【解決手段】板状の弁体部2a、弁体部に備えられた棒状の弁軸部2b、からなる弁本体2と、弁体部に当接することで流路を閉塞する弁座部1gと、弁体部が弁座部に常時当接するように弁軸部を固定する保持部7と、からなる逆流防止弁について、保持部の弁軸部に対する固定を解除して、弁軸部を保持部から抜脱しない範囲で移動可能、又は弁軸部を保持部から抜脱しないまま回転可能のいずれか一方、又は両方となるように構成する。
上記逆流防止弁を、弁軸部の軸方向に付勢すると共に、流路外からの操作によって付勢とは逆の方向に移動可能に構成したことを特徴とする、請求項2に記載の逆流防止弁。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体や気体等の流体を通過させるため、管体や継手部材を組み合わせて排水や排気等を行う配管構造が知られている。これらの配管構造は、上流から下流へと気体や液体を通過させるためのものであるが、下流側の配管で気体又は液体が大量に生じる等して、気体又は液体が逆流を生じる場合がある。下流側に排出された気体や液体は、排出の過程で汚物や危険な物質が混入する場合があり、このような汚染された流体が逆流して配管内を汚染したり、流入元に溢れることは不具合である。
【0003】
そこで、特許文献1に記載されたような、配管内に上流から下流には支障なく流れると共に、下流から上流への逆流は防止する、配管の逆流防止弁を備えて流体の逆流を防ぐ構造が提案されている。
特許文献1に記載の逆流防止弁を備えた逆流防止弁継手は、流体である排水を通過させる排水用の配管に対して用いられる継手部材であって、以下に記載する継手本体と、逆流防止弁ユニットと、から構成される。
継手本体は、流体の流路を形成する管体部、管体部の上流側端部、及び下流側端部に備えられた接続部、管体部内に備えられた収納部、管体部の側面に設けられた収納部と連通する開口部、からなる。
逆流防止弁ユニットは、以下に記載する、弁本体と、逆流防止弁ユニット本体と、ロック部材と、から構成されてなる。
弁本体は、円盤状の弁体部と、該弁体部に対して略垂直に設けられた弁軸部と、から構成される。
逆流防止弁ユニット本体は、側面に蓋部分を備えた略板状の部材で、蓋部分の側面にパッキングを備えると共に、中央部分に排水の流路を設け、排水の流路上に弁体部と当接する弁座部を、流路の中心部分に弁軸部を保持固定する保持部を、それぞれ備えてなる。該保持部は、流路の内側面から2本のアーム部を保持部まで延出することで流路の中心位置で固定しており、2本のアーム部は保持部を中心に、対向する位置関係に配置されている。
ロック部材は、円盤状の部材であって、逆流防止弁ユニット本体の蓋部分に回動自在に取り付けられると共に、その側面に、回転により継手部材の開口部と嵌合する回転ロック構造を備えてなる。
【0004】
上記逆流防止弁継手は、次のようにして排水用の配管上に施工されてなる。
継手本体の上端側の接続部を上流側の配管に、下端側の接続部を下流側の配管に、それぞれ接続する。
次に、継手本体の開口部から逆流防止弁ユニットを挿通し、蓋部分が開口を閉塞するようにして継手本体内に配置した上で、継手本体の開口部とロック部材を回転させて開口部を回転ロックにて閉塞することで、逆流防止弁ユニットが排水配管に施工される。
上流側から排水が行われた場合、排水は、上流側の配管から、継手本体内部に侵入し、弁本体内部に流入する。ある程度弁本体内、又はその上流の継手本体内に排水が溜まると、溜まった排水の圧力によって、弁体部が弾性変形して弁体部が弁座部から離間して流路が開口し、内部に溜まった排水が流出して、継手部材内を通過し、下流側の配管に排出される。
一方、下流側から排水が逆流した場合、弁本体と弁座部とは、逆流する排水の圧力により強く近接し、流路の閉塞を確実に行うため、排水は弁本体を通過することができず、排水の逆流が防止される。
また、逆流防止弁継手のメンテナンスや清掃が必要な場合は、ロック部材と開口部の回転ロックを解除し、逆流防止弁ユニットを取り出すことで、メンテナンスや清掃などを行うことができる。必要な作業が終了した後は、再び開口部から逆流防止弁ユニット本体を挿入し、ロック部材と開口部を回転ロックにて接続することで、支障なく排水配管を利用することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2019−148129号公報
【実施例】
【0012】
以下に、本発明の第一実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図1乃至
図4に示した、本発明の第一実施例の逆流防止弁を有する継手部材を採用した排水配管は、以下に記載する、継手本体1と、弁本体2と、キャップ部材4と、から構成されてなり、縦引きの配管Pである上流側の縦方向の配管P及び下流側の縦方向の配管Pに施工される。
尚、以下の説明において、上下左右は
図1を基として、説明のために記載するものであり、必ずしも実施例に記載した方向に配置しなければ使用することはできない、というわけではない。
継手本体1は、透明な樹脂素材から成る部材であって、上流側の配管Pが接続される流入口1a、及び流入口1aと同軸に備えられた上流側管部1b、下流側の配管Pが接続される流出口1c、及び流出口1cと同軸に備えられた下流側管部1d、上流側管部1bと下流側管部1dを連通する、上流側から下流側に向かって下方に傾斜した傾斜管部1e、から構成される。
上記のように、上流側管部1bと下流側管部1dは傾斜管部1eに接続されているため、上流側管部1bの中心軸と下流側管部1dの中心軸は偏心した位置関係に配置されている。
また、傾斜管部1eから下流側管部1dに屈曲する屈曲部分には、下流側管部1dの内周面に沿って内側に突出部分を設け、この突出部分の下面に、後述する弁本体2の弁体部2aが当接して流路を閉塞する弁座部1gが形成されている。
また、傾斜管部1e上であって、下流側管部1dの中心軸と交差する部分に、後述する弁本体2の弁軸部2bを進退自在に挿通する軸受け部3を備えてなる。
軸受け部3について、以下に詳述する。
軸受け部3は、傾斜管部1eから上方に向かって延出する円筒状部分であり、その内部は、弁軸部2bを軸方向に沿って進退可能、及び弁軸部2bの中心軸を中心として円周方向に回転可能に挿通される。また、上端部分には、円周状の段部と該段部の上方に雄ネジ3aを備えてなる。
弁本体2は、弾性素材からなり、略円盤状にして弁座部1gに当接することで流路を閉塞する弁体部2aと、該弁体部2aの中央から垂直方向に延出される棒状の弁軸部2b、及び該弁軸部2bの端部に備えられるツマミ部2cと、から構成される。
ツマミ部2cは弁軸部2bとは別の部材として構成され、組み立て時は弁軸部2bが軸受け部3を挿通した後に、ネジ接続により接続固定される。
また、弁本体2のツマミ部2cと、軸受け部3の端部の間にスプリング部材Sを備えてなる。継手部材の組み立て完了時、スプリング部材Sによって、ツマミ部2cは継手本体1に対し、上方に向かって付勢される。
キャップ部材4は、軸受け部3の上端を閉塞する部材であって、上端が閉塞された円筒形状を備えると共に、内周面の下端側に軸受け部3の雄ネジ3aと螺合する雌ネジ4aを備えてなる。特に図示しないが、パッキング等を利用し、軸受け部3の雄ネジ3aと螺合することで、その内部にツマミ部2cやスプリング部材S等を収納した状態にて、軸受け部3を水密的に閉塞する。また、キャップ部材4が軸受け部3に螺合された閉塞状態においては、ツマミ部2cの上端がキャップ部材4の内側上端に当接することで、スプリング部材Sによって上方に付勢される弁本体2が、必要以上に上昇しないように制限される。
具体的には、キャップ部材4が軸受け部3を閉塞し、弁本体2の上昇を制限した状態においては、弁体部2aが弁座部1gに当接して流路を閉塞しつつ、且つ上流側から排水が流れてきた場合には、水量が少なくても容易に弁体部2aが弾性変形して弁座部1gから離間し、流路を開放するような当接になるように調整されている。
キャップ部材4が軸受け部3を閉塞していない状態では、スプリング部材Sの付勢によって弁本体2が上方に付勢され、必要以上に弁体部2aが弁座部1gに強く当接して、排水が上流側に大量に溜まっても弁体部2aが弁座部1gから離間しなかったり、弁体部2aが過剰に弾性変形して弁座部1gを越えて上昇し、流路を閉塞しなくなる恐れがある。
【0013】
上記逆流防止弁を備えた継手部材は、次のようにして排水用の配管P上に施工される。
まず、工場などで、継手部材を以下のようにして組み立てる。
継手本体1の下流側端部から、弁本体2を、弁軸部2b上方に向けて挿通し、更に弁軸部2bを軸受け部3に挿通する。
軸受け部3上端から突出した弁軸部2bの周囲にスプリング部材Sを配置した上で、弁軸部2bの端部にツマミ部2cを接続固定する。これによって、軸受け部3の端部とツマミ部2cの間にスプリング部材Sが配置されて、弁本体2を上方に向けて付勢する。
更に、ツマミ部2cを覆うようにしてキャップ部材4を配置し、軸受け部3の雄ネジ3aにキャップ部材4の雌ネジ4aを螺合させて軸受け部3を水密的に閉塞する。
以上のようにして、継手部材が組み立てられる。
キャップ部材4が軸受け部3を閉塞することで、弁本体2は弁軸部2bの位置が固定される。
即ち、軸受け部3、キャップ部材4、及び弁軸部2bを付勢してその位置を固定するスプリング部材Sが、本実施例における、弁体部2aが弁座部1gに常時当接するように弁軸部2bを固定する保持部7である。
上記のようにして構成された継手部材を施工現場に搬入したのち、流入口1aを上流側の配管Pに、流出口1cを下流側の配管Pに、それぞれ接着剤を用い、水密的に接続することで、逆流防止弁が排水配管に施工される。
【0014】
上記のように構成された逆流防止弁を備えた排水配管は、排水が無い場合、
図1のように、弁本体2が弁座部1gに当接して排水の流路を閉塞した状態となる。
この排水配管において、下流側から排水が逆流した場合、弁体部2aと弁座部1gの当接は、下流側から逆流水の水圧が加えられることによってより近接し、流路の閉塞を確実に行うため、排水は逆流防止弁を通過することができず、排水の逆流が防止される。また、排水が無い状態でも弁体部2aと弁座部1gとが当接しているため、下流側からの臭気や害虫類などが上流側に逆流することを防止することができる。
【0015】
上流側から排水が行われた場合、排水は、上流側の配管Pから、継手本体1内部に侵入し、継手部材内であって、弁体部2a上に流入する。ある程度弁体部2a上に排水が溜まると、溜まった排水の圧力によって、
図2のように、弁体部2aが弾性変形して弁座部1gから離間することで、排水の流路が開口し、継手本体1内部に溜まった排水が弁座部1gから流出して、下流側の配管Pに排出される。
排水が完了すると、弁体部2aの弾性によって弁体部2aが
図1の形状に復帰し、弁体部2aが再び弁座部1gに当接して、排水の流路が閉塞される。
【0016】
上記排水配管において、継手部材は透明な樹脂素材によって成型されてなるため、継手部材を外部から視認することで、弁本体2に塵芥が付着したり、弁軸部2bに毛髪などが絡まった状態であるかどうかを確認することができる。
塵芥の付着などによって逆流防止弁の機能が低下、又は失われた場合には、
図3に示したように、キャップ部材4の螺合を解除して継手部材から取り外し、ツマミ部2cに操作を行うことで、配管Pを分解等することなく弁本体2に対して塵芥等を取り除く作業を行うことができる。
具体的には、キャップ部材4を取り外すと、スプリング部材Sの付勢によって、弁本体2が上昇する。この付勢に抗してツマミ部2cに押し込み操作を行ったり、ツマミ部2cを回転させることで、弁体部2aに付着した塵芥や、弁軸部2bに絡まった毛髪等を剥がして下流側に排出することができる。尚、ツマミ部2cへの押し込み操作は、付勢による上昇、押し込み操作による降下、を繰り返し行う事で、より確実に塵芥等を剥がす作業とすることができる。
上記のように、逆流防止弁に対する、弁本体2の固定を解除する操作、及び塵芥等を取り除く操作は、キャップ部材4を取り外し、ツマミ部2cに操作を行うことで、全て排水配管の流路外から行うことができる。
また、上記操作の際、弁本体2は保持部7の一部を構成する軸受け部3から抜脱されることはない。即ち、本実施例は、保持部7の弁軸部2bに対する固定を解除して、弁軸部2bを保持部7から抜脱しない範囲で軸方向に移動し、又は弁軸部2bを保持部7から抜脱しないまま回転することができる逆流防止弁である。
これら操作によって塵芥を取り除いた後は、再びツマミ部2cを覆うようにしてキャップ部材4を配置し、軸受け部3の雄ネジ3aにキャップ部材4の雌ネジ4aを螺合させて軸受け部3を水密的に閉塞することで、再び逆流防止弁を備えた排水配管として支障なく利用することができる。
【0017】
次に、本発明の第二実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図5乃至
図9に示した、本発明の第二実施例の逆流防止弁を有する継手部材を採用した排水配管は、以下に記載する、継手本体1と、逆流防止弁ユニット5と、から構成されてなり、横引きの配管Pである上流側の配管P及び下流側の配管Pに施工される。
尚、以下の説明において、上下左右は
図5を基として、説明のために記載するものであり、必ずしも実施例に記載した方向に配置しなければ使用することはできない、というわけではない。
継手本体1は、透明な樹脂素材から成る部材であって、上流側の横向きの配管Pが接続される流入口1a、及び流入口1aと同軸に備えられた上流側管部1b、下流側の横向きの配管Pが接続される流出口1c、及び流出口1cと同軸に備えられた下流側管部1d、上流側管部1bと下流側管部1dを連通する、上流側から下流側に向かって下方に傾斜した傾斜管部1e、から構成される。
上記のように、上流側管部1bと下流側管部1dは傾斜管部1eに接続されているため、上流側管部1bの中心軸と下流側管部1dの中心軸は偏心した位置関係に配置されている。また、排水の方法は、勾配を利用した自然排水であるため、施工完了時、流入口1a側の方が高い位置に、流出口1c側の方が低い位置に配置される。
また、下流側管部1dから傾斜管部1eに向けて屈曲する屈曲部分には、下流側管部1dの内周面に沿って内側に突出部分を設け、この突出部分の下流側(
図5の左側)の面に、後述する弁本体2の弁体部2aが当接して流路を閉塞する弁座部1gが形成されている。
また、傾斜管部1e上であって、上流側管部1bの対向位置に、円筒状の点検口1fを設けてなる。
逆流防止弁ユニット5は、弁本体2を備えると共に、点検口1fを水密的に閉塞する部材であって、以下に記載する、ユニット本体6と、弁本体2と、キャップ部材4と、から構成される。
ユニット本体6は、点検口1fの内径とほぼ同じ外径を有する円筒部分と、円筒部分を閉塞する、施工完了時傾斜管部1eの内面に連続するような傾斜面を備えた壁面部と、からなり、更に壁面部の流路に対して外側となる側に、後述する弁本体2の弁軸部2bを進退自在に挿通する軸受け部3を備えてなる。
軸受け部3について、以下に詳述する。
軸受け部3は、傾斜管部1eから上方に向かって延出する円筒状部分であり、その内部は、弁軸部2bを軸方向に沿って進退可能、及び弁軸部2bの中心軸を中心として円周方向に回転可能に挿通される。また、上端部分には、円周状の段部と該段部の上方に雄ネジ3aを備えてなる。
弁本体2は、弾性素材からなり、略円盤状にして弁座部1gに当接することで流路を閉塞する弁体部2aと、該弁体部2aの中央から垂直方向に延出される棒状の弁軸部2b、及び該弁軸部2bの端部に備えられるツマミ部2cと、から構成される。
ツマミ部2cは弁軸部2bとは別の部材として構成され、組み立て時は弁軸部2bが軸受け部3を挿通した後に、ネジ接続により接続固定される。
キャップ部材4は、軸受け部3の端部を閉塞する部材であって、上端が閉塞された円筒形状を備えると共に、内周面の下端側に軸受け部3の雄ネジ3aと螺合する雌ネジ4aを備えてなる。特に図示しないが、パッキング等を利用し、軸受け部3の雄ネジ3aと螺合することで、その内部にツマミ部2cを収納した状態にて、軸受け部3を水密的に閉塞する。
具体的には、キャップ部材4が軸受け部3を閉塞し、キャップ部材4と軸受け部3端部とでツマミ部2cを挟持した状態においては、弁体部2aが弁座部1gに当接して流路を閉塞しつつ、且つ上流側から排水が流れてきた場合には、水量が少なくても容易に弁体部2aが弾性変形して弁座部1gから離間し、流路を開放するような当接になるように調整されている。
【0018】
上記逆流防止弁を備えた継手部材は、次のようにして排水用の配管P上に施工される。
まず、工場などで、継手部材を以下のようにして組み立てる。
ユニット本体6の軸受け部3に、傾斜面側から弁軸部2bを挿通し、弁軸部2bの端部にツマミ部2cを接続固定する。
更に、ツマミ部2cを覆うようにしてキャップ部材4を配置し、軸受け部3の雄ネジ3aにキャップ部材4の雌ネジ4aを螺合させて軸受け部3を水密的に閉塞することで逆流防止弁ユニット5が組み立てられる。
更に、上記のようにして構成した逆流防止弁ユニット5を、点検口1fから挿入し、水密的に接続させると共に、弁体部2aが弁座部1gに当接することで、継手部材が組み立てられる。
尚、キャップ部材4が軸受け部3を閉塞することで、ツマミ部2cがキャップ部材4と軸受け部3とに挟まれて、弁本体2はユニット本体6に対し、弁軸部2bの軸方向への進退が不可能となる。更にユニット本体6が継手部材の点検口1fに接続されることで、継手本体1に対しても弁本体2の位置が固定される。
即ち、軸受け部3、キャップ部材4が、本実施例における、弁体部2aが弁座部1gに常時当接するように弁軸部2bを固定する保持部7である。
上記のようにして構成された継手部材を施工現場に搬入したのち、流入口1aを上流側の配管Pに、流出口1cを下流側の配管Pに、それぞれ接着剤を用い、水密的に接続することで、逆流防止弁が排水配管に施工される。
【0019】
上記のように構成された逆流防止弁を備えた排水配管は、排水が無い場合、
図5のように、弁本体2が弁座部1gに当接して排水の流路を閉塞した状態となる。
この排水配管において、下流側から排水が逆流した場合、弁体部2aと弁座部1gの当接は、下流側から逆流水の水圧が加えられることによってより近接し、流路の閉塞を確実に行うため、排水は逆流防止弁を通過することができず、排水の逆流が防止される。また、排水が無い状態でも弁体部2aと弁座部1gとが当接しているため、下流側からの臭気や害虫類などが上流側に逆流することを防止することができる。
【0020】
上流側から排水が行われた場合、排水は、上流側の配管Pから、継手本体1内部に侵入し、上流側の配管Pや継手部材内であって、弁体部2aよりも上流に排水が流入し、溜まってゆく。ある程度弁体部2aよりも上流側に溜まった排水の水位が上がると、溜まった排水の圧力によって、
図6のように、弁体部2aが弾性変形して弁座部1gから離間することで、排水の流路が開口し、継手本体1内部に溜まった排水が弁座部1gから流出して、下流側の配管Pに排出される。尚、水圧が最も高まるのは弁体部2aの下端側のため、
図6に示したように、弁体部2aの下端部分が優先的に弾性変形する。
排水が完了すると、弁体部2aの弾性によって弁体部2aが
図5の形状に復帰し、弁体部2aが再び弁座部1gに当接して、排水の流路が閉塞される。
【0021】
上記排水配管において、継手部材は透明な樹脂素材によって成型されてなるため、継手部材を外部から視認することで、弁本体2に塵芥が付着したり、弁軸部2bに毛髪などが絡まった状態であるかどうかを確認することができる。
塵芥の付着などによって逆流防止弁の機能が低下、又は失われた場合には、
図7に示したように、キャップ部材4の螺合を解除して継手部材から取り外し、ツマミ部2cに操作を行うことで、配管Pを分解等することなく弁本体2に対して塵芥等を取り除く作業を行うことができる。
具体的には、キャップ部材4を取り外し、ツマミ部2cに押し引きの操作を行ったり、ツマミ部2cを回転させることで、弁体部2aに付着した塵芥や、弁軸部2bに絡まった毛髪等を剥がして下流側に排出することができる。
上記のように、逆流防止弁に対する、弁本体2の固定を解除する操作、及び塵芥等を取り除く操作は、キャップ部材4を取り外し、ツマミ部2cに操作を行うことで、全て排水配管の流路外から行うことができる。
また、上記操作の際、弁本体2は保持部7の一部を構成する軸受け部3から抜脱されることはない。即ち、本実施例は、保持部7の弁軸部2bに対する固定を解除して、弁軸部2bを保持部7から抜脱しない範囲で軸方向に移動し、又は弁軸部2bを保持部7から抜脱しないまま回転することができる逆流防止弁である。
これら操作によって塵芥を取り除いた後は、再びツマミ部2cを覆うようにしてキャップ部材4を配置し、軸受け部3の雄ネジ3aにキャップ部材4の雌ネジ4aを螺合させて軸受け部3を水密的に閉塞することで、再び逆流防止弁を備えた排水配管として支障なく利用することができる。
また、上記洗浄の操作によっても塵芥や毛髪などを取り除くことができなかった場合、
図8に示したように、逆流防止弁ユニット5を点検口1fから脱着し、弁本体2や弁軸部2bを直接洗浄することで、確実に弁本体2や弁軸部2b等の清掃を行うことができる。清掃後は再び逆流防止弁ユニット5を点検口1fから挿入することで、再び逆流防止弁を備えた排水配管として支障なく利用することができる。
【0022】
本発明の実施例は上記のようであるが、本発明は上記実施例に限定されるものでは無く、発明の主旨を変更しない範囲で自由に変更が可能である。
例えば、上記実施例では、液体である排水の配管Pに利用されているが、本実施例は液体に限定せず、流体である気体の配管Pに採用しても良い。
また、上記第一実施例においては、弁本体2の付勢の方向を、弁体部2aが弁座部1gに接近する方向に付勢し、清掃者が離間する方向に操作する構成であったが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、弁本体2の付勢の方向を、弁体部2aが弁座部1gから離間する方向に付勢し、当接する方向に操作する構成としても良い。
また、付勢についてもスプリング部材による付勢に限定するものではなく、ゴムのような弾性体によって付勢するように構成しても良い。