(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-161386(P2021-161386A)
(43)【公開日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】ブルーライトカットコンタクトレンズ及びその組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 2/46 20060101AFI20210913BHJP
G02C 7/02 20060101ALI20210913BHJP
G02C 7/04 20060101ALI20210913BHJP
【FI】
C08F2/46
G02C7/02
G02C7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2021-32308(P2021-32308)
(22)【出願日】2021年3月2日
(62)【分割の表示】特願2020-90482(P2020-90482)の分割
【原出願日】2020年5月25日
(31)【優先権主張番号】109111035
(32)【優先日】2020年3月31日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】510162218
【氏名又は名称】株式会社El Dorado
(74)【代理人】
【識別番号】100136847
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼山 嘉成
(72)【発明者】
【氏名】林 文卿
(72)【発明者】
【氏名】李 靜芳
(72)【発明者】
【氏名】陳 季晴
(72)【発明者】
【氏名】藤原 智洋
【テーマコード(参考)】
2H006
4J011
【Fターム(参考)】
2H006BA01
2H006BA06
2H006BB01
4J011AC04
4J011PA03
4J011PA43
4J011PA45
4J011QA02
4J011QA03
4J011QA07
4J011QA08
4J011QA13
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4J011QA34
4J011QA39
4J011QA46
4J011QB16
4J011QC07
4J011SA02
4J011SA14
4J011SA16
4J011SA19
4J011SA34
4J011SA38
4J011SA44
4J011SA48
4J011SA61
4J011SA84
4J011TA02
4J011TA03
4J011WA10
(57)【要約】
【課題】ブルーライトカット機能を持ち、着用者の視覚疲労を防ぎ、視覚色差を防ぎ、かつ美観効果を向上するのに役立つコンタクトレンズを製造するに適するブルーライトカットコンタクトレンズ組成物を提供する。
【解決手段】ブルーライトカットコンタクトレンズ組成物は、少なくとも1つのヒドロゲルモノマーと、黄色染料と、青色顔料と、架橋剤と、光開始剤とを含む。本発明は、また、雄型と雌型とを含む金型を提供する工程と、黄色染料と青色顔料とを含むブルーライトカットコンタクトレンズ組成物を調製する工程と、組成物を雌型へ注入し、雄型と雌型とによりプレス加工を行う工程と、光硬化を行い、レンズ本体を形成する工程と、水和を行い、コンタクトレンズを形成する工程と、を含むブルーライトカットコンタクトレンズの製造方法を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのヒドロゲルモノマーと、黄色染料と、青色顔料と、架橋剤と、光開始剤とを混合して得られるブルーライトカットコンタクトレンズ組成物であって、
前記黄色染料及び前記青色顔料の含有量は前記組成物の0.01〜1wt%である、
ブルーライトカットコンタクトレンズ組成物。
【請求項2】
前記黄色染料及び前記青色顔料の含有量は前記組成物の0.07〜0.36wt%である、
請求項1に記載のブルーライトカットコンタクトレンズ組成物。
【請求項3】
前記黄色染料及び前記青色顔料の含有量は前記組成物の0.07〜0.32wt%である、
請求項2に記載のブルーライトカットコンタクトレンズ組成物。
【請求項4】
前記黄色染料及び前記青色顔料の含有量は前記組成物の0.07〜0.26wt%である、
請求項3に記載のブルーライトカットコンタクトレンズ組成物。
【請求項5】
前記黄色染料及び前記青色顔料の含有量は前記組成物の0.07〜0.20wt%である、
請求項4に記載のブルーライトカットコンタクトレンズ組成物。
【請求項6】
前記黄色染料及び前記青色顔料の含有量は前記組成物の0.07〜0.13wt%である、
請求項5に記載のブルーライトカットコンタクトレンズ組成物。
【請求項7】
前記黄色染料及び前記青色顔料の含有率は11:1〜7:1である、
請求項1〜6のいずれかに記載のブルーライトカットコンタクトレンズ組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つのヒドロゲルモノマーは、1つの不飽和炭化水素基の親水性分子である、アクリル酸、メタクリル酸、N−ビニルピロリドン、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、2−ヒドロエチルメタクリラート、又はその組合を含み、前記少なくとも1つのヒドロゲルモノマーの前記ブルーライトカットコンタクトレンズ組成物の総質量に対する質量%は、50〜99wt%である、
請求項1〜7のいずれかに記載のブルーライトカットコンタクトレンズ組成物。
【請求項9】
前記架橋剤は、エチレングリコールジメタクリラート、テトラエチレングリコールジメタクリラート、ジエチレングリコールジメタクリラート、ポリエチレングリコールジメタクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、ペンタエリスリトールテトラメタクリラート、ビスフェノールAジメタクリラート、ビニルメタクリラート、又はその組合であり、かつ前記架橋剤の前記ブルーライトカットコンタクトレンズ組成物の総質量に対する質量%は、0.01〜2.5wt%である、
請求項1〜8のいずれかに記載のブルーライトカットコンタクトレンズ組成物。
【請求項10】
前記光開始剤は、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α,α−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ベンジル−1−アセトン、又はその組合であり、かつ前記光開始剤の前記ブルーライトカットコンタクトレンズ組成物の総質量に対する質量%は、0.01〜2.5wt%である、
請求項1〜9のいずれかに記載のブルーライトカットコンタクトレンズ組成物。
【請求項11】
さらに紫外線吸収剤を含み、前記紫外線吸収剤は、2−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]エチル2−メタクリラート、2、2’、4、4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、又はその組合であり、かつ前記紫外線吸収剤の前記ブルーライトカットコンタクトレンズ組成物の総質量に対する質量%は、0.01wt%〜1.5wt%である、
請求項1〜10のいずれかに記載のブルーライトカットコンタクトレンズ組成物。
【請求項12】
少なくとも、黄色染料と、青色顔料とを混合した組成物で製造されたブルーライトカットコンタクトレンズであって、380〜460nm域のブルーライトのカット率が10%以上55%以下であることを特徴とする、ブルーライトカットコンタクトレンズ。
【請求項13】
前記ブルーライトのカット率は、10%以上40%以下であることを特徴とする、請求項12に記載のブルーライトカットコンタクトレンズ。
【請求項14】
前記ブルーライトのカット率は、10%以上30%以下であることを特徴とする、請求項13に記載のブルーライトカットコンタクトレンズ。
【請求項15】
前記ブルーライトのカット率は、10%以上25%以下であることを特徴とする、請求項14に記載のブルーライトカットコンタクトレンズ。
【請求項16】
前記ブルーライトのカット率は、10%以上20%以下であることを特徴とする、請求項15に記載のブルーライトカットコンタクトレンズ。
【請求項17】
緑色、青緑色又は青色の色調を呈する、
請求項12〜16のいずれかに記載のブルーライトカットコンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブルーライトカットコンタクトレンズ
及びその組成物に関し、特に、ブルーライトカット機能及び美観効果を兼ねるコンタクトレンズ
及びその組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の急速な発展により、3C、電子製品などは現代生活の必需品になりつつある。しかし、例えばLEDライトや、タブレットPC、テレビ、スマートフォンなどの画面はブルーライトを発する。このため、3C製品を使用する時、画面から発するブルーライトが目に入ってくることは防げない。ブルーライトは、紫外線波に最も近い強いエネルギーを持つ可視光の一部であり、その波長は380〜530nmの範囲にある。波長が短いため、先に網膜の前に集束するため、散乱が発生しやすくなる。したがって、目を集中させることが必要となり、リラックスすることが困難になる。長時間にわたれば、目視による画像のコントラスト及び鮮明さが低下し、目の疲労が増加しやすくなる。
【0003】
近年、多くの研究は、ブルーライトが視細胞の光感受性及び光酸化反応を高めることにより、軽症では視覚への影響から、重症では網膜細胞の損傷、特に高い光感受性を持つ黄斑部の損傷までにつながる、細胞死を引き起こすことを示している。
【0004】
ブルーライトは目に入った後、角膜や水晶体で吸収されず、角膜や水晶体を通過し直接黄斑部へ達する。ブルーライトを吸収しすぎると、初期は目の痛みや羞明などの症状が出て、長期的になると黄斑部に炎症や浮腫が生じ、また、黄斑部の中心にドルーゼンができることがある。一旦ドルーゼンが破れて出血を引き起こすと、中心視力障害を引き起こし、はっきりと見ることができなくなる。過去には黄斑変性症は高齢者に発生しやすかったが、現代では生活の変化やブルーライト刺激の増加に伴い、発症年齢層が低下する傾向にあるため、ブルーライトカットは重要な課題となっている。
【0005】
前述したブルーライトにより引き起こされるさまざまな問題に対応し、ブルーライトへの露出を最小限に抑えることに加え、現在ではより積極的な解決策は、ブルーライトカット眼鏡を着用することである。既存の市販のブルーライトカット眼鏡は、目の外に着用する眼鏡であり、主にガラス又はプラスチックのレンズにブルーライトカット層をコーティングしてから、ガラス又はプラスチックレンズをフレームに組み立てることにより製造される。しかし、実際に着用する時、目の外に着用する眼鏡と目との距離が離れているため、ブルーライトは必ずレンズを通るとは限らず、装着者の目に入ることがある。そのため、ブルーライトはそのまま直接着用者の目に入る可能性が残る。したがって、既存の市販のアンチブルーライト眼鏡は、ブルーライトを完全に遮断することができず、また、コンタクトレンズの着用に慣れている人達に対してブルーライトカットの保護を提供することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中華民国特許第M487455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、眼球の表面に付けられるコンタクトレンズにブルーライトカット効果を追加できる場合、ブルーライトをブロックして着用者の目を保護することにより役立つと考えられる。これについて、例えば、中華民国特許第M487455号(特許文献1)に開示されている「ブルーライトフィルター及びUVカット機能を備えたカラーコンタクトレンズ」は、上層レンズと、中間層レンズと、下層レンズとで構成され、上層レンズにあるブルーライトフィルターのコーティング剤により、目へのブルーライトの入射を低減させる。しかし、このタイプのコンタクトレンズは時間、労力、及びコストがかかるだけでなく、目に損傷を与える恐れがある。
【0008】
本発明は、ブルーライトカット機能を持ち、着用者の視覚疲労を防ぎ、視覚色差を防ぎ、かつ美観効果を向上するのに役立つコンタクトレンズを製造するに適するブルーライトカットコンタクトレンズ組成物を提供する。
【0009】
本発明は、また、ブルーライトカット機能及び美観を兼ねるコンタクトレンズを製造するに適するブルーライトカットコンタクトレンズ組成物の製造方法を提供する。
【0010】
本発明は、さらに、ブルーライトカット機能を持ちながら、美観で着用者の使用感を向上するのに役立つブルーライトカットコンタクトレンズを提供する。
【0011】
本発明に係る他の目的及び利点は、本発明が開示する技術特徴よりさらに理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した一つ、一部又は全部の目的、又は他の目的を達成するため、本発明が提供するブルーライトカットコンタクトレンズ組成物は、少なくとも1つのヒドロゲルモノマーと、黄色染料と、青色顔料と、架橋剤と、光開始剤とを混合して得られ、黄色染料及び青色顔料の含有量は、組成物の0.01〜1wt%を占める。
【0013】
本発明に係る実施例において、黄色染料及び青色顔料の含有量は組成物の0.07〜0.36wt%である。
【0014】
本発明に係る実施例において、黄色染料及び青色顔料の含有量は組成物の0.07〜0.32wt%である。
【0015】
本発明に係る実施例において、黄色染料及び青色顔料の含有量は組成物の0.07〜0.26wt%である。
【0016】
本発明に係る実施例において、黄色染料及び青色顔料の含有量は組成物の0.07〜0.20wt%である。
【0017】
本発明に係る実施例において、黄色染料及び青色顔料の含有量は組成物の0.07〜0.13wt%である。
【0018】
本発明に係る実施例において、黄色染料及び前記青色顔料の含有率は11:1〜7:1である。
【0019】
本発明に係る実施例において、上述した少なくとも1つのヒドロゲルモノマーは1つの不飽和炭化水素基の親水性分子である、アクリル酸、メタクリル酸、N−ビニルピロリドン、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、2−ヒドロエチルメタクリラート、又はその組合を含み、かつ少なくとも1つのヒドロゲルモノマーのブルーライトカットコンタクトレンズ組成物の総質量に対する質量%は、50〜99wt%である。
【0020】
本発明に係る実施例において、上述した架橋剤は、エチレングリコールジメタクリラート、テトラエチレングリコールジメタクリラート、ジエチレングリコールジメタクリラート、ポリエチレングリコールジメタクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、ペンタエリスリトールテトラメタクリラート、ビスフェノールAジメタクリラート、ビニルメタクリラート、又はその組合であり、かつ架橋剤のブルーライトカットコンタクトレンズ組成物の総質量に対する質量%は、0.01〜2.5wt%である。
【0021】
本発明に係る実施例において、上述した光開始剤は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α,α−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ベンジル−1−アセトン、又はその組合であり、かつ光開始剤のブルーライトカットコンタクトレンズ組成物の総質量に対する質量%は、0.01〜2.5wt%である。
【0022】
本発明に係る実施例において、上述した組成物は、さらに紫外線吸収剤を含む。紫外線吸収剤は、2−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]エチル2−メタクリラート、2、2’、4、4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、又はその組合であり、かつ紫外線吸収剤のブルーライトカットコンタクトレンズ組成物の総質量に対する質量%は、0.01〜1.5wt%である。
【0023】
上述した一つ、一部、又は全部の目的、又は他の目的を達成するため、本発明が提供するブルーライトカットコンタクトレンズの製造方法は、雄型と雌型とを含む金型を提供する工程と、黄色染料と青色顔料とを混合してブルーライトカットコンタクトレンズ組成物を調製する工程と、組成物を雌型へ注入し、雄型と雌型とによりプレス加工を行う工程と、光硬化を行い、レンズ本体を形成する工程と、水和を行い、コンタクトレンズを形成する工程と、を含む。
【0024】
本発明に係る実施例において、上述した雌型の内部表面には、カラーコンタクトレンズの模様となるカラーパターンが印刷されており、カラーパターンがレンズ本体の水和に伴い雌型から離れることで、模様が着色したコンタクトレンズが製造される。
【0025】
本発明に係る実施例において、上述したブルーライトカットコンタクトレンズ組成物を調製する工程は、さらに、少なくとも1つのヒドロゲルモノマーと、黄色染料と、青色顔料と、架橋剤と、光開始剤とを混合させる工程を含む。
【0026】
本発明に係る実施例において、上述したブルーライトカットコンタクトレンズ組成物を調製する工程は、さらに、少なくとも1つのヒドロゲルモノマーと、黄色染料と、青色顔料と、架橋剤と、光開始剤と、紫外線吸収剤とを混合させる工程を含む。
【0027】
本発明に係る実施例において、上述した光硬化を行い、レンズ本体を形成する工程は、さらに、雌型内の組成物に対し紫外線を照射することにより、組成物に光重合反応を引き起こさせレンズ本体を形成する工程を含む。
【0028】
本発明に係る実施例において、上述した方法は、さらに、雄型を取り外し、レンズ本体を雌型内に残すことで、水和を行い、コンタクトレンズを形成する工程を含む。
【0029】
本発明に係る実施例において、上述した水和を行い、コンタクトレンズを形成する工程は、さらに、40〜100℃の温度で水和を行い、コンタクトレンズを形成する工程を含む。
【0030】
本発明に係る実施例において、上述した方法は、さらに、コンタクトレンズの滅菌を行う工程を含む。
【0031】
本発明に係る実施例において、上述した滅菌を行う工程は、コンタクトレンズを緩衝液に浸し、滅菌する工程を含む。
【0032】
上述した1つ又は一部又は全部の目的、又は他の目的を達成するため、本発明が提供するブルーライトカットコンタクトレンズは、少なくとも、黄色染料と、青色顔料と混合した組成物で製造されたブルーライトカットコンタクトレンズであって、380〜460nm域のブルーライトのカット率が10%以上55%以下である。
【0033】
本発明に係る実施例において、ブルーライトのカット率は、10%以上40%以下である。
【0034】
本発明に係る実施例において、ブルーライトのカット率は、10%以上30%以下である。
【0035】
本発明に係る実施例において、ブルーライトのカット率は、10%以上25%以下である。
【0036】
本発明に係る実施例において、ブルーライトのカット率は、10%以上20%以下である。
【0037】
本発明に係る実施例において、上述したブルーライトカットコンタクトレンズは、緑色、青緑色又は青色の色調を呈する。
【発明の効果】
【0038】
本発明は黄色染料を含むため、波長がブルーライトの範囲である可視光を吸収することができ、それは目に到達する高エネルギー光の量を減らし、目の疲労、視力の低下、又は視細胞への損傷の可能性を減らすのに役立つ。本発明は青色顔料を含むため、前記ブルーライトカットコンタクトレンズ、前記組成物で製造されたブルーライトカットコンタクトレンズ、又は前記方法で製造されたブルーライトカットコンタクトレンズに適切な色調を帯びさせ、コンタクトレンズの外観及び着用者の使用感を向上するのに役立つ。
【0039】
本発明の上述及び他の目的、特徴及び利点がより理解しやすいようにするため、以下に実施例を挙げ、添付の図面を参照しながら、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、本発明の1つの実施例に係るブルーライトカットコンタクトレンズの製造方法を示すフローチャートである。
【
図2】
図2は、本発明の実施例であるサンプル1〜6のブルーライトカットコンタクトレンズについての各波長における光の透過率の平均値を示すグラフである。
図2によって、本発明の実施例における光の波長と透過率との関係の全体的傾向を示す。
【
図3】
図3は、対照群に対する光の波長と透過率との関係を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の1つの実施例(サンプル7)に係るブルーライトカットコンタクトレンズと対照群3との外観を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の1つの実施例(サンプル7)に係るブルーライトカットコンタクトレンズと対照群2との外観を示す図である。 なお、
図4A及び
図4Bについては、パリ条約に基づく優先権主張の基礎出願においては、カラー画像として出願しているところ、日本国出願においては、グレースケールでの出願しか認められないため、グレースケールでの画像となっているが、各コンタクトレンズは、後述するような色を有している。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、少なくとも1つのヒドロゲルモノマーと、黄色染料と、青色顔料と、架橋剤(crosslinker)と、光開始剤(photoinitiator)とを含むブルーライトカットコンタクトレンズの組成物を提供する。
【0042】
ヒドロゲルモノマーは、コンタクトレンズのレンズ本体を構成し、レンズ本体に機械的強度を付与し、かつ形成されるコンタクトレンズの含水量に影響を与えることができる。異なるヒドロゲルモノマーにより形成されるレンズ本体は異なる保湿性を有する。ヒドロゲルモノマーは重合反応によりレンズ本体を形成する。本発明の実施例において、ヒドロゲルモノマーは、光重合反応によりコンタクトレンズのレンズ本体に使用できる任意のモノマーであってよい。本発明の実施例に係るヒドロゲルモノマーは、好ましくは、1つの不飽和炭化水素基の親水性分子を含み、例えば、アクリル酸、メタクリル酸(methacrylic acid、MAA)、N−ビニルピロリドン、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−hydroxyethyl methacrylate、HEMA)、又はその組合を含むが、これらに限定されない。1つの実施例において、2種類以上のヒドロゲルモノマー、例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−hydroxyethyl methacrylate、HEMA)及びメタクリル酸(methacrylic acid、MAA)によりレンズ本体を形成する。ヒドロゲルモノマーの含有量は、ブルーライトカットコンタクトレンズ組成物の50〜99wt%を占める。他の実施例において、熱重合反応によりレンズ本体を形成できるヒドロゲルモノマーを選んでよい。
【0043】
ヒドロゲルモノマーは、架橋剤及び光開始剤が同時に存在する場合、光重合反応によりレンズ本体を形成することができる。架橋剤として、コンタクトレンズの製造に使用可能な任意の架橋剤を使用してよい。また、架橋剤は、使用するヒドロゲルモノマーに基づいて選択することができる。本発明の実施例に係る架橋剤は、例えば、エチレングリコールジメタクリラート(ethylene glycol dimethacrylate、EGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリラート、ジエチレングリコールジメタクリラート、ポリエチレングリコールジメタクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート(trimethylolpropanetrimethacrylate、TMPTMA)、ペンタエリスリトールテトラメタクリラート(pentaerythritoltetramethacrylate)、ビスフェノールAジメタクリラート、メタクリル酸ビニル(vinyl methacrylate)、又はその組合である。架橋剤の含有量は、好ましくは、ブルーライトカットコンタクトレンズ組成物の0.01〜2.5wt%を占める。
【0044】
光開始剤として、コンタクトレンズの製造に使用可能な任意の光開始剤を使用してよい。また、光開始剤は、使用するヒドロゲルモノマーに基づいて選択することができる。本発明の実施例に係る光開始剤は、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α,α−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ベンジル−1−アセトン(2−Hydroxy−2−methylpropiophenone)、又はその組合である。光開始剤の含有量は、好ましくは、ブルーライトカットコンタクトレンズ組成物の0.01〜2.5wt%を占める。
【0045】
本発明の実施例に係る黄色染料は、反応性黄色染料(Reactive Yellow 15)であるが、これに限定されない。また、他の1つ又は複数の黄色染料、黄色顔料を用いても良い。反応性黄色染料は、ビニルスルホン系反応性基染料であり、水溶性が大きいという特性を持ち、かつ可視光の約390〜430nmの波長範囲において明らかな吸収ピークがあり、ブルーライトを効果的にブロックすることができる。本発明の実施例に係る青色顔料は、フタロシアニンブルー15(Phthalocyanine Blue 15)であるが、これに限定されない。また、他の1つ又は複数の青色顔料、青色染料を用いても良い。青色顔料は、形成されるコンタクトレンズの色を調整するのに役立つ。黄色染料のみを使用して形成されるコンタクトレンズに黄色の色調を呈するのに対し、黄色染料及び青色顔料を含むコンタクトレンズは、緑、青緑又は青色の色調を呈する。青色顔料は、黄色染料がブルーライト波長を吸収するのに影響を与えない。また、コンタクトレンズの緑色、青緑色又は青色は、着用者の視覚疲労を防ぎ、視覚色差を防ぎ、かつ美観効果を向上するのに役立つ。黄色染料及び青色顔料の含有量は、好ましくは、ブルーライトカットコンタクトレンズ組成物の0.01〜1wt%を占める。黄色染料及び青色顔料の比率は任意であってよいが、好ましくは黄色染料の量が青色顔料の量より多い。黄色染料及び青色顔料の比率は、例えば、11:1〜7:1である。1つの実施例において、例えば、0.14gの黄色染料及び0.02gの青色顔料を使用する。
【0046】
ブルーライトカットコンタクトレンズの組成物は、さらに、紫外線吸収剤(UV blocker)を含むことができる。紫外線吸収剤として、コンタクトレンズの製造に使用可能な任意の紫外線吸収剤を使用してよい。また、紫外線吸収剤は、使用するヒドロゲルモノマーに基づいて選択することができる。本発明の実施例に係る紫外線吸収剤は、例えば、2−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]エチル2−メタクリラート、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、又はその組合である。紫外線吸収剤の含有量は、好ましくは、ブルーライトカットコンタクトレンズ組成物の0.01〜1.5wt%を占める。
【0047】
本発明は、さらに、工程S910〜S950を含む、ブルーライトカットコンタクトレンズの製造方法を提供する。
図1に示すように、工程S910において、雄型と雌型とを含む金型を提供する。金型は、射出成形の光学金型であってよく、雌型の内部表面にはパターンを印刷してよく、パターンは好ましくはマルチカラーである。工程S920において、ブルーライトカットコンタクトレンズ組成物(以下は組成物と略称する)を調製する。組成物は、前述した成分、すなわち、少なくとも1つのヒドロゲルモノマーと、黄色染料と、青色顔料と、架橋剤と、光開始剤とを含む。また、好ましくは、紫外線吸収剤を含む。
【0049】
実施方式1において、工程S920のように、組成物1〜6を調製し、また別に対照群(対照群1)を調製した。組成物1〜6及び対照群1のそれぞれの各成分の含有量は表1に示す通りである。対照群1と組成物1〜6との差異は、黄色染料及び青色顔料の含有量にある。
【表1】
注意すべきは、表1において、黄色染料及び青色顔料の総量は、組成物1〜6の順に増加し、また、黄色染料の量は、好ましくは、組成物1〜6の順に増加する。青色顔料の量も増加してよいが、本発明の実施例はそれについて限定しない。組成物1〜6は、同量の青色顔料を含むことができる。
【0050】
続いて、工程S930について説明する。工程S930において、組成物を雌型へ注入し、その後雄型と雌型とによりプレス加工を行う。プレス加工の条件は既知の方法を用いてよいため、本発明の実施例はこれについて限定しない。工程S940において、光硬化を行い、レンズ本体を形成する。本発明の実施例において、工程S940では、さらに、ヒドロゲルモノマーを含む組成物に対し紫外線を照射することにより、光重合反応を引き起こさせ、乾燥レンズ本体を形成することができる。光照射条件は、例えば、光源の波長に基づいて決めることができる。例えば、385nmの紫外線に基づいて光照射時間を決めることができるが、本発明の実施例はこれを限定しない。工程S950において、水和を行い、コンタクトレンズを形成する。
【0051】
水和を行う前、先に雄型を取り外し、レンズ本体を雌型内に残すことができる。工程S950を行う時、雌型はレンズ本体と一緒に水和タンク内に置かれ、加熱及び水和を行い濡れたレンズ本体、すなわちコンタクトレンズを形成する。コンタクトレンズは、その後滅菌処理を行うことができる。例えば、工程S950で得たコンタクトレンズは、その後包装カップに入れ、緩衝液を注入し、さらにパッケージングし滅菌することができる。緩衝液はPBS緩衝液であってよく、Na
2HPO
4、KH
2PO
4、NaCl、KCl、又はその組合を含むが、これらに限定されない。例えば、リン酸系、ホウ酸系緩衝液であってもよい。工程S910で提供される雌型は内部表面にカラーパターンを印刷可能であるため、工程S930〜S940において、カラーパターンが組成物と結合し、工程S950において、カラーパターンはレンズ本体の水和に伴い雌型から離れる。したがって、得られたコンタクトレンズは、表面にカラーパターンを有する。
【0053】
実施方式2において、実施方式1の組成物1〜6を、それぞれ、工程S930〜S950で用い、また滅菌を経てブルーライトカットコンタクトレンズのサンプル1〜6を形成した。対照群(対照群1)も同じ条件で処理し、対照群(対照群1)のコンタクトレンズを製造した。実施方式2で用いられたパラメータは表2に示す。
【表2】
【0054】
注意すべきは、実施方式2では、同じ条件で組成物1〜6を用い、コンタクトレンズを形成する。ただ、知っておくべきは、S930〜S950及び滅菌などの各工程は、それぞれ、例えば、表2に記載の光硬化時間、水和温度又は緩衝液と異なる、他の条件で組成物1〜6を処理することができる。また、表2に記載のパラメータは組成物1〜6以外の組成物に用いることもできる。
【0055】
実施方式2で得られたサンプル1〜6及び対照群(対照群1)について、さらに光透過率を測定し、結果を
図2〜3及び表3に示す。
【0056】
ここで、透過率とブルーライトカット率の関係について説明しておく。
たとえば、分光光度計を用いて、測定したい波長域における各波長(たとえば、1nm毎)の透過率を測定して、その総和を求めることで、測定したい波長域における透過率を求めることができる。そのため、ここで、透過率とは、測定したい波長域における透過率の積分値である。
表3では、ブルーライトカット率との用語を用いているが、ここで、ブルーライトカット率とは、380〜460nm域のブルーライトにおける各波長のカット率の総和(積分値)である。カット率は、100%−透過率として求めることができる。したがって、たとえば、当該波長域の透過率が75%である場合、ブルーライトカット率は、25%であるということとなる。
【0058】
図2〜3に示すように、ブルーライトカットコンタクトレンズ及び対照群(対照群1)のコンタクトレンズは、両方とも紫外線をカットすることができる。波長が380nm以下にある光の透過率(T%)はゼロに近い。しかし、対照群(対照群1)と比べ、ブルーライトカットコンタクトレンズは、さらにブルーライトをカットすることができる。
図2に示すように、ブルーライトカットコンタクトレンズは可視光を透過させ、かつブルーライトの波長範囲の可視光の透過率を下げることができる。
【0059】
本発明の実施例であるサンプル1〜6では、380〜460nm域のブルーライトのカット率が10%〜55%、すなわち、380〜460nm域のブルーライトの透過率が90%〜45%であった。ブルーライトをカットしすぎると、不自然な色合いとなるため、ブルーライトカット率は、40%以下がよく、好ましくは30%以下がよく、より好ましくは25%以下がよく、さらに好ましくは20%以下がよい。一方で、ブルーライトカット率が小さすぎては、ブルーライトカットの効果が得られないので、ブルーライトカット率は、10%以上とするがよく、好ましくはブルーライトカット率を15%以上とするのが好ましい。
【0060】
よって、本発明の好ましい実施例としては、ブルーライトカット率は、10%以上40%以下(若しくは、15%以上40%以下)がよく、好ましくは10%以上30%以下(若しくは、15%以上30%以下)がよく、より好ましくは10%以上25%以下(若しくは、15%以上25%以下)がよく、さらに好ましくは10%以上20%以下(若しくは、15%以上20%以下)がよい。
【0061】
なお、表1及び表3には示していないが、黄色染料及び青色顔料の含有率を0.16wt%としたサンプルでは、380〜460nm域のブルーライトに対しては、25%以下のブルーライトカット率を有することが確認されている。
【0062】
ゆえに、上記好ましい実施例における黄色染料及び青色顔料の含有率は、0.07〜0.26wt%がよく、好ましくは0.07〜0.20wt%がよく、より好ましくは0.07〜0.16wt%がよく、さらに好ましくは0.07〜0.13wt%がよい。
【0063】
このように、ブルーライトカット率が10%以上40%以下の場合が本発明の一つの実施例として、好ましいことが分かり、その場合の黄色染料及び青色顔料の含有率は、0.07〜0.26wt%となる。
【0064】
ただし、上記で示した数値はあくまでも好ましい例を示すものであり、本発明をこれらの数値に限定して解釈するものではない。
【0065】
なお、本発明をブルーライトカット率という機能的観点から捉え直すと、以下のような発明であると理解することができる。
【0066】
すなわち、本発明は、少なくとも1つのヒドロゲルモノマーと、黄色染料と、青色顔料と、架橋剤と、光開始剤とを含むブルーライトカットコンタクトレンズ組成物を用いて製造されたブルーライトカットコンタクトレンズであって、ブルーライトカット率が10%以上40%以下(若しくは、15%以上40%以下)であることを特徴とするブルーライトカットコンタクトレンズである。当該ブルーライトカットコンタクトレンズのブルーライトカット率は、10%以上30%以下(若しくは、15%以上30%以下)がよく、好ましくは10%以上25%以下(若しくは、15%以上25%以下)がよく、より好ましくは10%以上20%以下(若しくは、15%以上20%以下)がよい。
【0067】
この場合でも、上述したように、紫外線吸収剤をブルーライトカットコンタクトレンズ組成物に含有させて、ブルーライトカットコンタクトレンズが製造されてもよいことはいうまでもない。
【0068】
これに対して、対照群1のコンタクトレンズは、ブルーライト波長である光の大部分を通過させ、わずか約3%のブルーライトをブロックするだけである。
【0070】
実施方式3において、工程S920のように組成物7を調製し、また別に対照群(対照群2)を調製した。組成物7に含まれる黄色染料は総重量の0.13wt%を占め、また黄色染料対青色顔料の比率が7:1になるように青色顔料を添加した。対照群2も0.13wt%の黄色染料を含むが、青色顔料を含まない。続いて、工程S930〜S950に従い、組成物7及び対照群2を用い、それぞれブルーライトカットコンタクトレンズのサンプル7及び対照群(対照群2)のコンタクトレンズを製造し、外観を観察した。結果を
図4A〜4Bに示す。
【0071】
図4Aの左側は市販のUVカット水色コンタクトレンズ(対照群3)であり、右側はブルーライトカットコンタクトレンズ(サンプル7)である。
図4Bの左側は対照群(対照群2)のコンタクトレンズであり、右側はサンプル7である。サンプル7及び対照群(対照群2)のコンタクトレンズの成分は、前述した通りである。対照群3は、紫外線カット成分を含むが、ブルーライトカット波長の染料成分がないため、薄青色、薄青紫色又は薄紫色であり、かつ黄色の色調を帯びない。
図4A〜4Bに示すように、対照群(対照群2)のコンタクトレンズは明らかに黄色の色調を呈するが、黄色染料の含有量が同じでも、サンプル7は薄緑色である。
【0072】
以上のように、本発明の実施例はブルーライトカットの効果を有するだけでなく、外観では、ブルーライトカットコンタクトレンズは、人間の白目の自然な色に近い緑色、青緑色、又は青色の色調を呈する。ブルーライトカットコンタクトレンズの色は、着用時に「見えない」ようにし、着用者の視覚疲労を防ぎ、視覚色差を防ぎ、かつ美観効果を向上するのに役立つ。
【0073】
本発明は、さらに、黄色染料及び青色顔料を含むブルーライトカットコンタクトレンズを提供する。それは、前述した組成物、例えば、組成物1〜7を含み、及び/又は組成物1〜7から製造される。黄色染料及び青色顔料は前述した通りである。又は、ブルーライトカットコンタクトレンズは前述した方法により製造される。ブルーライトカットコンタクトレンズは、黄色染料を含むため、波長がブルーライトの範囲にある可視光の透過率を低減させることができる。
【0074】
本発明の実施例において、ブルーライトカットコンタクトレンズは、波長が380〜460nmの範囲にあるブルーライトをカットし、波長が380〜780nmの範囲にある光に対する透過率を85%より大きくするため、目に入る高エネルギー光の量を減らしながら、着用者の視界を妨げることなく可視光を透過させる。ブルーライトカットコンタクトレンズは、青色顔料を含むことで、人間の白目の自然な色に近い緑色、青緑色、又は青色の色調を呈するため、美観かつ着用者の使用感を向上するのに役立つ。
【0075】
上記の実施例で示した数値は一例であり、課題を解決する手段において記載した数値にまで、実施例の数値を拡張することができ、実施例に示すのと同様の効果が得られる。黄色染料及び青色顔料の含有量は、組成物の0.01〜1wt%の範囲にすることができる。黄色染料及び青色顔料の含有率は、11:1〜7:1の範囲にすることができる。少なくとも1つのヒドロゲルモノマーの含有量は、50〜99wt%の範囲にすることができる。架橋剤の含有量は、0.01〜2.5wt%の範囲にすることができる。光開始剤の含有量は、0.01〜2.5wt%の範囲にすることができる。紫外線吸収剤の含有量は、0.01〜1.5wt%の範囲にすることができる。このとき、当然、含有物の合計が、100wt%となるように、各含有量を調整すればよいことはいうまでもない。
【0076】
なお、
図2に示すように、400nm以下の波長付近で、グラフが上がっている、すなわち、透過率が上昇している箇所が見られる。いわゆる、バイオレットライトと呼ばれる、波長が360〜400nmの光については、近年の研究によって、ブルーライトカットしすぎると近視などが進む可能性が指摘されている。本発明によれば、バイオレットライト付近で、透過率が上昇するので、バイオレットライトは出来る限り透過させるというコンタクトレンズを提供することが可能となっている。このバイオレットライトの透過については、上記段落で説明した本発明の全ての範囲において、その効果が得られる。
【0077】
ブルーライトをカットしすぎると、バイオレットライトがカットされすぎるということが予想されるので、ブルーライトのカット率が高ければ高いほどよいとも限らない。そこで、ブルーライトカット率を10%〜40%の範囲にするのが好ましく、より好ましくは、10%〜30%の範囲にするのがよい。その場合、波長が380〜460nm域のブルーライトに対して透過率は60%以上90%以下、好ましくは70%以上90%以下となる。組成物としては、黄色染料及び青色顔料の含有率を0.07〜0.26wt%とし、好ましくは0.07〜0.20wt%とするとよい。
【0078】
なお、上記実施形態では、組成物として、少なくとも1つのヒドロゲルモノマーと、黄色染料と、青色顔料と、架橋剤と、光開始剤とを含むとしたが、コンタクトレンズを構成するための組成物であるところの少なくとも1つのヒドロゲルモノマーと、架橋剤と、光開始剤とは、他のコンタクトレンズ組成物に置き換えることができるので、必須の構成ではない。また、紫外線吸収剤も必須の構成ではない。よって、本発明においては、コンタクトレンズの組成物として、少なくとも、黄色染料と、青色顔料とが含まれていればよい。
【0079】
以上、実施例を用いて本発明を開示したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、いくつかの変更および修正を行うことができる。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲により決定されるものとする。
【0080】
また、本明細書に開示されている発明の構成要件は、それぞれ独立に単独した発明として成立するものとする。各構成要件をあらゆる組み合わせ方法で組み合わせた発明も、本発明に含まれることとする。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、ブルーライトカットコンタクトレンズ
及びその組成物であり、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0082】
S910〜S950:工程