【解決手段】コンニャク精粉原料をアルコール中で精製することでコンニャク湿潤精粉を取得し、コンニャク湿潤精粉をアルコール除去処理することで精製コンニャク精粉を取得する。且つ、水と酵素を加えて酵素分解を行うことで、最終的に、多酵素によるコンニャク精粉酵素分解物を取得する。工程を最適化することで、一定の速溶性を持つ多糖及びオリゴ糖を含有する酵素分解産物が得られる。
【背景技術】
【0002】
コンニャクは高い機能性と医学的価値を有している。現代の研究によれば、コンニャクの塊茎の主な化学成分は、グルコマンナン、デンプン、その他の多糖、粗蛋白、必須アミノ酸や、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、鉄、マンガン、銅等の人体に必須の多種の微量元素である。
【0003】
コンニャクのグルコマンナンは、デンプンやセルロースに続く豊富な再生可能天然高分子資源であり、生分解性と水溶性を有している。グルコマンナンは、分子量が大きく、最高の粘度を有する自然界の食物繊維であり、自身の体積の200倍もの水分子を吸着して粘性の溶液を形成可能なことから、満腹感を高めることが可能である。また、人体の消化酵素の影響を受けないため、熱量を発生することがない。つまり、グルコマンナンは周知の可溶性且つ多機能性の多糖であり、適度に分解することで機能がより強化されたコンニャクオリゴ糖を生成することも可能である。しかし、グルコマンナンは吸水膨張や溶解の速度が遅く、通常は2時間以上を要する。
【0004】
現在、コンニャクのグルコマンナンの酵素分解には、次のような最適化を要する課題が存在する。(1)単一酵素による酵素分解のため酵素使用量が多く、酵素分解に過剰な時間を要する。また、コンニャク精粉の利用率が低い。(2)一部の酵素分解法では還元糖の検出を主な指標としており、還元糖の量の多さがオリゴ糖の含有量の多さを意味しない。反対に、可溶性固形物の含有量が同一であることを前提に、還元糖の含有量が多いほどオリゴ糖の含有量は少なくなる。よって、このような酵素分解技術の場合には、オリゴ糖を製造する意味がない。(3)一部の酵素分解法は実験室での研究にのみ応用可能であり、本格生産への導入が不可能である。(4)コンニャク精粉は吸水膨張との特性を有するため、分解しないまま食すると腹部膨満感が発生しやすく、一定の安全上のリスクが存在する。しかし、このような欠点は適度に分解することで解消され、且つ溶解速度を高めつつ、従来の機能特性を維持することも可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、多酵素によるコンニャク精粉酵素分解物及びその製造方法を提供することを目的とする。これによれば、従来技術における酵素分解時間が長く、酵素分解が不完全であり、コンニャク精粉の利用率が低いといった欠点が解消され、一定の速溶性を持つ多糖及びオリゴ糖を含有する酵素分解産物が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の発明の目的を実現するために、本発明は以下の技術手段を提供する。
【0007】
本発明は、多酵素によるコンニャク精粉酵素分解物の製造方法を提供する。当該製造方法は、(1)コンニャク精粉原料をアルコール中で精製することで、コンニャク湿潤精粉を取得するステップと、(2)コンニャク湿潤精粉をアルコール除去処理することで、精製コンニャク精粉を取得するステップと、(3)取得した精製コンニャク精粉と水及び酵素を混合して酵素分解を行うことで、多酵素によるコンニャク精粉酵素分解物を取得するステップ、を含む。
【0008】
好ましくは、前記ステップ(1)におけるアルコールの体積濃度は55〜75%とする。前記ステップ(1)におけるコンニャク精粉原料とアルコールとの固液比率は1g:3〜5mlとし、前記ステップ(1)における精製時間は1〜3hとする。また、前記ステップ(2)におけるアルコール除去処理の温度は50〜70℃とする。
【0009】
好ましくは、前記ステップ(3)における精製コンニャク精粉と水との質量体積比は15〜30g:100mLとする。前記ステップ(3)における酵素は、グルコマンナナーゼ、セルラーゼ及びペクターゼを含む。前記グルコマンナナーゼの用量は精製コンニャク精粉に対し50〜70u/gとし、前記セルラーゼの用量は精製コンニャク精粉に対し40〜60u/gとし、前記ペクターゼは体系総質量の0.03〜0.05%を占める。前記酵素分解の温度は55〜65℃とし、酵素分解時間は2〜3hとする。
【0010】
本発明は、更に、上記の製造方法で取得する多酵素によるコンニャク精粉酵素分解物を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、多酵素によるコンニャク精粉酵素分解物及びその製造方法を提供する。本方法により得られる酵素分解物中の機能成分(例えばオリゴ糖)の含有量は、精粉100gに対し5.69〜5.86gであり、糖含有量全体の39.33〜40.5%を占める。また、一定の速溶性を持つ多糖を更に含有する。当該製品は、肥満予防、血中脂質の低下、肝脂肪変性の予防といった作用を有する。また、血糖の低下、抗炎症、生体におけるフリーラジカル除去の向上といった作用を有し、糖尿病モデルラットの高血糖に対し改善作用を有する。
【0012】
本発明によれば、コンニャク精粉を原料とし、複合酵素を用いて酵素分解を行うことで、酵素分解過程が加速し、酵素分解効率が向上するとともに、酵素分解産物の品質が向上する。プロセスパラメータを最適化することで、使用酵素の選択、酵素用量、酵素分解時間等の生産プロセスパラメータが合理化され、且つ一定の速溶性を持つ多糖及びオリゴ糖を含有する酵素分解産物が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、以下のステップを含む多酵素によるコンニャク精粉酵素分解物の製造方法を提供する。
【0014】
(1)コンニャク精粉原料をアルコール中で精製することで、コンニャク湿潤精粉を取得する。
【0015】
(2)コンニャク湿潤精粉をアルコール除去処理することで、精製コンニャク精粉を取得する。
【0016】
(3)取得した精製コンニャク精粉と水及び酵素を混合して酵素分解を行うことで、多酵素によるコンニャク精粉酵素分解物を取得する。
【0017】
本発明において、前記コンニャク精粉は、市販の高純度のコンニャク精粉とすることが好ましい。
【0018】
本発明において、前記ステップ(1)のアルコールの体積濃度は55〜75%とすることが好ましく、より好ましくは60〜70%、更に好ましくは62〜68%とする。
【0019】
本発明において、前記ステップ(1)のコンニャク精粉原料とアルコールとの固液比率は1g:3〜5mlとすることが好ましく、より好ましくは1g:3.5〜4.5mlとする。
【0020】
本発明において、前記ステップ(1)の精製時間は1〜3hとすることが好ましく、より好ましくは1.5〜2.5hとする。
【0021】
本発明において、前記精製では、コンニャク精粉原料をアルコールと攪拌して均一に混合し、浸漬することが好ましい。
【0022】
本発明において、前記精製は、コンニャク精粉に含まれる生臭さ、辛味、SO
2等を除去するためのものである。
【0023】
本発明において、前記アルコール除去処理は、熱風乾燥を手段として行うことが好ましい。
【0024】
本発明において、前記アルコール除去処理の温度は50〜70℃とすることが好ましく、より好ましくは55〜65℃、更に好ましくは58〜62℃とする。
【0025】
本発明において、前記アルコール除去処理はアルコール臭を除去するためのものであって、アルコール臭を感じなくなることを基準とする。
【0026】
本発明において、前記ステップ(3)の精製コンニャク精粉と水との質量体積比は15〜30g:100mLとすることが好ましく、より好ましくは20〜25g:100mLとする。
【0027】
本発明において、前記ステップ(3)の酵素は、グルコマンナナーゼ、セルラーゼ及びペクターゼを含むことが好ましい。
【0028】
本発明において、前記グルコマンナナーゼの用量は、精製コンニャク精粉に対し50〜70u/gとすることが好ましく、より好ましくは、精製コンニャク精粉に対し55〜65u/g、更に好ましくは、精製コンニャク精粉に対し60〜62u/gとする。前記セルラーゼの用量は、精製コンニャク精粉に対し40〜60u/gとすることが好ましく、より好ましくは、精製コンニャク精粉に対し45〜55u/g、更に好ましくは、精製コンニャク精粉に対し47〜52u/gとする。前記ペクターゼの用量は、体系総質量の0.03〜0.05%とすることが好ましく、より好ましくは、体系総質量の0.035〜0.04%とする。
【0029】
本発明において、前記体系とは、精製コンニャク精粉、酵素及び水を混合して得られる混合物のことをいう。
【0030】
本発明において、前記酵素分解の温度は55〜65℃とすることが好ましく、より好ましくは58〜60℃とする。また、好ましくは、酵素分解時間は2〜3hとする。
【0031】
本発明における前記酵素分解の原理としては、酵素の特異性に基づいて、グルコマンナナーゼとセルラーゼを同時に使用することで、グルコマンナンを低重合度のコンニャク多糖及びコンニャクオリゴ糖に酵素分解する。また、ペクターゼがペクチンをガラクツロン酸に分解することで、コンニャク精粉の粒子構造が破壊されるため、その他の酵素の作用効果が向上する。
【0032】
本発明は、更に、上記の製造方法で取得する多酵素によるコンニャク精粉酵素分解物を提供する。
【0033】
以下に、実施例を組み合わせて、本発明で提供する技術手段につき詳細に説明するが、本発明の保護の範囲を限定するものと理解すべきではない。
【実施例1】
【0034】
ステップ1:精製:コンニャク精粉原料を体積濃度55%のアルコール中で精製した。コンニャク精粉原料とアルコールとの固液比率は1g:3mlとし、1h精製することでコンニャク湿潤精粉を取得した。
【0035】
ステップ2:アルコール除去:コンニャク湿潤精粉をアルコール除去処理した。アルコール除去温度は50℃とし、アルコール除去することで精製コンニャク精粉を取得した。
【0036】
ステップ3:酵素分解:精製コンニャク精粉を15g取って100mLの水を加え、更に、グルコマンナナーゼ、セルラーゼ及びペクターゼを加えて酵素分解を行った。グルコマンナナーゼの用量は精製コンニャク精粉に対し50u/g、セルラーゼの用量は精製コンニャク精粉に対し40u/gとした。また、ペクターゼの用量は体系総質量の0.03%とした。条件を55℃として2h酵素分解することで、多酵素によるコンニャク精粉酵素分解物を取得した。
【0037】
取得した酵素分解物中の機能成分(オリゴ糖)の含有量は、精粉100gに対し5.86gであり、糖含有量全体の40.5%を占めていた。
【実施例2】
【0038】
ステップ1:精製:コンニャク精粉原料を体積濃度60%のアルコール中で精製した。コンニャク精粉原料とアルコールとの固液比率は1g:4mlとし、1.5h精製することでコンニャク湿潤精粉を取得した。
【0039】
ステップ2:アルコール除去:コンニャク湿潤精粉をアルコール除去処理した。アルコール除去温度は65℃とし、アルコール除去することで精製コンニャク精粉を取得した。
【0040】
ステップ3:酵素分解:精製コンニャク精粉を25g取って100mLの水を加え、更に、グルコマンナナーゼ、セルラーゼ及びペクターゼを加えて酵素分解を行った。グルコマンナナーゼの用量は精製コンニャク精粉に対し60u/g、セルラーゼの用量は精製コンニャク精粉に対し50u/gとした。また、ペクターゼの用量は体系総質量の0.04%とした。条件を60℃として2.5h酵素分解することで、多酵素によるコンニャク精粉酵素分解物を取得した。
【0041】
取得した酵素分解物中の機能成分(オリゴ糖)の含有量は、精粉100gに対し5.78gであり、糖含有量全体の39.95%を占めていた。
【実施例3】
【0042】
ステップ1:精製:コンニャク精粉原料を体積濃度75%のアルコール中で精製した。コンニャク精粉原料とアルコールとの固液比率は1g:5mlとし、3h精製することでコンニャク湿潤精粉を取得した。
【0043】
ステップ2:アルコール除去:コンニャク湿潤精粉をアルコール除去処理した。アルコール除去温度は70℃とし、アルコール除去することで精製コンニャク精粉を取得した。
【0044】
ステップ3:酵素分解:精製コンニャク精粉を30g取って100mLの水を加え、更に、グルコマンナナーゼ、セルラーゼ及びペクターゼを加えて酵素分解を行った。グルコマンナナーゼの用量は精製コンニャク精粉に対し70u/g、セルラーゼの用量は精製コンニャク精粉に対し60u/gとした。また、ペクターゼの用量は体系総質量の0.05%とした。条件を65℃として3h酵素分解することで、多酵素によるコンニャク精粉酵素分解物を取得した。
【0045】
取得した酵素分解物中の機能成分(オリゴ糖)の含有量は、精粉100gに対し5.69gであり、糖含有量全体の39.33%を占めていた。
【実施例4】
【0046】
実施例1〜3で製造した多酵素によるコンニャク精粉酵素分解物について動物実験を行った。
【0047】
ステップ1:動物モデルの作製及び群分け
健康なメスのマウス50匹を選択し、一般飼料を2週間給餌したあと、ブランク対照群10匹(一般飼料を給餌)とモデル対照群40匹(高脂質飼料を給餌)の2群にランダムに分けた。次に、両群ともに制限なく飼料を与え、4週間飼育することでマウス肥満モデルを作製した。そして、モデル対照群を、10匹ずつ高脂質モデル群(高脂質飼料を給餌)、コンニャク精粉酵素分解物低投与量群(高脂質飼料を給餌し、且つ酵素分解物15mg・100g
−1(BW)・d
−1を胃内投与)、コンニャク精粉酵素分解物中投与量群(高脂質飼料を給餌し、且つ酵素分解物30mg・100g
−1(BW)・d
−1を胃内投与)、コンニャク精粉酵素分解物高投与量群(高脂質飼料を給餌し、且つ酵素分解物60mg・100g
−1(BW)・d
−1を胃内投与)の4群に任意に分けた。続いて、ブランク対照群のマウスには引き続き一般飼料を給餌した一方、高脂質モデル群及びコンニャク精粉酵素分解物低・中・高投与量群のマウスには引き続き高脂質飼料を給餌した。また、1か月連続でコンニャク精粉酵素分解物を胃内投与した。飼育温度は24〜27℃、相対湿度は45〜50%とし、昼夜比率11h:13hの断続照明を使用した。
【0048】
ステップ2:サンプル採集
給餌10週間後に各群のマウスを12h絶食させ、殺処理前に体重を測定した。そして、麻酔後に素早く眼球を摘出して採血し、頸椎脱臼により殺処理した。次に、肝臓、心臓、脾臓、腎臓、肺、腎周囲脂肪及び鼠蹊部皮下脂肪を素早く分離して、塩水で器官を洗浄してから濾紙で水を除去し、臓器及び組織の重量を測定した。
【0049】
ステップ3:指標の測定
実験期間中は、マウスの成長状態(マウスの毛色、摂食、排便及び活動)を毎日記録した。また、水曜日と木曜日にそれぞれマウスの1日当たりの摂食量と飲水量を測定した。つまり、水曜日と木曜日に飼料の総量と給水総量を測定し、木曜日と金曜日の同一時間に飼料の残量と水の残量を測定した(即ち、摂食量=飼料の総量−飼料の残量、飲水量=水の総量−水の残量)。また、毎週土曜日に体重を1回測定した。
【0050】
腹部を切開し、マウス体内の全ての脂肪(腎周囲の脂肪組織及び鼠蹊部の皮下脂肪組織を含む)を摘出して脂肪を測定し、式(1)に基づき脂肪指数を算出した。
【0051】
脂肪指数/%=m
1/m×100 (1)
【0052】
式中、mはマウスの殺処理前の体重/g、m
1はマウス体内の各脂肪組織の質量/gである。
【0053】
ステップ4:データ処理
ソフトウェアのSPSS20で統計分析を行い、平均値±標準偏差で表した。群間比較には一元配置分散分析を用いた。P<0.05は2つの群に有意差があることを示す。
【0054】
【表1】
【0055】
表1から明らかなように、高脂質モデル群とコンニャク酵素分解物低・中・高投与量群の間には有意な差がみられた(P<0.05)。このことは、コンニャク酵素分解物がマウスの飲水量を一定程度減少させられることを意味する。なお、コンニャク酵素分解物高投与量群の効果が最も顕著であった。
【実施例5】
【0056】
実施例1〜3で製造した多酵素によるコンニャク精粉酵素分解物について動物実験を行った。
【0057】
ステップ1:糖尿病ラットモデルの作製
60匹の健康なメスのラットを1週間正常に飼育した。また、期間中は実験動物の飲水量と摂食量を定期的に測定した。1週間後に実験動物の体重と空腹時血糖値を測定して記録し、10匹ずつランダムに群分けした(正常対照群及び5つのモデル群)。モデル群のラットには、STZを含有するクエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液を腹腔注射して糖尿病を誘発した(予め冷却しておいたクエン酸塩緩衝液pH=4.5を用い、濃度1%でSTZを溶解したあと、0.22mol/Lの精密ろ過膜でろ過して除菌した。STZは活性を喪失しやすいため、素早く計量したあと錫箔で包んで遮光した。また、準備したものをその場で使用するようにし、常に氷浴内で待機させた)。注射するSTZの濃度は45mg/kg、注射量は2%とした。一方、正常群のラットには等体積のクエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液を腹腔注射した。また、STZの注射過程では、感染防止のためラットの腹腔の皮膚を消毒する必要があった。注射完了後、各群は引き続きこれまでの飲食を維持した。そして、24h後にラットの尾部から採血し、空腹時血糖値を測定した。血糖計及び血糖試験紙キットを用いてラットの空腹時血糖値を測定したところ、モデル群のラットの空腹時血糖値は>16.7mmol/Lであった(2〜3回繰り返し測定可能としたが、血糖値は安定していた)。且つ、多飲多尿や体重減少が症状として発生したため、モデル作製に成功したとみなした。
【0058】
ステップ2:動物の群分け及び投薬
モデル作製に成功した糖尿病ラットを、コンニャク精粉酵素分解物高・中・低投与量群、ポジティブ投与群、糖尿病モデル群にそれぞれ群分け及び調整した。また、血糖値がモデル作製前と同一のラットを正常群とした。次に、6週間連続で胃内投与を行った。実験期間中、各群のラットには通常通り自由に飲水及び摂食させた。胃内投与の時間は毎日午後4時であった。また、各群のラットに対する胃内投与量については、コンニャク精粉酵素分解物高・中・低群がそれぞれ2.500g/(kg・d)、1.250g/(kg・d)、0.625g/(kg・d)、ポジティブ投与群が0.140g/(kg・d)であった。且つ、正常群及び高血糖モデル群には等量の生理食塩水を投与した。
【0059】
ステップ3:指標の測定
ラットへの胃内投与期間中は、各群のラットの体重を毎週測定して記録した。結果はgで示し、各群のラットの体重の差を分析及び比較した。且つ、各群の実験ラットの空腹時血糖値を測定し、結果をmmol/Lで示すとともに、各群のラットの血糖値レベルの変化を分析及び比較した。また、実験動物の飲水量及び摂食量を測定して記録し、胃内投与期間中の各群のラットの飲水量及び摂食量の変化を分析した。
【0060】
ステップ4:統計方法
ソフトウェアのSPSS20で統計分析を行い、平均値±標準偏差で表した。群間比較には一元配置分散分析を用いた。P<0.05は2つの群に有意差があることを示す。
【0061】
【表2】
【0062】
表2から明らかなように、投与0日目において、モデル群の飲水量は正常群よりも顕著に上昇していた(p<0.01)。また、投与21日後に、ポジティブ投与群と各コンニャク酵素分解物投与量群の飲水量はそれぞれ異なる度合で減少していた。そして、投与42日目において、モデル群の飲水量は正常群との間に極めて顕著な有意差を示した(p<0.01)。また、ポジティブ投与群及び各コンニャク酵素分解物投与量群の飲水量は、モデル群との間に極めて顕著な有意差を示した(p<0.01)。且つ、コンニャク酵素分解物高・中投与量群の飲水量はポジティブ投与群との間に有意差がなかった。以上から明らかなように、コンニャク酵素分解物は糖尿病ラットの多飲症状を緩和可能であった。また、一定投与量のコンニャク酵素分解物は、糖尿病患者の多飲症状の緩和においてメトホルミンと類似の効果を有していた。
【0063】
以上の実施例から明らかなように、本発明は、多酵素によるコンニャク精粉酵素分解物の製造方法を提供する。動物(白ネズミ)実験の結果より、当該製品は、肥満予防、血中脂質の低下、肝脂肪変性の予防といった作用を有することがわかった。また、血糖の低下、脂質過酸化の低下、抗炎症、生体におけるフリーラジカル除去の向上といった作用を有し、糖尿病モデルラットの高血糖に対し改善作用を有することがわかった。
【0064】
以上は本発明の好ましい実施例にすぎない。当業者であれば、本発明の原理を逸脱しないことを前提に、若干の改良及び補足が可能であり、これらの改良及び補足もまた本発明の保護の範囲とみなすべきである。