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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-162160(P2021-162160A)
(43)【公開日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】ボルト・ナットの緩み止め組立体
(51)【国際特許分類】
   F16B 39/10 20060101AFI20210913BHJP
   F16B 39/24 20060101ALI20210913BHJP
   F16B 43/00 20060101ALI20210913BHJP
   F16L 23/036 20060101ALI20210913BHJP
【FI】
   F16B39/10 A
   F16B39/24 E
   F16B43/00 Z
   F16L23/036
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2021-59624(P2021-59624)
(22)【出願日】2021年3月31日
(31)【優先権主張番号】10-2020-0039608
(32)【優先日】2020年4月1日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521136138
【氏名又は名称】ハナギゴン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】キム ドクギュン
【テーマコード(参考)】
3H016
3J034
【Fターム(参考)】
3H016AC01
3H016AE00
3J034AA07
3J034BA14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】第1の部材と第2の部材を互いに固定するボルトとナットの緩みを防止するボルト・ナットの緩み止め組立体を提供する。
【解決手段】第1の部材と第2の部材に結合されたボルト30とナットにそれぞれ結合される緩み止め部材110と緩み止め部材に着脱可能に結合されて緩み止め部材の回転を防止するキャップと緩み止め部材の内部に固定結合され、ボルトとナットの緩みを防止する2重ワッシャーとを含み、緩み止め部材は、ボルトのボルト軸が嵌められるボルト結合孔が形成され、外周面にボルト結合孔と同心円状に一定厚さのリング壁が形成された緩み止めボディとリング壁と前記ボルト結合孔との間に同心円状にリング壁より低い高さで形成されるキャップの嵌め込みリングを含み、リング壁の内壁面とキャップの嵌め込みリングとの間には、キャップが挿入されるキャップ挿入溝が形成され、キャップの嵌め込みリングの内径には外部ラチェットが形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材と第2の部材とを互いに固定するボルトとナットの緩みを防止するボルト・ナットの緩み止め組立体であって、
前記第1の部材と前記第2の部材に結合されたボルトとナットにそれぞれ結合される緩み止め部材(110)と;
前記緩み止め部材(110)に着脱可能に結合され、前記緩み止め部材(110)の回転を防止するキャップ(130)と;
前記緩み止め部材(110)の内部に固定結合されてボルトとナットの緩みを防止する2重ワッシャー(120)と、を含み、
前記緩み止め部材(110)は、前記ボルトのボルト軸が嵌められるボルト結合孔(112)が形成され、外周面に前記ボルト結合孔(112)と同心円状に一定厚さのリング壁(113)が形成された緩み止めボディ(111)と;
前記リング壁(113)と前記ボルト結合孔(112)との間に同心円状に前記リング壁(113)より低い高さで形成されるキャップの嵌め込みリング(114)と、を含み、
前記リング壁(113)の内壁面と前記キャップの嵌め込みリング(114)との間には、前記キャップ(130)が挿入されるキャップ挿入溝(115)が形成され、
前記キャップの嵌め込みリング(114)の内径には外部ラチェット(114a)が形成され、
前記キャップの嵌め込みリング(114)の内側底面には、前記ボルト結合孔(112)に向かって一定面積の段差があるように陥没形成されたワッシャー座面(112a)が備えられ、
前記キャップ挿入溝(115)の両側に円周方向に前記緩み止めボディ(111)を一定長さ貫通形成されたフック挿入長孔(115a)が備えられ、
前記フック挿入長孔(115a)が形成された底面には、内側に一定深さで陥没形成されたフック係止突起(115b)が段差があるように備えられることを特徴とするボルト・ナットの緩み止め組立体。
【請求項2】
前記2重ワッシャー(120)は、前記ワッシャー座面(112a)に安着される上部ワッシャー(121)と、前記上部ワッシャー(121)の下部に一体として結合されて前記ボルト結合孔(112)内に配置される下部ワッシャー(123)と、を含み、
前記上部ワッシャー(121)の内径は、前記ボルト軸(31)の外径に対応して形成され、前記上部ワッシャー(121)の外径は、前記ワッシャー座面(112a)の直径に対応するように形成され、
前記下部ワッシャー(123)の内径は、前記ボルト軸(31)の外径に対応して形成され、前記下部ワッシャー(123)の外径は、前記ボルト結合孔(112)に対応して形成され、
前記下部ワッシャー(123)は、前記緩み止めボディ(111)の背面に一定厚さで突出して備えられることを特徴とする請求項1に記載のボルト・ナットの緩み止め組立体。
【請求項3】
前記キャップ(130)は、前記リング壁(113)の内径に対応する外径を有するように形成され、
前記キャップ(130)の内部には、前記キャップの嵌め込みリング(114)の内径に挿入される内部挿入管(131)が備えられ、
前記内部挿入管(131)の中心領域には、前記ボルト又はナットが収容される対象結合孔(135)が貫通形成され、
前記対象結合孔(135)の内壁面には、ボルト又はナットと噛み合う内部歯(132)が形成され、
前記内部挿入管(131)の外壁面には、前記外部ラチェット(114a)に噛み合う内部ラチェット(133)が備えられ、
前記キャップ(130)の外周縁には、向かい合う方向の半径方向の外側に弾性的に突出形成されて前記フック挿入長孔(115a)に挿入され、下端部に前記フック係止突起(115b)に係止結合される一対の固定フック(134)が備えられることを特徴とする請求項2に記載のボルト・ナットの緩み止め組立体。
【請求項4】
前記緩み止めボディ(111)の背面には、外周縁から内側方向に突出形成されて第1の部材又は第2の部材の外周縁に接触支持され、前記緩み止めボディ(111)を第1の部材又は第2の部材に位置を固定させる位置固定突起(116)が備えられることを特徴とする請求項1に記載のボルト・ナットの緩み止め組立体。
【請求項5】
前記緩み止めボディ(111)は、前記リング壁(113)の外径に対応するサイズの円板で備えられ、中心領域に1つのボルト結合孔(112)が形成されることを特徴とする請求項4に記載のボルト・ナットの緩み止め組立体。
【請求項6】
前記緩み止めボディ(111)は、板面に複数のボルト結合孔(112)と、前記複数のボルト結合孔(112)に対応する複数のキャップの嵌め込みリング(114)とを有する板状で備えられることを特徴とする請求項4に記載のボルト・ナットの緩み止め組立体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト・ナットの緩み止め組立体(preventing assembly to fasten bolt and nut)に係るものであって、2つの部材を互いに結合させるボルトとナットの緩みを防止することにより2つの部材の結合状態が堅固に保たれるようにするボルト・ナットの緩み止め組立体に係るものである。
【背景技術】
【0002】
産業現場または建築現場において、2つの部材を互いに結合させるためにボルトとナットが広く使われている。一例として、2つの配管を相互に連結する際、各配管の端部にはフランジが備えられ、隣り合う配管のフランジは互いにボルトとナットによって結合され配管を連結することになる。
【0003】
ところが、ボルトとナットにより隣り合う配管を固定した状態で長時間使用すると、内部を流れる気体、または流体の流れ、または外力等によりボルトとナットが緩むことが発生する。ボルトとナットが緩むと、隣り合う配管の結合拘束力が弱くなり、流体が漏れる問題が発生し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国登録実用新案第20−0415224号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10−2020−0009219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述の問題を解決するためであり、2つの部材を結合させるボルトとナットの緩みを防止して、2つの部材の結合状態を安定的に保つボルト・ナットの緩み止め組立体を提供することである。
【0006】
本発明の前記の目的と様々な長所は、この技術分野における熟練者によって本発明の好ましい実施例からさらに明確になるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、第1の部材と第2の部材とを互いに固定するボルトとナットの緩みを防止するボルト・ナットの緩み止め組立体によって達成され得る。本発明のボルト・ナットの緩み止め組立体は、前記第1の部材と前記第2の部材とに結合されたボルトとナットにそれぞれ結合される緩み止め部材110と;前記緩み止め部材110に着脱可能に結合され、前記緩み止め部材110の回転を防止するキャップ130と、前記緩み止め部材110の内部に固定結合されてボルトとナットの緩みを防止する2重ワッシャー120とを含み、前記緩み止め部材110は、前記ボルトのボルト軸が嵌められるボルト結合孔112が形成され、外周面に前記ボルト結合孔112と同心円状に一定厚さのリング壁113が形成された緩み止めボディ111;前記リング壁113と前記ボルト結合孔112との間に同心円状に前記リング壁113よりも低い高さで形成されるキャップの嵌め込みリング114とを含み、前記リング壁113の内壁面と前記キャップの嵌め込みリング114との間には、前記キャップ130が挿入されるキャップ挿入溝115が形成され、前記キャップの嵌め込みリング114の内径には外部ラチェット114aが形成され、前記キャップの嵌め込みリング114の内側底面には、前記ボルト結合孔112に向かって一定面積の段差があるように陥没形成されたワッシャー座面112aが備えられ、前記キャップ挿入溝115の両側の円周方向に前記緩み止めボディ111を一定長さ貫通して形成されたフック挿入長孔115aが備えられ、前記フック挿入長孔115aが形成された底面には内側に一定深さで陥没形成されたフック係止突起115bが段差があるように備えられることを特徴とする。
【0008】
一実施例によれば、前記2重ワッシャー120は前記ワッシャー座面112aに安着される上部ワッシャー121と、前記上部ワッシャー121の下部に一体で結合されて前記ボルト結合孔112内に配置される下部ワッシャー123とを含む。
【0009】
前記上部ワッシャー121の内径は前記ボルト軸31の外径に対応して形成され、前記上部ワッシャー121の外径は前記ワッシャー座面112aの直径に対応するように形成される。
【0010】
また、前記下部ワッシャー123の内径は前記ボルト軸31の外径に対応して形成され、前記下部ワッシャー123の外径は前記ボルト結合孔112に対応して形成され、前記下部ワッシャー123は前記緩み止めボディ111の背面に一定厚さで突出形成される。
【0011】
一実施例によれば、前記キャップ130は前記リング壁113の内径に対応する外径を有するように形成され、前記キャップ130の内部には前記キャップの嵌め込みリング114の内径に挿入される内部挿入管131が備えられる。
【0012】
前記内部挿入管131の中心領域には前記ボルト又はナットが収容される対象結合孔135が貫通形成され、前記対象結合孔135の内壁面にはボルト又はナットと噛合する内部歯132が形成される。
【0013】
また、前記内部挿入管131の外壁面には、前記外部ラチェット114aに噛合する内部ラチェット133が備えられ、前記キャップ130の外周縁には、向かい合う方向の半径方向の外側に弾性的に突出形成され、前記フック挿入長孔115aに挿入され、下端部に前記フック係止突起115bに係止結合される一対の固定フック134が備えられる。
【0014】
一実施例によれば、前記緩み止めボディ111の背面には外周縁から内側方向に突出形成されて第1の部材または第2の部材の外周縁に接触支持され、前記緩み止めボディ111を第1の部材または第2の部材に位置を固定させる位置固定突起116が備えられる。
【0015】
一実施例によれば、前記緩み止めボディ111は、前記リング壁113の外径に対応されるサイズの円板で備えられ、中心領域に1つのボルト結合孔112が形成される。
【0016】
一実施例によれば、前記緩み止めボディ111は、板面に複数のボルト結合孔112と、前記複数のボルト結合孔112に対応される複数のキャップの嵌め込みリング114を有する板状で備えられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるボルト・ナットの緩み止め組立体は、2つの部材を結合させるボルトとナットにそれぞれ結合されてボルトとナットが緩まないようにする。これによりボルトとナットとが結合された2つの部材の結合状態が長時間安定的に保たれるようにする。
【0018】
特に、ボルト・ナットの緩み止め組立体は、内部に外径が互いに異なる2重ワッシャーを配置してボルトとナットとの接触面積を増大させ、これによる摩擦力を増加させてボルトとナットの緩みが防止される。
【0019】
また、ボルト軸が嵌められた緩み止め部材とボルト頭又はナットが収容されたキャップとがラチェット構造であって互いに噛み合い、回転が制限されて位置が固定される。これにより、作業者によってキャップを手動で外さない限り、位置が固定されてボルトとナットの緩みが防止される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の好ましい実施例に係るボルト・ナットの緩み止め組立体により一対の配管が結合された状態を示す斜視図である。
図2】本発明の好ましい実施例に係るボルト・ナットの緩み止め組立体の構成を分解して示す分解斜視図である。
図3】本発明の好ましい実施例に係るボルト・ナットの緩み止め組立体が一対の配管に結合される過程を示す例示図である。
図4】本発明の好ましい実施例に係るボルト・ナットの緩み止め組立体が結合された配管の正断面構成を示す正断面図である。
図5】本発明の好ましい実施例に係るボルト・ナットの緩み止め組立体が結合された配管の側断面構成を示す側断面図である。
図6】本発明の他の実施例に係るボルト・ナットの緩み止め組立体により一対の配管が結合された状態を示す斜視図である。
図7】本発明の他の実施例に係るボルト・ナットの緩み止め組立体の構成を分解して示す分解斜視図である。
図8】同上。
図9】緩み止め部材と2重ワッシャーの変形例を示す分解斜視図である。
図10図9に示された緩み止め部材と2重ワッシャーが締結された形状を示す例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を十分に理解するために、本発明の好ましい実施例を添付図面を参照して説明する。本発明の実施例は、様々な形態に変形することができ、本発明の範囲が、以下で詳細に説明する実施例に限定されるものと解されてはならない。図面における要素の形状などは、より明確な説明を強調するために誇張して表現し得る。
【0022】
図1は、本発明によるボルト・ナットの緩み止め組立体100により隣り合わせに配置された第1の配管10と第2の配管20とが互いに結合された状態を示す斜視図であり、図2は、ボルト・ナットの緩み止め組立体100の構成を分解して示す分解斜視図であり、図3は、ボルト・ナットの緩み止め組立体100により第1の配管10と第2の配管20とを結合する過程を示す例示図である。
【0023】
説明に先立ち、本発明によるボルト・ナットの緩み止め組立体100は、産業全般にわたって2つの部材を相互に連結するボルトとナットの両方に適用して使用することができる。
【0024】
以下では、説明の便宜のため、本発明のボルト・ナットの緩み止め組立体100が、第1の配管10と第2の配管20を互いに結合させるボルト30とナット40の緩みを防止することを一例として説明するが、これ以外にも様々な種類の部材を結合させるボルトとナットにも適用が可能である。
【0025】
隣り合わせに配置される第1の配管10と第2の配管20は、それぞれ両端に第1の配管フランジ11と第2の配管フランジ21が備えられる。第1の配管フランジ11と第2の配管フランジ21は、互いに相接して配置され、それぞれの配管フランジ11、21の表面に貫通形成されたボルト挿入孔13、23にボルト30が挿入され、ナット40が外部に露出したボルト軸31に締結され、第1の配管10と第2の配管20の結合が完了する。
【0026】
本発明によるボルト・ナットの緩み止め組立体100は、第1の配管フランジ11と第2の配管フランジ21に締結されたボルト30とナット40にそれぞれ結合され、ボルト30とナット40の緩みを防止し、第1の配管10と第2の配管20との結合状態が堅固に保たれるようにする。
【0027】
本発明の好ましい実施例に係るボルト・ナットの緩み止め組立体100は、各配管フランジ11、21の板面に配置されたボルト30とナット40にそれぞれ結合され、当該ボルト30とナット40の緩みを防止する。
【0028】
ボルト・ナットの緩み止め組立体100は、ボルト軸31が挿入されるボルト結合孔112が形成される緩み止め部材110と、緩み止め部材110の内部に結合されてボルト30とナット40の緩みを防止する2重ワッシャー120と、緩み止め部材110に着脱可能に結合され、緩み止め部材110が回転しないように位置を固定するキャップ130とを含む。
【0029】
緩み止め部材110は、板面にボルト結合孔112が形成された円板状の緩み止めボディ111と、緩み止めボディ111の外周面にボルト結合孔112と同心円状に一定厚さで突出形成されるリング壁113と、リング壁113とボルト結合孔112との間に備えられてキャップ130と結合されるキャップの嵌め込みリング114とを含む。
【0030】
緩み止めボディ111は、中心領域にボルト結合孔112が形成されてボルト軸31に嵌合される。緩み止めボディ111の縁領域には、リング壁113が一定厚さで突出形成される。リング壁113の外径は、緩み止めボディ111の外径と同様に形成される。
【0031】
緩み止めボディ111の一側には、半径方向の内側に陥没するように配管収容切開溝111aを備える。配管収容切開溝111aは、各配管フランジ11、21の板面で緩み止めボディ111がボルト軸31に嵌められる際に配管10、20と干渉されないように切開形成される。このため、配管収容切開溝111aは、配管10、20の直径に対応する曲率またはこれより大きい曲率で切開される。
【0032】
リング壁113は、キャップの嵌め込みリング114との間に挟まれたキャップ130の位置が固定されるように支持する。リング壁113は、緩み止めボディ111の外周縁と同じ外径で形成されるが、配管収容切開溝111aと対向する方向に開口113aが形成される。開口113aは、リング壁113が形成されずに緩み止めボディ111が外部に露出する。
【0033】
開口113aは、本発明の緩み止め部材110が図1に示すように配管10、20の配管フランジ11、21に結合されたとき、配管フランジ11、21の外部に露出する領域である。配管フランジ11、21の外部に露出する領域にリング壁113が形成されなくても十分にキャップ130の位置が固定されるので、材料節減のため開口113aを形成する。
【0034】
キャップの嵌め込みリング114は、リング壁113とボルト結合孔112との間に緩み止めボディ111の底面から一定高さで突出形成される。キャップの嵌め込みリング114は、リング壁113より低く形成されて、図5に示すように上面にキャップ130が結合されたとき、キャップ130の上面がリング壁113と同一高さで配置できるようにする。
【0035】
キャップの嵌め込みリング114の厚さは、キャップ130の内壁面と内部挿入管131の外径との間に相当するように備えられ、キャップ130がキャップ挿入溝115とキャップの嵌め込みリング114との間に挟み込まれるようにする。
【0036】
キャップの嵌め込みリング114の内部には、ボルト結合孔112が貫通形成されてボルト軸31が挿入される。キャップの嵌め込みリング114の内壁面には外部ラチェット114aが形成される。外部ラチェット114aは、円周方向に沿って複数の歯が細かく形成される。
【0037】
外部ラチェット114aは、緩み止め部材110にキャップ130が結合される際、図4に拡大図示されたようにキャップ130の内部ラチェット133と噛み合って緩み止め部材110の位置が固定されるようにする。すなわち、外部ラチェット114aと内部ラチェット133とが噛み合って、キャップ130が嵌められた緩み止め部材110の位置が回転せずに固定されるようにする。
【0038】
キャップの嵌め込みリング114の底面には、半径方向の内側に一定面積が陥没形成されたワッシャー座面112aが備えられる。ワッシャー座面112aには2重ワッシャー120の上部ワッシャー121が安着される。
【0039】
一方、キャップの嵌め込みリング114とリング壁113との間に形成されたキャップ挿入溝115には、向かい合う方向にフック挿入長孔115aが円周方向に沿って一定長さが緩み止めボディ111を貫通して形成される。一対のフック挿入長孔115aにはキャップ130の固定フック134が結合される。
【0040】
このとき、図2の(a)と(b)に示すようにフック挿入長孔115aが形成された結合リング113の底面には、一定深さの段差があるように形成されたフック係止突起115bが備えられる。フック係止突起115bには、固定フック134のフック頭134aが係止結合されて、緩み止め部材110とキャップ130との結合状態が維持されるようになる。
【0041】
一方、緩み止めボディ111の開口113aに対応する背面には、図2の(b)に示すように位置固定突起116が突出形成される。位置固定突起116は、図1に示すように緩み止め部材110が配管フランジ11、21に結合されるとき、緩み止め部材110の位置を固定させるストッパーの役割を果たす。
【0042】
位置固定突起116は、配管フランジ11、21の外径に対応する曲率を有するように形成され、配管フランジ11、21の外周面に形成された突起結合溝15、25に係止結合されて緩み止め部材110の位置を固定させる。
【0043】
本発明の好ましい実施例においては、ボルト・ナットの緩み止め組立体100が円形の配管フランジ11、21に固定されるので、位置固定突起116が曲率を有するように形成されたが、ボルトとナットが結合される部材の形状に応じて位置固定突起116はそれに合う形状に変形することができる。
【0044】
2重ワッシャー120は、キャップの嵌め込みリング114の底面に形成されたワッシャー座面112aに固定結合される。2重ワッシャー120は、ボルト30又はナット40の緩みを防止し、結合拘束力を向上させる。2重ワッシャー120は、図2の(a)に拡大図示されたように、外径が互いに異なる上部ワッシャー121と下部ワッシャー123が互いに一体に結合して形成される。
【0045】
上部ワッシャー121の外径R1は、外部ラチェット114aに内接する仮想の円より小さく形成され、ワッシャー座面112aに安着できるように備えられる。上部ワッシャー121の内径はボルト30のボルト軸31に対応して形成される。
【0046】
下部ワッシャー123の外径R2は、ボルト結合孔112に対応して形成される。これにより、キャップの嵌め込みリング114に2重ワッシャー120が嵌められたとき、図5に示すように背面のボルト結合孔112に下部ワッシャー123が挿入されて外部に一定の長さが突出する。下部ワッシャー123の内径は上部ワッシャー121と同様にボルト30のボルト軸31に対応して形成される。
【0047】
上部ワッシャー121の厚さd1は、0.5mm前後で形成され、下部ワッシャー123の厚さd2は、2mm前後で上部ワッシャー121より厚く形成される。
【0048】
これにより、図5に示すように、2重ワッシャー120がキャップの嵌め込みリング114のワッシャー座面112aに嵌められた後、ボルト30またはナット40が結合され、キャップ130がキャップの嵌め込みリング114に結合されたとき、ボルト30またはナット40の下部が上部ワッシャー121を圧着することになり、ボルト軸31が下部ワッシャー123の内部に位置することになる。
【0049】
これによって、ボルト30が挿入された後、ナット40に締結されると、ボルト30とナット40の締結力によって上部ワッシャー121と下部ワッシャー123がボルト結合孔115側に加圧されたことで、ボルト30またはナット40の接触面積を増加させて摩擦面積が大きくなった分トルクが増加して緩み防止の役割を果たすことになる。
【0050】
特に、本発明においては、互いに直径が異なる上部ワッシャー121と下部ワッシャー123がそれぞれボルト30またはナット40の下部とボルト軸31を共に支持して接触面積がさらに増加することになるので、摩擦面積がさらに大きくなって緩み防止効果も増加することになる。
【0051】
ここで、本発明による2重ワッシャー120は、上部ワッシャー121と下部ワッシャー123が一体で結合された形態であるが、場合によって、独立的に形成されることもできる。
【0052】
キャップ130は、キャップの嵌め込みリング114に着脱可能に結合され、緩み止め部材110の位置が固定されるようにする。キャップ130は、図4に示すように、外径がキャップ挿入溝115に対応して形成されてキャップ挿入溝115に嵌合される。
【0053】
キャップ130の内部には、図2に示すように内部挿入管131が下部に向かって形成される。内部挿入管131の中心領域にはボルト30とナット40が収容される対象結合孔135が貫通形成される。
【0054】
対象結合孔135の内壁面には内部歯132が形成され、内部挿入管131の外壁面には内部ラチェット133が円周方向に沿って備えられる。
【0055】
内部歯132は、内部挿入管131の半径方向外側に向かって凹凸が繰り返されるように形成される。内部歯132には六角形または多角形のボルト30またはナット40の角が嵌められるように形成される。
【0056】
内部ラチェット133は、図4に示すように、内部挿入管131の外壁面において、キャップの嵌め込みリング114の外部ラチェット114aに対応して凹凸形成される。内部ラチェット133は、キャップ130が嵌められた時、外部ラチェット114aと互いに噛み合ってキャップ130の回転を防止する。これにより、キャップ130の内部歯132に嵌められたナット40の回転が防止され、ナット40に結合されたボルト30の回転も防止されるようになる。
【0057】
また、内部歯132がボルト30またはナット40に外接するように形成されるので、ボルト30とナット40が回転する場合、角が内部歯132にかかってそれ以上回転できず位置が固定される。
【0058】
一方、キャップ130の外周縁には、向かい合う方向に一対の固定フック134が備えられる。固定フック134は下部にフック頭134aが突出形成される。固定フック134は、キャップ130がキャップの嵌め込みリング114に嵌められるとき、弾性的に内側に向かって縮められ、フック挿入長孔115aに挿入される。そして、フック挿入長孔115aの外部に突出したフック頭134aは図5に示すように弾性的に復帰し、フック係止突起115bに係止される。
【0059】
このようにフック頭134aがフック係止突起115bに係止され、キャップ130とキャップの嵌め込みリング114の固定状態が堅固に保たれるようになる。
【0060】
これらの構成を有する本発明によるボルト・ナットの緩み止め組立体100を用いて第1の配管10と第2の配管20とを結合させる過程を図1乃至図5を参照して説明する。
【0061】
作業者は、第1の配管10の第1の配管フランジ11と第2の配管20の第2の配管フランジ21が互いに相接するように配置する。
【0062】
作業者は、第1の配管フランジ11と第2配管フランジ21に形成された各ボルト挿入孔13、23にボルト・ナットの緩み止め組立体100の緩み止め部材110をそれぞれ配置する。このとき、緩み止め部材110のボルト結合孔112と各ボルト挿入孔13、23が同軸上に位置されるように配置する。
【0063】
作業者は、第2配管フランジ11、21側に配置された緩み止め部材110のボルト結合孔112と第2のボルト挿入孔23を介してボルト30のボルト軸31を挿入し、第1のボルト挿入孔13と第1の配管フランジ11側に配置された緩み止め部材110のボルト結合孔112を介してボルト軸31を外部に露出させる。
【0064】
作業者は、第1のボルト挿入孔13と第1の配管フランジ11側に位置する緩み止め部材110を介して露出したボルト軸31にナット40を挿入する。そして、ナット40をボルト30と締結される方向に回転させる。
【0065】
同様の方法で配管フランジ11、21に形成された3本のボルト30に3本のナット40を全て締結する。
【0066】
ナット40をボルト30と締結される方向に回転させてボルト軸31にねじ結合すると、ナット40とボルト30の下部は2重ワッシャー120と接触し、2重ワッシャー120は圧着されて摩擦力を作用し、ナット40とボルト30の緩みを防止し、また結合拘束力を増大させる。
【0067】
ナット40の結合が完了すると、作業者は各緩み止め部材110にキャップ130を結合させる。キャップ130をキャップ挿入溝115とキャップの嵌め込みリング114との間に挿入し、固定フック134をフック係止突起115bに係止する。そして、フック頭134aはフック係止突起115bに係止され、キャップ130とキャップの嵌め込みリング114の固定が完了する。
【0068】
ボルト30とナット40は、それぞれキャップ130に形成された対象結合孔135の内部歯132に外接するように収容される。キャップ130は、内部ラチェット133が外部ラチェット114aと噛み合って回転が制限されるので、ボルト30とナット40の締結が完了した後は、外力が加わっても緩まずに結合された状態が安定的に維持できる。
【0069】
特に、一対の固定フック134により、キャップの嵌め込みリング114とキャップ130の固定状態が堅固に保たれるので、ボルト30とナット40は、作業者が別に分離しない限り結合された状態が維持できる。
【0070】
これによって、ボルト30とナット40は長時間緩みが防止され、これらにより結合された一対の配管10、20の結合状態も堅固に保たれる。
【0071】
以下、図6乃至図8を参照し、本発明の他の実施例に係るボルト・ナットの緩み止め組立体について調べる。前記実施例に係るボルト・ナットの緩み止め組立体100は、緩み止め部材110が一つのボルト結合孔112を有する円板状で形成され、各ボルト30とナット40に個別に結合された。これにより多様な部材を結合するボルト30とナット40に簡便に結合することができるメリットがある。
【0072】
一方、他の実施例に係るボルト・ナットの緩み止め組立体100aは、緩み止め部材110aが複数のボルト結合孔112を有するように一定面積を有して形成される。一例として、緩み止め部材110aは配管フランジ11、21の半分にあたる半円状で形成される。場合によっては、緩み止め部材110aはボルトとナットが結合される部材の種類によって、四角板状又は円板状など多様に形成され得る。
【0073】
各緩み止め部材110aは、複数のボルト結合孔112が形成され、各ボルト結合孔112の周辺にキャップの嵌め込みリング114が形成される。そして、各キャップの嵌め込みリング114とリング壁113にはキャップ130が着脱可能に結合される。
【0074】
また、緩み止め部材110aには、配管10、20が嵌められる配管挿入溝117が形成される。
【0075】
このような他の実施例に係るボルト・ナットの緩み止め組立体100aは、複数のボルト30とナット40が並んで結合される場合、これらを同時に結合させることができる。この場合、作業者が各ボルト30とナット40に個別に結合させなくても、好ましい実施例のボルト・ナットの緩み止め組立体100と比較すると、作業工数が減少できるメリットがある。
【0076】
一方、緩み止め部材110と2重ワッシャー120は、前記で例示したものと違って、図9及び図10に例示されたように、その形状が変形したものを使用しても差し支えない。
【0077】
図9によると、緩み止め部材110は、図1及び図2に示したものと違って、位置固定突起116が除去される。代わりに、2重ワッシャー120は、前記上部ワッシャー121の下部ワッシャー123の反対側面に多数の突出突起124が所定間隔で突出形成される。
【0078】
これにより、2重ワッシャー120を緩み止め部材110のワッシャー座面112aに挿入して安着させると、図10に示すように前記多数の突出突起124が緩み止めボディ111の外側方向に突出する。
【0079】
これにより、図1又は図6に示すようにボルト・ナットの緩み止め組立体100を用いて第1の配管フランジ11と第2の配管フランジ21をボルト30とナット40を用いて締結すると、印加される締結力により前記突出突起124と接触面が物理的な変形を起こして毀損され、これにより本発明による緩み止め組立体100は固定位置でそれ以上回転できず位置が固定される。以上で見たように、本発明によるボルト・ナットの緩み止め組立体は、2つの部材を結合させるボルトとナットにそれぞれ結合され、ボルトとナットが緩まないようにする。これによりボルトとナットが結合された2つの部材の結合状態が長時間安定的に保たれるようにする。
【0080】
特に、ボルト・ナットの緩み止め組立体は、内部に外径が互いに異なる2重ワッシャーを配置して、ボルトとナットとの接触面積を増大させ、これによる摩擦力を増加させてボルトとナットの緩みを防止する。
【0081】
また、ボルト軸が嵌められた緩み止め部材とボルト頭又はナットが収容されたキャップとがラチェット構造で互いに噛み合い、回転が制限されて位置が固定される。これにより、作業者によってキャップを手動で外さない限り、位置が固定されてボルトとナットの緩みが防止される効果がある。以上で説明された本発明のボルト・ナットの緩み止め組立体の実施例は例示的なものに過ぎず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、それから様々な変形及び均等な他実施例が可能であることがよくわかるだろう。
【符号の説明】
【0082】
10:第1の配管
11:第1の配管フランジ
13:第1のボルト挿入孔
20:第2の配管
21:第2の配管フランジ
23:第2のボルト挿入孔
30:ボルト
31:ボルト軸
40:ナット
100:ボルト・ナットの緩み止め組立体
110:緩み止め部材
111:緩み止めボディ
111a:配管収容切開溝
112:ボルト結合孔
112a:ワッシャー座面
113:リング壁
113a:開口
114:キャップの嵌め込みリング
114a:外部ラチェット
115:キャップ挿入溝
115a:フック挿入長孔
115b:フック係止突起
116:位置固定突起
120:2重ワッシャー
121:上部ワッシャー
123:下部ワッシャー
124:突出突起
130:キャップ
131:内部挿入管
132:内部歯
133:内部ラチェット
134:固定フック
134a:フック頭
135:対象結合孔

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10