【解決手段】移動体に備えられる回転駆動装置DVは、主輪5と一対の駆動部DPとを有する。一対の駆動部DPは、軸方向ADにおいて互いに対向し、各々が主輪5を駆動する。主輪5は複数の被駆動ローラ51を有する。一対の駆動部DPの一方である駆動部DAは、モータ17とモータケース18と駆動力伝達部材と複数の駆動ローラ120とを有する。複数の駆動ローラ120は、周方向CDに沿って駆動力伝達部材に配置され、軸方向ADの一方側から複数の被駆動ローラ51の少なくとも一部と接触する。駆動力伝達部材は、回転して複数の駆動ローラ120を介して主輪5にモータ17の駆動力を伝達する。モータケース18の少なくとも一部80は、軸方向ADにおいて複数の駆動ローラ120の少なくとも一部と対向し、移動体の移動体本体3に取付可能である。
前記第1モータケースのうちの前記少なくとも一部と、前記第2モータケースのうちの前記少なくとも一部との両方が前記移動体本体に取り付け可能である、請求項2に記載の回転駆動装置。
前記第1モータケースのうちの前記少なくとも一部は、前記軸方向における前記第1モータケースの反負荷側の端面と負荷側の端面との中央部分よりも前記負荷側に位置し、
前記第2モータケースのうちの前記少なくとも一部は、前記軸方向における前記第2モータケースの反負荷側の端面と負荷側の端面との中央部分よりも前記負荷側に位置する、請求項2又は請求項3に記載の回転駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図中、理解の容易のため、三次元直交座標系のX軸、Y軸、及びZ軸を適宜記載している。
【0013】
本明細書では、回転駆動装置の回転軸線AX(例えば
図3)に対して平行な方向を「軸方向AD」と記載する。すなわち、回転軸線に沿った方向を「軸方向AD」と記載する。また、回転軸線AXに対して直交する方向を「径方向RD」と記載する。「径方向RD」は、「回転軸線に対する径方向」の一例に相当する。また、回転軸線AXを中心とする円弧に沿う方向を「周方向CD」と記載する。「周方向CD」は、「回転軸線の周りの周方向」の一例に相当する。なお、「平行な方向」は略平行な方向を含み、「直交する方向」は略直交する方向を含む。また、「左右」は、径方向RDから対象物を見たときの左右を示す。
【0014】
図1〜
図14を参照して、本発明の実施形態に係る搬送車1、回転駆動装置DV、第1駆動力伝達装置11A、第2駆動力伝達装置11B、第1駆動力伝達部材110A、及び、第2駆動力伝達部材110Bを説明する。まず、
図1〜
図3を参照して、搬送車1を説明する。
【0015】
図1は、搬送車1を示す斜視図である。
図2は、搬送車1を示す側面図である。
図3は、搬送車1を示す底面図である。
図3では、床面又は地面の側から搬送車1を見ている。
【0016】
図1及び
図2に示す搬送車1は、床面又は地面を走行する。本実施形態では、搬送車1は無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)である。搬送車1は「移動体」の一例である。
【0017】
図1に示すように、搬送車1は、車体3を有する。換言すれば、車体3は搬送車1に備えられる。
図1及び
図2の例では、車体3は、略直方体形状を有する。ただし、車体3の形状は特に限定されない。車体3は、「移動体本体」の一例である。
【0018】
図2及び
図3に示すように、搬送車1は、複数の回転駆動装置DVと、複数の車輪7とをさらに有する。本実施形態では、搬送車1は、一対の回転駆動装置DVと、4個の車輪7とを有する。4個の車輪7は、それぞれ、車体3の底部3aの4隅に配置される。各車輪7は、車体3の移動にともなって回転する。一対の回転駆動装置DVは、互いに独立して回転して、車体3を移動させる。一対の回転駆動装置DVのうち、一方の回転駆動装置DVの回転軸線AXと他方の回転駆動装置DVの回転軸線AXとが一直線上に位置するように、一対の回転駆動装置DVは、車体3の底部3aに配置される。
【0019】
一対の回転駆動装置DVの構成は同じである。従って、以下では、一対の回転駆動装置DVのうちの一方の回転駆動装置DVを説明する。
【0020】
図3に示すように、回転駆動装置DVは、主輪5と、一対の駆動部DPとを有する。一対の駆動部DPは、回転軸線AXに沿った軸方向ADにおいて互いに対向し、各々が主輪5を駆動する。一対の駆動部DPの一方は、第1駆動部DAである。一対の駆動部DPの他方は、第2駆動部DBである。換言すれば、回転駆動装置DVは、主輪5と、第1駆動部DAと、第2駆動部DBとを有する。主輪5は、回転軸線AXの周りに回転可能である。具体的には、第1駆動部DA及び第2駆動部DBは主輪5を駆動する。その結果、主輪5は、回転軸線AXの周りに回転する。よって、回転軸線AXは主輪5の回転軸線でもある。第1駆動部DAは、軸方向ADにおける主輪5の一方側から主輪5に接触して、主輪5を駆動する。第2駆動部DBは、軸方向ADにおける主輪5の他方側から主輪5に接触して、主輪5を駆動する。
【0021】
第1駆動部DAは、第1駆動力伝達装置11Aと、第1モータ17Aと、第1モータケース18Aとを有する。第1モータ17Aは第1回転軸171Aを有する。第1モータケース18Aは、第1モータ17Aを収容する。第1モータケース18Aのうちの少なくとも一部80Aは、車体3に取り付け可能である。第1回転軸171Aは、「第1モータの出力軸」の一例である。
【0022】
第2駆動部DBは、第2駆動力伝達装置11Bと、第2モータ17Bと、第2モータケース18Bとを有する。第2モータ17Bは第2回転軸171Bを有する。第2モータケース18Bは、第2モータ17Bを収容する。第2モータケース18Bのうちの少なくとも一部80Bは、車体3に取り付け可能である。第2回転軸171Bは、「第2モータの出力軸」の一例である。第2モータ17B及び第2モータケース18Bの構成は、それぞれ、第1駆動部DAの第1モータ17A及び第1モータケース18Aの構成と同様であり、説明を省略する。また、第2駆動力伝達装置11Bは、第1駆動部DAの第1駆動力伝達装置11Aを左右反転した構造を有しており、適宜説明を省略する。また、以下、「第1駆動力伝達装置11A」、及び「第2駆動力伝達装置11B」を総称して、単に「駆動力伝達装置11」と記載することがある。また、以下、「第1モータ17A」、及び「第2モータ17B」を総称して、単に「モータ17」と記載することがある。また、以下、「第1回転軸171A」、及び「第2回転軸171B」を総称して、単に「回転軸171」と記載することがある。また、以下、「第1モータケース18A」、及び「第2モータケース18B」を総称して、単に「モータケース18」と記載することがある。また、以下、「第1モータケース18Aのうちの少なくとも一部80A」、及び「第2モータケース18Bのうちの少なくとも一部80B」を総称して、単に「モータケース18のうちの少なくとも一部80」と記載することがある。また、以下、「モータケース18のうちの少なくとも一部80」、「第1モータケース18Aのうちの少なくとも一部80A」、及び「第2モータケース18Bのうちの少なくとも一部80B」を、それぞれ、「特定の一部80」、「特定の一部80A」、及び「特定の一部80B」と便宜上記載することがある。
【0023】
次に、
図4を参照して、回転駆動装置DVを説明する。
図4は、回転駆動装置DVを示す斜視図である。
図4に示すように、回転駆動装置DVにおいて、第1駆動部DAの第1駆動力伝達装置11Aは、略円盤形状を有している。第1駆動力伝達装置11Aは、軸方向ADにおける主輪5の一方側に配置される。第1駆動力伝達装置11Aは、回転可能に支持されている。第1駆動力伝達装置11Aは、第1モータ17Aによって駆動されて、回転軸線AXの周りに回転する。従って、回転軸線AXは第1駆動力伝達装置11Aの回転軸線でもある。そして、第1駆動力伝達装置11Aは、軸方向ADにおける主輪5の一方側から主輪5に接触して、主輪5を駆動する。
【0024】
第1駆動力伝達装置11Aが、回転軸線AXの周りに回転する。その結果、第1駆動力伝達装置11Aは、回転力に基づく駆動力を主輪5に伝達する。つまり、第1駆動力伝達装置11Aは、第1モータ17Aの駆動力を主輪5に伝達する。
【0025】
なお、第2駆動部DBの第2駆動力伝達装置11Bは、略円盤形状を有している。第2駆動力伝達装置11Bは、軸方向ADにおける主輪5の他方側に配置される。第2駆動力伝達装置11Bは、主軸9に回転可能に支持されている。第2駆動力伝達装置11Bは、第2モータ17Bによって駆動されて、回転軸線AXの周りに回転する。従って、回転軸線AXは第2駆動力伝達装置11Bの回転軸線でもある。そして、第2駆動力伝達装置11Bは、軸方向ADにおける主輪5の他方側から主輪5に接触して、主輪5を駆動する。
【0026】
第1駆動力伝達装置11Aと第2駆動力伝達装置11Bとは、主輪5を軸方向ADから挟んでいる。また、第1駆動力伝達装置11Aと第2駆動力伝達装置11Bとは、主輪5を挟んで左右対称に配置される。さらに、第1駆動力伝達装置11Aと第2駆動力伝達装置11Bとは、主輪5を回転軸線AXの周りに回転可能に支持している。
【0027】
主輪5は、複数の被駆動ローラ51と、芯体53とを有する。芯体53は、回転軸線AXの周りに周方向CDに沿って延びる。芯体53は略円環形状を有する。複数の被駆動ローラ51の各々は略円筒形状を有する。複数の被駆動ローラ51は、芯体53に回転自在に支持される。具体的には、複数の被駆動ローラ51の各々は、自身の位置における芯体53の接線方向に沿った軸線の周りに回転自在である。以下、被駆動ローラ51が、自身の位置における芯体53の接線方向に沿った軸線の周りに回転することを「自転」と記載する場合がある。複数の被駆動ローラ51は、回転軸線AXに対する周方向CDに沿って配置される。詳細には、複数の被駆動ローラ51は、芯体53に、周方向CDに沿って間隔をあけて配置される。
【0028】
主輪5が回転軸線AXの周りに回転すると、複数の被駆動ローラ51の各々が、周方向CDに沿って回転移動される。以下、被駆動ローラ51が周方向CDに沿って回転移動されるときの被駆動ローラ51の周方向CDにおける位置を「回転移動位置」と記載する場合がある。複数の被駆動ローラ51の各々は、被駆動ローラ51の回転移動位置に応じて、床面又は地面と接触する。以下、被駆動ローラ51が床面又は地面と接触することを「接地」と記載する場合がある。被駆動ローラ51のローラ本体は、例えば、ゴム製である。
【0029】
次に、
図4及び
図5を参照して、第1駆動力伝達装置11Aの詳細を説明する。
図4に示すように、第1駆動部DAは、第1駆動力伝達部材110Aを有する。第2駆動部DBは、第2駆動力伝達部材110Bを有する。より具体的には、本実施形態では、第1駆動部DAは第1駆動力伝達装置11Aを有し、第1駆動力伝達装置11Aは第1駆動力伝達部材110Aを有する。同様に、本実施形態では、第2駆動部DBは第2駆動力伝達装置11Bを有し、第2駆動力伝達装置11Bは第2駆動力伝達部材110Bを有する。以下、「第1駆動力伝達部材110A」、及び「第2駆動力伝達部材110B」を総称して、単に「駆動力伝達部材110」と記載することがある。駆動力伝達部材110は略円盤形状を有する。駆動力伝達部材110は、例えば、金属及び硬質プラスチックのような高剛性材料により構成される。
【0030】
駆動力伝達部材110は、回転軸線AXの周りに回転可能である。詳しくは、モータ17の回転軸171が回転すると、駆動力伝達部材110が、回転軸線AXの周りに回転する。従って、回転軸線AXは、駆動力伝達部材110の回転軸線でもある。
【0031】
図5は、主輪5及び第2駆動部DBを示す斜視図である。
図5では、
図4の第1駆動部DAの配置される側から、主輪5及び第2駆動部DBを見ている。また、
図5では、理解を容易にするために、第1駆動部DAの図示を省略している。さらに、
図5では、図面を見易くするために、主輪5を二点鎖線で示している。
【0032】
図4及び
図5に示すように、第1駆動部DAは、複数の第1駆動ローラ120Aを有する。第2駆動部DBは、複数の第2駆動ローラ120Bを有する。より具体的には、本実施形態では、第1駆動部DAは第1駆動力伝達装置11Aを有し、第1駆動力伝達装置11Aは複数の第1駆動ローラ120Aを有する。同様に、本実施形態では、第2駆動部DBは第2駆動力伝達装置11Bを有し、第2駆動力伝達装置11Bは複数の第2駆動ローラ120Bを有する。以下、「第1駆動ローラ120A」、及び「第2駆動ローラ120B」を総称して、単に「駆動ローラ120」と記載することがある。複数の駆動ローラ120は、周方向CDに沿って駆動力伝達部材110に配置される。駆動力伝達部材110が回転軸線AXの周りに回転すると、複数の駆動ローラ120の各々が、周方向CDに沿って回転移動される。以下、駆動ローラ120が周方向CDに沿って回転移動されるときの駆動ローラ120の周方向CDにおける位置を「回転移動位置」と記載する場合がある。
【0033】
複数の第1駆動ローラ120Aは、軸方向ADの一方側から複数の被駆動ローラ51の少なくとも一部と接触する。複数の第2駆動ローラ120Bは、軸方向ADの他方側から複数の被駆動ローラ51の少なくとも一部と接触する。詳細には、複数の駆動ローラ120の各々は、駆動ローラ120の回転移動位置に応じて、複数の被駆動ローラ51のいずれかと接触する。少なくとも、駆動ローラ120は、最下部に位置して接地している被駆動ローラ51に接触する。この場合、駆動ローラ120の外周面が被駆動ローラ51の外周面に接触する。その結果、駆動ローラ120と被駆動ローラ51との間の摩擦によって、駆動力伝達部材110の回転に基づく駆動力が、駆動ローラ120から被駆動ローラ51に伝達される。換言すれば、駆動力伝達部材110は、回転して複数の駆動ローラ120を介して主輪5にモータ17の駆動力を伝達する。更に換言すれば、複数の駆動ローラ120は、主輪5に推進力を伝達する。
【0034】
具体的には、複数の駆動ローラ120の各々は、回転軸線AXの周りの主輪5の回転方向に対して、直交及び平行のいずれでもない方向に延在する中心軸線(以下、「中心軸線CT」と記載する。)の周りに回転可能に配置されている。つまり、複数の駆動ローラ120の中心軸線CTは、回転軸線AXの周りの主輪5の回転方向に対して傾斜し、回転軸線AXに対してねじれの関係を有する。
【0035】
第1モータケース18Aのうちの少なくとも一部80Aは、軸方向ADにおいて複数の第1駆動ローラ120Aのうちの少なくとも一部と対向する。換言すれば、特定の一部80Aと第1駆動ローラ120Aの少なくとも一部とは、軸方向ADにおいて互いに重なるように向かう合う。第2モータケース18Bのうちの少なくとも一部80Bは、軸方向ADにおいて複数の第2駆動ローラ120Bのうちの少なくとも一部と対向する。換言すれば、特定の一部80Bと第2駆動ローラ120Bの少なくとも一部とは、軸方向ADにおいて互いに重なるように向かい合う。
【0036】
第2駆動部DBは、第2キャリア13Bと、少なくとも1つの第2結合部材14Bと、第2減速部とをさらに有する。本実施形態では、第2駆動部DBは、3つの第2結合部材14Bを有する。第2結合部材14Bは、例えば、ボルトである。
【0037】
第1駆動部DAも同様に、第1キャリアと、少なくとも1つの第1結合部材と、第1減速部とをさらに有する。本実施形態では、第1駆動部DAは、3つの第1結合部材を有する。なお、以下、「第1キャリア」を「第1キャリア13A」と記載し、「第1結合部材」を「第1結合部材14A」と記載することがある。第1減速部及び第2減速部については、
図10を参照して後述する。また、以下、「第1キャリア13A」、及び「第2キャリア13B」を総称して、単に「キャリア13」と記載することがある。以下、「第1結合部材14A」、及び「第2結合部材14B」を総称して、単に「結合部材14」と記載することがある。
【0038】
第1キャリア13Aと第2キャリア13Bとは、少なくとも1つの結合部材14A及び少なくとも1つの結合部材14Bを介して連結される。したがって、第1駆動部DAと第2駆動部DBとが、少なくとも1つの結合部材14A及び少なくとも1つの結合部材14Bを介して連結される。
【0039】
引き続き、
図4及び
図5を参照して、主輪5の移動方向の制御を説明する。
図4に示すように、第1モータ17A及び第2モータ17Bによって、第1駆動力伝達部材110Aの回転方向及び回転速度と、第2駆動力伝達部材110Bの回転方向及び回転速度とを、独立して制御することで、主輪5の移動方向が制御される。
【0040】
具体的には、第1モータ17A及び第2モータ17Bが同一回転方向及び同一回転速度で駆動されている場合には、第1駆動力伝達部材110Aと第2駆動力伝達部材110Bとが、同一回転速度で同一回転方向に回転し、主輪5が回転軸線AXの周りに回転する。この場合は、第1駆動力伝達部材110Aと第2駆動力伝達部材110Bとに回転速度差が生じないため、主輪5の被駆動ローラ51が自転せず、主輪5は、真っ直ぐに前進又は後進する。
【0041】
一方、第1モータ17A及び第2モータ17Bが、異なった回転方向及び/又は異なった回転速度で駆動されている場合には、第1駆動力伝達部材110Aと第2駆動力伝達部材110Bとに回転速度差が生じる。
【0042】
この場合、第1駆動力伝達部材110Aの回転力による円周方向の力に直交する分力が、第1駆動力伝達部材110Aの駆動ローラ120(
図5)と主輪5の被駆動ローラ51との接触面に作用する。加えて、第2駆動力伝達部材110Bの回転力による円周方向の力に直交する分力が、第2駆動力伝達部材110Bの駆動ローラ120と主輪5の被駆動ローラ51との接触面に作用する。
【0043】
従って、主輪5が回転軸線AXの周りに回転することなく、被駆動ローラ51が自転するか、又は、主輪5が回転軸線AXの周りに回転しつつ、被駆動ローラ51が自転するかする。その結果、主輪5は、左右方向又は斜め方向に移動する。
【0044】
なお、第1駆動力伝達装置11A及び第2駆動力伝達装置11Bは、第1駆動力伝達部材110Aの複数の駆動ローラ120と、第2駆動力伝達部材110Bの複数の駆動ローラ120とで主輪5を挟むようにして、主輪5を回転軸線AXの周りに回転可能に支持している。
【0045】
次に、
図6A及び
図6Bを参照して、駆動ローラ120を説明する。
図6Aは、駆動ローラ120を示す斜視図である。
図6Bは、駆動ローラ120を示す上面図である。
図6A及び
図6Bに示すように、駆動ローラ120は、ローラ本体121と、軸123とを有する。ローラ本体121は、略円板形状を有する。ローラ本体121は、例えば、金属及び硬質プラスチックのような高剛性材料により構成される。軸123は、中心軸線CT上に配置される。つまり、軸123は、中心軸線CTに沿って延びている。軸123は、略円柱形状を有する。軸123は、ローラ本体121を貫通して、ローラ本体121に固定される。軸123は、例えば、金属及び硬質プラスチックのような高剛性材料により構成される。
【0046】
ここで、駆動力伝達装置11(
図5)は、1個の駆動ローラ120に対して、一対のブッシュBHと、一対のシム125とを有する。第1駆動力伝達装置11Aは、複数の駆動ローラ120を有するため、複数のブッシュBHと、複数のシム125とを有する。
【0047】
一対のブッシュBHは、駆動ローラ120を中心軸線CTの周りに回転可能に支持する。具体的には、一対のブッシュBHのうち、一方のブッシュBHは、軸123の一方端部を回転可能に支持し、他方のブッシュBHは、軸123の他方端部を回転可能に支持する。ブッシュBHは、例えば、金属及び硬質プラスチックのような高剛性材料により構成される。
【0048】
一対のシム125の各々は、ゴムのような弾性部材によって構成される。そして、一対のシム125のうち、一方のシム125は、ローラ本体121の一方の側面121aとブッシュBHとで挟持され、他方のシム125は、ローラ本体121の他方の側面121aとブッシュBHとで挟持される。その結果、駆動力伝達部材110が回転軸線AXの周りに回転している時の駆動ローラ120を起因とする音の発生を抑制できる。
【0049】
次に、
図3、
図7A及び
図7Bを参照して、搬送車1の車体3への回転駆動装置DVの取付けについて説明する。
図7A及び
図7Bは、回転駆動装置DVと搬送車1の車体3の一部とを示す斜視図である。
図7Aに示すように、例えば、特定の一部80Aと、特定の一部80Bとの各々は、車体3に取り付け可能である。すなわち、特定の一部80Aと、特定の一部80Bとの両方が車体3に取り付け可能である。
【0050】
車体3は、例えば、搬送車1の筐体であってもよいし、連結部材であっていてもよい。連結部材は、特定の一部80と、搬送車1の筐体とを連結する部材である。換言すれば、車体3は、搬送車1の構成要素のうち、回転駆動装置DVを除く全ての構成要素を含み得る。車体3は、特定の一部80に対する接触面を有する。
【0051】
特定の一部80は、被駆動ローラ51の接地可能な高さで車体3に取り付け可能でありさえすればよく、例えば、車体3の下方である底部3aに取り付け可能であってもよいし、車体3の側方に取り付け可能であってもよい。特定の一部80は、車体3の接触面と接触した状態で、例えば、不図示のボルトによって固定される。
【0052】
以上、本実施形態によれば、特定の一部80Aと、特定の一部80Bとは、両方が車体3に取り付け可能であり、軸方向ADにおいて、それぞれ、複数の第1駆動ローラ120Aのうちの少なくとも一部と、複数の第2駆動ローラ120Bのうちの少なくとも一部とに対向して配置されることが好ましい。軸方向ADにおいてモータ17が回転軸線AXと重なる位置に配置される構成であっても、第1駆動部DAと第2駆動部DBとを高精度の対向位置に配置しつつ、軸方向ADに沿った取付スペースの拡張を低減できるからである。
【0053】
さらに、本実施形態によれば、回転駆動装置DVは、車体3へ取り付け可能でありさえすればよく、例えば、特定の一部80Aと、特定の一部80Bとのうち、少なくとも一方が車体3に取り付け可能であればよい。さらに、一対の駆動部DPとして、第2駆動部DBは、第1駆動部DAと同様の構成を有することが好ましい。第1駆動部DAと第2駆動部DBとの同軸度が向上するからである。従って、搬送車1が走行する際の安定性を向上させることができる。
【0054】
なお、
図7Bに示すように、本実施形態によれば、一対の駆動部DPのうち、一方のみが車体3に取り付け可能であってもよい。例えば、一対の駆動部DPにおいて、特定の一部80Aのみが車体3に取り付け可能であってもよい。軸方向ADにおいて、特定の一部80Aが複数の第1駆動ローラ120Aのうちの少なくとも一部と対向して配置されることにより、軸方向ADに沿った取付スペースの拡張を低減できる。従って、車体3に取り付けるための必要なスペースを低減できる。すなわち、省スペース化を促進できる。
【0055】
次に、
図8A及び
図8Bを参照して、モータケース18の構成の詳細について説明する。
図8Aは、モータケース18を示す斜視図である。
図8Bは、モータケース18を示す断面図である。なお、
図8Bでは、モータケース18の外形の理解を容易にするために、モータ17の図示を簡略化してハッチングで示す。
【0056】
図8A及び
図8Bに示すように、第1モータケース18Aは、第1本体部181Aと、第1フランジ部182Aとを有することが好ましい。同様に、第2モータケース18Bは、第2本体部181Bと、第2フランジ部182Bとを有することが好ましい。以下、「第1本体部181A」、及び「第2本体部181B」を総称して、単に「本体部181」と記載することがある。また、「第1フランジ部182A」、及び「第2フランジ部182B」を総称して、単に「フランジ部182」と記載することがある。本体部181は、回転軸線AXに沿って延びる略有底円筒状である。本体部181は、モータ17を収容する。フランジ部182は、回転軸線AXに対する径方向RD外側に向かって本体部181から張り出す。特定の一部80は、フランジ部182を構成する。本実施形態によれば、特定の一部80は、モータ17を径方向RDに避けて配置され得る。従って、一対の駆動部DPにおいて、車体3への回転駆動装置DVの取付位置を軸方向ADに沿って拡張することなく、車体3に回転駆動装置DVを効果的に取り付けることができる。さらに、外部からの異物が駆動ローラ120に当たったり、入り込んだりすることを低減できる。
【0057】
なお、第1フランジ部182Aは、複数の第1取付孔188Aを有することが好ましい。同様に、第2フランジ部182Bは、複数の第2取付孔188Bを有することが好ましい。以下、「第1取付孔188A」、及び「第2取付孔188B」を総称して、単に「取付孔188」と記載することがある。複数の取付孔188は、周方向CDに沿って例えば等間隔でフランジ部182に配置される。取付孔188は、例えば、回転軸線AXに沿って延びる貫通孔、又は螺子穴である。取付孔188には、車体3をボルトで取り付け可能である。従って、フランジ部182を車体3に容易に固定できる。なお、取付孔188は、1つであってもよい。
【0058】
次に、
図9を参照して、特定の一部80の一例について説明する。特定の一部80A、及び特定の一部80Bは、それぞれ、第1フロントブラケットFBA、及び第2フロントブラケットFBBであることが好ましい。以下、「第1フロントブラケットFBA」、及び「第2フロントブラケットFBB」を総称して、単に「フロントブラケットFB」と記載することがある。また、「第1モータケース18A及び第1モータ17Aから第1フロントブラケットFBAを除いた部分」、及び「第2モータケース18B及び第2モータ17Bから第2フロントブラケットFBBを除いた部分」を、それぞれ、「第1モータ部MTA」、及び「第2モータ部MTB」と記載することがある。さらに、「第1モータ部MTA」、及び「第2モータ部MTB」を総称して、単に「モータ部MT」と記載することがある。
図9は、モータ部MTとフロントブラケットFBとを示す分解斜視図である。なお、「モータ部MTからモータ17を除いた部分」及び「フロントブラケットFBからフランジ部182を除いた部分」は、本体部181を構成する。
【0059】
図9に示すように、フロントブラケットFBは、円環状等の略環状の部材である。フロントブラケットFBは、例えば、金属製又は樹脂製である。フロントブラケットFBは、モータ部MTの開口を略閉塞する。フロントブラケットFBは、複数の孔183と、複数の孔184とを有する。特定の一部80は、回転軸線AXに対するフロントブラケットFBの径方向RD外側の端部を構成する。換言すれば、特定の一部80は、フランジ部182を構成する。
【0060】
次に、
図9を参照しつつ、
図10と
図11とをさらに参照して、第1減速部15A、第2減速部15B、フロントブラケットFB、及びモータ17の詳細について説明する。
図10は、
図4のX−X線に沿った断面図である。
図11は、
図4のXI−XI線に沿った断面図である。
図10に示すように、第1駆動部DA、及び第2駆動部DBは、それぞれ、第1減速部15A、及び第2減速部15Bを更に有する。以下、「第1減速部15A」、及び「第2減速部15B」を総称して、単に「減速部15」と記載することがある。
【0061】
第1減速部15Aは、第1モータケース18Aに対して軸方向ADの負荷側D1Aに配置される。詳細には、負荷側D1Aは、第1モータ17Aのうち負荷が接続される側を示す。また、第1モータ17Aのうち負荷側D1Aの反対側は、反負荷側D2Aである。
図10において、第1モータ17Aに対する負荷側D1A及び反負荷側D2Aは、それぞれ、右方向側及び左方向側である。
【0062】
第1減速部15Aと同様に、第2減速部15Bは、第2モータケース18Bに対して軸方向ADの負荷側D1Bに配置される。詳細には、負荷側D1Bは、第2モータ17Bのうち負荷が接続される側を示す。また、第2モータ17Bのうち負荷側D1Bの反対側は、反負荷側D2Bである。
図10において、第2モータ17Bに対する負荷側D1B及び反負荷側D2Bは、それぞれ、左方向側及び右方向側である。
【0063】
フロントブラケットFBは、モータ部MTと減速部15とを結合する。詳細には、フロントブラケットFBは、モータ部MTと接続する。モータ部MTは、フロントブラケットFBの複数の孔183にボルトで固定される。フロントブラケットFBは、減速部15と接続する。減速部15は、フロントブラケットFBの複数の孔184に固定される。本実施形態によれば、特定の一部80がフロントブラケットFBであることにより、車体3に回転駆動装置DVを取り付けるための部品点数の増加を抑制できるとともに、軸方向ADに取付け位置が広がることを抑制できる。さらに、モータ部MTの軸方向ADの厚みを低減できる。
【0064】
第1減速部15Aは、第1太陽歯車151Aと、複数の第1遊星歯車153Aと、第1内歯車155Aと、複数の軸受とを有する。第2減速部15Bは、第2太陽歯車151Bと、複数の第2遊星歯車153Bと、第2内歯車155Bと、複数の軸受とを有する。以下、「第1太陽歯車151A」、及び「第2太陽歯車151B」を総称して、単に「太陽歯車151」と記載することがある。また、以下、「第1遊星歯車153A」、及び「第2遊星歯車153B」を総称して、単に「遊星歯車153」と記載することがある。また、以下、「第1内歯車155A」、及び「第2内歯車155B」を総称して、単に「内歯車155」と記載することがある。
【0065】
減速部15は、回転数N1の回転運動を、回転数N1よりも低い回転数N2の回転運動に変換する。回転数N1および回転数N2は、単位時間当たりの回転運動の回転数を示す。本実施形態では、減速部15は、回転軸171の回転速度を減速させ、減速した回転速度で駆動力伝達部材110を回転させる。
【0066】
減速部15は、太陽歯車151と複数の遊星歯車153とを互いに接触させながら回転させることで動力を伝達する。つまり、減速部15は、いわゆる遊星歯車型の減速機である。詳しくは、減速部15は、スター型の遊星歯車型の減速機である。具体的には、複数の遊星歯車153の各々の外歯は、内歯車155の内歯と噛み合う。内歯車155は、駆動力伝達部材110の一部を構成する。従って、複数の遊星歯車153が回転すると、駆動力伝達部材110が回転する。
【0067】
キャリア13は、減速部15の少なくとも一部を収容する。本実施形態では、キャリア13は、回転軸171の一部、太陽歯車151、複数の遊星歯車153を収容する。
【0068】
第1モータ17Aは、第1回転軸171Aと、第1マグネット172Aと、第1ロータヨーク173Aと、第1ステータ700Aとを有する。第1ステータ700Aは、第1ステータコア710Aと、複数の第1インシュレータ720Aと、複数の第1コイル730Aとを有する。第2モータ17Bは、第2回転軸171Bと、第2マグネット172Bと、第2ロータヨーク173Bと、第2ステータ700Bとを有する。第2ステータ700Bは、第2ステータコア710Bと、複数の第2インシュレータ720Bと、複数の第2コイル730Bとを有する。
【0069】
以下、「第1マグネット172A」、及び「第2マグネット172B」を総称して、単に「マグネット172」と記載することがある。また、以下、「第1ロータヨーク173A」、及び「第2ロータヨーク173B」を総称して、単に「ロータヨーク173」と記載することがある。また、以下、「第1ステータ700A」、及び「第2ステータ700B」を総称して、単に「ステータ700」と記載することがある。また、以下、「第1ステータコア710A」、及び「第2ステータコア710B」を総称して、単に「ステータコア710」と記載することがある。また、以下、「第1インシュレータ720A」、及び「第2インシュレータ720B」を総称して、単に「インシュレータ720」と記載することがある。また、以下、「第1コイル730A」、及び「第2コイル730B」を総称して、単に「コイル730」と記載することがある。
【0070】
モータ17は、例えば、インナーロータ型のモータである。回転軸171と、マグネット172と、ロータヨーク173とは、回転軸線AXの回りに回転する。マグネット172は、例えば、永久磁石である。ロータヨーク173の径方向RD外面には、マグネット172が固定される。従って、モータ17は、いわゆる、SPM(Surface Permanent Magnet)モータである。回転軸171は、中心軸を中心として配置される。詳細には、回転軸171は、回転軸線AX上に配置され、軸方向ADに沿って延びる。以下、回転軸線AXをモータ17の「中心軸AX」と記載することがある。回転軸171は略柱状である。「柱状」は例えば「円柱状」である。モータ17を駆動させると、中心軸AXを中心として、回転軸171が回転数N1で回転する。回転軸171はロータヨーク173に固定される。従って、回転軸171は、中心軸AX回りに、ロータヨーク173およびマグネット172とともに回転する。
【0071】
ステータ700は、マグネット172と径方向RDに対向する。ステータ700は、中心軸AXを中心として配置される。
【0072】
ステータコア710は、中心軸AXを中心とする略環状である。「環状」は例えば「円環状」である。インシュレータ720の各々は、ステータコア710の少なくとも一部に取り付けられる。インシュレータ720の各々は、コイル730とステータコア710との間に配置される。従って、コイル730の各々は、インシュレータ720を介してステータコア710に取り付けられる。インシュレータ720は絶縁体によって構成される。従って、インシュレータ720の各々は、ステータコア710とコイル730とを電気的に絶縁する。ステータコア710は、例えば、電磁鋼板が軸方向ADに積層した積層鋼板によって構成される。特定の一部80は、例えば、ステータコア710よりも回転軸171に対する径方向RD外側に配置される。また、フロントブラケットFBは、例えば、軸方向ADにおいて、ステータ700と減速部15との間に配置される。
【0073】
さらに、特定の一部80Aは、軸方向ADにおける第1モータケース18Aの反負荷側D2Aの端面18A1と負荷側D1Aの端面18A2との中央部分18A3よりも負荷側D1Aに位置することが好ましい。詳細には、端面18A2と中央部分18A3との間隔WA2は、端面18A1と中央部分18A3との間隔WA3と等しい。端面18A1と端面18A2との間隔WA1のうち、特定の一部80Aは、間隔WA2に位置する。加えて、特定の一部80Bは、軸方向ADにおける第2モータケース18Bの反負荷側D2Bの端面18B1と負荷側D1Bの端面18B2との中央部分18B3よりも負荷側D1Bに位置することが好ましい。詳細には、端面18B2と中央部分18B3との間隔WB2は、端面18B1と中央部分18B3との間隔WB3と等しい。端面18B1と端面18B2との間隔WB1のうち、特定の一部80Bは、間隔WB2に位置する。これらの好ましい例によれば、回転駆動装置DVに対して車体3をより負荷側D1A、D1Bで取り付けることができる。従って、車体3に回転駆動装置DVを取り付けるための必要なスペースを軸方向ADにおいてさらに狭くできる。特に、
図7Bに示したように、回転駆動装置DVの片側のみに対して車体3を取り付けた場合に、すなわち、特定の一部80Aのみ、又は特定の一部80Bのみに車体3を取り付けた場合に、生じやすいモーメント荷重を低減できる。
【0074】
図11は、特定の一部80Aのみに車体3を取り付けた場合の回転駆動装置DVを一例として示す。具体的には、
図11に示すように、回転駆動装置DVが走行面Gに載置された状態で車体3に荷重Pがかかると、主輪5に荷重がかかる。荷重を原因とする応力に応じて、特定の一部80Aにおける荷重点PAにモーメント荷重が生じる。走行面Gは、例えば、床面、又は地面である。一般に回転駆動装置DVの中心線BXから荷重点までの距離が遠くなればなるほど、荷重点にかかるモーメント荷重は大きくなる傾向がある。例えば、特定の一部80Aが軸方向ADにおける第1モータケース18Aの反負荷側D2Aの端面18A1と負荷側D1Aの端面18A2との中央部分18A3よりも負荷側D1Aに位置する場合、特定の一部80Aから中心線BXまでの距離LAは、端面18A1から中心線BXまでの距離LLAよりも小さい。従って、車体3を特定の一部80A又は特定の一部80Bに取り付けた場合のモーメント荷重は、例えば、車体3を端面18A1又は端面18B1に取り付けた場合のモーメント荷重よりも小さい。換言すれば、軸方向ADにおいて、特定の一部80の位置をモータ17に対して負荷側D1A又は負荷側D1Bに配置すればするほど、特定の一部80に車体3を取り付けた場合に生じるモーメント荷重を低減できる。その結果、車体3及び特定の一部80等の部材に必要とされる剛性を低減できる。
【0075】
次に、
図12及び
図13を参照して、モータケース18の変形例について説明する。
図12は、本実施形態の変形例に係る回転駆動装置DVを示す側面図である。
図13は、
図12のXIII−XIII線に沿った断面図である。
図12及び
図13に示すように、モータケース18は、軸方向ADに沿って延びる筒状である。本変形例において、モータケース18は、凹み領域185をさらに有する。より具体的には、本実施形態では、モータケース18は本体部181を有し、本体部181は凹み領域185を有する。なお、本変形例において、モータケース18は、フランジ部182を有してもよいし、有しなくてもよい。凹み領域185は、回転軸線AXに対して径方向RD内側に向かって凹んでいる領域を示す。
【0076】
特定の一部80は、凹み領域185と軸方向ADに沿って重なる。特定の一部80は、例えば、矩形板状であり、径方向RDに沿って延びる。特定の一部80は、複数が好ましく、例えば、4つであるが、1つであってもよい。特定の一部80には、取付孔188が配置される。車体3は、例えば、ボルト31を用いて特定の一部80に取り付けられる。特定の一部80が凹み領域185に重ねて配置されることにより、回転軸線AXに対するモータケース18の径方向RDの幅が拡張することをさらに抑制しつつ、車体3に回転駆動装置DVを取り付けることができる。従って、車体3に取り付けるための必要なスペースをさらに低減できる。
【0077】
次に、
図14を参照して、モータケース18のさらなる変形例について説明する。
図14は、本実施形態の変形例に係る回転駆動装置DVを示す断面図である。なお、図面を見易くするため、
図14では回転駆動装置DVを部分的に示している。
【0078】
図14に示すように、第1フランジ部182Aは、第1取付部186Aと、第1カバー部187Aとをさらに有する。第2フランジ部182Bは、第2取付部186Bと、第2カバー部187Bとをさらに有する。以下、「第1取付部186A」、及び「第2取付部186B」を総称して、単に「取付部186」と記載することがある。また、「第1カバー部187A」、及び「第2カバー部187B」を総称して、単に「カバー部187」と記載することがある。
【0079】
取付部186は、本体部181から径方向RD外側に向かって延びる。取付部186は、車体3に取り付け可能である。換言すれば、特定の一部80は、取付部186を構成する。カバー部187は、回転軸線AXに対する駆動ローラ120の径方向RD外側に配置される。カバー部187は、取付部186から被駆動ローラ51に向かって延びる。カバー部187と取付部186とは、互いに独立した部材であってもよいし、単一の部材の部分であってもよい。カバー部187は、例えば、円筒状のような環状である。なお、カバー部187は、環状に限られず、例えば、取付部186の径方向RD外側の端部から被駆動ローラ51に向かって部分的に延びてもよい。カバー部187は、例えば、軸方向ADに沿って延びる。また、カバー部187は、例えば、軸方向ADに対して径方向RD外側に傾いて延びてもよい。カバー部187が取付部186から被駆動ローラ51に向かって延びることにより、外部からの異物が駆動ローラ120に当たったり、入り込んだりすることをさらに低減できる。
【0080】
さらに、カバー部187は、駆動ローラ120の鉛直下方に配置されることが好ましい。すなわち、カバー部187は、取付部186の径方向RD外側の端部から被駆動ローラ51に向かって部分的に延びる場合、特に駆動ローラ120の鉛直下方に配置されることが効果的である。回転駆動装置DVの走行面G側から跳ね上げられた異物が駆動ローラ120に当たったり、入り込んだりすることを効果的に低減できるからである。
【0081】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、複数の実施形態の複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の速度、材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0082】
(1)
図1〜
図14を参照して説明した本実施形態では、回転駆動装置DV(
図3)が、搬送車1に適用された。ただし、回転駆動装置DVの適用は、搬送車1に限られず、回転駆動装置DVは、床面又は地面を移動する任意の移動体に適用できる。移動体は、例えば、一輪車、二輪車、三輪車、又は、四輪車である。また、移動体は、1つの回転駆動装置DVを有していてもよいし、2以上の回転駆動装置DVを有していてもよい。
【0083】
(2)
図1〜
図14を参照して説明した本実施形態では、主輪5の回転軸線AXとモータ17の回転軸線AXとが略一致していた。ただし、モータ17の回転軸線AXが、主輪5の回転軸線に対して偏心していてもよい。