特開2021-159727(P2021-159727A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-159727(P2021-159727A)
(43)【公開日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】紙製簡便指サックとその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/10 20060101AFI20210913BHJP
【FI】
   A61F13/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-67961(P2020-67961)
(22)【出願日】2020年4月4日
(71)【出願人】
【識別番号】520121692
【氏名又は名称】ヤマデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076082
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 康文
(72)【発明者】
【氏名】中村 栄子
(57)【要約】
【課題】新型コロナウイルスの感染防止には手洗いが有効というが、丁寧に洗わないといけないので、面倒で実行できない。従って、手洗いに代わる手段として、簡便に着用して接触感染を予防できる紙製の簡便指サックを提案する。
【解決手段】人体の手指に筒状に巻き付けた形状に、用紙の少なくとも筒の端部に設けた接着手段で接合してあり、かつ手指の先端が突き当たる、ドーム屋根状を有し、その外周縁が前記筒状の内側に挿入されている。従って、ドーム屋根状部を指先で押して電子機器のボタンを押し、使用後は、何時でもそのまま捨てるので、感染予防に最適である。紙製だから、環境を悪化することはない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の手指に筒状に巻き付けた形状に、用紙の筒状に捲いた端部に設けた接合手段で接合してあり、かつ手指の先が当たる、ドーム屋根状を有し、少なくとも一部が前記筒状の内側に挿入されていることを特徴とする紙製指サック。
【請求項2】
前記の筒状形状を折り畳んであり、かつ、予め接合された前記のドーム屋根状の中心部で折り畳んであることを特徴とする請求項1記載の紙製指サック。
【請求項3】
人体の手指に筒状に巻き付ける用紙に、少なくとも筒方向の端部に接合手段が設けてあり、かつ手指の先端が突き当たるドーム屋根状を有し、少なくとも一部が前記筒状の内側に挿入されることを特徴とする紙製指サック。
【請求項4】
親指を挿入する紙製指サック又はリング又は螺旋状線材と少なくとも人指し指を挿入する紙製指サック又はリング又は螺旋状線材とが互いに連結されていることを特徴とする紙製指サックの連結構造。
【請求項5】
1又は複数の中断リングの内周に筒状に捲いた紙製の筒状体を挿入し、前記筒状体の先端がドーム屋根状に形成されたことを特徴とする紙製指サック。
【請求項6】
線材で螺旋状に形成した支持体の内周に筒状に捲いた紙製の筒状体を挿入し、前記筒状体の先端がドーム屋根状に形成されたことを特徴とする紙製指サック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触感染による伝染病の伝染を予防するための手洗いに代わる紙製の簡便指サックに関する。新型コロナウイルスの感染防止には手洗いが有効とされているが、丁寧に洗わないといけないので、面倒で実行できない。従って、手洗いに代わる手段として、簡便に着用して接触伝染を予防できる紙製の簡便指サックを提案する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルスやインフルエンザのような伝染病を予防するには、これらの伝染病患者が触れた物などに触れないで、接触感染を防止することが必要である。接触感染の防止に有効とされている手洗いは、丁寧に確実に石鹸で洗う必要が有り、面倒で頻繁に石鹸で手洗いするのは不可能に近い。しかも、この手洗いは、洗い過ぎて肌荒れを来すと、かえってウイルスが付きやすいという問題が有る。従って、新型コロナウイルスやインフルエンザの蔓延を防ぐには、手洗いに代わる手法を開発する必要がある。通常の指サックの使用も一案だが、合成樹脂製はプラスチックごみを減らす上では好ましくない。そこで本発明は、紙製の簡便な指サックを実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-217181
【発明の概要】
【0004】
特許文献1のように、スナック菓子やドーナツ或いはフライドチキンなどの揚げ物を食べる際、手が汚れずに食べられると共に安価に製造でき、且つ、員数管理が容易で、携帯用に適した使い捨て指サックを提供することを目的とし、指先用の挿入口11を有すると共に上下面が先細りになるテーパー状に形成した紙製の指サック本体1と、指サック本体1の側面に設けたマチ2と、挿入口11から突出すると共に指サック本体1の下面側に設けた舌状片3と、指サック本体1の下面の外側に取付けられた集合用帯4と、指サック本体1の内部に設けた粘着面5と、粘着面5に対向して設けると共に指サック本体1の内部に設けた剥離紙5と、から構成した発明を提案した。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、構造が複雑で、製造費が高価となる。使用後は廃棄するのだから、可能な限り安上がりにしたい。また、世界中で悲しみの原因となっている「新型コロナウイルス」が知られていないことが多い。列を作る場合も、隣人との間隔を1.8メートル以上にすることと、他人とは離れることを重視している。
従って、特許文献1の場合も、突出している部分が多く、接触感染を来す恐れが多く、ウイルスの接触感染を避けるには配慮が足りず、本来の目的を達成できない。
【0006】
電子機器のボタンなどを操作する際に直接にボタンを押さないで、指に紙製の指サックで保護しておいて紙を介して押せば、ウイルスの接触感染を防げる。
本発明は、特許文献1のような不充分な構成では接触感染を確実に防げないので、指先で操作できる使い捨て構造の手袋も有るが、合成樹脂製のため、環境上の問題が有り、好まれない。
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、環境悪化の問題が無い紙質で手指を確実にカバーして、接触感染を防止できる紙製の指サックを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、人体の手指に筒状に巻き付けた形状に、用紙の少なくとも筒の端部に設けた接着手段で接合してあり、かつ手指の先端が突き当たる、ドーム屋根状を有し、少なくとも外周縁が前記筒状の内側に挿入されていることを特徴とする紙製指サックである。
【0008】
請求項2は、前記の筒状形状が折り畳んであり、かつ、予め前記のドーム屋根状の中心部で折り畳んであることを特徴とする請求項1記載の紙製指サックである。
【0009】
請求項3は、人体の手指に筒状に巻き付ける用紙は、少なくとも筒状の端部に設けた接着手段が設けてあり、かつ手指の先端が突き当たってドーム屋根状に形成され、外周縁が前記筒状の内側に挿入されることを特徴とする紙製指サックの製造方法である。
【0010】
請求項4は、親指を挿入する前記指サックと少なくとも人指し指を挿入する前記指サックとが開口部寄りの位置で互いに連結されていることを特徴とする請求項1記載の指サックである。前記のリングや螺旋状線材を互いに連結してもよい。
【0011】
請求項5は、1又は複数の弾性リングの内周に筒状に捲いた紙製の筒状体を挿入し、前記筒状体の先端がドーム屋根状に形状されていることを特徴とする紙製指サックである。
【0012】
請求項6は、線材で螺旋状に形成した円筒状支持体の内周に筒状に捲いた紙製の筒状体を挿入し、前記筒状体の先端がドーム屋根状に形成されていることを特徴とする紙製指サックである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1のように、人体の手指に筒状に巻き付けた形状に、用紙の少なくとも筒状の端部に設けた接着手段で接合してあり、かつ手指の先端が突き当たる、多少突出したドーム屋根状のストッパー紙を有し、その外周縁が前記筒状の内側に挿入されているので、公知の指サック状に指を挿入できる。そして、多少突出したドーム屋根状のストッパー紙を指先で押して電子機器のボタンを押せる。使用後は、何時でもそのまま捨てるので、感染予防に最適で衛生的である。紙製であるから、プラスチックごみのように、環境を悪化する恐れはない。
【0014】
請求項2のように、前記の筒状形状が潰して折り畳んであり、かつ、前記のドーム屋根状の中心部で折り畳んであるので、重ねて小さくした状態で販売したり携帯でき、手軽に持参し、何時でも取り出して使用したり破棄でき、ウイルスの接触感染を効果的に予防できる。
【0015】
請求項3のように、人体の手指に筒状に巻き付ける用紙は、少なくとも筒状の端部に接着手段を設け、かつ手指の先端が突き当たって多少突出するドーム屋根状のストッパー紙を有し、少なくとも一部が前記筒状の内側に挿入される指サックを携帯していると、使用の都度、自分の指にフィットした指サックを嵌めて使用し、確実に接触感染を予防できる。
【0016】
請求項4のように、親指を挿入する前記指サックと少なくとも人指し指を挿入する前記指サックとが開口部寄りの位置で互いに連結されているので、電車の吊り革を握って掴まる場合にも、自然に掴まることができ、接触感染も予防できる。
【0017】
請求項5のように、1又は複数の弾性リングの内周に筒状に捲いた紙製の筒状体を挿入し、前記筒状体の先端がドーム屋根状に形成されているので、廃棄や感染予防に適した紙を介してボタン操作できる。
【0018】
請求項6のように、線材で螺旋状に形成した円筒状支持体の内周に筒状に捲いた紙製の筒状体を挿入し、前記筒状体の先端がドーム屋根状に形成されているので、螺旋状体の中に指を挿入してあっても、変形自在なため、電車の吊り輪を握ったりしても違和感がなく、しかも吊り輪にウイルスなどが付着していても、紙製の筒状体を介して握っており、また指先はドーム屋根状でカバーされているので、感染の恐れは無く、使用後は直ちに破棄できるので、環境破壊の恐れはない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による紙製指サックの請求項1に対応する実施形態の斜視図である。
図2】本発明による紙製指サックを各自で自分の指専用に製作する方法を示す平面図である。
図3図2の紙製指サック用の用紙を重ねて収納した状態の斜視図である。
図4】本発明による紙製指サックを各自で自分の指専用に製作する方法を示す平面図である。
図5】螺旋状線材で支持された柔軟変形する紙製指サックを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明による紙製簡便指サックが実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図1は本発明による紙製簡便指サックの完成状態の斜視図で、請求項1の説明と対応している。1は円筒状であるが、人体の手指に捲いた形状である。この円筒状を持続できるように、一端に設けた糊(接着剤)2で接合してある。また、この円筒状部1の下端は指を挿入したり抜いたりする開口3が開いている。上端には、放射状(正確には円周方向)の蛇腹でドーム屋根状4が形成されている。製作の際にティシュペーパなどの用紙を掌に置いて指先で押してドーム屋根状4を形成してから、ドーム屋根状4の外周縁を円筒状部1の内側に強引に押し込んである。
【0021】
このように、製作に際して、ドーム屋根状4の外周縁を円筒状部1の内側に押し込んでから、糊付け部2を加圧して円筒状1を固定すると完成である。このドーム屋根状4は、円筒状部1の内側から強引に押し出さない限り、外れる恐れはない。従って、ドーム屋根状4の外周縁は必ずしも接着する必要はない。
【0022】
この円筒状部1中に指を挿入して、指先でドーム屋根状4をエレベータなどの押しボタンに押し付けると、人体の指は押しボタンと無接触で押せる。従って、円筒状部1やドーム屋根状4で仕切られ、指とエレベータなどの押しボタンとが接触することはあり得ない。そのため、接触感染は起きない。しかし、指の太い人の場合は、指が円筒状部1中に入らないので、使用もできないが、逆に指が円筒状部1より細い場合は、輪ゴムなどで円筒状部1を締めつければ、使用は可能となる。また、円筒状1は嵩張るので、携帯には適しない。
【0023】
これらの問題点を解消し、図2のように自分の指専用を作製できるようにした。すなわち、使用の都度、自分の指に用紙5を捲いてから端縁を接着できる構成にした。用紙5は、四角形の捲き紙であり、右端に縦方向の接着領域6を予め設けてある。上側の分離用の切り込み7を介してドーム用紙8を設けてある。分離用の切り込み7は、部分的に連結部9を残してあって、四角形の捲き紙5とドーム用紙8が部分的に連結されている。
【0024】
この構成であれば、自分専用の紙製簡便指サックを各自で容易に自作できる。先ず、自分の所望の指に四角形の捲き紙5を捲いてから接着領域6を押し付けて接合し、円筒1を形成する。次に、掌にドーム用紙8を置き、中央Cを指先で押し込んで放射方向(正確には円周方向)の蛇腹状のドーム屋根状4を形成する。外周縁は前記円筒状1からはみ出すが、この外周縁を円筒部1の中に強引に押し込む。最後に、前記のドーム屋根状の中央Cを掌の上で指先で押し付け、ドーム屋根状4を仕上げると、図1の形状になる。
【0025】
しかし図1の形状は円筒状であり、嵩張るので、ポケットに収納すると、型崩れする。そこで請求項2のように、前記の円筒形状1を平に潰して折り畳んで二重とし、かつ、予め形成されたドーム屋根状4の中心部で二つ折りにして折り畳む。その際、前記と同じ方向に折り畳めば、全体で二重となり、ポケットに収納しても、嵩張ることはない。
図1の円筒状1や図2の捲き紙5に装飾用の絵図や記号などを印刷しておき、手が顔に触れるとウイルスや菌が付着するので注意を喚起でき、伝染病を予防する上で好都合である。なお、接合領域6は、接合できる手段であれば、接着剤を用いない圧着なども利用できる。
【0026】
図2の構成を、そのまま、図3のような四角容器10に収納すれば、更に小形になり、携帯が容易になる。
円筒形状1やドーム屋根状4、捲き紙5、用紙8を構成する紙の材質は、プラスチックごみとなって環境を悪化するものでなければよい。従って、例えばキッチンペーパや不織布は、合成樹脂製でないから紙と同様に使い棄てできる。
なお、円筒形状1やドーム屋根状4、捲き紙5、用紙8は、複数枚を重ねたものも許容される。すなわち、ティシュペーパのような軟質の紙を複数枚重ねた構成も可能である。
【0027】
図4は他の実施例を示す斜視図である。少なくとも1個の指輪11を用いるが、この実施例の指輪11はエンドレスの輪ではなく、途中1か所で斜めの隙間12で中断して、弾性を付与している。そして、この指輪11の内周に、例えばティシュペーパなどを丸めた円筒13を挿入してある。この紙筒の一端をストッパー紙とし、例えば掌に載せて指先で中央を押すと、図1のようなドーム屋根状4が形成される。この紙製円筒13中に指を差し込んで、ボタン等を押すのに使用し、使用後は紙製円筒13を抜いて廃棄する。
【0028】
なお、キーホルダーなどとして使用されているような、線材を2周巻いて二重にした開閉式のばね性リングを使用し、着脱が自在な構造を、隙間12で中断したリング11の代用にできる。
【0029】
図5は他の実施例を示す斜視図である。針金などの線材を例えば指に螺旋状に捲いた螺旋状線材14を柔軟支持体として用いる。そして、この螺旋状線材14の内周に、例えばティシュペーパなどを指に捲いて形成した円筒紙15を挿入してある。この紙筒紙15の一端のストッパー紙16を例えば掌に載せて指先を突当てると、図1のようなドーム屋根状4が形成される。この螺旋状線材14は、始端から終端まで繋がっているので、図4のように、複数の独立したリングを用いる場合と違って、円筒紙15を抜いても、バラバラに分散する不便は生じない。また螺旋状線材14は柔軟性やバネ性が有るため、指の動きに追従して自由に変形するので、電車の吊り革を握る場合にも便利である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、紙製の簡便指サックであるため、使用後は安易に破棄してもプラスチックごみのように環境を悪化することはない。紙製は伸縮性が無いため、指が太過ぎる場合は、自分専用の指サックも容易に製作可能で、好都合である。図4図5のように、支持手段として、中断リングや二重リングや螺旋状の線材を用い、ティシュペーパのような軟質の紙を指に円筒状に捲いて挿入すると、紙製の簡便指サックの製造も容易である。また、紙製の指サックは、市販のゴム製の指サックと違って特異なため、顔に触れるのは抵抗を感じ、阻止できる。
【符号の説明】
【0031】
1 円筒状部
2 接着手段
3 開口
4 ドーム屋根状部
5 用紙
6 接合領域
7 分離切り込み
8 ドーム用紙
9 連結部
C 中央
10 四角容器
11 リング
12 隙間
13 円筒
14 螺旋状線材
15 円筒紙
16 ドーム屋根状
図1
図2
図3
図4
図5