特開2021-161162(P2021-161162A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2021-161162粉体塗料およびその粉体塗料から得られる塗膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-161162(P2021-161162A)
(43)【公開日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】粉体塗料およびその粉体塗料から得られる塗膜
(51)【国際特許分類】
   C09D 163/00 20060101AFI20210913BHJP
   C09D 5/03 20060101ALI20210913BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20210913BHJP
【FI】
   C09D163/00
   C09D5/03
   C09D7/61
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-61871(P2020-61871)
(22)【出願日】2020年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000003322
【氏名又は名称】大日本塗料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】久保 政信
(72)【発明者】
【氏名】木口 忠広
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038DB061
4J038HA466
4J038KA03
4J038KA08
4J038KA20
4J038MA14
4J038NA01
4J038NA03
4J038NA11
4J038PA02
4J038PC02
(57)【要約】
【課題】本発明は、1コートであっても2コート仕様と同等の防食性、耐チッピング性及び塗膜外観が得られる粉体塗料を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の目的は、
少なくとも、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)および顔料(C)を含有する粉体塗料であって、該顔料(C)が、SiまたはAlの少なくともいずれか一方を含有する酸化物であり、アスペクト比は2以下であり、体積平均粒子径をDとしたとき、Dは1〜30μmであり、かつDの4.0倍以上の粒子径を有する粒子を実質的に含有しない粉体塗料、によって達成された。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)および顔料(C)を含有する粉体塗料であって、該顔料(C)が、SiまたはAlの少なくともいずれか一方を含有する酸化物であり、アスペクト比は2以下であり、体積平均粒子径をDとしたとき、Dは1〜30μmであり、かつDの4.0倍以上の粒子径を有する粒子を実質的に含有しない粉体塗料。
【請求項2】
前記顔料(C)が、前記粉体塗料に5〜50質量%含有される請求項1記載の粉体塗料。
【請求項3】
前記顔料(C)が、アルミノケイ酸塩である請求項1または2に記載の粉体塗料。
【請求項4】
被塗物上に、少なくとも、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)および顔料(C)を含有する粉体塗料の反応物からなる塗膜であって、該顔料(C)が、SiまたはAlの少なくともいずれか一方を含有する酸化物であり、体積平均粒子径をDとしたとき、Dは1〜30μmであり、かつDの4.0倍以上の粒子径を有する粒子を実質的に含有せず、膜厚が100μm以上である塗膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1コートであっても2コート仕様と同等の防食性、耐チッピング性及び塗膜外観が得られる粉体塗料およびその粉体塗料から得られる塗膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コイルばねなどの高張力応力鋼については、防食性や耐チッピング性が求められることから、亜鉛含有粉体塗料を塗装・硬化させた後、エポキシ樹脂粉体塗料を塗装する2コート仕様が一般的に行われてきた(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかし、近年は工程短縮の要望があることから、1コート仕様の開発が行われている。例えば、特許文献2には40〜75質量%のエポキシ樹脂と15質量%超のガラス繊維である強化繊維を含む粉体塗料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−313475号公報
【特許文献2】特開2016−540839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この1コート仕様の粉体塗料では、良好な塗膜外観が得られにくいという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、1コートであっても2コート仕様と同等の防食性、耐チッピング性及び塗膜外観が得られる粉体塗料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、下記によって本発明の目的が達成されることを見出した。
【0008】
1. 少なくとも、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)および顔料(C)を含有する粉体塗料であって、該顔料(C)が、SiまたはAlの少なくともいずれか一方を含有する酸化物であり、アスペクト比は2以下であり、体積平均粒子径をDとしたとき、Dは1〜30μmであり、かつDの4.0倍以上の粒子径を有する粒子を実質的に含有しない粉体塗料。
2. 前記顔料(C)が、前記粉体塗料に5〜50質量%含有される前記1記載の粉体塗料。
3. 前記顔料(C)が、アルミノケイ酸塩である前記1または2に記載の粉体塗料。
4. 被塗物上に、少なくとも、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)および顔料(C)を含有する粉体塗料の反応物からなる塗膜であって、該顔料(C)が、SiまたはAlの少なくともいずれか一方を含有する酸化物であり、体積平均粒子径をDとしたとき、Dは1〜30μmであり、かつDの4.0倍以上の粒子径を有する粒子を実質的に含有せず、膜厚が300μm以上である塗膜。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、1コートであっても2コート仕様と同等の防食性、耐チッピング性及び塗膜外観が得られる粉体塗料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、この記載に限定されるものではない。
【0011】
<粉体塗料>
本発明の粉体塗料は、少なくとも、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)および顔料(C)を含有する粉体塗料であって、該顔料(C)が、SiまたはAlの少なくともいずれか一方を含有する酸化物であり、アスペクト比は2以下であり、体積平均粒子径をDとしたとき、Dは1〜30μmであり、かつDの4.0倍以上の粒子径を有する粒子を実質的に含有しないことを特徴とする。
【0012】
<エポキシ樹脂(A)>
本発明に使用されるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルアミン型樹脂、複素環式エポキシ樹脂、多官能型エポキシ樹脂などがあげられる。これらは単独でまたは併用して使用することができる。
【0013】
具体的には、ビスフェノールAとエピハロヒドリン、たとえばエピクロロヒドリンとから合成される固形エポキシ樹脂、ビスフェノールAと2価フェノール類およびエピハロヒドリンから誘導されるエポキシ樹脂とビスフェノールAとの伸長反応により得られる固形エポキシ樹脂などが好ましく挙げられる。
【0014】
そのようなエポキシ樹脂としては、三菱化学(株)製jER1004、jER1004F、jER1007、jER4005P、DIC(株)製EPICLON3050、EPICLON4050、新日鉄住金化学(株)製エポトートYD014D、南亜プラスチック(株)製EPONANYANPES−904などが入手可能である。
【0015】
エポキシ樹脂の軟化点は特に限定されるものではないが、好ましくは60〜150℃であり、エポキシ当量も特に限定されるものではないが、好ましくは400〜3000のものである。
【0016】
本発明においては、エポキシ当量の異なる複数のエポキシ樹脂を混合して使用することができる。その場合、エポキシ当量が1000以下のものと、1000以上のものを組み合わせることが好ましく、最小のエポキシ当量を有するエポキシ樹脂(A−min)と最大のエポキシ当量を有するエポキシ樹脂(A−max)のエポキシ当量の差は、300以上、好ましくは500以上であり、より好ましくは800以上である。
【0017】
<硬化剤(B)>
本発明の硬化剤は、通常使用される硬化剤であれば特に限定されるものではないが、たとえばイミダゾール系化合物、イミダゾリン系化合物、ジシアンジアミド、酸無水物、ポリカルボン酸ヒドラジドおよびその誘導体、フェノール樹脂およびその誘導体などがあげられる。
【0018】
なかでも、イミダゾール系化合物、イミダゾリン系化合物またはポリカルボン酸ヒドラジドおよびその誘導体を単独または併用して用いることが好ましい。特にはポリカルボン酸ヒドラジドが好ましい。
【0019】
ポリカルボン酸ヒドラジドとしては、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオンジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド等が挙げられる。
【0020】
その誘導体としては、例えば、N−シクロヘキシル−β−アミノプロピオンヒドラジド、N−フェニル−β−アミノプロピオンヒドラジド、N−ブチル−β−アミノプロピオンヒドラジド、N−ベンジル−β−アミノプロピオンヒドラジドなどのN−置換−β−アミノプロピオンヒドラジド類が挙げられる。
【0021】
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。硬化剤は、通常エポキシ樹脂100質量部に対して1〜40質量部の範囲で含有する。
【0022】
<顔料(C)>
本発明の顔料は、SiまたはAlの少なくともいずれか一方を含有する酸化物であり、アスペクト比は2以下であり、体積平均粒子径をDとしたとき、Dは1〜30μmであり、かつDの4.0倍以上の粒子径を有する粒子を実質的に含有しないことを特徴とする。
【0023】
ここでアスペクト比とは、粒子の最長軸と最短軸の比率をいい電子顕微鏡写真による100個の粒子での平均値をいう。体積平均粒子径Dは、レーザー回折・散乱法によって測定した値である。レーザー回折・散乱法の粒子径測定装置としては、例えば、マイクロトラック・ベル株式会社のマイクロトラックMT3100IIなどが挙げられる。
【0024】
またDの4.0倍以上の粒子径を有する粒子を実質的に含有しないとは、Dの4.0倍の粒子径を有する粒子が、全粒子中に0.1質量%以下であることをいう。篩を通し分級することにより、Dの4.0倍以上の粒子径を有する粒子を全粒子中に0.1質量%以下とすることができる。
【0025】
また、Dの2.5倍以上の粒子径を有する粒子が、全粒子中に対して1.0質量%以下であることがより好ましい。なお、以下体積平均粒子径を単に平均粒径、平均粒子径と略すこともある。
【0026】
本発明の顔料は、SiまたはAlの少なくともいずれか一方を含有する酸化物粒子である。例えば、長石類、シリカ(SiO)、石英、α−アルミナ、炭化珪素等が挙げられる。好ましくは、SiおよびAlの両方を含む長石類が含まれるアルミノケイ酸塩(AlSiO)である。
【0027】
長石類は、長石及び準長石を含有しており、準長石が好ましい。なお、長石類は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。長石としては、例えば、正長石、サニディン、微斜長石、アノーソクレースなどのアルカリ長石;曹長石、灰曹長石、中性長石、曹灰長石、亜灰長石、灰長石などの斜長石などが挙げられる。
【0028】
準長石としては、例えば、カリ霞石(カルシライト)、灰霞石(カンクリナイト)などの霞石(ネフェリン)、霞石閃長石(ネフェリンサイアナイト)、白榴石(リューサイト)、方ソーダ石(ソーダライト)、藍方石(アウイン)、青金石(ラズライト)、黝方石(ノゼアン)、黄長石(メリライト)などが挙げられ、霞石閃長石(ネフェリンサイアナイト)が好ましい。なお、霞石閃長石は、閃長石と記載されることもある。
【0029】
これらは例えば、FinEx,FinExNF(楠本化成(株)製)、ミネックスEX、ミネックス7、ミネックスSP(白石カルシウム社製、商品名)として入手することができる。
【0030】
顔料は、エポキシ樹脂100質量部に対して、10〜100質量部含有させることができ、より好ましくは15〜60質量部である。また、顔料は粉体塗料組成物に対して、5〜50質量部含有させることが好ましく、10〜40質量部がより好ましい。
【0031】
<その他の添加剤>
本発明の粉体塗料には、その他の添加剤として、他の樹脂、艶消し剤、表面調整剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、増粘剤、沈降防止剤、皮張り防止剤、たれ防止剤、消泡剤、色分かれ防止剤、レベリング剤、乾燥剤、可塑剤、成膜助剤、防カビ剤、抗菌剤、殺虫剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤及び導電性付与剤等を目的に応じて適宜配合することができる。これら成分は、市販品を好適に使用することができる。
【0032】
<粉体塗料の製造方法>
本発明の粉体塗料の製造方法は、上述の粉体塗料の組成物を調製する方法であり、詳細には、上記エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び顔料(C)を含む混合物を100〜160℃にて溶融混練し、次いで該混合物を冷却後に粉砕し、粉体塗料を調製することを特徴とする。好ましくは、混合物をヘンシェルミキサー等でドライブレンドした後、コ・ニーダ等を用いて120〜140℃で溶融混練し、冷却、粉砕後、所望のメッシュの篩等を用いて分級して、粉体塗料を得ることができる。
【0033】
<塗膜>
本発明の粉体塗料は、通常の方法により、例えば、被塗布物として建築用サッシや建築用パネル等のアルミニウム合金、鉄道橋、道路橋、ガスタンク、石油タンク、鉄塔、ばね等の炭素鋼等の鋼材または金属からなる基材の表面に塗装され、次いで、好ましくは170〜250℃の範囲、更に好ましくは170〜210℃の範囲の温度にて溶融・硬化(焼き付け・反応)されることによって塗膜が形成されることになる。
【0034】
塗膜の膜厚は50μm以上1500μm以下であり、好ましくは100〜1200μmであり、より好ましくは300μm以上1000μm以下である。
【実施例】
【0035】
以下に示す実施例により、本発明を詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例の記載について「部」及び「%」は質量基準に基づくものである。
【0036】
<1.実施例1〜3、比較例1〜3の粉体塗料の調製>
表1に示される原料を配合し、高速ミキサー内に投入して1分間混合した。そして、120℃に温度調整した2軸練合機(東芝社製)を用いて混練を行い、吐出された混練物を冷却ロールで冷延後、ピンミルを用いて粉砕し、180メッシュの網で分級し、各粉体塗料組成物(50%体積平均粒子径:30μm)を得た。
【0037】
表1に記載の原料は次の通りである。
1)エポキシ樹脂1(商品名:エポトートYD−013、日鉄ケミカル&マテリアル社製、エポキシ当量800〜900、軟化点95℃、BPA型エポキシ樹脂)
2)エポキシ樹脂2(商品名:jER1007、三菱ケミカル社製、エポキシ当量1750〜2200、軟化点128℃、BPA型エポキシ樹脂)
3)無機酸化物1(商品名:ミネックスSP((霞石閃長岩(霞石;(Na、K)AlSiOの1種)、平均粒径15μm、アスペクト比:2以下)、白石カルシウム社製)を篩で分級し、粒子径40μm以上の粒子が実質的に含まれず、粒子径25μm以上の粒子が1.0%を超えて含まないように調製したもの。)
4)無機酸化物2(商品名:ミネックスSP((霞石閃長岩(霞石;(Na、K)AlSiOの1種)、平均粒径15μm、アスペクト比:2以下)、白石カルシウム社製)を、分級を行わず、粒子径40μm以上の粒子が0.1%を超えて含まれるもの。)
5)無機酸化物3(商品名:サイカテックKH−6(メタケイ酸カルシウム)、啓和ファインマテリアル社製、粒子径5〜20μm、アスペクト比:3以上の繊維状粒子)
【0038】
なお、無機酸化物1〜3の粒子径は、マイクロトラック・ベル株式会社のマイクロトラックMT3100IIを用いて測定した。具体的には、0.2質量%のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液60mLに試料濃度が2〜3質量%になるように試料を入れ、超音波ホモジナイザーで2分間撹拌させた後、マイクロトラックMT3100IIを用いて粒子径を測定した。
【0039】
6)着色顔料(商品名:MA100(カーボンブラック)、三菱ケミカル社製)
7)アミン系硬化剤(アジピン酸ジヒドラジド、日本ファインケム社製)
8)イミダゾール系触媒(商品名:キュアゾールC17Z(2−ヘプタデシルイミダゾール)、四国化成社製)
9)レベリング剤(商品名:ポリフローPW−95、共栄社化学社製)
10)可とう性付与剤(商品名:ウルトラセン530(エチレン・酢酸ビニル共重合物)、東ソー社製)
11)滑材(商品名:SYLYSIA350(平均粒径:4μm、シリカ)、富士シリシア社製、)
【0040】
<2.試験板の作製>
上記実施例1〜3及び比較例1〜3で作製した粉体塗料において、板厚0.8mmのリン酸亜鉛処理鋼板を垂直方向に吊り下げ、コロナ帯電式静電粉体塗装機(旭サナック社製 PG−1型)を用いて−60kVの電圧で膜厚300〜400μm及び800〜1000μmとなるように静電塗装し、電気炉にて180℃×20分の条件で焼き付けを行い、そのまま室温になるまで放冷して試験板を作製した。
【0041】
<3.性能評価>
実施例1〜3及び比較例1〜3の試験板について、塗膜外観(仕上がり性)、耐チッピング性および防食性を次の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0042】
≪外観(仕上がり性)の目視評価≫
○:平滑な塗膜が得られ、外観が良好である。
×:平滑な塗膜が得られず、外観が不良である。
【0043】
≪耐チッピング性試験1≫
実施例1〜3及び比較例1〜3の試験板について、塗装板を−30℃の低温恒温機内で6時間以上保持した後に飛石試験機(スガ試験機製、JA400Z)にてチッピングを実施した後の塗膜外観を目視評価した。
【0044】
チッピングの条件は6号砕石(200g)、エア圧:0.5MPa、噴出距離:300mmの条件で2回実施した。
○:表面にわずかな傷は存在するが、基材に達するほどの傷ではなく、実用上問題ないレベルである。
△:表面に傷が存在し、基材に達するほどの傷もわずかにあり、剥離箇所がわずかに認められる。
×:表面に多数の傷が存在し、基材に達するほどの傷があり、剥離箇所が認められる。
【0045】
≪耐チッピング性試験2≫
エア圧を1.0MPaに変更した以外は、耐チッピング性試験1と同様の条件で試験を行った。評価基準は耐チッピング性試験1と同様である。
【0046】
≪防食性の評価≫
上記耐チッピング性試験1又は耐チッピング性試験2を行った後の塗装板をJIS K5600 7−1:1999に規定されている耐中性塩水噴霧性試験に供した。24時間保管し、取り出した後の剥離箇所の錆の発生の有無を評価した。
○:錆発生が確認されなかった。
△:剥離箇所からわずかに錆発生を確認した。
×:剥離箇所から錆発生を確認した。
【0047】
【表1】
【0048】
表1から判るように、本発明は、1コートであっても2コート仕様と同等の防食性、耐チッピング性及び塗膜外観が得られる粉体塗料であることが明確である。