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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-15965(P2021-15965A)
(43)【公開日】2021年2月12日
(54)【発明の名称】キャパシタ部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20210115BHJP
【FI】
   H01G4/30 516
   H01G4/30 513
   H01G4/30 512
   H01G4/30 201C
   H01G4/30 201D
   H01G4/30 201K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-113551(P2020-113551)
(22)【出願日】2020年6月30日
(31)【優先権主張番号】10-2019-0085034
(32)【優先日】2019年7月15日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジュン イル
(72)【発明者】
【氏名】オー、ボム ソク
(72)【発明者】
【氏名】シン、ウー チュル
(72)【発明者】
【氏名】アン、ビョン ロク
(72)【発明者】
【氏名】チャ、キョン ジン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC01
5E001AC09
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082BC31
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082JJ23
5E082PP09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐湿信頼性を向上させるとともに、チップ強度を向上させることができるキャパシタ部品を提供する。
【解決手段】キャパシタ部品は、誘電体層及び誘電体層を間に挟んで配置され、ニッケル及び合金元素を含む内部電極を有する本体と、本体に配置され、内部電極と連結される外部電極と、を含む。内部電極は、合金領域152及び合金元素領域151を含む。合金領域は、合金元素を主成分とする領域であり、合金元素は、Si、Al、Mg、Fe、P、Sn、Zn、Dy、Cu及びこれらの合金のうち1つ以上を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで配置され、ニッケル及び合金元素を含む内部電極を有する本体と、
前記本体に配置され、前記内部電極と連結される外部電極と、を含み、
前記内部電極は合金領域及び合金元素領域を含む、キャパシタ部品。
【請求項2】
前記合金領域は、ニッケル及び合金元素の合金を含む、請求項1に記載のキャパシタ部品。
【請求項3】
前記合金元素領域は、合金元素を主成分とする領域である、請求項1又は2に記載のキャパシタ部品。
【請求項4】
前記合金元素は、元素周期律表上の3サイクル元素、4サイクル元素、又は11族〜14族元素のうち1つ以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項5】
前記合金元素は、Si、Al、Mg、Fe、P、Sn、Zn、Dy、Cu、及びこれらの合金のうち1つ以上を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項6】
前記合金元素領域は、全体の内部電極に対して5%〜60%の面積分率を満たす、請求項1から5のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項7】
前記合金元素は、内部電極を形成する全体の導電性ペーストの重量に対して0.01重量%〜15重量%の範囲内に含まれる、請求項1から6のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項8】
前記内部電極は、表面に合金元素がコーティングされたニッケルの焼成電極である、請求項1から7のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項9】
前記内部電極は、平均厚さが0.41μm以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項10】
前記誘電体層は、平均厚さが0.4μm以下である、請求項1から9のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項11】
前記内部電極は、全長さに対する実際の内部電極の長さの割合として定義される内部電極の連結性が70%以上である、請求項1から10のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタ部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャパシタ部品のうち積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi−Layered Ceramic Capacitor)は、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点を有する。
【0003】
最近、セラミック電子部品、特に積層型キャパシタが超高容量化しつつある。そこで、容量を確保するためには積層数を増やす必要があるが、積層数を増やすためには誘電体層及び内部電極をより薄く形成する必要がある。
【0004】
しかし、内部電極の薄層化が進行するにつれて、電極の途切れが増加するようになり、結果として、湿潤浸透に弱くなり、チップ強度が低くなるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、耐湿信頼性を向上させるとともに、チップ強度を向上させることができるキャパシタ部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、誘電体層、及び上記誘電体層を間に挟んで配置され、ニッケル及び合金元素を含む内部電極を有する本体と、上記本体に配置され、上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、上記内部電極は合金領域及び合金元素領域を含むキャパシタ部品を提供することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によると、内部電極の途切れを補完することにより、キャパシタ部品の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0008】
本発明の他の実施形態によると、気孔部位を除去することにより、キャパシタ部品に対する水分浸透を防止することができる。
【0009】
本発明のさらに他の実施形態によると、内部電極と外部電極の接合面積を広げることにより、チップ強度を増加させることができる。
【0010】
但し、本発明の多様でありながら有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す斜視図である。
図2図1のキャパシタ部品の本体を示す斜視図である。
図3図1のA領域の拡大図である。
図4図1のI−I'線に沿った断面図である。
図5】本発明の一実施形態による内部電極の途切れ部位が満たされる過程を示す模式図である。
図6】本発明の一実施形態による内部電極の途切れ部位が満たされる過程を示す模式図である。
図7】本発明の一実施形態による内部電極の途切れ部位が満たされる過程を示す模式図である。
図8】本発明の合金元素が過量添加された場合を概略的に示す模式図である。
図9】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の断面をTEMで撮影した画像である。
図10】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の断面をTEMで撮影した画像である。
図11】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の断面をTEMで撮影した画像である。
図12】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の断面をTEMで撮影した画像である。
図13】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の断面をTEMで撮影した画像である。
図14】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の断面をTEMで撮影した画像である。
図15】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の断面をTEMで撮影した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施形態及び添付された図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0013】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示しており、同一の思想の範囲内の機能が同一の構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0014】
図面において、X方向は、第2方向、L方向又は長さ方向、Y方向は、第3方向、W方向又は幅方向、Z方向は、第1方向、T方向又は厚さ方向と定義することができる。
【0015】
以下、図1図4を参照して、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品について詳細に説明する。
【0016】
本発明のキャパシタ部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層111を間に挟んで配置され、ニッケル及び合金元素を含む内部電極を有する本体110と、上記本体110に配置され、上記内部電極と連結される外部電極131、132と、を含み、上記内部電極は、合金領域152及び合金元素領域151を含むことができる。
【0017】
図1は本発明の一実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す斜視図であり、図2図1のキャパシタ部品の本体を示す斜視図であり、図3図1のA領域の拡大図である。
【0018】
図3を参照すると、本発明の一実施形態において、内部電極は、合金領域152及び合金元素領域151を含むことができる。本発明において、「合金領域」とは、ニッケル及び合金元素の合金を含む領域を意味することができ、上記合金とは、金属に上記金属と異なる元素を1つ以上添加して得られたものであって、金属の性質を有することを意味することができる。上記合金領域は、例えば、ニッケル及び合金元素を含むことができ、上記合金元素とは、ニッケルの異種元素を意味することができる。上記合金の金属及び異種元素の割合は、特に制限されるものではないが、例えば、ニッケルを1〜99重量%の範囲内に含まれる合金を含むことができる。本発明によるキャパシタ部品は、内部電極が合金領域及び合金元素領域を含むようにすることにより、内部電極の途切れを補完することができる。
【0019】
本発明の一実施形態において、合金元素領域151は、合金元素を主成分とする領域であることができる。本発明において、上記「合金元素領域」とは、合金元素を主成分とする領域を意味することができ、上記「合金元素を主成分として含む」とは、全重量を基準に合金元素を50重量%以上含むことを意味することができる。上記合金元素領域は、後述のように、内部電極に含まれる合金元素が溶出して形成されたものであって、内部電極の途切れ部位を満たす役割を果たすことができる。
【0020】
一例において、本発明の合金元素は、3サイクル又は4サイクルの元素であってもよく、又は11族〜14族に属する元素のうちニッケルと合金を形成することができる元素であってもよい。上記合金元素は、例えば、Si、Al、Mg、Fe、P、Sn、Zn、Dy、Cu、及びこれらの合金のうち1つ以上であることができるが、これらに制限されるものではない。上記合金元素を内部電極に適用することにより、内部電極を含む本体の焼成時に合金を形成しない元素が溶出することができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、合金元素領域は、全体の内部電極に対して5%〜60%の面積分率を満たすことができる。上記内部電極に含まれる合金領域の面積分率は、本体110の長さ−厚さ(X−Z)方向の断面を観察して測定されたものであってもよい。例えば、本体110の幅(Y)方向の中央における長さ−厚さ(X−Z)方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)、又は透過電子顕微鏡(TEM)などで撮影した後、画像解析ソフトウェア(米国国立衛生研究所[NIH]オープンソースの「Image J」又はMathWorks社製の「MATLAB」)などを用いて分析して面積分率を計算することができる。また、上記SEM及び/又はTEMにエネルギー分散分光法(EDS、energy dispersive spectroscopy)又はエネルギー損失電子分光法(EELS、electron energy loss spectroscopy)などを適用して化学成分及び組成を分析することができる。
【0022】
本発明の一実施形態において、内部電極の途切れ部位の面積に対する合金元素領域の面積分率は、5.0%以上、5.5%以上、6.0%以上、6.5%以上、7.0%以上、又は7.5%以上であってもよく、70%以下、69%以下、68%以下、67%以下、66%以下、又は65%以下であってもよいが、これらに制限されるものではない。上記内部電極の途切れ部位の面積及び合金元素領域の面積は、本体110のW−T断面及び/又はL−Tの断面で測定した値であることができる。上記内部電極の途切れ部位の面積とは、測定しようとする内部電極と誘電体層の境界を基準にトレンドラインを描いたとき、内部電極の途切れ部位の面積を意味することができる。また、上記合金元素領域の面積とは、上記内部電極の途切れ部位の面積内部に存在する合金元素の面積を意味することができる。上記内部電極の途切れ部位の面積及び合金元素領域の面積は、上述した画像解析ソフトウェアなどを用いて計算することができる。
【0023】
内部電極に含まれる合金元素領域が5%未満の場合には、チップ強度及び耐湿信頼性が低下する可能性がある。また、60%を超えると、チップ強度は高くなることができるものの、合金元素が内部電極の途切れ部位よりも誘電体層と内部電極の界面などに移動して耐湿信頼性が低下し、キャパシタの容量が低下するおそれがある。
【0024】
本発明の一実施形態において、本体110は、誘電体層111と内部電極を含むことができる。
【0025】
上記本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように、本体110は、六面体状又はこれと類似した形状からなることができる。上記本体110は、焼成過程における上記本体110に含まれているセラミック粉末の収縮により、完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。本体110は、厚さ方向(Z方向)に互いに対向する第1及び第2面S1、S2、上記第1及び第2面1、2と連結され、長さ方向(X方向)に互いに対向する第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、且つ幅方向(Y方向)に互いに対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0026】
上記本体110は、誘電体層111に第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと、誘電体層111に第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを厚さ方向(Z方向)に交互に積層して形成することができる。
【0027】
一例において、誘電体層111及び内部電極121、122は、第1方向に交互に積層されていることができる。複数の誘電体層111は、焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0028】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は十分な静電容量を得ることができる限り、特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。
【0029】
また、上記誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末に、本発明の目的に応じて、様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0030】
誘電体層111は、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末を含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥し、複数個のセラミックシートを設けることによって形成することができる。上記セラミックシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法を介して数μmの厚さを有するシート(sheet)状に製作することにより形成することができるが、これに限定されない。
【0031】
一例において、誘電体層111の平均厚さは0.4μm以下であることができる。上記誘電体層111の平均厚さは、焼成された誘電体層111の互いに異なる5ヶ所の位置で測定された値の平均であることができる。上記誘電体層111の平均厚さの下限は特に制限されるものではないが、例えば、0.01μm以上であるがことができる。
【0032】
本発明の一例において、複数の内部電極121、122は、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置されることができる。内部電極121、122は、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。
【0033】
上記第1内部電極121は、上記本体110の上記第2方向(X方向)の一面に露出することができ、上記第2方向(X方向)の一面に露出する部分が第1外部電極131と連結されることができる。上記第2内部電極122は、上記本体110の第2方向(X方向)の他面に露出することができ、上記第2方向(X方向)の他面に露出する部分が第2外部電極132と連結されることができる。第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0034】
第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は、ニッケル(Ni)を最も多く含有することができるが、これに制限されず、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、銅(Cu)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうちいずれか1つ以上の物質を含む導電性ペーストを用いて形成することができる。上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0035】
一例において、上記内部電極を形成する導電性ペーストは、上記成分とは別に、上述した合金元素を含むことができる。上記導電性ペーストに含まれる合金元素は、内部電極を形成する導電性ペーストの全重量に対して0.01重量%〜15重量%の範囲内に含まれることができる。導電性ペーストに含まれる合金元素の含有量が内部電極に対して0.01重量%未満の場合には、目的とする耐湿信頼性が確保されない可能性があり、15重量%を超えると、合金元素が内部電極の途切れ部位だけでなく、誘電体層に浸透して2次相を形成して欠陥を誘発するなどの問題が発生するおそれがある。
【0036】
本発明の一実施形態において、上述した導電性ペーストをセラミックグリーンシート上に印刷し、これを複数個積層した後、焼成して内部電極を形成することができる。上記導電性ペーストに含有されるニッケル及び合金元素は、ニッケル粉末の表面に合金元素がコーティングされた形であることができる。かかる形状を有するニッケル及び合金元素を含む導電性ペーストを焼成して焼成電極を形成する場合には、合金領域で構成される内部電極が形成され、焼成過程において、内部電極の途切れ部位に合金元素が溶出して合金元素領域を形成することができる。これにより、内部電極の気孔部位を除去することにより、チップ強度を向上させるとともに、外部からの水分の浸透を効果的に遮断することができる。
【0037】
上記第1及び第2内部電極121、122の平均厚さは0.41μm以下であってもよい。上記内部電極の平均厚さは、焼成された内部電極の互いに異なる5ヶ所の位置で測定された値の平均であることができる。上記第1及び第2内部電極の平均厚さの下限は特に制限されるものではないが、例えば、0.01μm以上であってもよい。
【0038】
本発明の一実施形態によると、上記内部電極121、122の全長さに対する実際の内部電極の長さの割合と定義される内部電極の連結性が70%以上であることができる。本発明の一実施形態によると、内部電極の連結性は、内部電極の全長さに対する実際の内部電極が形成された部分の長さの割合(実際の内部電極が形成された部分の長さ/内部電極の全長さ)と定義されることができる。
【0039】
本発明の一例において、本体の第2方向の両面に第1外部電極131及び第2外部電極132が配置されることができる。第1外部電極131は、第1内部電極121と電気的に連結され、第2外部電極132は、第2内部電極122と電気的に連結されることができる。
【0040】
上記第1及び第2外部電極131、132は、本体の第1方向(Z方向)の両面及び第3方向(Y方向)に延長されて配置されることができる。このとき、第1及び第2外部電極131、132は、上記本体の第1及び第2面1、2の一部まで延長されて配置されることができる。尚、第1及び第2外部電極131、132は、本体の第5及び第6面5、6の一部まで延長されて配置されることができる。
【0041】
第1及び第2外部電極131、132は、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、銅(Cu)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上の物質とガラスを含む導電性ペーストを用いて形成することができる。上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0042】
図5図7は本発明の一実施形態による内部電極の合金元素領域が形成される過程を示す模式図である。図5を参照すると、焼成が開始された直後の内部電極121、122は、ニッケル及び合金元素の合金化が進行し、外部に別の成分が溶出しない。
【0043】
それから一定の時間が経過すると、図6に示すように合金化が進行し、残りの過剰の合金元素が内部電極の外部に溶出し始まり、溶出した合金元素は内部電極の途切れ部位を満たすようになる。かかる合金元素は、内部電極の途切れ部位を連結する合金元素領域151を形成することができる(図7参照)。
【0044】
図8は合金元素の含有量が過度に含有された場合を示す模式図である。図8を参照すると、溶出した合金元素の量が多すぎる場合には、内部電極の途切れ部位に合金元素領域151を形成することができるものの、過度に溶出した合金元素が誘電体層に浸透して2次相161を生成するようになる。かかる2次相は、キャパシタ部品の欠陥を引き起こす成分であって、誘電体層と内部電極の間の界面劣化を発生させたり、又は容量を減少させたりする可能性がある。
【0045】
下記表1は内部電極の途切れ領域の面積に対する合金元素が満たされた割合に応じたチップ強度、信頼性、及び容量を評価するための実験結果である。下記表1は、ニッケルの表面にすべてSiが合金元素としてコーティングされた材料を用いて内部電極を形成し、合金元素の含有量を異ならせて形成したことを除いては、同一の条件でキャパシタ部品を製造した。
【0046】
下記表1において、内部電極の途切れ領域に対する合金元素の満たされた割合は、製造されたキャパシタ部品のW−T断面における60μm×40μmの範囲を透過電子顕微鏡(TEM)で30Kの割合で撮影した後、画像解析ソフトウェア(米国国立衛生研究所[NIH]オープンソースの「Image J」)を用いて分析した。また、内部電極及び合金元素の含有量は、エネルギー分散分光法(EDS、energy dispersive spectroscopy)又はエネルギー損失電子分光法(EELS、electron energy loss spectroscopy)などを適用して化学成分及び組成を分析した。
【0047】
下記表1における容量は、基準容量の上限及び下限に対して±30%を超える場合をXに評価した。耐湿信頼性試験は、温度85℃、相対湿度85%RHの条件下で基準電圧を12時間印加したとき、400個のサンプルのうち絶縁抵抗値が初期値に対して1.0E+1以上劣化した不良が発生するキャパシタ部品の数を調査した。
【0048】
また、チップ強度は、MLCCチップをW−T又はL−T方向(内部電極と垂直な方向)に配置した後、TIRA社製のUniversal tensile machine(UTM)などの一般的な引張圧縮測定装置を用いて圧縮破壊強度を測定した。チップ強度は、途切れ領域に対する合金元素が満たされた割合が増加するにつれて徐々に増加し、合金元素が増加するにつれて、内部電極間の途切れた気孔(ポア)が減少することで、チップ強度は徐々に増加することが確認できる。
【0049】
【表1】
【0050】
上記表1を参照すると、内部電極の途切れ領域に対する合金元素が満たされり割合が5%以下の場合には、チップ強度及び耐湿信頼性が低下することが確認できる。これに対し、上記割合が60%以上の場合には、耐湿信頼性が低下するとともに、十分なキャパシタ容量を確保しないことが確認できる。
【0051】
図9図15は本発明によるキャパシタ部品の内部電極を撮影した画像である。上記図9図15を介して、ニッケルを含む内部電極にSiを合金元素として適用したキャパシタ部品のTEM内にエネルギー分散分光法(EDS、energy dispersive spectroscopy)又はエネルギー損失電子分光法(EELS、electron energy loss spectroscopy)で詳細成分の分布が確認できることが分かる。
【0052】
図9は製造されたMLCCチップのL−T断面に対するTEM−HAADF(High−Angle Annular Dark Field)画像であり、図10図12はそれぞれBa、Ti、及びNiに該当する成分を示す画像である。図12を参照すると、Niを含む内部電極における途切れ部位を確認することができる。これは、図10及び図11を介しても確認することができる。図10及び図11を参照すると、図12の内部電極の途切れ部位に誘電体層を構成するBa及びTi成分が配置されることが確認できる。
【0053】
また、図13を参照すると、内部電極の内部に合金元素であるSiが均等に分布していることが確認でき、内部電極の途切れ部位にSiが溶出することが確認できる。これは、内部電極用の導電性ペーストに含まれるNi及びSiが合金を形成して内部電極を形成することを意味し、内部電極の形成に必要な量を超える過量の合金元素であるSiが溶出し、内部電極の途切れ部位を満たすことができることを意味する。
【0054】
図14及び図15図13の画像を図12と合わせた画像である。図12図14、及び図15を参照すると、図12の内部電極の途切れ部位に合金元素であるSiが溶出して途切れ部位を満たすことが確認できる。図15のX領域は、Siが溶出した部分を示すものであって、上記X領域のように内部電極の途切れ部位を溶出した合金元素が満たすことにより、内部電極の連結性を向上させるとともに、チップ強度及び耐湿信頼性を向上させることができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0056】
100 キャパシタ部品
110 本体
111 誘電体層
121、122 内部電極
131、132 外部電極
151 合金元素領域
161 2次相
図1
図2
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図15