【解決手段】本発明の湿気硬化型ホットメルト接着剤は、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応物であって分子両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A1)及びポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応物であって分子両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A2)を含むウレタンプレポリマーと、ポリメリックイソシアネートと、老化防止剤とを含有することを特徴とする。
ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールを含むポリオールとポリイソシアネートとの反応物であって分子両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、
ポリメリックイソシアネートと、
老化防止剤とを含有することを特徴とする湿気硬化型ホットメルト接着剤。
老化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を含有していることを特徴とする請求項1に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の湿気硬化型ホットメルト接着剤は、ウレタンプレポリマーと、ポリメリックイソシアネートと、老化防止剤とを含有する。
【0010】
[ウレタンプレポリマー]
ウレタンプレポリマーは、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールを含むポリオールとポリイソシアネートとの反応物であって、分子両末端にイソシアネート基を有する。
【0011】
ウレタンプレポリマーの製造において、ポリオールとポリイソシアネートとの反応は、汎用の要領で行なわれればよい。例えば、反応容器中にポリイソシアネートを仕込み、予め水分を除去したポリオールをそれぞれ別に又は添加剤なども含めて混合した後に滴下し、加熱状態で水酸基とイソシアネート基を反応させることによって得ることができる。又は、反応容器中にポリオールや添加剤などを仕込み、加熱溶融して分散させた後に水分を除去し、その後に、ポリイソシアネートを仕込んで、水酸基とイソシアネート基の反応を行ってもよい。ウレタンプレポリマーの製造は通常、無溶剤で行うことができるが、反応を阻害しない溶剤中で行うこともできる。溶剤の具体例としては、例えば、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、トルエンなどが挙げられる。ポリオールの水酸基とポリイソシアネートのイソシアネート基との反応において、必要に応じて、ウレタン化触媒を使用することができる。ウレタン化触媒は、特に限定されず、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレートなどが挙げられる。ウレタン化触媒は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0012】
ポリオールとポリイソシアネートとの反応において、ポリオール中の水酸基のモル数と、ポリイソシアネート中のイソシアネート基のモル数との比(イソシアネート基のモル数/水酸基のモル数)は、1.5〜3.0が好ましい。モル比が1.5以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗工性が向上する。モル比が3.0以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の初期接着性が向上する。
【0013】
ポリオールは、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールを含む。ポリオールは、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールの何れか一方を含んでいればよく、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールを含んでいてもよい。なお、ポリエステルポリオールは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。ポリエーテルポリオールは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0014】
ポリエステルポリオールは、ポリカルボン酸とポリオールとの縮合重合体である。即ち、ポリエステルポリオールは、ポリカルボン酸とポリオールとが、ポリカルボン酸のカルボキシル基とポリオールの水酸基においてエステル反応を生じて縮合重合して得られる重合体である。ポリカルボン酸とポリオールとの縮合重合反応は汎用の方法を用いて行なわれればよい。
【0015】
ポリカルボン酸としては、特に限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸などの多価カルボン酸が挙げられる。ポリカルボン酸は、結晶性となり、湿気硬化型ホットメルト接着剤の初期接着性が向上するので、脂肪族ポリカルボン酸を含むことが好ましく、炭素数が4〜16の脂肪族ポリカルボン酸を含むことがより好ましく、炭素数が6〜12の脂肪族ポリカルボン酸を含むことがより好ましく、ドデカンニ酸、セバシン酸及びアジピン酸を含むことが特に好ましい。
【0016】
ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオールなどが挙げられる。ポリオールは、結晶性となり、湿気硬化型ホットメルト接着剤の初期接着性が向上するので、脂肪族ポリオールを含むことが好ましく、炭素数が2〜10の脂肪族ポリオールを含むことがより好ましく、炭素数が4〜8の脂肪族ポリオールを含むことがより好ましく、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールを含むことがより好ましく、1,6−ヘキサンジオールを含むことが特に好ましい。
【0017】
ポリエステルポリオールの水酸基価は5〜200が好ましく、10〜150がより好ましい。ポリエステルポリオールの水酸基価が5以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗工性が向上する。ポリエステルポリオールの水酸基価が200以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤が優れた初期接着性を有する。
【0018】
本発明において、ポリオールの水酸基価は、ポリオール1g中に含まれる水酸基をアセチル化するために要する水酸化カリウムのmg数であり、無水酢酸を用いてポリオール中の水酸基(−OH基)をアセチル化し、使用されなかった酢酸を水酸化カリウム溶液で滴定することによって得られた値である。
【0019】
ポリエステルポリオールの数平均分子量は、1000〜20000が好ましく、1500〜10000がより好ましく、2000〜8000がより好ましく、2100〜6000が特に好ましい。数平均分子量が1000以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の初期接着性が向上する。数平均分子量が20000以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の熱安定性が向上する。
【0020】
本発明において、ポリエステルポリオールの数平均分子量は下記の要領で測定された値をいう。ポリエステルポリオールの数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法を用いて測定することができる。具体的には、試料を1.0質量%濃度となるようにテトラヒドロフラン(THF)に溶解させることにより試料溶液を調製する。この試料溶液を用いてGPC法により、標準ポリスチレンを基準として、屈折率検出計を用いてポリエステルポリオールの数平均分子量を測定する。
【0021】
測定装置としては、例えば、送液装置がLC−9A、屈折率検出計がRID−6A、カラムオーブンがCTO−6A、データ解析装置がC−R4Aからなるシステム(いずれも島津製作所社製)を使用することができる。GPCカラムとしては、例えば、GPC−805(排除限界400万)3本、GPC−804(排除限界40万)1本(以上すべて島津製作所社製)をこの順に接続して使用することができる。又、測定条件は、試料注入量25μL(リットル)で、溶出液テトラヒドロフラン(THF)、送液量1.0mL/分、カラム温度45℃とする。
【0022】
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されない。ポリエーテルポリオールとしては、湿気硬化型ホットメルト接着剤の常態接着性に優れているので、一般式:HO−(R
1−O)n−H(式中、R
1は炭素数が1〜14のアルキレン基を表し、nは、繰り返し単位の数であって正の整数である。)で表される繰り返し単位を含有する重合体、ビスフェノールA分子骨格の活性水素部分にアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシドなど)を付加反応させて得られるポリエーテルポリオールが好ましい。ポリエーテルポリオール(A4)の主鎖骨格は一種のみの繰り返し単位からなっていてもよいし、二種以上の繰り返し単位を含んでいてもよく、又、二種以上の重合体ブロックを含んでいてもよい。なお、ポリエーテルポリオールは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0023】
アルキレン基とは、脂肪族飽和炭化水素中の異なる2個の炭素原子に結合する2個の水素原子を除いて生じる2価の原子団であり、直鎖状及び分岐状の双方の原子団を含む。なお、分岐状とは、1個の炭素(メチル基)が側鎖として結合している場合が含まれる。
【0024】
アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基[−CH
2−CH
2−CH
2−(トリメチレン基)、−CH(CH
3)−CH
2−]、ブチレン基、アミレン基、ヘキシレン基などが挙げられる。
【0025】
上述の一般式:HO−(R
1−O)n−Hで表される繰り返し単位を含有する重合体の主鎖骨格[−(R
1−O)n−]としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体及びポリプロピレンオキサイド−ポリブチレンオキサイド共重合体などが挙げられる。なかでも、湿気硬化型ホットメルト接着剤の常態接着性が向上するので、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体が好ましく、ポリプロピレンオキサイドがより好ましい。
【0026】
ビスフェノールA分子骨格の活性水素部分にアルキレンオキシドを付加反応させて得られるポリエーテルポリオールとしては、湿気硬化型ホットメルト接着剤の常態接着性が向上するので、ビスフェノールA分子骨格の活性水素部分にプロピレンオキシドを付加反応させて得られるポリエーテルポリオール、ビスフェノールA分子骨格の活性水素部分にエチレンオキシドを付加反応させて得られるポリエーテルポリオールが好ましい。
【0027】
ポリエーテルポリオールの水酸基価は5〜200が好ましく、10〜150がより好ましい。ポリエステルポリオールの水酸基価が5以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗工性が向上する。ポリエステルポリオールの水酸基価が200以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤が優れた初期接着性を有する。
【0028】
ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、400〜20000が好ましく、410〜10000がより好ましく、420〜8000がより好ましい。ポリエーテルポリオールの数平均分子量が400以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の常態接着性が向上する。ポリエーテルポリオールの数平均分子量が20000以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の初期接着性が向上する。なお、ポリエーテルポリオールの数平均分子量の測定方法は、ポリエステルポリオールと同様の要領で測定された値をいう。
【0029】
湿気硬化型ホットメルト接着剤は、ウレタンプレポリマーを含有しているが、このウレタンプレポリマーは、ポリオールとポリイソシアネート(モノメリックイソシアネート)との反応物である。ウレタンプレポリマーは、ポリオールとポリイソシアネートとが、ポリオールの水酸基とポリイソシアネートのイソシアネート基とでウレタン結合を形成しながら縮合重合して得られる生成物である。
【0030】
上記ポリイソシアネート(モノメリックイソシアネート)としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、4,4’体、2,4体、2,2’体又はこれらの混合物)、カルボジイミド変成MDI、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート、トリレンジイソオシアネート(TDI、2,4体、2,6体又はこれらの混合物)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられ、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿気硬化速度が高いので、芳香環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環など)を含有するポリイソシアネートが好ましい。これらの中でも、蒸気圧の点から、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変成MDIが好ましく、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。
【0031】
上記ポリイソシアネート(モノメリックイソシアネート)は、湿気硬化型ホットメルト接着剤の熱安定性が向上するので、ジイソシアネートが好ましい。
【0032】
ウレタンプレポリマー中において、ポリエステルポリオール単位の含有量は20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がより好ましい。ポリエステルポリオール単位の含有量が20質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の凝集力が向上し、初期接着性が向上するため好ましい。
【0033】
ウレタンプレポリマー中において、ポリエステルポリオール単位の含有量は95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がより好ましい。ポリエステルポリオール単位の含有量が95質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の常態接着性が向上する。
【0034】
ウレタンプレポリマー中において、ポリエーテルポリオール単位の含有量は5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がより好ましい。ポリエーテルポリオール単位の含有量が5質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗工性が向上する。
【0035】
ウレタンプレポリマー中において、ポリエーテルポリオール単位の含有量は80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がより好ましい。ポリエーテルポリオール単位の含有量が80質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の凝集力が向上し、初期接着性が向上するため好ましい。
【0036】
なお、ウレタンプレポリマーには、上述したウレタンプレポリマー以外に、その他のウレタンプレポリマーが含有されていてもよい。このようなウレタンプレポリマーとしては、例えば、ポリカーボネートポリオールとポリイソシアネートとの反応物であって分子両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーなどが挙げられる。
【0037】
[ポリメリックイソシアネート]
湿気硬化型ホットメルト接着剤は、ポリメリックイソシアネートを含有している。ポリメリックイソシアネートとは、上述したウレタンプレポリマーで用いられるポリイソシアネート(モノメリックポリイソシアネート又はピュアポリイソシアネート)を縮合させた縮合イソシアネートであり、一分子中におけるイソシアネート基の平均個数が2個よりも多いポリイソシアネートである。なお、ポリメリックイソシアネートは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0038】
ポリメリックイソシアネートとしては、特に限定されず、例えば、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート[ポリメリックMDI(ポリメリック4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)]、キシリレンジイソシアネートの縮合物などが挙げられ、湿気硬化型ホットメルト接着剤の長期耐久性に優れているので、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート[ポリメリックMDI(ポリメリック4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)]が好ましい。
【0039】
ポリメリックイソシアネートにおいて、一分子中におけるイソシアネート基の平均個数は、2.1〜4.0個が好ましく、2.2〜3.5個がより好ましく、2.3〜3.2個が特に好ましい。
【0040】
なお、ポリメリックイソシアネートは、例えば、Dow社から商品名「PAPI27」(一分子中におけるイソシアネート基の平均個数:2.7個)及び商品名「PAPI94」(一分子中におけるイソシアネート基の平均個数:2.3個)にて市販されている。
【0041】
湿気硬化型ホットメルト接着剤中におけるポリメリックイソシアネートの含有量は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、0.2〜15質量部がより好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、1〜8質量部が特に好ましい。ポリメリックイソシアネートの含有量が0.1質量部以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の長期耐久性が向上する。ポリメリックイソシアネートの含有量が20質量部以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の熱安定性が向上する。
【0042】
[老化防止剤]
湿気硬化型ホットメルト接着剤は、老化防止剤を含有している。老化防止剤としては、例えば、酸化防止剤及び光安定剤などが挙げられる。なお、老化防止剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0043】
酸化防止剤としては、特に限定されず、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、ポリフェノール系酸化防止剤などが挙げられ、湿気硬化型ホットメルト接着剤の長期耐久性が向上するので、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。なお、酸化防止剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0044】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、特に限定されず、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、及びN,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]などが挙げられる。
【0045】
モノフェノール系酸化防止剤としては、特に限定されず、例えば、スチレン化フェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロへキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、分岐したノニルフェノール(例えば、2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール)、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデシ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデシ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデシ−1’−イル)フェノールなどが挙げられる。
【0046】
ビスフェノール系酸化防止剤としては、特に限定されず、例えば、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロへキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロへキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メテレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’− tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’− tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、及び1,1,5,5−テトラキス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタンなどが挙げられる。
【0047】
ポリフェノール系酸化防止剤としては、特に限定されず、例えば、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、フラボノイド類(例えば、カテキン、アントシアニン、フラボン配糖体、イソフラボン配糖体、フラバン配糖体、フラバノン、ルチン配糖体などが挙げられる。
【0048】
光安定剤としては、特に限定されず、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく、アミン部分が3級アミンであるヒンダードアミン系光安定剤がより好ましい。光安定剤としては、例えば、N.N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどが挙げられる。なお、光安定剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0049】
湿気硬化型ホットメルト接着剤において、老化防止剤の含有量は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。湿気硬化型ホットメルト接着剤において、老化防止剤の含有量は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上がより好ましく、2質量部以上がより好ましい。老化防止剤の含有量が0.1質量部以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の長期耐久性が向上する。老化防止剤の含有量が15質量部以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の常態接着性が向上し好ましい。
【0050】
湿気硬化型ホットメルト接着剤は、その作用効果を阻害しない範囲で、粘着付与剤、オイル、可塑剤、熱可塑性樹脂、触媒、熱安定剤、充填材、着色剤、難燃剤、香料、顔料、染料などを含有していてもよい。
【0051】
粘着付与剤としては、特に限定されず、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂などが挙げられる。なお、粘着付与剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0052】
粘着付与剤の環球式軟化点は、湿気硬化型ホットメルト接着剤の耐熱性が向上するので、90〜150℃が好ましい。粘着付与剤の環球式軟化点は、JIS K6863に準拠して測定された温度である(測定法としてグリセリン浴中に試料を充てんした環を水平に支え、試料中央に置いた球が底板に触れたときの温度を測定する)。
【0053】
オイルとしては、特に限定されず、例えば、一般にゴムの軟化剤としてプロセスオイル、エクステンダーオイル、ソフナーなどと称される公知のオイルに含まれている芳香族成分、ナフテン系オイル、パラフィン系オイルなどが挙げられる。なお、オイルは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0054】
可塑剤は、特に限定されず、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジルなどのリン酸エステル類、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイン酸エステルなどの脂肪酸−塩基酸エステル類、アジピン酸ジオクチルなどの脂肪酸二塩基酸エステル類、オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチルなどの脂肪族エステル類、トリメリット酸エステル類、塩素化パラフィン類、アルキルジフェニル、部分水添ターフェニルなどの炭化水素系可塑剤、プロセスオイル類、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジルなどのエポキシ可塑剤類、ビニル系モノマーを重合して得られるビニル系重合体、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステルなどのポリアルキレングリコールのエステル類などが挙げられる。なお、可塑剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0055】
熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン誘導体、ポリイソブテン、ポリオレフィン類、ポリアルキレンオキシド類、ポリアミド類、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ニトロブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、ポリスチレン−block−ポリ(エチレン−co−ブチレン)−block−ポリスチレン(SEBS)、水添ニトロブタジエンゴム(水添NBR)、水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(水添SBS)、水添スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(水添SIS)、水添ポリスチレン−block−ポリ(エチレン−co−ブチレン)−block−ポリスチレン(水添SEBS)などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、官能基変性体であってもよい。なお、熱可塑性樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0056】
触媒は、湿気硬化型ホットメルト接着剤の硬化性を向上させるために用いられる。触媒としては、特に限定されず、例えば、アミン系触媒、錫系触媒などが挙げられる。なお、触媒は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0057】
アミン系触媒としては、モルホリン系化合物が好ましく、具体的には、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル、ビス(2,6−ジメチルモルホリノエチル)エーテル、ビス(2−(2,6−ジメチル−4−モルホリノ)エチル)−(2−(4−モルホリノ)エチル)アミン、ビス(2−(2,6−ジメチル−4−モルホリノ)エチル)−(2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2−(4−モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2−(4−モルホリノ)プロピル)アミン、トリス(2−(4−モルホリノ)ブチル)アミン、トリス(2−(2、6−ジメチル−4−モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2−(2、6−ジエチル−4−モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2−(2−エチル−4−モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2−(2−エチル−4−モルホリノ)エチルアミンなどが挙げられる。
【0058】
錫系触媒としては、特に限定されず、例えば、酢酸第1錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクタン酸第1錫などが挙げられる。これらは単独または2種以上併用しても構わない。
【0059】
熱安定剤は、有機燐系安定剤が好ましい。有機系安定剤としては、例えば、トリクレシルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)フォスフェート、トリブトキシエチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、オクチルジフェニルフォスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)フォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、トリフェニルホスファイト、トリフェニルフォスフィン、トリフェニルフォスフィンオキサイド、芳香族リン酸縮合エステルなどが挙げられる。
【0060】
熱安定剤は、常温(25℃)で固体であることが好ましい。熱安定剤としては、トリフェニルフォスフェート、トリフェニルフォスフィン、トリフェニルフォスフィンオキサイド、芳香族リン酸縮合エステルが好ましい。
【0061】
充填材としては、特に限定されず、例えば、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水珪素、含水珪素、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック、ベントナイト、有機ベントナイト、シラスバルーン、ガラスミクロバルーン、フェノール樹脂や塩化ビニリデン樹脂などの有機ミクロバルーン、ポリ塩化ビニル(PVC)粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末など樹脂粉末などが挙げられる。なお、充填材は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0062】
湿気硬化型ホットメルト接着剤は、加水分解性シリル基を有する重合体を含有していてもよい。加水分解性シリル基を有する重合体は、一分子中に少なくとも1個の架橋可能な加水分解性シリル基を有する。
【0063】
加水分解性シリル基は、加水分解性基が珪素原子に結合した基である。この加水分解性基としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシド基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシド基などが挙げられる。
【0064】
加水分解性シリル基としては、反応後に有害な副生成物を生成しないので、アルコキシ基が珪素原子に結合したアルコキシシリル基が好ましい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、及びベンジルオキシ基などを挙げることができ、メトキシ基及びエトキシ基が好ましい。
【0065】
アルコキシ基が珪素原子に結合したアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリフェノキシシリル基等のトリアルコキシシリル基;メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基などのジアルコキシシリル基;ジメチルメトキシシリル基、ジメチルエトキシシリル基などのモノアルコキシシリル基などが挙げられる。加水分解性シリル基を有する重合体は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0066】
加水分解性シリル基を有するポリマーの主鎖としては、ポリアルキレンオキサイド、ポリエーテルポリオール、(メタ)アクリレート系重合体、ポリオレフィン、及びポリエステルが好ましく挙げられる。ポリアルキレンオキサイドとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイドなどが挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、これらのランダム共重合体やブロック共重合体、ビスフェノールAのポリオキシアルキレン変性体などが挙げられる。
【0067】
(メタ)アクリレート系重合体を構成するモノマーとしては、アルキル基の炭素数が1〜12であるアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。上記アルキル基の炭素数は2〜8がより好ましい。なお、本発明において、(メタ)アクリレートは、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
【0068】
ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィンの単独重合体又は共重合体が挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒法ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)など)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−α−オレフィン共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体など)などが挙げられる。
【0069】
ポリエステルとしては、ポリエステルポリオールが好ましい。ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコールなどのグリコールと、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、コハク酸、フタル酸、アジピン酸などのジカルボン酸とを縮合重合させて得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
【0070】
湿気硬化型ホットメルト接着剤について、硬化前の120℃における溶融粘度(初期粘度)は、3000〜100000mPa・sが好ましく、5000〜60000mPa・sがより好ましく、7000〜50000mPa・sがより好ましく、8000〜40000mPa・sがより好ましい。120℃における溶融粘度が3000mPa・s以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の初期接着性が向上する。120℃における溶融粘度が100000mPa・s以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗工性が向上する。
【0071】
なお、湿気硬化型ホットメルト接着剤について、硬化前の120℃における溶融粘度(初期粘度)は、B型粘度計(ブルックフィールド粘度計)を用いて日本接着剤工業会規格JAI−7−1999に準拠して温度120℃にて測定して得られた溶融粘度をいう。具体的には、湿気硬化型ホットメルト接着剤を窒素雰囲気中にて120℃に加熱して溶融させる。湿気硬化型ホットメルト接着剤の粘度をB型粘度計(ブルックフィールド粘度計)を用いてローター番号29の条件下にて測定する。測定時の回転速度は、粘度が20000mPa・s未満の場合は20rpmとし、粘度が20000mPa・s以上の場合は10rpmとする。得られた粘度を湿気硬化型ホットメルト接着剤の初期粘度とする。なお、B型粘度計としては、例えば、ブルックフィールド社から商品名「B型粘度計デジタルレオメーターDVII(ローターNo.29)」にて市販されている。
【0072】
[湿気硬化型ホットメルト接着剤]
湿気硬化型ホットメルト接着剤の製造方法は特に限定されない。湿気硬化型ホットメルト接着剤の製造方法は、例えば、(1)上述した要領で製造されたウレタンプレポリマーと、ポリメリックイソシアネートと、老化防止剤とを必要に応じて添加剤などを加えた上で加熱しながら均一に混合する湿気硬化型ホットメルト接着剤の製造方法、(2)ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールを含むポリオールにポリイソシアネート及び老化防止剤を加えて加熱し、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンプレポリマーを製造した後、得られたウレタンプレポリマーにポリメリックイソシアネートを添加する湿気硬化型ホットメルト接着剤の製造方法、(3)ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールを含むポリオールにポリイソシアネートを加えて加熱し、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンプレポリマーを製造した後、得られたウレタンプレポリマーにポリメリックイソシアネート及び老化防止剤を添加する湿気硬化型ホットメルト接着剤の製造方法などが挙げられる。
【0073】
湿気硬化型ホットメルト接着剤の使用要領を説明する。湿気硬化型ホットメルト接着剤を使用するには、湿気硬化型ホットメルト接着剤を加熱して溶融させた後、被着体の表面に塗工する。この時、湿気硬化型ホットメルト接着剤は熱安定性に優れ、溶融時に加えられる熱による粘度上昇が抑制されており、湿気硬化型ホットメルト接着剤を被着体表面に容易に且つ安定的に塗工することができる。
【0074】
しかる後、被着体の塗工面に別の被着体を貼り合わせて、湿気硬化型ホットメルト接着剤を好ましくは20〜25℃にて相対湿度50〜60%の環境下に120〜200時間に亘って放置することによって、空気中又は被着体中の水分によって湿気硬化型ホットメルト接着剤を硬化させて被着体同士を接着一体化させることができる。
【0075】
湿気硬化型ホットメルト接着剤を硬化させて得られる硬化物は、優れた耐久性を有しており、優れた長期耐久性を発現することから、被着体同士の接着状態が長期間に亘って安定的に維持される。
【実施例】
【0076】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0077】
[ポリエステルポリオール]
・ポリエステルポリオール1(豊国製油社製 商品名「HS 2H−350S」、水酸基価:32、数平均分子量:3500、セバシン酸及び1,6−ヘキサンジオールの縮合重合体)
・ポリエステルポリオール2(豊国製油社製 商品名「HS 2H−451A」、水酸基価:25、数平均分子量:4500、アジピン酸及び1,6−ヘキサンジオールの縮合重合体)
・ポリエステルポリオール3(荒川化学社製 商品名「HM−204」、水酸基価:52、数平均分子量:2500)
【0078】
[ポリエーテルポリオール]
・ポリエーテルポリオール1(旭硝子社製 商品名「エクセノール3020」、ポリプロピレンオキサイド、HO−[CH(CH
3)−CH
2−O]n−H、水酸基価:35、数平均分子量:3000)
・ポリエーテルポリオール2(旭硝子社製 商品名「エクセノール510」、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体、ポリプロピレンオキサイド(HO−[CH(CH
3)−CH
2−O]n−H)の両末端にポリエチレンオキサイドが付加されている、水酸基価:28、数平均分子量:4000)
・ポリエーテルポリオール3(旭硝子社製 商品名「プレミノール4015」、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体、ポリプロピレンオキサイド(HO−[CH(CH
3)−CH
2−O]n−H)の両末端にポリエチレンオキサイドが付加されている、水酸基価:7.5、数平均分子量:15000)
【0079】
[ポリイソシアネート(モノメリックイソシアネート)]
・4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
【0080】
[ポリメリックイソシアネート]
・ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(Dow社製 商品名「PAPI27」、ポリメリックMDI(ポリメリック4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)、一分子中におけるイソシアネート基の平均個数:2.7個)
【0081】
[老化防止剤]
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製 商品名「イルガノックス1010」)
【0082】
(実施例1〜10、比較例1〜3)
撹拌羽を備えた1リットルの4ツ口フラスコにポリエステルポリオール1〜3、ポリエーテルポリオール1〜3及びヒンダードフェノール系酸化防止剤を表1に示した所定量ずつ供給して120℃に加熱して溶融させて混合した。次に、フラスコ内を1mmHg以下に減圧してフラスコ内の化合物を脱水処理した。
【0083】
しかる後、フラスコ内を窒素で置換して窒素パージした後、フラスコ内の化合物を80℃に加熱した。フラスコ内に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを表1に示した所定量ずつ供給して窒素雰囲気下にて、ポリエステルポリオール1〜3及びポリエーテルポリオール1〜3と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを反応させてウレタンプレポリマーを製造した。
【0084】
更に、フラスコ内に、表2に示した所定量のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを供給して窒素雰囲気下にて80℃にて30分間に亘って混合して湿気硬化型ホットメルト接着剤を得た。得られた湿気硬化型ホットメルト接着剤の組成を表2に示した。
【0085】
得られた湿気硬化型ホットメルト接着剤について、初期粘度及び劣化後粘度を上記の要領で、初期ダンベル強度及び劣化後ダンベル強度を下記の要領で測定し、その結果を表2に示した。
【0086】
(増粘率)
粘度の保持率を下記式に基づいて算出し、表2の「増粘率」の欄に記載した。
増粘率(%)=100×劣化後粘度/初期粘度
【0087】
湿気硬化型ホットメルト接着剤の初期粘度は上述の要領で測定した。湿気硬化型ホットメルト接着剤の劣化後粘度は下記の要領で測定した。湿気硬化型ホットメルト接着剤を120℃の窒素雰囲気中に24時間放置した。しかる後、湿気硬化型ホットメルト接着剤の粘度をB粘度計(ブルックフィールド粘度計)を用いてローター番号29の条件下にて測定した。測定時の回転速度は、粘度が20000mPa・s未満の場合は20rpmとし、粘度が20000mPa・s以上の場合は10rpmとした。得られた粘度を湿気硬化型ホットメルト接着剤の劣化後粘度とした。
【0088】
(初期ダンベル強度)
湿気硬化型ホットメルト接着剤の初期ダンベル強度は次の要領で測定される。湿気硬化型ホットメルト接着剤を空気中にて120℃に加熱して溶融させる。溶融状態の湿気硬化型ホットメルト接着剤を用いて厚みが200μmのシート状の試験片を作製する。試験片を23℃及び相対湿度50%の空気中にて2週間養生する。養生後の試験片を3号ダンベルに打ち抜き、100mm/分の引張速度にてダンベル強度を測定する。得られたダンベル強度を初期ダンベル強度とする。
【0089】
(劣化後ダンベル強度)
湿気硬化型ホットメルト接着剤の劣化後ダンベル強度は次の要領で測定される。湿気硬化型ホットメルト接着剤の初期ダンベル強度の測定時と同様の要領で養生したシート状の試験片を70℃及び相対湿度90%の空気中に2週間放置する。しかる後、試験片を3号ダンベルに打ち抜き、100mm/分の引張速度にてダンベル強度を測定する。得られたダンベル強度を劣化後ダンベル強度とする。劣化後ダンベル強度が高いほど、長期耐久性が高いと判断できる。
【0090】
(ダンベル強度保持率)
ダンベル強度保持率を下記式に基づいて算出し、表2の「ダンベル強度保持率」の欄に記載した。
ダンベル強度保持率(%)=100×劣化後ダンベル強度/初期ダンベル強度
【0091】
(初期接着性)
湿気硬化型ホットメルト接着剤を120℃に加熱して溶融させた後、溶融状態の湿気硬化型ホットメルト接着剤をオレフィンシート(厚み180μm)の一面に塗工厚み40μmにて塗工した。
【0092】
次に、表面温度を35℃に調整した中密度繊維基材[ミディアムデンシティファイバーボード(MDF)]上に、上記オレフィンシートを湿気硬化型ホットメルト接着剤を介して重ね合わせた後、ゴムロールによりオレフィンシートを中密度繊維基材に圧着させることによって、中密度繊維基材上にオレフィンシートを積層して試験片を作製した。
【0093】
試験片を温度23℃、相対湿度55%の環境下に10分に亘って放置することにより、湿気硬化型ホットメルト接着剤を冷却固化させた。しかる後、中密度繊維基材からオレフィンシートを剥離角度180°、剥離速度250mm/分で剥離し、この剥離時の最大の剥離強度を「初期剥離強度(N/25mm)」として測定した。
【0094】
(常態接着性)
初期接着性の測定時と同様の要領にて試験片を作製した。次に、試験片を温度23℃、相対湿度55%の環境下に1週間に亘って放置することにより、湿気硬化型ホットメルト接着剤を湿気硬化させた。次に、中密度繊維基材からオレフィンシートを剥離角度180°、剥離速度250mm/分で剥離し、この剥離時の最大の剥離強度を「常態剥離強度(N/25mm)」として測定した。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】