【解決手段】検出装置100は、人体の一部からバイタル信号を検出する振動センサ21を含む第1部材101と、第1部材101と対向する第2部材102と、第1部材101の一端と第2部材102の一端とを連結する連結部材103と、を備え、第1部材101および第2部材102の間に連結部材103が連結されることにより、バンド2を着脱可能に挟持する凹部104を有する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し本発明の実施の形態について説明する。なお、本実施例で述べる検出装置は、脈波だけでなく、呼吸、血圧、心拍などのバイタルサインと呼ばれるバイタル信号も検出可能である。従って、以下の説明では、脈波信号はバイタル信号の一例である。
【0018】
図1(a)は、本実施の形態にかかる検出装置を取り付けた時計バンドが巻き付けられた左の手首の断面図である。
図1(b)は、検出装置を示す斜視図である。
図1(c)は、
図1(b)のA−A線の検出装置の断面図である。
図1(a)では、指先側から見た状態が示されている。
図1(b)及び
図1(c)において、図の上側(凸状部材38と触れる部分)が手首側である。
【0019】
図1(a)に示すように、左の手首10(人体の一部)には、時計4のバンド2(対象物)が巻き付けられている。バンド2の一端にはピンバックル3が設けれており、バンド2の他端にはピンバックル3のピンが挿入可能な不図示の貫通孔が形成されている。なお、ピンバックル3以外のバックルが使用されてもよいし、バックルを係止する係止部材として貫通孔以外の金具が使用されてもよい。なお、係止部としての機能を持てば良いので、前述の係止部はバックルでなくても良い。
【0020】
バンド2は、金属、革、ゴム、もしくはウレタン又はシリコンなどの樹脂で形成されている。
【0021】
手首10は、橈骨11、尺骨12、橈骨動脈13、長掌筋14、及び総指伸筋15を備えている。
図1(a)の上側が手の甲側又は手首10の背側であり、
図1(a)の下側が手のひら側又は手首10の腹側である。
【0022】
図1(a)に示すように、本実施の形態にかかる検出装置100は、手首10に装着されるバンド2に着脱可能に取り付けられている。検出装置100は、手首10の橈骨動脈13に対向する位置に配置され、橈骨動脈13の脈波信号を検出する。検出装置100は、手首10の外周(P方向)に沿ってバンド2に対してスライド可能である。本実施の形態では、検出装置100が取り付けられるバンド2は時計バンドであるが、バンド2は、手首、腕、足首、首、又は胴体のいずれかに装着される部材であればよい。例えば、バンド2は、時計バンド、ブレスレット、アンクレット、ネックレス又はシートベルトなどである。
【0023】
図1(b)に示すように、検出装置100は、第1部材101と、第1部材101と対向する第2部材102と、第1部材101の一端と第2部材102の一端とを連結する連結部材103とを備えている。また、第1部材101、連結部材103および第2部材102により、バンド2を着脱可能に挟持する凹部104が形成されている。
【0024】
第1部材101、第2部材102及び連結部材103は、ゴム、もしくはABS、ウレタン又はシリコンなどの樹脂で形成されており、これらの弾性率は、例えば50〜3000Mpaである。第1部材101、第2部材102及び連結部材103は、一体形成されていてもよいし、それぞれ別体で形成され、接着又は熱溶着などにより連結されていてもよい。
【0025】
検出装置100のX方向の長さL1は、例えば5〜70mmであり、Y方向の長さL2は、例えば5〜70mmである。また、第1部材101の厚みT1は、第2部材102の厚みT2と略同一であり、例えば1〜30mmである。凹部104の鉛直方向の幅T3は、バンド2の厚みと同じ又は若干大きく、例えば2〜3mmである。
【0026】
図1(c)に示すように、検出装置100の断面は、例えば、U字状である。第1部材101は、橈骨動脈13から脈波信号を検出する振動センサ21を備えている。第2部材102は、脈波信号に対し信号処理を施し、コンピュータ又はスマホなどの外部装置に信号処理された脈波信号を送信する信号処理・通信部22と、振動センサ21及び信号処理・通信部22に電力を供給する電源部23とを備えている。振動センサ21と信号処理・通信部22との間には、信号線、電力線及びグランド(GND)線を含む配線としてのフレキシブルケーブル74が接続されている。信号処理・通信部22と電源部23との間には、電力線及びグランド(GND)線を含む配線としてのフレキシブルケーブル74が接続されている。従って、フレキシブルケーブル74は連結部材103内にも配置されている。
【0027】
よって、検出装置100がU字状を有していることにより、第1部材101、連結部材103および第2部材102より形成される凹部104がバンド2に引っかかることで、凸状部材38が橈骨動脈13と対向する位置からずれるのを防止できる。また、検出装置100を挿入する方向は、指先側からでも良いし、手前側(腕側)からでも良い。
【0028】
なお、U字状の断面をもつものを例に、検出装置100の構造を説明したが、検出装置100はU字状に限られないため、振動センサ21および信号処理・通信部22に電力を供給する電源部23が直線上に並ぶよう配置させた板状の装置でも良い。検出装置100が板状の場合、凸状部材38のある振動センサ21の配置されていない方を持ち、スライドさせる(押し込む)ことができるため、バンド2と人体の一部との間に挿入しやすくなる。
【0029】
第1部材101は、凹部104がバンド2を挟んだときにバンド2と対向する第1面101aと、第1面101aの反対側にあり、凸状部材38のある面である第2面101bとを有する。第2部材102は、凹部104がバンド2を挟んだときにバンド2と対向する第2面102aと、第2面102aの反対側であり、バンド2と接触しない第1面102bとを有する。第2面101bは第1面102bと区別するために第3面と称されることもある。
【0030】
振動センサ21の凸状部材38は第1部材101の第2面101bから突出し且つ露出されているが、振動センサ21の他の部品は第1部材101の内部に埋め込まれている。なお、脈波を検出できる限り、凸状部材38は第1部材101の内部に埋め込まれていてもよい。信号処理・通信部22及び電源部23は第2部材102の内部に埋め込まれている。
【0031】
図1(c)に示すように、手首10と接触する第1部材101に、振動センサ21を配置し、手首10と接触しない第2部材102は平坦であるため、信号処理・通信部22及び電源部23を配置し、バンド2によって検出装置100が手首10に固定された場合でも、手首10から信号処理・通信部22及び電源部23に外力がかかることなく、信号処理・通信部22及び電源部23の破損を回避することができる。
【0032】
図2(a)は、振動センサ21の構成を示す断面図である。
図2(b)は、振動センサの基板のおもて面及び裏面の領域を示す図である。
図2(c)は、
図2(a)の+Z方向から見た場合の振動センサの構成を示す透過図である。
図3(a)は、振動センサ21の構成を示す平面図である。
図3(b)は振動センサ21が備えるケースの例を示す図である。
図2(a)において、基板の表面に垂直な方向をZ方向とし、Z方向に垂直な面内で互いに直交する2方向をX方向(第1方向)及びY方向(第2方向)とする。
【0033】
図2(a)において、振動センサ21は、基板30、圧電素子33、素子37、凸状部材38及びケース40を有する。基板30及びケース40で囲まれる空間が空間50になる。基板30は、略平板状であり、おもて面30b(第4面)と、おもて面30bの反対側の裏面30a(第5面)とを有する。基板30は、XY平面視において、略矩形又は略正方形である。尚、基板30のX方向の両端部31が、Y方向に長さを持ち、圧電素子33または凸状部材38を挟んで対向位置に配置され、この基板30がケース40によって支持される両端部31を有するのであれば、基板30は矩形以外の形状でもよい。例えば、楕円、円または多角形などの両端がカットされて、Y方向に支持可能な直線部がある形状の基板であれば、その基板を基板30として適用可能である。
【0034】
基板30は、例えば、15mm(x)×15mm(y)×0.8mm(z)のサイズを有している。
図3(a)では、基板30は、対向する一対の支持側辺30c及び支持側辺30cと交差する一対の非接触側辺30dを有する。基板30のX方向の両端部31は一対の支持側辺30c又はその近傍に設けられている。
基板30は、絶縁性を有する材料で形成されており、例えば、ガラスエポキシなどの絶縁性樹脂で形成されている。尚、基板30は、絶縁性セラミック(例えば、アルミナ)で形成されてもよいし、若しくは少なくとも裏面30aが樹脂膜で絶縁処理された金属板または合金板で形成されてもよい。この樹脂膜の上に導電パターン32が形成される。
【0035】
例えば、基板30の少なくとも裏面30aには、不図示のパッド電極と接続される導電パターン32が設けられている。そして圧電素子33、この圧電素子33と回路を構成する素子37(電気部品)は、パッド電極と半田を介して電気的に接続されている。ここで、基板30は、裏面30aに一層メタルで形成されているが、両面二層以上で構成されても良い。尚、後述するが振動センサ1が取り付けられるケース40の内壁にシールドメタルとしての導電膜41が設けられるため、基板30の両端部31には、GND接地用の電極が設けられても良い。また、基板30は、例えば、20GPa以上の弾性率を有し、バンド2、凸状部材38及びケース40の弾性率よりも高い。
【0036】
本実施形態においては、基板30の両端部31がケース40に支持されている。この場合、基板30を効率よく撓ませるために、基板30のおもて面30bの中心部分に凸状部材38を設けるので、圧電素子33は基板30の裏面30aの中心付近に配置されるのが好ましい。そして、圧電素子33は不図示のパッド電極に半田を介して実装されている。圧電素子33は、例えば、3.2mm(x)×1.6mm(y)×0.8mm(z)のサイズを有した直方体である。
図3(a)に示すように、+Z方向から観た場合に、圧電素子33は、凸状部材38が固定されている領域の内側に位置する。すなわち、後述する
図2(b)で説明するが、第1領域201に凸状部材を配置し、その裏面である第2領域202の略中央に圧電素子33を配置するのが好ましい。
【0037】
図2(b)に示すように、凸状部材38は基板30のおもて面30bの略中央に位置する第1領域201(
図2(c)及び
図3(a)の点線領域に対応する)に固定され、圧電素子33は、基板30の裏面30aの第2領域202に固定されている。第2領域202の面積は第1領域201の面積と同じであり、第2領域202は第1領域201の反対に位置する。裏面30aには、第2領域202の外側に第3領域203が形成されている。第2領域202は、凸状部材38が固定される第1領域201の反対にあり、比較的平坦を維持することから、圧電素子33の半田クラックなどを抑止し、信頼性の点で好ましい領域である。
【0038】
図2(a)に示す圧電素子33の外形は、チップコンデンサの様に、直方体の形状を成す。そして、圧電素子33は、圧電体34、端子電極35、端子電極36および分極端子を有する。圧電体34は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を主成分とする圧電材料で形成される。圧電体34は、予め+Z方向側及び−Z方向側で圧電体34を上下で挟む様に分極端子(不図示)が用意され、Z方向及び−Z方向から所定の電圧をかけて分極処理が行われ、圧電体34の分極方向をZ方向にしている。なお、この分極処理に必要である分極端子は削除されても良いし、残しておいても良い。
【0039】
端子電極35及び端子電極36は、チップコンデンサのような直方体であり、圧電体34の左右両端に配置される。端子電極35は、圧電体34の−X側の端部、端子電極36は、圧電体34の+X側の端部に配置される。圧電体34がZ方向及び−Z方向に力を受けて変位すると、電荷が発生し、その結果、端子電極35、36の間には、その力に応じた電気信号が発生する。
【0040】
尚、本実施形態において、凸状部材38を通じて外力が加わることにより、巨視的に見ると基板30が上下に撓み、微視的に見ると、基板30の裏面30aは水平方向に伸びたり縮んだりしている。その結果、基板30の上に載せられた圧電素子33も伸びたり縮んだりするので、端子電極35と36の間に電気信号が発生する。ここでは、圧電素子33の分極方向は基板30の垂直方向に整列されたものである。
【0041】
素子37は、例えば、圧電素子33で発生した信号に対して増幅処理を施すFET(Field Effect Transistor)やダイオードなどの半導体素子、またはチップコンデンサなどの受動素子である。またアンプを構成するICでも良い。この素子37は、基板30の裏面30aに設けられたパッド電極に、半田で固定されている。素子37は、不図示の配線を介して圧電素子33に電気的に接続されている。尚、基板のおもて面30bに不図示のシールドメタルが設けられても良い。この場合、シールドメタルは裏面30aに設けられたGND用の配線や電極とビアを介して接続される。
【0042】
凸状部材38は、基板30のおもて面30bの略中央に樹脂製の接着剤、半田などのロウ材又は導電ペーストなどで固定されており、基板30のおもて面30bから−Z方向、に突出している。圧電素子33の配置と同様に、基板30の変形のし易さを考えると、凸状部材38の配置も基板30の中央又はその近傍が好ましい。
【0043】
凸状部材38は、例えば、径9.5mm、高さ7.4mmのサイズを有している。
図2(b)に示すように、凸状部材38は第1領域201に配置され、第1領域201と反対に位置する第2領域202内に圧電素子33が配置される。
【0044】
凸状部材38は、シリコン、ポリカーボネート又はABSなどの樹脂、又は鉄やニッケルなどの金属で形成されている。この場合、凸状部材38が樹脂で成る場合、樹脂製接着剤で基板30に固定され、金属の場合、樹脂製の接着剤、ロウ材または導電ペーストで基板30に固定される。また、おもて面30bが金属膜、例えば銅などで全面被覆されて、シールドされている場合は、凸状部材38はロウ材や導電ペーストで固定するのが適切である。この場合、金属膜は、シールドと凸状部材の固着部材として機能する。
【0045】
また凸状部材38が樹脂である場合、凸状部材38の弾性率は、例えば50〜3000Mpaである。凸状部材38が金属である場合、凸状部材38の弾性率はGpaオーダーである。なお、凸状部材38は上述した弾性率を有する限り、エアーチューブのような中空形状でもよい。
【0046】
凸状部材38に外力が加わると、第1領域201の外周を境界にして、第1領域201の内側はやや平坦で、第1領域201の外側は変形する。つまり微視的に判断すると、第1領域201の内側と外側の境界及び第2領域202と第3領域203との境界には、平坦な部分と湾曲部分との境界、すなわち変曲ラインが存在すると推察される。よって、
図2(b)では、素子37が第2領域202と第3領域203との境界上に配置されているため、半田クラックなどを考えると好ましくない。圧電素子33は、第2領域202の内部に配置されるのが好ましい。また素子37は、第2領域202の内部か、あるいは、第2領域202と第3領域203との境界を避けて、第3領域203の内部に設けることで、半田クラックなどの機械的不良を防止できる。
【0047】
ケース40は、シリコン、ポリカーボネート又はABSなどの樹脂で形成されている。ケース40の弾性率は、例えば、50〜3000Mpaであり、基板30の弾性率よりも低い。
【0048】
図2(c)に示すように、ケース40の段差44が、基板30の両端部31と固着し、両端部31を支持する。バンド2は基板30の両端部31と交差する一対の内側面2a(非接触側辺)を有する。一対の内側面2aと基板30のX方向(長手方向)に平行な一対の対向する非接触側辺30dとの間には、隙間9が形成されている。隙間9により、基板30の非接触側辺30dが内側面2aと接触することがなく、基板30の振動が抑制するのを回避できる。また隙間9は
図2(c)のようなものでも良いし、後述する
図3(b)のように、基板30と底部43との間に形成される隙間でもよい。要は、基板30の全ての辺が固定されてしまうと効率良く撓ませることが出来ないため、隙間は必要である。
【0049】
図2(a)に示すように、基板30のX方向の両端部31は、ケース40の段差44に両持ち梁状に固定されている。つまり、基板30のX方向の両端部31は、基板30の振動の固定端として機能する。検出装置100が装着されたバンド2が手首10に巻かれ、凸状部材38が手首10から脈波の振動による力を受けると、その力が凸状部材38から基板30へ伝達され、基板30が+Z方向または−Z方向に撓む。なお、基板30が+Z方向に撓んだ場合でも、圧電素子33及び素子37は、ケース40に接触しない。凸状部材38のX方向の長さが基板30のX方向の長さよりも小さいので、凸状部材38が基板30を効率的に撓ませることができる。また、凸状部材38が基板30の裏面30aの圧電素子33に対応した位置に配置されているので、基板30のおもて面30bにおける圧電素子33付近の領域を効率的に撓ませることができる。これにより、圧電素子33内の圧電体34を効率的に変位させることができ、圧電素子33が脈波の振動による力を感度よく検知することができる。
【0050】
図2(a)及び
図3(b)に示すように、ケース40は、基板30のX方向の両端部31を支持する段差44を有する一対の第1壁部42と、一対の第1壁部42を連結し基板30の裏面30aを覆う底部43とを備える。底部43はXY平面と平行に形成され、一対の第1壁部42は底部43のX方向の両端に設けられ、YZ平面と平行に配置されている。また、
図3(b)に示すように、第1壁部42の一つには、基板30から配線を外部に引き出すための凹部45が形成されている。例えば、
図1(c)の信号処理・通信部22から延びるフレキシブルケーブル74が凹部45を介して空間50内に挿入され、基板30の裏面30aの導電パターン32と電気的に接続される。尚、
図3(b)に示すように、第1壁部42は、斜め右上と斜め左下の二側辺の位置に設けられ、斜め左上と斜め右下の二側辺の位置(XZ面側)には壁がなく、開口部として開放されている。
【0051】
図2(a)に示すように、ケース40の内壁(空間50に接する複数の第1壁部42及び底部43の面)を覆うように導電材としての導電膜41が形成されている。導電膜41は、ケース40の外壁を覆うように形成されてもよいし、ケース40の内部に形成されてもよい。絶縁性を有する材料で形成されている基板30を導電膜41に絶縁性接着材で固定することで、基板30、複数の第1壁部42及び底部43で空間50を封止し、外部からの電磁波を遮断している。尚、基板30のおもて面30bの全域に、シールド膜が設けられればさらに良い。
【0052】
また、空間50には、ケース40の弾性率よりも低い弾性率を有する素材が充填されるのが好ましい。空間50に充填される素材の弾性率がケース40の弾性率よりも高い場合には、基板30の振動が抑制されてしまう。このため、空間50に充填される素材の弾性率はケース40の弾性率の5分の1以下に設定されるのが好ましい。空間50に充填される素材は、例えば、空気・ガスなどの気体、ゲル、ゴム、又は樹脂などである。空間50に充填される素材の弾性率は、例えば0〜10Mpaである。なお、尚、前述したように、
図3(b)に於いて、ケース40の斜め左上と斜め右下の位置には開口部がある。この開口部を塞ぐようにテープなどのフィルムが貼りあわされることで、空間50内には空気が含まれる。
【0053】
図4は、振動センサ21、信号処理・通信部22及び電源部23の構成を示すブロック図である。信号線71、電力線72及びグランド(GND)線73を含むフレキシブルケーブル74が振動センサ21と信号処理・通信部22との間に接続されている。また、電力線72及びグランド(GND)線73を含むフレキシブルケーブル74が信号処理・通信部22と電源部23との間に接続されている。振動センサ21は、圧電素子33と、素子37としてのアンプ371とを備えている。ここで、アンプ371は、例えば、インスツルメンテーションアンプやチャージアンプである。371は、圧電素子33で発生した信号(脈波信号)を増幅し、信号線71を介して信号処理・通信部22に出力する。
【0054】
信号処理・通信部22は、プログラマブルアンプ221と、A/D変換器222と、通信モジュール223と、マイコン224とを備えている。プログラマブルアンプ221はアンプ371から受信した脈波信号をさらに増幅する。A/D変換器222は、プログラマブルアンプ221によって増幅された脈波信号をデジタル信号に変換する。マイコン224はA/D変換器222で変換されたデジタル信号を通信可能なデジタルデータに変換する。また、マイコン224は通信モジュール223の通信タイミングなども制御する。マイコン224はA/D変換器222で変換されたデジタル信号からノイズ成分を除去してもよい。通信モジュール223は、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)又は無線LANなどの無線通信を行い、脈波信号を示すデジタルデータを不図示の外部装置(例えばコンピュータやスマートフォンなど)に送信する。
【0055】
電源部23は、ボタン電池又は充電可能なリチウムイオン電池のようなバッテリ231を備えている。バッテリ231は、電力線72を介して信号処理・通信部22及び振動センサ21に含まれる各構成要素に電力を供給する。
図4では、振動センサ21は信号処理・通信部22を介して電源部23に接続されているが、振動センサ21は電源部23を介して信号処理・通信部22に接続されてもよい。この場合、振動センサ21と信号処理・通信部22との間に電源部23が設けられ、振動センサ21及び信号処理・通信部22がフレキシブルケーブル74を介して電源部23に接続される。
【0056】
尚、本実施の形態では、橈骨動脈13の脈波を検出するセンサとして、振動センサ21が使用されているが、振動センサ21の代わりにLED(Light Emitting Diode)センサが使用されてもよい。通常本願のようなウェアラブルウォッチには、光電式の脈波センサを搭載しており、少なくとも1対以上の発光素子(例えば、LED)と受光素子(例えば、PD(Photodiode))を搭載している。この測定メカニズムは、LEDを測定対象物(例えば、橈骨動脈)に照射し、その測定対象物から跳ね返ってきた光を前記受光素子で受けている。例えば、脈拍を測定する場合、発光素子は血液の赤色に吸収される緑色発光ダイオードを使用する。この時、動脈は脈拍を打つごとに、膨張と収縮を繰り返し、緑色発光ダイオードが照射される血液の容積も変化する。この容積の変化に応じて、緑色発光ダイオードの跳ね返り量も変化するため、つまり緑色の光の変化を捉えることで、脈拍を計測することができる。
【0057】
図5(a)〜(c)、
図6(a)(b)及び
図7(a)(b)は、検出装置の変形例を示す図である。
【0058】
図5(a)に示すように、突起106が連結部材103の反対にある第2部材102の他端に設けられ、突起106と係合するフック部105が連結部材103の反対にある第1部材101の他端に設けられている。これにより、検出装置100がバンド2から脱落することを防止できる。なお、突起106が第1部材101の他端に設けられ、フック部105が第2部材102の他端に設けられてもよい。突起106及びフック部105は、ゴム、又はシリコン、ポリカーボネート若しくはABSなどの樹脂で形成されている。突起106及びフック部105の弾性率は、例えば、50〜3000Mpaである。また、突起106及びフック部105の形状や構造は、
図5(a)の例に限定されるものではない。例えば、突起106がリング状であり、フック部105が突起106の中心の穴に係合する爪を有していてもよい。突起106及びフック部105は係合部として機能する。
【0059】
また、
図5(b)に示すように、凹部104がバンド2を挟んだときにバンド2と対向する第1面101a及び第2面102aの少なくとも一方に、バンド2を係止する突起107(係止部)を備えていてもよい。突起107により、検出装置100をバンド2の所望の位置で固定することができる。なお、突起107は、ゴム、又はシリコン、ポリカーボネート若しくはABSなどの樹脂で形成されている。突起107の弾性率は、例えば、50〜3000Mpaである。突起107の形状は、直方体でも半球状でもよい。
【0060】
突起107は変形しなくてもよい。例えば、バンド2の幅方向に沿ってバンド2に予め溝が形成されている場合、検出装置100の突起107をバンド2の溝に沿って嵌めることで、検出装置100をバンド2に固定することができる。また、突起107は、検出装置100をバンド2上でスライドできるように、エアーチューブのように弾性変形可能であってもよい。この場合、突起107はバンド2と接触しバンド2を係止するが、検出装置100をバンド2の外周方向に沿って押すと、突起107が変形し、検出装置100をバンド2上でスライドできる。
【0061】
また、
図5(c)に示すように、第1部材101の第1面101aが突起107を収容する凹部101cを有し、第2部材102の第2面102aが突起107を収容する凹部102cを有し、凹部101cと突起107との間及び凹部102cと突起107との間にバネ108が設けられてもよい。この場合、突起107は変形しない。第1部材101と第2部材102にそれぞれ固定された突起107の間にバンド2を挿入すると、突起107は上下に動き、検出装置100をバンド2に固定することができる。例えば、対向する2つの突起107間の距離より厚く且つ厚みT3以下の厚みを有するバンドが挿入されると、突起107はバンドの厚さに合わせて、凹部101c及び102cの中に引っ込み、バンド2に押されて第1部材101及び第2部材102内に収まった状態になる。さらに、突起107のバンド2が触れる部分に、滑り止めのための樹脂を塗布しても良い。この場合、突起107の材質は、例えば、第1部材101や第2部材102と同様の弾性率を有したものが良い。
【0062】
一方、突起107が変形する場合、前述のように突起107の間にバンド2を挿入すると、バンド2の形状(厚み)に合わせて突起107はそれぞれ変形する。突起107の材質は、例えば、第1部材101や第2部材102よりも弾性率の低いゲル等である。
【0063】
また、
図6(a)に示すように、第1部材101の厚みT1は、第2部材102の厚みT2よりも大きくしてもよく、好ましくは、厚みT2の2倍以上にしてもよい。
【0064】
例えば、振動センサ21で脈波を検出しない期間は、第2部材102をバンド2と手首10との間に配置すると、第2部材102の厚みT2は第1部材101の厚みT1よりも小さいので、検出装置100をバンド2に装着しても被装着者に違和感を与えることがない。一方、振動センサ21で脈波を検出する場合には、被測定者が検出装置100をバンド2から一旦取り外して、第1部材101がバンド2と手首10との間に配置されるように、検出装置100をバンド2に再装着する。第2部材102よりも厚みの大きな第1部材101がバンド2と手首10との間に配置されるので、振動センサ21を手首10に押し当てる力を増加させることができ、振動センサ21が橈骨動脈13に対向する位置からずれることを防止できる。その結果、振動センサ21は手首10の橈骨動脈13の脈波信号を安定的に検出することができる。
【0065】
図6(b)に示すように、第1部材101の一端と第2部材102の一端とを連結する連結部材103は、伸縮可能な筒状の弾性部材103aであってもよい。弾性部材103aは、例えば、ゴム又はバネであり、弾性部材103aの内部空間にフレキシブルケーブル74が配置される。なお、弾性部材103aの内部空間のフレキシブルケーブル74は、弾性部材103aの伸縮に対応できるように、凹部104の鉛直方向の幅T3よりも長く、例えば、幅T3の2倍以上であることが好ましい。これにより、バンド2の厚みが凹部104の鉛直方向の幅T3よりも大きい場合でも、検出装置100をバンド2に取り付けることができる。
【0066】
また、
図7(a)、(b)に示すように、連結部材103は、第2部材102に対して第1部材101を開閉可能な部材103bであってもよい。部材103bは、例えば、フレキシブルケーブル74を内蔵可能なヒンジである。この場合、第1部材101をバンド2と手首10との間に差し込みやすいので、検出装置100をバンド2に取り付けやすくなる。部材103bは、ゴム、又はシリコン、ポリカーボネート若しくはABSなどの樹脂で形成されている。
【0067】
尚、
図5(a)の突起106及びフック部105、
図5(b)の突起107、
図5(c)の突起107及びバネ108、
図6(a)の第1部材101を第2部材102よりも厚くすること、
図6(b)の弾性部材103a及び
図7(a)、(b)の部材103bのうち少なくとも2つが、検出装置100に同時に適用されてもよい。例えば、
図7(a)、(b)検出装置100が部材103bに加えて、
図5(a)の突起106及びフック部105を備えていてもよい。また、第1部材101が突起107を備え、同時に連結部材103が弾性部材103aで構成されてもよい。
【0068】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1部材101に含まれる振動センサ21がバンド2によって手首に押し付けられるので、振動センサ21は手首10の橈骨動脈13の脈波信号を安定的に検出することができる。また、第1部材101の一端と第2部材102の一端とが連結部材103によって連結され、第1部材101の他端と第2部材102の他端は開放されており、第1部材101及び第2部材102がバンド2を挟み込むので、検出装置100は手首10に装着されるバンド2に着脱可能である。
【0069】
さらに、手首10と接触しない第2部材102に、信号処理・通信部22及び電源部23を配置しているので、バンド2によって検出装置100が手首10に固定された場合でも、手首10から信号処理・通信部22及び電源部23に外力がかかることなく、信号処理・通信部22及び電源部23の破損を回避することができる。また、信号処理・通信部22が第2部材102に配置され、第1部材101に配置された振動センサ21から引き離されるので、信号処理・通信部22からの電波が振動センサ21の脈波信号の検出に干渉することを回避でき、脈波信号の検出精度及び通信性能を向上させることができる。
【0070】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。