から第2シリンダ416へ向かう回路と、方向制御弁(第2)252からタンク(オイルタンク)31に向かう回路を接続可能に構成している。方向制御弁(第3)253は、方向制御弁(第3)253から第3シリンダ417へ向かう回路と、方向制御弁(第3)253からタンク(オイルタンク)31に向かう回路を接続可能に構成している。方向制御弁(第4)254は、方向制御弁(第4)254から第4シリンダ418へ向かう回路と、向制御弁(第4)254からタンク(オイルタンク)31に向かう回路を接続可能に構成している。
【0047】
この第1実施例の第2シリンダ416乃至第4シリンダ418を制御する方向制御弁252,253,254は、操作部uによる切替操作がされない場合において、方向制御弁252,253,254から第2シリンダ416乃至第4シリンダ418への流体の流出入ができないように、方向制御弁252,253,254内で回路を遮断する。操作部uによる切替操作がされると、流体圧発生源24から第2シリンダ416乃至第4シリンダ418への流体の流入、及び、第2シリンダ416乃至第4シリンダ418からタンク(オイルタンク)31への流体の流出が可能に構成する。
また、この第1実施例で使用する方向制御弁251,252,253,254のそれぞれは、非操作時の中立状態において、流体圧発生源24から常時移送される流体をアンロード回路hによってタンク31に回送する。
【0048】
方向制御弁(第1)251は、方向制御弁(第1)251からアンロード回路hとは異なるタンク31側に向かう回路と、方向制御弁(第1)251から、第1リリーフ弁cの一端端側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁251aを介して、第1リリーフ弁c及びアンロード回路hに接続する回路を有する。
方向制御弁(第2)252は、方向制御弁(第2)252からアンロード回路とは異なるタンク31側に向かう回路と、方向制御弁(第2)252から、第1リリーフ弁cの一端端側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁252aを介して、第1リリーフ弁c及びアンロード回路hに接続する回路を有する。
【0049】
方向制御弁(第3)253は、方向制御弁(第3)253からアンロード回路hとは異なるタンク31側に向かう回路と、方向制御弁(第3)253から、第1リリーフ弁cの一端端側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁253aを介して、第1リリーフ弁c及びアンロード回路hに接続する回路を有する。
接続点a1は、第3シリンダ417(前後回動シリンダ417)のボトム側室内417aおよびダブルパイロットチェック弁bと、接続した方向制御弁(第3)253の間に設ける。
方向制御弁(第4)254は、方向制御弁(第4)254からアンロード回路hとは異なるタンク31側に向かう回路と、方向制御弁(第4)254から、第1リリーフ弁cの一端端側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁254aを介して、第1リリーフ弁c及びアンロード回路hに接続する回路を有する。
【0050】
前後回動シリンダ417のロッド側室内417bと、前後回動シリンダ417のボトム側室内417aは、ダブルパイロットチェック弁bを介して、方向制御弁(第3)253にそれぞれ接続する。
前後回動シリンダ417は、ストロークをストロークエンド方向に伸長するとボトム側室内417aに流体を引き込みロッド側室内417bから流体を押し出し、ストロークが短縮するとボトム側室内417aから流体を押し出しロッド側室内417bに流体を引き込む。
前後回動シリンダ(第3シリンダ)417は、ストロークの伸縮により、マストフレーム21が通常状態において、伸縮手段41を構成する第2ブーム413を前後方向へ回動駆動させる。
【0051】
ダブルパイロットチェック弁bに、方向制御弁(第3)253側から油圧等の流体の圧力がかからないと、前後回動シリンダ417のボトム側室内417aに流体は流れない。
ダブルパイロットチェック弁bは、逆止弁となっているので、ボトム側室内417a側から圧力がかかっても、方向制御弁(第3)253側に流体は流れない。したがって、第3シリンダ417のストローク長を安定的に維持でき、第2ブーム413の回動位置を安定的に維持できる。
図11に図示するように、方向制御弁(第3)253とダブルパイロットチェック弁b間の油圧回路の流体圧が高まると、ダブルパイロットチェック弁bを開放できる。ダブルパイロットチェック弁bの開放の後、前後回動シリンダ417のボトム側室内417aあるいはロッド側室内417bに流体は流れる。
【0052】
前後回動シリンダ417の伸縮は第1リリーフ弁cを有した方向制御弁25によって制御される。
第2リリーフ弁dは、第1リリーフ弁cとは独立して構成している。第1シリンダ415、第2シリンダ416、前後回動シリンダ417、第4シリンダ418は、第1リリーフ弁cを共通して使用しているが、第2リリーフ弁dは、水平回動シリンダ212と前後回動シリンダ417に係る動作のみに機能する。第2リリーフ弁dは、作業部51を前後させる動作に関してのみ機能する。
【0053】
第1シリンダ415、第2シリンダ416、第4シリンダ418に関する回路とは別に、第2リリーフ弁dを独立させて、水平回動シリンダ212と前後回動シリンダ417に関する回路に組み込むので、第1リリーフ弁cとは別の圧力設定を任意に設定できる。このため、第1リリーフ弁cは前後回動シリンダ417と接続しているものの、流体圧力のリリーフ動作は第2リリーフ弁dの圧力設定に依存することになる。
【0054】
この発明の第1実施例の場合、第2リリーフ弁dの設定圧力は、第1リリーフ弁cの設定圧力より低く設けている。そのため、第2リリーフ弁dは、第1リリーフ弁cより低圧で先に開き、衝突時の水平回動シリンダ212による回避動作を衝突圧力が高まる前の早期に、行うことができる。障害物J等の作業部51への衝突によって、マストフレーム21は作業部51及び伸縮手段41と共に後方側に回動する退避動作をして、マストフレーム21を退避状態にさせる。
また、マストフレーム21が通常状態であっても、第2ブーム413が前後回動シリンダ417によって後方から前進方向に回動する場合、作業部51が障害物Jに衝突しても、第1リリーフ弁cよりも弱い圧力設定の第2リリーフ弁dによって、第2ブーム413、作業部51、障害物Jの損傷を防ぐことができる。
【0055】
前後回動シリンダ417と水平回動シリンダ212はバイパス回路aによって接続されている。
接続点a1で分岐した油圧回路の一方はチェック弁gを介して前後回動シリンダ417のボトム側室内417aに接続する。チェック弁gは水平回動シリンダ212のボトム側室内212aから接続点a1方向への流体の移動を抑圧可能である。
接続点a1で分岐した他方の回路は、方向制御弁253を介してタンク31に接続可能にする。
【0056】
前後回動シリンダ417のロッド側室内417bは、ダブルパイロットチェック弁bを介してタンク31に接続する。該ダブルパイロットチェック弁bは前後回動シリンダ417のロッド側室内417bからタンク31方向への流体の移動を抑圧可能である。
前後回動シリンダ417にはダブルパイロットチェック弁bを近接して設ける。
バイパス回路aはダブルパイロットチェック弁bより流体圧発生源24側に接続している。
【0057】
バイパス回路aは、前後回動シリンダ417にも、水平回動シリンダ212にも接続している。しかし、前後回動シリンダ417のピストン径より水平回動シリンダ212のピストン径を大きく設定し、且つ、マストフレーム21の水平方向への回動に必要なトルクを、作業部51及び第2連結体を接続した第2ブーム414を前後方向に回動させるトルクより小さくしている。
また、水平回動シリンダがマストフレームを垂直軸周りの水平方向に回動させるために必要な推力は、前後回動シリンダが通常状態における伸縮手段41を前後回動させるために必要な推力より小さい。
【0058】
そのため、水平回動シリンダ212が優先して伸長動作する。このため、水平回動シリンダ212に優先して流体が流れ、ダブルパイロットチェック弁bに圧力がかからず、前後回動シリンダ417には流体が流れない。
また、
図6〜
図12のように構成した回路において、ダブルパイロットチェック弁bの弁が圧力によって開放されて前後回動シリンダと挿通状態になるときの動作圧力は、水平回動シリンダの動作圧力より高くなるように設定されている。このため、水平回動シリンダ212の伸長動作は、前後回動シリンダの動作よりも優先的かつ安定的に行うことができる。
すなわち、水平回動シリンダ212と前後回動シリンダ417とに同時に流体を流しても、水平回動シリンダ212を優先して流体が流れる。
【0059】
マストフレーム21は回動位置によって通常位置及び退避位置を設け、退避位置から通常位置に復帰させる場合、水平回動シリンダ212が動作してバイパス回路a内の圧力が高まった後に前後回動シリンダ417が動作する。
【0060】
この発明の第1実施例に係る油圧回路の動作順序について、
図7乃至
図12にしたがって、説明する。
図7に図示する状態は、作業部51に障害物Jが衝突して作業部51が退避状態に移行する場合である。この状態では、作業部51の障害物Jへの衝突によるマストフレーム21の回動により、水平回動シリンダ212のストロークが強制的に短縮する。
すると、水平回動シリンダ212のロッド側室内212bに流体を引き込み、水平回動シリンダ212のボトム側室内から流体を押し出す方向に水平回動シリンダ212のシリンダが移動する。水平回動シリンダ212のロッド側室内212bにタンク31から流体を引き込み、水平回動シリンダ212のボトム側室内の流体をタンク31に押し出す。
【0061】
図7を参照して、更に、第1実施例の退避状態に移行する動作順序を説明する。
作業部51に障害物Jが衝突すると、第2ブーム413、第1ブームを介してマストフレーム21が後方にマストフレーム回動軸211を回動中心として、回動しようとする。
図4、
図5に図示する水平回動シリンダ212が、障害物Jと衝突することにより、水平回動シリンダ212のストロークが短縮する方向に外力がかかり、ボトム側室内212aの圧力が高まる。
ボトム側室内212aの圧の高まりにより、第2リリーフ弁dを開放状態にさせる。
【0062】
この時、逆止弁であるチェック弁gは、
図7の図中に示すチェック弁gより上側の水平回動シリンダ212側の圧力が高く、閉じたままなので、バイパス回路aに液等、流体は流入しない。
水平回動シリンダ212のボトム側室内212aの流体は、圧力の高まりによって弁を開放した第2リリーフ弁dを通って、タンク31内に押し戻される。
【0063】
水平回動シリンダ212のロッド側室内212bの圧力は低圧状態であるので、図中低圧状態は太線一点鎖線であらわし、高圧状態は、太線実線であらわす。タンク31内の流体がスローリターンチェック弁eのチェック弁(逆止弁)e2を開放させる。且つ、このチェック弁(逆止弁)e2を経由して水平回動シリンダ212のロッド側室内212bに入るすなわち吸入される。
すると、マストフレーム21が後方側に回動する。つまり、伸縮手段41は、
図4に示す通常状態から、障害物Jに押されて後方に回動した退避状態になる。
【0064】
図8に図示するように、作業部51を退避状態から通常状態に復元する場合であって、作業部51を接地させながら後進で行なう場合、すなわち、作業部51に外力を加えて通常状態に復帰させる場合は、水平回動シリンダ212のストロークを強制的に伸長させる。すると、水平回動シリンダ212のロッド側室内212bから流体を押し出し、水平回動シリンダ212のボトム側室内212aに流体を引き込み、ロッド側室内212bの流体をタンク31に押し出し、ボトム側室内212aにタンク31から流体を引き込む。
【0065】
退避状態から通常状態に復元する場合であって、作業部51に外力を加えて強制的に通常状態に復元する場合の動作順序について
図8を参照して説明する。第1実施例では、作業部51を接地させながら後進で行なうことによって、作業部51に外力を加えるものとして説明する。
作業部51に外力を加えて行う場合としては、作業部51の接地摩擦力によるものと、接地によらず、例えば作業者の手によって戻される場合が想定される。
【0066】
(1)地面に設置させた状態で、作業部51を走行機体B(トラクタ)を後進させる(走行機体Bに対し相対的に作業部51を前進側に強制的に移動させる)と、第2ブーム413、第1ブーム411を介してマストフレーム21を前方に回動する力が働く。
(2)すると、水平回動シリンダ212が伸長する方向に外力がかかり、ロッド側室内212bの圧力が高まる。
(3)ロッド側室内212bの流体は、スローリターンチェック弁eの絞り弁e1側を通ってタンク31に送られる。絞り弁e1は、作業部51を含む伸縮手段41が急激に通常状態に復帰しないための配慮で、水平回動シリンダ212をゆっくりと伸長させる。
(4)ボトム側室内212aの内圧は低圧になるので、タンク31内の流体が可変絞り式スローリターンチェック弁fのチェック弁f2側を通って、流量の規制なくボトム側室内212aに送られる。
【0067】
第2リリーフ弁dは、一方通行回路であるため、タンク31からボトム側室内212aに向かう流体は行止となる。また、ボトム側室内212aに向かう回路は低圧のため第2リリーフ弁dの弁が開くことはなく、ボトム側室内212aから第2リリーフ弁dを介して流体がタンク31に行くことはない。チェック弁gは、ボトム側室内212aへ向かう回路内圧力と、この回路内圧力より高いバイパス回路a内の圧力の差により、弁が開放されて連通状態になる。
しかし、バイパス回路aの一端側のチェック弁gが開放されても、他端側である無操作時の方向制御弁(第3)253及びダブルパイロットチェック弁bは閉じられているため、バイパス回路a内の流体はボトム側室内212aへ向かうことがない。
伸縮手段41が完全に復帰した通常状態になるまで、作業部51に外力を与えて(1)〜(4)と続ける。
【0068】
図9乃至
図11を参照して、退避状態から通常状態に復元する場合であって、水平回動シリンダ212の動作によって行なう場合の動作順序を説明する。
図9では、作業部51を退避状態から通常状態に復元する場合であって、水平回動シリンダ212の動作によって行なう状態をあらわす。水平回動シリンダ212は、前後回動シリンダ417を伸長動作させるように操作部uを操作し、方向制御弁(第3)253の回路を切り替えることによって、伸長方向に駆動が可能である。
流体圧発生源24で発生した流体を、方向制御弁25の方向制御弁(第3)253、接続点a1を経て、バイパス回路aからチェック弁gを経て、水平回動シリンダ212のボトム側室内に引き込む。
【0069】
第2リリーフ弁dの設定された開放圧力は、水平回動シリンダ212の動作中において、ボトム側室内212aに向かう回路内の圧力より高いので、第2リリーフ弁dによってタンク31へ向かう回路は遮断され、流体は行止となる。また、可変絞り式スローリターンチェック弁fにおいて、絞り弁f1は常時閉状態であり、チェック弁f2はボトム側室内212aからタンク31に向かう方向において弁が閉じられるため、流体が行止となる。
ついで、前後回動シリンダ417のロッド側室内212bから流体をスローリターンチェック弁eの絞り弁e1を経て、タンク31に押し出す。すると、水平回動シリンダ212を、ストロークエンド方向にシリンダを伸長させる。
【0070】
前後回動シリンダ417を伸長させる方向(作業部51を前進させる方向)に操作部uで操作する場合を、水平回動シリンダが伸長してストロークエンドに達する直前(通常状態に復帰する直前)をあらわす
図9にしたがって説明する。操作部uには、方向制御弁25,方向制御弁(第3)253を操作するスイッチである操作レバーu3を設ける。
バイパス回路aは、前後回動シリンダ417に対しても、水平回動シリンダ212に対しても開いているが、まず、水平回動シリンダ212に流体は、流れる。
前後回動シリンダ417のピストン径より水平回動シリンダ212のピストン径を大きく設定し、且つ、マストフレーム21の回動に必要な水平回動シリンダ212の推力を小さくしているため、水平回動シリンダ212が優先して伸長動作する。このため、水平回動シリンダ212に優先して流体が流れ、ダブルパイロットチェック弁bに圧力がかからず、前後回動シリンダ417には流体が流れない。
【0071】
図10に図示するように、水平回動シリンダ212のシリンダがストロークエンドに到達後は、バイパス回路a内の圧力が高まり、方向制御弁(第3)253から接続点a1に向かった流体は、ダブルパイロットチェック弁bに向かう。すると、回路内の圧力の高まりによってダブルパイロットチェック弁bの弁を開放し、流体はボトム側室内417aに向かう。
前後回動シリンダ417のボトム側室内417aに、流体圧発生源24で発生した流体を、第1リリーフ弁c側に配置した流体の流入を抑制可能であるチェック弁253a、方向制御弁25の方向制御弁(第3)253を介して、引き込む。
【0072】
すると、前後回動シリンダ417のロッド側室内417bから流体を、ダブルパイロットチェック弁bを経て、方向制御弁25の方向制御弁(第3)253を介して、タンク31に押出し、前後回動シリンダ417のストロークエンド方向にシリンダを伸長させる。
すなわち、
図10に図示するように、流体圧発生源24である油圧ポンプで発生した流体圧は、方向制御弁25,方向制御弁253、チェック弁253a、ダブルパイロットチェック弁bを介して前後回動シリンダ417側に伝わる。
【0073】
次いで、
図10に図示するように、第3方向制御弁253とダブルパイロットチェック弁b間の回路の流体圧が高まるので、ダブルパイロットチェック弁bを開放できる。
その後、前後回動シリンダ417のボトム側室内417aに流体を流入させて、作業部51及び第2ブーム413を前進させる方向に前後回動シリンダ417を伸長させる。
【0074】
図11に図示するように、前後回動シリンダ417のシリンダが伸長しきり、ストロークエンドまで至る。すると、前後回動シリンダ417の一方の室であるボトム側室内417aへの流体である油圧の流入が、限界となり、流体は、前後回動シリンダ417の一方の室であるボトム側室内417aへの流入は、できなくなる。
水平回動シリンダ212のシリンダ及び前後回動シリンダ417のシリンダが共にストロークエンドに到達する。
【0075】
両シリンダのストロークエンドに到達後は、更に流入し続ける流体である油は、前後回動シリンダ417のボトム側室内417a及び水平回動シリンダ212のボトム側室内417aへ流入をせずに、チェック弁253a及び方向制御弁(第3)253を経て、接続点a1から、バイパス回路aに流入する。
バイパス回路aに流入した流体は、チェック弁g、第2リリーフ弁dを経て、直接タンク31に流入し、流体を回収する。この時、可変絞り式スローリターンチェック弁fのチェック弁f2は、行止となっている。
すると、マストフレーム21を通常位置側に回動させ、マストフレーム21を通常位置に復帰させる。
【0076】
バイパス回路aの流体はチェック弁gを通過して、水平回動シリンダ212のボトム側室内212aに流入し、水平回動シリンダ212を伸長させる。結果、マストフレーム21を通常位置側である前方方向に回動させる。
マストフレーム21が通常位置に復帰し、水平回動シリンダ212が伸長を停止させられる。すると、水平回動シリンダ212への流体の流入が停止し、バイパス回路a内の圧が高まるとともに、ボトム側室内212aに接続する回路内の圧力も高まる。
その後、第2リリーフ弁dが開放され、前後回動シリンダ417及び水平回動シリンダ212に向かう流体は第2リリーフ弁dを介してタンク31に回送される。操作部uによる操作を停止すると、方向制御弁253は中立位置に戻り、前後回動シリンダ417及び水平回動シリンダ212のストローク長は維持される。すなわち、マストフレーム21及び伸縮手段41の第2ブームの位置が第2リリーフ弁dの開放圧力に達するまで固定される。
【0077】
なお、この発明の第1実施例において、水平回動シリンダ212のシリンダ及び前後回動シリンダ417が共にストロークエンドに到達した状態で説明したが、両シリンダのストロークが中途状態で方向制御弁253の操作を停止しても、この時点のストローク長を維持できる。
したがって、不意にマストフレーム21や第2ブーム413が動くことがない。また、水平回動シリンダ212のシリンダ及び前後回動シリンダ417を動作させる回路内に異常圧力が発生した場合あっても、第2リリーフ弁dの設定圧力によって、異常圧力が発生した流体をタンク31に逃がすことができる。
【0078】
水平回動シリンダ212は、タンク31と直接的に回路を連結させ、且つ、このタンク31側との回路の一部を分岐して前後回動シリンダ417を制御する方向制御弁25の回路とバイパス回路aで連結している。また、水平回動シリンダ212のマストフレーム21への外力による強制的な伸縮に必要な流体をタンク31と直接的に受け渡し可能になる。
これらにより、水平回動シリンダ212を制御する方向制御弁25は前後回動シリンダ417を制御する方向制御弁25を兼用する形にできるので、必要部材を削減して、回路構成を簡略化できる。すなわち、シリンダの個数に対して、これらシリンダの駆動を制御する方向制御弁の数を少なくできる。
【0079】
バイパス回路aの構成により、5本あるシリンダの内、伸縮手段41を伸縮させる4本を操作する操作部uを構成するのみでよくなる。水平回動シリンダ212を直接操作する専用の操作部uは設けなくとも、別の操作部uで兼用ができる。操作部uを簡易な構成とすることができ、作業者が選択する操作部uの種類が減るので操作も容易になる。操作部uのそれぞれのシリンダの伸縮に対応したレバー及びボタンからなる。
【0080】
走行機体Bを使用した作業部51へ外力を与える強制復帰で、水平回動シリンダ212の復帰状態が途中であっても、操作部の操作で強制的に水平回動シリンダ212を伸長させて通常状態に復帰できる。
復帰が途中の状態で、走行機体Bを前進させた時でも、再度走行機体Bを後進させることなく、手元の操作部のスイッチを操作すると通常状態に復帰させることができる。したがって、走行機体Bを使用して復帰状態が途中で止まるような失敗をしても、再度、走行機体の進行方向を変えるための走行機体の操作に係る手間を省き、作業機Aに係る操作部uを操作するのみで復帰ができる。
【0081】
前後回動シリンダ417を短縮動作させる(第2ブーム413を後退方向に動作させる)場合、水平回動シリンダ212の近傍に配置したチェック弁gによって、水平回動シリンダ212のボトム側室内212a,ロッド側室内212bの圧力を保ち、低圧状態になっているバイパス回路a方向に流体が流出しない。これにより、前後回動シリンダ417を短縮動作させても、水平回動シリンダ212の動作によるマストフレーム21は後方に回動動作せず、作業者はマストフレーム21の回動を気にする必要がない。
【0082】
図12は、マストフレーム21が通常状態であって、前後回動シリンダ(第3シリンダ)417を短縮させて第2ブーム413を後方側に回動させた時の油圧回路の状態をあらわす。
流体圧発生源24で発生した流体を、チェック弁253a及び方向制御弁25の方向制御弁(第3)253を介して、前後回動シリンダ417のロッド側室内417bに、ダブルパイロットチェック弁bを経て、流入させる。すると、前後回動シリンダ417のシリンダは、短縮される。
チェック弁gにより、水平回動シリンダ212からパイパス回路aに向かう流体の流れは停止し、水平回動シリンダ212のストロークは、衝突まで維持される。前後回動シリンダ417の短縮動作時において、バイパス回路aから、水平回動シリンダ212に、流体は流入することはない。
【0083】
展開状態の作業部51を接地させながら走行機体Bを後進させて、通常状態に戻す説明をしたが、必ずしもこれに限られない。マストフレーム21及び伸縮手段41を介して強制的に水平回動シリンダを伸長させればよい。たとえば、走行機体Bを停止させ、展開状態の作業部51の接地を解除し、作業者によって作業部51を通常位置に向かうように外力を与えてマストフレーム21回動させても、作業部51及び伸縮手段41及びマストフレーム21を通常位置に復帰させることができる。
【0084】
この発明の第2実施例について
図13乃至
図18に基づき説明する。第2実施例の
図13乃至
図16に図示する機械構造は、第1実施例の
図1乃至
図5に図示する機械構造と同一図番については、共通である。
第2実施例は、第1実施例に加えて、
図19乃至
図22に図示する、第1電磁チェック弁m、第2電磁チェック弁n、制御部t、圧力スイッチk、蓄圧器(アキュムレータ)r、スローリターンチェック弁p、スローリターンチェック弁pの絞り弁p1、スローリターンチェック弁pのチェック弁(逆止弁)p2を設けている。
第2実施例は、蓄圧器rを有し、圧力スイッチkの作動を受けて上昇動作をおこなう。
【0085】
第2実施例において、
図17に図示するuは、操作部である。操作部uは、走行機体Bに設け、制御部tを介して方向制御弁25を操作する。操作部uには、圧力スイッチ作動スイッチu1およびフローティングスイッチu2、操作レバーu3を設ける。圧力スイッチ作動スイッチu1は、圧力スイッチkの検出機能をオン状態とオフ状態に切り替える。フローティングスイッチu2は、作業部51をフローティング作動状態、あるいはフローティング作動解除状態にする。作業部51をフローティング作動状態にすると、展開状態の作業部51が後述の操作レバーu3の操作によらず自由に上下動するので、進行と共に作業面の凹凸部に追従することができる。操作レバーu3は、方向制御弁25を動作させて、第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418のそれぞれを伸縮動作させることができる。
【0086】
第2実施例の油圧回路図である
図19乃至
図22に基づいて説明する。
mは、第1電磁チェック弁である。nは、第2電磁チェック弁である。第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nは、電気信号によって動作する弁からなる。第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nは、第1シリンダ415と方向制御弁25との間の回路に設ける。
第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nは、第1シリンダ415と方向制御弁25との回路を開放した開放状態と、第1シリンダ415から方向制御弁25側への流体の流出を阻止する阻止状態とに切換可能である。
操作レバーuを人為的に操作することによって方向制御弁25が作動すると同時に、第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nは、第1シリンダ415と方向制御弁25との回路を開放した開放状態にする。これにより、方向制御弁25から第1シリンダ415へ流体を圧送することができ、第1ブーム411を回動させて、作業部51を上昇あるいは下降させることができる。
【0087】
図18に図示する制御部tは、方向制御弁25、251及び第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nに接続し、これらの動作を制御する。
図18に図示するように、制御部tは、報知部q、表示部s、受信部oに接続する。
制御部tは、圧力スイッチkの作動を検知信号として圧力スイッチkから入力し、検知信号を受けたのち方向制御弁25へ方向制御弁25を動作させる動作信号として出力する。また制御部tは、操作部uから発信した人為操作された操作レバーu3の作動による操作信号を受信部oで受信したのち、これを操作信号として入力として、方向制御弁25へ方向制御弁25を動作させる信号を出力する。
方向制御弁25は、制御部tから出力された動作信号を受信すると、方向制御弁25、及び第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nを動作させ、第1シリンダ415に流出入させる流体を制御する。制御部tは、操作部uの操作及び圧力スイッチkの作動を受けて発信される信号を受信すると、制御部tを介して、方向制御弁25及び第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nの作動を制御する。
操作部uによる操作によって、第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nの内、少なくとも何れか一方を阻止状態あるいは開放状態にさせることが可能である。
【0088】
操作レバーu3を人為的に操作した場合、操作部uから発信された操作信号は、受信部oで受信するとともに、制御部tに送られ、制御部tに入力される。操作信号を受領した制御部tは、次に他の構成部材を動作させる動作信号を出力する。つまり、制御部tによって出力した動作信号は、第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nを開放状態にさせるように制御する。さらに、制御部tによって出力した動作信号は、伸縮手段41の他端側を上昇させる方向あるいは下降させる方向に動かすように方向制御弁25の動作を制御する。
方向制御弁25、第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nは、電気信号によって動作する弁であり、これら弁は、制御部tによって動作が制御されている。
【0089】
kは、圧力スイッチである。圧力スイッチkは、
図13、
図15、
図16に図示するように、水平回動シリンダ212の進行方向後方に突起させる。また、圧力スイッチkは水平回動シリンダ212の圧力を検知できればよく、第2実施例の配置に限定はされない。圧力スイッチkは、
図19乃至
図22に図示するように、水平回動シリンダ212のボトム側室内212aに接続し、水平回動シリンダ212内の圧力が設定した圧力に達すると作動し、この作動を検出信号として制御部tに発する。制御部tは圧力スイッチkからの検出信号を受信したのちに、方向制御弁25、第1電磁チェック弁m、第2電磁チェック弁n、報知部q、表示部s等を動作させる出力信号を発することができる。
圧力スイッチkを、水平回動シリンダ212のボトム側室内212aの近傍に配置することにより、水平回動シリンダ212が短縮しようとして発生するボトム側室内212a側の圧力を直接的に検知できる。
【0090】
操作部uには、制御部tが圧力スイッチkの検出信号を検知する、または、検知しないように制御する切換スイッチである圧力スイッチ作動スイッチu1が設けられていてもよい。このようにすることで、作業者の好みに合わせて作動状態を選択出来るので、使用する人を選ばず、誰でも使用が可能になる。
操作部uは、無線送信によって制御部tを介し、各種弁を操作するように図示しているが、有線であっても良い。
【0091】
図18に図示するように、制御部tは、制御部tに接続する報知部qを有する。制御部tは、圧力スイッチkの作動を検知すると、報知部qによって作業者に音声で報知させるための信号及び情報を出力することができる。
制御部tは、
図18に図示するように、制御部tに接続する表示部sを有する。制御部tは、圧力スイッチkの作動を検知すると、表示部sに表示させるための信号及び情報を出力することができる。
【0092】
圧力スイッチkからの検知信号を受けた制御部tは、前記の各種弁をはじめ、電気制御が必要な部材に動作信号を送ることが可能である。伝送された動作信号により、報知部(スピーカ等の音響機器)qや表示部(図示せず。ディスプレイ装置やランプ類)s等を動作させる信号を送ることが可能である。
【0093】
第2リリーフ弁dは、
図19乃至
図22に図示するように、圧力スイッチkと水平回動シリンダ212を連結する回路から分岐して設ける。リリーフ弁(第2リリーフ弁)dの作動設定圧力は、圧力スイッチkが作動する設定圧力より高い設定圧力からなる。
この発明の第2実施例では、水平回動シリンダ212が短縮してマストフレーム21が後方側に回動する前に、検知可能なオン状態の圧力スイッチkが作動する。すなわち、第2リリーフ弁dが作動する前に、圧力スイッチkが作動する。第2リリーフ弁dが作動する前に、圧力スイッチkが作動することにより、伸縮手段41の他端側(作業部51)が障害物によって進行方向後方側に押圧されたときに発生する、ボトム側室内212aの圧力上昇を早期に検知できる。
【0094】
圧力スイッチkが動作すると、圧力スイッチkは検出信号を発し、検出信号を受信した制御部tは、方向制御弁251、第1電磁チェック弁m、第2電磁チェック弁nを動作させる動作信号を出力する。この動作信号を受けた方向制御弁251は、伸縮手段41の他端に備えた作業部51を上昇させるべく、第1シリンダ415に流体を送るように回路を切り換える。第2実施例においては、方向制御弁251からロッド側室内415bに流体を圧送するように回路を切り換える。さらに、制御部tから出力された動作信号は、第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nにも伝送されている。動作信号を受けた第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nは、それぞれの回路を開放状態に切り換える。
このようにして、流体圧発生源24から送られた流体を第1シリンダ415に送ることで、伸縮手段41が上昇する。すなわち、障害物Jに当接した作業部51あるいは伸縮手段41によって、マストフレーム21が後方に回動しようとする力が発生し、水平回動シリンダ212のボトム側室内212a側の回路における圧力が高まると、伸縮手段41及び作業部51は上昇することができる。
【0095】
第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nを、第1シリンダ415に近接して配置することにより、第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nが阻止状態であって、非動作時の第1シリンダ415の伸縮を防止し、伸縮手段41を任意の位置で安定的に固定することが可能である。
【0096】
圧力スイッチkの作動によって伸縮手段41が上昇し、その後、作業部51及び伸縮手段41と障害物Jとの押圧が解消して水平回動シリンダ212内の圧力が低下すると、圧力スイッチkの作動が停止し、上昇が停止する。詳細には、圧力スイッチkの作動が停止すると、動作信号が停止するので、制御部tは動作信号の入力も停止する。
動作信号の入力が途絶えたことを認識した制御部tは、方向制御弁251及び第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nへの出力信号も停止させる。これにより、方向制御弁251は、初期状態である中立位置に復帰し、第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nは初期状態である阻止状態に復帰する。このようにして、障害物Jとの押圧を圧力スイッチkにより早期に検出することで、作業部51が障害物Jを乗り越えることができる。
【0097】
この時、作業部51は障害物Jを乗り越えるために上昇したままであるので、元の作業面からは浮き上がった状態である。作業部51を元の作業面に復帰させるには、操作レバーu3を操作して作業部51を降下させる。
操作レバーu3によって降下させるように操作すると、操作信号を受けた制御部tは、方向制御弁251を動作させて流体の流れを制御し、第1シリンダ415を伸長させる。つまり、作業部51は下降することができる。作業者は作業部51が元の作業面に接地したことを確認した後、操作レバーu3の操作をやめることによって、方向制御弁251を中立状態に戻して、伸縮手段41の動作を停止させる。
上記したように、操作レバーu3の人為操作によって、作業部51を降下させて作業面に接地させる場合、伸縮手段41の他端側に位置した作業部51は作業面に対して安定して接することができないので、作業精度が低下する。この場合、草刈高さが安定しないことがある。これを防ぐ方法として、作業部51をフローティング状態にすることで、上昇した作業部51を自動で作業部51を作業面に再度接地させる方法がある。
【0098】
図19乃至
図22に図示するpは、スローリターンチェック弁である。p1はスローリターンチェック弁pの絞り弁、p2はスローリターンチェック弁pのチェック弁(逆止弁)である。
スローリターンチェック弁pは、絞り弁p1にチェック弁p2を組込んだもので、一方向の流量を小さく絞って制限し、逆方向の流れを自由に通過させることができる。この発明の第2実施例において、第1シリンダ415から方向制御弁25へ向かう側への流体の流れは絞り弁p1によって制限して行い、方向制御弁25から第1シリンダ415へ向かう流れは、チェック弁p2によって制限なく行うことができるように構成している。
【0099】
rは、蓄圧器(アキュムレータ)である。蓄圧器rは、第1シリンダ415と第1電磁チェック弁mとを連結する回路の中途部に配置する。蓄圧器rは、第1シリンダ415のロッド側室内415bからの流体を蓄圧する。
蓄圧器rは、第1シリンダ415のストロークを5〜10%程度ストロークさせるだけの容量を確保している。この発明の実施形態においては、第1シリンダ415のストロークの内、7%の可動を可能とする容積に設定している。
蓄圧器rは、方式を問わない。蓄圧器rは、この発明の第2実施例においては、気体式ダイアフラム形の蓄圧器を採用している。小型・軽量であるため、機体全体のコンパクト化に寄与する。
【0100】
第2実施例での、フローティング状態の一例を示す。この例でフローティング状態を取る場合、操作部uのフローティングスイッチu2を操作することによって、作業機Aは第1のフローティング状態に移行する。
フローティングスイッチu2の操作を受けて、操作部uが操作信号を送信し、受信部oがこの信号を受信する。次いで、受信部oが受信した信号を制御部tに送り、制御部tは第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nをそれぞれ開放状態にさせる。この信号を受けて第1のフローティング状態を取った第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nは、方向制御弁25の動作状態によらず、常時開放状態にさせる。
第1のフローティング状態の第1シリンダ415のロッド側室内415b及びボトム側室内415aのそれぞれは、中立状態の方向制御弁251を介してオイルタンク31と連通状態となり、第1シリンダ415は自由に伸縮可能な状態である。つまり、第1ブームは自由に回動することができる状態である。このため、通常状態且つ展開状態で、前進すると共に作業部51を作業面に接地させると、作業部51及び伸縮手段41は、地面の起伏に沿うように上下動することができる。この時、蓄圧器rに接続する回路は低圧状態であり、蓄圧器r内に流体を貯留することはない。
【0101】
この発明の第2実施例に係る油圧回路の動作順序について、
図20乃至
図22にしたがって、説明する。図中低圧状態は太線一点鎖線であらわし、高圧状態は、太線実線であらわす。
作業機Aは、伸縮手段41が展開状態且つ通常状態で前進方向に進行しながら作業しているものとして説明する。
【0102】
A.
図22に基づいて、圧力スイッチkの動作によって伸縮手段41を上昇させる場合について説明する。
図22は、この発明の第2実施例に係る作業機の油圧回路図をあらわす図であって、圧力スイッチkの動作を受けて作業部51が上昇状態をあらわす。
(1)伸縮手段41あるいは作業部51が障害物Jによって進行方向の後退側に押される。
(2)伸縮手段41を連結するマストフレーム21が、後退方向に回動する方向に力が加えられる。このとき、マストフレーム21は、回動しない。
(3)マストフレーム21が、後退方向に回動する方向に力が加えられると、水平回動シリンダ212のロッドが短縮方向に移動しようとする力が発生する。そのため、水平回動シリンダ212のボトム側室内212aの圧力が高まる。
【0103】
(4)流体は、常時閉状態の可変絞り弁f1、チェック弁f2、チェック弁gによって、移動が阻止された状態となっている。さらに、リリーフ弁dも設定圧力以下の流体圧であるので、流体の移動が阻止されている。
(5)リリーフ弁dも設定圧力以下の流体圧であって、圧力スイッチkの設定された流体圧力に達すると、圧力スイッチkが作動する。
圧力スイッチkは、
図20に図示する状態となる前に作動する。リリーフ弁dが作動すると、
図20に図示する状態となる。この実施例で示したように、圧力スイッチkの設定圧力は、リリーフ弁dの設定圧力より低ければよく、圧力スイッチkが作動する圧力は任意の値に設定することができる。
仮に圧力スイッチkの設定圧より回路圧が高まり、且つ、リリーフ弁dの設定圧力まで達した場合の動作はCで後述する。
【0104】
(6)制御部tは、圧力スイッチkの動作信号を検出し、方向制御弁251及び第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nを作動させる信号を発する。方向制御弁251は、同信号を受領すると、弁を作動させて、流体圧発生源24で発生させた流体圧を、第1シリンダ415に移動可能な状態にできる。この発明の実施形態の場合、第1シリンダ415のロッドが短縮する方向に方向制御弁251内の弁を移動させ、流体を制御する。
(7)方向制御弁251が、方向制御弁251を作動させる信号を受領すると、同時に、第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nも信号を受領して第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nを作動させて、方向制御弁251と第1シリンダ415との間で流体が移動可能な状態にさせる。
【0105】
(8)流体圧発生源24で発生させた流体圧は、チェック弁251a、方向制御弁251、スローリターンチェック弁pのチェック弁p2、第1電磁チェック弁mを介して、第1シリンダ415のロッド側室内415bに流入する。回路構成上、第1電磁チェック弁mとロッド側室内415bとの間に蓄圧器rがあるので、蓄圧器rにも流体が流入する。
(9)第1シリンダ415のロッドが短縮する方向に動作する。第1シリンダ415のボトム側室内415aの流体は、ボトム側室内415aから第2電磁チェック弁nを通過して方向制御弁251に移動し、その後、タンク31に戻される。
【0106】
(10)その結果、伸縮手段41の第1ブーム411の先端(であるとともに他端部)が上昇する方向に回動動作し、伸縮手段41の他方端部に接続されている作業部51も上昇する。
(11)以上により、作業面から突出した障害物Jを、作業部51が上昇することによって、乗り越えることができる。
【0107】
B.
図21に基づいて、圧力スイッチkの動作によって第1のフローティング状態を取った伸縮手段41を下降させる場合について説明する。
図21は、第2実施例に係る作業機の油圧回路図をあらわす図であって、フローティングスイッチu2を作動させた状態で作業部51が下降状態をあらわす。具体例として、障害物Jを作業部51が乗り越えた直後に作業部51が下降することを想定している。
(1)伸縮手段41あるいは作業部51へ障害物Jによる後退側の押圧が解除されると、マストフレーム21を後方側に回動させる押圧力も解除されるので、水平回動シリンダ212に接続する回路内の圧力が低下する。
(2)上記回路内の圧力低下により、圧力スイッチkの作動が解除される。制御部tは圧力スイッチkの動作信号の遮断を検出し、方向制御弁251を中立位置に復帰するように作動させる。流体圧発生源24から送られる流体は、第1シリンダ415には送られず、方向制御弁251内のアンロード回路hを経てタンク31に戻る。
【0108】
(3)この時、制御部tは、フローティングスイッチu2の作動によって、第1のフローティング状態であるので、第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nを方向制御弁251と第1シリンダ415との連通状態を維持するように作動させる。
(4)第1シリンダ415のロッド側室内415b及び、第1シリンダ415のボトム側室内415aは、方向制御弁251を介して、タンク31と自由に行き来できる状態となっていて、伸縮手段41の自重によって伸縮手段41は、下方に降下する。すなわち、圧力スイッチkの作動が解除された直後から伸縮手段41が下降を開始する。
この発明の実施形態の第2実施例の場合において、第1シリンダ415のロッドは伸長する方向に移動する。
【0109】
(5)伸縮手段41が降下し、作業部51が作業面である地面に接地すると、伸縮手段41及び作業部51は地面に支えられた状態になるので、下方への移動が停止する。
(6)以上により、作業部51は、障害物Jを乗り越えた後は、自動的に作業面である地面上に接する状態に復帰するので、作業者が意図的に操作せずとも対地作業を継続することができる。
【0110】
(7)流体は、(6)に続き、第1シリンダ415とオイルタンク31との間で、自由に往来可能な状態であるので、第1シリンダ415は自由に伸縮することが可能な状態である。この発明の実施形態の第2実施例の場合において、伸縮手段41及び作業部51が下方から上方に押し上げる力が作用した場合、伸縮手段41の第1ブーム411が上方に回動することができる。上方への押し上げ力が解除されると、再び伸縮手段41が下降することが可能となる。つまり、作業部51は、作業面の起伏に倣って上下に追従することが可能となっている。
【0111】
(8)方向制御弁251から第1電磁チェック弁mへ向かう途中の回路内には、スローリターンチェック弁pが配置されている。スローリターンチェック弁pには、流量を縮小させる絞り弁p1と、第1シリンダ415のロッド側室内415bから方向制御弁251に向かう流体の流れを規制することができるチェック弁p2とから構成する。
このような構成により、第1シリンダ415のロッドが短縮方向に移動するとき、方向制御弁251側の流体はチェック弁p2を介して、流量の規制なく第1シリンダ415のロッド側室内415bに流れ込むことが可能である。
【0112】
それに対して、第1シリンダ415のロッドが伸長方向に移動するとき、第1シリンダ415のロッド側室内415bの流体はチェック弁p2を通らずに絞り弁p1を介して、方向制御弁251側に移動する。
このように構成したので、作業部51が下降する場合は、伸縮手段41の第1ブーム411が絞り弁p1によってゆっくりと回動し、作業部51が上昇する場合は、伸縮手段41の第1ブーム411は、規制なく即座に回動することが可能である。
【0113】
C.
図20に基づいて、圧力スイッチkの設定圧を超え、さらにリリーフ弁dの設定圧力まで達した場合の動作について説明する。急激に圧力スイッチkの設定圧を超えてリリーフ弁dの設定圧力に達したものとして説明する。
(1)伸縮手段41あるいは作業部51が障害物Jによって進行方向の後退側に押される。
(2)伸縮手段41を連結するマストフレーム21が、作業部51の後退方向に回動する方向に力が加えられる。このとき、回動はしない。
(3)水平回動シリンダ212のロッドが短縮方向に移動しようとする力が発生するため、ボトム側室内212aの圧力が高まる。
【0114】
(4)流体は、常時閉状態の可変絞り弁f1、チェック弁f2、チェック弁gによって、移動が阻止された状態となっている。ボトム側室内212a側の回路に配置されたリリーフ弁dが設定圧力に達すると弁が開き、ボトム側室内212a側の流体はタンク31に流通する。水平回動シリンダ212のロッドが短縮方向に移動する。
【0115】
(5)同時に、水平回動シリンダ212のタンク31と接続されているロッド側室内212bに、タンク31からスローリターンチェック弁eのチェック弁e2側を通って規制なく流体を流入させる。
すると、水平回動シリンダ212のロッドは短縮する方向に移動し、その結果、マストフレーム21は後方側に回動する。すなわち、伸縮手段41及び作業部51は障害物Jに押されて、相対的に主フレーム11の後方側に回動する。
(6)水平回動シリンダ212の復帰方法は、
図8に図示し、[0064]以下に記載する第1実施例と同様である。
【0116】
(7)微小時間で考えると、設定圧力の差から、作業部51が上昇し、その後、退避動作に入ることになる。すなわち、A.(1)〜(10)の動作の後に、C.(1)〜(5)が行われることになる。
(8)以上の構成により、上昇動作をしても障害物Jとの押圧状態が解消されない場合は、マストフレーム21が後方側に回動することで、障害物J及び作業機Aの損傷を回避することができる。
【0117】
図23に図示する第3実施例は、第2実施例から蓄圧器rを省略してなり、圧力スイッチkの作動を受けて上昇動作を行う。
蓄圧器rは、地面に対して、作業機Aの追随性能をより優位にさせるものであるため、蓄圧器rが無いと、ある場合に比べて地面に対する追随性を大きく向上させることはできない。しかし、蓄圧器rが無いと、回路の簡略化ができるため、より安価に需要者に提供が可能である。
図21や
図26に示すように、作業場所によって、第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nを作動状態を切り替えて、蓄圧器rの作用の切り替えが可能である。この構成の場合は、作動状態を設定し、フローティングスイッチu2によって状態をそれぞれに切り替えることで蓄圧器の作用を切り替え、追随性能を変えることが可能となる。この発明の実施例の説明において、複数のフローティング状態には第1のフローティング状態と第2のフローティング状態と、がある。
第1のフローティング状態は、第1電磁チェック弁m、第2チェック弁はともに開放させて、作業部51への付勢なしのフローティング状態にする。蓄圧器rの有無は問わない。
第2のフローティング状態は、第1電磁チェック弁mは阻止、第2チェック弁は開放させて、作業部51を上方に付勢可能なフローティング状態にする。この場合、蓄圧器rは必須構成となる。
【0118】
図23は、蓄圧器rを省略した第3実施例の油圧回路図である。
流体圧発生源24で発生させた流体圧は、チェック弁251a、方向制御弁251、スローリターンチェック弁pのチェック弁p2、第1電磁チェック弁mを介して、第1シリンダ415のロッド側室内415bに流入する。回路構成上、第1電磁チェック弁mとロッド側室内415bとの間に蓄圧器rを設けていない場合は、蓄圧器rに流体が流入することはないため、作業部51を上方に付勢する作用はない。
第3実施例は、第5実施例の一部をなす。
【0119】
第4実施例に係る蓄圧器rを有する作業機Aの油圧回路図をあらわす
図24乃至
図26に基づき説明する。
第4実施例の機械構造は、第2実施例の
図13乃至
図17に図示する機械構造と共通である。第4実施例は、
図19に図示する第2実施例の蓄圧器rを有する油圧回路構成からなり、
図24乃至
図26に油圧回路の動作順序を図示する内容のように、回路を切り換えて流体を制御する。
第4実施例は、蓄圧器rを有し、第1電磁チェック弁mは阻止して、第2電磁チェック弁nは開放させて、作業部51を上方に付勢可能な第2フローティング状態にする。
【0120】
作業部51の第2のフローティング作動状態は、制御部tが、第1シリンダ415のロッド側室内415bから第1電磁チェック弁mにかけた回路を閉鎖状態(阻止状態)とし、第1シリンダ415のボトム側室内415aに接続する第2電磁チェック弁nは方向制御弁251と挿通可能な開放状態にさせることで行う。
制御部tのフローティングスイッチu2の操作によって、第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nを作動させることで、第1シリンダ415は蓄圧器rによって伸縮が可能な作業部51の第2のフローティング作動状態になる。
作業部51が第2のフローティング作動状態を取った場合は、蓄圧器rの補助を受けながら第1シリンダ415のストロークが伸縮自在な状態となり、地面の起伏を受けて伸縮手段41が上下動する。その結果、作業部51が上方に付勢を受けたように上下動するので、進行と共に作業面の凹凸部により容易に追従することが可能である。
【0121】
作業部51の第2のフローティング作動状態にするには、操作部uに設けた操作スイッチであるフローティングスイッチu2を操作して、第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nを作動させる。走行機体B側に配置している操作部uにより、作業者がいつでも作動状態の切り替えを行うことが可能である。
操作部uにより第2のフローティング状態の作動状態をとるとき、第1シリンダ415のボトム側室内415aは、第2電磁チェック弁n及び方向制御弁251を介して、タンク31と連通状態となる。その結果、第1シリンダのロッド側室内415bは、高圧且つ閉鎖状態(阻止状態)となった回路中に蓄圧器rが配置されているので、第1シリンダ415のロッドを設定された範囲内で、自由に伸縮ができる。そのため、伸縮手段41の姿勢の固定が解除され、自由に作業部51が上下動することができる。
【0122】
第2のフローティング状態が作動状態のとき、作業部51が下降する場合、第1シリンダ415は伸長する方向であり、また、第1シリンダ415のロッド側室内415bから第1電磁チェック弁mにかけた回路は閉鎖状態となっている。この回路の中途部に配置した蓄圧器rによって、ロッド側室内415b側に圧力をかけながら流体を収納することができるので、第1シリンダ415は第1シリンダ415のロッドが短縮する方向、つまり、作業部51が上昇する方向に付勢することになる。
その結果、作業部51の作業面に対する接地圧が軽減され、より一層作業面に存在する起伏部に追従することができる。すなわち、蓄圧器rが貯蔵可能な要領の範囲で、蓄圧器rと第1シリンダ415のロッド側室内415bの流体が出入りすることで、第1シリンダ415が伸縮可能な状態となる。
【0123】
蓄圧器rは、地面に対して、追従する作業部51を上方に付勢するので、起伏がある地面に対して滑らかに且つ軽快に追従することができる。また、第2フローティング状態は作業部51と接触する作業面との接地圧を低減できるので、作業面である地面が軟弱な場合でも、地面を損傷させることを抑制し、且つ、起伏に沿って滑らかに追従することができる。
【0124】
図24は、操作レバーu3の操作を受けた作業部51が上昇状態の時の回路をあらわす。
図25は、操作レバーu3の操作を受けた作業部51が下降状態の時の回路をあらわす。
図26は、フローティングスイッチu2の操作を受けた作業部51が第2のフローティング状態の時の回路をあらわす。
第4実施例に係る油圧回路の動作順序について、
図24乃至
図26にしたがって、説明する。図中低圧状態は太線一点鎖線であらわし、高圧状態は、太線実線であらわす。
作業機Aは、伸縮手段41が通常状態且つ展開状態で前進方向に進行しながら作業しているものとして説明する。
【0125】
1−A.操作部uによって、伸縮手段41を昇降させる場合について説明する。
(1)操作部uの操作レバーu3を操作することによって、操作部uから送信された操作信号を受信部oで受けたのち当該信号を入力した制御部tは、方向制御弁251に出力信号を発して方向制御弁251を動作させ、流体圧発生源24で発生させた流体圧を第1シリンダ415側に流出入可能にする。
(2)同時に制御部tは、第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nに動作信号を出力し、第1電磁チェック弁m、第2電磁チェック弁nのそれぞれを開放状態に作動させて、流体圧発生源24で発生させた流体圧を、方向制御弁251を介して、第1シリンダ415側に流出入可能にする。
【0126】
図24では、第1シリンダ415が短縮する方向(作業部51が上昇する方向)に操作レバーu3を操作したときの油圧回路の状態を示す。
流体は、流体圧発生源24→チェック弁251a→方向制御弁251→スローリターンチェック弁pのチェック弁p2→第1電磁チェック弁m→蓄圧器r及びロッド側室内415bに圧送される。
さらに、流体は、ボトム側室内415ab→第2電磁チェック弁n→方向制御弁251→オイルタンク31に回収される。
【0127】
図25では、第1シリンダ415が伸長する方向(作業部51が下降する方向)に操作レバーu3を操作したときの油圧回路の状態を示す。
流体は、流体圧発生源24→チェック弁251a→方向制御弁251→第2電磁チェック弁n→ボトム側室内415abに送られる。
さらに、流体は、蓄圧器r及びロッド側室内415b→第1電磁チェック弁m→スローリターンチェック弁pの絞り弁p1→方向制御弁251→オイルタンク31に回収される。
【0128】
上記
図24、
図25に図示するいずれの場合も、操作部(操作レバー)u3の操作を停止すれば、方向制御弁251を中立位置にして、流体圧発生源24で発生させた流体圧を、アンロード回路hを経由させて、オイルタンク31に返送する。
同時に、第1電磁チェック弁m、第2電磁チェック弁nをそれぞれ阻止状態にして、第1シリンダ415の伸縮長を安定的に維持する。
【0129】
1−B.操作部によって、第2のフローティング状態を取った場合について、
図26に基づいて説明する。
(1)操作部uに設けたフローティングスイッチu2を操作すると、操作部uから送信された操作信号を受信部oで受けたのち当該信号を入力した制御部tは、第2電磁チェック弁nに動作信号を送り、第2のフローティング状態をとる。第2のフローティング状態のとき、制御部tからの信号を受けない第1電磁チェック弁mを阻止状態にさせ、動作信号を受けた第2電磁チェック弁nを開放状態にさせる。手動で伸縮手段41を動作させる操作部uの操作レバーu3の操作がない限り、方向制御弁251は中立のままである。したがって、流体圧発生源24で発生した流体圧は、第1シリンダ415に伝送されずにオイルタンク31に戻される。
【0130】
(2)この時、蓄圧器rによって、第1電磁チェック弁mとロッド側室内415bは高圧を保っている。さらに、ボトム側室内415aは方向制御弁251を介して、オイルタンク31と挿通状態を取り、ボトム側室内415a及びボトム側室内415aに接続した回路は低圧状態となる。流体圧発生源24から送られる流体は、方向制御弁251のアンロード回路hを介してオイルタンク31に戻される。このため、ボトム側室内415aの流体は、オイルタンク31との間で容易に流出入でき、方向制御弁251の動作によらない第1シリンダ415の伸縮を可能にできる。
【0131】
(3)上記(2)の状態によって、第1シリンダ415のピストンは、蓄圧器rの圧力によって、ボトム側室内415aに移動させようとする。すなわち、第1シリンダ415は短縮方向に付勢された状態となる。結果、伸縮手段41の他端側に位置した作業部51は上方に付勢された状態になる。
【0132】
(4)実際の作業に即して述べると、第2のフローティング状態の作業部51は、上方に付勢された状態であるので、作業面である地面との接地圧力が低減された状態になる。このため、作業面が有する起伏に作業部51が位置しても、この起伏に沿って上下動することが容易にできる。
作業部51が地面に沿って上昇する場合、蓄圧器r内の圧力で第1シリンダを短縮方向に付勢しているため、第1ブーム411の他端が上昇する方向に容易に回動し、作業部51が地面の起伏に沿って上昇する。
【0133】
作業部51が地面に沿って下降する場合、蓄圧器r内の圧力により、第1シリンダ415はこの圧力に抗するように、ゆっくりと伸長する。第1ブーム411の他端は下降する方向にゆっくりと回動するため、作業部51が急に陥没するような地面の窪みがあっても、急激に落下することがない。したがって、作業部51はゆっくりと降下し地面に接地するので、接地時の衝撃を減少させ、結果、地面及び作業機Aを損傷させることを抑制できる。
また、第2のフローティング状態のときに、操作レバーu3の操作信号を制御部tに入力させると、上記1−B.の第2のフローティング状態は一時的に取り消され、操作レバーu3を使用した上記1−A.に記載の動作が優先される。操作レバーu3の操作が無くなると、フローティングスイッチu2の動作信号を制御部tで認識したままであるので、再び、上記1−B.の第2のフローティング状態に復帰する。
【0134】
第5実施例に係る同蓄圧器rを有さない作業機Aの油圧回路図をあらわす
図27乃至
図29に基づき説明する。
図27は、作業部51が操作部uの操作による上昇状態をあらわす。
図28は、作業部51が操作部uの操作による下降状態をあらわす。
図29は作業部51がフローティング状態をあらわす。この時のフローティング状態は第1のフローティング状態である。
第5実施例の機械構造は、第2実施例の
図13乃至
図17に図示する機械構造と共通である。第5実施例は、
図27乃至
図29に油圧回路図を記載するように、
図23に図示する油圧回路図からからなる第3実施例に流体を流す内容からなる。蓄圧器rは有さない。
図27乃至
図29図中低圧状態は太線一点鎖線であらわし、高圧状態は、太線実線であらわす。
第5実施例では、蓄圧器rを有し、第1電磁チェック弁m、第2電磁チェック弁nはともに開放させて、作業部51への付勢なしの第1フローティング状態にする。
【0135】
2−A.操作部によって、伸縮手段41を昇降させる場合について説明する。
(1)操作部uの操作レバーu3を操作することによって、受信部oを介して操作信号を受けた制御部tは、方向制御弁251を動作させる信号を出力して方向制御弁251を動作させ、流体圧発生源24で発生させた流体圧を第1シリンダ415側に流出入可能にする。
(2)同時に制御部tは、動作信号を出力して第1電磁チェック弁m、第2電磁チェック弁nのそれぞれを開放状態に作動させて、流体圧発生源24で発生させた流体圧を、方向制御弁251を介して、第1シリンダ415側に流出入可能にする。
【0136】
図27では、第1シリンダ415が短縮する方向(作業部51が上昇する方向)に操作レバーu3を操作したときの油圧回路の状態を示す。
流体は、流体圧発生源24→チェック弁251a→方向制御弁251→スローリターンチェック弁pのチェック弁p2→第1電磁チェック弁m→ロッド側室内415bに圧送される。さらに、流体は、ボトム側室内415a→第2電磁チェック弁n→方向制御弁251→オイルタンク31に回収される。
【0137】
図28では、第1シリンダ415が伸長する方向(作業部51が下降する方向)に操作レバーu3を操作したときの油圧回路の状態を示す。
流体は、流体圧発生源24→チェック弁251a→方向制御弁251→第2電磁チェック弁n→ボトム側室内415aに送られる。
さらに、流体は、ロッド側室内415b→第1電磁チェック弁m→スローリターンチェック弁pの絞り弁p1→方向制御弁251→オイルタンク31に回収される。
【0138】
上記
図27、
図28図示するいずれの場合も、操作レバーu3の操作を停止すれば、方向制御弁251を中立位置にして、流体圧発生源24で発生させた流体圧を、アンロード回路hを経由させて、オイルタンク31に返送する。同時に、第1電磁チェック弁m、第2電磁チェック弁nをそれぞれ阻止状態にして、第1シリンダ415の伸縮長を安定的に維持する。
【0139】
2−B.操作部によって、フローティング状態を取った場合について、作業部51がフローティング状態をとる
図29に基づいて、説明する。
(1)操作部に設けたフローティングスイッチu2を操作すると、操作部uから送信された信号を受信部oを介して入力した制御部tは第1のフローティング状態をとるものと判断する。第1のフローティング状態のとき、制御部tは、信号を出力して第1電磁チェック弁m及び第2電磁チェック弁nをそれぞれ開放状態にさせる。
手動で伸縮手段を動作させる操作部の操作レバーu3の操作がない限り、方向制御弁251は中立のままとなる。
【0140】
(2)この時、第1シリンダ415のボトム側室内415a及びロッド側室内415bは、方向制御弁251を介して、オイルタンク31と挿通状態を取る。第1シリンダ415はオイルタンク31と常時連絡状態である。
(3)また、第1シリンダ415に接続される回路は低圧状態となる。流体圧発生源24から送られる流体は、方向制御弁251のアンロード回路hを介してオイルタンク31に戻されるので、第1シリンダ415へ向かうことはない。
【0141】
(4)上記
図29に図示する状態によって、作業部51及び伸縮手段41が上下動することで、第1シリンダ415は自由に伸縮ができる。いわば、作業部51及び伸縮手段41は、第1シリンダ415が無い状態と同等と言える。
【0142】
(5)実際の作業に即して述べると、フローティング状態の作業部51は、自由に上下動ができる状態であるので、作業面である地面が有する起伏に作業部51が位置しても、この起伏に沿って上下動することが容易にできる。
蓄圧器rが無いことで、上方への付勢力は省略されるが、その分、蓄圧器rに係る構成部材が簡素化できる。このため、より安価に作業機Aを需要者に提供することができる。
【0143】
(6)さらに、方向制御弁251から第1電磁チェック弁mへ向かう途中の回路内には、スローリターンチェック弁pが配置されている。スローリターンチェック弁pは、流量を縮小させる絞り弁p1と、ロッド側室内415bから方向制御弁251に向かう流体の流れを規制することができるチェック弁p2と、で構成する。
このチェック弁p2により、第1シリンダ415のロッドが短縮方向に移動するとき、方向制御弁251側の流体はチェック弁p2を介して、流量の規制なくロッド側室内415bに流れ込むことが可能である。対して、第1シリンダ415のロッドが伸長方向に移動するとき、ロッド側室内415bの流体はチェック弁p2を通らずに絞り弁p1を介して、方向制御弁251側に移動する。
【0144】
このように構成したので、作業部51が下降する場合は、伸縮手段41の第1ブーム411が絞り弁p1によってゆっくりと回動し、作業部51が上昇する場合は、伸縮手段41の第1ブーム411は、規制なく即座に回動することが可能である。すなわち、作業部51が上昇側に移動するときは、起伏に即座に反応するとともに、起伏に沿って上昇する。また、作業部51が下降側に移動するときは、ゆっくりと下降するので、下降して着地したときの衝撃が地面及び作業機Aに伝わりづらくなり、地面及び作業機Aを保護できる。
【0145】
上記した各実施例では、圧力スイッチ作動スイッチu1とフローティングスイッチu2は、それぞれ別の操作部材として操作部uに設けるものとして示した。圧力スイッチ作動スイッチu1とフローティングスイッチu2は、共通の1つの操作部材とし、機能を兼用させることが可能である。この場合、作業者が操作部uを操作する部分が減るので、迷うことなく容易に操作できる。
また、第1のフローティング状態と、第2のフローティング状態はフローティングスイッチu2の操作によって、単なる作動状態の切り替えのみならず、それぞれの状態を切り替えることが可能な構成でもよい。