特開2021-160682(P2021-160682A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横浜ゴム株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2021160682-タイヤ 図000003
  • 特開2021160682-タイヤ 図000004
  • 特開2021160682-タイヤ 図000005
  • 特開2021160682-タイヤ 図000006
  • 特開2021160682-タイヤ 図000007
  • 特開2021160682-タイヤ 図000008
  • 特開2021160682-タイヤ 図000009
  • 特開2021160682-タイヤ 図000010
  • 特開2021160682-タイヤ 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-160682(P2021-160682A)
(43)【公開日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/03 20060101AFI20210913BHJP
   B60C 11/12 20060101ALI20210913BHJP
【FI】
   B60C11/03 100B
   B60C11/12 B
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2020-67539(P2020-67539)
(22)【出願日】2020年4月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石津 賢人
(72)【発明者】
【氏名】小石川 佳史
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB01
3D131BB03
3D131BC18
3D131EB11V
3D131EB11X
3D131EB46V
3D131EB81V
3D131EB86V
3D131EB87V
3D131EC01V
3D131EC01X
3D131EC11V
3D131EC11X
(57)【要約】
【課題】氷雪性能を向上させることのできるタイヤを提供すること。
【解決手段】タイヤ幅方向における最外側に位置する周方向溝11を最外周方向溝12とし、最外周方向溝12のタイヤ幅方向内側に位置する陸部20をセンター陸部21とし、最外周方向溝12のタイヤ幅方向内側に位置するラグ溝15をセンターラグ溝16とする場合に、センターラグ溝16は、少なくとも一端が周方向溝11に開口し、タイヤ周方向に隣り合う一対のセンターラグ溝16のそれぞれのセンターラグ溝16のタイヤ周方向における両側には、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とのそれぞれが配置され、幅方向サイプ31は、センターラグ溝16が開口する周方向溝11に一端が開口し、他端がセンター陸部21内で終端し、周方向サイプ32は、一端がセンターラグ溝16に開口し、他端が幅方向サイプ31の近傍で終端する、或いは幅方向サイプ31に連通する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延びる複数の周方向溝と、
前記周方向溝により区画される複数の陸部と、
タイヤ幅方向に延びる複数のラグ溝と、
を備え、
複数の前記周方向溝のうち、タイヤ幅方向における最外側に位置する前記周方向溝を最外周方向溝とし、
複数の前記陸部のうち、前記最外周方向溝のタイヤ幅方向内側に位置する前記陸部をセンター陸部とし、
複数の前記ラグ溝のうち、前記最外周方向溝のタイヤ幅方向内側に位置する前記ラグ溝をセンターラグ溝とする場合に、
前記センターラグ溝は、少なくとも一端が前記周方向溝に開口し、
タイヤ周方向に隣り合う一対の前記センターラグ溝のそれぞれの前記センターラグ溝のタイヤ周方向における両側には、タイヤ幅方向に延びる幅方向サイプとタイヤ周方向に延びる周方向サイプとのそれぞれが配置され、
前記幅方向サイプは、前記センターラグ溝が開口する前記周方向溝に一端が開口し、他端が前記センター陸部内で終端し、
前記周方向サイプは、一端が前記センターラグ溝に開口し、他端が前記幅方向サイプの近傍で終端する、或いは前記幅方向サイプに連通することを特徴とするタイヤ。
【請求項2】
前記幅方向サイプのタイヤ幅方向における長さLwと、前記センター陸部のタイヤ幅方向における幅Wbとの関係が、0.3≦(Lw/Wb)を満たす請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記幅方向サイプは、タイヤ周方向に対する角度θwが、前記センターラグ溝のタイヤ周方向に対する角度θに対して、(θ−10°)≦θw≦(θ+10°)の範囲内である請求項1または2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記幅方向サイプは、前記周方向溝に対する開口部と、前記幅方向サイプが開口する前記周方向溝に対する前記センターラグ溝の開口部とのタイヤ周方向における距離をKとし、前記センターラグ溝のタイヤ周方向における幅をHbとする場合に、(K/Hb)≧1を満たし、且つ、K≦10mmを満たす請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記幅方向サイプは、タイヤ周方向に隣り合う一対の前記センターラグ溝のタイヤ周方向におけるピッチをPとする場合に、(K/P)≦0.3を満たす請求項4に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記周方向サイプは、近傍で端部が終端する、或いは当該周方向サイプが連通する前記幅方向サイプに対する角度θcが、55°≦θc≦135°の範囲内である請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記周方向サイプは、前記幅方向サイプが開口する前記周方向溝からのタイヤ幅方向における距離Dが、前記センター陸部のタイヤ幅方向における幅Wbに対して、0.2≦(D/Wb)≦0.8の範囲内である請求項1〜6のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記センターラグ溝は、前記周方向溝に開口する側の端部の反対側の端部が前記センター陸部内で終端する請求項1〜7のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項9】
前記幅方向サイプは、タイヤ幅方向における長さLwが、前記センターラグ溝のタイヤ幅方向における長さLに対して、0.5≦(Lw/L)≦0.9の範囲内である請求項8に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記周方向サイプは、前記幅方向サイプが開口する前記周方向溝からのタイヤ幅方向における距離Dが、前記センターラグ溝のタイヤ幅方向における長さLに対して、0.5≦(D/L)≦0.9の範囲内である請求項8または9に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記幅方向サイプは、前記幅方向サイプが配置される前記センター陸部のタイヤ幅方向外側を区画する前記周方向溝に対して開口する請求項1〜10のいずれか1項に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のタイヤの中には、雪道や凍った路面での走行性能である氷雪性能の向上等を目的として、トレッド部に形成する切り込みである、いわゆるサイプが形成されているものがある。例えば、特許文献1〜5に記載されたタイヤでは、サイプとラグ溝とを組み合わせて配置することにより、雪上での走行性能や耐偏摩耗性、ウェット性能の向上等を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4466765号公報
【特許文献2】特開2010−247711号公報
【特許文献3】特許第4149041号公報
【特許文献4】特開2016−159665号公報
【特許文献5】特許第4577455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、タイヤの氷雪性能は、ラグ溝が重要な役割を果たす。つまり、雪上路面の走行時には、タイヤの踏面と路面と間の摩擦力のみでなく、ラグ溝に入り込んだ路面上の雪に対して陸部から作用する力によるせん断力である、いわゆる雪柱せん断力も用いて、タイヤからの駆動力や制動力が路面に対して伝達される。このように、ラグ溝に入り込んだ雪は、タイヤが回転することによってラグ溝付近の踏面が路面から離れる際にラグ溝から排出され、タイヤがさらに回転してラグ溝付近の踏面が路面に接地する際に、路面上の新たな雪がラグ溝に入り込む。雪上路面の走行時におけるタイヤは、これらが繰り返されることにより、氷雪性能を発揮する。
【0005】
しかし、ラグ溝によって区画される陸部の剛性が高い場合、ラグ溝に入り込んだ雪は、ラグ溝から排出され難くなる虞がある。例えば、ライトトラック系のシビアスノー付きオールシーズンタイヤのような、高荷重で使用されるタイヤでは、陸部の剛性は比較的高めに設定されるものが多いが、陸部の剛性が高い場合、ラグ溝に雪が入り込んだ際に、ラグ溝内の雪は、剛性が高い陸部によって押し固められ易くなる。この場合、雪はラグ溝内で詰まり易くなり、ラグ溝から排出され難くなるため、タイヤは、氷雪性能を確保し難くなる虞がある。このため、比較的高い荷重で使用されるタイヤでは、氷雪性能について改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、氷雪性能を向上させることのできるタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るタイヤは、タイヤ周方向に延びる複数の周方向溝と、前記周方向溝により区画される複数の陸部と、タイヤ幅方向に延びる複数のラグ溝と、を備え、複数の前記周方向溝のうち、タイヤ幅方向における最外側に位置する前記周方向溝を最外周方向溝とし、複数の前記陸部のうち、前記最外周方向溝のタイヤ幅方向内側に位置する前記陸部をセンター陸部とし、複数の前記ラグ溝のうち、前記最外周方向溝のタイヤ幅方向内側に位置する前記ラグ溝をセンターラグ溝とする場合に、前記センターラグ溝は、少なくとも一端が前記周方向溝に開口し、タイヤ周方向に隣り合う一対の前記センターラグ溝のそれぞれの前記センターラグ溝のタイヤ周方向における両側には、タイヤ幅方向に延びる幅方向サイプとタイヤ周方向に延びる周方向サイプとのそれぞれが配置され、前記幅方向サイプは、前記センターラグ溝が開口する前記周方向溝に一端が開口し、他端が前記センター陸部内で終端し、前記周方向サイプは、一端が前記センターラグ溝に開口し、他端が前記幅方向サイプの近傍で終端する、或いは前記幅方向サイプに連通することを特徴とする。
【0008】
また、上記タイヤにおいて、前記幅方向サイプのタイヤ幅方向における長さLwと、前記センター陸部のタイヤ幅方向における幅Wbとの関係が、0.3≦(Lw/Wb)を満たすことが好ましい。
【0009】
また、上記タイヤにおいて、前記幅方向サイプは、タイヤ周方向に対する角度θwが、前記センターラグ溝のタイヤ周方向に対する角度θに対して、(θ−10°)≦θw≦(θ+10°)の範囲内であることが好ましい。
【0010】
また、上記タイヤにおいて、前記幅方向サイプは、前記周方向溝に対する開口部と、前記幅方向サイプが開口する前記周方向溝に対する前記センターラグ溝の開口部とのタイヤ周方向における距離をKとし、前記センターラグ溝のタイヤ周方向における幅をHbとする場合に、(K/Hb)≧1を満たし、且つ、K≦10mmを満たすことが好ましい。
【0011】
また、上記タイヤにおいて、前記幅方向サイプは、タイヤ周方向に隣り合う一対の前記センターラグ溝のタイヤ周方向におけるピッチをPとする場合に、(K/P)≦0.3を満たすことが好ましい。
【0012】
また、上記タイヤにおいて、前記周方向サイプは、近傍で端部が終端する、或いは当該周方向サイプが連通する前記幅方向サイプに対する角度θcが、55°≦θc≦135°の範囲内であることが好ましい。
【0013】
また、上記タイヤにおいて、前記周方向サイプは、前記幅方向サイプが開口する前記周方向溝からのタイヤ幅方向における距離Dが、前記センター陸部のタイヤ幅方向における幅Wbに対して、0.2≦(D/Wb)≦0.8の範囲内であることが好ましい。
【0014】
また、上記タイヤにおいて、前記センターラグ溝は、前記周方向溝に開口する側の端部の反対側の端部が前記センター陸部内で終端することが好ましい。
【0015】
また、上記タイヤにおいて、前記幅方向サイプは、タイヤ幅方向における長さLwが、前記センターラグ溝のタイヤ幅方向における長さLに対して、0.5≦(Lw/L)≦0.9の範囲内であることが好ましい。
【0016】
また、上記タイヤにおいて、前記周方向サイプは、前記幅方向サイプが開口する前記周方向溝からのタイヤ幅方向における距離Dが、前記センターラグ溝のタイヤ幅方向における長さLに対して、0.5≦(D/L)≦0.9の範囲内であることが好ましい。
【0017】
また、上記タイヤにおいて、前記幅方向サイプは、前記幅方向サイプが配置される前記センター陸部のタイヤ幅方向外側を区画する前記周方向溝に対して開口することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るタイヤは、氷雪性能を向上させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部の踏面を示す平面図である。
図2図2は、図1のA部詳細図である。
図3図3は、図2のB部詳細図であり、幅方向サイプについての説明図である。
図4図4は、図2のB部詳細図であり、周方向サイプについての説明図である。
図5図5は、実施形態に係る空気入りタイヤの変形例であり、センターラグ溝の両端が周方向溝に開口する場合の説明図である。
図6図6は、実施形態に係る空気入りタイヤの変形例であり、周方向サイプの端部が幅方向サイプの端部から離間する場合の説明図である。
図7図7は、実施形態に係る空気入りタイヤの変形例であり、幅方向サイプとセンターラグ溝との間に周方向サイプが複数本配置される場合の説明図である。
図8A図8Aは、空気入りタイヤの性能評価試験の結果を示す図表である。
図8B図8Bは、空気入りタイヤの性能評価試験の結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係るタイヤの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0021】
[実施形態]
以下の説明では、本発明に係るタイヤの一例として、空気入りタイヤ1を用いて説明する。タイヤの一例である空気入りタイヤ1は、空気、窒素等の不活性ガス及びその他の気体を充填することができる。
【0022】
また、以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸であるタイヤ回転軸(図示省略)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向においてタイヤ回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向においてタイヤ回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、タイヤ回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面であり、タイヤ赤道面CLは、空気入りタイヤ1のタイヤ幅方向における中心位置であるタイヤ幅方向中心線と、タイヤ幅方向における位置が一致する。タイヤ幅は、タイヤ幅方向において最も外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。また、以下の説明では、タイヤ子午断面とは、タイヤ回転軸を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。
【0023】
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤ1のトレッド部2の踏面3を示す平面図である。図1に示す空気入りタイヤ1は、タイヤ径方向の最も外側となる部分にトレッド部2が配設されており、トレッド部2の表面、即ち、当該空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)の走行時に路面と接触する部分は、踏面3として形成されている。踏面3には、タイヤ赤道面CLを中心とするタイヤ幅方向における両側のそれぞれに複数の溝が形成されており、複数の溝によって複数の陸部20が区画されている。溝は、タイヤ周方向に延びる複数の周方向溝11と、タイヤ幅方向に延びる複数のラグ溝15とを有しており、複数の溝により区画される陸部20は、これらの複数の周方向溝11やラグ溝15により区画されている。
【0024】
本実施形態では、周方向溝11は3本がタイヤ幅方向に並んで配置されており、3本の周方向溝11は、1本がタイヤ赤道面CL上に配置され、残りの2本は、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側にそれぞれ1本ずつ配置されている。これらの複数の周方向溝11のうち、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側のそれぞれで、タイヤ幅方向における最外側に位置する周方向溝11は、最外周方向溝12として設けられている。これらのように配置される周方向溝11は、溝幅が8.0mm以上20.0mm以下の範囲内になっており、溝深さが7.0mm以上15.0mm以下の範囲内になっている。
【0025】
また、複数の陸部20のうち、最外周方向溝12のタイヤ幅方向内側に位置する陸部20は、センター陸部21になっており、最外周方向溝12のタイヤ幅方向外側に位置する陸部20は、ショルダー陸部22になっている。本実施形態では、タイヤ赤道面CLのタイヤ幅方向における両側に位置する2本の最外周方向溝12の間には、周方向溝11が1本配置されているため、最外周方向溝12のタイヤ幅方向内側に位置するセンター陸部21は、タイヤ赤道面CL上に位置する周方向溝11のタイヤ幅方向における両側に2列が配置されている。つまり、最外周方向溝12のタイヤ幅方向内側に位置する2列のセンター陸部21は、いずれもタイヤ周方向における内側が、タイヤ赤道面CL上に配置される周方向溝11によって区画され、タイヤ周方向における外側は、最外周方向溝12によって区画されている。また、2本の最外周方向溝12のそれぞれのタイヤ幅方向外側に配置される2列のショルダー陸部22は、いずれもタイヤ幅方向における内側が、最外周方向溝12によって区画されている。
【0026】
ラグ溝15は、溝幅が5.0mm以上15.0mm以下の範囲内になっており、溝深さが7.0mm以上15.0mm以下の範囲内になっている。ラグ溝15は、最外周方向溝12のタイヤ幅方向内側とタイヤ幅方向外側とのそれぞれに配置され、複数のラグ溝15のうち、最外周方向溝12のタイヤ幅方向内側に位置するラグ溝15は、センターラグ溝16になっている。センターラグ溝16は、2列のセンター陸部21のそれぞれに複数がタイヤ周方向に並んで配置され、各センターラグ溝16は、少なくとも一端が周方向溝11に開口している。詳しくは、センター陸部21に配置されるセンターラグ溝16は、それぞれタイヤ幅方向における外側の端部が最外周方向溝12に開口し、タイヤ幅方向における内側の端部が、センター陸部21内で終端している。センターラグ溝16は、このように一端がセンター陸部21内で終端しているため、センター陸部21は、タイヤ周方向に連続して形成されている。このため、センター陸部21は、いわゆるリブ形状の陸部20として形成されている。
【0027】
また、複数のラグ溝15のうち、最外周方向溝12のタイヤ幅方向外側に位置するラグ溝15は、ショルダーラグ溝17になっている。ショルダーラグ溝17は、2列のショルダー陸部22のそれぞれに複数がタイヤ周方向に並んで配置され、各ショルダーラグ溝17は、タイヤ幅方向における内側の端部が最外周方向溝12に開口している。また、ショルダーラグ溝17は、接地端Tをタイヤ幅方向に跨いで形成されており、これにより、ショルダーラグ溝17は、接地端Tのタイヤ幅方向内側に位置する最外周方向溝12の位置から、接地端Tのタイヤ幅方向外側にかけて配置されている。また、ショルダーラグ溝17の溝底には、接地端Tよりもタイヤ幅方向内側の位置に、底上げ部18が形成されている。
【0028】
なお、ここでいう接地端Tは、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みして正規内圧を充填し、静止状態にて平板に対して垂直に置かれて正規荷重に相当する荷重を加えられたときの、踏面3における平板に接触する領域のタイヤ幅方向の両最外端をいい、タイヤ周方向に連続する。ここでいう正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、或いは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、或いはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、或いはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
【0029】
また、踏面3には、複数のサイプ30が形成されており、サイプ30は、センター陸部21とショルダー陸部22との各陸部20に配置されている。ここでいうサイプ30は、踏面3に細溝状に形成されるものであり、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みし、正規内圧の内圧条件で、無負荷時には細溝を構成する壁面同士が接触しないが、平板上で垂直方向に負荷させたときの平板上に形成される接地面の部分に細溝が位置する際、または細溝が形成される陸部20の倒れ込み時には、当該細溝を構成する壁面同士、或いは壁面に設けられる部位の少なくとも一部が、陸部20の変形によって互いに接触するものをいう。本実施形態では、サイプ30は、細溝を構成する壁面同士の間隔であるサイプ幅が、1mm未満になっており、サイプ深さが4.0mm以上12.0mm以下の範囲内になっている。
【0030】
センター陸部21には、サイプ30として、幅方向サイプ31と、周方向サイプ32と、貫通サイプ33とが配置されている。このうち、幅方向サイプ31は、タイヤ幅方向に延びるサイプ30になっており、周方向サイプ32は、タイヤ周方向に延びるサイプ30になっている。また、貫通サイプ33は、センター陸部21のタイヤ幅方向内側を区画する周方向溝11と、センター陸部21のタイヤ幅方向外側を区画する最外周方向溝12との間に亘って形成されている。
【0031】
このうち、貫通サイプ33は、タイヤ周方向に隣り合うセンターラグ溝16同士のピッチが比較的大きい部分にのみ配置されている。また、センターラグ溝16同士の間に配置される貫通サイプ33は、タイヤ周方向に隣り合うセンターラグ溝16同士のピッチの大きさによって、本数が異なっている。つまり、センターラグ溝16は、タイヤ周方向に隣り合うセンターラグ溝16同士の間隔、即ち、タイヤ周方向におけるピッチとして、タイヤ周方向における1周の中で、大きさが異なる複数の大きさのピッチを有している。このため、タイヤ周方向に隣り合うセンターラグ溝16同士は、タイヤ周方向における1周の全て同じピッチになっておらず、異なるピッチで配置される部分も含んでいる。貫通サイプ33は、このように異なるピッチで配置されるタイヤ周方向に隣り合うセンターラグ溝16同士の間の部分のうち、ピッチが比較的大きい部分に、1本または複数本が配置されている。
【0032】
また、ショルダー陸部22には、サイプ30として、交差サイプ35と終端サイプ36とが配置されている。このうち、交差サイプ35は、タイヤ周方向に隣り合うショルダーラグ溝17同士の間に、2本ずつが配置されている。タイヤ周方向に隣り合うショルダーラグ溝17同士の間に配置される2本の交差サイプ35は、いずれもタイヤ幅方向における内側端部が最外周方向溝12に対して開口し、最外周方向溝12の位置からタイヤ幅方向外側に向かって延びている。また、2本の交差サイプ35は、接地端Tのタイヤ幅方向外側の位置で、タイヤ周方向において互いに他方の交差サイプ35が位置する側に向かって屈曲し、タイヤ周方向に延びている。
【0033】
2本の交差サイプ35の屈曲位置は、タイヤ幅方向における位置が双方の交差サイプ35で異なっており、屈曲位置が、他方の交差サイプ35と比較して、よりタイヤ幅方向内側に位置する交差サイプ35は、屈曲することによってタイヤ周方向に延びている部分が、他方に交差サイプ35に対して交差している。また、他方の交差サイプ35は、もう一方の交差サイプ35が交差する位置よりもタイヤ幅方向外側で屈曲し、タイヤ周方向に延びている。2本の交差サイプ35における、接地端Tのタイヤ幅方向外側で屈曲することによりタイヤ周方向に延びる部分は、いずれもショルダーラグ溝17における接地端Tのタイヤ幅方向外側に位置する部分に開口している。
【0034】
また、ショルダー陸部22に配置される終端サイプ36は、タイヤ幅方向に延びて形成され、タイヤ幅方向における内側端部が最外周方向溝12に対して開口している。また、終端サイプ36は、タイヤ幅方向に延在することにより、接地端Tをタイヤ幅方向に跨いで形成され、最外周方向溝12に開口する側の端部の反対側の端部は、ショルダー陸部22内で終端している。
【0035】
また、終端サイプ36は、センター陸部21に配置される貫通サイプ33と同様に、タイヤ周方向に隣り合うショルダーラグ溝17同士のピッチが比較的大きい部分にのみ配置されており、隣り合うショルダーラグ溝17同士のピッチの大きさによって、配置される本数が異なっている。つまり、ショルダーラグ溝17は、センターラグ溝16と同様に、タイヤ周方向に隣り合うショルダーラグ溝17は、大きさが異なる複数の大きさのピッチで配置されている。終端サイプ36は、このように異なるピッチで配置されるタイヤ周方向に隣り合うショルダーラグ溝17同士の間の部分のうち、ピッチが比較的大きい部分に、1本または複数本が配置されている。
【0036】
図2は、図1のA部詳細図である。センター陸部21に配置される幅方向サイプ31と周方向サイプ32とは、タイヤ周方向に隣り合う一対のセンターラグ溝16の、それぞれのセンターラグ溝16のタイヤ周方向における両側に、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とのそれぞれが配置されている。換言すると、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とは、複数がタイヤ周方向に並んで配置されるセンターラグ溝16のうち、少なくとも一部のタイヤ周方向に隣り合う一対のセンターラグ溝16の、それぞれのセンターラグ溝16のタイヤ周方向における両側に、それぞれのサイプ30が配置されている。
【0037】
つまり、タイヤ周方向に隣り合う一対のセンターラグ溝16のうちの一方のセンターラグ溝16の近傍には、センターラグ溝16のタイヤ周方向における両側に、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とのそれぞれが配置されている。同様に、タイヤ周方向に隣り合う一対のセンターラグ溝16のうちの他方のセンターラグ溝16の近傍には、センターラグ溝16のタイヤ周方向における両側に、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とのそれぞれが配置されている。本実施形態では、タイヤ周方向に並んで配置されるセンターラグ溝16のうちの、全てのセンターラグ溝16のタイヤ周方向における両側に、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とのそれぞれが配置されている。これらの幅方向サイプ31と周方向サイプ32とは、サイプ深さがセンターラグ溝16の溝深さに対して、50%以上80%以下の範囲内になっている。
【0038】
図3は、図2のB部詳細図であり、幅方向サイプ31についての説明図である。センターラグ溝16のタイヤ周方向における両側にそれぞれ配置される幅方向サイプ31と周方向サイプ32とのうち、幅方向サイプ31は、センターラグ溝16の近傍で、センターラグ溝16から所定の間隔で離間して、タイヤ幅方向に延びて形成されている。タイヤ幅方向に延びる幅方向サイプ31は、センターラグ溝16が開口する周方向溝11に一端が開口し、他端がセンター陸部21内で終端している。
【0039】
本実施形態では、センターラグ溝16は、最外周方向溝12に開口しているため、幅方向サイプ31も、一端が最外周方向溝12に開口している。換言すると、幅方向サイプ31は、幅方向サイプ31が配置されるセンター陸部21のタイヤ幅方向外側を区画する周方向溝11に対して開口している。タイヤ幅方向に延びる幅方向サイプ31は、センターラグ溝16と同様に、タイヤ幅方向における外側の端部が最外周方向溝12に開口しており、タイヤ幅方向における内側の端部は、センター陸部21内で終端している。
【0040】
このように形成される幅方向サイプ31は、センターラグ溝16と略平行に形成されている。つまり、幅方向サイプ31は、タイヤ周方向に対する傾斜角θwが、センターラグ溝16のタイヤ周方向に対する傾斜角θとほぼ同じ大きさになっている。具体的には、幅方向サイプ31は、タイヤ周方向に対する角度θwが、センターラグ溝16のタイヤ周方向に対する角度θに対して、(θ−10°)≦θw≦(θ+10°)の範囲内になっている。なお、幅方向サイプ31のタイヤ周方向に対する角度θwは、センターラグ溝16のタイヤ周方向両側に配置される幅方向サイプ31同士で異なっていてもよい。
【0041】
この場合における幅方向サイプ31のタイヤ周方向に対する角度θwは、幅方向サイプ31の溝幅方向の中心線31cの、タイヤ周方向に対する角度θwを用いるのが好ましい。また、センターラグ溝16のタイヤ周方向に対する角度θは、センターラグ溝16の溝幅方向の中心線16cの、タイヤ周方向に対する角度θを用いるのが好ましい。また、本実施形態では、最外周方向溝12がタイヤ周方向に沿って延びているため、図3では、幅方向サイプ31のタイヤ周方向に対する角度θwと、センターラグ溝16のタイヤ周方向に対する角度θは、最外周方向溝12のエッジとの相対角度で図示しているが、幅方向サイプ31のタイヤ周方向に対する角度θwと、センターラグ溝16のタイヤ周方向に対する角度θは、最外周方向溝12のエッジとの相対角度に限られない。
【0042】
また、幅方向サイプ31は、周方向溝11に対する幅方向サイプ31の開口部31aと、幅方向サイプ31が開口する周方向溝11に対するセンターラグ溝16の開口部16aとのタイヤ周方向における距離Kが、K≦10mmを満たしている。つまり、同じ周方向溝11に開口する幅方向サイプ31とセンターラグ溝16とは、幅方向サイプ31の開口部31aと、センターラグ溝16の開口部16aとのタイヤ周方向における距離Kが、10mm以下になっている。
【0043】
なお、幅方向サイプ31の開口部31aと、センターラグ溝16の開口部16aとのタイヤ周方向における距離Kは、センターラグ溝16のタイヤ周方向両側に配置される幅方向サイプ31同士で異なっていてもよい。また、幅方向サイプ31の開口部31aと、センターラグ溝16の開口部16aとのタイヤ周方向における距離Kは、5mm以上であるのが好ましい。即ち、幅方向サイプ31の開口部31aと、センターラグ溝16の開口部16aとのタイヤ周方向における距離Kは、5mm≦K≦10mmの範囲内であるのが好ましい。
【0044】
また、幅方向サイプ31の開口部31aと、センターラグ溝16の開口部16aとのタイヤ周方向における距離Kは、センターラグ溝16のタイヤ周方向における幅Hbに対して、(K/Hb)≧1を満たしている。この場合におけるセンターラグ溝16のタイヤ周方向における幅Hbは、センターラグ溝16の開口部16aの位置でのタイヤ周方向における幅になっている。本実施形態では、センターラグ溝16のタイヤ周方向における幅Hbは、5.0mm以上15.0mm以下の範囲内になっている。
【0045】
さらに、幅方向サイプ31は、タイヤ周方向に隣り合う一対のセンターラグ溝16のタイヤ周方向におけるピッチP(図2参照)に対して、幅方向サイプ31の開口部31aと、センターラグ溝16の開口部16aとのタイヤ周方向における距離Kが、(K/P)≦0.3を満たしている。なお、この場合におけるタイヤ周方向に隣り合う一対のセンターラグ溝16のタイヤ周方向におけるピッチPは、幅方向サイプ31のタイヤ周方向の両側の位置するセンターラグ溝16同士のピッチPであるがの好ましい。また、幅方向サイプ31の開口部31aと、センターラグ溝16の開口部16aとのタイヤ周方向における距離Kと、タイヤ周方向に隣り合う一対のセンターラグ溝16のタイヤ周方向におけるピッチPとの関係は、0.15≦(K/P)≦0.3の範囲内であるのが好ましい。
【0046】
また、幅方向サイプ31は、センターラグ溝16のタイヤ幅方向両側に位置する幅方向サイプ31のいずれも、幅方向サイプ31のタイヤ幅方向における長さLwと、センター陸部21のタイヤ幅方向における幅Wbとの関係が、0.3≦(Lw/Wb)を満たしている。なお、幅方向サイプ31のタイヤ幅方向における長さLwは、センターラグ溝16のタイヤ周方向両側に配置される幅方向サイプ31同士で異なっていてもよく、本実施形態では、センターラグ溝16のタイヤ周方向両側に配置される幅方向サイプ31同士で、幅方向サイプ31のタイヤ幅方向における長さLwが異なっている。また、幅方向サイプ31のタイヤ幅方向における長さLwと、センター陸部21のタイヤ幅方向における幅Wbとの関係は、0.3≦(Lw/Wb)≦0.8の範囲内であるのが好ましい。
【0047】
また、幅方向サイプ31は、タイヤ幅方向における長さLwが、センターラグ溝16のタイヤ幅方向における長さLに対して、0.5≦(Lw/L)≦0.9の範囲内になっている。また、本実施形態では、センターラグ溝16は、周方向溝11に開口する側の端部の反対側の端部がセンター陸部21内で終端しているが、この場合、センターラグ溝16は、タイヤ幅方向における長さLが、センター陸部21のタイヤ幅方向における幅Wbに対して、0.4≦(L/Wb)≦0.9の範囲内であるのが好ましい。
【0048】
図4は、図2のB部詳細図であり、周方向サイプ32についての説明図である。センターラグ溝16のタイヤ周方向における両側にそれぞれ配置される幅方向サイプ31と周方向サイプ32とのうち、タイヤ周方向に延びる周方向サイプ32は、タイヤ周方向に離間するセンターラグ溝16と幅方向サイプ31との間に配置されている。センターラグ溝16と幅方向サイプ31との間に配置される周方向サイプ32は、一端がセンターラグ溝16に開口し、他端が幅方向サイプ31の近傍で終端する、或いは幅方向サイプ31に連通している。即ち、周方向サイプ32は、周方向サイプ32のタイヤ周方向における両側の端部のうち、センターラグ溝16側に位置する端部は、センターラグ溝16に開口し、センターラグ溝16側に位置する端部の反対側の端部32bは、幅方向サイプ31の近傍で終端しているか、或いは、幅方向サイプ31に連通している。
【0049】
本実施形態では、センターラグ溝16のタイヤ周方向両側に位置する周方向サイプ32のうち、一方の周方向サイプ32は、端部32bが幅方向サイプ31から離間して、幅方向サイプ31におけるセンター陸部21内で終端する側の端部31bの近傍で終端している。また、センターラグ溝16のタイヤ周方向両側に位置する周方向サイプ32のうち、他方の周方向サイプ32は、端部32bが幅方向サイプ31に対して連通しており、詳しくは、周方向サイプ32は、幅方向サイプ31に対して、幅方向サイプ31の端部31bの位置で連通している。なお、周方向サイプ32の端部32bと幅方向サイプ31との距離Eは、1.5mm以下であるのが好ましい。
【0050】
周方向サイプ32は、このように、幅方向サイプ31の端部31bの近傍で終端している、或いは、幅方向サイプ31の端部31bに連通しているため、センターラグ溝16のタイヤ周方向の一方側に位置する一組の幅方向サイプ31と周方向サイプ32とは、略L字状に形成されている。このため、センター陸部21は、L字の劣角側に位置する部分が、L字の優角側に位置する部分に対して、幅方向サイプ31の端部31bと周方向サイプ32の端部32bとの狭い部分のみで連結される、或いは、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とによって分断されている。
【0051】
換言すると、センター陸部21は、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とセンターラグ溝16とによって囲まれた部分が、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とセンターラグ溝16とによって囲まれた領域の外側に位置する部分に対して、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とによって略分断されている。センター陸部21における、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とセンターラグ溝16とによって囲まれた部分が、このようにセンター陸部21におけるこの領域の外側に位置する部分に対して略分断されていることにより、センター陸部21は、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とセンターラグ溝16と周方向溝11とにより区画された、小ブロック25を有している。小ブロック25は、センター陸部21における幅方向サイプ31と周方向サイプ32とセンターラグ溝16とにより囲まれた部分の外側の部分に対して、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とによって分断されている、或いは、周方向サイプ32の端部32bと幅方向サイプ31との間の狭い部分で接続されつつ大部分が分断されている。
【0052】
また、センターラグ溝16のタイヤ周方向における両側では、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とがそれぞれ略L字状に形成されているため、センターラグ溝16のタイヤ周方向両側に配置される幅方向サイプ31と周方向サイプ32とを全体で見た場合、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とは、センターラグ溝16の開口部16a側が開口側となる、略コの字状に形成されている。即ち、センターラグ溝16のタイヤ周方向における両側には、センター陸部21における、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とによって他の部分から略分断された小ブロック25が、それぞれ配置されている。センター陸部21の小ブロック25は、センターラグ溝16のタイヤ周方向両側で略コの字状に形成される幅方向サイプ31と周方向サイプ32とにおける、コの字の内側部分に配置される。
【0053】
また、センターラグ溝16と幅方向サイプ31との間に配置される周方向サイプ32は、幅方向サイプ31に対する角度θcが、55°≦θc≦135°の範囲内になっている。即ち、周方向サイプ32は、幅方向サイプ31に対する角度θcが、55°≦θc≦135°となる範囲内で、センターラグ溝16と幅方向サイプ31との間で、タイヤ周方向に延びて形成されている。この場合における幅方向サイプ31に対する周方向サイプ32の角度θcは、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とでなす角度のうち、センターラグ溝16の開口部16a側に位置する部分の角度、即ち、小ブロック25側に位置する部分の角度になっている。また、この場合における幅方向サイプ31に対する周方向サイプ32の角度θcは、幅方向サイプ31の溝幅方向の中心線31cと、周方向サイプ32の中心線32cとの相対角度になっている。
【0054】
このように、幅方向サイプ31に対する角度が、所定の範囲内の角度で形成される周方向サイプ32は、センターラグ溝16のタイヤ周方向における両側から当該センターラグ溝16に対して開口する2本の周方向サイプ32同士が、略平行になっている。具体的には、同じセンターラグ溝16に開口する2本の周方向サイプ32は、タイヤ周方向に対する角度θd同士の差が、±10°の範囲内であるのが好ましい。
【0055】
本実施形態では、センターラグ溝16の両側にそれぞれ配置される幅方向サイプ31と周方向サイプ32とのうち、一方の側の幅方向サイプ31と周方向サイプ32とは、角度θcが鋭角になっており、他方の側の幅方向サイプ31と周方向サイプ32とは、角度θcが鈍角になっている。周方向サイプ32は、センターラグ溝16のタイヤ周方向両側に位置する周方向サイプ32のうち、角度θcが鋭角になる側の周方向サイプ32が、端部32bが幅方向サイプ31から離間し、角度θcが鈍角になる側の周方向サイプ32が、端部32bが幅方向サイプ31に対して連通している。
【0056】
また、センターラグ溝16のタイヤ周方向両側に位置する周方向サイプ32はいずれも、幅方向サイプ31が開口する周方向溝11からのタイヤ幅方向における距離Dが、センター陸部21のタイヤ幅方向における幅Wbに対して、0.2≦(D/Wb)≦0.8の範囲内になっている。なお、幅方向サイプ31が開口する周方向溝11と周方向サイプ32とのタイヤ幅方向における距離Dは、センターラグ溝16のタイヤ周方向両側に配置される周方向サイプ32同士で異なっていてもよい。また、幅方向サイプ31が開口する周方向溝11と周方向サイプ32とのタイヤ幅方向における距離Dは、センター陸部21のタイヤ幅方向における幅Wbに対して、0.5≦(D/Wb)≦0.8の範囲内であるのが好ましい。
【0057】
また、センターラグ溝16のタイヤ周方向両側に位置する周方向サイプ32はいずれも、幅方向サイプ31が開口する周方向溝11からのタイヤ幅方向における距離Dが、センターラグ溝16のタイヤ幅方向における長さLに対して、0.5≦(D/L)≦0.9の範囲内になっている。これらの場合における、幅方向サイプ31が開口する周方向溝11から周方向サイプ32までタイヤ幅方向における距離Dは、周方向溝11と周方向サイプ32とのタイヤ幅方向における距離が、最も近い位置での距離になっている。
【0058】
なお、周方向サイプ32は、タイヤ周方向に対してタイヤ幅方向に傾斜して配置される場合でも、周方向サイプ32の全ての部分の、幅方向サイプ31が開口する周方向溝11からのタイヤ幅方向における距離Dが、センター陸部21のタイヤ幅方向における幅Wbに対して、0.2≦(D/Wb)≦0.8の範囲内に入るように配置されるのが好ましい。同様に、周方向サイプ32は、周方向サイプ32の全ての部分の、幅方向サイプ31が開口する周方向溝11からのタイヤ幅方向における距離Dが、センターラグ溝16のタイヤ幅方向における長さLに対して、0.6≦(D/L)≦0.8の範囲内に入るように配置されるのが好ましい。
【0059】
本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、例えば、小型トラックに装着する小型トラック用の空気入りタイヤ1になっている。空気入りタイヤ1を車両に装着する際には、空気入りタイヤ1をリムホイールにリム組みし、内部に空気を充填してインフレートした状態で車両に装着する。空気入りタイヤ1を装着した車両が走行すると、トレッド部2の踏面3のうち下方に位置する踏面3が路面に接触しながら空気入りタイヤ1は回転する。空気入りタイヤ1を装着した車両で乾燥した路面を走行する場合には、主に踏面3と路面との間の摩擦力により、駆動力や制動力を路面に伝達したり、旋回力を発生させたりすることにより走行する。また、濡れた路面を走行する際には、踏面3と路面との間の水が周方向溝11やラグ溝15等の溝やサイプ30に入り込み、これらの溝で踏面3と路面との間の水を排水しながら走行する。これにより、踏面3は路面に接地し易くなり、踏面3と路面との間の摩擦力により、車両は走行することが可能になる。
【0060】
また、雪上路面や氷上路面を走行する際には、周方向溝11やラグ溝15、サイプ30のエッジ効果も用いて走行する。つまり、雪上路面や氷上路面を走行する際には、周方向溝11のエッジやラグ溝15のエッジ、サイプ30のエッジが雪面や氷面に引っ掛かることによる抵抗も用いて走行する。また、氷上路面を走行する際には、氷上路面の表面の水をサイプ30で吸水し、氷上路面と踏面3との間の水膜を除去することにより、氷上路面と踏面3は接触し易くなる。これにより、踏面3は、摩擦力やエッジ効果によって氷上路面との間の抵抗が大きくなり、空気入りタイヤ1を装着した車両の走行性能を確保することができる。
【0061】
また、雪上路面を走行する際には、空気入りタイヤ1は路面上の雪を踏面3で押し固めると共に、路面上の雪がラグ溝15に入り込むことにより、これらの雪も溝内で押し固める状態になる。この状態で、空気入りタイヤ1に駆動力や制動力が作用すると、溝内の雪に対して作用するせん断力である、いわゆる雪柱せん断力が、空気入りタイヤ1と雪との間で発生する。雪上路面を走行する際には、この雪柱せん断力によって空気入りタイヤ1と路面との間で抵抗が発生することにより、駆動力や制動力を路面に伝達することができ、スノートラクション性を確保することができる。これにより、車両は雪上路面での走行性能を確保することができる。
【0062】
空気入りタイヤ1を装着した車両で、雪上路面を走行する際には、このように、路面上の雪がラグ溝15に入り込むが、これらの溝に入り込んだ雪は、空気入りタイヤ1が回転することによって、雪が入り込んでいる部分が路面から離れる際に溝から排出される。一方で、空気入りタイヤ1の回転によって、別の位置に配置されるラグ溝15付近が路面に接地する際には、路面上の新たな雪が、路面に接地する付近のラグ溝15に入り込み、雪柱せん断力を発生する。雪上路面の走行時における空気入りタイヤは、これらが繰り返されることにより、氷雪性能を発揮する。
【0063】
このように、雪上路面の走行時における、ラグ溝15に入り込んだ雪の排出は、ラグ溝15により区画される陸部20が、空気入りタイヤ1が路面に接地しながら回転することに伴って変形することにより、排出が行われ易くなる。ここで、小型トラックに装着される空気入りタイヤ1は、高荷重で使用されることを想定して、陸部20の剛性が高めに設定されるものが多くなっている。陸部20の剛性が高い場合、陸部20は変形し難くなるため、雪上路面の走行時にラグ溝15に雪が入り込んだ際に、陸部20が変形することによるラグ溝15からの雪の排出が行われ難くなり、雪がラグ溝15に詰まり易くなる。この場合、雪が詰まったラグ溝15には、新たな雪が入り難くなるため、雪柱せん断力を発生することが困難になり、スノートラクション性を確保し難くなる。
【0064】
これに対し、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、センターラグ溝16のタイヤ周方向における両側に、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とが配置されており、センターラグ溝16のタイヤ周方向における両側には、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とによってセンター陸部21における他の部分から略分断される小ブロック25が、それぞれ配置されている。これにより、センター陸部21における、センターラグ溝16の近傍に位置する部分剛性を、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とによって低下させることができ、センター陸部21におけるセンターラグ溝16の位置付近を変形させ易くすることができる。従って、雪上路面の走行時に雪がセンターラグ溝16に入り込んだ場合でも、センター陸部21におけるセンターラグ溝16の近傍に位置する部分が容易に変形することにより、センターラグ溝16内の雪を排出し易くすることができる。
【0065】
また、幅方向サイプ31は、センターラグ溝16が開口する周方向溝11に一端が開口するため、センター陸部21における、センターラグ溝16と周方向溝11とが交差する部分付近の剛性を低下させることができ、センターラグ溝16の開口部16a付近で、センター陸部21が変形し易いようにすることができる。これにより、センター陸部21を、より変形し易くすることができ、センターラグ溝16に入り込んだ雪を、より確実に排出し易くすることができる。
【0066】
さらに、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とは、タイヤ周方向に隣り合う一対のセンターラグ溝16のそれぞれのセンターラグ溝16のタイヤ周方向における両側に、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とがそれぞれが配置されてため、タイヤ周方向に隣り合う一対のセンターラグ溝16の双方において、雪の排出性を高めることができる。これにより、新たな雪を入り込ませ易いセンターラグ溝16を、タイヤ周方向において連続的に配置することができる。従って、雪上路面の走行時には、雪柱せん断力を連続的に発生することができ、雪上路面での空気入りタイヤ1の回転時におけるスノートラクション性を、継続的に確保することができる。これらの結果、氷雪性能を向上させることができる。
【0067】
また、幅方向サイプ31は、幅方向サイプ31のタイヤ幅方向における長さLwと、センター陸部21のタイヤ幅方向における幅Wbとの関係が、0.3≦(Lw/Wb)を満たしているため、センター陸部21の剛性を、より確実に効果的に低下させることができる。つまり、幅方向サイプ31の長さLwと、センター陸部21の幅Wbとの関係が、0.3>(Lw/Wb)である場合は、幅方向サイプ31のタイヤ幅方向における長さLwが短過ぎるため、センターラグ溝16の近傍に幅方向サイプ31を配置しても、センター陸部21の剛性を効果的に低下させ難くなる虞がある。
【0068】
これに対し、幅方向サイプ31の長さLwと、センター陸部21の幅Wbとの関係が、0.3≦(Lw/Wb)を満たしている場合は、センター陸部21のタイヤ幅方向における幅Wbに対して、幅方向サイプ31のタイヤ幅方向における長さLwを確保できるため、センターラグ溝16の近傍に配置される当該幅方向サイプ31により、センター陸部21の剛性を効果的に低下させることができる。これにより、センター陸部21を、より確実に変形し易くすることができ、センターラグ溝16に入り込んだ雪を、より確実に排出し易くすることができる。従って、雪上路面の走行時に雪柱せん断力を連続的に発生させることによってスノートラクション性を確保することができる。この結果、より確実に氷雪性能を向上させることができる。
【0069】
また、幅方向サイプ31は、タイヤ周方向に対する角度θwが、センターラグ溝16のタイヤ周方向に対する角度θに対して、(θ−10°)≦θw≦(θ+10°)の範囲内であるため、センター陸部21の剛性が局所的に低くなり過ぎることを抑制しつつ、センター陸部21におけるセンターラグ溝16付近の剛性を、より確実に適度に低下させることができる。つまり、幅方向サイプ31の角度θwが、センターラグ溝16の角度θに対して、θw<(θ−10°)であったり、θw>(θ+10°)であったりする場合は、センターラグ溝16の角度θと幅方向サイプ31の角度θwとの差が大き過ぎるため、センターラグ溝16と幅方向サイプ31との距離が大き過ぎる箇所が発生したり、センターラグ溝16と幅方向サイプ31との距離が小さ過ぎる箇所が発生したりする虞がある。センターラグ溝16と幅方向サイプ31との距離が大き過ぎる場合は、センター陸部21の剛性を効果的に低下させ難くなるため、センターラグ溝16に入り込んだ雪を排出し難くなる虞がある。また、センターラグ溝16と幅方向サイプ31との距離が小さ過ぎる場合は、センター陸部21におけるセンターラグ溝16と幅方向サイプ31との間の部分の剛性が局所的に低くなり過ぎるため、剛性が低い部分でセンター陸部21に欠けや偏摩耗が発生し易くなる虞がある。
【0070】
これに対し、幅方向サイプ31の角度θwが、センターラグ溝16の角度θに対して、(θ−10°)≦θw≦(θ+10°)の範囲内である場合は、幅方向サイプ31の角度θwを、センターラグ溝16の角度θに近付けることができ、幅方向サイプ31をセンターラグ溝16に平行に近付けることができる。このため、センターラグ溝16と幅方向サイプ31との距離が小さ過ぎることに起因してセンター陸部21の剛性が局所的に低くなり過ぎることを抑制しつつ、センターラグ溝16と幅方向サイプ31との距離が大きくなり過ぎること抑制することができ、センター陸部21におけるセンターラグ溝16付近の剛性を、より確実に適度に低下させることができる。これにより、センター陸部21の欠けや偏摩耗の発生を抑制しつつ、センターラグ溝16に入り込んだ雪を、より確実に排出し易くすることができる。この結果、陸部20の耐久性を確保しつつ、氷雪性能を向上させることができる。
【0071】
また、周方向溝11に対する幅方向サイプ31の開口部31aとセンターラグ溝16の開口部16aとのタイヤ周方向における距離Kと、センターラグ溝16のタイヤ周方向における幅Hbとの関係が(K/Hb)≧1を満たし、且つ、K≦10mmを満たすため、センター陸部21における幅方向サイプ31とセンターラグ溝16との間の部分の剛性が低くなり過ぎることを抑制しつつ、この部分の剛性を、より確実に適度に低下させることができる。つまり、幅方向サイプ31の開口部31aとセンターラグ溝16の開口部16aとの距離Kと、センターラグ溝16の幅Hbとの関係が、(K/Hb)<1である場合は、幅方向サイプ31の開口部31aとセンターラグ溝16の開口部16aとの距離Kが小さ過ぎるため、センター陸部21における幅方向サイプ31とセンターラグ溝16との間の部分の剛性が低くなり過ぎる虞がある。この場合、センター陸部21における剛性が低い部分で、欠けや偏摩耗が発生し易くなる虞がある。また、幅方向サイプ31の開口部31aとセンターラグ溝16の開口部16aとの距離Kが、K>10mmである場合は、幅方向サイプ31の開口部31aとセンターラグ溝16の開口部16aとの距離Kが大き過ぎるため、センター陸部21の剛性を効果的に低下させ難くなる虞がある。この場合、センターラグ溝16に入り込んだ雪を排出し難くなる虞がある。
【0072】
これに対し、幅方向サイプ31の開口部31aとセンターラグ溝16の開口部16aとの距離Kと、センターラグ溝16の幅Hbとの関係が(K/Hb)≧1を満たし、且つ、K≦10mmを満たす場合は、センター陸部21における幅方向サイプ31とセンターラグ溝16との間の部分の剛性が低くなり過ぎることを抑制しつつ、センター陸部21におけるセンターラグ溝16付近の剛性を、より確実に適度に低下させることができる。これにより、センター陸部21の欠けや偏摩耗の発生を抑制しつつ、センターラグ溝16に入り込んだ雪を、より確実に排出し易くすることができる。この結果、陸部20の耐久性を確保しつつ、氷雪性能を向上させることができる。
【0073】
また、周方向溝11に対する幅方向サイプ31の開口部31aとセンターラグ溝16の開口部16aとのタイヤ周方向における距離Kと、タイヤ周方向に隣り合う一対のセンターラグ溝16のタイヤ周方向におけるピッチPとの関係が(K/P)≦0.3を満たすため、センター陸部21の剛性を、より確実に効果的に低下させることができる。つまり、幅方向サイプ31の開口部31aとセンターラグ溝16の開口部16aとの距離Kと、タイヤ周方向に隣り合う一対のセンターラグ溝16のタイヤ周方向におけるピッチPとの関係が(K/P)>0.3である場合は、タイヤ周方向に隣り合うセンターラグ溝16のピッチPに対して、幅方向サイプ31の開口部31aとセンターラグ溝16の開口部16aとの距離Kが大き過ぎる虞がある。この場合、センター陸部21の剛性を効果的に低下させ難くなり、センターラグ溝16に入り込んだ雪を排出し難くなる虞がある。
【0074】
これに対し、幅方向サイプ31の開口部31aとセンターラグ溝16の開口部16aとの距離Kと、タイヤ周方向に隣り合う一対のセンターラグ溝16のタイヤ周方向におけるピッチPとの関係が(K/P)≦0.3を満たす場合は、センター陸部21における幅方向サイプ31とセンターラグ溝16との間の部分の剛性を、より確実に低下させることができる。これにより、センターラグ溝16に入り込んだ雪を、より確実に排出し易くすることができる。この結果、より確実に氷雪性能を向上させることができる。
【0075】
また、周方向サイプ32は、幅方向サイプ31に対する角度θcが、55°≦θc≦135°の範囲内であるため、センター陸部21における小ブロック25の剛性が低くなり過ぎることを抑制しつつ、小ブロック25の剛性を、より確実に適度に低下させることができる。つまり、幅方向サイプ31に対する周方向サイプ32の角度θcが、θc<55°である場合は、幅方向サイプ31に対する周方向サイプ32の角度θcが小さ過ぎるため、センター陸部21において幅方向サイプ31と周方向サイプ32とにより区画される小ブロック25の剛性が低くなり過ぎる虞がある。この場合、センター陸部21における幅方向サイプ31と周方向サイプ32とが交差する部分付近で、欠けや偏摩耗が発生し易くなる虞がある。また、幅方向サイプ31に対する周方向サイプ32の角度θcが、θc>135°である場合は、幅方向サイプ31に対する周方向サイプ32の角度θcが大き過ぎるため、センター陸部21の小ブロック25の剛性を低下させ難くなる虞がある。この場合、センター陸部21におけるセンターラグ溝16に隣接する部分の剛性を低下させ難くなることになるため、センターラグ溝16に入り込んだ雪を排出し難くなる虞がある。
【0076】
これに対し、幅方向サイプ31に対する周方向サイプ32の角度θcが、55°≦θc≦135°の範囲内である場合は、センター陸部21の小ブロック25の剛性を、より確実に適度に低下させることができる。これにより、センター陸部21の欠けや偏摩耗の発生を抑制しつつ、センターラグ溝16に入り込んだ雪を、より確実に排出し易くすることができる。この結果、陸部20の耐久性を確保しつつ、氷雪性能を向上させることができる。
【0077】
また、周方向サイプ32は、幅方向サイプ31が開口する周方向溝11からのタイヤ幅方向における距離Dが、センター陸部21のタイヤ幅方向における幅Wbに対して、0.2≦(D/Wb)≦0.8の範囲内であるため、センター陸部21の小ブロック25の剛性が低くなり過ぎることを抑制しつつ、小ブロック25の剛性を、より確実に適度に低下させることができる。つまり、幅方向サイプ31が開口する周方向溝11と周方向サイプ32との距離Dが、センター陸部21の幅Wbに対して、(D/Wb)<0.2である場合は、周方向溝11と周方向サイプ32との距離Dが小さ過ぎるため、センター陸部21の小ブロック25の剛性が低くなり過ぎる虞がある。この場合、剛性が低い小ブロック25で欠けや偏摩耗が発生し易くなる虞がある。また、幅方向サイプ31が開口する周方向溝11と周方向サイプ32との距離Dが、センター陸部21の幅Wbに対して、(D/Wb)>0.8である場合は、周方向溝11と周方向サイプ32との距離Dが大き過ぎるため、センター陸部21の小ブロック25の剛性を低下させ難くなる虞がある。この場合、センターラグ溝16に入り込んだ雪を排出し難くなる虞がある。
【0078】
これに対し、幅方向サイプ31が開口する周方向溝11と周方向サイプ32との距離Dが、センター陸部21の幅Wbに対して、0.2≦(D/Wb)≦0.8の範囲内である場合は、センター陸部21の小ブロック25の剛性を、より確実に適度に低下させることができる。これにより、センター陸部21の欠けや偏摩耗の発生を抑制しつつ、センターラグ溝16に入り込んだ雪を、より確実に排出し易くすることができる。この結果、陸部20の耐久性を確保しつつ、氷雪性能を向上させることができる。
【0079】
また、センターラグ溝16は、周方向溝11に開口する側の端部の反対側の端部がセンター陸部21内で終端するため、センター陸部21の剛性を確保しつつ、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とで小ブロック25を区画することによって、センター陸部21におけるセンターラグ溝16に隣接する部分の剛性を低下させることができる。これにより、高荷重で使用した際におけるセンター陸部21の欠けや偏摩耗の発生をより確実に抑制しつつ、センターラグ溝16に入り込んだ雪を排出し易くすることができる。この結果、より確実に陸部20の耐久性を確保しつつ、氷雪性能を向上させることができる。
【0080】
また、幅方向サイプ31は、タイヤ幅方向における長さLwが、センターラグ溝16のタイヤ幅方向における長さLに対して、0.5≦(Lw/L)≦0.9の範囲内であるため、センター陸部21におけるセンターラグ溝16の近傍の部分の剛性が低くなり過ぎることを抑制しつつ、この部分の剛性を、より確実に適度に低下させることができる。つまり、幅方向サイプ31の長さLwが、センターラグ溝16の長さLに対して、(Lw/L)<0.5であるある場合は、幅方向サイプ31のタイヤ幅方向における長さLwが短過ぎるため、センターラグ溝16の近傍に幅方向サイプ31を配置しても、センター陸部21の剛性を効果的に低下させ難くなる虞がある。この場合、幅方向サイプ31を配置しても、センターラグ溝16に入り込んだ雪を排出し難くなる虞がある。また、幅方向サイプ31の長さLwが、センターラグ溝16の長さLに対して、(Lw/L)>0.9であるある場合は、幅方向サイプ31のタイヤ幅方向における長さLwが長過ぎるため、センター陸部21におけるセンターラグ溝16の近傍の部分の剛性が低くなり過ぎる虞がある。この場合、センター陸部21における剛性が低い部分で、欠けや偏摩耗が発生し易くなる虞がある。
【0081】
これに対し、幅方向サイプ31のタイヤ幅方向における長さLwが、センターラグ溝16のタイヤ幅方向における長さLに対して、0.5≦(Lw/L)≦0.9の範囲内である場合は、センター陸部21におけるセンターラグ溝16の近傍の部分の剛性が低くなり過ぎることを抑制しつつ、センター陸部21におけるセンターラグ溝16の近傍の部分の剛性を、より確実に適度に低下させることができる。これにより、センター陸部21の欠けや偏摩耗の発生を抑制しつつ、センターラグ溝16に入り込んだ雪を、より確実に排出し易くすることができる。この結果、陸部20の耐久性を確保しつつ、氷雪性能を向上させることができる。
【0082】
また、周方向サイプ32は、幅方向サイプ31が開口する周方向溝11からのタイヤ幅方向における距離Dが、センターラグ溝16のタイヤ幅方向における長さLに対して、0.5≦(D/L)≦0.9の範囲内であるため、センター陸部21の小ブロック25の剛性が低くなり過ぎることを抑制しつつ、小ブロック25の剛性を、より確実に適度に低下させることができる。つまり、幅方向サイプ31が開口する周方向溝11と周方向サイプ32との距離Dが、センターラグ溝16の長さLに対して、(D/L)<0.5である場合は、周方向溝11と周方向サイプ32との距離Dが小さ過ぎるため、センター陸部21の小ブロック25の剛性が低くなり過ぎる虞がある。この場合、剛性が低い小ブロック25で欠けや偏摩耗が発生し易くなる虞がある。また、幅方向サイプ31が開口する周方向溝11と周方向サイプ32との距離Dが、センターラグ溝16の長さLに対して、(D/L)>0.9である場合は、周方向溝11と周方向サイプ32との距離Dが大き過ぎるため、センター陸部21の小ブロック25の剛性を低下させ難くなる虞がある。この場合、センター陸部21におけるセンターラグ溝16に隣接する部分の剛性を低下させ難くなることになるため、センターラグ溝16に入り込んだ雪を排出し難くなる虞がある。
【0083】
これに対し、幅方向サイプ31が開口する周方向溝11と周方向サイプ32との距離Dが、センターラグ溝16の長さLに対して、0.5≦(D/L)≦0.9の範囲内である場合は、センター陸部21の小ブロック25の剛性を、より確実に適度に低下させることができる。これにより、センター陸部21の欠けや偏摩耗の発生を抑制しつつ、センターラグ溝16に入り込んだ雪を、より確実に排出し易くすることができる。この結果、陸部20の耐久性を確保しつつ、氷雪性能を向上させることができる。
【0084】
また、幅方向サイプ31は、幅方向サイプ31が配置されるセンター陸部21のタイヤ幅方向外側を区画する周方向溝11に対して開口するため、センター陸部21における、当該センター陸部21のタイヤ周方向外側を区画する周方向溝11とセンターラグ溝16とが交差する部分付近の剛性を低下させることができる。これにより、センターラグ溝16のタイヤ幅方向外側の開口部16a付近の位置で、センター陸部21が変形し易いようにすることができ、センターラグ溝16に入り込んだ雪を、接地圧が比較的低いタイヤ幅方向外側に排出し易くすることができる。このため、センターラグ溝16に入り込んだ雪を、より確実に排出し易くすることができる。この結果、より確実に氷雪性能を向上させることができる。
【0085】
[変形例]
なお、上述した実施形態では、センターラグ溝16は、一端がセンター陸部21内で終端しているが、センターラグ溝16は、端部が陸部20内で終端していなくてもよい。図5は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、センターラグ溝16の両端が周方向溝11に開口する場合の説明図である。センターラグ溝16は、例えば、図5に示すように、タイヤ幅方向における両側の端部が、それぞれ周方向溝11に開口していてもよい。つまり、センターラグ溝16は、センター陸部21のタイヤ幅方向における両側を区画する2本の周方向溝11に対して両端が開口し、両端が周方向溝11に対する開口部16aとして、それぞれ形成されていてもよい。この場合、センター陸部21は、タイヤ幅方向における両端側がそれぞれ周方向溝11により区画され、タイヤ周方向における両端側がラグ溝15により区画される、いわゆるブロック形状の陸部20として形成される。
【0086】
このように、センターラグ溝16の両端が周方向溝11に開口し、センター陸部21がブロック形状の陸部20として形成される場合でも、幅方向サイプ31は、一端が周方向溝11に一端が開口し、他端がセンター陸部21内で終端するのが好ましい。これにより、センター陸部21は、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とによって小ブロック25を区画することによってセンターラグ溝16の近傍の剛性を低下させると共に、幅方向サイプ31がセンター陸部21をタイヤ幅方向に貫通することに起因してセンター陸部21の剛性が低下し過ぎることを抑制することができる。従って、センター陸部21の剛性を確保することによってセンター陸部21の欠けや偏摩耗の発生を抑制しつつ、センター陸部21におけるセンターラグ溝16の近傍の剛性を低下させることにより、センターラグ溝16に入り込んだ雪を、より確実に排出し易くすることができる。この結果、陸部20の耐久性を確保しつつ、氷雪性能を向上させることができる。
【0087】
また、上述した実施形態では、周方向サイプ32は、端部32bが幅方向サイプ31の端部31bの近傍に位置する、或いは、幅方向サイプ31の端部31bに連通しているが、周方向サイプ32の端部32bは、幅方向サイプ31の端部31bから離れていてもよい。図6は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、周方向サイプ32の端部32bが幅方向サイプ31の端部31bから離間する場合の説明図である。周方向サイプ32は、例えば、図6に示すように、センターラグ溝16に開口する側の端部の反対側の端部32bが、幅方向サイプ31の端部31bから離れた位置における幅方向サイプ31の近傍で、センター陸部21内で終端していてもよい。または、周方向サイプ32は、センターラグ溝16に開口する側の端部の反対側の端部32bが、幅方向サイプ31の端部31bから離れた位置で幅方向サイプ31に対して連通していてもよい(図示省略)。換言すると、幅方向サイプ31は、タイヤ幅方向において幅方向サイプ31が開口する周方向溝11が位置する側の反対側に向かって、周方向サイプ32よりも突出して形成されていてもよい。
【0088】
このように、周方向サイプ32の端部32bが、幅方向サイプ31の端部31bから離間する場合でも、周方向サイプ32の端部32bが、幅方向サイプ31の端部31bから離れた部分で幅方向サイプ31の近傍に位置したり、幅方向サイプ31に連通したりすることにより、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とによって、小ブロック25を区画することができる。これにより、センター陸部21におけるセンターラグ溝16の近傍の剛性を低下させることができ、センターラグ溝16に入り込んだ雪を排出し易くすることができる。
【0089】
また、上述した実施形態では、周方向サイプ32は、幅方向サイプ31とセンターラグ溝16との間に1本ずつが配置されているが、幅方向サイプ31とセンターラグ溝16との間に配置される周方向サイプ32は、複数本であってもよい。図7は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、幅方向サイプ31とセンターラグ溝16との間に周方向サイプ32が複数本配置される場合の説明図である。一端がセンターラグ溝16に開口してタイヤ周方向に延びる周方向サイプ32は、例えば、図7に示すように、幅方向サイプ31とセンターラグ溝16との間に2本ずつ配置されていてもよい。幅方向サイプ31とセンターラグ溝16との間に周方向サイプ32が複数配置される場合、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とにより区画される小ブロック25も、タイヤ幅方向に並ぶ複数の周方向サイプ32によって、複数の小ブロック25がタイヤ幅方向に並んで配置される。即ち、小ブロック25は、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とセンターラグ溝16と周方向溝11とにより区画されるもののみでなく、タイヤ周方向における両側が幅方向サイプ31とセンターラグ溝16とにより区画され、タイヤ幅方向に並ぶ2本の周方向サイプ32によりタイヤ幅方向における両側が区画される小ブロック25も形成され、これらの複数の小ブロック25がタイヤ幅方向に並んで配置される。これにより、センター陸部21におけるセンターラグ溝16の近傍の剛性を、より確実に低下させることができるため、センターラグ溝16に入り込んだ雪を、より排出し易くすることができる。
【0090】
このように、周方向サイプ32は、幅方向サイプ31とセンターラグ溝16との間に配置する数を増やすに従って、センター陸部21におけるセンターラグ溝16の近傍の剛性を低下させることができるため、周方向サイプ32は、センター陸部21の大きさやトレッドゴムの物性等に応じて、配置する本数を適宜設定するのが好ましい。その際に、周方向サイプ32を配置する本数は、センターラグ溝16のタイヤ周方向両側に配置される周方向サイプ32同士で異なっていてもよい。また、幅方向サイプ31とセンターラグ溝16との間に周方向サイプ32を複数本配置する場合は、タイヤ幅方向において、幅方向サイプ31が開口する周方向溝11に最も近い周方向サイプ32と、当該周方向溝11からのタイヤ幅方向における距離Dが、センター陸部21のタイヤ幅方向における幅Wbに対して、0.2≦(D/Wb)≦0.8の範囲内であるのが好ましい。
【0091】
また、上述した実施形態では、幅方向サイプ31は、センター陸部21のタイヤ幅方向外側を区画する周方向溝11に対して開口しているが、幅方向サイプ31は、一端がセンター陸部21のタイヤ幅方向内側を区画する周方向溝11に対して開口し、他端がセンター陸部21内で終端していてもよい。
【0092】
また、上述した実施形態では、センターラグ溝16のタイヤ周方向両側に位置する周方向サイプ32のうち、一方の周方向サイプ32は、端部32bが幅方向サイプ31から離間し、他方の周方向サイプ32は、端部32bが幅方向サイプ31に対して連通しているが、周方向サイプ32は、これ以外の態様で形成されていてもよい。周方向サイプ32は、例えば、センターラグ溝16のタイヤ周方向両側に位置する周方向サイプ32のいずれもが、端部32bが幅方向サイプ31から離間していてもよく、または、センターラグ溝16のタイヤ周方向両側に位置する周方向サイプ32のいずれもが、端部32bが幅方向サイプ31に対して連通していてもよい。
【0093】
また、上述した実施形態では、センターラグ溝16や幅方向サイプ31、周方向サイプ32は、いずれも直線状に形成されているが、センターラグ溝16やサイプ30は、屈曲したり湾曲したりしていてもよい。この場合、センターラグ溝16の角度θや、各サイプ30の角度θw、θc、θdは、それぞれの中心線16c、31c、32cにおける、溝やサイプ30の端部に位置する部分同士を直線状に結ぶ仮想線の角度によって、θ、θw、θc、θdを測定するのが好ましい。
【0094】
また、上述した実施形態では、周方向溝11は3本が設けられているが、周方向溝11は3本以外であってもよい。周方向溝11は、例えば、2本であってもよく、4本以上であってもよい。また、上述した実施形態では、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とは、全てのセンターラグ溝16のタイヤ周方向における両側に、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とのそれぞれが配置されているが、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とは、全てのセンターラグ溝16のタイヤ周方向における両側に配置されていなくてもよい。幅方向サイプ31と周方向サイプ32とは、少なくとも一部のタイヤ周方向に隣り合う一対のセンターラグ溝16のそれぞれのセンターラグ溝16のタイヤ周方向における両側に、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とのそれぞれを配置し、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とによってセンター陸部21に小ブロック25を区画することにより、センターラグ溝16に入り込んだ雪を排出し易くすることができ、氷雪性能を向上させることができる。
【0095】
また、上述した実施形態では、本発明に係るタイヤの一例として空気入りタイヤ1を用いて説明したが、本発明に係るタイヤは、空気入りタイヤ1以外であってもよい。本発明に係るタイヤは、例えば、気体を充填することなく使用することができる、いわゆるエアレスタイヤであってもよい。
【0096】
[実施例]
図8A図8Bは、空気入りタイヤの性能評価試験の結果を示す図表である。以下、上記の空気入りタイヤ1について、従来例の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1とについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、氷雪路面での走行性能である氷雪性能についての試験を行った。
【0097】
性能評価試験は、JATMAで規定されるタイヤの呼びが195/65R15 91Tサイズの空気入りタイヤ1を、リムサイズ15×6.0JのJATMA標準のリムホイールにリム組みし、排気量が1400ccの前輪駆動の乗用車の評価車両に試験タイヤを装着して、空気圧を前輪230kPa、後輪220kPaに調整して評価車両で走行をすることにより行った。
【0098】
氷雪性能の評価方法は、試験タイヤを装着した評価車両で、テストコースの氷雪路面を走行した際のトラクション性や操縦安定性をテストドライバーの官能評価により比較し、テストドライバーの官能評価を、後述する従来例を100として指数で表すことによって評価した。氷雪性能は、指数が大きいほど氷雪路面でのトラクション性や操縦安定性が高く、氷雪性能に優れていることを示している。
【0099】
性能評価試験は、従来の空気入りタイヤの一例である従来例の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1である実施例1〜17との18種類の空気入りタイヤについて行った。このうち、従来例は、一部のセンターラグ溝16のタイヤ周方向における両側に幅方向サイプ31と周方向サイプ32とが配置されているものの、隣り合う一対のセンターラグ溝16では、それぞれのセンターラグ溝16のタイヤ周方向における両側に、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とのそれぞれが配置されてはいない。
【0100】
これに対し、本発明に係る空気入りタイヤ1の一例である実施例1〜17は、全てタイヤ周方向に隣り合う一対のセンターラグ溝16のそれぞれのセンターラグ溝16のタイヤ周方向における両側に、幅方向サイプ31と周方向サイプ32とのそれぞれが配置されている。さらに、実施例1〜17に係る空気入りタイヤ1は、幅方向サイプ31のタイヤ幅方向における長さLwとセンター陸部21のタイヤ幅方向における幅Wbとの比(Lw/Wb)や、センターラグ溝16のタイヤ周方向に対する角度θに対する幅方向サイプ31のタイヤ周方向に対する角度θw、センターラグ溝16のタイヤ周方向における幅をHbに対する、幅方向サイプ31の開口部31aとセンターラグ溝16の開口部16aとのタイヤ周方向における距離Kの比(K/Hb)、幅方向サイプ31の開口部31aとセンターラグ溝16の開口部16aとのタイヤ周方向における距離K、幅方向サイプ31に対する周方向サイプ32の角度θc、センター陸部21のタイヤ幅方向における幅Wbに対する、周方向溝11からの周方向サイプ32のタイヤ幅方向における距離Dの比(D/Wb)が、それぞれ異なっている。
【0101】
これらの空気入りタイヤ1を用いて性能評価試験を行った結果、図8A図8Bに示すように、実施例1〜17に係る空気入りタイヤ1は、従来例に対して、優れた氷雪性能を発揮できることが分かった。つまり、実施例1〜17に係る空気入りタイヤ1は、氷雪性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0102】
1 空気入りタイヤ(タイヤ)
2 トレッド部
3 踏面
11 周方向溝
12 最外周方向溝
15 ラグ溝
16 センターラグ溝
16a、31a 開口部
16c、31c、32c 中心線
17 ショルダーラグ溝
18 底上げ部
20 陸部
21 センター陸部
22 ショルダー陸部
25 小ブロック
30 サイプ
31 幅方向サイプ
31b、32b 端部
32 周方向サイプ
33 貫通サイプ
35 交差サイプ
36 終端サイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B