【解決手段】服薬管理装置1は、上面が開口した本体内部を有する本体部3と、開口を開閉する蓋部2と、開閉を検知すると共に、デジタル信号を処理する制御部と、本体内部に収納され、薬を配置する収納区画を有するテンプレートと、制御部からの指示により、予定服薬時刻より前に、利用者に対して予定服薬時刻が近づいていること伝える出力を行う出力部と、を備える。
前記出力部は、LEDであり、前記LEDは複数種類の色を有し、各色の点灯又は点滅のパターンは、前記予定服薬時刻が近づくにつれて変化し、前記予定服薬時刻の経過後において前記予定服薬時刻前の点灯又は点滅のパターンとも異なる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の服薬管理装置。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示に係る服薬管理システムについて概略的に示す図である。
【
図2】蓋部を閉じた服薬管理装置の外観について示す斜視図である。
【
図3】蓋部を開けた服薬管理装置の外観について示す斜視図である。
【
図4】蓋部を外した服薬管理装置の外観について示す上面図である。
【
図5】服薬管理装置の本体内部について説明するための正面図である。
【
図6】服薬管理装置の本体内部について説明するための側面図である。
【
図7】制御部のハードウェア構成の一例について示す図である。
【
図8】テンプレートが本体部の本体内部に収納される様子について示す説明図である。
【
図9】追加テンプレートについて説明するための図である。
【
図10】追加テンプレートが配置された本体部の上面図である。
【
図11】追加テンプレートの右側面を示す概略図である。
【
図12】追加テンプレートにおいて、上フラップ及び下フラップが折り曲げられた際の様子について説明するための正面図である。
【
図13】追加テンプレートの右側面を示す概略図である。
【
図14】追加テンプレートにおいて、上フラップ及び下フラップが折り曲げられた際の様子について説明するための正面図である。
【
図15】高血圧の疾患について、狭心症や心筋梗塞等の重篤な病気の原因であることを認識させるための疾患ピクトグラムの例を示す図である。
【
図16】画像による疾患ピクトグラムの例を示す図である。
【
図17】高血圧の疾患について、脳梗塞や脳出血等の重篤な病気の原因であることを認識させるための疾患ピクトグラムの例を示す図である。
【
図18】画像による疾患ピクトグラムの例を示す図である。
【
図19】糖尿病の疾患について、失明等の重篤な病気の原因であることを認識させるための疾患ピクトグラムの例を示す図である。
【
図20】画像による疾患ピクトグラムの例を示す図である。
【
図21】糖尿病の疾患について、慢性腎不全等の重篤な病気の原因となり、人工透析等の治療が必要となることを認識させるための疾患ピクトグラムの例を示す図である。
【
図22】画像による疾患ピクトグラムの例を示す図である。
【
図23】外側表示部の配置が異なる服薬管理装置の例について示す斜視図である。
【
図24】外部LEDの配置が異なる服薬管理装置の例について示す正面図である。
【
図25】外部LEDの配置が異なる服薬管理装置の例について示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の服薬管理装置、及び服薬管理システムについて、図面を参照して説明する。説明において同様の要素には同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0019】
図1は、本開示に係る服薬管理システム100について概略的に示す図である。この図に示されるように、服薬管理システム100は、服薬管理装置1、モバイル端末102、サーバー装置103、及びこれらの間を通信接続する通信ネットワーク101により構成されている。
【0020】
ここで、服薬管理装置1及びモバイル端末102は、通信ネットワーク101を介さずに直接通信することとしてもよい。この場合には、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)等の無線通信規格を用いることができる。モバイル端末102は、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等の無線通信機能を備えた情報通信端末とすることができる。通信ネットワーク101は、ホームネットワーク等の局所ネットワークの他インターネット等の広域ネットワークを含むことができる。
【0021】
図2は、蓋部2を閉じた服薬管理装置1の外観について示す斜視図である。
図3は、蓋部2を開けた服薬管理装置1の外観について示す斜視図である。
図4は、蓋部2を外した服薬管理装置1の外観について示す上面図である。
図5は、服薬管理装置1の本体内部32について説明するための正面図である。
図6は、服薬管理装置1の本体内部32について説明するための側面図である。
【0022】
図2〜6に示されるように、服薬管理装置1は、上面が開口した本体内部32を有する本体部3、及びその開口を開閉する蓋部2を有し、本体部3及び蓋部2は、それぞれ蝶番46及びガススプリング45により開閉可能に接続されている。本実施形態においては、蝶番46及びガススプリング45を用いることとしたが、これらを用いなくても本体部3の開口を開閉可能な構成であればよい。
【0023】
蓋部2は、上面に例えば液晶表示装置等からなる外側表示部21、外出ボタン24、開閉ボタン22を有し、側面にスピーカー23及びマイクロフォン25を有している。外側表示部21は、主に次の服薬時刻に関する表示を行う。外出ボタン24は、押下されることにより、服薬時刻に係る通知を服薬管理装置1で行わずに、モバイル端末102における通知とするボタンである。開閉ボタン22は、押下されることにより、本体部3との間のロックを解除し、ガススプリング45による開動作を許容する。また、蓋部2が閉じられた際にはロックを行う。スピーカー23は、主に薬の直近の服薬時刻に関する音声を出力する。マイクロフォン25は、利用者から発せられた音声を取得する。
【0024】
本体部3は、外側側面に外部LED31、薬を収納する本体内部32、本体内部32に収納される内箱(以下「テンプレート」という。
図8参照。)5、テンプレート5に収納された薬を照らす内部LED33、バッテリー35、制御部41及びアンテナ42を有している。なお、本実施形態においては蓋部2及び本体部3の間は、不図示の通信ケーブル及び電力供給ケーブルで接続されている。外部LED31は、赤色の外部LED311、黄色の外部LED312及び青色の外部LED313の3種類を有していてもよく、それぞれ本体部3の周囲を異なる高さで一周する線上に並べて配置されていてもよい。内部LED33は、蓋部2が開けられた際に、次に服薬すべき薬が配置された位置を照らす。バッテリー35は、本体部3の外部LED31、内部LED33及び制御部41に電力を供給すると共に、蓋部2の外側表示部21、内側表示部27、スピーカー23、マイクロフォン25及びカメラ26等に電力を供給することができる。制御部41は、蓋部2の開閉を検知すると共に、各入出力機器から入力されたデジタル信号を処理する。外側表示部21、内側表示部27、スピーカー23、外部LED31及び内部LED33はそれぞれ服薬管理装置1の出力部を構成することができ、制御部41からの指示により、予定服薬時刻より前に、利用者に対して予定服薬時刻が近づいていること伝える出力を行う。
【0025】
図7は、制御部41のハードウェア構成の一例について示す図である。この図に示されるように、制御部41は、主に半導体回路素子を用いた電子回路で構成された、いわゆる情報処理装置とすることができる。例えば、CPU(Central Processing Unit)411、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶部412、フラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性記憶部413、通信ネットワーク101やモバイル端末102への無線通信と共に、後述するIC(Integrated Circuit)タグとの無線通信を行うためのアンテナ42、外側表示部21等の入出力機器に接続するための入出力機器インタフェース415等を有することができる。なお、外側表示部21又は内側表示部27は、タッチパネル等の入力部を有していてもよい。また、制御部41は、時刻を管理し、時刻に基づいて、各表示部に当該時刻を含む表示を行ったり、スピーカー23を介してアラームや音声を出力させたり、各LEDを点灯/点滅させることができる。また、服薬管理装置1における各種通信及び各種入出力機器の制御は、CPU411がプログラムコードを実行することにより行われるものとすることができる。
【0026】
ここで服薬管理装置1の大きさは、縦240〜255mm、横120〜135mm、高さ130〜150mmとしている。また、一辺150〜200mmの立方体の形状としてもよい。通常、服薬は、食事する場所に近接し、水道の蛇口にアクセスしやすいリビング・ダイニングで行われることがほとんどである。そのため、邪魔にならずかつ目立ちすぎず、リビング・ダイニングに自然に溶け込む大きさとして、上述のようなティッシュ箱と同様の大きさとすることが望ましい。
【0027】
図8は、テンプレート5が本体部3の本体内部32に収納される様子について示す説明図である。この図に示されるように、テンプレート5は、本体内部32に取り外し可能に収納/配置される。テンプレート5は、上面が開いた箱状の入れ物であり、処方箋に基づいて薬局から供給される薬を収納する複数の収納区画51、及びICタグ52を有している。例えば、テンプレート5は、収納区画51の数に応じて2〜6区画の5種類とすることができる。これにより、収納できる薬の種類や量としては、5〜10種類の薬やインスリンの専用注射針を2〜4週間分保管可能なものとすることができる。薬には、錠剤、カプセルの他、粉末製剤、顆粒製剤等も含まれる。テンプレート5は、薬局と自宅との往復において持ち運ばれるものとすることができる。
【0028】
ICタグ52には、テンプレート5の収納区画51を識別するための識別コードが保存されており、テンプレート5が本体内部32に収納された際に、ICタグ52に保存された識別コードが、アンテナ42を介して制御部41に読み取られ、読み取られた識別コードに基づいて服薬の時刻の初期値が決定される。識別コードにより、少なくとも収納区画51の数を識別することができる。予定服薬時刻付近で、制御部41が、蓋部2が開けられたことを検知した場合には、内部LED33に、服薬予定の薬が配置されている収納区画51を照射させる。
【0029】
図9は、追加の内箱(以下「追加テンプレート」という。)61及び62について説明するための図である。
図10は追加テンプレート61及び62が配置された本体部3の上面図である。
図9及び
図10に示されるように、追加テンプレート61及び62は、テンプレート5の任意の収納区画51に配置することができ、新たに追加テンプレート61及び62それぞれの追加収納区画611及び621を生成させることができるため、テンプレート5の収納区画51と併せて、収納区画の数を増加させることができる。各追加テンプレート61及び62にもそれぞれ追加ICタグ612及び622を取り付けることができる。本実施形態においては、追加テンプレート61及び62の2つを用いることとしているが、追加テンプレートは1つであっても、3つ以上であってもよい。
【0030】
図11は、追加テンプレート61の右側面を示す概略図である。
図11に示されるように追加テンプレート61の側面には、切込みにより内側に折り曲げることができる上フラップ613及び下フラップ614が形成されている。
図12は、追加テンプレート61において、上フラップ613及び下フラップ614が折り曲げられた際の様子について説明するための正面図である。
図12に示されるように、例えば下フラップ614は、90度付近まで折り曲げることにより、底上げされた底面として作用させることができ、例えばPTP(press through pack)包装シート等の包装された薬の高さに合わせて、下フラップ614を折り曲げて使用したり、折り曲げないで使用したりすることができる。また、上フラップ613を利用することにより、例えば、PTP包装シート等の包装された薬の上部分を左側面側に押さえて固定させることができる。
【0031】
図13は、追加テンプレート62の右側面を示す概略図である。
図14は、追加テンプレート62において、上フラップ623及び下フラップ624が折り曲げられた際の様子について説明するための正面図である。
図13及び14に示されるように、追加テンプレート62においても、追加テンプレート61と同様に、追加テンプレート62の左側面に、切込みにより内側に折り曲げることができる上フラップ623及び下フラップ624が形成されていてもよい。この場合にも、追加テンプレート61と同様に、下フラップ624は、例えば、PTP包装シート等の包装された薬の高さに合わせて、底面として作用させることができ、上フラップ623は、例えば、PTP包装シート等の包装された薬の上部分を左側面側に押さえて固定させることができる。追加テンプレート61及び62は、収納区画を増やして詳細に管理したい場合や、外出時の持ち出し容器として使用する場合等に利用することができる。
【0032】
テンプレート5及び追加テンプレート61及び62の素材は軽量であればプラスチックの他、段ボールシート等の紙素材を使用することができる。紙素材を使用した場合には、薬局に持っていくのを忘れた場合においても、薬局で用意されたものを用いることができる。段ボールシートとした場合には、使い捨てのカップホルダーのように一枚の段ボールを折り曲げて、立体的に組み立てるものとすることができる。紙素材で組み立てて使用する場合には、使用しない期間において折り畳んで収納することができる。なお、段ボールの折り畳み方等は、既知のものを用いることができる。
【0033】
次に、服薬管理システム100の利用方法の例について、
図1等を参照して説明する。まず薬局において薬剤師が、利用者の服薬スケジュールに合ったテンプレート5を用いて、利用者の薬を各収納区画51に収納する。利用者は、薬局から受けとった薬の入ったテンプレート5を持ち帰り、服薬管理装置1の本体内部32に配置すると、制御部41は、アンテナ42を介してICタグ52から識別コードを読み取り、読み取られた識別コードに基づいて予定服薬時刻の初期値を設定する。
【0034】
次に、利用者が、モバイル端末102に付属しているカメラにより、薬局で発行されたお薬手帳等の処方内容を撮影すると、モバイル端末102は、撮影された画像を、通信ネットワーク101を経由してサーバー装置103に送信する。サーバー装置103では、処方内容の画像情報に含まれる文字情報から処方された薬や日数を特定し、薬の種類毎に服薬情報が保存された服用薬データベースを参照し、服用薬データを作成する。また、受け取った薬の情報がコード化されたQRコード(登録商標)等を利用できる場合には、QRコードをモバイル端末102のカメラで撮影することにより、服用薬データを作成することとしてもよい。作成された「服用薬データ」は、サーバー装置103から服薬管理装置1及びモバイル端末102に送信される。
【0035】
利用者は、モバイル端末102にインストールされた「管理アプリ」を利用し、受信した服用薬データに基づいて、服用薬の回数や予定服薬時刻等を入力する。モバイル端末102は、入力された服用薬の回数や予定服薬時刻等を服薬管理装置1に送信すると、服薬管理装置1において、服薬時刻の管理が開始される。なお、服用薬の回数や予定服薬時刻等の入力は、マイクロフォン25を介して音声により行われることとしてもよい。
【0036】
追加テンプレート61又は62がテンプレート5の収納区画51に配置された場合には、制御部41は、追加テンプレート61又は62の追加ICタグ612又は622を読み取って、収納区画51に追加テンプレート61又は62が配置されたことを認識する。制御部41により、追加テンプレート61又は62が認識された場合には、モバイル端末102の管理アプリやマイクロフォン25等を利用して、予定服薬時刻等の追加・修正を行うことができる。
【0037】
予定服薬時刻が近づくと、制御部41は、外側表示部21に、現在の時刻と共に、次の予定服薬時刻を表示させる。さらに、制御部41は、外部LED31の各色の点灯又は点滅させると共に、服薬時間が近づくにつれて点灯又は点滅のパターンを変化させることとしてもよい。また、制御部41は、スピーカー23からアラーム音と音声案内を発し、予定服薬時刻が近づいていることを利用者に認知させる。また、予定服薬時刻が過ぎてしまった場合も、外部LED31の点灯・点滅パターンやアラーム音・音声案内を、予定服薬時刻前の点灯又は点滅のパターンと異ならせることで認知させる。このように服薬管理装置1は、視覚と聴覚に同時に訴えかけることで、利用者に、予定服薬時刻が近づいていること、又は過ぎてしまったことを認知させる。
【0038】
一般に、人が不適応行動(例えば薬の飲み忘れ)をなくし、適応的な行動(例えば服薬遵守)がとれるようにする行動変容のためには、その行動の必要性について、より深い理解を必要とする。本実施形態に係る服薬管理装置1では、予定服薬時刻の前から利用者に働きかけることにより、利用者の服薬遵守への行動変容を促し、結果として服薬アドヒアランスを高めることができる。
【0039】
より具体的には、予定服薬時刻が近づくと、例えば、制御部41は、外側表示部21の表示を切り替え、「標準化スクリプト」を表示する。更に、スピーカー23から標準化スクリプトが読み上げる音声案内を行うこととしてもよい。「標準化スクリプト」とは、服薬に対する意識や行動を自己評価することで、服薬に対しての行動変容を促す文字(又はそれを読み上げられた音声)情報である。「標準化スクリプト」は、例えば、以下のような、薬の服用を肯定的に意識づける8つの要素(目標・過去・意欲・阻害要因・解消方法・代替手段・重要・自信)からなる問いかけや台本であり、表現を変えてランダムに画面表示されるものとすることができる。
目標:薬をのむことで、どのような生活が可能となりますか?
過去:過去1週間に、薬を飲み忘れたことがありますか?
意欲:薬を飲みたい気持ちの強さを1〜10点で評価すると何点になりますか?
阻害要因:薬を飲むことについて、好ましくないと感じる点はありますか?
解消方法:もし好ましくないと感じる点がある場合、どのような方法でそれを解決できると考えられますか?
代替手段:薬を飲むことの他に、病気を良くする方法には、どのようなものがありますか?
重要:あなたの人生の中で、薬をのむことの重要性は、10点満点で何点ですか?
自信:すごく重要だとすると、明日も薬を飲み続けられる自信は、10点満点で何点となりますか?
上述のように、外側表示部21に表示される内容又はスピーカー23から出力される音声の内容は、服薬に関する問いかけや台本、服薬に関する質問等を含むことができる。
【0040】
上述のような標準化スクリプトを視覚的に知覚すると同時に、聴覚的にも知覚することで、利用者に、あらためて服薬意義を認識させることができる。また、標準化スクリプトを利用者との対話により行うこととしてもよい。この場合には、マイクロフォン25が、スピーカー23から発せられた音声に対する利用者の応答を検知し、その応答を制御部41が解析し、応答に対応する音声をスピーカー23に出力させることができる。この場合には、応答の解析及び応答に対応する音声の合成を、AI(Artificial Intelligence)技術を利用した処理により行うこととしてもよい。また、応答の解析及び応答に対応する音声を生成する処理は、制御部41で行ってもよいし、通信ネットワーク101を介してサーバー装置103で行うこととしてもよい。本実施形態においては、表示と共に音声を出力することとしたが、いずれか一方とすることができる。
【0041】
制御部41は、予定服薬時刻付近において服薬管理装置1の蓋部2が開かれたことを検知すると、内部LED33に処方薬が配置されたテンプレート5の収納区画51を照らすように制御する。飲むべき薬が配置された位置を光らせることで誤薬を予防し、服薬への心理的ハードルも引き下げられる。また、外側表示部21又は内側表示部27には、その時間帯で服用する処方薬の名称・剤型写真・薬価・適応病名が表示されることとしてもよい。更に、外側表示部21又は内側表示部27には、「疾患ピクトグラム」(後述)を表示させることとしてもよい。利用者は、疾患ピクトグラムを目にすることで服薬に関する主体性に継続的に働きかけられることになる。なお、疾患ピクトグラムは、予定服薬時刻前に外側表示部21等に表示されるものであってもよい。
【0042】
「疾患ピクトグラム」とは、現在内服中の薬に関する疾患について、重篤性やリスク、予後等について説明した単語、絵、マークからなる図案である。キーワードになる単語を強調したり、絵やマークのアニメーション効果を加えることで視覚刺激として、服薬の意義について理解を促進させる機能を有する。疾患ピクトグラムの例を
図15〜22に示す。
【0043】
図15は、高血圧の疾患について、狭心症や心筋梗塞等の重篤な病気の原因であることを認識させるための疾患ピクトグラムである。この場合に、
図16に示されるような、心臓に焦点を当てた画像の疾患ピクトグラムと共に用いることとしてもよいし、
図16の疾患ピクトグラムを単独で用いることとしてもよい。
図17は、高血圧の疾患について、脳梗塞や脳出血等の重篤な病気の原因であることを認識させるための疾患ピクトグラムである。この場合に、
図18に示されるような、脳に焦点を当てた画像の疾患ピクトグラムと共に用いることとしてもよいし、
図18の疾患ピクトグラムを単独で用いることとしてもよい。
図19は、糖尿病の疾患について、失明等の重篤な病気の原因であることを認識させるための疾患ピクトグラムである。この場合には、
図20に示されるような、眼に焦点を当てた画像の疾患ピクトグラムと共に用いることとしてもよいし、
図20の疾患ピクトグラムを単独で用いることとしてもよい。
図21は、糖尿病の疾患について、慢性腎不全等の重篤な病気の原因となり、人工透析等の治療が必要となることを認識させるための疾患ピクトグラムである。この場合に、
図22に示されるような、腎臓に焦点を当てた画像の疾患ピクトグラムと共に用いることとしてもよいし、
図22の疾患ピクトグラムを単独で用いることとしてもよい。このように、外側表示部21又は内側表示部27に表示される内容は、利用者の疾患の名称、及び疾患を原因とする、より重篤な病気やその治療法の名称の文字列、又は/及び、利用者の疾患を原因とする、より重篤な病気の部位や治療法を示す画像を含むことができる。
【0044】
利用者が、服薬管理装置1の蓋部2を20〜30秒以上開いた場合、服薬管理装置1の制御部41は、開閉された時刻を記録し、開閉データを作成する。開閉データは、そのまま服薬時刻と服薬回数として、服薬管理装置1の服薬履歴に記録される。
【0045】
また、服薬管理装置1の蓋部2の内側に配置されたカメラ26は、利用者が薬を口に含み・嚥下し・口を開けて薬が残っていないことを示す一連の動作を撮影し、制御部41が画像(動画又は静止画)を嚥下データとしてサーバー装置103に送信することとしてもよい。この場合には、サーバー装置103が画像を解析し、実際に内服したかどうかについて検知することとしてもよい。検知の際には、AI(Artificial Intelligence)による画像認識技術を用いることとしてもよい。薬を処方した担当医師又は薬剤師は、通信ネットワーク101に接続された情報処理端末(不図示)からサーバー装置103にアクセスし、実際に内服したかどうかの服薬記録を確認することとしてもよい。
【0046】
本実施形態においては、蓋部2の開け閉めをすることを服薬履歴とみなして記録することとしたが、利用者が、服薬管理装置1のマイクロフォン25を介して音声を入力することにより、制御部41又はサーバー装置103が音声を解析し、服薬履歴に記録させることとしてもよい。同様の音声解析により、服用薬データを作成することとしてもよい。
【0047】
ここで服薬履歴は、嚥下データと統合することで、より信頼度の高い服薬履歴とすることができる。制御部41は、服薬履歴を、服薬管理装置1の外側表示部21に表示させることができる。服薬履歴は、服薬管理装置1で作成されることとしたが、モバイル端末102やサーバー装置103で作成され、他の装置に送信されて共有されるものであってもよい。
【0048】
また、制御部41は、保存された服薬履歴を服薬管理装置1からモバイル端末102に送信し、利用者は、モバイル端末102上の管理アプリで服薬履歴を閲覧することができる。そのため、利用者が持参したモバイル端末102で服薬履歴を、医療機関受診の際に担当医に、また薬局では薬剤師に、短時間見せるだけで、服薬遵守の状況を確認してもらうことができる。また、利用者は、服薬遵守率を医師又は薬剤師に確認してもらい適切な助言や励ましを受けることで、服薬遵守のモチベーションを高めることができる。薬局で服薬履歴を薬剤師に確認してもらう場合には、薬剤師が服薬遵守の状況を照会に際して医師に提供することとしてもよい。これにより医師・薬剤師の連携の下、服薬遵守の状況が適正にフィードバックされ、効率的な処方に結び付けることができる。また、医師又は薬剤師は、服薬遵守率を残薬の推計に利用することもできる。また、服薬管理装置1からテンプレート5を取外し、そのまま持出して薬局に提出することができるため、薬剤師による残薬の実数確認も可能である。このように医師・薬剤師の連携を強化できるので、服薬の適正化やポリファーマシーへの対策ともなる。
【0049】
一方、服薬管理装置1が服薬時刻の管理を実行している間において、服薬管理装置1が使用されない状況が数日間続いた場合には、制御部41は、その状況を「安否データ」としてサーバー装置103に送信することができる。安否データを受信したサーバー装置103は、事前登録していた第三者のメールアドレスにサーバー装置103から安否確認が必要な旨のメールを送信することができる。
【0050】
また、外出先で服用するために、服用薬が収納された追加テンプレート61又は62を服薬管理装置1から取り出した場合には、制御部41は、追加テンプレート61又は62が取り出されたことを検知し、服薬管理装置1の各出力部は、取り出された薬に対応する予定服薬時刻の出力を行わない「外出モード」とすることができる。また、制御部41は、通信ネットワーク101及びサーバー装置103を介して、服薬管理装置1が「外出モード」である旨をモバイル端末102に通知すると、モバイル端末102は、管理アプリを介して、あらかじめ設定した服薬時刻にアラームを鳴らして、利用者に服薬のリマインドを行うこととしてもよい。なお、外出モードの通知は、服薬管理装置1から、通信ネットワーク101及びサーバー装置103を経由せずに、直接モバイル端末102に送信されることとしてもよい。なお、追加テンプレート61又は62を利用しない場合でも、服薬管理装置1の外出ボタン24が押下されたことを認識することにより、上述の外出モードの処理と同様の処理をおこなうこととしてもよい。
【0051】
ここで、本実施形態においては、蓋部2に外側表示部21、外出ボタン24、開閉ボタン22、スピーカー23及びマイクロフォン25を有していることとしたが、これらは蓋部2に限らず、本体部3に配置されていてもよい。
図23には、外側表示部21が、正面に配置された例について示されている。
【0052】
また、本実施形態においては、外部LED31を本体部3の正面、側面及び背面を周回する高さの異なる線上に並べることとしたが、外部LED31の配置はこれに限られない。
図24及び25には、最も低い高さの線上に配置された外部LED313を、角部を挟んで下方向に折り曲げられた線上に沿うように配置した例について示されている。
【0053】
また、本実施形態においては、通信ネットワーク101に接続されたサーバー装置103を用いることとしたが、サーバー装置103の処理を服薬管理装置1の制御部41で行うこととし、サーバー装置103を用いない服薬管理システム100としてもよい。また、更に外側表示部21又は内側表示部27をタッチパネル付き表示装置とした場合のタッチパネルによる入力、マイクロフォン25を介した音声入力、又はカメラ26を介した画像入力により、モバイル端末102からの入力を行うことなく、服用薬データ等を作成することとしてもよい。この場合には、服薬管理装置1を通信ネットワーク101に接続された機器を利用しないスタンドアロンとして使用されるものとしても、上述と同様の動作を行うことができる。また、本実施形態においては、ICタグを用いることとしたが、バーコードやQRコード等としてもよい。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の服薬管理装置によれば、予定服薬時刻より前に、利用者に対して予定服薬時刻が近づいていること伝えることができ、利用者の服薬を促して服薬アドヒアランスを高めることができる。
【0055】
なお上述の実施形態の記載は一例であり、本発明の思想の範疇において、当業者が想到し得る変更及び修正が含まれる場合についても本発明の範囲に属する。例えば実施形態の構成要素に対して代替可能な構成への変更、構成要素の削除を行ったものについても、本発明の思想の範疇である限り、本発明の範囲に属するものである。
前記出力部は、LEDであり、前記LEDは複数種類の色を有し、各色の点灯又は点滅のパターンは、前記予定服薬時刻が近づくにつれて変化し、前記予定服薬時刻の経過後において前記予定服薬時刻前の点灯又は点滅のパターンとも異なる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の服薬管理装置。