【解決手段】減速機100は、駆動軸1と太陽歯車3と内歯車5と2つの遊星歯車7と遊星キャリア9と軸受11と軸受保持部材13とを有する。軸受11は、駆動軸1を回転可能に支持する。軸受保持部材13は、軸方向ADに延びる筒状の筒部130を有し、筒部130の内部において軸受11を保持する。太陽歯車3の外歯31の第1方向D1の端33から、遊星歯車7の外歯71の第2方向D2の端75までの長さを第1距離L1で示す。第1方向D1は、駆動軸1が軸方向ADに沿って太陽歯車3に向かって延びる方向を示す。第2方向D2は、第1方向D1の反対の方向を示す。軸受11の第1方向D1の端110から、軸受保持部材13の筒部130の第2方向D2の端132までの長さを第2距離L2で示す。第1距離L1は第2距離L2よりも小さい。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図中、理解の容易のため、三次元直交座標系のX軸、Y軸、およびZ軸を適宜記載している。
【0010】
本明細書では、減速機の中心軸線AX(
図1)と平行な方向を「軸方向AD」と記載し、中心軸線AXに直交する方向を「径方向RD」と記載し、中心軸線AXを中心とする円弧に沿う方向を「周方向CD」と記載する。なお、「平行な方向」は略平行な方向を含み、「直交する方向」は略直交する方向を含む。また、「平面視」は、軸方向ADから対象物を見ることを示す。
【0011】
図1〜
図7を参照して、本発明の実施形態に係る減速機100を説明する。まず、
図1を参照して、減速機100を説明する。
図1は、本実施形態に係る減速機100を示す模式図である。
【0012】
図1に示すように、減速機100は、遊星歯車機構によって構成される。具体的には、減速機100は、駆動軸1と、太陽歯車3と、内歯車5と、2つの遊星歯車7と、遊星キャリア9とを有する。なお、
図1では、図面を見易くするために、遊星キャリア9を二点鎖線で示している。
【0013】
駆動軸1は中心軸線AXを中心に回転する。駆動軸1は、減速機100の「入力軸」に相当する。駆動軸1には、モータ(不図示)から、直接的又は間接的に回転駆動力が伝達される。例えば、駆動軸1が、モータの回転軸に直接的に接続される。例えば、駆動軸1が、プーリー及びベルトを介してモータの回転軸に間接的に接続される。
【0014】
太陽歯車3は駆動軸1に接続される。そして、太陽歯車3は、駆動軸1の回転にともなって、中心軸線AXを中心に回転する。太陽歯車3は、内歯車5の径方向RD内側に配置される。太陽歯車3は、円周方向に並んだ複数の外歯31を有する。内歯車5は、太陽歯車3の径方向RD外側に配置される。内歯車5は、略円環形状を有する。内歯車5は、円周方向に並んだ複数の内歯51を有する。
【0015】
2つの遊星歯車7は、内歯車5の径方向RD内側であって、太陽歯車3の径方向RD外側に配置される。従って、2つの遊星歯車7の各々は、太陽歯車3と内歯車5との双方に噛み合う。2つの遊星歯車7の各々は、円周方向に並んだ複数の外歯71を有する。遊星キャリア9は、2つの遊星歯車7の各々を自転可能に支持する。具体的には、遊星キャリア9は、キャリア本体91と、2つのキャリアピン93とを有する。2つのキャリアピン93はキャリア本体91に固定される。キャリアピン93は遊星歯車7を自転可能に支持する。
【0016】
例えば、減速機100は、プラネタリー型遊星歯車機構である。この場合、2つの遊星歯車7は、自転するとともに、内歯車5に沿って公転する。そして、内歯車5が固定されており、遊星歯車7を支持している遊星キャリア9が出力軸になる。その結果、2つの遊星歯車7の公転にともなって遊星キャリア9が中心軸線AXを中心に回転し、入力軸である駆動軸1の回転速度に対して、出力軸である遊星キャリア9の回転速度が減速される。
【0017】
例えば、減速機100は、スター型遊星歯車機構である。この場合、2つの遊星歯車7は、自転するが、公転しない。つまり、遊星歯車7を支持している遊星キャリア9が固定され、内歯車5が出力軸になる。その結果、2つの遊星歯車7の自転にともなって内歯車5が中心軸線AXを中心に回転し、入力軸である駆動軸1の回転速度に対して、出力軸である内歯車5の回転速度が減速される。
【0018】
以下に示す本実施形態では、減速機100がスター型遊星歯車機構である例を説明する。
【0019】
次に、
図2を参照して、減速機100を説明する。
図2は、減速機100を示す斜視図である。なお、
図2では、図面の簡略化のために、遊星歯車7の外歯71を省略している。
【0020】
図2に示すように、駆動軸1は略柱体形状を有する。例えば、駆動軸1は略円柱形状を有する。また、減速機100は、軸受11と、軸受保持部材13と、第1軸受15と、第2軸受17とをさらに有する。
【0021】
軸受11は、駆動軸1を回転可能に支持する。具体的には、軸受11は、駆動軸1を、遊星キャリア9のキャリア本体91に対して回転可能に支持する。その結果、駆動軸1は、キャリア本体91に対して、中心軸線AXを中心に回転する。軸受11は、略円環形状を有する。軸受11は、例えば、ボールベアリングである。
【0022】
軸受保持部材13は略有底筒形状を有する。
図2の例では、軸受保持部材13は略有底円筒形状を有する。具体的には、軸受保持部材13は、軸方向ADに延びる略筒状の筒部130を有する。
図2の例では、筒部130は、略円筒状である。そして、軸受保持部材13は、筒部130の内部において軸受11を保持する。
【0023】
遊星キャリア9のキャリア本体91は、2つの遊星歯車7にそれぞれ対応して2つの孔97を有する。2つの孔97は径方向RDに対向する。
図2では、1つの遊星歯車7及び1つの孔97が表れている。孔97には、遊星歯車7が配置される。つまり、遊星歯車7はキャリア本体91の内部に配置される。ただし、遊星歯車7の一部が、キャリア本体91から径方向RD外側に向かって露出している。つまり、遊星歯車7の一部が、孔97から径方向RD外側に向かって露出している。その結果、
図1に示すように、遊星歯車7の外歯71と内歯車5の内歯51とが噛み合う。また、2つのキャリアピン93は、それぞれ、2つの遊星歯車7に対応して配置される。
【0024】
第1軸受15は、略円環形状を有する。そして、第1軸受15は、キャリア本体91の第2方向D2の端部において、キャリア本体91の周面に固定される。第1軸受15は、例えば、ボールベアリングである。
【0025】
第2軸受17は、略円環形状を有する。そして、第2軸受17は、キャリア本体91の第1方向D1の端部において、キャリア本体91の周面に固定される。第2軸受17は、例えば、ボールベアリングである。
【0026】
第1軸受15と第2軸受17とは、軸方向ADに対向し、略同じ径を有している。第1軸受15及び第2軸受17は、内歯車5を回転可能に支持する。具体的には、第1軸受15及び第2軸受17は、内歯車5を、キャリア本体91に対して回転可能に支持する。その結果、出力軸としての内歯車5は、キャリア本体91に対して、中心軸線AXを中心に回転する。
【0027】
次に、
図3を参照して、減速機100の内部構造を説明する。
図3は、減速機100を示す断面図である。なお、
図3、並びに、後述する
図4及び
図5では、図面の簡略化のために、太陽歯車3の外歯31、遊星歯車7の外歯71、及び、内歯車5の内歯51を省略している。
【0028】
まず、説明の便宜のために、第1方向D1及び第2方向D2を定義する。
図3に示すように、第1方向D1は、駆動軸1が軸方向ADに沿って太陽歯車3に向かって延びる方向である。第2方向D2は、軸方向ADに沿っており、第1方向D1の反対の方向を示す。第1方向D1及び第2方向D2は、軸方向ADに平行である。
【0029】
図3に示すように、駆動軸1及び太陽歯車3は、軸方向ADに沿って延びる。駆動軸1の第1方向D1の端部と太陽歯車3の第2方向D2の端部とが接続される。従って、駆動軸1が回転すると、太陽歯車3が回転する。駆動軸1及び太陽歯車3は中心軸線AX上に位置している。本実施形態では、駆動軸1と太陽歯車3とは、単一の部材である。つまり、駆動軸1と太陽歯車3とは、一体成形品である。ただし、駆動軸1と太陽歯車3とが、別個の部材によって構成されていてもよい。この場合、太陽歯車3が駆動軸1に固定される。なお、
図3、並びに、後述する
図4及び
図5では、理解を容易にするために、太陽歯車3の第2方向D2の端部を破線で示している。
【0030】
ここで、「駆動軸1と太陽歯車3とが接続されること」は、例えば、駆動軸1と太陽歯車3とが一体成形品である場合のように、駆動軸1と太陽歯車3とが連続して形成されている場合、及び、駆動軸1と太陽歯車3とが別個の部材である場合のように、駆動軸1と太陽歯車3とが結合される場合を含む概念である。
【0031】
軸受11は、駆動軸1を支持したまま、軸受保持部材13の筒部130の内部に嵌っている。具体的には、軸受11は、筒部130の内部の第1方向D1側に配置される。更に具体的には、軸受保持部材13は、底部138をさらに有する。底部138は、筒部130の第1方向D1の端部に接続される。底部138は、略平板形状を有している。
図3の例では、底部138は略円板形状を有している。底部138は、貫通孔134を有する。貫通孔134には、駆動軸1の一部が位置している。
図3の例では、底部138は、キャリア本体91の一部として構成されている。
【0032】
軸受11は、軸受保持部材13の筒部130の内部において、底部138に間接的に配置される。具体的には、減速機100はワッシャー21をさらに有する。ワッシャー21は略円環形状を有する。例えば、ワッシャー21は、波ワッシャーのような弾性を有するワッシャーでもよい。ワッシャー21は、軸受保持部材13の底部138に配置される。そして、軸受11は、ワッシャー21を介して底部138に配置されている。なお、減速機100は、ワッシャー21を有していなくてもよい。この場合は、軸受11は、軸受保持部材13の筒部130の内部において、底部138に直接的に配置される。つまり、軸受11は、底部138に接触して配置される。
【0033】
軸受11は、外輪114、内輪116、及び、複数の転動体118を有する。複数の転動体118は、外輪114と内輪116との間に配置される。内輪116が、駆動軸1に圧入されて、駆動軸1の周面に固定されている。つまり、軸受11は、駆動軸1に装着される。また、外輪114が、軸受保持部材13の筒部130の内壁面130aに接触している。つまり、軸受11は、筒部130に嵌まっている。
【0034】
2つの遊星歯車7の各々は、軸方向ADに延びている。また、2つのキャリアピン93の各々は、軸方向ADに延びている。
【0035】
遊星キャリア9のキャリア本体91は、第1壁部91aと、第2壁部91bとを有する。第1壁部91a及び第2壁部91bは略平板形状を有する。
図3の例では、第1壁部91a及び第2壁部91bは略円板形状を有する。第1壁部91aと第2壁部91bとは、間隔をあけて軸方向ADに対向する。キャリアピン93の第1方向D1の端部が第2壁部91bに固定され、キャリアピン93の第2方向D2の端部が第1壁部91aに固定される。なお、
図3の例では、軸受保持部材13の底部138は、第1壁部91aの一部として構成されている。
【0036】
また、遊星キャリア9は、2つの遊星歯車7にそれぞれ対応して2つの遊星軸受95をさらに有する。遊星軸受95は略円筒形状を有する。遊星軸受95は、遊星歯車7を自転可能に支持する。キャリアピン93は遊星軸受95を貫通している。従って、キャリアピン93は、遊星軸受95を介して遊星歯車7を自転可能に支持する。その結果、遊星歯車7は、キャリアピン93を中心に自転する。遊星軸受95は例えばニードルローラーベアリングである。
【0037】
第1軸受15は、内歯車5の第2方向D2の端部において、内歯車5の内周面を支持する。第2軸受17は、内歯車5の第1方向D1の端部において、内歯車5の内周面を支持する。つまり、第1軸受15及び第2軸受17は、内歯車5を、中心軸線AXを中心にして、キャリア本体91に対して回転可能に支持する。キャリア本体91は、固定されており、中心軸線AXを中心として回転しない。キャリア本体91は、例えば、部材に固定される。この場合、「部材」は、キャリア本体91を固定できる限りにおいては、任意の部材であってよい。
【0038】
引き続き
図3を参照して、減速機100の動作を説明する。駆動軸1が回転すると、太陽歯車3が回転する。太陽歯車3が回転すると、2つの遊星歯車7が自転する。一方、遊星キャリア9のキャリア本体91は固定されている。従って、2つの遊星歯車7の自転に応じて内歯車5が回転する。
【0039】
なお、減速機100がプラネタリー型遊星歯車機構である場合には、内歯車5が、固定され、中心軸線AXを中心として回転しない。内歯車5は、例えば、部材に固定される。この場合、「部材」は、内歯車5を固定できる限りにおいては、任意の部材であってよい。また、2つの遊星歯車7は、キャリアピン93を中心に自転するとともに、内歯車5に沿って中心軸線AXを中心に公転する。従って、キャリア本体91が中心軸線AXを中心に回転する。この場合、例えば、キャリア本体91に出力軸が固定される。出力軸は、中心軸線AX上に配置される。
【0040】
次に、
図4及び
図5を参照して、減速機100の寸法の条件としての第1距離L1及び第2距離L2を説明する。
図4は、減速機100の第1距離L1及び第2距離L2を示す断面図である。
図5は、減速機100の太陽歯車3が2つの遊星歯車7に噛み合う前の状態を示す断面図である。
【0041】
図4に示すように、太陽歯車3と2つの遊星歯車7とが噛み合った状態において、減速機100の第1距離L1は、太陽歯車3の外歯31の第1方向D1の端33から、遊星歯車7の外歯71の第2方向D2の端75までの長さを示す。また、太陽歯車3と2つの遊星歯車7とが噛み合った状態において、減速機100の第2距離L2は、軸受11の第1方向D1の端110から、軸受保持部材13の筒部130の第2方向D2の端132までの長さを示す。そして、第1距離L1は、第2距離L2よりも小さい。
【0042】
従って、本実施形態によれば、
図5に示すように、軸受11が装着された駆動軸1に接続された太陽歯車3を2つの遊星歯車7に組み付ける工程において、太陽歯車3の外歯31の第1方向D1の端33が2つの遊星歯車7の外歯71に噛み合う前に、軸受11の第1方向D1の端110が筒部130に接触して、軸受11が筒部130に嵌まり始める。その結果、駆動軸1に接続された太陽歯車3が遊星歯車7に噛み合う前に、筒部130によって、軸受11及び駆動軸1を介して太陽歯車3が中心軸線AX上に位置決めされる。よって、太陽歯車3が中心軸線AX上に位置決めされた状態で、太陽歯車3を2つの遊星歯車7に噛み合せることができる。換言すれば、太陽歯車3の位置決めが2つの遊星歯車7から影響を受けることを抑制できるため、2つの遊星歯車7に対する太陽歯車3の位置決めが容易である。
【0043】
特に、
図5から明らかなように、軸受11が筒部130に接触した時点では、太陽歯車3と2つの遊星歯車7との間には、隙間GPが存在する。従って、軸受11が筒部130に嵌まり始めて、筒部130によって太陽歯車3を中心軸線AX上に位置決めした後で、太陽歯車3を2つの遊星歯車7に噛み合せることができる。
【0044】
次に、
図6A及び
図6Bを参照して、第1距離L1の詳細を説明する。
図6Aは、減速機100の太陽歯車3の外歯31及び遊星歯車7の外歯71を拡大して示す斜視図である。
図6Bは、減速機100の第1距離L1を示す模式図である。
【0045】
図6A及び
図6Bに示すように、太陽歯車3の外歯31と遊星歯車7の外歯71とが噛み合った状態において、第1距離L1は、太陽歯車3の外歯31の第1方向D1の端33から、遊星歯車7の外歯71の第2方向D2の端75までの長さを示す。つまり、第1距離L1は、太陽歯車3の外歯31の歯幅方向の一方端33と他方端35とのうちの一方端33から、遊星歯車7の外歯71の歯幅方向の一方端73と他方端75とのうちの他方端75までの長さを示す。歯幅方向は、軸方向ADに平行である。
【0046】
例えば、太陽歯車3が外歯31以外の部分を有している場合、及び/又は、遊星歯車7が外歯71以外の部分を有している場合があり得るが、この場合であっても、第1距離L1は、太陽歯車3の外歯31の第1方向D1の端33から、遊星歯車7の外歯71の第2方向D2の端75までの長さを示す。
【0047】
また、
図4及び
図6Bに示すように、太陽歯車3の外歯31の第1方向D1の端33は、遊星歯車7の外歯71の第1方向D1の端73よりも、第1方向D1に突き出ている。従って、本実施形態によれば、太陽歯車3の外歯31の端33の角部分と遊星歯車7の外歯71の端73の角部分とが接触することを抑制できる。その結果、太陽歯車3の外歯31の端33と遊星歯車7の外歯71の端73との接触に起因する音(例えば、高周波音)の発生を抑制できる。
【0048】
特に、本実施形態では、遊星歯車7の外歯71にクラウニング(不図示)を設けている。従って、遊星歯車7の外歯71の端73の角部が太陽歯車3の外歯31に片当りすることを抑制できる。従って、遊星歯車7の外歯71の端73の角部が太陽歯車3の外歯31に片当りすることに起因する音(例えば、高周波音)の発生を抑制できる。
【0049】
特に、本実施形態では、太陽歯車3と駆動軸1とを単一の部材として構成しているため、太陽歯車3の外歯31には、クラウニングを設け難い。しかしながら、太陽歯車3の外歯31の端33が遊星歯車7の外歯71の端73よりも第1方向D1に突き出ている構造と、遊星歯車7にクラウニングを設ける構造とを採用することで、遊星歯車7の外歯71の端73の角部が太陽歯車3の外歯31に片当りすることを効果的に抑制している。その結果、音(例えば、高周波音)の発生を効果的に抑制できる。
【0050】
また、
図4に示すように、軸受保持部材13の筒部130の軸方向ADの長さLaは、軸受11の軸方向ADの長さLbよりも長い。そして、軸受11は、筒部130の内部に没入している。従って、本実施形態によれば、軸受11が装着された駆動軸1に接続された太陽歯車3を2つの遊星歯車7に組み付ける工程において(
図5)、筒部130は、第1方向D1に向かって軸受11を筒部130に嵌める際のガイドとして効果的に機能する。その結果、太陽歯車3を2つの遊星歯車7に組み付ける作業が容易になる。
【0051】
特に、本実施形態では、太陽歯車3と2つの遊星歯車7とが噛み合った状態において、軸受11の第2方向D2の端112は、筒部130の第2方向D2の端132よりも、第1方向D1側に位置している。
【0052】
次に、
図7を参照して、キャリア本体91及び軸受保持部材13を説明する。
図7は、キャリア本体91及び軸受保持部材13を示す斜視図である。
図7に示すように、軸受保持部材13の筒部130は、キャリア本体91から第2方向D2に向かって延びている。そして、軸受保持部材13とキャリア本体91とは、単一の部材である。つまり、軸受保持部材13とキャリア本体91とは、一体成形品である。従って、本実施形態によれば、太陽歯車3(
図1)を、2つの遊星歯車7(
図1)に対して更に精度良く位置決めできる。
【0053】
すなわち、遊星歯車7(
図2)は、キャリア本体91において、キャリアピン93によって位置決めされている。加えて、軸受保持部材13とキャリア本体91とは、単一の部材である。従って、軸受保持部材13の筒部130は、キャリア本体91に対して位置決めされている。換言すれば、筒部130は、キャリア本体91に位置決めされている遊星歯車7に対して位置決めされている。従って、筒部130によって、軸受11を介して太陽歯車3を位置決めすることで、太陽歯車3が、2つの遊星歯車7に対して精度良く位置決めされる。
【0054】
具体的には、軸受保持部材13の筒部130は、キャリア本体91の第1壁部91aから第2方向D2に向かって延びている。なお、軸受保持部材13とキャリア本体91とが、別個の部材によって構成されていてもよい。
【0055】
以上、
図1〜
図7を参照して説明したように、本実施形態によれば、第1距離L1を第2距離L2よりも小さく設定することで、2つの遊星歯車7に対する太陽歯車3の位置決めが容易である。
【0056】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。例えば、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。