【解決手段】薄膜トランジスタ基板は、絶縁基板と、第1絶縁層と、第1酸化物半導体膜を含む第1薄膜トランジスタと、第1絶縁層より上層である第2絶縁層と、第1酸化物半導体膜と組成が異なる第2酸化物半導体膜を含む第2薄膜トランジスタと、を含む。第1酸化物半導体膜の少なくとも一部は、第1絶縁層上に接して形成されている。第1絶縁層は、第1酸化物半導体膜が接触している第1酸化物半導体膜より下の絶縁層において最も上の絶縁層である。第2酸化物半導体膜の少なくとも一部は、第2絶縁膜上に接して形成されている。第2絶縁層は、第2酸化物半導体膜が接触している第2酸化物半導体膜より下の絶縁層において最も上の絶縁層である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。各図において共通の構成については同一の参照符号が付されている。説明をわかりやすくするため、図示した物の寸法、形状については、誇張して記載している場合もある。
【0010】
[概観]
以下において、本開示の、酸化物半導体薄膜トランジスタを含むTFT基板の構成及びその製造方法について説明する。本開示のTFT基板は様々な装置に適用することができ、例えば、センサ装置や表示装置に適用することができる。
【0011】
消費電力の低減、回路サイズの縮小、信頼性の改善等、一つの装置対する様々な要求が存在する。酸化物半導体TFTが、このような異なる要求を満たすためには、異なる特性(材料)の酸化物半導体膜を含む酸化物半導体TFTを、同一基板上に形成することが必要となる。また、様々な要求に適切に応えるために、多くの酸化物半導体材料から酸化物半導体TFTに使用する酸化物半導体材料を選択できることが重要である。
【0012】
本開示のTFT基板は、異なる材料(元素組成)の酸化物半導体膜を含む酸化物半導体TFT、を含む。これにより、TFT基板に求められる異なる要求に応えることができる。また、第1の種類の酸化物半導体TFTの酸化物半導体膜の少なくとも一部は、第1絶縁層上に接して形成され、第2の種類の酸化物半導体TFTの酸化物半導体膜の少なくとも一部は、第1絶縁層と異なる第2絶縁層上に接して形成されている。この構成によって、多くの酸化物半導体材料から、TFT基板上で使用する酸化物半導体材料を選択することができる。
【0013】
例えば、酸化物半導体TFTは、低リーク電流、低い温度依存性を持つ一方、低温ポリシリコンTFTと比べて移動度及び信頼性が低い。酸化物半導体TFTは、特にNBITS(Negative Bias Illumination Temperature Stress)信頼性が低い。NBITS信頼性は、酸化物半導体TFTに負のゲートバイアス、光及び熱を与えたストレス条件下での信頼性を示す。酸化物半導体TFTのゲート閾値電圧は、NBITSによって大きく変化し得る。
【0014】
ゲート閾値電圧の変化は、光により生成されるキャリアによると考えられる。したがって、例えば、酸化物TFTの信頼性を高めるためには、バンドギャップが大きい酸化物半導体材料を使用することが重要である。一方、例えば、回路サイズを小さくするためには、酸化物半導体TFTの移動度が大きい、つまり、移動度が大きい酸化物半導体材料を使用することが重要である。
【0015】
例えば、表示装置の狭額縁と高信頼性を実現するために、TFT基板は、周辺回路内に高移動度の酸化物半導体材料を使用した酸化物半導体TFTを含み、表示領域(画素回路)内にバンドギャップが小さい酸化物半導体材料を使用した酸化物半導体TFTを含む。以下において、TFT基板の適用例として、表示装置のTFT基板を説明する。
【0016】
<実施形態1>
[表示装置構成]
図1は、液晶表示パネル1の構成例を示す。液晶表示パネル1は、薄膜トランジスタ(TFT)と液晶に電界を印加するための画素電極が形成されるTFT基板10と、対向基板20と、TFT基板10と対向基板20とを接合するシール部30を含む。TFT基板10と対向基板20との間には、液晶材料が封入されている。画素電極との間で液晶に与える電界を形成する共通電極は、TFT基板10又は対向基板20上に形成されている。
【0017】
TFT基板10と対向基板20の互いの対向面には、液晶に初期配向を与える配向膜(不図示)が配置されている。また、TFT基板10と対向基板20それぞれの外側面には、偏光板(不図示)が配置されている。液晶表示装置はさらに不図示のバックライトユニットを含む。
【0018】
TFT基板10の表示領域25の外側の周囲に、周辺回路が配置されている。表示領域25の外側の周辺回路が形成されている領域を、周辺回路領域と呼ぶ。周辺回路は、例えば、第1走査ドライバ31、第2走査ドライバ32、保護回路33、デマルチプレクサ36を含む。さらに、ドライバIC34が、表示領域25の外側に配置される。
【0019】
保護回路33は、静電保護素子を含み、画素回路内の素子の静電破壊を防ぐ。ドライバIC34は、FPC(Flexible Printed Circuit)35を介して外部の機器と接続される。例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を用いて実装される。
【0020】
走査ドライバ31、32はTFT基板の走査線を駆動する。ドライバIC34は、走査ドライバ31、32に電源及びタイミング信号(制御信号)を与え、さらに、デマルチプレクサ36を介して、データ線に映像データに対応する信号を与える。デマルチプレクサ36は、ドライバIC34の一つのピンの出力を、d本(dは2以上の整数)のデータ線に順次出力する。デマルチプレクサ36は、ドライバIC34からのデータ信号の出力先データ線を、走査期間内にd回切り替えることで、ドライバIC34の出力ピン数のd倍のデータ線を駆動する。
【0021】
OLED(Organic Light−Emitting Diode)表示装置は、
図1に示す構成と類似する構成を有する。OLED表示装置は、OLED素子及びTFTが形成されるTFT基板と、有機発光素子を封止する封止基板と、TFT基板と封止基板とを接合する接合部(ガラスフリットシール部)を含んで構成されている。TFT基板と封止基板との間には、例えば、乾燥窒素が封入されており、接合部により封止されている。封止基板及び接合部は封止構造部の一つであり、他の例として、封止構造部は、例えば薄膜封止構造(TFE:Thin Film Encapsulation)を有してもよい。
【0022】
TFT基板の表示領域の外側の周囲に、1又は複数の走査ドライバ、保護回路、ドライバIC、デマルチプレクサが配置される。走査ドライバ、保護回路は、TFT基板に形成された周辺回路である。例えば、第1走査ドライバはTFT基板の走査線を駆動し、第2走査ドライバは、制御線を駆動して、各画素の発光期間を制御したり、各画素に基準電位を与えたりする。ドライバICは、走査ドライバに電源及びタイミング信号(制御信号)を与える。さらに、ドライバICは、デマルチプレクサに、電源及びデータ信号を与える。デマルチプレクサの機能は液晶表示パネル1と同様である。
【0023】
[TFT基板の構成]
図2は、液晶表示装置のTFT基板の断面構成例を模式的に示す。
図2は、TFT基板100における、表示領域150の外側において周辺回路が設置される周辺回路領域110内の一つの第1酸化物半導体TFT130と、画素で構成される表示領域150内の一つの第2酸化物半導体TFT170とを、例として示している。第1酸化物半導体TFT130は、例えば、走査ドライバ内の酸化物半導体TFTである。第2酸化物半導体TFT170は、データ信号を与える各画素を選択するためのスイッチTFTである。
【0024】
樹脂又はガラスで形成された可撓性又は不撓性の絶縁基板113上に、第1酸化物半導体TFT130及び第2酸化物半導体TFT170が形成されている。以下において、接触して積層されている二つの層(界面を形成する二つの層)において、絶縁基板113により近い層が下側の層であり、絶縁基板113からより遠い層が上側の層である。
【0025】
第1酸化物半導体TFT130の酸化物半導体膜(第1酸化物半導体膜)133と、第2酸化物半導体TFT170の酸化物半導体膜(第2酸化物半導体膜)173とは、異なる酸化物半導体材料で形成され、異なる特性を有している。本例において、第1酸化物半導体膜133の移動度は、第2酸化物半導体膜173の移動度より大きい。また、第2酸化物半導体膜173のバンドギャップは、第1酸化物半導体膜133のバンドギャップより大きい。二つの酸化物半導体膜の特性の違いにより、狭額縁と高信頼性を実現できる。
【0026】
第1酸化物半導体膜133に適用可能な酸化物半導体材料は、例えば、ITZO、IGZTO、In−Zn−Ti−O、In−W−Z−Oを含む。第2酸化物半導体膜173に適用可能な酸化物半導体材料は、例えば、IGZO、GaZnO、IGOを含む。
【0027】
第1酸化物半導体TFT130の酸化物半導体膜(第1酸化物半導体膜)133は、第1絶縁層117上に接触して形成されている。第2酸化物半導体TFT170の酸化物半導体膜(第2酸化物半導体膜)173は、第2絶縁層119上に接触して形成されている。第2絶縁層119は、第1絶縁層117より上層に位置する。第1酸化物半導体膜133は、第2酸化物半導体膜173より下層に位置する。第1絶縁層117及び第2絶縁層119は、それぞれ、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物で構成される。
【0028】
図2の構成例において、第1酸化物半導体膜133の全部は、第1絶縁層117上に接触して形成されている。また、第2酸化物半導体膜173の全部は、第2絶縁層119上に接触して形成されている。第2絶縁層119は、第1絶縁層117上に接触して形成されている。第1酸化物半導体膜133及び第2絶縁層119は共に第1絶縁層117上に接触して形成されている。
【0029】
第1酸化物半導体TFT130は、第1酸化物半導体膜133と、第1酸化物半導体膜133より下層のゲート電極131と、積層方向においてゲート電極131と第1酸化物半導体膜133との間に存在するゲート絶縁膜132を含む。ゲート電極131は、絶縁性の下地層115上に接触して形成されている。ゲート絶縁膜132は、第1絶縁層117の一部である。下地層115は、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物で構成される。
【0030】
第1酸化物半導体膜133は、二つのソース/ドレイン領域と、ソース/ドレイン領域との間のチャネル領域(それぞれ不図示)とを含む。ソース/ドレイン領域は低抵抗領域であり、チャネル領域は高抵抗領域である。ソース/ドレイン領域は、それぞれ、ソース/ドレイン電極135、137と接触している部分である。ソース/ドレイン電極135、137は、第2絶縁層119上に接触して形成されており、第2絶縁層119に形成されている開口において、第1酸化物半導体膜133の上面に接触している。
図2の例において、ソース/ドレイン電極135、137は、第1酸化物半導体膜133の上面のみに接触しているが、端面及び上面と接触してもよい。
【0031】
第2酸化物半導体TFT170は、第2酸化物半導体膜173と、第2酸化物半導体膜173の下側のゲート電極171と、積層方向においてゲート電極171と第2酸化物半導体膜173との間に存在するゲート絶縁膜172を含む。ゲート電極171は、絶縁性の下地層115上に接触して形成されている。ゲート絶縁膜172は、第1絶縁層117の一部及び第2絶縁層119の一部からなる積層構造を有する。第2酸化物半導体TFT170のゲート絶縁膜172は、第1酸化物半導体TFT130のゲート絶縁膜132よりも厚く、第2酸化物半導体TFT170のゲート絶縁膜172の信頼性を高めている。
【0032】
第2酸化物半導体膜173は、二つのソース/ドレイン領域と、ソース/ドレイン領域との間のチャネル領域(それぞれ不図示)とを含む。ソース/ドレイン領域は、それぞれ、ソース/ドレイン電極175、177と接触している部分である。ソース/ドレイン電極175、177は、第2絶縁層119上に接触して形成されている。ソース/ドレイン電極175、177は、それぞれ、第2酸化物半導体膜173の両端を含む部分に接触している。
【0033】
第1酸化物半導体膜133及び第2酸化物半導体膜173は、層間絶縁層(ILD)121に覆われている。層間絶縁層121は無機材料又は有機材料で形成できる。画素電極181は、層間絶縁層121上に接触して形成されており、層間絶縁層121のビアホールに形成されたビアを介して、第2酸化物半導体膜173のソース/ドレイン電極177に接続している。画素電極181は、例えばITO(Indium Tin Oxide)で形成される。
【0034】
絶縁性の下地層115は、絶縁基板113上に接触して形成されており、二つのゲート電極131、171、及び、第1絶縁層117は、下地層115上に接触して形成されている。ゲート電極131、171は、同一の金属層に含まれる部分である。ゲート131、171の材料は任意であり、例えば、Mo、W、Nb、Al、Ta、Cr、Ti等の単層又は積層或いはこれらの合金が使用される。ゲート電極131、171の全部は、第1絶縁層117に覆われている。
【0035】
第1酸化物半導体TFT130及び第2酸化物半導体TFT170のソース/ドレイン電極135、137、175、177は、同一の金属層に含まれる部分である。ソース/ドレイン電極135、137、175、177は、例えば、Ti/Al/TiやMo/Al/Mo等の導電膜を堆積し、パターニングを行うことで形成する。ソース/ドレイン電極135、137、175、177は、単層構造を有してもよく、上記金属材料と異なる金属材料で形成されてもよい。
【0036】
[TFT基板の製造方法]
図2が示すTFT基板100の製造方法の例を説明する。
図3Aに示すように、TFT基板100の製造方法は、CVD法等により、絶縁基板113上に下地層115を約100nm成膜する。次に、下地層115上にゲート電極131、171を含む金属層(ゲート電極層)を形成する。具体的には、スパッタ法等により金属膜を約300nm形成し、フォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングする。さらに、製造方法は、ゲート電極層を覆うように、第1絶縁層117を、CVD法等により、約300nm成膜する。
【0037】
次に、
図3Bに示すように、製造方法は、第1絶縁層117上に第1酸化物半導体膜133を含む酸化物半導体層(第1酸化物半導体層)を形成する。具体的には、スパッタ法等により酸化物半導体層を約50nm成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングを行う。これにより、酸化物半導体膜のパターンが形成される。
【0038】
次に、
図3Cに示すように、製造方法は、第1酸化物半導体膜133を覆うように、CVD法等により、第2絶縁層119を約100nm成膜する。次に、
図3Dに示すように、製造方法は、第2絶縁層119上に第2酸化物半導体膜173を含む酸化物半導体層(第2酸化物半導体層)を形成する。具体的には、スパッタ法等により酸化物半導体層を約50nm成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングを行う。これにより、酸化物半導体膜のパターンが形成される。
【0039】
次に、
図3Eに示すように、製造方法は、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、第2絶縁層119に開口120を形成する。開口120は、開口内に第1酸化物半導体膜133の上面が露出するように形成される。本例において、第1酸化物半導体膜133の端面は開口120において露出していないが、露出してもよい。
【0040】
次に、
図3Fに示すように、製造方法は、スパッタ法等により、ソース/ドレイン電極135、137、175、177を含む金属層(ソース/ドレイン電極層)140を約300nm成膜する。金属層140は、第2絶縁層119、第1酸化物半導体膜133、及び第2酸化物半導体膜173を覆う。第2絶縁層119に形成されている開口120は、金属層140により埋められており、金属層140は、第1酸化物半導体膜133の上面と接触している。次に、
図3Gに示すように、製造方法は、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、金属層140をパターニングして、ソース/ドレイン電極135、137、175、177を形成する。
【0041】
次に、
図3Hに示すように、製造方法は、CVD法等により、ソース/ドレイン電極135、137、175、177、第1酸化物半導体膜133及び第2酸化物半導体膜173を覆うように、層間絶縁層121を約400nm成膜し、さらに、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、層間絶縁層121にソース/ドレイン電極177の上面の一部が露出するようにビアホールを形成する。さらに、製造方法は、画素電極181を層間絶縁層121上に、及び、画素電極181とソース/ドレイン電極177を接続するビアを層間絶縁層121内に形成する。具体的には、スパッタ法等によりITOを約50nm成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングを行う。
【0042】
図3Dに示すように、第2酸化物半導体膜173の形成において、第1酸化物半導体膜133は第2絶縁層119により覆われている。従って、第2酸化物半導体膜173の成膜及びパターニングによる第1酸化物半導体膜133への影響を防ぐことができる。このため、第1酸化物半導体膜133及び第2酸化物半導体膜173に、任意の酸化物半導体材料を採用することができる。
【0043】
<実施形態2>
[TFT基板の構成]
以下において、TFT基板の他の構成例及びその製造方法を説明する。
図4は、液晶表示装置のTFT基板の他の断面構成例200を模式的に示す。以下においては、
図2に示す構成例との差異を主に説明する。
【0044】
TFT基板200は、周辺回路領域内210の第1酸化物半導体TFT230、及び、表示領域150内の第2酸化物半導体TFT170を含む。第2酸化物半導体TFT170の構成は、
図2に示す構成と同様である。第1酸化物半導体TFT230は、
図2に示す構成例における第1酸化物半導体TFT130の構成に加え、エッチストップ膜233を含む。エッチストップ膜233は、第1酸化物半導体膜133に接触して形成されている。エッチストップ膜233は、ソース/ドレイン電極135、137の間に位置し、第1酸化物半導体膜133のチャネル領域上に配置されている。
【0045】
エッチストップ膜233は、第2絶縁層219の一部である。エッチストップ膜233は、酸化物半導体膜133とソース/ドレイン電極135、137との間のコンタクトのための第2絶縁層219エッチングにおいて、チャネル領域がエッチャントに晒されるのを防ぐ。
【0046】
[TFT基板の製造方法]
図4が示すTFT基板200の製造方法の例を説明する。
図5Aに示すように、TFT基板200の製造方法は、CVD法等により、絶縁基板113上に下地層115を成膜する。製造方法は、下地層115にゲート電極131、171を含む金属層(ゲート電極層)を形成する。具体的には、スパッタ法等により金属膜を形成し、フォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングする。さらに、製造方法は、ゲート電極層を覆うように、第1絶縁層117を、CVD法等に成膜する。
【0047】
次に、
図5Bに示すように、製造方法は、第1絶縁層117上に第1酸化物半導体膜133を含む酸化物半導体層(第1酸化物半導体層)を形成する。具体的には、スパッタ法等により酸化物半導体層を成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングを行う。これにより、酸化物半導体膜のパターンが形成される。
【0048】
次に、
図5Cに示すように、製造方法は、第1酸化物半導体膜133を覆うように、CVD法等により、第2絶縁層219を成膜する。次に、
図5Dに示すように、製造方法は、第2絶縁層219上に第2酸化物半導体膜173を含む酸化物半導体層(第2酸化物半導体層)を形成する。具体的には、スパッタ法等により酸化物半導体層を成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングを行う。これにより、酸化物半導体膜のパターンが形成される。
【0049】
次に、
図5Eに示すように、製造方法は、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、第2絶縁層219に、開口235及び236を形成する。開口235はソース/ドレイン電極135と第1酸化物半導体膜133とのコンタクトのためのものであり、開口236はソース/ドレイン電極137と第1酸化物半導体膜133とのコンタクトのためのものである。開口235、236は、それぞれ、開口内に第1酸化物半導体膜133の上面が露出するように形成される。開口235、236の形成におより、エッチストップ膜233が形成される。本例において、第1酸化物半導体膜133の端面は開口235、236において露出していないが、露出してもよい。
【0050】
次に、
図5Fに示すように、製造方法は、スパッタ法等により、ソース/ドレイン電極135、137、175、177を含む金属層(ソース/ドレイン電極層)140を成膜する。金属層140は、第2絶縁層219及び第2酸化物半導体膜173を覆う。第2絶縁層219に形成されている開口235、236は、金属層140により埋められており、金属層140は、第1酸化物半導体膜133の上面と接触している。次に、
図5Gに示すように、製造方法は、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、金属層140をパターニングして、ソース/ドレイン電極135、137、175、177を形成する。
【0051】
次に、
図5Hに示すように、製造方法は、CVD法等により、ソース/ドレイン電極135、137、175、177、エッチストップ膜233及び第2絶縁層219を覆うように、層間絶縁層121を成膜し、さらに、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、層間絶縁層121にソース/ドレイン電極177の上面の一部が露出するようにビアホールを形成する。さらに、製造方法は、画素電極181を層間絶縁層121上に、及び、画素電極181とソース/ドレイン電極177を接続するビアを層間絶縁層121内に形成する。具体的には、スパッタ法等によりITOを成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングを行う。
【0052】
図5Dに示すように、第2酸化物半導体膜173の形成において、第1酸化物半導体膜133は第2絶縁層219により覆われている。従って、第2酸化物半導体膜173の成膜及びパターニングによる第1酸化物半導体膜133への影響を防ぐことができる。このため、第1酸化物半導体膜133及び第2酸化物半導体膜173に、任意の酸化物半導体材料を採用することができる。
【0053】
<実施形態3>
[TFT基板の構成]
以下において、TFT基板の他の構成例及びその製造方法を説明する。
図6は、液晶表示装置のTFT基板の他の断面構成例300を模式的に示す。
図6は、TFT基板300における、画素で構成される表示領域350内の一つの第1酸化物半導体TFT370と、表示領域350の外側において周辺回路が設置される周辺回路領域310内の一つの第2酸化物半導体TFT330とを、例として示している。なお、
図6において、第1酸化物半導体TFT370及び第2酸化物半導体TFT330を覆う層間絶縁層及び画素電極は省略されている。
【0054】
第1酸化物半導体TFT370は、データ信号を与える各画素を選択するためのスイッチTFTである。第2酸化物半導体TFT330は、例えば、走査ドライバ内の酸化物半導体TFTである。第1酸化物半導体TFT370及び第2酸化物半導体TFT330は、トップゲート構造を有している。
【0055】
樹脂又はガラスで形成された可撓性又は不撓性の絶縁基板313上に、第1酸化物半導体TFT370及び第2酸化物半導体TFT330が形成されている。第1酸化物半導体TFT370の酸化物半導体膜(第1酸化物半導体膜)373と、第2酸化物半導体TFT330の酸化物半導体膜(第2酸化物半導体膜)333とは、異なる酸化物半導体材料で形成され、異なる特性を有している。本例において、第2酸化物半導体膜333の移動度は、第1酸化物半導体膜373の移動度より大きい。また、第1酸化物半導体膜373のバンドギャップは、第2酸化物半導体膜333のバンドギャップより大きい。二つの酸化物半導体膜の特性の違いにより、狭額縁と高信頼性を実現できる。
【0056】
第2酸化物半導体膜333に適用可能な酸化物半導体材料は、例えば、ITZO、IGZTO、In−Zn−Ti−O、In−W−Z−Oを含む。第1酸化物半導体膜373に適用可能な酸化物半導体材料は、例えば、IGZO、GaZnO、IGOを含む。
【0057】
第2酸化物半導体TFT330の酸化物半導体膜(第2酸化物半導体膜)333は、第2絶縁層に含まれる絶縁膜317上に接触して形成されている。絶縁膜317を含む第2絶縁層は、第1絶縁層315より上層に位置する。第1酸化物半導体TFT370の酸化物半導体膜(第1酸化物半導体膜)373は、第1絶縁層315上に接触して形成されている。第1絶縁層315は、下地層である。第2酸化物半導体膜333は、第1酸化物半導体膜373より上層に位置する。第1絶縁層315及び絶縁膜317を含む第2絶縁層は、それぞれ、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物で構成される。
【0058】
図6の構成例において、第2酸化物半導体膜333の全部は絶縁膜317上に接触して形成されている。また、第1酸化物半導体膜373の全部は、第1絶縁層315上に接触して形成されている。絶縁膜317を含む第2絶縁層は、第1絶縁層315上に接触して形成されている。第2酸化物半導体膜333及び絶縁膜317を含む第2絶縁層は、共に第1絶縁層315上に接触して形成されている。
【0059】
第2酸化物半導体TFT330は、第2酸化物半導体膜333と、第2酸化物半導体膜333より上層のゲート電極331と、積層方向においてゲート電極331と第2酸化物半導体膜333との間に存在するゲート絶縁膜339を含む。
【0060】
第2酸化物半導体膜333は、ソース/ドレイン領域334、336、及び、ソース/ドレイン領域334、336の間のチャネル領域332を含む。ソース/ドレイン領域334、336は、低抵抗化された領域であり、チャネル領域332は低抵抗化されていない領域(高抵抗領域)である。ゲート絶縁膜339は、チャネル領域332上に接触して形成されている。ゲート電極331は、ゲート絶縁膜339上に接触して形成されている。
【0061】
ソース/ドレイン電極335、337は、層間絶縁層321上に接触して形成されている。ソース/ドレイン電極335、337は、それぞれ、層間絶縁層321内に形成されているビア340、341によって、ソース/ドレイン領域334、336に接続している。ビア340、341は、ソース/ドレイン電極335、337に連続し、ソース/ドレイン領域334、336の上面に接触している。
【0062】
第1酸化物半導体TFT370は、第1酸化物半導体膜373と、第1酸化物半導体膜373より上層のゲート電極371と、積層方向においてゲート電極371と第1酸化物半導体膜373との間に存在する絶縁膜378、379の積層構造を有するゲート絶縁膜を含む。
【0063】
第1酸化物半導体膜373は、ソース/ドレイン領域374、376、及び、ソース/ドレイン領域374、376の間のチャネル領域372を含む。ソース/ドレイン領域374、376は、低抵抗化された領域であり、チャネル領域372は低抵抗化されていない領域(高抵抗領域)である。下層のゲート絶縁膜378は、チャネル領域372上に接触して形成されている。下層のゲート絶縁膜378は、絶縁膜317と共に第2絶縁層の一部である。上層のゲート絶縁膜379は、絶縁膜339と同一の絶縁層の一部である。ゲート電極371は、上層のゲート絶縁膜379上に接触して形成されている。
【0064】
ソース/ドレイン電極375、377は、層間絶縁層321上に接触して形成されている。ソース/ドレイン電極375、377は、それぞれ、層間絶縁層321内に形成されているビア380、381によって、ソース/ドレイン領域374、376に接続している。ビア380、381は、ソース/ドレイン電極375、377に連続し、ソース/ドレイン領域374、376の上面に接触している。
【0065】
層間絶縁層321は、第2酸化物半導体TFT330及び第1酸化物半導体TFT370の、ソース/ドレイン電極335、337、375、377以外の構成要素を覆う。層間絶縁層321は、例えば、シリコン酸化物又はシリコン窒化物で形成することができる。絶縁膜339及び378を含む絶縁層(第3絶縁層)は、例えば、シリコン酸化物又はシリコン窒化物で形成することができる。
【0066】
ゲート電極331、371は、同一の金属層に含まれる部分である。ゲート331、371の材料は任意であり、例えば、Mo、W、Nb、Al等が使用される。第2酸化物半導体TFT330及び第1酸化物半導体TFT370のソース/ドレイン電極335、337、375、377は、同一の金属層に含まれる部分である。ソース/ドレイン電極335、337、375、377は、例えば、Ti/Al/Ti等の導電膜を堆積し、パターニングを行うことで形成する。ソース/ドレイン電極335、337、375、377は、単層構造を有してもよく、上記金属材料と異なる金属材料で形成されてもよい。
【0067】
[TFT基板の製造方法]
図6が示すTFT基板300の製造方法の例を説明する。
図7Aに示すように、TFT基板300の製造方法は、CVD法等により、絶縁基板313上に下地層である第1絶縁層315を成膜する。製造方法は、第1絶縁層315上に、第1酸化物半導体膜373を含む酸化物半導体層(第1酸化物半導体層)を形成する。具体的には、スパッタ法等により酸化物半導体膜を形成し、フォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングする。これにより、酸化物半導体膜のパターンが形成される。
【0068】
次に、
図7Bに示すように、製造方法は、第1酸化物半導体膜373を含む層を覆うように、第2絶縁層318を、CVD法等に成膜する。第2絶縁層318は、
図6における絶縁膜317、378を含む。
【0069】
次に、
図7Cに示すように、製造方法は、第2絶縁層318上に第2酸化物半導体膜333を含む酸化物半導体層(第2酸化物半導体層)を形成する。具体的には、スパッタ法等により酸化物半導体層を成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングを行う。これにより、酸化物半導体膜のパターンが形成される。
【0070】
次に、
図7Dに示すように、製造方法は、第2酸化物半導体膜333及び第2絶縁層318を覆うように、CVD法等により、第3絶縁層319を成膜する。第3絶縁層319は、
図6における絶縁膜339、379を含む。さらに、製造方法は、第3絶縁層319上に、ゲート電極331、371を含む金属層(ゲート電極層)320を、スパッタ法等により成膜する。
【0071】
次に、
図7Eに示すように、製造方法は、第2絶縁層318、第3絶縁層319、及びゲート電極層320を、同時にエッチングし、絶縁膜339、317、絶縁膜379、378及びゲート電極331、371を形成する。次に、
図7Fに示すように、製造方法は、第2酸化物半導体膜333のゲート絶縁膜339に覆われていない部分、及び、第1酸化物半導体膜373のゲート絶縁膜378に覆われていない部分を、Heプラズマ等に晒して、低抵抗化する。これにより、ソース/ドレイン領域334、336、374、376が形成される。
【0072】
次に、
図7Gに示すように、製造方法は、第1酸化物半導体TFT370の形成済み構成要素、第2酸化物半導体TFT330の形成済み構成要素、及び第1絶縁層315を覆うように、CVD法等により、層間絶縁層321を成膜する。次に、
図7Hに示すように、製造方法は、フォトリソグラフィ及びエッチングにより層間絶縁層321にビアホールを形成し、さらに、ソース/ドレイン電極335、337、375、377及びビア340、341、380、381を形成する。具体的には、スパッタ法等により、層間絶縁層321上(ビアホール内を含む)に金属層を成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチングによってソース/ドレイン電極335、337、375、377及びビア340、341、380、381を形成する。この後の、層間絶縁層及び画素電極の形成の説明は省略する。
【0073】
図7Cに示すように、第2酸化物半導体膜333の形成において、第1酸化物半導体膜373は第2絶縁層318により覆われている。従って、第2酸化物半導体膜333の成膜及びパターニングによる第1酸化物半導体膜373への影響を防ぐことができる。このため、第1酸化物半導体膜373及び第2酸化物半導体膜333に、任意の酸化物半導体材料を採用することができる。
【0074】
<実施形態4>
[TFT基板の構成]
以下において、TFT基板の他の構成例及びその製造方法を説明する。
図8は、液晶表示装置のTFT基板の他の断面構成例400を模式的に示す。以下においては、
図2に示す構成例との差異を主に説明する。
【0075】
TFT基板400は、周辺回路領域内110の第1酸化物半導体TFT130、及び、表示領域450内の第2酸化物半導体TFT470を含む。第1酸化物半導体TFT130の構成は、
図2に示す構成と同様である。第2酸化物半導体TFT470は、
図2に示す構成例における第2酸化物半導体TFT137と、第2酸化物半導体膜473、ゲート絶縁膜472、及び、ソース/ドレイン電極475、477の形状が異なる。
【0076】
第1絶縁層117上に接触して形成されている第2絶縁層419には、開口が形成されており、その開口内に第2酸化物半導体膜473の一部が形成されている。第2酸化物半導体膜473は、第2絶縁層419の開口内において、第1絶縁層117に接触している。第2酸化物半導体膜473の端部を含む一部は、第2絶縁層419上に位置している。このように、第2酸化物半導体膜473の一部が第2絶縁層419上に接触して形成され、一部は第1絶縁層117上に接触して形成されている。
【0077】
第1絶縁層117は、第2酸化物半導体膜473が接触している、第2酸化物半導体膜473より下の絶縁層において最も下の絶縁層である。第2絶縁層419は、第2酸化物半導体膜473が接触している、第2酸化物半導体膜473より下の絶縁層において最も上の絶縁層である。
【0078】
ゲート絶縁膜472は、単層構造であり、第1絶縁層117の一部である。ゲート絶縁膜472が薄くなることで、第2酸化物半導体TFT470の駆動能力を上げることができる。ソース/ドレイン電極475、477は、それぞれ、第2酸化物半導体膜473の第2絶縁層419上の部分及び開口内の部分と接触している。このような接触構造により、第2酸化物半導体膜473とソース/ドレイン電極475、477との間の接触抵抗を小さくすることができる。
【0079】
[TFT基板の製造方法]
図8が示すTFT基板400の製造方法の例を説明する。
図9Aに示すように、
図3A及び
図3Bを参照して説明したステップを実行した後、製造方法は、第1酸化物半導体膜133を覆うように、CVD法等により、第2絶縁層419を成膜する。
【0080】
次に、
図9Bに示すように、製造方法は、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、第2絶縁層419に開口420を形成する。開口420内において、第1絶縁層117の上面が露出している。次に、
図9Cに示すように、製造方法は、第2絶縁層419上に第2酸化物半導体膜473を含む酸化物半導体層(第2酸化物半導体層)を形成する。具体的には、スパッタ法等により酸化物半導体層を成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングを行う。これにより、酸化物半導体膜のパターンが形成される。第2酸化物半導体膜473の一部は、第2絶縁層419の開口420内に形成され、端部を含む他の部分は第2絶縁層上に接触して形成される。
【0081】
次に、
図9Dに示すように、製造方法は、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、第2絶縁層419に開口421を形成する。開口421は、開口内に第1酸化物半導体膜133の上面が露出するように形成される。本例において、第1酸化物半導体膜133の端面は開口120において露出していないが、露出してもよい。
【0082】
次に、
図9Eに示すように、製造方法は、スパッタ法等により、ソース/ドレイン電極135、137、475、477を含む金属層(ソース/ドレイン電極層)440を成膜する。金属層440は、第2絶縁層419、第1酸化物半導体膜133及び第2酸化物半導体膜173を覆う。第2絶縁層419に形成されている開口421は、金属層440により埋められており、金属層440は、第1酸化物半導体膜133の上面と接触している。次に、
図9Fに示すように、製造方法は、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、金属層440をパターニングして、ソース/ドレイン電極135、137、475、477を形成する。
【0083】
次に、
図9Gに示すように、製造方法は、CVD法等により、ソース/ドレイン電極135、137、475、477、第1酸化物半導体膜133及び第2酸化物半導体膜473及び第2絶縁層419を覆うように、層間絶縁層121を成膜し、さらに、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、層間絶縁層121にソース/ドレイン電極477の上面の一部が露出するようにビアホールを形成する。さらに、製造方法は、画素電極181を層間絶縁層121上に、及び、画素電極181とソース/ドレイン電極177を接続するビアを層間絶縁層121内に形成する。具体的には、スパッタ法等によりITOを成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングを行う。
【0084】
図9Cに示すように、第2酸化物半導体膜473の形成において、第1酸化物半導体膜133は第2絶縁層419により覆われている。従って、第2酸化物半導体膜473の成膜及びパターニングによる第1酸化物半導体膜133への影響を防ぐことができる。このため、第1酸化物半導体膜133及び第2酸化物半導体膜473に、任意の酸化物半導体材料を採用することができる。
【0085】
なお、第1酸化物半導体TFTは、第2酸化物半導体TFTと共に又は代えて、第2酸化物半導体TFT470と類似する構造を有してもよい。例えば、開口が形成された第3絶縁層が第1絶縁層と第2絶縁層との間に形成されてもよい。第1酸化物半導体TFTの第1酸化物半導体の一部は、第3絶縁層の開口内で第1絶縁層上に接触して形成され、他の一部は開口の外で第3絶縁層上に接触して形成されてもよい。第3絶縁層は、第1酸化物半導体膜が接触している、第1酸化物半導体より下の絶縁層において最も上の絶縁層である。
【0086】
<実施形態5>
[TFT基板の構成]
以下において、TFT基板の他の構成例及びその製造方法を説明する。
図10は、液晶表示装置のTFT基板の他の断面構成例500を模式的に示す。以下においては、
図2に示す構成例との差異を主に説明する。
【0087】
TFT基板500は、周辺回路領域内110の第1酸化物半導体TFT130、及び、表示領域550内の第2酸化物半導体TFT570を含む。第1酸化物半導体TFT130の構成は、
図2に示す構成と同様である。第2酸化物半導体TFT570は、
図2に示す構成例における第2酸化物半導体TFT137と、第2酸化物半導体膜573、ゲート絶縁膜572、及び、ソース/ドレイン電極575、577の形状が異なる。
【0088】
第1絶縁層117上に接触して形成されている第2絶縁層519には、開口が形成されており、その開口内に第2酸化物半導体膜573が形成されている。第2酸化物半導体膜573は、第2絶縁層519の開口内において、第1絶縁層117に接触している。第2酸化物半導体膜573の端部は、開口内壁から離間している。
【0089】
ゲート絶縁膜572は、単層構造であり、第1絶縁層117の一部である。ゲート絶縁膜572が薄くなることで、第2酸化物半導体TFT570の駆動能力を上げることができる。ソース/ドレイン電極575、577は、それぞれ、第2酸化物半導体膜573の端部を含む一部と接触している。ソース/ドレイン電極575、577は、それぞれ、第2酸化物半導体膜573の端面及び上面に接触している。このような接触構造により、第2酸化物半導体膜573とソース/ドレイン電極575、577との間の接触抵抗を小さくすることができる。
【0090】
[TFT基板の製造方法]
図10が示すTFT基板500の製造方法の例を説明する。
図11Aに示すように、
図3A及び
図3Bを参照して説明したステップを実行した後、製造方法は、第1酸化物半導体膜133を覆うように、CVD法等により、第2絶縁層519を成膜する。
【0091】
次に、
図11Bに示すように、製造方法は、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、第2絶縁層519に開口520を形成する。開口520内において、第1絶縁層117の上面が露出している。次に、
図11Cに示すように、製造方法は、第2絶縁層519上に第2酸化物半導体膜573を含む酸化物半導体層(第2酸化物半導体層)を形成する。具体的には、スパッタ法等により酸化物半導体層を成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングを行う。これにより、酸化物半導体膜のパターンが形成される。第2酸化物半導体膜573は、第2絶縁層519の開口520内において、第1絶縁層117上に接触して形成される。
【0092】
次に、
図11Dに示すように、製造方法は、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、第2絶縁層519に開口521を形成する。開口521は、開口内に第1酸化物半導体膜133の上面が露出するように形成される。本例において、第1酸化物半導体膜133の端面は開口521において露出していないが、露出してもよい。
【0093】
次に、
図11Eに示すように、製造方法は、スパッタ法等により、ソース/ドレイン電極135、137、575、577を含む金属層(ソース/ドレイン電極層)540を成膜する。金属層540は、第2絶縁層519、第1酸化物半導体膜133及び第2酸化物半導体膜573を覆う。第2絶縁層519に形成されている開口521は、金属層540により埋められており、金属層540は、第1酸化物半導体膜133の上面と接触している。次に、
図11Fに示すように、製造方法は、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、金属層540をパターニングして、ソース/ドレイン電極135、137、575、577を形成する。
【0094】
次に、
図11Gに示すように、製造方法は、CVD法等により、ソース/ドレイン電極135、137、575、577、第1酸化物半導体膜133及び第2酸化物半導体膜573及び第2絶縁層519を覆うように、層間絶縁層121を成膜し、さらに、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、層間絶縁層121にソース/ドレイン電極577の上面の一部が露出するようにビアホールを形成する。さらに、製造方法は、画素電極181を層間絶縁層121上に、及び、画素電極181とソース/ドレイン電極577を接続するビアを層間絶縁層121内に形成する。具体的には、スパッタ法等によりITOを成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングを行う。
【0095】
図11Cに示すように、第2酸化物半導体膜573の形成において、第1酸化物半導体膜133は第2絶縁層519により覆われている。従って、第2酸化物半導体膜573の成膜及びパターニングによる第1酸化物半導体膜133への影響を防ぐことができる。このため、第1酸化物半導体膜133及び第2酸化物半導体膜573に、任意の酸化物半導体材料を採用することができる。
【0096】
<実施形態6>
表示領域(画素回路)内において、信頼性向上のために、バンドギャップが大きい酸化物半導体TFTが主に(過半数)使用される。一方、周辺回路において、回路サイズ縮小のために、移動度が大きい酸化物半導体TFTが主に(過半数)使用される。酸化物半導体TFTに求められる特性に応じて、表示領域内の一部の酸化物半導体TFTは、移動度が大きい酸化物半導体TFTであり得、周辺回路内の一部の酸化物半導体TFTは、バンドギャップが小さい酸化物半導体TFTであり得る。
【0097】
主に負ゲートバイアス(ゲート電圧)が印加される酸化物半導体TFTは、バンドギャップが大きい酸化物半導体TFTで構成することで、高い信頼性を得ることができる。一方、主に正ゲートバイアスが印加される酸化物半導体TFTは、移動度が大きい酸化物半導体TFTで構成することで、回路サイズを縮小することができる。
【0098】
主に負ゲートバイアスが印加される酸化物半導体TFTは、装置の動作期間において、負ゲートバイアスが印加される期間が、主に正ゲートバイアスが印加されている期間より長い、酸化物半導体TFTである。負ゲートバイアスは、酸化物半導体TFTをオフするゲートバイアスであり、正ゲートバイアスは、酸化物半導体TFTをオンするゲートバイアスである。ゲートバイアス0は、正ゲートバイアスでも負ゲートバイアスでもない。
【0099】
また、周辺回路の中で、そのTFTが高い駆動能力を必要とする場合は移動度が大きい酸化物半導体TFTで構成することで、回路サイズを縮小することができ、高い駆動能力を必要でない場合はバンドギャップが小さい酸化物半導体TFTで構成することで、周辺回路全体の信頼性を高めることができる。
【0100】
周辺回路において、例えば、静電保護素子や検査用TFTを構成する酸化物半導体TFTは、ダイオード接続されたTFTやフローティングゲートを含む高抵抗素子としてのTFTである。これらは高い駆動能力を必要とせず、駆動能力が高すぎる場合は周辺回路全体の動作の弊害となる。そのため、静電保護素子や検査用TFTを、バンドギャップが大きい酸化物半導体TFTで構成してもよい。
【0101】
図12はシフトレジスタの1段の回路例を示す。シフトレジスタは、トランジスタTR1からTR9、及び、キャパシタCA1、CA2を含む。電位VGHは、高電源電位であり、電位VGLは定電源電位である。信号STは、スタートパルス又は前段からの出力である。信号OUT1は、出力である。信号OUT2は次段からの出力を帰還させる信号である。信号RSTはリセット信号である。信号CKはクロック信号であり、信号XCKは反転クロック信号である。
【0102】
図12に示す回路において、トランジスタTR1は、主に負ゲートバイアスが印加されるトランジスタである。従って、トランジスタTR1をバンドギャップが大きい酸化物半導体TFTで構成することで、信頼性を高めることができる。一方、トランジスタT2からTR9は主に正ゲートバイアスが印加されるトランジスタである。これらを移動度が高い酸化物半導体TFTで構成することで、回路サイズを縮小できる。トランジスタTR6は、後段及びデータ線への出力駆動トランジスタであり、これを移動度が高い酸化物半導体TFTで構成することで、回路サイズを効果的に縮小できる。
【0103】
図13は、OLED表示装置の画素回路例を示す。画素回路は、アノード電極に供給する電流を制御する。画素回路は、駆動トランジスタT1と、選択トランジスタT2と、制御トランジスタT3と、保持容量C1とを含む。画素回路は、OLED素子E1の発光を制御する。
図13の例において、トランジスタT1からT3は、nチャネル型の酸化物半導体TFTである。
【0104】
選択トランジスタT2は画素を選択するスイッチである。選択トランジスタT2のゲート端子には、走査信号S1が入力される。一方のソース/ドレイン端子は、データ線15に接続されている。他方のソース/ドレイン端子は、駆動トランジスタT1のゲート端子に接続されている。
【0105】
駆動トランジスタT1はOLED素子E1の駆動用のトランジスタである。駆動トランジスタT1のゲート端子は選択トランジスタT2のソース/ドレイン端子に接続されている。駆動トランジスタT1の一方のソース/ドレイン端子は電源線18(Vdd)に接続されている。他方のソース/ドレイン端子は、制御トランジスタT3のソース端子に接続されている。駆動トランジスタT1のゲート端子とソース/ドレイン端子との間に保持容量C1が形成されている。
【0106】
選択トランジスタT2がオン状態にされると、データ電圧は、データ線15から、保持容量C1に格納される。保持容量C1は、格納された電圧を、1フレーム期間を通じて保持する。保持電圧によって、駆動トランジスタT1のコンダクタンスがアナログ的に変化し、駆動トランジスタT1は、発光階調に対応した順バイアス電流をOLED素子E1に供給する。
【0107】
制御トランジスタT3は、基準電圧Vrefを与える基準電圧供給線11とOLED素子E1のアノードとの電気的接続を制御する。制御トランジスタT3のゲート端子に制御信号S2が供給されることにより、この制御が行われる。制御トランジスタT3は、様々な目的で使用することができる。制御トランジスタT3は、例えば、OLED素子E1間のリーク電流によるクロストークを抑制するために、一旦、OLED素子E1のアノード電極を黒信号レベル以下の十分低い電圧にリセットする目的で使用しても良い。
【0108】
他にも、制御トランジスタT3は、駆動トランジスタT1の特性を測定する目的で使用してもよい。例えば、駆動トランジスタT1を飽和領域、制御トランジスタT3を線形領域で動作するようにバイアス条件を選んで、電源線18から基準電圧供給線11に流れる電流を測定すれば、駆動トランジスタT1の電圧・電流変換特性を正確に測定することができる。副画素間の駆動トランジスタT1の電圧・電流変換特性の違いを補償するデータ信号を外部回路で生成すれば、均一性の高い表示画像を実現できる。
【0109】
一方、駆動トランジスタT1をオフ状態にして制御トランジスタT3をリニア領域で動作させ、OLED素子E1を発光させる電圧を基準電圧供給線11から印加すれば、OLED素子E1の電圧・電流特性を正確に測定することができる。例えば、長時間の使用によってOLED素子E1が劣化した場合にも、その劣化量を補償するデータ信号を外部回路で生成すれば、長寿命化を実現できる。
【0110】
図13に示す画素回路において、トランジスタT2及びT3は、バンドギャップが大きい酸化物半導体TFTで構成される。これらは、主に負ゲートバイアスが与えられ、信頼性を高めることができる。一方、駆動トランジスタT1は、移動度が大きい酸化物半導体TFTで構成される。駆動トランジスタT1は、主に正ゲートバイアスが与えられ、トランジスタサイズを小さくできる。なお、液晶表示パネルにおいて、画素電極への信号の入力を制御するスイッチTFTは、バンドギャップが大きい酸化物半導体TFTで構成される。これは、主に負ゲートバイアスが与えられ、信頼性を高めることができる。
【0111】
以上のように、表示装置において、高バンドギャップの酸化物半導体TFTと高移動度の酸化物半導体TFTとを適切に適用することで、表示装置の信頼性を高め、額縁領域を狭くすることができる。
【0112】
<実施形態7>
[TFT基板の構成]
以下において、TFT基板の他の構成例を説明する。
図14は、液晶表示装置のTFT基板の他の断面構成例600を模式的に示す。以下においては、
図2に示す構成例との差異を主に説明する。
【0113】
TFT基板600は、周辺回路領域内110の第1酸化物半導体TFT130と容量CA10、及び、表示領域150内の第2酸化物半導体TFT170を含む。第1酸化物半導体TFT130及び第2酸化物半導体TFT170の構成は、
図2に示す構成と同様であるが、容量CA10が追加されている点が
図2と異なる。
【0114】
容量CA10は、ゲート電極131と、ゲート電極131上に形成されている第1絶縁層117と、第1絶縁層117上に形成されている第1酸化物半導体膜133とで構成されている。また、第1酸化物半導体膜133とソース/ドレイン電極137とは、第2絶縁層119上に形成された開口内で接触している。
【0115】
第1絶縁層117は、第1酸化物半導体TFT130のゲート絶縁膜であり、第2酸化物半導体TFT170のゲート絶縁膜である、第1絶縁層117と第2絶縁層119の積層で形成するよりも膜厚が薄くでき、より多くの容量を保持できるようになる。これにより、容量CA10の面積をより小さくすることができる。
【0116】
図14が示すTFT基板600の製造方法は、
図3Aから
図3Hと同様のステップを行えば製造できるため、説明は省略する。
【0117】
<実施形態8>
[TFT基板の構成]
以下において、TFT基板の他の構成例を説明する。
図15は、液晶表示装置のTFT基板の他の断面構成例700を模式的に示す。以下においては、
図6に示す構成例との差異を主に説明する。
【0118】
TFT基板700は、周辺回路領域内310の第2酸化物半導体TFT330と容量CA20、及び、表示領域350内の第1酸化物半導体TFT370を含む。第1酸化物半導体TFT370及び第2酸化物半導体TFT330の構成は、
図6に示す構成と同様であるが、容量CA20が追加されている点が
図6と異なる。
【0119】
容量CA20は、第1絶縁層315上に形成されている第1酸化物半導体膜342と、第1酸化物半導体膜342上に形成され、第2絶縁層の一部である絶縁膜317と、絶縁膜317上に形成されている第2酸化物半導体膜343とで構成されている。第1酸化物半導体膜342は、第1酸化物半導体膜373と同一の材料であり、ソース・ドレイン領域374及び376と同様に低抵抗化されており、容量CA20の一方の電極を構成している。また、第2酸化物半導体膜343は、第2酸化物半導体膜333と同一の材料であり、ソース/ドレイン領域334及び336と同様に低抵抗化されており、容量CA20のもう一方の電極を構成している。さらに、第1酸化物半導体膜342は、ビア344を通じて容量配線345と接触しており、第2酸化物半導体膜343は、ビア346を通じて容量配線347と接触している。
【0120】
絶縁膜317は、第2酸化物半導体TFT330のゲート絶縁膜339より薄く形成されている。これにより、第1酸化物半導体TFT370のゲート絶縁膜のように、下層のゲート絶縁膜378と上層のゲート絶縁膜379との積層で構成するよりも、また第2酸化物半導体TFT330のゲート絶縁膜339で構成するよりも、膜厚が薄くでき、より多くの電荷を保持できるようになる。これにより、容量CA20の面積をより小さくすることができる。
【0121】
[TFT基板の製造方法]
図15が示すTFT基板700の製造方法の例を説明する。
図16Aに示すように、TFT基板700の製造方法は、CVD法等により、絶縁基板313上に下地層である第1絶縁層315を成膜する。製造方法は、第1絶縁層315上に、第1酸化物半導体膜373を含む酸化物半導体層(第1酸化物半導体層)を形成する。具体的には、スパッタ法等により酸化物半導体膜を形成し、フォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングする。これにより、酸化物半導体膜のパターンが形成される。
【0122】
次に、
図16Bに示すように、製造方法は、フォトリソグラフィにより、容量を形成する第1酸化物半導体膜373の上を開口し、その他を覆うようにレジストパターン799を形成し、Heプラズマ処理等に晒して、低抵抗化を行う。これにより、容量CA20の一方の電極を構成する第1酸化物半導体膜342を形成する。
【0123】
次に、製造方法は、レジストパターン799を除去した後、
図16Cに示すように、第1酸化物半導体膜373、342を含む層を覆うように、第2絶縁層318を、CVD法等により成膜する。第2絶縁層318は、
図15における絶縁膜317、378を含む。
【0124】
次に、
図16Dに示すように、製造方法は、第2絶縁層318上に第2酸化物半導体膜333を含む酸化物半導体層(第2酸化物半導体層)を形成する。具体的には、スパッタ法等により酸化物半導体層を成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングを行う。これにより、酸化物半導体膜のパターンが形成される。
【0125】
次に、
図16Eに示すように、製造方法は、第2酸化物半導体膜333及び第2絶縁層318を覆うように、CVD法等により、第3絶縁層319を成膜する。第3絶縁層319は、
図15における絶縁膜339、379を含む。さらに、製造方法は、第3絶縁層319上に、ゲート電極331、371を含む金属層(ゲート電極層)320を、スパッタ法等により成膜する。
【0126】
次に、
図16Fに示すように、製造方法は、第2絶縁層318、第3絶縁層319、及びゲート電極層320を、同時にエッチングし、絶縁膜339、317、絶縁膜379、378及びゲート電極331、371を形成する。次に、
図16Gに示すように、製造方法は、第2酸化物半導体膜333のゲート絶縁膜339に覆われていない部分、及び、第1酸化物半導体膜373のゲート絶縁膜378に覆われていない部分を、Heプラズマ等に晒して、低抵抗化する。これにより、ソース/ドレイン領域334、336、374、376と、容量CA20の一方の電極を構成する第2酸化物半導体膜343が形成される。
【0127】
次に、
図16Hに示すように、製造方法は、第1酸化物半導体TFT370の形成済み構成要素、第2酸化物半導体TFT330の形成済み構成要素、容量CA20の形成済み構成要素及び第1絶縁層315を覆うように、CVD法等により、層間絶縁層321を成膜する。
【0128】
次に、
図16Iに示すように、製造方法は、フォトリソグラフィ及びエッチングにより層間絶縁層321にビアホールを形成し、さらに、ソース/ドレイン電極335、337、375、377、容量配線345、347及びビア340、341、380、381、344、346を形成する。具体的には、スパッタ法等により、層間絶縁層321上(ビアホール内を含む)に金属層を成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチングによってソース/ドレイン電極335、337、375、377、容量配線345、347及びビア340、341、380、381、344、346を形成する。この後の、層間絶縁層及び画素電極の形成の説明は省略する。
【0129】
図16Dに示すように、第2酸化物半導体膜333の形成において、第1酸化物半導体膜373は第2絶縁層318により覆われている。従って、第2酸化物半導体膜333の成膜及びパターニングによる第1酸化物半導体膜373への影響を防ぐことができる。このため、第1酸化物半導体膜373及び第2酸化物半導体膜333に、任意の酸化物半導体材料を採用することができる。
【0130】
<実施形態9>
[TFT基板の構成]
以下において、TFT基板の他の構成例を説明する。
図17は、トップエミッション型OLED表示装置のTFT基板の画素部の断面構成例800を模式的に示す。
【0131】
TFT基板800は、OLEDへ電流を流す駆動TFTと蓄積容量CA30と駆動TFTへ信号を送るスイッチTFTを含む。
図17では、スイッチTFTは第1酸化物半導体TFT370で構成され、駆動TFTは第2酸化物半導体TFT330で構成されている。第1酸化物半導体TFT370及び第2酸化物半導体TFT330の構成は、
図6に示す構成と同様である。
【0132】
容量CA30は、第1絶縁層315上に形成されている第1酸化物半導体膜373の一部と、第1酸化物半導体膜373上に形成され、第2絶縁層の一部である絶縁膜317と、絶縁膜317上に形成されている第2酸化物半導体膜333の一部とで構成されている。容量CA30を構成する第1酸化物半導体膜373の一部は、第1酸化物半導体TFT370のソース/ドレイン領域374が延伸したものである。また、容量CA30を構成する第2酸化物半導体膜333の一部は、第2酸化物半導体TFT330のソース/ドレイン領域336が延伸したものである。
【0133】
絶縁膜317は、第2酸化物半導体TFT330のゲート絶縁膜339より薄く形成されている。これにより、第1酸化物半導体TFT370のゲート絶縁膜のように、下層のゲート絶縁膜378と上層のゲート絶縁膜379との積層で構成するよりも、また第2酸化物半導体TFT330のゲート絶縁膜339で構成するよりも、膜厚が薄くでき、より多くの電荷を保持できるようになる。これにより、容量CA30の面積をより小さくすることができる。
【0134】
第2酸化物半導体TFT330のゲート電極331は、ビア390を介してゲート配線391と接続されている。また図示しないが、ゲート配線391と第1酸化物半導体TFT370のソース・ドレイン電極375と接続されている。
【0135】
ソース・ドレイン電極335、337、375、377、ゲート電極391、層間絶縁膜321の上には平坦化膜392が形成されている。平坦化膜392には、アクリルやポリイミドなど、平坦性に優れた塗布型の有機膜を用いることができる。また、平坦化膜392上にはアノード電極394が形成されている。アノード電極394は、平坦化膜392に形成されたビア393を介して第2酸化物半導体TFT330のソース・ドレイン電極337と接続されている。アノード電極394は、ITOと、反射率の高いアルミニウムや銀のような金属材料との積層膜が用いることが出来る。また、アノード電極394上には、画素定義層395が形成されている。画素定義層395には、アクリルやポリイミドなどの有機膜を用いることができる。
【0136】
図17が示すTFT基板800の製造方法は、
図16Aから
図16Iと同様のステップを踏むことで、第1酸化物半導体TFT370の形成済み構成要素、第2酸化物半導体TFT330の形成済み構成要素、容量CA30の形成済み構成要素及び層間絶縁膜321まで形成できる。また、その後の平坦化膜392の成膜以後は、公知の成膜技術、フォトリソグラフィ技術、エッチング技術を用いて形成できるため、詳細な説明は省略する。
【0137】
図16Dに示すように、第2酸化物半導体膜333の形成において、第1酸化物半導体膜373は第2絶縁層318により覆われている。従って、第2酸化物半導体膜333の成膜及びパターニングによる第1酸化物半導体膜373への影響を防ぐことができる。このため、第1酸化物半導体膜373及び第2酸化物半導体膜333に、任意の酸化物半導体材料を採用することができる。
【0138】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本開示の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。