【解決手段】補助部材80は、第1部材81と、第1部材よりも大きな厚みを有する第2部材82と、第1部材の一端と第2部材の一端とを連結する連結部材83とを有し、第1部材および第2部材の間に連結部材が連結されることにより、バンドを2着脱可能に挟持する凹部84を有する。これにより、バンド内のセンサにバイタル信号を安定的に検出させることができる。
前記厚み調整部は、膨張及び収縮が可能な空気袋と、前記空気袋に空気を注入する注入部と、前記空気袋から前記空気を排出する排出部とを備えることを特徴とする請求項6に記載の補助部材。
前記第2部材は、人体の一部に対向する表面を有し、当該表面は人体の一部に向かって突出する突起を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の補助部材。
前記バンドが前記人体の一部である手首に固定された場合に、前記第2保持部は、前記手首の外周領域のうち、前記手首の橈骨と長掌筋との間で橈骨動脈が設けられていない外周領域上に配置されることを特徴とする請求項11に記載の検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
図1(a)は、本実施の形態に係る検出装置の構成を示す図である。
図1(b)は、検出装置の第1変形例の構成を示す図である。
図1(c)は、検出装置の第2変形例の構成を示す図である。
【0022】
図1(a)に示すように、本実施の形態に係る検出装置1は、例えば、一本のテープ状に形成されたバンドであり、手首(人体の一部)に巻き付けることができる。検出装置1は、バンド2と、バンド2の一端に形成されたピンバックル3(第1係止部)と、バンド2の他端に形成され、ピンバックル3のピンが挿入可能な複数の貫通孔(第2係止部)4とを備えている。バンド2は、ゴム、もしくはウレタン又はシリコンなどの樹脂で形成されており、バンド2の弾性率は、例えば50〜3000Mpaである。バンド2は、フレキシブルな素材で構成されるため、手首にフィットしやすい。尚、本実施の形態かかる検出装置1は、脈波だけでなく、呼吸、血圧、心拍などのバイタルサインと呼ばれるバイタル信号も検出可能である。従って、以下の説明において、脈波信号はバイタル信号の一例である。
【0023】
本実施の形態では、ピンバックル3及び貫通孔4は係止部として機能する。ピンバックル3以外のバックルが使用されてもよいし、バックルを係止する係止部として貫通孔4以外の金具が使用されてもよい。なお、バンド2はバンド2の一端を他端と係止する部材を持てば良いので、マジックテープ(登録商標)又は、ピンバックル3および貫通孔4以外の時計バンドに使われる他の係止部が採用できる。また、バンド2は、係止部を有さない輪ゴムのようにリング状で、かつ幅を持ってなるバンドでも良い。
【0024】
バンド2は、橈骨動脈から脈波信号を検出する振動センサ21と、脈波信号に対し信号処理を施し、コンピュータ又はスマホなどの外部装置に信号処理された脈波信号を送信する信号処理・通信部22と、振動センサ21及び信号処理・通信部22に電力を供給する電源部23とを備えている。振動センサ21と信号処理・通信部22との間には、信号線71、電力線72及びグランド(GND)線73が接続されている。信号処理・通信部22と電源部23との間には、電力線72及びグランド(GND)線73が接続されている。
【0025】
バンド2の全長L1は、例えば、150〜250mmである。ピンバックル3の端部から信号処理・通信部22の中心までの長さL2は、例えば、10〜110mmである。信号処理・通信部22の中心から電源部23の中心までの長さL3は、例えば、20〜100mmである。電源部23の中心から振動センサ21の中心までの長さL4は、例えば、30〜80mmである。
【0026】
バンド2は、振動センサ21を収容する第1収容部(第1保持部)210、信号処理・通信部22を収容する第2収容部220、及び電源部23を収容する第3収容部230を備えている。バンド2は、第1収容部210と第2収容部220及び第3収容部230との間に形成され、第1収容部210、第2収容部220及び第3収容部230の厚みよりも薄い第1連結部75と、第2収容部220と第3収容部230との間に形成され、第2収容部220及び第3収容部230の厚みよりも薄い第2連結部76とを備えている。第1収容部210〜第3収容部230の厚みは、例えば、1〜15mmであり、第1連結部75及び第2連結部76の厚みは、例えば、0.5〜5mmである。信号線71、電力線72及びグランド(GND)線73は第1連結部75及び第2連結部76内を通過する。振動センサ21の凸状部材38はバンド2の表面から突出し且つ露出されているが、振動センサ21の他の部品、信号処理・通信部22及び電源部23はバンド2の内部に埋め込まれている。第1連結部75及び第2連結部76のフレキシブル性が高いので、バンド2が手首10に装着されたときに第1連結部75及び第2連結部76は曲げやすい。
【0027】
尚、第1連結部75及び第2連結部76の厚みは、第1収容部210、第2収容部220及び第3収容部230の厚みよりも薄い事でフレキシブル性を有すると説明した。しかし、バンド2全体の厚みが均一でも良い。つまり、第1収容部210、第2収容部220、第3収容部230、第1連結部75及び第2連結部76は同じ厚みでも、第1収容部210、第2収容部220及び第3収容部230にはプリント基板が埋め込まれるため、ある程度の硬さが発生する。しかし、第1連結部75及び第2連結部76は、バンド2の材質などの選択で柔軟性をもたせれば、フレキシブル性を持たせることが可能である。
【0028】
振動センサ21、信号処理・通信部22及び電源部23は、ピンバックル3から貫通孔4に向かう方向に沿って、信号処理・通信部22、電源部23、振動センサ21の順にバンド2に配置されている。振動センサ21は、信号処理・通信部22及び電源部23よりも貫通孔4に近いバンド2上の位置に配置されている。
【0029】
図1(b)の検出装置1A及び
図1(c)の検出装置1Bでは、バンド2が時計バンドであり、バンド2の中間には時計5が設けられている。なお、
図1(b)び
図1(c)では、時計5の裏面側(つまり文字盤の裏側)が示されている。バンド2は、ピンバックル3及び時計5への第1取付部6を有する第1バンド部材2Aと、ピンバックル3を係止する貫通孔4及び時計5への第2取付部7を有する第2バンド部材2Bとを備えている。第1バンド部材2A及び第2バンド部材2Bは、ゴム、もしくはウレタン又はシリコンなどの樹脂で形成されており、バンド2の弾性率は、例えば50〜3000Mpaである。
【0030】
図1(b)では、第1バンド部材2Aが振動センサ21と、信号処理・通信部22と、電源部23とを備えている。また、第1バンド部材2Aが、
図1(a)と同様に、第1収容部210、第2収容部220、第3収容部230、第1連結部75及び第2連結部76を備えている。信号線71、電力線72及びグランド(GND)線73は第1連結部75及び第2連結部76内を通過する。振動センサ21の凸状部材38はバンド2の表面から突出し且つ露出されているが、振動センサ21の他の部品、信号処理・通信部22及び電源部23は第1バンド部材2Aの内部に埋め込まれている。
【0031】
図1(b)では、第1バンド部材2Aが第2バンド部材2Bよりも長い。第1バンド部材2Aの全長L10は、例えば、80〜160mmである。第2バンド部材2Bの全長L11は、例えば、40〜90mmである。ピンバックル3の端部から振動センサ21の中心までの長さL12は、例えば、10〜50mmである。振動センサ21の中心から電源部23の中心までの長さL13は、例えば、10〜50mmである。電源部23の中心から信号処理・通信部22の中心までの長さL14は、例えば、10〜50mmである。
【0032】
振動センサ21、信号処理・通信部22及び電源部23は、ピンバックル3から第1取付部6に向かう方向に沿って、振動センサ21、電源部23、信号処理・通信部22の順に第1バンド部材2Aに配置されている。振動センサ21は、電源部23及び信号処理・通信部22よりもピンバックル3に近い位置に配置されている。
【0033】
図1(c)では、第2バンド部材2Bが振動センサ21と、信号処理・通信部22と、電源部23とを備えている。また、第2バンド部材2Bが、
図1(a)と同様に、第1収容部210、第2収容部220、第3収容部230、第1連結部75及び第2連結部76を備えている。信号線71、電力線72及びグランド(GND)線73は第1連結部75及び第2連結部76内を通過する。振動センサ21の凸状部材38はバンド2の表面から突出し且つ露出されているが、振動センサ21の他の部品、信号処理・通信部22及び電源部23は第2バンド部材2Bの内部に埋め込まれている。
【0034】
図1(c)では、第2バンド部材2Bが第1バンド部材2Aよりも長い。第1バンド部材2Aの全長L15は、例えば、60〜110mmである。第2バンド部材2Bの全長L16は、例えば、80〜130mmである。第2取付部7から振動センサ21の中心までの長さL17は、例えば、20〜60mmである。振動センサ21の中心から電源部23の中心までの長さL18は、例えば、10〜50mmである。電源部23の中心から信号処理・通信部22の中心までの長さL19は、例えば、10〜50mmである。
【0035】
振動センサ21、信号処理・通信部22及び電源部23は、第2取付部7から貫通孔4に向かう方向に沿って、振動センサ21、電源部23、信号処理・通信部22の順に第2バンド部材2Bに配置されている。振動センサ21は、信号処理・通信部22及び電源部23よりも第2取付部7に近い位置に配置されている。
【0036】
尚、
図1(a)〜(c)において、第3収容部230及び電源部23の位置を第2収容部220及び信号処理・通信部22の位置と交換してもよい。
【0037】
図2は、振動センサ21の構成を示す断面図である。
図3(a)は、振動センサ21の構成を示す平面図である。
図3(b)は振動センサ21が備えるケースの例を示す図である。
図2において、基板の表面に垂直な方向をZ方向とし、Z方向に垂直な面内で互いに直交する2方向をX方向(第1方向)及びY方向(第2方向)とする。
図3(a)は、基板を
図2の+Z側から見た場合の平面図である。
【0038】
図2において、振動センサ21は、基板30、圧電素子33、素子37、凸状部材38及びケース40を有する。基板30及びケース40で囲まれる空間が空間50になる。基板30は、略平板状であり、おもて面30bと、おもて面30bの反対側の裏面30aとを有する。基板30は、XY平面視において、略長方形であってもよいし、略正方形であってもよい。尚、基板30のX方向の両端部31の各々が、Y方向に長さを持ち、圧電素子33または凸状部材38を挟んで対向位置に配置され、この基板30がケース40によって支持される両端部31を有するのであれば、基板30は矩形以外の形状でも良い。例えば、楕円、円、または多角形などの両端がカットされて、Y方向に支持可能な直線部がある形状の基板であれば、その基板を基板30として適用可能である。よって、基板30のX方向の両端部31の各々がバンド2に支持されるY方向の長さを有していれば、基板30は略正方形又は略長方形以外の形状でもよい。
【0039】
基板30は、例えば、15mm(x)×15mm(y)×0.8mm(z)のサイズを有している。基板30は、
図3(a)に示すように、対向する一対の支持側辺30cおよび支持側辺30cと交差する一対の非接触側辺30dを有する。基板30がZ方向に撓んだ場合に、非接触側辺30dはケース40と接触しない。基板30のX方向の両端部31は一対の支持側辺30cまたはその近傍に設けられている。基板30は、絶縁性を有する材料で形成されており、例えば、ガラスエポキシなどの絶縁性樹脂で形成されている。尚、基板30は、絶縁性セラミック(例えば、アルミナ)で形成されてもよいし、若しくは裏面30aが樹脂膜で絶縁処理された金属板または合金板で形成されてもよい。この樹脂膜の上に導電パターン32が形成される。例えば、基板30の少なくとも裏面30aには、不図示のパッド電極と接続される導電パターン32が設けられている。そして、圧電素子33、この圧電素子33と回路を構成する素子37(電気部品)は、パッド電極と半田を介して電気的に接続されている。従って、基板30の裏面30aにおいて、圧電素子33及び素子37が搭載されるパッド電極及び導電パターン32が配置されている領域以外の領域(例えば両端部31)は絶縁されている。なお、基板30の裏面30aの両端部31は絶縁部として機能する。また、基板30は、例えば、20GPa以上の弾性率を有し、バンド2、凸状部材38及びケース40の弾性率よりも高い。
【0040】
圧電素子33は、基板30の裏面30aの中心付近に配置され、不図示の半田を介して裏面30aに固定されている。圧電素子33は、例えば、3.2mm(x)×1.6mm(y)×0.8mm(z)のサイズを有している。
図3(a)に示すように、+Z方向から観た場合に、圧電素子33は、凸状部材38が固定されている領域内に位置する。つまり、圧電素子33は、凸状部材38が固定されたおもて面30bの第1領域(
図3(a)の点線領域)に対向する裏面30aの第2領域内(
図3(a)の点線領域内)に固定されている。
【0041】
圧電素子33は、圧電体34、端子電極35及び端子電極36を有する。圧電体34は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を主成分とする材料で形成される。圧電体34には、予め+Z方向側および−Z方向側で圧電体34を上下で挟むように分極端子(不図示)が用意され、+Z方向および−Z方向から所定の電圧をかけて分極処理が行われ、圧電体34の分極方向をZ方向にしている。なお、この分極処理に必要である分極端子は削除されても良いし、残しておいても良い。端子電極35及び端子電極36は、圧電体34を挟んで互いに対向配置される。端子電極35は、圧電体34の−X側に配置され、端子電極36は、圧電体34の+X側に配置される。これにより、圧電体34が+Z方向および−Z方向に力を受けて変位すると、電荷が発生し、その結果、端子電極35、36の間には、その力に応じた電気信号が発生する。
【0042】
なお、本実施形態において、凸状部材38を通じて外力が加わることにより、巨視的に見ると基板30が上下に撓み、微視的に見ると、基板30の裏面30aは水平方向に伸びたり縮んだりしている。その結果、基板30の上に載せられた圧電素子33も伸びたり縮んだりするので、端子電極35と36の間に電気信号が発生する。ここでは、圧電素子33の分極方向は、基板30の垂直方向に整列されたものである。
【0043】
素子37は、例えば、圧電素子33で発生した信号に対して増幅処理を施すFET(Field Effect Transistor)などの半導体素子であり、基板30の裏面30aに設けられたパッド電極に、半田等で固定されている。素子37は、不図示の配線を介して圧電素子33に電気的に接続されている。なお、基板30のおもて面30bに不図示のシールドメタルが設けられても良い。この場合、シールドメタルは裏面30aに設けられたGND用の配線や電極とビアを介して接続される。
【0044】
凸状部材38は、基板30のおもて面30bの略中央に接着剤又は合金接合などで固定されており、基板30のおもて面30bから−Z方向に突出している。凸状部材38は、
図2に示すように、圧電素子33に対向する位置に設けられている。凸状部材38は、例えば、径9.5mm、高さ7.4mmのサイズを有している。凸状部材38は、シリコン、ポリカーボネート又はABSなどの樹脂、又は鉄やニッケルなどの金属で形成されている。凸状部材38が樹脂である場合、前述の樹脂製接着剤で基板30に固定され、凸状部材38の弾性率は、例えば0.1〜3000Mpaである。凸状部材38が金属である場合、前述の樹脂製接着剤、ロウ材または導電ペーストで基板30に固定され、凸状部材38の弾性率はGpaオーダーである。なお、凸状部材38は上述した弾性率を有する限り、エアーチューブのような中空形状でもよい。凸状部材38はバンド2の表面から突出し且つ露出されているが、振動センサ21の基板30及びケース40はバンド2の内部に埋め込まれている。
【0045】
また、おもて面30bが金属膜、例えば、銅などで全面被覆されて、シールドされている場合は、凸状部材38はロウ材や導電ペーストでおもて面30bに固定するのが適切である。この場合、金属膜は、シールド部材として及び凸状部材の固着部材として機能する。
【0046】
ケース40は、シリコン、ポリカーボネート又はABSなどの樹脂で形成されている。ケース40の弾性率は、例えば、50〜3000Mpaであり、基板30の弾性率よりも低い。
【0047】
図2に示すように、基板30のX方向の両端部31は、ケース40の段差44に両持ち梁状に固定されている。つまり、基板30のX方向の両端部31は、基板30の振動の固定端として機能する。バンド2が手首に巻かれ、凸状部材38が手首から脈波の振動による力を受けると、その力が凸状部材38から基板30へ伝達され、基板30が+Z方向に撓む。なお、基板30が+Z方向に撓んだ場合でも、圧電素子33及び素子37は、ケース40に接触しない。凸状部材38のX方向の長さが基板30のX方向の長さよりも小さいので、凸状部材38が基板30を効率的に撓ませることができる。また、凸状部材38が基板30の裏面30aの圧電素子33に対応した位置に配置されているので、基板30のおもて面30bにおける圧電素子33付近の領域を効率的に撓ませることができる。これにより、圧電素子33内の圧電体34を効率的に変位させることができ、圧電素子33が脈波の振動による力を感度よく検知することができる。
【0048】
図2及び
図3(b)に示すように、ケース40は、基板30のX方向の両端部31を支持する段差44を有する複数の第1壁部42と、複数の第1壁部42を連結し基板30の裏面30aを覆う底部43とを備える。底部43はXY平面と平行に形成され、複数の第1壁部42は底部43のX方向の両端に設けられ、YZ平面と平行に配置されている。また、
図3(b)に示すように、第1壁部42の一つには、基板30から配線を外部に引き出すための凹部45が形成されている。例えば、
図1(a)〜(c)の信号処理・通信部22から延びる信号線71、電力線72及びグランド(GND)線73が凹部45を介して基板30の裏面30aに接続される。
【0049】
図2に示すように、ケース40の内壁(空間50に接する複数の第1壁部42及び底部43の面)を覆うように導電材としての導電膜41が形成されている。導電膜41は、ケース40の外壁を覆うように形成されてもよいし、ケース40の内部に形成されてもよい。絶縁性を有する材料で形成されている基板30を導電膜41に絶縁性接着材で固定することで、基板30、複数の第1壁部42及び底部43で空間50を封止し、外部からの電磁波を遮断している。
【0050】
また、空間50には、ケース40の弾性率よりも低い弾性率を有する素材が充填されるのが好ましい。空間50に充填される素材の弾性率がケース40の弾性率よりも高い場合には、基板30の振動が抑制されてしまう。このため、空間50に充填される素材の弾性率はケース40の弾性率の5分の1以下に設定されるのが好ましい。空間50に充填される素材は、例えば、空気・ガスなどの気体、ゲル、ゴム、又は樹脂などである。空間50に充填される素材の弾性率は、例えば0〜10Mpaである。なお、
図2の空間50には、例えば、空気が充填されている。
【0051】
図4は、振動センサ21、信号処理・通信部22及び電源部23の構成を示すブロック図である。信号線71、電力線72及びグランド(GND)線73が振動センサ21と信号処理・通信部22との間及び信号処理・通信部22と電源部23との間に接続されている。振動センサ21は、圧電素子33と、素子37としてのアンプ371とを備えている。ここでアンプ371は、例えば、インスツルメンテーションアンプやチャージアンプである。アンプ371は、圧電素子33で発生した信号(脈波信号)を増幅し、信号線71を介して信号処理・通信部22に出力する。
【0052】
信号処理・通信部22は、プログラマブルアンプ221と、A/D変換器222と、通信モジュール223と、マイコン224とを備えている。プログラマブルアンプ221はアンプ371から受信した脈波信号をさらに増幅する。A/D変換器222は、プログラマブルアンプ221によって増幅された脈波信号をデジタル信号に変換する。マイコン224はA/D変換器222で変換されたデジタル信号を通信可能なデジタルデータに変換する。また、マイコン224は通信モジュールの通信タイミングなども制御する。マイコン224はA/D変換器222で変換されたデジタル信号からノイズ成分を除去してもよい。通信モジュール223は、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)又は無線LANなどの無線通信を行い、脈波信号を示すデジタルデータを不図示の外部装置(例えばコンピュータやスマートフォンなど)に送信する。
【0053】
電源部23は、ボタン電池又は充電可能なリチウムイオン電池のようなバッテリ231を備えている。バッテリ231は、電力線72を介して信号処理・通信部22及び振動センサ21に含まれる各構成要素に電力を供給する。
【0054】
図5は、バンド2の第1収容部210〜第3収容部230の断面図である。
図5の構成及び特徴は、第1バンド部材2A及び第2バンド部材2Bにも適用可能である。
図5では図の上側が手首側である。
【0055】
図5では、電源部23は、振動センサ21と信号処理・通信部22との間に配置され、振動センサ21と信号処理・通信部22とを接続する配線(即ち、信号線71、電力線72及びグランド(GND)線73)は電源部23の周辺を引き回されている。
【0056】
図5の信号処理・通信部22では、プログラマブルアンプ221、A/D変換器222、通信モジュール223及びマイコン224が基板226上に形成されている。さらに、振動センサ21と接続する配線(即ち、信号線71、電力線72及びグランド(GND)線73)及び電源部23と接続する配線(即ち、電力線72及びグランド(GND)線73)は基板226上の端子242から引き延ばされている。
【0057】
図6は、
図1(a)のバンド2を左の手首10に巻いた状態の断面図である。
図6では、指先側から見た状態が示されている。手首10は、橈骨11、尺骨12、橈骨動脈13、長掌筋14、及び総指伸筋15を備えている。
図6の上側が手の甲側又は手首10の背側であり、
図6の下側が手のひら側又は手首10の腹側である。
【0058】
図6に示すように、第1収容部210及び振動センサ21が手首10の橈骨動脈13に対向する位置に配置されるようにバンド2が手首10に巻かれると、第3収容部230及び電源部23が手首10の総指伸筋15に対向するように配置される。このとき、第3収容部230及び電源部23の両脇に隙間が生じるため、振動センサ21を手首10に押し当てる力が弱まり、振動センサ21が橈骨動脈13に対向する位置からずれてしまい、手首10の橈骨動脈13の脈波信号を安定的に検出できないおそれがある。
【0059】
そこで、本実施の形態では、
図7(a)に示すように、バンド2に補助部材80を装着する。
図7(a)は、
図1(a)のバンド2に補助部材80を取り付けた状態を示す図である。
図7(b)は、補助部材80を取り付けたバンド2を左の手首10に巻いた状態の断面図である。なお、バンド2に取り付けられる補助部材80の個数は1個以上であればよい。また、補助部材80は、
図1(b)及び
図1(c)の第1バンド部材2A又は第2バンド部材2Bに取り付けられてもよい。
【0060】
図7(b)に示すように、手首10の外周領域のうち、手首10の橈骨11と長掌筋14との間で橈骨動脈13が設けられていない外周領域P3上に補助部材80を取り付けることで、振動センサ21を手首10に押し当てる力が増加する。これにより、振動センサ21が橈骨動脈13に対向する位置からずれることを防止し、振動センサ21は手首10の橈骨動脈13の脈波信号を安定的に検出することができる。尚、外周領域P3以外の外周領域は、振動センサ21が設けられているので、脈波を検出する期間には補助部材80を外周領域P3以外の外周領域に取り付けられない。脈波を検出しない場合には、補助部材80を外周領域P3以外の外周領域に取り付けてもよい。また、好ましくは、橈骨11と尺骨12とを結ぶ直線P1に対して振動センサ21と線対称のバンド2の位置、長掌筋14と総指伸筋15とを結ぶ直線P2に対して振動センサ21と線対称のバンド2の位置、及び手首の中心に対して振動センサ21と点対称のバンド2の位置に補助部材80を取り付けてもよい。これらの位置では振動センサ21を手首10に押し当てる力を効率的に増加させることができる。
【0061】
図8(a)は、補助部材80の斜視図であり、
図8(b)〜(d)は補助部材80のA−A線の断面図である。
図8(e)は、補助部材80の変形例の斜視図である。
【0062】
補助部材80は、ゴム、もしくはウレタン又はシリコンなどの樹脂で形成されており、補助部材80の弾性率は、例えば50〜3000Mpaである。補助部材80は、断面コ字状であり、第1部材81と、第1部材81よりも大きな厚みを有する第2部材82と、第1部材81の一端と第2部材82の一端とを連結する連結部材83とを備えている。第1部材81、第2部材82及び連結部材83は一体形成されている。
図8(b)に示すように、第1部材81と第2部材82との間には、バンド2を挟むための凹部84が形成されている。第1部材81は、凹部84がバンド2を挟んだときにバンド2と対向する第1面81aと、第1面81aと反対側の第2面81bとを有する。第2部材82は、凹部84がバンド2を挟んだときにバンド2と対向する第1面82aと、第1面82aと反対側の第2面82bとを有する。第1面81a及び第2面81bは第3面及び第4面と称することがある。
【0063】
図8(c)に示すように、バンド2は第1部材81と第2部材82との間に着脱可能に挟持される。例えば、振動センサ21で脈波を検出しない期間は、
図8(c)に示すように、第1部材81がバンド2と手首10との間に配置されるように、補助部材80をバンド2に装着する。そして、振動センサ21で脈波を検出する場合に、被測定者が補助部材80をバンド2から一旦取り外して、
図8(d)に示すように、第2部材82がバンド2と手首10との間に配置されるように、補助部材80をバンド2に再装着する。こうすることで、振動センサ21で脈波を検出する場合に、振動センサ21を手首10に押し当てる力を増加でき、振動センサ21が橈骨動脈13に対向する位置からずれることを防止できる。その結果、振動センサ21は手首10の橈骨動脈13の脈波信号を安定的に検出することができる。
【0064】
補助部材80の大きさは、例えば、25mm(x)x25mm(y)x30mm(z)である。上述したように、振動センサ21で脈波を検出しない期間は、第1部材81がバンド2と手首10との間に配置されるので、
図8(a)の第1部材81の厚みT1は、被装着者に違和感を感じさせない程度の厚みであることが好ましく、例えば5mmである。一方、振動センサ21で脈波を検出する場合には、第2部材82がバンド2と手首10との間に配置され、振動センサ21を手首10に押し当てる力を増加させる必要があるので、第2部材82の厚みT2は、第1部材81の厚みT1の2倍以上が好ましく、例えば22.5mmである。また、連結部材83の厚みT3(即ち凹部84の鉛直方向の幅)は、バンド2の厚みと同じ又は若干大きく、例えば2〜3mmである。
【0065】
なお、前述のように、第1部材81、第2部材82および連結部材83でバンド2を保持する機構、すなわち、少なくとも第2部材82の厚みを厚くすることで手首10への押圧力を増している。しかしながら、少なくとも第2部材82が風船のごとく空気を入れることで、それ自体が膨らみ、第2部材82の厚みが増す構造であっても良い。
【0066】
図8(e)に示すように、連結部材83の反対にある第1部材81の他端に突起81Cが設けられ、連結部材83の反対にある第2部材82の他端に突起81Cと係合するフック部82Cが設けられてもよい。これにより、補助部材80がバンド2から脱落することを防止できる。なお、突起81C及びフック部82Cは係合部として機能する。
【0067】
図9(a)は、
図8(a)のB−B線の補助部材80の断面図である。
図9(b)〜(f)は、補助部材80の変形例の断面図である。
【0068】
図9(a)では、第1部材81の第1面81a及び第2面81b、並びに第2部材82の第1面82a及び第2面82bは、いずれも平面である。
図9(b)に示すように、第2部材82の第2面82bは、手首10の湾曲に沿った曲面にしてもよい。第2面82bの曲率半径は、約2〜4cmである。この場合、第2面82bの手首10へのフィット感を向上させることができる。同様に、
図9(c)に示すように、第1部材81の第2面81bも、手首10の湾曲に沿った曲面にしてもよい。
【0069】
図9(d)に示すように、第2部材82の第1面82aは、曲面にしてもよい。第1面82aの曲率半径は、第2面82bの曲率半径と同じでも異なっていてもよい。第1面82aを曲面にすることでバンド2が第1面82aに接触しやすくなり、補助部材80がバンド2から脱落することを防止できる。同様に、
図9(e)に示すように、第1部材81の第1面81aも、曲面にしてもよい。
【0070】
図9(f)に示すように、第1面81a及び第2面81b、並びに第1面82a及び第2面82bの全てを曲面にしてもよい。また、第1面81a及び第2面81b、並びに第1面82a及び第2面82bのいずれか2つ以上を曲面にしてもよい。また、第1面81a及び第1面82aの曲面は、例えば、凹凸が交互に連続する曲面でもよい。これにより補助部材80がバンド2から脱落することを効果的に防止できる。
【0071】
図10(a)〜(d)、
図11(a)〜(d)及び
図12(a),(b)は補助部材80の変形例の断面図である。なお、
図10(a)〜(d)の補助部材80A〜80Cの第1部材81及び第2部材82に、
図8(e)で示した突起81C及びフック部82Cを設けてもよい。
【0072】
図10(a)に示すように、補助部材80の第1変形例である補助部材80Aは、第1部材81と、第2部材82と、連結部材83と、突起85とを備えている。補助部材80Aは突起85を有する点で補助部材80と異なるが、補助部材80Aの他の構成は、補助部材80と同一である。突起85は、補助部材80と同様に、ゴム、もしくはウレタン又はシリコンなどの樹脂で形成されており、突起85の弾性率は、例えば50〜3000Mpaである。突起85は、第2部材82の第2面82b上に形成されている。
【0073】
なお、
図11(a)に示すように、突起85は、第1部材81の第2面81b上に形成されていてもよい。さらに、突起85は、第1部材81の第2面81b及び第2部材82の第2面82bの両方に形成されていてもよい。
【0074】
図11(a)〜(d)の補助部材80A〜80Cでは、第2部材82の厚みT2は、第1部材81の厚みT1と略同一である。
図11(a)〜(d)の補助部材80A〜80Cでは、振動センサ21で脈波を検出する場合も及び検出しない場合も、第1部材81がバンド2と手首10との間に配置される。つまり、被測定者が
図11(a)〜(d)の補助部材80A〜80Cをバンド2から一旦取り外して、第2部材82がバンド2と手首10との間に配置されるように補助部材80をバンド2に再装着する手間が不要になる。なお、
図11(a)〜(d)の補助部材80A〜80Cの第1部材81及び第2部材82に、
図8(e)で示した突起81C及びフック部82Cを設けてもよい。
【0075】
第1部材81又は第2部材82がバンド2と手首10との間に配置されたときに、突起85を設けることで振動センサ21を手首10に押し当てる力を増加させることができる。つまり、振動センサ21の手首10への固定を強化できる。
【0076】
図10(b)に示すように、補助部材80の第2変形例である補助部材80Bは、第1部材81と、第2部材82と、連結部材83と、突起86とを備えている。補助部材80Bは突起86を有する点で補助部材80と異なるが、補助部材80Bの他の構成は、補助部材80と同一である。突起86は、例えば、内部に空気9を有する空気袋である。突起86の内部に含まれる空気量は一定である。突起86は変形可能であり、手首10にフィットしやすい。突起86は、ゴム、もしくはウレタン又はシリコンなどの樹脂で形成されており、突起86の弾性率は、第1部材81、第2部材82及び連結部材83の弾性率の半分以下であり、例えば25〜100Mpaである。
図11(b)に示すように、突起86は、第1部材81の第2面81b上に形成されていてもよい。さらに、突起86は、第1部材81の第2面81b及び第2部材82の第2面82bの両方に形成されていてもよい。第1部材81又は第2部材82がバンド2と手首10との間に配置されたときに、突起86を設けることで振動センサ21を手首10に押し当てる力を増加させることができる。
【0077】
図10(c)に示すように、補助部材80の第3変形例である補助部材80Cは、第1部材81と、第2部材82と、連結部材83と、突起87とを備えている。突起87は、例えば、内部に空気9を有する空気袋である。突起87の内部に含まれる空気量は変更可能である。つまり、突起87は、突起86と異なり、膨張及び収縮が可能である。さらに、補助部材80Cは、突起87に連通する空気注入路88と、空気注入路88に接続され、突起87に空気9を注入する注入ボタン89と、空気注入路88内に設けられた注入弁90と、突起87に連通する空気排出路91と、空気排出路91に接続され、突起87から空気9を排出する排出ボタン92と、空気排出路91内に設けられた排出弁93とを備えている。注入ボタン89を押下すると、空気9が空気注入路88の注入弁90を介して突起87に注入される。排出ボタン92を押下すると、空気9が空気排出路91の排出弁93を介して突起87から排出される。
図10(c)は突起87から空気9が排出された状態を示し、
図10(d)は突起87に空気9が注入された状態を示す。突起87、空気注入路88、注入ボタン89、注入弁90、空気排出路91、排出ボタン92及び排出弁93は、厚み調整部として機能する。空気注入路88、注入ボタン89及び注入弁90は、突起87に空気9を注入する注入部として機能する。空気排出路91、排出ボタン92及び排出弁93は、突起87から空気9を排出する排出部として機能する。
【0078】
突起87は、ゴム、もしくはウレタン又はシリコンなどの樹脂で形成されており、突起87の弾性率は、第1部材81、第2部材82及び連結部材83の弾性率の半分以下であり、例えば20〜100Mpaである。
図11(c)及び
図11(d)に示すように、突起87は、第1部材81の第2面81b上に形成されていてもよい。さらに、突起87は、第1部材81の第2面81b及び第2部材82の第2面82bの両方に形成されていてもよい。第1部材81又は第2部材82がバンド2と手首10との間に配置されたときに、突起87を設けることで振動センサ21を手首10に押し当てる力を増加させることができる。また、突起87の大きさを適宜調整することができる。
【0079】
図12(a)に示すように、補助部材80の第4変形例である補助部材80Dは、第1部材81と、第2部材82と、連結部材83と、接触板94と、移動機構95とを備えている。接触板94は手首10と接触可能であり、例えば、金属又は樹脂などで構成されている。移動機構95は接触板94の一端に固定されており、接触板94を手首10に対して移動させる。移動機構95は、例えば、接触板94に固定されたネジ95Aと、ネジ95Aに回転可能に取り付けられ、ネジ95Aを手首10に対して移動させる回転部材95Bとを備えている。例えば、回転部材95Bを時計回りに回転させると、接触板94が第2面82bから離れ、回転部材95Bを反時計回りに回転させると、接触板94が第2面82bに近づく。つまり、接触板94は
図12(a)の矢印R方向に移動する。移動機構95は、ネジ95A及び回転部材95Bに限定されるものではない。例えば、移動機構95は、伸縮可能なスライダと、当該スライダの長さを調整するストッパとを有していてもよい。接触板94及び移動機構95は厚み調整部として機能する。
【0080】
接触板94が手首10を押すことで振動センサ21を手首10に押し当てる力を増加させることができる。その結果、振動センサ21は手首10の橈骨動脈13の脈波信号を安定的に検出することができる。なお、
図12(b)に示すように、接触板94は第1部材81の第2面81b上に形成されていてもよく、移動機構95は、第1部材81側に形成されていてもよい。さらに、接触板94は、第1部材81の第2面81b及び第2部材82の第2面82bの両方に形成されていてもよい。移動機構95は、第1部材81側及び第2部材82側の両方に形成されていてもよい。
【0081】
図13(a)及び
図13(b)は、バンド2の変形例の断面図である。
図13(a)及び
図13(b)の構成及び特徴は、第1バンド部材2A及び第2バンド部材2Bにも適用可能である。
図13(a)及び
図13(b)では図の上側が手首側である。
【0082】
図13(a)では、バンド2は第4収容部(第2保持部)240を有し、第4収容部240が手首10を押圧する押圧部100を備えている。また、バンド2は、第2収容部220と第4収容部240との間に形成され、第2収容部220及び第4収容部240の厚みよりも薄い第3連結部77を備えている。第4収容部240の厚みは、例えば第1収容部210〜第3収容部230の厚みと同一であり、第3連結部77の厚みは第1連結部75及び第2連結部76の厚みと同一である。
【0083】
振動センサ21を収容する第1収容部210が手首10の橈骨動脈13に対向する位置に配置されるようにバンド2が手首10に固定された場合に、第4収容部240と押圧部100又は後述する押圧部101とは、手首10の外周領域のうち、手首10の橈骨11と長掌筋14との間で橈骨動脈13が設けられていない外周領域P3(
図7(b))上に配置されている。これにより、振動センサ21を手首10に押し当てる力を増加させることができる。また、好ましくは、第4収容部240と押圧部100又は後述する押圧部101とは、橈骨11と尺骨12とを結ぶ直線P1に対して第1収容部210と線対称の位置、長掌筋14と総指伸筋15とを結ぶ直線P2に対して第1収容部210と線対称の位置、及び手首の中心に対して第1収容部210と点対称の位置に設けられてもよい。これにより、振動センサ21を手首10に押し当てる力を効率的に増加させることができる。
【0084】
押圧部100は、
図10(c)と同様に、膨張及び収縮が可能な空気袋である突起87と、突起87に連通する空気注入路88と、空気注入路88に接続され、突起87に空気を注入する注入ボタン89と、空気注入路88内に設けられた注入弁90と、突起87に連通する空気排出路91と、空気排出路91に接続され、突起87から空気を排出する排出ボタン92と、空気排出路91内に設けられた排出弁93とを備えている。
図13(a)では、空気注入路88、注入ボタン89、注入弁90、空気排出路91、排出ボタン92及び排出弁93が、手首10を押圧する押圧力を増減させる押圧力調整部として機能する。
【0085】
注入ボタン89を押下すると、空気が空気注入路88の注入弁90を介して突起87に注入される。排出ボタン92を押下すると、空気が空気排出路91の排出弁93を介して突起87から排出される。空気注入路88、注入ボタン89及び注入弁90は、突起87に空気を注入する注入部として機能する。空気排出路91、排出ボタン92及び排出弁93は、突起87から空気を排出する排出部として機能する。
【0086】
バンド2が手首10に装着された場合、突起87が手首10を押すことで振動センサ21を手首10に押し当てる力を増加させることができる。その結果、振動センサ21は手首10の橈骨動脈13の脈波信号を安定的に検出することができる。
【0087】
図13(b)では、バンド2の第4収容部240が、手首10を押圧する押圧部101を備えている。押圧部101は、
図11(a)と同様に、接触板94と、移動機構95とを備えている。接触板94は手首10と接触可能であり、例えば、金属又は樹脂などで構成されている。移動機構95は接触板94の一端に固定されており、接触板94を手首10に対して移動させる。移動機構95は、例えば、接触板94に固定されたネジ95Aと、ネジ95Aに回転可能に取り付けられ、ネジ95Aを手首10に対して移動させる回転部材95Bとを備えている。回転部材95Bの一部はバンド2の側面から露出されており、被測定者が回転部材95Bを回転させることができる。例えば、回転部材95Bを時計回りに回転させると、接触板94が手首側に移動し、回転部材95Bを反時計回りに回転させると、接触板94が手首側と反対に移動する。
図13(b)では、移動機構95が、手首10を押圧する押圧力を増減させる押圧力調整部として機能する。
【0088】
バンド2が手首10に装着された場合、接触板94が手首10を押すことで振動センサ21を手首10に押し当てる力を増加させることができる。その結果、振動センサ21は手首10の橈骨動脈13の脈波信号を安定的に検出することができる。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態によれば、振動センサ21を有するバンド2に装着される補助部材80及び補助部材80A〜80Dの各々は、第1部材81と、第1部材81よりも大きな厚みを有する第2部材82と、第1部材81の一端と第2部材82の一端とを連結する連結部材83とを有し、第1部材81、連結部材83および第2部材82により、バンド2を着脱可能に挟持する凹部84が形成される。従って、バンド2と手首10との間の隙間に、第1部材81又は第2部材82のいずれか一方が配置されるので、振動センサ21を手首10に押し当てる力を増加させることができる。これにより、振動センサ21が橈骨動脈13に対向する位置からずれることを防止し、振動センサ21は手首10の橈骨動脈13の脈波信号を安定的に検出することができる。
【0090】
尚、本実施の形態では、橈骨動脈13の脈波を検出するセンサとして、振動センサ21が使用されているが、振動センサ21の代わりにLED(Light Emitting Diode)センサが使用されてもよい。通常本願のようなウェアラブルウォッチには、光電式の脈波センサを搭載しており、少なくとも1対以上の発光素子(例えば、LED)と受光素子(例えば、PD(Photodiode))を搭載している。この測定メカニズムは、LEDを測定対象物(例えば、橈骨動脈)に照射し、その測定対象物から跳ね返ってきた光を前記受光素子で受けている。例えば、脈拍を測定する場合、発光素子は血液の赤色に吸収される緑色発光ダイオードを使用する。この時、動脈は脈拍を打つごとに、膨張と収縮を繰り返し、緑色発光ダイオードが照射される血液の容積も変化する。この容積の変化に応じて、緑色発光ダイオードの跳ね返り量も変化するため、つまり緑色の光の変化を捉えることで、脈拍を計測することができる。
【0091】
また、補助部材80及び80A〜80Dが装着されるバンドは、手首に巻かれるバンド2や時計バンドに限定されるものではなく、例えば、シートベルト又は指尖用バンドなどでもよい。
【0092】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。