【解決手段】保持されたロール紙巻の引き出し側を覆うカバー部材32を具備し、カバー部材の下方端部にロール紙巻から引き出された部分を切断する切断部500が設けられ、カバー部材は、作動前位置と作動前位置よりも引き出し側に位置する停止位置との間において、中心軸Qを中心として揺動可能に軸支され、カバー部材が停止位置にある状態において、引き出された部分が切断部により切断され、引き出された部分が切断部により切断される際に、カバー部材の軸支位置から切断部の先端までの直線距離L2が、引き出された部分のうち切断部の先端との接触位置から、ロール紙巻と引き出された部分との接点位置までの直線距離L1よりも短くなるように設定される。
前記ロール紙巻が引き出されると、前記カバー部材が前記作動前位置から前記停止位置に向かって揺動し、かつ、前記保護部が前記第1位置から前記第2位置に向かって移動する
請求項3のロール紙ホルダー。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るロール紙ホルダー10の斜視図である。ロール紙ホルダー10は、ロール紙Pを保持するための機構である。ロール紙Pは、挿入孔Hを中心に券回された紙である。例えばトイレットペーパーまたはキッチンペーパーがロール紙Pとして例示される。
図1には、X方向とY方向とZ方向とが図示されている。X方向はロール紙ホルダー10に保持されたロール紙Pの幅方向であり、Y方向はX軸に交差(典型的には直交)する方向である。水平方向がX方向の例示であり、鉛直方向がY方向の例示である。また、Z方向はX−Y平面に垂直な方向である。
【0011】
図1に例示される通り、ロール紙ホルダー10は、保持軸部200とカバー部300と基体部400と切断部500を具備する。保持軸部200は、ロール紙Pを保持するための機構である。具体的には、保持軸部200は、ロール紙Pの挿入孔Hに挿入された状態で、当該ロール紙Pを引き出し可能に保持する。第1実施形態の保持軸部200は、X方向に沿った長尺状の部材である。
図1に例示される通り、例えば、保持軸部200は、2個の軸部22と軸受部24とで構成される。軸部22は、X方向に沿う棒状の部材である。軸部22の断面形状は、挿入孔Hの径よりも十分に小さい径である円形である。軸部22の一端が基体部400に設置され、軸部22の他端が軸受部24により被覆される。2個の軸部22を設けることで、ロール紙を安定して保持することが可能である。なお、保持軸部200の形状は任意であり、
図1の例示に限定されない。
【0012】
カバー部300は、ロール紙Pを被覆するための部材である。具体的には、第1カバー部材31と第2カバー部材32(カバー部材の例示)とを含む。第1カバー部材31は、保持軸部200に保持されたロール紙Pの上方(ロール紙PからみてY軸の正側)に位置する。なお、保持軸部200の上方に第1カバー部材31が位置するとも換言できる。具体的には、第1カバー部材31はX−Z平面に沿った平板状の部材である。例えば、第1カバー部材31のX方向における長さはロール紙Pの幅よりも大きく、第1カバー部材31のZ方向における長さはロール紙Pの外径よりも大きい。すなわち、Y方向の正側からみて、ロール紙Pが第1カバー部材31により十分に被覆される。
【0013】
以下の説明では、第1カバー部材31における保持軸部200側の表面を「設置面F」と表記する。設置面FにおけるX方向の負側において基体部400が設置される。基体部400は、軸部22を固定するための平板状の部材である。例えば、設置面FからY方向の負側に向かい基体部400が垂下する。基体部400におけるX方向の正側の表面に保持軸部200が設置される。例えば、ロール紙ホルダー10は、設置面FにおけるZ方向の正側の端部に設置された固定部材600を介して壁面に固定される。
【0014】
第2カバー部材32は、第1カバー部材31のうちロール紙Pを引き出す側において垂下する平板状の部材である。ただし、第2カバー部材32の形状は平板状に限定されない。例えば、第2カバー部材32が曲面を含んでもよい。例えば、設置面Fに第2カバー部材32が設置される。
図1では、Z軸の負側がロール紙Pを引き出す側の例示である。保持軸部200に保持されたロール紙巻の引き出し側(Z軸の負側)を覆う要素が第2部材32であるとも換言できる。例えば、第2カバー部材32におけるX方向の長さはロール紙Pの幅よりも大きく、第2カバー部材32におけるY方向の長さはロール紙Pの外径に近似する。すなわち、Z方向の負側(利用者側)からみて、ロール紙Pが第2カバー部材32により十分に被覆される。なお、第2カバー部材32のX方向の長さおよびY方向の長さは以上の例示に限定されない。
【0015】
切断部500は、ロール紙Pを切断可能な部材であり、X方向に沿って形成される。第2カバー部材32における第1カバー部材31とは反対側の端部(Y方向の負側の端部)に切断部500が位置する。すなわち、第2カバー部材32の下方端部に設置され切断部500が設置される。第1実施形態では、第2カバー部材32のうちY方向の負側においてX方向に沿う周縁に切断部500が形成される。
【0016】
具体的には、切断部500は、第2カバー部材32におけるX方向に沿う端部(周縁)から突出する複数の突出部51を含む。各突出部51は、第1カバー部材31とは反対側に突出する。複数の突出部51は所定の間隔で形成される。例えば、突出部51と第2カバー部材32とは連続して(面一で)形成される。
【0017】
突出部51の幅(X方向における長さ)は例えば3mmが好適である。なお、
図1では、突出部51の幅が一定である構成を例示したが、突出部51の形状は任意である。例えば、先端が鋭角をなす突出部51を採用してもよい。なお、切断部500において突出部51を形成することは必須ではない。ロール紙Pが切断可能であれば切断部500の形状は任意である。
【0018】
第1実施形態の第2カバー部材32は、ロール紙Pの幅方向(すなわちX方向)に沿った中心軸Qを中心として揺動可能に軸支される。揺動可能な状態で設置されれば、第2カバー部材32を第1カバー部材31に設置する方法は任意である。中心軸Qは、例えば第1カバー部材31と第2カバー部材32との接触部分を通る軸である。具体的には、第2カバー部材32は、作動前位置と停止位置との間において中心軸Qを中心に揺動可能である。
図2および
図3は、ロール紙ホルダー10の側面図(X方向の正側からみた図)である。
図2には作動前位置にある状態の第2カバー部材32が図示され、
図3には停止位置にある状態の第2カバー部材32が図示されている。
【0019】
以下の説明では、ロール紙Pのうち挿入孔Hに券回されている部分を「ロール紙巻」と表記し、ロール紙Pのうちロール紙巻から引き出された部分を「引き出し部分」Bと表記する。
図2には、引き出し部分Bが図示されている。
図2に例示される通り、ロール紙Pのうち券回されていない部分が引き出し部分であるとも換言できる。利用者は、使用の際には引き出し部分を掴んでロール紙Pを引き出す。なお、利用者が使用していない状況下では、引き出し部分はロール紙巻から下方に垂れ下がる。なお、引き出し部分Bを切断する要素が切断部500であり、ロール紙巻を保持するための要素が保持軸部200であるとも換言できる。
【0020】
図2に例示される通り、作動前位置は、保持軸部200に最も近い位置である。例えば、作動前位置は、第1カバー部材31から鉛直方向の下方(すなわちY方向の負側)に向かって第2カバー部材32が垂下する位置である。
【0021】
なお、第1実施形態では、ロール紙Pを保持軸部200に設置した状態において、第2カバー部材32とロール紙Pとが接触しない構成を例示したが、第2カバー部材32とロール紙Pとが接触する構成も当然に想定される。ロール紙Pを持軸部200に設置した状態において、第2カバー部材32とロール紙Pとが接触するか否かは、第2カバー部材32の形状および取付位置、または、ロール紙Pの大きさ等の要因により任意に変更し得る。
【0022】
他方、停止位置は、
図3に例示される通り、作動前位置よりもロール紙Pから離れる方向にある位置である。具体的には、停止位置は、保持軸部200から最も遠い位置である。停止位置は、作動前位置から角度θ以内の範囲で中心軸Qを中心に第2カバー部材32を揺動させた位置であるとも換言できる。角度θは例えば90度である。好適には角度θは30度以上45度以下である。また、作動前位置よりも引き出し側にある位置が停止位置であるとも換言できる。
【0023】
利用者は、例えば、第2カバー部材32が
図2の作動前位置にある場合に、ロール紙Pの引き出し部分BをZ方向の負側(すなわち利用者側)に引き出す。ロール紙Pを引き出すと、当該ロール紙Pが切断部500の端部に接触する。第2カバー部材32の切断部500に接触した状態でさらにロール紙Pを引き出すと、当該ロール紙Pの移動に応じて第2カバー部材32が中心軸Qを中心に揺動する。そして、第2カバー部材32は、
図3の停止位置まで揺動する。停止位置まで揺動すると、第2カバー部材32は停止位置からさらにロール紙Pから離れる方向には移動しない。したがって、停止位置にある第2カバー部材32の切断部500にロール紙Pを押し付けることで当該ロール紙Pが切断可能になる。すなわち、第2カバー部材32が停止位置にある状態において、引き出し部分Bが切断部500により切断される。具体的には、切断部500の先端に接触する位置で引き出し部分Bが切断される。そして、引き出し部分Bが切断されると、
図4に例示される通り、第2カバー部材32は停止位置から作動前位置まで戻る。
【0024】
図3には、ロール紙巻と引き出し部分Bとの接点位置Kが図示されている。接点位置Kは、ロール紙巻と引き出し部分Bとの境界が接点位置Kである。また、
図3には、距離L1と距離L2とが図示されている。距離L1は、引き出し部分Bが切断部500により切断される際に、当該引き出された部分Bのうち切断部500の先端との接触位置から接点位置Kまでの直線距離(最短距離)である。なお、第1実施形態において、切断部500の先端(切断部500のうち中心軸Qから最も遠い部分)は突出部51の先端である。距離L2は、第2カバー部材32の軸支位置から切断部500の先端までの直線距離(最短距離)である。なお、第2カバー部材32の軸支位置は典型的には中心軸Qである。
【0025】
図3に例示される通り、引き出し部分Bが切断される際に、距離L2が距離L1よりも短くなるように設定される。例えば、第2カバー部材32の長さや保持軸部を設置する位置等を適宜に変更することで、距離L2が距離L1よりも短くなるように設定する。なお、ロール紙巻の径の大きさに関わらず、距離L2が距離L1よりも短い。
【0026】
ここで、距離L2が距離L1よりも長い構成(以下「比較例」という)では、切断後に引き出し部分Bがロール紙巻に向かって戻ると、引き出し部分Bの先端(切り口)Cが、利用者側からみたときに第2カバー部材32に重なる。したがって、利用者が引き出し部分Bを掴みにくく、ロール紙Pを引き出しにくいという問題がある。その結果、利用者は、手探りで引き出し部分Bの先端Cを見つける必要や、第2カバー部材32を持ちあげて引き出し部分Bの先端Cを探すことが必要になり、手間である。
【0027】
それに対して、第1実施形態の構成によれば、距離L2が距離L1よりも短から、
図4に例示される通り、切断後に引き出し部分Bがロール紙巻に向かって戻ると、引き出し部分Bの先端Cが、第2カバー部材32の先端(切断部500の先端)よりも十分に下方に位置する。すなわち、引き出し部分Bが第2カバー部材32に重ならない。したがって、比較例と比較して、利用差が引き出し部分B(ロール紙P)の先端Cを容易に見つけることができ、簡便な動作により引き出し部分B(ロール紙P)を切断することができる。
【0028】
具体的には、利用者は、手探りで引き出し部分Bの先端Cを見つけることや、第2カバー部材32を持ちあげて引き出し部分Bの先端Cを探すことが不要になる。すなわち、片手で引き出し部分Bの切断が可能になる。したがって、幼児および高齢者、または、身体障碍者等の利用者にとっても簡便にロール紙Pを利用することができる。
【0029】
なお、角度θが大きいほど、切断後に引き出し部分Bが十分に長くなる。したがって、ロール紙Pを引き出しやすくする観点からは角度θを十分に大きくする構成が好適である。ただし、角度θが大きすぎると、利用者がロール紙Pを切断する際に切断しにくくなるという事情がある。以上の事情を考慮して、第1実施形態では、30度以上45度以下に設定した。角度θを35度以上40度以下に設定することで、ロール紙Pの切断を容易にしつつ(例えば利用者が第2カバー部材32を手で押さえることなく)、ロール紙Pを引き出しやすくすることが可能である。ただし、角度θは以上の例示に限定されない。
【0030】
また、宿泊施設または商業施設等の施設においてトイレットペーパー(ロール紙Pの一例)を使用する場合、トイレットペーパーを取り出しやすくするために施設の管理者が引き出し部分Bを三角に折ることがある。しかし、トイレットペーパーを利用者以外が触ることは不衛生である。それに対して、引き出し部分Bが見つけやすい第1実施形態の構成によれば、衛生面の観点からも好適である。また、第1実施形態の構成によれば、カバー部300によりロール紙Pが十分に被覆されるから、ホコリや手洗等の際の飛沫によりロール紙Pが汚染することを防止できる。
【0031】
また、第1実施形態の構成において、軸部22の表面に弾性部材(例えばゴム)を設けることで、ロール紙Pの内周面と軸部22との間における摩擦力を大きくする構成も採用される。以上の構成によれば、保持軸部200に安定してロール紙Pを保持することが可能になる。
【0032】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用または機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0033】
図5は、第2実施形態に係るロール紙ホルダー10の斜視図である。第2実施形態に係るロール紙ホルダー10は、第1実施形態に係るロール紙ホルダー10に保護部700を追加した構成である。なお、第2実施形態においても、引き出し部分Bの切断の際に距離L2が距離L1よりも短くなるように設定される。
【0034】
図5に例示される通り、保護部700は、切断部500を保護するための長尺状の部材である。第2カバー部材32のうち保持軸部200とは反対側(Z方向の負側)の表面において切断部500に対応する位置に保護部700が設置される。すなわち、第2カバー部材32のうち利用者側の表面に保護部700が設置される。切断部500に対応するようにX方向に沿って保護部700が形成される。具体的には、保護部700は、第2カバー部材32のうち第1カバー部材31とは反対側の端部に設置される。第2実施形態では、保護部700における第1カバー部材31とは反対側の端部(Y方向の負側の端部)は直線状である。保護部700におけるX方向に沿った周縁が直線状であるとも換言できる。
【0035】
以下の説明では、第1カバー部材31の短手方向をW方向と表記する。保護部700は、W方向に沿って直線状に移動可能である。
図5に例示される通り、例えば、保護部700に形成されたW方向に沿う貫通孔Uに挿入させた固着具Dを第2カバー部材32に固着させることで、保護部700がW方向に沿って移動可能に第2カバー部材32に設置される。
【0036】
具体的には、保護部700は、第1位置と第2位置との間で移動する。
図6は、第1位置にある状態の保護部700の正面図であり、
図7は、第2位置にある状態の保護部700の正面図である。
図6および
図7は、Z方向の負側(利用者側)から保護部70をみた図である。
図6に例示される通り、第1位置は、W方向において最も第1カバー部材31から遠い位置である。保護部700が第1位置にある場合には、第2カバー部材32に対して保持軸部200とは反対側(すなわちZ方向の負側)からみて、当該保護部700が切断部500に重なる。すなわち、保護部700が第1位置にある状態では、切断部500が当該保護部700により被覆される。
【0037】
他方、第2位置は、
図7に例示される通り、W方向において最も第1カバー部材31(中心軸Q)に近い位置である。保護部700が第2位置にある場合には、前記第2カバー部材32に対して保持軸部200とは反対側からみて、当該保護部700が切断部500に重ならない。すなわち、保護部700が第2位置にある状態では、当該保護部700が切断部500から露出する。以上の説明から理解される通り、保護部700が第1位置にある場合には、保護部700と第1カバー部材31との最短距離が最小になり、保護部700が第2位置にある場合には、保護部700と第1カバー部材31との最短距離が最大になる。
【0038】
図8および
図9は、ロール紙ホルダー10の側面図(X方向の正側からみた図)である。
図8は、ロール紙Pが引き出されていない状態におけるロール紙ホルダー10の側面図であり、
図9は、ロール紙Pが引き出された状態におけるロール紙ホルダー10の側面図である。
【0039】
図8に例示される通り、ロール紙Pが引き出されていない状態では、第2カバー部材32が作動前位置にあるとともに、保護部700が第1位置にある。すなわち、
図6に例示される通り、切断部500が保護部700により被覆されている。ロール紙Pが引き出されると、第2カバー部材32が作動前位置から停止位置に向かって揺動し、かつ、保護部700が引き出されたロール紙に押圧されて第1位置から第2位置に向かって移動する。そして、
図9に例示される通り、第2カバー部材32が停止位置に到達すると、保護部700が第2位置に到達する。すなわち、
図7に例示される通り、切断部500が露出する。したがって、切断部500により切断が可能になる。ロール紙Pの切断後は、第2カバー部材32が作動前位置に戻るととともに、保護部200も第1位置に戻る。なお、保護部700が第2位置にある場合に切断部500の全体が露出することは必須ではない。少なくとも切断部500の端部が露出すれば、ロール紙Pの切断が可能になる。
【0040】
以上の説明から理解される通り、第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。第2実施形態では、保護部700が第1位置にある場合には、Z方向の負側(利用者側)からみて当該保護部700が切断部500に重なり、保護部700が第2位置にある場合には、Z方向の負側からみて切断部500が当該保護部700に重ならない。すなわち、保護部700が第1位置にある場合には切断部500が当該保護部700により保護され、保護部700が第2位置にある場合には切断部500が保護部700から露出する。第2実施形態では特に、ロール紙Pが引き出されると、第2カバー部材32が作動前位置から停止位置に向かって移動し、かつ、保護部700が第1位置から第2位置に向かって移動するから、ロール紙Pを切断しない場合には保護部700により切断部500が被覆され、ロール紙Pを切断する際には切断部500を保護部700から露出させることができる。したがって、ロール紙Pを切断しない状況下において利用者が不用意に切断部500に接触することを防止できる。
【0041】
<第3実施形態>
第2実施形態では、保護部700におけるY方向の負側の端部は直線状である構成を例示したが、保護部700におけるY方向の負側の端部の形状は以上の例示に限定されない。第3実施形態では、第2実施形態とは異なる形状の保護部700を例示する。
【0042】
図10は、第3実施形態に係る第2カバー部材32の正面図である。第3実施形態の保護部700は、複数の凸部71を含む。凸部71は、保護部700のうち第1カバー部材31とは反対側(Y方向の負側)の端部において、第1カバー部材31とは反対側に突出する。複数の凸部71は所定の間隔で形成される。保護部700におけるY方向の負側の周縁が、Z方向からみて凹凸形状である、とも換言できる。例えば、切断部500の突出部51が形成される間隔よりも十分に大きい間隔で凸部71が形成される。第3実施形態において、凸部71の幅(X方向における長さ)は先端に近づくにつれて狭くなる。また、各凸部71の先端の形状は、例えば、Z方向からみて弧状である。ただし、凸部71の形状は以上の例示に限定されない。
【0043】
第3実施形態においても第2実施形態と同様の効果が実現される。第3実施形態では、保護部700が、第1カバー部材31とは反対側の端部において凸部71を所定の間隔で含む。したがって、保護部700における第1カバー部材31とは反対側の端部が直線形状である構成と比較して、ロール紙Pを引き出す際に当該ロール紙Pからの押圧が保護部700に加わりやすい。すなわち、保護部700を第2位置に移動させやすい(切断部500を露出させやすい)という利点がある。
【0044】
<第4実施形態>
図11は、第4実施形態に係るロール紙ホルダー10の背面図(Z方向の正側からみた図)である。第4実施系形態のロール紙ホルダー10は、第2実施形態に係るロール紙ホルダー10に緩衝部800を追加した構成である。
【0045】
緩衝部800は、ロール紙Pを引き出す際に、当該ロール紙Pの引き出し部分Bが接触する部材である。第2カバー部材32のうち保持軸部200側(Z方向の正側)の表面において切断部500に対応する位置に緩衝部800が設置される。すなわち、第2カバー部材32のうち利用者とは反対側の表面に緩衝部800が設置される。切断部500に対応するようにX方向に沿って長尺状に緩衝部800が形成される。なお、緩衝部800は第2カバー部材32に固着される。
【0046】
図11に例示される通り、緩衝部800は、複数の突起部81を含む。突起部81は、緩衝部800のうち第1カバー部材31とは反対側(Y方向の負側)の端部において、第1カバー部材31とは反対側に突出する。複数の突起部81は所定の間隔で形成される。緩衝部800におけるY方向の負側の周縁が、Z方向からみて凹凸形状である、とも換言できる。例えば、切断部500の突出部51が形成される間隔よりも十分に大きい間隔で突起部81が形成される。第4実施形態において突起部81の幅(X方向における長さ)は先端に近づくにつれて狭くなる。また、各突起部81の先端の形状は、例えば、Z方向からみて弧状である。ただし、突起部81の形状は以上の例示に限定されない。
【0047】
図11に例示される通り、Z方向からみて、突起部81の先端が切断部500の突出部51の端部に重ならないように設置される。例えば、相互に隣り合う2つの突出部51の間に突起部81の先端が位置する。なお、突出部51の端部は突起部81の先端よりもY方向の負側に位置する。
【0048】
図12は、ロール紙Pを引き出す際の第2カバー部材32の側面図(X方向の正側からみた図)である。
図10に例示される通り、ロール紙Pを引き出す際に、ロール紙Pのうち引き出した部分が緩衝部800(特に突起部81の先端)に接触する。したがって、ロール紙Pと緩衝部800との間に発生する摩擦力により、ロール紙PがX方向にずれることを防止することができる。すなわち、利用者がロール紙Pを引き出しやすくなるという利点がある。
【0049】
なお、緩衝部800の形状は以上の例示に限定されない。例えば、保持軸部200側に突出する突起部81を含む緩衝部800をロール紙ホルダー10が具備する構成も採用される。以上の構成においても、ロール紙Pを引き出す際に、引き出し部分Bが突起部81の先端に接触する。
【0050】
<第5実施形態>
図13は、第5実施形態に係るロール紙ホルダー10の斜視図である。
図14および
図15は、ロール紙ホルダー10の側面図である。
図14は、第2カバー部材32が作動前位置にある状態の側面図であり、
図15は、第2カバー部材32が停止位置にある状態の側面図である。
【0051】
図13から
図15に例示される通り、第5実施形態のロール紙ホルダー10は、第2実施形態のロール紙ホルダー10に安定機構900を追加した構成である。安定機構900は、ロール紙Pの引き出し部分Bを利用者が掴みやすくするための機構である。
図13および
図14に例示される通り、安定機構900は、第1部材91と第2部材92と第3部材93(接触部の例示)とを具備する。
【0052】
第2カバー部材32をX方向の負側および正側において挟むように2個の第1部材91が設置面Fに設置される。第2カバー部材32が揺動可能なように第1部材91が設置面Fに設置される。すなわち、第1部材91は第2カバー部材の周縁には接触しない。第1部材91におけるY方向の長さは、第2カバー部材32におけるY方向の長さよりも十分に長い。なお、
図14および
図15では、X方向の正側に位置する第1部材91の図示は省略した。
【0053】
第2部材92は、第1部材91の各々に設置される。ただし、2個の第1部材91の何れか一方のみに第2部材92を設けてもよい。第1部材91のうち第2カバー部材32側の表面に第2部材92が設置される。具体的には、第2部材92は、第1部材91の表面から第2カバー部材32側に突出する部材である。
図14および
図15から理解される通り、X方向からみて、保持軸部200と第2カバー部材32との間に第2部材92が位置する。
【0054】
図14に例示される通り、第2カバー部材32が作動前位置にある状態では、当該第2カバー部材32が第2部材92に接触している状態にある。すなわち、第2部材92は、ロール紙Pが引き出されていない状態では第2カバー部材32に接触し、当該第2カバー部材32を支持する。具体的には、第2部材92は、保持軸部32から離れる方向に傾斜するように第2カバー部材32を保持する。すなわち、作動前位置は第2カバー部材32が鉛直方向の下方に向かって垂下する位置に限定されない。一方で、
図15に例示される通り、第2カバー部材32が停止位置にある状態(すなわちロール紙Pが引き出されている状態)では、当該第2カバー部材32と第2部材92とは接触しない。
【0055】
図13に例示される通り、第3部材93は、X方向(すなわちロール紙Pの幅方向)に沿った棒状の部材であり、2個の第1部材91間にわたり設置される。例えば、第3部材93は、第2カバー部材32が作動前位置にある状態で、当該第2カバー部材32の下方に位置する。例えば、ステンレスで第3部材93が形成される。Z方向からみて切断部500よりも下方に第3部材93が設置される。ロール紙Pが切断された後、ロール紙Pの引き出し部分Bは第3部材93に接触する。具体的には、切断部500と第3部材93との間において当該第3部材93に接触する状態で引き出し部分Bが保持される。したがって、引き出し部分Bは、ロール紙巻に向かって戻らず、利用者に近い位置に安定的に保持される。
【0056】
以上の説明から理解される通り、安定機構900を具備する第5実施形態の構成によれば、ロール紙Pの引き出し部分Bを安定して保持することが可能である。具体的には、ロール紙Pの切断後に引き出し部分Bがロール紙巻に向かって戻ることを防ぎ、利用者に近い位置で引き出し部分Bを保持することが可能になる。
【0057】
安定機構900を具備しない構成では、特に、ロール紙Pが十分に使用されて小さくなった状態では、ロール紙Pの切断後に引き出し部分Bがロール紙巻に向かって戻ると、引き出し部分Bが利用者から遠くなる。したがって、次の利用者が引き出し部分Bをつかみにくくなるという問題がある。
【0058】
それに対して、第5実施形態の構成によれば、ロール紙Pが小さい状態でも利用者に近い位置で引き出し部分Bを安定的に保持することが可能になる。以上の説明から理解される通り、第5実施形態の構成では、ロール紙Pの大きさに関わらず、安定的に引き出し部分Bを保持することが可能になる。
【0059】
また、第5実施形態の構成では、2個の第1部材91が切断部500を挟んで相互に反対側に位置し、第3部材93が切断部500の下方(Y方向の負側)に位置するから、利用者が切断部500に接触することを防ぐ保護部材としても機能する。なお、第5実施形態の構成は、第1実施形態から第4実施形態の何れにも適用し得る。
【0060】
<第6実施形態>
第6実施形態では、第1実施形態の構成に安定機構900を搭載した構成である。
図16は、第6実施形態に係るロール紙ホルダー10の斜視図である。
図17は、第6実施形態に係るロール紙ホルダー10の側面図(X方向の正側からみた図)である。
【0061】
第6実施形態では、安定機構900から第1部材91および第2部材92が省略される。安定機構900の第3部材93は、基体部400に設置される。
図17には、作動前位置にある第2カバー部材32が破線で図示されている。第6実施形態においても第1実施形態と同様に、第2カバー部材32は作動前位置と停止位置との間で揺動可能である。ロール紙Pが設置されていない状態では、第2カバー部材32は作動前位置にある。
【0062】
なお、
図17に例示される通り、第6実施形態の第2カバー部材は曲面を含む。第6実施形態においても、引き出し部分Bの切断の際に距離L2が距離L1よりも短くなるように設定される。なお、第1実施形態で上述した通り、ロール紙巻の径の大きさに関わらず、距離L2が距離L1よりも短い。
【0063】
図17には、径が十分に大きいロール紙Pr(実線)と、径が小さいロール紙Ps(破線)とが図示されている。径が十分に大きいロール紙Prを保持軸部200に設置すると、ロール紙Prの外周面が第2カバー部材32に接触した状態(第2カバー部材32が作動前位置と停止位置との間にいる状態)で当該ロール紙Prが保持される。そして、停止位置まで第2カバー部材32を揺動させた状態でロール紙Prが切断される。ロール紙Prが切断されると、第3部材93に接触する位置に引き出し部分Bが移動する。すなわち、ロール紙Prの引き出し部分Bが第3部材93に接触した状態で保持される。
【0064】
一方で、径が小さいロール紙Psを保持軸部200に設置しても、第2カバー部材32は作動前位置にある状態において当該ロール紙Psには接触しない。ロール紙Psを切断する場合も、停止位置まで第2カバー部材32を揺動させた状態で当該ロール紙Psが切断される。ロール紙Psが切断されると、第3部材93に接触する位置に引き出し部分Bが移動する。すなわち、ロール紙Psの引き出し部分Bが第3部材93に接触した状態で保持される。
【0065】
以上の説明から理解される通り、ロール紙Pの径の大きさに関わらず、ロール紙Pの引き出し部分Bは第3部材93に接触した状態で保持される。
【0066】
ここで、安定機構900(第3部材93)を具備しない構成では、ロール紙Pの径が十分に小さい状態では、ロール紙Pの切断後に引き出し部分Bがロール紙巻に向かって戻る。しがって、引き出し部分Bが利用者から遠い位置で保持される。それに対して、第6実施形態の構成によれば、ロール紙Pの径の大きさに関わらず、引き出し部分Bが常に第3部材93に接触する状態で保持される。したがって、利用者がロール紙Pを引き出しやすくなるという効果がより顕著である。
【0067】
<第7実施形態>
図18は、第7実施形態に係るロール紙ホルダー10の斜視図である。第7実施形態では、保持軸部200の軸部22の表面に弾性部材Jを設置する。例えば、管状の弾性部材J(ゴム管)の内周に軸部22を挿入する。ただし、軸部22の表面に弾性部材Jを設置することが可能であれば、当該弾性部材Jを設置する方法は任意である。
図18では、2個の軸部22のうち一方の表面にのみ弾性部材Jを設置する構成を例示したが、双方の表面に弾性部材Jを設置してもよい。
【0068】
第7実施形態の構成によれば、ロール紙Pを保持軸部200に安定して保持することが可能になる。なお、第6実施形態の構成は、第1実施形態から第5実施形態の何れにも適用し得る。
【0069】
本願のロール紙ホルダー10は、多様な形状を採用し得る。第8実施形態から第12実施形態では、相異なる形状のロール紙ホルダー10について説明する。なお、以下の各形態においても、前述の各形態と同様に、引き出し部分Bが切断される際に、距離L2が距離L1よりも短くなるように設定される。
【0070】
<第8実施形態>
図19および
図20は、第8実施形態に係るロール紙ホルダー10の正面図である。
図19は第2カバー部材32が作動前位置にある状態の正面図であり、
図20は、第2カバー部材32が停止位置にある状態の正面図である。第8実施形態のロール紙ホルダー10は、第1実施形態とは保持軸部200の形状が相違する。
【0071】
第8実施形態では、設置面FにおけるX方向の負側と正側とのそれぞれに基体部400が設置される。すなわちロール紙Pの幅方向において当該ロール紙Pを挟むように2個の基体部400が位置する。
【0072】
第8実施形態の保持軸部200は、2つの突出部25を具備する。各突出部25は、各基体部400に設置される。ロール紙Pの挿入孔Hの両端に対応する位置において各突出部25が設置される。相互に対向するように各突出部25が設置される。具体的には、各突出部25は、基体部400から突出する。なお、突出部25は、下方から押圧されると先端が基体部400の表面に近づくように可動する。ロール紙Pをロール紙ホルダー10に設置する際には、ロール紙ホルダー10の下方から突出部25を押圧するようにロール紙Pを上方に移動させることで、挿入孔Hの両端が各突出部25に挿入される。
【0073】
以上の説明から理解される通り、保持軸部200の形状は任意である。なお、第8実施形態の作用や効果については第1実施形態と同様である。なお、第8実施形態の構成は、ロール紙Pの両側が基体部400により覆われるから、衛生面の観点からは好適である。具体的には、ほこり、ウィルス、または、手洗い後の飛沫汚染の危険性が低減される。
【0074】
特に、諸外国においては、バスルームやシャワールームにおいてトイレが併設される場合がある。そうすると、ロール紙Pが水にぬれることや汚染されることがある。第8実施形態の構成によれば、バスルームやシャワールームにおいてトイレが併設される環境下でも、ロール紙Pが水にぬれることや汚染されることを防ぐことができる。
【0075】
<第9実施形態>
図21は、第9実施形態に係るロール紙ホルダー10の正面図である。第9実施形態のロール紙ホルダー10は、第8実施形態とはカバー部300の形状が相違する。第9実施形態のカバー部300(カバー部材の例示)は、ロール紙Pの上方から引き出し側にかけて当該ロール紙Pを覆う一つの部材である。
【0076】
図21に例示される通り、カバー部300は、第1部分30Aと第2部分30Bとに区分される。第1部分30Aは、ロール紙Pの上方を覆う部分である。第2部分30Bは、ロール紙Pの引き出し側(Z軸の負側)を覆う部分である。
【0077】
第1部分30Aの端部は、ロール紙ホルダー10の背面側において中心軸Qを中心として揺動可能に軸支される。したがって、第9実施形態では、カバー部300全体が作動前位置と停止位置との間で中心軸Qを中心に揺動可能になる。なお、
図21にはカバー部300が停止位置にある状態が図示されている。第2部分30Bの下方端部には、前述の各形態と同様の切断部500が設けられる。以上の説明から理解される通り、カバー部材300の形状は任意である。
【0078】
<第10実施形態>
図22には、第10実施形態に係るロール紙ホルダー10の構成図である。第10実施形態の安定機構900は、
図16で例示した第6実施形態の安定機構900とは形状が相違する。例えば、
図18に例示した保持軸部200と同様の構成で、第3部材93を構成してもよい。
【0079】
<第11実施形態>
図23−
図25は、第11実施形態に係るロール紙ホルダー10の構成図である。
図23は、ロール紙Pを設置する前のロール紙ホルダー10の構成図である。
図24は第2カバー部材32が作動前位置にある状態のロール紙ホルダー10の構成図であり、
図25は第2カバー部材32が停止位置にある状態のロール紙ホルダー10の構成図である。
【0080】
第11実施形態に係るロール紙ホルダー10は、保持軸部200に替えて、トレーTを具備する。
図23-
図25に例示される通り、トレーTはロール紙Pを保持するための機構である。具体的には、トレーTは、ロール紙Pが載置可能な部材である。例えばロール紙P(ロール紙巻)の表面に沿うように円弧状に形成される。例えば、基体部400や固定部材600にトレーTが設置される。
【0081】
以上の説明から理解される通り、ロール紙Pを保持するための機構は保持軸部200に限定されない。例えば、第11実施形態に係るトレーTを、ロール紙Pを保持するための機構として採用してもよい。トレーTによりロール紙Pの下部が被覆されるから、衛生面の観点からは、トレーTを採用する構成が好適である。具体的には、ほこり、ウィルス、または、手洗い後の飛沫汚染の危険性が低減される。また、第11実施形態の構成によれば、第8実施形態と同様に、バスルームやシャワールームにおいてトイレが併設される環境下でも、ロール紙Pが水にぬれることや汚染されることを防ぐことができる。
【0082】
<第12実施形態>
図26−
図28は、第11実施形態に係るロール紙ホルダー10の構成図である。
図26は、ロール紙Pを設置する前のロール紙ホルダー10の構成図である。
図27は第2カバー部材32が作動前位置にある状態のロール紙ホルダー10の構成図であり、
図28は第2カバー部材32が停止位置にある状態のロール紙ホルダー10の構成図である。
【0083】
図26および
図27に例示される通り、第12実施形態のカバー部300は、ロール紙Pを設置する際に開閉する。
図26はカバー部300が開いている状態であり、
図27はカバー部300が閉じている状態である。第1カバー部材31の端部が中心軸Vを中心に回動することで、カバー部300の開閉が可能である。例えば、第1カバー部材31には、当該第1カバー部材31を基体部400に取り外し可能に接続する接続部33が設置される。なお、第1カバー部材31を基体部400とは取り外し可能であれば接続の態様は任意である。なお、第12実施形態で例示するように、トレーTと基体部400と固定部材600とを一体に形成してもよい。
【0084】
図27および
図28に例示される通り、第1カバー部材32を接続部33により基体部400に固定した後は、第2カバー部材32は、前述の各形態と同様に、中心軸Qを中心として揺動可能になる。第12実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。第12実施形態によれば、ロール紙ホルダー10によりロール紙Pの全体を被覆することが可能になるから、衛生面の観点から特に好適である。
【0085】
以上に説明した各形態は適宜に組み合わせて使用可能である。
<切断部>
一般的に、刃物の切れ味を良くするには、鋸のように刃を鋭く尖らせる、または、カミソリのように薄く研ぎ上げるという、ことが効果的である。しかし、切れ味を良くすると、安全性が確保できないという問題が発生する。以上の事情を考慮して、切れ味の良さと安全性との両立を確保する観点から、切断部51の突出部51の形状は長方形にし、かつ、突出部51が形成される間隔(ピッチ)は2mm以上4mm以下に設定する構成が好適である。以下、突出部51の形状を長方形にした理由と、突出部51の間隔を2mm以上4mm以下に設定した理由を詳述する。
【0086】
図29は、突出部51の形状を説明する模式図である。
図29に例示される通り、突出部51は、直線状の平坦部511と、角度をなす角部522とを含む。平坦部511は、利用者が触れやすい部分ある。一方で、角部522は、ロール紙Pが切断される部分である。以上の通り、指に触れる部分は平坦にし、ロール紙Pを切断する部分は鋭くすることで、安全性を確保しつつ、ロール紙Pを切断することが可能になる。
【0087】
図30-
図32は、突出部51の間隔Sを説明する模式図である。
図30は、突出部51の間隔Sを4mmより大きく設定した場合の模式図である。
図31は、突出部51の間隔を2mmよりも小さく設定した場合の模式図である。
図32は、突出部51の間隔Sを2mm以上4mm以下に設定した場合の模式図である。
【0088】
図30に例示される通り、突出部51の間隔Sを4mmより大きくすると、角部522が指に当たりやすく、紙の切り口が雑になるという傾向がある。また、
図31に例示される通り、突出部51の間隔Sを2mmより小さくすると、指への当たりは良好だが、刃当りが損なわれ、紙が滑って切れにくくなるという傾向がある。一方で、
図32例示される通り、突出部51の間隔Sを2mm以上4mm以下にすると、指当たりも優しく、かつ、ロール紙Pの切れ味もよくなるという知見が発明者らにより得られた。
【0089】
以上の説明から理解される通り、突出部51の形状を長方形にし、かつ、突出部51の間隔Sを2mm以上4mm以下にすることで、切れ味の良さと安全性との両立を確保することが可能である。ただし、突出部51の形状は長方形には限定されない。また、突出部51の間隔Sも2mm以上4mm以下には限定されない。
【0090】
なお、切断しやすくするために、ロール紙Pには所定の間隔で切り目(ミシン目)が形成されるものがある。しかし、実際に使用する際に、利用者が切断したい位置と切り目が一致しない場合も多い。また、切り目の箇所は切れやすく、引き出し中に予期せぬ位置で切断されてしまうこともある。突出部51の形状を長方形にし、かつ、突出部51の間隔Sを2mm以上4mm以下にすることで、ロール紙を切り目以外の位置でも切れやすくすることが可能になる。
【0091】
なお、切断部500の安全性を向上させる観点からは、例えば第2実施形態で例示したような保護部700を具備する構成が好適である。