【解決手段】工作機械にワークWをセットするためのワーク取付け具10は、柔軟性を有した密封袋に収容され、常温では固化し、前記密封袋の耐熱最大温度より低い融点を有する固定材料でなるワーク把持袋15と、ワーク把持袋15を介してワークWの少なくとも一部を把持する把持部材14と、を備える。
【背景技術】
【0002】
工作機械によって加工されるワークは、複雑な形状を有し得る。このようなワークを把持するための様々な方法が提案されている(例えば、特許文献1−4)。特許文献1は、ブレードを保持するための治具を開示している。この治具は、蝶番により連結された2つの半円状の筒を備えている。ブレードは、筒の間に収容される。筒とブレードとの間に設けられた空間には、溶融された樹脂材が充填される。温度低下によって固化した樹脂材によって、ブレードが保持される。
【0003】
特許文献2,3は、タービンブレードを固定するための樹脂製の締付けブロックを開示している。この締付けブロックは、金型の内部にタービンブレードを固定し、金型に溶融された樹脂を充填することによって、タービンブレードと一体に成形される。
【0004】
特許文献4は、ワークを把持するための装置を開示している。この装置は、ワークに直接的に接触する当接部を備えている。当接部は、袋状の形状を有し、内部に粒状物を含む。真空ポンプによって袋の内部を減圧すると、粒状物が互いに堅固に押し固められ、これによって、当接部は、ワークの外面形状を倣いながらワークを把持することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3のように樹脂によってワークが把持される場合、加工後にワークから樹脂を取り除くために、ワークを洗浄する必要がある。したがって、ワークの加工後に追加の工程が必要となる。また、特許文献4のように粒状物によってワークが保持される場合、加工前に真空ポンプによって袋の内部を減圧する必要がある。したがって、ワークの加工前に追加の工程が必要となる。
【0007】
本発明は、上記の課題を考慮しつつ、効率よくワークを加工することができるワーク取付け具を提供することを目的とする。本発明はまた、関連するワーク把持袋及び加工システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、工作機械にワークをセットするためのワーク取付け具において、柔軟性を有した密封袋に収容され、常温では固化し、密封袋の耐熱最大温度より低い融点を有する固定材料でなるワーク把持袋と、ワーク把持袋を介してワークの少なくとも一部を把持する把持部材と、を備えるワーク取付け具である。
【0009】
また、本開示の他の態様は、工作機械にワークをセットするために、ワークと把持部材との間に配置されるワーク把持袋において、ワークと接触し、柔軟性を有する密封袋と、密封袋に収容され、常温では固化し、密封袋の耐熱最大温度より低い融点を有する固定材料と、を備える、ワーク把持袋である。
【0010】
上記のワーク取付け具及びワーク把持袋では、融点以上の温度においてワークの形状に倣う固定材料が、柔軟性を有した密封袋によって収容される。したがって、ワーク把持袋をワークと共に、ワーク把持袋の耐熱最大温度より低い固定材料の融点以上の温度に加熱し、続いてワーク把持袋を融点より低い温度に冷却することによって、ワークの形状に倣ってワークを保持することができる。ひとたびワーク把持袋が固定材料の融点より低い温度に冷却されると、真空ポンプのような追加の装置は必要とされない。したがって、加工前に予めワークをワーク取付け具に取り付けておくことができる。また、固定材料は直接的にはワークに接触しないため、加工後にワークを洗浄する必要はない。したがって、効率よくワークを加工することができる。
【0011】
密封袋は、各々が固定材料を収容する複数の分割された区画を含んでもよい。この場合、溶融した固定材料が各区画に保持されるため、例えば、重力によって固定材料が特定のスポットに集まることを防止することができる。また、使用する固定材料を低減することができる。
【0012】
把持部材は、ワークを挟んで互いに対向する第1の把持部材及び第2の把持部材を有してもよく、ワーク把持袋は、ワークと、第1の把持部材又は第2の把持部材の少なくとも一方と、の間に配置されてもよい。この場合、例えば、第1の把持部材及び第2の把持部材によってワークを挟む前に、予めワーク把持袋を、第1の把持部材又は第2の把持部材の少なくとも一方に配置することができる。したがって、ワーク把持袋をワークと把持部材との間に容易に配置することができる。
【0013】
把持部材は、固定材料を押圧するように、ワーク把持袋の周りに流体を供給するための流路を有してもよい。この場合、固定材料を容易にワークの形状に倣わせることができる。したがって、例えば、複雑な形状を有するワークを把持することができる。
【0014】
本開示の更に他の態様は、ワークを把持したワーク取付け具を工作機械に搬送してワークを加工する加工ためのシステムにおいて、少なくとも1台の工作機械と、柔軟性を有した密封袋に収容され、常温では固化し、密封袋の耐熱最大温度より低い融点を有する固定材料でなるワーク把持袋と、ワーク把持袋を介してワークの少なくとも一部を把持する把持部材と、を備えるワーク取付け具と、ワーク取付け具に対してワークを取り付けるための外段取り治具を有するワークセットアップステーションと、ワーク取付け具を工作機械とワークセットアップステーションとの間で搬送する搬送装置と、を備える、加工システムである。
【0015】
上記のシステムによれば、ワークセットアップステーションにおいて外段取り治具によってワークが取り付けられたワーク取付け具が、搬送装置によって工作機械に運ばれる。したがって、前のワークが工作機械によって加工されている間に、ワークセットアップステーションにおいて予め次のワークをワーク取付け具に取り付けることができる。よって、効率よく複数のワークを加工することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一態様によれば、効率よくワークを加工することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係るワーク取付け具、ワーク把持袋及び加工システムを説明する。同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。理解を容易にするために、図の縮尺は変更されている場合がある。ある図面を参照して使用される「上」及び「下」等の方向に関する用語は、その図面における方向を示しており、ある構成要素に関する特定の方向を必ずしも意味しない可能性がある。
【0019】
図1は、実施形態に係る加工システムを示す概略図である。加工システム100は、工作機械90と、ワーク取付け具10と、ワークセットアップステーション80と、搬送装置RBと、パレットストッカPSと、を備えている。本実施形態では、加工システム100は、複数台の工作機械90及び複数台のワークセットアップステーション80を備えている。しかしながら、他の実施形態では、加工システム100は、1台の工作機械90を備えてもよく、1台のワークセットアップステーション80を備えてもよい。加工システム100では、ワークセットアップステーション80において、ワーク取付け具10にワーク(
図1において不図示)が取り付けられる(詳しくは後述)。ワークが取り付けられたワーク取付け具10は、搬送装置RBによって工作機械90又はパレットストッカPSに運ばれる。工作機械90によって加工されたワークは、ワーク取付け具10と共に搬送装置RBによってパレットストッカPS又はワークセットアップステーション80に運ばれる。パレットストッカPSに運ばれたワーク取付け具10は、次に工作機械90又はワークセットアップステーション80に運ばれるまで保管される。また、ワークセットアップステーション80では、ワーク取付け具10からワークが取り外されてもよい。
【0020】
図2は、実施形態に係るワーク取付け具を把持する工作機械を示す斜視図であり、
図3は、
図2の工作機械を示す側面図である。
図2,3を参照して、例えば、工作機械90は、横形マシニングセンタであることができる。工作機械90は、他のタイプの工作機械であってもよい。工作機械90のテーブル92は、ワークWが取り付けられたワーク取付け具10を保持している。
図3を参照して、テーブル92は、後述する把持部材14の凹部11aと係合する突起93を有している。凹部11aを突起93と係合させることによって、テーブル92に対してワーク取付け具10(さらには、ワークW)を所定の位置に取り付けることができる。工作機械90の主軸91には、工具Tが取り付けられている。回転する工具TとワークWとを相対的に移動させることによって、ワークWが加工される。ワークWは、例えば、タービンブレード又は複雑な形状を有する他のワークであることができる。ワークWは、これらに限定されない。
【0021】
図1を参照して、パレットストッカPSは、複数のストックエリアSAを有している。各ストックエリアSAは、様々な物品を保管してもよい(例えば、ワークWが取り付けられたワーク取付け具10、ワークWが取り付けられていないワーク取付け具10、ワークW単品、又は、工具T等)。各ストックエリアSAには、搬送装置RBによって物品が運ばれる。
【0022】
搬送装置RBは、工作機械90、ワークセットアップステーション80及びパレットストッカPSの間を所定の経路Rに沿って移動する。例えば、搬送装置RBは、無人搬送車(AGV)であることができる。搬送装置RBは、他のタイプの搬送装置であってもよい。例えば、搬送装置RBは、物品をつかむように構成されたロボットアームRAを有していてもよい。
【0023】
続いて、ワーク取付け具10、及び、ワークWをワーク取付け具10に取り付けるためのワークセットアップステーション80について説明する。
【0024】
図4は、実施形態に係るワーク取付け具及び外段取り治具を示す概略図である。ワークセットアップステーション80は、外段取り治具20と、槽30と、を有している。ワークセットアップステーション80では、外段取り治具20を用いて、ワークWがワーク取付け具10に取り付けられる。ワーク取付け具10は、ワーク把持袋15と、把持部材14と、有している。
【0025】
図5は、実施形態に係るワーク把持袋を示す概略的な平面図である。ワーク把持袋15は、固定材料17と、密封袋16と、を含む。
【0026】
例えば、固定材料17は、40〜100度Cの融点を有し、融点以上の温度においてワークWの形状に倣うように融解する。別の観点からは、固定材料17は、工作機械90での加工中に溶融しないような融点を有する。例えば、固定材料17は、工作機械90で使用されるクーラントの温度よりも高い融点を有することができる。クーラントは例えば、20度Cに保持されるよう温度コントロールするのが望ましい。クーラントを用いないドライ加工では、加工熱により昇温するワークの温度よりも高い融点を有することができる。固定材料17は、融点より低い温度においては、ワークWを固定するように固化する。もちろん工作機械を通常稼働させる常温(例えば5〜35度C)では固化する。例えば、融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて所定の昇温速度で測定することができる。例えば、融点は、溶融開始点(又は、ピーク点)であることができる。例えば、固定材料17は、低融点金属(又は、低融点合金)であることができる。例えば、低融点金属は、ビスマス又はスズの少なくとも1つを含んでもよい。例えば、低融点金属は、日本の株式会社大阪アサヒメタル工場から商業的に入手可能なUアロイ70Gであってもよい。
【0027】
密封袋16は、固定材料17を収容している。密封袋16は、柔軟性を有しており、かつ、上記のような固定材料17の融点以上の耐熱性を有している。例えば、密封袋16の耐熱最高温度は150度Cである。密封袋16はまた、後述する把持部材14による締付けに耐えられる強度を有している。例えば、密封袋16は、フッ素樹脂(例えば、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)又はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン))、又は、これらのフッ素樹脂の押出フィルムを多方向に積層することにより形成されたフィルムによって作成されることができる。密封袋16は、他の材料によって作成されてもよい。例えば、密封袋16は、日本の株式会社HTテックから商業的に入手可能なLFP2103によって作成されてもよい。
【0028】
例えば、密封袋16は、平坦な多角形状(例えば、四角形状)、又は、円形状若しくは楕円形状を有することができる。密封袋16の形状は、これらに限定されず、把持されるワークWの形状に応じて変更可能である。密封袋16は、複数の区画16aと、後述するボルトB1を通すための複数の孔16bと、密封部16cと、を含んでいる。各区画16aは、空洞を有しており、その内部に固定材料17を収容している。複数の区画16aは、密封部16cによって所定の間隔で分割されており、これによって、各区画16a内の固定材料17は、他の区画16aに移動できない。孔16bは、例えば、密封部16cの外周部付近に形成されることができる。密封部16cは、区画16aを囲んでおり、区画16aの内部の固定材料17が漏れないように、区画16aを閉じている。
【0029】
図4を参照して、把持部材14は、ワーク把持袋15を介して、ワークWの少なくとも一部を把持するように構成されている。具体的には、把持部材14は、ワークWの加工部を把持することなく、非加工部を把持する。本実施形態では、把持部材14は、ワークWを挟んで互いに対向する下把持部材(第1の把持部材)11及び上把持部材(第2の把持部材)12を有している。例えば、下把持部材11又は上把持部材12は、蝶番等によって開閉可能に連結されることができる。ワークWと対向する下把持部材11の面(上面)には、ボルトB1によってワーク把持袋15が取り付けられている。また、ワークWと対向する上把持部材12の面(下面)にも、ボルトB1によってワーク把持袋15が取り付けられている。他の実施形態では、ワーク把持袋15は、下把持部材11又は上把持部材12のいずれか一方のみに取り付けられていてもよい。下把持部材11又は上把持部材12は、それらの間にワーク把持袋15、ワークW及びワーク把持袋15を挟んだ状態で、ボルトB2によって互いに締め付けられるように構成されている。下把持部材11及び上把持部材12の各々は、固定材料17よりも硬く、かつ、ボルトB2による締付けに耐えられる材料(例えば、ステンレス等の金属)によって形成されることができる。
【0030】
ワークWと対向しない下把持部材11の面(下面)には、外段取り治具20のベース21の突起23と係合する凹部11aが設けられている。凹部11aを突起23と係合させることによって、ワーク取付け具10を外段取り治具20に対して位置決めすることができる。他の実施形態では、下把持部材11に突起が設けられ、ベース21に凹部が設けられてもよい。ワーク取付け具10を外段取り治具20に対して位置決めするための機構は、これらに限られない。
【0031】
上把持部材12は、固定材料17を押圧するようにワーク把持袋15の周りに(より具体的には、上把持部材12とワーク把持袋15との間に)、流体Lを供給するための流路Cを有している。流体Lは、例えば、液体(例えば、油又は水)又は気体(例えば、空気)であることができ、ピストン又はポンプ等の圧送装置によって流体源から送られる(不図示)。
【0032】
外段取り治具20は、例えば、ベース21と、複数(例えば、6個)のロケータ22と、を有することができる。ベース21は、上記の下把持部材11の凹部11aと係合するための突起23を有している。ロケータ22は、ベース21に対して固定されている。複数のロケータ22は、ベース21に対してワークWを所定の位置に配置(位置決め)するように構成されている。例えば、ワークWに対して複数の所定の基準点(例えば、X方向の平面を決めるための3点、Y方向の回転を防止するための2点、及び、Z方向の移動を防止するための1点の計6点)が予め決められていてもよく、各ロケータ22によって対応する基準点でワークWを押さえることにより、ベース21に対してワークWを所定の位置に配置することができる。
【0033】
槽30は、固定材料17を加熱するための加熱手段として機能する。具体的には、外段取り治具20は槽30の内部に配置されており、槽30は熱湯HWを貯留することができる。熱湯HWは、固定材料17の融点以上の温度に加熱される。
【0034】
次に、ワークWをワーク取付け具10に取り付けるための動作について説明する。
【0035】
図6は、ワークをワーク取付け具に取り付けるための動作を示すフローチャートである。
図6に示される動作は、ロボットアームRAによって実施されてもよいし、又は、オペレータによって手動で実施されてもよい。
【0036】
まず、下把持部材11及び上把持部材12の各々にワーク把持袋15を取り付ける(ステップS100)。具体的には、
図4,5を参照して、ワーク把持袋15の孔16bにボルトB1を通して、ボルトB1を下把持部材11及び上把持部材12に締め付ける。その後はワーク把持袋15を取り付けたままにし、2回目以降はステップS100を省略できる。
図6を参照して、続いて、外段取り治具20にワーク取付け具10を配置する(ステップS102)。具体的には、
図4を参照して、凹部11aに対して突起23を挿入しながら、下把持部材11をベース21上に置く。上把持部材12は、開いたままである。
【0037】
図6を参照して、続いて、外段取り治具20及びワーク取付け具10を熱湯HWに浸す(ステップS104)。具体的には、
図4を参照して、固定材料17の融点以上に加熱された熱湯HWを槽30に注ぐ。
図6を参照して、続いて、ワークWを槽30に入れ、外段取り治具20によってワークWを基準点で固定する(ステップS106)。具体的には、
図4を参照して、各ロケータ22によって対応する基準点でワークWを位置決めする。続いて、上把持部材12を閉じる(ステップS108)。
【0038】
続いて、ワーク把持袋15を圧縮する(ステップS110)。具体的には、ボルトB2によって下把持部材11及び上把持部材12を互いに締め付ける。また、圧縮が不十分である場合には、流路Cから流体Lを供給して、流体Lによってワーク把持袋15をさらに圧縮してもよい。これによって、固定材料17がワークWに直接接触することなしに、ワークWの形状に倣う。
【0039】
図6を参照して、続いて、ワーク取付け具10を外段取り治具20から取り外し(ステップS112)、一連の動作は終了する。具体的には、
図4を参照して、槽30から熱湯HWを取り除き、これによって、固定材料17が融点よりも低い温度まで冷却される。固化した固定材料17は、ロケータ22によって配置された位置において、ワークWを固定する。各ロケータ22をワークWから取り外して、ワークWが取り付けられたワーク取付け具10を槽30から取り外す。ワーク取付け具10は、搬送装置RBによってワークセットアップステーション80から工作機械90又はパレットストッカPSまで運ばれてもよい。ワーク取付け具10を工作機械90にセットするときには、上記のように、把持部材14の凹部11aをテーブル92の突起93と係合させることによって、テーブル92に対してワーク取付け具10(さらには、ワークW)を所定の位置に取り付けることができる。
【0040】
以上のような実施形態に係るワーク取付け具10及びワーク把持袋15では、融点以上の温度においてワークWの形状に倣う固定材料17が、柔軟性を有した密封袋16によって収容されている。したがって、ワーク把持袋15をワークWと共に固定材料17の融点以上の温度に加熱し、続いてワーク把持袋15を融点より低い温度に冷却することによって、ワークWの形状に倣ってワークを把持することができる。ひとたびワーク把持袋15が固定材料17の融点より低い温度に冷却されると、真空ポンプのような追加の装置は必要とされない。したがって、加工前に予めワークWをワーク取付け具10に取り付けておくことができる。また、固定材料17は直接的にはワークWに接触しないため、ワークWを洗浄する必要はない。したがって、効率よくワークを加工することができる。また、固定材料17がワークWの形状に倣った状態で固化するため、ワークWに圧痕及び歪が生じにくい。また、固定材料17がワークWの形状に倣った状態で固化するため、ワークの素材又は形状の精度の変動を吸収することができる。
【0041】
また、上記の実施形態では、密封袋16は、各々が固定材料17を収容する複数の分割された区画16aを含んでいる。したがって、溶融した固定材料17が各区画16aに保持されるため、例えば、重力によって固定材料17が特定のスポットに集まることを防止することができる。よって、固定材料17を素早くワークWの形状に倣わせることができる。また、使用する固定材料17を低減することができる。
【0042】
また、上記の実施形態では、把持部材14は、ワークWを挟んで互いに対向する下把持部材11及び上把持部材12を有しており、ワーク把持袋15は、ワークWと下把持部材11との間、及び、ワークWと上把持部材12との間に配置されている。したがって、下把持部材11及び上把持部材12によってワークWを挟む前に、予めワーク把持袋15を下把持部材11及び上把持部材12に取り付けることができる。したがって、ワーク把持袋15をワークWと把持部材14との間に容易に配置することができる。
【0043】
また、上記の実施形態では、把持部材14は、固定材料17を押圧するように、ワーク把持袋15の周りに流体Lを供給するための流路Cを有している。したがって、固定材料17を容易にワークWの形状に倣わせることができる。したがって、例えば、複雑な形状を有するワークWを把持することができる。尚、流路Cは、下把持部材11に形成されていてもよい。
【0044】
また、上記の実施形態の加工システム100によれば、ワークセットアップステーション80において、外段取り治具20によってワークWが取り付けられたワーク取付け具10が、搬送装置RBによって工作機械90に運ばれる。したがって、例えば、前のワークWが工作機械90によって加工されている間に、外段取り治具20において予め次のワークWをワーク取付け具10に取り付けることができる。よって、効率よく複数のワークWを加工することができる。ワークWの両端部が工具Tによって研削加工される。
【0045】
ワーク取付け具、ワーク把持袋及び加工システムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。当業者であれば、上記の実施形態の様々な変形が可能であることを理解するだろう。
【0046】
例えば、上記の実施形態では、固定材料17を加熱するための加熱手段として槽30が使用されている。しかしながら、他の実施形態では、ヒータ等の加熱手段が使用されてもよい。例えば、ヒータは、把持部材14に埋め込まれてもよい。また、さらに他の実施形態では、把持部材14に加熱流体を流すための流路が設けられてもよい。更に、冷却流体を通して、即座に固化してもよい。