【課題】選別手段による後続ワークの巻込みを確実に防止でき、かつ、所定動作時間よりも短い時間間隔となってしまった場合でも、コンベアの強制停止による生産性の低下を有効に抑制し得る物品選別装置および物品検査装置を提供する。
【解決手段】物品を順次搬送する搬送部10と、押出部材31を有する選別部30と、押出部材31の動作が所定動作時間で完了するよう選別部30を制御する選別制御手段62とを備え、選別制御手段62は、選別対象ワークWと後続ワークWとの間の物品間隔Dが所定動作時間(T4+Ta)より短くなったとき、その間隔Dに対応する短縮動作時間(2Taまたは2Ta_new)だけ押出部材31を往復移動させてもワークWが搬送経路から外れる割合(Le/Lw)が所定値以上となる場合には、押出部材31を、押出し終了位置P2に到達する前の途中折返し点P3から押出し開始位置P1側に戻す制御を実行する。
前記物品が前記搬送経路から外れる割合を、前記押出部材による前記物品の前記搬送経路外への製品押出し率として設定する押出し率設定手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の物品選別装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような従来の物品選別装置および物品検査装置にあっては、物品検査区間から選別区間までの複数のコンベアの間の乗り継ぎや前段装置の不備などにより、選別排出対象となった不良ワークとその直後の後続ワークとの間の搬送間隔が、不良ワークの安定した通常排出動作を実行するために予めユーザーにより設定された所定動作時間よりも短い時間間隔となってしまった場合に、同一の検査・選別ライン上の全ワークの搬送を強制停止させていた。
【0008】
そのため、プッシャー等の選別手段による後続ワークの巻込みを確実に防止できるものの、一部の少数のワークの搬送間隔の詰まりのために他の多数のワークの搬送や検査を停止させなければならず、選別装置や選別機能付きの検査装置の能力低下、すなわち生産性の低下を招いてしまうという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、選別手段による後続ワークの巻込みを確実に防止でき、かつ、搬送間隔が予め設定された所定動作時間よりも短い時間間隔となってしまった場合でも、選別動作を極力実行してコンベアの強制停止による生産性の低下を有効に抑制することのできる物品選別装置および物品検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る物品選別装置は、上記目的達成のため、物品を所定の搬送方向に順次搬送する搬送手段と、所定の選別指令信号に従って前記物品の押出し開始位置から押出し終了位置まで移動し、前記物品を前記搬送手段による搬送経路から外れる方向に選別する押出部材を有する選別手段と、前記押出部材が前記押出し開始位置から前記押出し終了位置まで移動して前記押出し開始位置に戻るまでの往復移動が所定動作時間で完了するように前記選別手段を制御する選別制御手段と、を備え、前記選別制御手段は、前記選別指令信号を受けた選別対象物品と後続物品との間の物品間隔が前記所定動作時間より短くなったとき、該物品間隔に対応する短縮動作時間だけ前記押出部材を往復移動させても前記物品が前記搬送経路から外れる割合が所定値以上となる場合には、前記押出部材を、前記押出し終了位置に到達する前の途中折返し点から前記押出し開始位置に戻す制御を実行することを特徴とする。
【0011】
この構成により、本発明では、選別指令信号を受けた物品と後続物品との間の物品間隔が所定動作時間より短くなったとき、その物品間隔に対応する短縮動作時間だけ押出部材を往復移動させたとしても物品が搬送経路から外れる割合が所定値以上となることを条件に、押出部材が押出し終了位置に達する前に押出部材を開始位置側に戻す押出し動作ストローク短縮制御が実行される。したがって、物品間隔が所定動作時間より短くなっても、押出部材による後続ワークの巻込みを防止できるとともに、少数のワークの搬送間隔の詰まりのために他の多数のワークの搬送や検査を停止させる頻度を抑えて、生産性を高めることができる。
【0012】
なお、物品間隔が詰まり過ぎ、短縮動作時間中の押出部材の往復移動では物品が搬送経路から外れる割合を所定値以上にすることができない条件下では、選別指令信号を受けた物品と後続物品との間の物品間隔を広げるように後続物品の搬送停止や取り出し等を行うことができる。
【0013】
(2)本発明の物品選別装置においては、前記搬送経路の上流側所定位置で前記物品を検知する物品検知センサが設けられ、前記選別制御手段は、前記物品検知センサの検知情報を基に前記物品間隔を検出し、該物品間隔に応じて前記選別手段の動作を制御する、という構成とすることができる。
【0014】
このような構成で実施すると、押出部材の往復移動エリアから選別対象物品の後続物品の先端までの間隔を物品検知センサで精度良く把握可能となり、後続ワークの巻込み防止と生産性の向上にさらに効果的となる。
【0015】
(3)本発明においては、前記選別手段が、前記押出部材を往復移動させるアクチュエータとしてエアシリンダを有しており、前記選別制御手段は、前記物品が前記搬送経路から外れる割合を、前記短縮動作時間中における前記押出部材の押出し動作時間または押出し動作距離に対応する値として算出する、という構成とすることもできる。
【0016】
このような構成で実施すると、エアシリンダの作動に応じて押出部材が押出し終了位置に達する前に、押出部材を押出し開始位置側に戻し始める押出し動作ストローク短縮制御が容易に実行可能となる。
【0017】
(4)本発明においては、あるいは、前記選別手段が、前記押出部材を往復移動させるアクチュエータとしてステッピングモータを有しており、前記選別制御手段は、前記物品が前記搬送経路から外れる割合を、前記押出部材の押出し動作速度および押出し動作時間に対応する値として算出する、という構成とすることもできる。
【0018】
このようにすると、ステッピングモータの回転に連動する押出部材の移動速度を加減して、短縮動作時間中における押出部材の押出し動作時間または押出し動作距離を容易に調整することができ、選別対象物品の所定姿勢での選別排出制御が容易に実行可能となる。
【0019】
(5)前記物品が前記搬送経路から外れる割合を、前記押出部材による前記物品の前記搬送経路外への製品押出し率として設定する押出し率設定手段を設けた構成とすることもできる。
【0020】
この場合、被検査物ごとに予め選別排出が可能な製品押出し率を実測しておき、製品間隔に詰りが生じた場合でも、確実な選別のための押出し動作または半押出し動作を行うことが可能となる。
【0021】
(6)本発明に係る物品検査装置は、所定の搬送方向に順次搬送される物品の品質を該物品に対応した検査条件に従って検査する検査手段と、前記検査手段の検査結果に応じて選別が要求される所定搬送区間内の選別対象物品を前記搬送手段による搬送経路から外れる方向に選別する押出部材を有する選別手段と、を備えた物品検査装置において、前記所定搬送区間への前記物品の搬入を検知する物品検知センサと、前記物品検知センサの検知情報を基に選別開始タイミングを設定するとともに、前記選別対象物品と後続物品との間の物品間隔が前記選別開始タイミングから前記押出部材の往復移動を伴う選別動作を完了させるまでの所定動作時間より短くなったとき、該物品間隔に応じて前記選別手段の前記選別動作を時間短縮させる選別制御手段と、をさらに備え、前記選別制御手段は、前記選別対象物品と前記後続物品との間の物品間隔が前記所定動作時間より短くなったとき、該物品間隔に対応する短縮動作時間だけ前記押出部材を往復移動させても前記物品が前記搬送経路から外れる割合が所定値以上となる場合には、前記押出部材を、前記選別開始タイミングから前記短縮動作時間だけ往復移動させる半押出し動作を実行することを特徴とするものである。
【0022】
この構成により、本発明では、選別対象物品と後続物品との間の物品間隔が所定動作時間より短くなっても、その物品間隔に対応する短縮動作時間だけ押出部材を往復移動させることで物品が所定割合以上に搬送経路から外れる程度の押出し動作が可能ならば、押出し動作が短縮実行される。したがって、物品間隔が所定動作時間より短くなっても、押出部材による後続ワークの巻込みを防止できるとともに、少数のワークの搬送間隔の詰まりのために他の多数の後続ワークの搬送や検査を停止させる頻度を抑えて、生産性を高めることができ、物品検査装置の能力低下を有効に回避できることになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、選別手段による後続ワークの巻込みを確実に防止でき、かつ、搬送間隔が予め設定された所定動作時間よりも短い時間間隔となってしまった場合でも、選別動作を極力実行してコンベアの強制停止による生産性の低下を有効に抑制することができる物品選別装置および物品検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
(一実施形態)
本発明の一実施形態に係る物品選別装置は、選別機能を有する物品検査装置、例えば選別機付きのX線異物検出装置の一部として構成されている。
【0028】
図1〜3に示すように、本発明の一実施形態に係る物品検査装置1は、被検査物品であるワークWを所定の搬送方向に順次搬送する複数のコンベア11、12、13を有する搬送部10(搬送手段)と、所定の搬送方向に延びるコンベア11〜13(搬送経路)上のワークWの品質状態をその品種に対応した検査条件に従って検査区間Z1内で検査する検査部20(検査手段)と、検査部20の検査結果に応じ選別が要求されるワークW(選別対象物品)が発生したとき、検査区間Z1の下流側の選別区間Z2内で選別対象のワークWをコンベア11〜13上から外れる方向に押出し選別する選別機30(選別手段)と、を具備している。
【0029】
また、選別区間Z2の上流側、例えば検査区間Z1の上流端側には、所定搬送区間である検査区間Z1および選別区間Z2へのワークWの搬入を両区間Z1、Z2中の搬送経路の上流側所定位置で検知する物品検知センサ41が設けられている。
【0030】
この物品検知センサ41は、例えば搬送部10の搬送方向(
図1中の左右方向)に対し略直交する光軸を有し、ワークWによって遮光または反射されることでON/OFFが切り替わる光学式のものであり、各ワークWの先端および後端が搬送方向の所定位置を通過するタイミングを検知可能である。なお、物品検知センサ41をカメラ画像やX線画像から物品検知する手段にすることも考えられる。
【0031】
搬送部10のコンベア11〜13は、詳細を図示しないが、例えばそれぞれループ状の搬送ベルトを複数の搬送ローラに巻回させ、各搬送ベルトの上走区間によりワークWを
図1中の右方向に順次搬送することができるベルトコンベアとなっており、図示しない筐体に支持されている。
【0032】
検査部20は、搬送部10によりコンベア搬送されるワークWに製品として要求される品質や物理量の適否等、例えば混入異物の有無、欠品の有無、内容物の形状・サイズ・収納状態等の合否、密度・厚さ・体積もしくは質量の分布等のいずれかを検査するようになっている。
【0033】
この検査部20は、ワークWを透過可能なX線を発生し、コンベア11上のワークWに向けて搬送部10の搬送方向に対し略直交するファンビーム状に照射することができるX線発生器21と、コンベア11の上走区間11aの直下に配置されたX線検出器22を有している。
【0034】
X線検出器22は、例えば蛍光体であるシンチレータとフォトダイオードもしくは電荷結合素子とからなる検出素子を、搬送部10の搬送路の幅員方向にアレイ状に所定ピッチで配設し、所定解像度でのX線検出を行なうようにしたX線ラインセンサカメラで構成されている。
【0035】
すなわち、X線検出器22は、X線発生器21から照射されてワークWを透過したX線を前述の検出素子に対応する所定透過領域ごとに検出し、そのX線の透過量に応じた電気信号に変換して、透過領域ごとのX線検出信号を出力できるようになっている。
【0036】
選別機30は、選別区間Z2(所定搬送区間)内のワークWを搬送部10の搬送経路であるコンベア12上から側方(
図1中の下方)の排出コンベア45上に押し出すことができる押出部材31と、押出部材31を駆動する駆動機構32と有するプッシャー方式のものである。
【0037】
押出部材31は、例えばワークWの搬送方向およびコンベア12上の高さ方向に広がる平坦なあるいは湾曲した板面を有する板状体で構成されている。
【0038】
駆動機構32は、押出部材31をワークWの搬送方向に対し略直交する方向に往復移動させることができる例えば流体圧作動式のアクチュエータ33と、制御信号入力に応じてアクチュエータ33に対する加圧流体の供給を制御する作動制御バルブ34とを含んで構成されており、アクチュエータ33は、例えばエネルギ源である圧空源35からのエア(流体)の給排制御により伸縮するエアシリンダあるいは復帰ばねを内蔵し圧空源35からのエア(加圧流体)の供給時に伸張するエアシリンダで構成されている。
【0039】
また、駆動機構32は、作動制御バルブ34によりアクチュエータ33への加圧流体の供給もしくは流体の給排を制御することで、押出部材31を
図1中に実線で示す押出し開始位置(
図3中にP1で示す)から同図中に仮想線で示す押出し終了位置(
図3中にP2で示す)へと押出し方向に移動させる押出し駆動と、押出部材31を押出し終了位置P2から押出し開始位置P1に戻るように復帰させる復帰駆動とを、コンベア12の幅員方向の横幅Lc(
図3参照)程度かそれ以下のアクチュエータ33の略一定速度の伸縮動作に伴って実行することができるようになっている。
【0040】
勿論、駆動機構32のアクチュエータ33は、流体圧作動式に限定されるものではなく、例えばステッピングモータ等の回転アクチュエータであってもよい。その場合、駆動機構32は、アクチュエータ33の出力回転を押出部材31の往復直線運動に変換する運動変換機構を併用することが考えられる。また、搬送部10がローラコンベアで構成される場合、駆動機構32をコンベアの下方に配置することも考えられる。
【0041】
図2に示すように、物品検査装置1は、さらに、搬送部10のコンベア11および検査部20を制御する第1制御部50と、搬送部10のコンベア12および選別機30を制御する第2制御部60と、を具備している。これら第1制御部50および第2制御部60は、具体的なハードウェア構成を図示しないが、それぞれ例えばCPU、ROM、RAMおよび入出力インターフェース回路等を含んで構成されており、ROMや他のメモリデバイスに格納された所定の搬送制御プログラム、検査制御プログラムおよび選別制御プログラム等によって、搬送部10の搬送制御、検査部20のX線検査の制御、選別機30の選別動作制御等を実行するようになっている。そして、第1制御部50および第2制御部60は、前述の各種制御プログラムを実行することで、以下に述べる複数の手段の制御機能を発揮し得るように構成されている。
【0042】
第1制御部50は、搬送部10のコンベア11によるワークWの搬送速度や搬送間隔等を制御する搬送制御手段51と、X線発生器21の出力を制御したりワークWの搬送速度に応じたX線検出器22のX線ライン検出周期および検査期間等を制御したりして検査部20における検査を制御する一方、物品検知センサ41による物品検知情報や検査結果を第2制御部60側に出力する検査制御手段52と、操作入力および表示が可能な操作画面53とを含んでいる。検査制御手段52は、検査部20での検査結果に応じて、例えば検査中のワークW中に異物が検出されたとき、物品検知センサ41による今回のワークWの物品検知タイミングから所定の選別遅延時間T3[ms]内に、異物が検出されたワークWの選別排出を指令する選別指令信号RJを生成して、第2制御部60に出力することができる。
【0043】
第2制御部60は、搬送部10のコンベア12によるワークWの搬送速度や搬送間隔等を制御する搬送制御手段61と、第1制御部50からの物品検知情報や選別機30の動作を制御する選別制御手段62とを含んでいる。
【0044】
図4中に示すように、第2制御部60は、通常、或るワークWについての物品検知センサ41の検知情報を基に、そのワークWがワーク検知時点td(同図中のtd1、td2、td3、td4、td5のいずれか)から検査区間Z1を通過し選別区間Z2内の所定位置に達するまでの選別遅延時間T3を選別までの待機時間として設定し、その選別遅延時間T3中は同ワークWに対する選別機30の選別動作を実行させないようになっている。
【0045】
また、第2制御部60は、ワーク検知時点tdから選別遅延時間T3が経過する時点を、選別開始タイミングtp(同図中のtp1、tp2、tp3、tp4のいずれか)として設定するとともに、通常、
図4中の条件(1)の範囲内に示す正常搬送時のように、ワークWの品種に応じた押出し動作速度で、選別対象のワークWをコンベア12の幅員方向の横幅Lcに近い通常の動作ストローク分の押出し動作により選別排出するための通常の選別動作時間である排出動作設定時間T4[ms]を設定することができる。
【0046】
この第2制御部60は、選別指令信号RJに従って選別機30を制御することで、押出部材31が
図1に実線で示す押出し開始位置P1から同図中に仮想線で示す押出し終了位置P2まで移動した後に押出し開始位置P1に戻るまでの往復移動を、所定動作時間である排出動作設定時間T4中に完了させる選別制御手段となっている。
【0047】
ここで、排出動作設定時間T4は、許容される最重量のワークWをアクチュエータ33最短の収縮状態から最長の伸張状態に伸張させる場合の最短動作時間Ta[ms]より大きい(長い)時間として、ユーザーによる予めの試験運転下でワークWの安定した排出姿勢や排出完了位置となり、アクチュエータ33のワーク排出完了姿勢の一定時間保持が可能となるように調整され設定されている。
【0048】
ところで、搬送部10は、複数のコンベア11〜13を有しており、搬送中の各ワークWは隣り合うコンベア11、12の間で、さらに隣り合うコンベア12、13の間でも、乗り移りにより搬送支持状態が変動し、スリップ等を生じることがある。あるいは、検査部20に投入される間隔自体に、ばらつきが生じ、物品間隔Dが小さくなることがある。
【0049】
第2制御部60の選別制御手段62は、選別対象のワークWとその直後の後続ワークW(複数の後続物品のうち最下流に位置するもの)との間の物品間隔D(
図1参照)を少なくとも物品検知センサ41の検知情報を基に検出し、その物品間隔Dに対応する搬送時間が所定動作時間より短くなったとき、その短くなった物品間隔Dに応じて選別機30の選別動作時間を時間短縮させるようになっている。
【0050】
ここでの所定動作時間とは、前述の選別遅延時間T3および排出動作設定時間T4と、押出部材31を押出し終了位置P2から押出し開始位置P1に戻るように復帰させる際の最短動作時間Taとを合わせた、押出部材31の通常の往復動作に要する時間(T3+T4+Ta)であり、各ワークWについて、物品検知タイミングから選別開始タイミングtp1までの選別遅延時間T3が経過し、選別開始タイミングtp1から押出部材31の往復移動を伴う選別動作が完了するまでの実押出し動作時間が更に経過するまでの総経過時間である。
【0051】
具体的には、第2制御部60の選別制御手段62は、
図4中の条件(2)の範囲内に示すように、選別対象のワークWと後続ワークWとの間の先端間の物品間隔Dが所定動作時間(T3+T4+Ta)に対応する物品間隔D1よりも短い物品間隔D2になったとき、その物品間隔D2に対応する搬送時間が、例えば押出し時の最短動作時間Taと復帰時の最短動作時間Ta(実際には、押出し時の最短動作時間>復帰時の最短動作時間となる場合があるが、簡略化のため同一時間として説明する)との和以上(D2>2Ta)であれば、選別開始タイミングtp2から所定動作時間(T3+T4+Ta)より短い短縮動作時間2Ta(同図中の「Ta押+Ta戻」)を設定するようになっている。なお、この場合の短縮動作時間2Taの終了時点は、後続するワークWに対する次の選別遅延時間T3中に入り得るが、次の選別開始タイミングtp3より前に短縮動作時間が終了することになる。また、この場合、最短動作時間Taでの排出動作が間に合うと判断し、選別制御手段62が押出部材31の往復動作を伴う選別動作時間を2Taに自動切換えする。この場合の選別動作時間Taは、最短動作時間であって選別機30の選別排出動作の安定排出限界であり、押出部材31の動作速度および動作ストロークStを設定する必要がある。
【0052】
また、選別制御手段62は、
図4中の条件(3)の範囲内に示すように、選別対象のワークWと後続ワークWとの間の物品間隔Dが押出し時の最短動作時間Taと復帰時の最短動作時間Taとの和程度の物品間隔D3となったとき(D3≒2Taの場合)には、選別開始タイミングtp2から通常の往復動作時間(T3+T4+Ta)より短い短縮動作時間を2Taに設定するようになっている。この場合、短縮動作時間2Ta(同図中の「Ta押+Ta戻」)の終了時点は、後続するワークWに対する次の選別遅延時間T3中に大きく入り込むことになるが、次の選別開始タイミングtp4より前である。
【0053】
さらに、
図4中の条件(4)の範囲内に示すように、選別対象のワークWと後続ワークWとの間の物品間隔Dが詰まって押出し時の最短動作時間Taと復帰時の最短動作時間Taとの和より短い物品間隔D4となったとき(D4<2Ta)、例えばいわゆる2個乗りかそれに近い状態が一時的に発生した場合で解消可能なときには、短縮動作時間を2Taにしたのでは戻り時の巻き込みを回避することが困難である。そこで、選別制御手段62は、押出部材31の押出し時と復帰時のそれぞれにつき、前述の最短動作時間Taより短い半押出し動作時間Ta_newを例えばD4−T3≒2Ta_newとなるように設定し、アクチュエータ33の動作ストロークSt自体を通常より小さいストローク値に設定することで、物品間隔Dの詰まりを解消する。なお、この場合、ワークWが半押出し動作により押し出された後に慣性によっても排出方向に所定距離だけ移動し得るように、押出し完了位置P2での製品押出率(Le/Lw)が設定されている。
【0054】
この場合の半押出し動作時間Ta_new は、次式〔1〕により算出される。
【0055】
Ta_new [ms] =
{Lc−Lw(1−製品押出率/100)}×(1/St)×Ta・・・〔1〕
ここで、Lcは選別コンベア幅、Lwはワーク幅、Stは動作ストローク、Taはアクチュエータ33を構成するエアシリンダの最短動作時間である。
【0056】
加えて、
図4中の条件(5)の範囲内に示すように、選別対象のワークWのスリップ等によって2個乗りが発生し、選別動作時間および動作ストロークの短縮では巻き込みを回避することが非常に困難になった場合には、第2制御部60の選別制御手段62は、第1制御部50からの停止指令信号を受けて搬送部10による物品搬送を停止させ、2個乗り製品が正常な製品の排出経路に流出することを回避する。
【0057】
第2制御部60の選別制御手段62は、このように選別指令信号RJを受けた選別対象のワークWと後続ワークWとの間の物品間隔Dが、所定動作時間(T3+T4+Ta;選別遅延時間T3経過後の通常の選別動作時間(T4+Ta))より短くなったとき、選別機30の押出部材31を選別開始タイミングTpから短縮動作時間2Taもしくは2Ta_newだけ往復移動させる半押出し動作を実行させる。
【0058】
選別制御手段62は、また、その半押出し動作を実行するのに先立ち、押出部材31を往復移動させてもワークWがコンベア12上の搬送経路から外側方に外れる割合が所定値以上となるか否かを判定し、所定値以上となる場合にのみ、押出部材31を、選別開始タイミングtpから短縮動作時間だけ往復移動させる半押出し動作を実行させる。
【0059】
すなわち、詰まった物品間隔に対応する短縮動作時間2Taもしくは2Ta_newだけ押出部材31を往復移動させたとしても、選別対象のワークWがコンベア12の横幅Lc内の搬送経路から外側方に外れ得るワーク幅の割合(はみ出し幅Le/ワーク幅Lw)が所定値以上になると判定された場合には、選別制御手段62は、選別機30の押出部材31を、
図3に示すように、コンベア12の横幅Lc程度の押出し終了位置P2に到達する前の半ストローク位置(St<Lcとなる位置の意)まで移動させた時点で、その位置を途中折返し点P3として押出し開始位置P1側に戻し始める動作ストローク短縮制御を実行するようになっている。
【0060】
第1制御部50の操作画面53およびこれと協働する第2制御部60の選別制御手段62は、押出部材31により半押出しされたワークWが選別区間Z2中の搬送経路から外側方に外れる割合を、押出部材31によるワークWの搬送経路外への製品押出し率(はみ出し幅Le/ワーク幅Lw)として、操作画面53を介して設定可能な押出し率設定手段を構成しており、操作画面53からの製品押出し率の設定入力が可能である。
【0061】
本実施形態においては、選別機30が押出部材31を往復移動させるアクチュエータ33としてエアシリンダを有しているので、選別制御手段62は、押出部材31により半押出しされたワークWが選別区間Z2中の搬送経路から外側方に外れる割合を、短縮動作時間2Taもしくは2Ta_new中における押出部材31の押出し動作時間または押出し動作距離に対応する値として算出する。ただし、選別機30が押出部材31を往復移動させるアクチュエータとしてステッピングモータを有している場合等には、選別制御手段62は、押出部材31により半押出しされたワークWが選別区間Z2中の搬送経路から外側方に外れる割合を、押出部材31の押出し動作速度および押出し動作時間に対応する押出し動作距離相当の値として算出してもよい。
【0063】
上述のように構成された本実施形態においては、選別指令信号RJを受けたワークWと後続ワークWとの間の物品間隔Dが所定動作時間である排出動作設定時間T4より短くなったとき、その物品間隔Dに対応する短縮動作時間2Taもしくは2Ta_newだけ押出部材31を往復移動させたとしてもワークWが選別区間Z2の搬送経路から外側方に外れる割合が所定値以上となることを条件に、押出部材31が押出し終了位置P2に達する前に押出部材31を開始位置P1側に戻す押出し動作ストローク短縮制御が実行される。
【0064】
したがって、物品間隔Dが所定動作時間より短くなっても、押出部材31による後続ワークWの巻込みを防止できるとともに、少数のワークWの搬送間隔の詰まりのために他の多数のワークWの搬送や検査を停止させざるを得なくなる頻度を抑えて、生産性を高めることができる。
【0065】
また、本実施形態では、検査区間Z1および選別区間Z2における搬送経路の上流側所定位置に設けた物品検知センサ41の検知情報を基に物品間隔Dが検出され、その物品間隔Dに応じて選別機30の動作が制御されるので、押出部材31の往復移動エリアから選別対象ワークWの後続ワークWの先端までの搬送時間間隔を物品検知センサ41の検知情報から精度良く把握可能となり、後続ワークWの巻込み防止と生産性の向上に効果的な制御を実行可能となる。
【0066】
さらに、本実施形態では、選別機30が押出部材31を往復移動させるアクチュエータ33としてエアシリンダを有しており、選別制御手段62は、ワークWが搬送経路から外れる割合を、短縮動作時間2Taもしくは2Ta_new中における押出部材31の押出し動作時間または押出し動作距離に対応する値として算出するので、アクチュエータ33であるエアシリンダの作動に応じて押出部材31が押出し終了位置に達する前に、押出部材31を押出し開始位置P1側に戻し始める押出し動作ストローク短縮制御が容易に実行可能となる。
【0067】
勿論、選別機30がアクチュエータ33としてステッピングモータ等の回転アクチュエータを有していれば、選別制御手段62は、ワークWが搬送経路から外れる割合を、押出部材31の押出し動作速度および押出し動作時間に対応する値として算出し得るので、ステッピングモータの回転に連動する押出部材31の移動速度を加減して、短縮動作時間2Taもしくは2Ta_new中における押出部材31の押出し動作時間または押出し動作距離を容易に調整することができ、選別対象ワークWの所定姿勢での選別排出制御が容易に実行可能となる。
【0068】
また、第1制御部50および第2制御部60は、ワークWが搬送経路から外れる割合を、押出部材31によるワークWの搬送経路外への製品押出し率として設定する押出し率設定手段を設けた構成となっているので、ワークWの品種ごとに選別機30で通常の押出し動作ストロークに対し例えば50%以上かつ100%未満の半押出し動作、好ましくは75%程度の半押出し動作による選別排出が可能な製品押出し率を実験的に計測しておき、製品間隔に詰りが生じた場合でも、確実な選別のための押出し動作または半押出し動作を行うことが可能となる。
【0069】
特に、本実施形態では、物品選別装置が選別機能を有する物品検査装置1の一部として構成され、検査部20の検査結果から選別対象となったワークWとその後続ワークWとの間の物品間隔Dが選別対象のワークWの選別開始タイミングtpから押出部材31の往復移動を伴う所定動作時間(T3+T4+Ta)より短くなったとき、選別制御手段62が、物品間隔Dに対応する短縮動作時間2Taもしくは2Ta_newだけ押出部材31を往復移動させてもワークWが搬送経路から外れる割合が所定値以上となる場合には、押出部材31を、選別開始タイミングTpから短縮動作時間2Taもしくは2Ta_newだけ往復移動させる半押出し動作を実行させる。
【0070】
したがって、本実施形態では、選別対象ワークWと後続ワークWとの間の物品間隔Dが所定動作時間より短くなっても、その物品間隔Dに対応する短縮動作時間2Taもしくは2Ta_newだけ押出部材31を往復移動させることで、ワークWが所定割合以上に搬送経路から外れる程度の選別排出が可能ならば、押出し動作が短縮実行される。したがって、物品間隔Dが所定動作時間より短くなっても、押出部材31による後続ワークWの巻込みを防止できるとともに、少数のワークWの搬送間隔の詰まりのために他の多数の後続ワークWの搬送や検査を停止させる頻度(コンベア11〜13の強制停止の頻度)を抑えて、物品選別能力の低下による生産性(製品歩留まり)の低下を有効に回避可能となる。
【0071】
このように、本実施形態においては、選別機30による後続ワークWの巻込みを確実に防止でき、かつ、選別対象のワークWと後続ワークWとの搬送間隔が予め設定された所定動作時間よりも短い時間間隔となってしまった場合でも、選別動作を極力実行してコンベアの強制停止による生産性の低下を有効に抑制することができる物品選別装置および物品検査装置を提供することができるものである。
【0072】
なお、前述の一実施形態では、物品選別装置が、選別機能を有する物品検査装置1、例えば選別機付きのX線異物検出装置の一部として構成されていたが、物品選別装置が検査部を有しない、独立した物品選別装置であってもよいことはいうまでもない。また、前述の一実施形態では、搬送部10が複数のコンベア11〜13を有しており、各コンベア11、12、13が、コンベアベルトを複数のローラの間に巻き掛けられていたが、搬送部10が複数のローラコンベアで構成されてもよい。
【0073】
(他の実施形態)
図5および
図6には、そのような構成を有する他の実施形態の物品選別装置が例示されている。なお、前述の一実施形態の物品選別装置1と同一または類似の構成については、
図5および
図6中に
図1ないし
図4中の対応する構成要素と同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0074】
両図に示すように、本実施形態に係る物品選別装置2は、被検査物品であるワークWを所定の搬送方向に順次搬送するローラコンベア15およびその回転駆動手段16を有する搬送部10と、ローラコンベア15上の搬送経路に投入されるワークWをその搬送経路の上流端側で検知する物品検知センサ42と、その物品検知センサ42からの物品検知信号および外部からの所定の選別制御信号RJをそれぞれ入力し、それら入力信号に応じ選別が要求されるワークW(選別対象物品)が発生したとき、ローラコンベア15上の選別区間Z2内で選別対象のワークWをローラコンベア15上から外れる方向(
図5中の下向き方向)に押出し選別する選別機30と、を具備している。
【0075】
選別機30は、選別区間Z2内のワークWを搬送経路であるローラコンベア15上から側方(
図5中の下方)に押し出すことができる押出部材31と、押出部材31を駆動する駆動機構32と有するプッシャー方式のものである。
【0076】
ここで、駆動機構32は、押出部材31をローラコンベア15の搬送方向に対し略直交する幅方向に往復移動させることができるアクチュエータ33と、アクチュエータ33に対するエア(加圧流体)の供給を制御する作動制御バルブ34とを含んで構成されている。
【0077】
また、駆動機構32は、作動制御バルブ34によりアクチュエータ33への加圧流体の供給もしくは流体の給排を制御することで、
図5および
図6に示すように、押出部材31を
図5(a)および
図6(a)中に実線で示す押出し開始位置から両図中に仮想線で示す押出し終了位置へと押出し方向に移動させる押出し駆動と、押出部材31を押出し終了位置から押出し開始位置に戻るように復帰させる復帰駆動とを、ローラコンベア15の幅員方向の横幅Lc程度かそれ以下のストローク長の略一定速度の伸縮動作に伴って実行できるようになっている。
【0078】
この場合のアクチュエータ33も、例えばステッピングモータ等の回転アクチュエータで構成されてもよい。
【0079】
本実施形態における第2制御部60は、PLC(プログラマブルロジクコントローラ)を内蔵しており、搬送部10のローラコンベア15によるワークWの搬送速度を制御する搬送制御手段61と、物品検知センサ42からの物品検知情報や外部からの選別指令信号RJを入力し、それら入力情報に基づいて選別機30の動作を制御する選別制御手段62の機能を発揮するようになっている。この第2制御部60は、PLCに対するワークWの品種に応じた各種制御情報をデータ通信可能なPCその他の情報端末からの情報入力により設定可能であるが、直接的な情報入力が可能な操作画面等のマンマシンインターフェースを併有するものであってもよい。
【0080】
第2制御部60の選別制御手段62は、通常、或るワークWについての物品検知センサ42の検知情報を基に、そのワークWがワーク検知時点tdから選別区間Z2内の所定位置に達するまでの選別遅延時間T3を選別までの待機時間として設定し、その選別遅延時間T3中は同ワークWに対する選別機30の選別動作を待機させるようになっている。
【0081】
また、選別制御手段62は、ワーク検知時点tdから選別遅延時間T3が経過する時点を、選別開始タイミングtpに設定するとともに、ワークWの品種に応じた押出し動作速度で、選別対象のワークWをコンベア12の幅員方向の横幅Lcに近い通常の動作ストローク分の押出し動作により選別排出するための排出動作設定時間T4を設定可能である。
【0082】
本実施形態においても、
図6(b)に示すように、選別対象のワークWと後続ワークWとの間の物品間隔Dが詰まって、アクチュエータ33の押出し時の最短動作時間Taと復帰時の最短動作時間Taとの和より短い物品間隔D4となったとき(D4<2Ta)には、短縮動作時間を2Taにしたのでは戻り時の巻き込みを回避することが困難である。そこで、選別制御手段62は、押出部材31の押出し時と復帰時のそれぞれにつき、前述の最短動作時間Taより短い半押出し動作時間Ta_newを例えばD4−T3=2Ta_newとなるように設定し、アクチュエータ33の動作ストロークSt自体を通常より小さいストローク値に設定する。
【0083】
したがって、本実施形態においても、選別機30による後続ワークWの巻込みを確実に防止でき、かつ、選別対象のワークWと後続ワークWとの搬送間隔が予め設定された所定動作時間よりも短い時間間隔となってしまった場合でも、選別動作を極力実行してローラコンベア15の強制停止による生産性の低下を有効に抑制することができる物品選別装置および物品検査装置を提供することができる。
【0084】
なお、上述の各実施形態においては、選別機30の押出部材31はコンベア12またはローラコンベア15の搬送経路12上で伸縮動作するものとしたが、
図5(c)に示すように、押出部材31がローラコンベア15の所定数のローラ15aが回転自在に貫通する複数の貫通穴もしくはU字形の切欠きを有し、所定数のローラ15aの軸線方向に往復移動するように構成されてもよい。さらに、アクチュエータ33をステッピングモータ等の回転アクチュエータで構成する場合、アクチュエータ33の出力回転を押出部材31の往復直線運動に変換する公知の運動変換機構を併用する駆動機構を、コンベアの下方に配置することが考えられる。また、上述の各実施形態においては、物品検知センサ41または42の検知情報を基に物品間隔Dを把握するものとしたが、所定搬送区間である検査区間Z1および選別区間Z2のそれぞれの上流端側に設置した2つの物品検知センサ41、42の検知情報を基に物品間隔Dを把握してもよいことはいうまでもない。
【0085】
以上説明したように、本発明の物品選別装置および物品検査装置は、選別手段による後続ワークの巻込みを確実に防止でき、かつ、搬送間隔が予め設定された所定動作時間よりも短い時間間隔となってしまった場合でも、選別動作を極力実行してコンベアの強制停止による生産性の低下を有効に抑制することができるものである。かかる本発明は、物品検査結果に応じてその物品を搬送経路上で選別するのに好適な選別装置および物品検査装置全般に有用である。