【実施例】
【0010】
図1(A)に示すように、本実施形態における空気調和装置1は、1台の室外機2と、室外機2に液管8およびガス管9で並列に接続された10台の室内機5−1〜5−10(
図1では、これらのうちの2台の室内機5−1と5−10のみを描画している)とを備えている。より詳細には、室外機2の閉鎖弁25と各室内機5の液管接続部53とが液管8で接続されている。また、室外機2の閉鎖弁26と各室内機5のガス管接続部54とがガス管9で接続されている。このように、室外機2と10台の室内機5とが液管8およびガス管9で接続されて、空気調和装置1の冷媒回路10が形成されている。
【0011】
<室外機の構成>
まずは、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機20と、オイルセパレータ21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、室外機膨張弁24と、液管8が接続された閉鎖弁25と、ガス管9が接続された閉鎖弁26と、アキュムレータ27と、室外機ファン28とを備えている。そして、室外機ファン28を除くこれら各装置が、以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて冷媒回路10の一部をなす室外機冷媒回路20を形成している。
【0012】
圧縮機20は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで、運転容量を可変できる能力可変型圧縮機である。圧縮機20の冷媒吐出口は、後述するオイルセパレータ21と吐出管40で接続されている。また、圧縮機20の冷媒吸入口は、アキュムレータ27の冷媒流出口と吸入管42で接続されている。なお、詳細は後述するが、圧縮機20は、冷房運転時は後述する吸入圧力センサ32で検出した吸入圧力を用いて求めた低圧飽和温度が所定の目標低圧飽和温度となるように回転数が制御され、暖房運転時は後述する吐出圧力センサ31で検出した吐出圧力を用いて求めた高圧飽和温度が所定の目標高圧飽和温度となるように回転数が制御される。
【0013】
オイルセパレータ21は、円筒形状の密閉容器を有する遠心分離式のオイルセパレータである。オイルセパレータ21には油戻し管47の一端が接続されており、油戻し管47の他端は吸入管42に接続されており、油戻し管47にはキャピラリーチューブ29が設けられている。また、オイルセパレータ21は、後述する四方弁22のポートaと流出管41で接続されている。オイルセパレータ21は、圧縮機20から吐出され吐出管40を介して流入した冷凍機油を含む冷媒を冷媒と冷凍機油とに分離し、分離された冷凍機油を油戻し管47を介して圧縮機20に戻すとともに、分離された冷媒を流出管41へと流出させる。なお、油戻し管47へは、冷凍機油とともに冷媒も流入するが、油戻し管47に設けられたキャピラリーチューブ29により圧縮機20に流れる冷媒量が規制される。
【0014】
四方弁22は、冷媒回路10における冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。ポートaは、上述したようにオイルセパレータ21の密閉容器21aと吐出管40で接続されている。ポートbは、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と冷媒配管43で接続されている。ポートcは、アキュムレータ27の冷媒流入口と冷媒配管46で接続されている。そして、ポートdは、閉鎖弁26と室外機ガス管45で接続されている。
【0015】
室外熱交換器23は、冷媒と、後述する室外機ファン28の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気を熱交換させるものである。上述したように、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と四方弁22のポートbが冷媒配管43で接続されている。また、室外熱交換器23の他方の冷媒出入口と閉鎖弁25が室外機液管44で接続されている。室外熱交換器23は、空気調和装置1が冷房運転を行う場合は凝縮器として機能し、空気調和装置1が暖房運転を行う場合は蒸発器として機能する。
【0016】
室外機膨張弁24は、室外機液管44に設けられている。室外機膨張弁24は、図示しないパルスモータにより駆動される電子膨張弁であり、パルスモータに与えられるパルス数によって開度が調整されることで、室外熱交換器23に流入する冷媒量、あるいは、室外熱交換器23から流出する冷媒量が調整される。室外機膨張弁24の開度は、空気調和装置1が暖房運転を行っている場合は、圧縮機21から吐出される冷媒の温度である吐出温度が、室内機5−1〜5−1の各々で要求される暖房能力に基づいて決定される目標吐出温度となるように、その開度が調整される。また、室外機膨張弁24の開度は、冷房運転を行っている場合は全開とされる。
【0017】
アキュムレータ27は、前述したように、冷媒流入口が四方弁22のポートcと冷媒配管46で接続されるとともに、冷媒流出口が圧縮機20の冷媒吸入口と吸入管42で接続されている。アキュムレータ27は、冷媒配管46からアキュムレータ28の内部に流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒に分離してガス冷媒のみを圧縮機20に吸入させる。
【0018】
室外機ファン28は樹脂材で形成されており、室外熱交換器23の近傍に配置されている。室外機ファン28は、図示しないファンモータによって回転することで、図示しない吸込口から室外機2の内部へ外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と熱交換した外気を図示しない吹出口から室外機2の外部へ放出する。室外機ファン28の回転数は、冷房運転時は、高圧圧力が後述する外気温度センサ36で検出した外気温度に応じて定められる目標高圧圧力となるように制御され、暖房運転時は、低圧圧力が外気温度センサ36で検出した外気温度に応じて定められる目標低圧圧力となるように制御される。
【0019】
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。
図1(A)に示すように、吐出管40には、圧縮機20から吐出される冷媒の圧力である吐出圧力(以降、高圧圧力と記載する場合がある)を検出する吐出圧力センサ31と、圧縮機20から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ33が設けられている。冷媒配管46におけるアキュムレータ28の冷媒流入口近傍には、圧縮機20に吸入される冷媒の圧力である吸入圧力(以降、低圧圧力と記載する場合がある)を検出する吸入圧力センサ32と、圧縮機20に吸入される冷媒の温度を検出する吸込温度センサ34とが設けられている。
【0020】
室外機液管44における室外熱交換器23と室外機膨張弁24との間には、室外熱交換器23に流入する冷媒の温度、あるいは、室外熱交換器23から流出する冷媒の温度を検出するための熱交温度センサ35が設けられている。そして、室外機2の図示しない吸込口付近には、室外機2の内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ36が備えられている。
【0021】
また、室外機2には、本発明の制御手段である室外機制御手段200が備えられている。室外機制御手段200は、室外機2の筐体内部に設けられる図示しない電装品箱に格納された制御基板に搭載されており、
図1(A)に示すように、CPU210と、記憶部220と、通信部230と、センサ入力部240とを備えている。
【0022】
記憶部220は、例えばフラッシュメモリであり、室外機2の制御プログラムや前述した各種センサから取り込んだ検出信号に対応した検出値、圧縮機20や室外機ファン28の駆動状態、室外機膨張弁24の開度、室内機5−1〜5−10の各々から受信した運転情報(運転/停止情報、冷房/暖房等の運転モード、室内機3の要求する冷房能力あるいは暖房能力などを含む)、冷房運転時の低圧圧力の目標値となる目標低圧飽和温度などを記憶する。通信部230は、室内機5−1〜5−10の各々と通信を行うインターフェイスである。センサ入力部240は、前述した室外機2の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU210に出力する。
【0023】
なお、本実施形態では、目標低圧飽和温度は、ガス管9の圧力損失と冷媒回路10における体積循環量とに応じて予め定められているが、これについては後に
図2を用いて詳細に説明する。
【0024】
CPU210は、センサ入力部240を介して各種センサでの検出値を定期的(例えば、30秒毎)に取り込むとともに、室内機3から送信される運転情報を含む信号を、通信部230を介して取り込む。CPU210は、これら入力された各種情報に基づいて、室外機膨張弁24の開度調整、圧縮機20や室外機ファン28の駆動制御などを行う。なお、前述した吸入圧力センサ32が、本発明の吸入圧力検出手段である。
【0025】
<各室内機の構成>
次に、10台の室内機5−1〜5−10について説明する。10台の室内機5−1〜5−10は全て同じ構成を有しており、室内熱交換器51と、室内機膨張弁52と、液管接続部53と、ガス管接続部54と、室内機ファン55とを備えている。そして、室内機ファン55を除くこれら各構成装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室内機冷媒回路50を構成している。
【0026】
室内熱交換器51は、冷媒と、後述する室内機ファン55の回転により図示しない吸込口から室内機5の内部に取り込まれた室内空気を熱交換させるものである。室内熱交換器51の一方の冷媒出入口と液管接続部53とが室内機液管71で接続され、他方の冷媒出入口とガス管接続部54とが室内機ガス管72で接続されている。室内熱交換器51は、空気調和装置1が冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、空気調和装置1が暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。尚、液管接続部53やガス管接続部54は、各冷媒配管が溶接やフレアナット等により接続されている。
【0027】
室内機膨張弁52は、室内機液管71に設けられている。室内機膨張弁52は電子膨張弁であり、室内熱交換器51が蒸発器として機能する場合すなわち室内機5が冷房運転を行う場合は、その開度は、室内熱交換器51の冷媒出口(ガス管接続部54側)での冷媒過熱度が目標冷媒過熱度となるように調整される。また、室内機膨張弁52は、室内熱交換器51が凝縮器として機能する場合すなわち室内機5が暖房運転を行う場合は、その開度は、室内熱交換器51の冷媒出口(液管接続部53側)での冷媒過冷却度が目標冷媒過冷却度となるように調整される。ここで、目標冷媒過熱度や目標冷媒過冷却度とは、室内機5−1〜5−10の各々で十分な冷房能力あるいは暖房能力を発揮するのに必要な冷媒過熱度および冷媒過冷却度である。
【0028】
室内機ファン55は樹脂材で形成されており、室内熱交換器51の近傍に配置されている。室内機ファン55は、図示しないファンモータによって回転することで、図示しない吸込口から室内機5の内部に室内空気を取り込み、室内熱交換器51において冷媒と熱交換した室内空気を図示しない吹出口から室内へ放出する。
【0029】
以上説明した構成の他に、室内機5には各種のセンサが設けられている。室内機液管71における室内熱交換器51と室内機膨張弁52との間における室内熱交換器51の近傍には、冷房運転時は室内熱交換器51に流入する冷媒の温度を、また、暖房運転時は室内熱交換器51から流出する冷媒の温度をそれぞれ検出する液側温度センサ61が設けられている。室内機ガス管72における室内熱交換器51の近傍には、冷房運転時は室内熱交換器51から流出する冷媒の温度を、また、暖房運転時は室内熱交換器51に流入する冷媒の温度をそれぞれ検出するガス側温度センサ62が設けられている。また、室内機5の図示しない吸込口付近には、室内機5の内部に流入する室内空気の温度を検出する室内温度センサ63が備えられている。なお、液側温度センサ61と室外機制御手段200とが本発明の液側圧力検出手段である。
【0030】
<冷媒回路の動作>
次に、本実施形態における空気調和装置1の空調運転時の冷媒回路10における冷媒の流れや各部の動作について、
図1(A)を用いて説明する。尚、以下の説明ではまず、空気調和装置1が暖房運転を行う場合について説明し、次に、空気調和装置1が冷房運転を行う場合について説明する。尚、
図1における実線矢印は、暖房運転時の冷媒の流れを示している。また、
図1における破線矢印は、冷房運転時の冷媒の流れを示している。
【0031】
<暖房運転>
図1(A)に示すように、空気調和装置1が暖房運転を行う場合は、四方弁22が実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートdとが連通するように、また、ポートbとポートcとが連通するように切り換えられる。これにより、冷媒回路10は、各室内熱交換器51が凝縮器として機能するとともに、室外熱交換器23が蒸発器として機能する暖房サイクルとなる。
【0032】
冷媒回路10が暖房サイクルとして機能する状態で圧縮機20が駆動すると、圧縮機20から吐出された冷媒は、吐出管40を流れてオイルセパレータ21へと流入し、オイルセパレータ21から流出管41へと流れて四方弁22に流入する。そして、四方弁22から流出した冷媒は、室外機ガス管45を流れて、閉鎖弁26を介してガス管9へと流入する。なお、オイルセパレータ21では、冷媒とともに圧縮機20から吐出された冷凍機油が冷媒から分離され、分離された冷凍機油は、
図1に一点鎖線矢印で示すようにオイルセパレータ21から流出して油戻し管47を流れ、吸入管42を介して圧縮機20へと戻される。
【0033】
ガス管9を流れる冷媒は、各ガス管接続部54を介して室内機5−1〜5−10に分流する。室内機5−1〜5−10に流入した冷媒は、各室内機ガス管72を流れて各室内熱交換器51に流入する。各室内熱交換器51に流入した冷媒は、各室内機ファン55の回転により各室内機5の内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。
【0034】
このように、各室内熱交換器51が凝縮器として機能し、各室内熱交換器51で冷媒と熱交換を行って加熱された室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機5−1〜5−10が設置された室内の暖房が行われる。
【0035】
各室内熱交換器51から各室内機液管71に流入した冷媒は、各室内熱交換器51の冷媒出口側での冷媒過冷却度が目標冷媒過冷却度となるように開度が調整された各室内機膨張弁52を通過する際に減圧される。ここで、目標冷媒過冷却度は、室内機5−1〜5−10の各々で要求される暖房能力に基づいて定められるものである。また、暖房能力は、各室内機5−1〜5−10において、設定された設定温度と検出した室内温度との温度差に基づいて決定されるものである。
【0036】
各室内機膨張弁52で減圧された冷媒は、各室内機液管71から各液管接続部53を介して液管8に流出する。液管8で合流し閉鎖弁25を介して室外機2に流入した冷媒は室外機液管44を流れ、圧縮機20の吐出温度が目標吐出温度となるように開度が調整された室外機膨張弁24を通過する際にさらに減圧される。
【0037】
室外機膨張弁24で減圧された冷媒は、室外機液管44を流れて室外熱交換器23に流入し、最大回転数とされている室外機ファン28の回転によって室外機5の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器23から冷媒配管43へと流入した冷媒は、四方弁22、冷媒配管46、アキュムレータ27、吸入管42の順に流れ、圧縮機20に吸入されて再び圧縮される。
【0038】
<冷房運転>
空気調和装置1が冷房運転を行う場合は、
図1(A)に示すように、四方弁22が破線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートbとが連通するように、また、ポートcとポートdとが連通するように切り換えられる。これにより、冷媒回路10は、各室内熱交換器51が蒸発器として機能するとともに、室外熱交換器23が凝縮器として機能する冷房サイクルとなる。
【0039】
冷媒回路10が冷房サイクルとして機能する状態で圧縮機20が駆動すると、圧縮機20から吐出された冷媒は、吐出管40を流れてオイルセパレータ21へと流入し、オイルセパレータ21から流出管41へと流れて四方弁22に流入する。そして、四方弁22から流出した冷媒は、冷媒配管43を流れて室外熱交換器23へと流入する。室外熱交換器23へと流入した冷媒は、室外機ファン28の回転によって室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って凝縮する。室外熱交換器23から室外機液管44へと流出した冷媒は、開度が全開とされている室外機膨張弁24を通過し、閉鎖弁25を介して液管8に流出する。なお、オイルセパレータ21では、冷媒とともに圧縮機20から吐出された冷凍機油が冷媒から分離され、分離された冷凍機油は、
図1に一点鎖線矢印で示すようにオイルセパレータ21から流出して油戻し管47を流れ、吸入管42を介して圧縮機20へと戻される。
【0040】
液管8を流れる冷媒は、各液管接続部53を介して室内機5−1〜5−10に流入する。室内機5−1〜5−10に流入した冷媒は各室内機液管71を流れ、各室内熱交換器51の各々の冷媒出口での冷媒過熱度が目標冷媒過熱度となるように開度が調整された各室内機膨張弁52を通過する際に減圧される。ここで、目標冷媒過熱度は、室内機5−1〜5−10の各々で要求される冷房能力に基づいて定められるものである。また、冷房能力は、各室内機5−1〜5−10において、設定された設定温度と検出した室内温度との温度差に基づいて決定されるものである。
【0041】
各室内機液管71から各室内熱交換器51に流入した冷媒は、各室内機ファン55の回転により室内機5−1〜5−10の内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って蒸発する。このように、各室内熱交換器51が蒸発器として機能し、各室内熱交換器51で冷媒と熱交換を行って冷却された室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機5−1〜5−10が設置された室内の冷房が行われる。
【0042】
各室内熱交換器51から各室内機ガス管72に流出した冷媒は、各ガス管接続部54を介してガス管9に流出する。ガス管9で合流し閉鎖弁26を介して室外機2に流入した冷媒は、室外機ガス管45、四方弁22、冷媒配管46、アキュムレータ27、吸入管42の順に流れ、圧縮機20に吸入されて再び圧縮される。
【0043】
<ガス管の圧力損失の算出方法>
次に、主に
図1(B)を用いて、本実施形態におけるガス管9の圧力損失の算出方法について詳細に説明する。ここで、
図1(B)は、
図1(A)に示す冷媒回路10における各室内機5−1〜5−10の室内機膨張弁52から室外機2のアキュムレータ27の冷媒流入口(吸入圧力センサ32が配置された箇所の近傍)までの区間を表す模式図である。
図1(B)において、矢印は冷房運転時の冷媒の流れる方向を示しており、冷房運転時は室内機膨張弁52から吸入圧力センサ32に向かって冷媒が流れる。
【0044】
また、
図1(B)では、各室内機5−1〜5−10の室内熱交換器51の冷媒入口側を点A1〜A10、各室内機5−1〜5−10のガス管接続部54におけるガス管9の接続端を点B1〜B10、室外機2の閉鎖弁26におけるガス管9の接続端を点C、室外機2のアキュムレータ27の冷媒流入口を点Dとしている。なお、以上に説明した各点は、
図1(A)に示す冷媒回路10の全体図にもそれぞれ対応する位置に描画している。また、点A1〜A10が本発明の冷房サイクル時の室内熱交換器の冷媒流入口に相当し、点B1〜B10が本発明の冷房サイクル時の室内機における冷媒流出部に相当し、点Cが本発明の冷房サイクル時の室外機における冷媒流入部に相当し、点Dが本発明の吸入圧力検出手段の配置場所に相当する。
【0045】
さらには、
図1(B)では、点A1〜A10から点Dまでの区間の圧力損失を全圧力損失ΔPa、点A1〜A10から点B1〜B10までの区間の圧力損失を室内機圧力損失ΔPi、点B1〜B10から点Cまでの区間の圧力損失をガス管圧力損失ΔPp、点Cから点Dまでの区間の圧力損失を室外機圧力損失ΔPoとしている。なお、各圧力損失の単位は全てMPa(メガパスカル)である。
【0046】
上述した各圧力損失のうち、室内機圧力損失ΔPiは各室内機5−1〜5−10に固有の値であり、かつ、各室内機5−1〜5−10の設置環境によって変化しない固定値である。また、室外機圧力損失ΔPoも室外機2に固有の値であり、かつ、室外機2の設置環境によって変化しない固定値である。これら室内機圧力損失ΔPiおよび室外機圧力損失ΔPoは、それぞれ予め試験などを行って求めることができ、求めた室内機圧力損失ΔPiおよび室外機圧力損失ΔPoを室外機制御手段200の記憶部220に予め記憶させておくことができる。
【0047】
また、全圧力損失ΔPaは、冷媒回路10を冷房運転時の状態としたときの液側温度センサ61の検出値と吸入圧力センサ32の検出値を用いて算出できる。前述したように、全圧力損失ΔPaは
図1(B)における点A1〜A10から点Dまでの間の圧力損失であるが、点A1〜A10の近傍に液側温度センサ61が配置されており、また、点Dの近傍には吸入圧力センサ32が配置されている。従って、各室内機5−1〜5−10の液側温度センサ61で検出した冷媒温度(以降、液側温度と記載する場合がある)から求めた冷媒圧力(以降、液側圧力と記載する場合がある)を、各室内機5−1〜5−10の点A1〜A10における冷媒圧力と見なすことができ、また、吸入圧力センサ32で検出した吸入圧力を点Dにおける冷媒圧力と見なすことができる。
【0048】
以上のことから、全圧力損失ΔPaは、点A1〜A10における冷媒圧力に相当する液側圧力から点Dにおける冷媒圧力に相当する吸入圧力を減じて求めることができる。本実施形態の空気調和装置1では、各室内機5−1〜5−10にそれぞれ液側温度センサ61が設けられているため、室内機5−1〜5−10毎に全圧力損失ΔPaを求めることができる。
【0049】
そして、室内機5−1〜5−10毎のガス管圧力損失ΔPpは、予め記憶されている各室内機5−1〜5−10の室内機圧力損失ΔPiと、予め記憶されている室外機2の室外機圧力損失ΔPoと、室内機5−1〜5−10毎に算出できる全圧力損失ΔPaを用いて、室内機5−1〜5−10毎に算出することができる。すなわち、ガス管圧力損失ΔPpは、全圧力損失ΔPaから各室内機5−1〜5−10の室内機圧力損失ΔPiおよび室外機圧力損失ΔPoを減じて求めることができる。なお、ガス管圧力損失ΔPpが本発明の配管圧力損失である。
【0050】
なお、以上に説明した方法でガス管圧力損失ΔPpを求める際は、前述したように冷媒回路10を冷房サイクルとして室内機5−1〜5−10を全て冷房運転させる。このとき、冷媒回路10の各装置はそれぞれ以下に示すように動作させる。
【0051】
・各室内機5−1〜5−10の室内機膨張弁52:各室内熱交換器51の冷媒出口側に
おける各冷媒過熱度が全て正値
(1deg以上)となるように開度
調整
・各室内機5−1〜5−10の室内機ファン55:全ての室内機で制御上の最大風量と
なるように制御
・圧縮機20:吸入圧力が目標低圧飽和温度の基準値に相当する圧力となるように制御
・室外機ファン:外気温度に応じて定められる目標高圧圧力となるように制御
ここで、目標低圧飽和温度とは、空気調和装置1が冷房運転を行う際の目標値であり、各室内機5−1〜5−10で要求される冷房能力を発揮させるために必要な値である。また、目標低圧飽和温度の基準値とは、空気調和装置1の設計時に想定したガス管9の長さであるときの目標低圧飽和温度である。
【0052】
上述したように冷媒回路10の各装置を動作させて冷房運転を開始すれば、各室内機5−1〜5−10に接続されているガス管9の内部をガス冷媒のみが流れる状態となるとともに、冷媒回路10における高圧圧力と低圧圧力とが一定値となって冷媒回路10が安定する。そして、冷媒回路10が安定すれば、各室内機5−1〜5−10の液側温度センサ61で液側温度を検出するとともに、吸入圧力センサ32で吸入圧力を検出し、これら検出した各液側温度および吸入圧力を用いて各室内機5−1〜5−10のガス管圧力損失ΔPpを求める。なお、冷媒回路10が安定したか否かは、吐出圧力センサ31で検出した吐出圧力を用いて求めた高圧飽和温度が所定の範囲の値、例えば、目標高圧飽和温度の基準値±2℃の範囲の値となっているか否かで判定できる。
【0053】
<ガス管圧力損失による目標温度の決定>
次に、算出した各室内機5−1〜5−10のガス管圧力損失ΔPpを用いて、空調運転時の目標温度を決定する方法について説明する。
【0054】
空気調和装置1が空調運転を行うとき、冷房運転時は、吸入圧力センサ32で検出した吸入圧力が、目標低圧飽和温度に相当する圧力となるように圧縮機20の回転数が制御される。また、暖房運転時は、吐出圧力センサ31で検出した吐出圧力が、目標高圧飽和温度に相当する圧力となるように圧縮機20の回転数が制御される。ここで、上記目標低圧飽和温度および目標高圧飽和温度が、本発明の目標温度に相当する。
【0055】
ここで、目標低圧飽和温度や目標高圧飽和温度は、予め試験などを行って求められる値であり、室内機5−1〜5−10の各々で要求される冷房能力や暖房能力が発揮できることが確認されている値である。一般的には、目標低圧飽和温度や目標高圧飽和温度は、液管8やガス管9の長さ(以降、冷媒配管長と記載する場合がある)を所定の長さ、例えば、空気調和装置1の定格能力を測定するときの冷媒配管長として求められる。
【0056】
本実施形態では、冷媒配管長の最大値を165メートル(m)とし、冷媒配管長を、領域1:40mまで、領域2:40m〜65mまで、領域3:65m〜95mまで、領域4:95m〜120mまで、領域5:120m〜165mまで、の5つの領域に区分する。次に、目標低圧飽和温度や目標高圧飽和温度を求める際の基準値を、予め行う試験において冷媒配管長が領域1の所定の長さ(例えば、10メートル)であるときに求めた値をとする。そして、実際の冷媒配管長が領域1の長さより長い場合は、長さが長い分だけ増加するガス管圧力損失ΔPpに応じて、冷房運転時は目標低圧飽和温度を基準値より低い温度とし、暖房運転時は目標高圧飽和温度を基準値より高い温度とする、つまり、目標低圧飽和温度および目標高圧飽和温度の各基準値を、ガス管圧力損失ΔPpに応じてそれぞれ補正する。
【0057】
冷房運転時に目標低圧飽和温度を固定している、つまり、圧縮機20の吸入圧力を固定している場合、蒸発器として機能する各室内機5−1〜5−10の室内熱交換器51における蒸発温度は、ガス管圧力損失ΔPpが小さいときと比べて大きいときの方が高い温度となる。通常、蒸発温度が高くなれば、各室内機5−1〜5−10が設置される空調空間の温度である室内温度との温度差が小さくなるため、各室内機5−1〜5−10で発揮される冷房能力が低下する。そこで、冷房運転時にガス管圧力損失ΔPpが大きい値である場合は、ガス管圧力損失ΔPpが小さい値である場合と比べて目標低圧飽和温度を基準値より低い温度とすることで、各室内機5−1〜5−10の室内熱交換器51における蒸発温度を低下させて各室内機5−1〜5−10で発揮される冷房能力の低下を抑制する。
【0058】
暖房運転時に目標高圧飽和温度を固定している、つまり、圧縮機20の吐出圧力を固定している場合、凝縮器として機能する各室内機5−1〜5−10の室内熱交換器51における凝縮温度は、ガス管圧力損失ΔPpが小さいときと比べて大きいときの方が低い温度となる。通常、凝縮温度が高くなれば、各室内機5−1〜5−10が設置される空調空間の温度である室内温度との温度差が小さくなるため、各室内機5−1〜5−10で発揮される暖房能力が低下する。そこで、暖房運転時にガス管圧力損失ΔPpが大きい値である場合は、ガス管圧力損失ΔPpが小さい値である場合と比べて目標高圧飽和温度を基準値より高い温度とすることで、各室内機5−1〜5−10の室内熱交換器51における凝縮温度を上昇させて各室内機5−1〜5−10で発揮される暖房能力の低下を抑制する。
【0059】
図2は、一例として冷房運転を行う際に使用する目標低圧飽和温度について、冷媒配管長の違いによって変化するガス管圧力損失ΔPpに応じて目標低圧飽和温度を掲載した図面である。具体的には、縦軸がガス管圧力損失ΔPp(単位:MPa)、横軸が体積循環量Cv(単位:cc/sec)である。ここで、体積循環量Cvとは、圧縮機20の回転数と排除容積と体積効率の積で求めることができ、排除容積と体積効率は圧縮機20に固有の値である。
【0060】
また、
図2に示す直線Vは冷媒配管長が40mであるときのガス管圧力損失ΔPpと体積循環量Cvとの関係を示し、直線Wは冷媒配管長が65mであるときのガス管圧力損失ΔPpと体積循環量Cvとの関係を示し、直線Xは、冷媒配管長が95mであるときのガス管圧力損失ΔPpと体積循環量Cvとの関係を示し、直線Yは、冷媒配管長が120mであるときのガス管圧力損失ΔPpと体積循環量Cvとの関係を示し、直線Zは、冷媒配管長が165mであるときのガス管圧力損失ΔPpと体積循環量Cvとの関係を示す。つまり、ガス管圧力損失ΔPpが直線V上のガス管圧力損失ΔPp以下の値であれば冷媒配管長が領域1の範囲の長さであり、ガス管圧力損失ΔPpが直線V上の値より大きく直線W上の値以下の値であれば冷媒配管長が領域2の範囲の長さであり、ガス管圧力損失ΔPpが直線W上の値より大きく直線X上の値以下の値であれば冷媒配管長が領域3の範囲の長さであり、ガス管圧力損失ΔPpが直線X上の値より大きく直線Y上の値以下の値であれば冷媒配管長が領域4の範囲の長さであり、ガス管圧力損失ΔPpが直線Y上の値より大きく直線Z上の値以下の値であれば冷媒配管長が領域5の範囲の長さである。
【0061】
そして、
図2には、目標低圧飽和温度(以降、目標低圧飽和温度Tlstと記載する)が上記の領域毎に定められている。本実施形態では、ガス管圧力損失ΔPpが領域1の値であるときの目標低圧飽和温度Tlstを7.0℃(これが上述した目標低圧飽和温度Tlstの基準値)、ガス管圧力損失ΔPpが領域2の値であるときの目標低圧飽和温度Tlstを5.0℃、ガス管圧力損失ΔPpが領域3の値であるときの目標低圧飽和温度Tlstを3.0℃、ガス管圧力損失ΔPpが領域4の値であるときの目標低圧飽和温度Tlstを1.0℃、ガス管圧力損失ΔPpが領域5の値であるときの目標低圧飽和温度Tlstを−1.0℃、としている。
【0062】
なお、ここまでに説明した
図2に示すガス管圧力損失ΔPp、体積循環量Cv、および、冷媒配管長と目標低圧飽和温度Tlstとの関係は、予め試験などを行って求められるものである。
【0063】
つまり、ガス管圧力損失ΔPpが大きくなるほど、すなわち、冷媒配管長が長くなるほど目標低圧飽和温度Tlstの基準値=7.0℃より目標低圧飽和温度Tlstが低い温度となるように、ガス管圧力損失ΔPpに応じて目標低圧飽和温度Tlstを決定する。このように、ガス管圧力損失ΔPpに応じて目標低圧飽和温度Tlstを決定し、冷房運転時に吸入圧力センサ32で検出した吸入圧力を用いて求めた低圧飽和温度が決定した目標低圧飽和温度Tlstとなるように圧縮機20の回転数が制御されることで、室内機5−1〜5−10の各々で要求される冷房能力が十分に発揮される。
【0064】
なお、暖房運転時の目標高圧飽和温度をガス管圧力損失ΔPpに応じて補正する際は、冷房運転時とは逆に、ガス管圧力損失ΔPpが大きくなるほど、すなわち、冷媒配管長が長くなるほど目標高圧飽和温度の基準値より目標高圧飽和温度が高い温度となるように、ガス管圧力損失ΔPpに応じて目標高圧飽和温度を決定する。このように、ガス管圧力損失ΔPpに応じて目標高圧飽和温度を決定し、暖房運転時に吐出圧力センサ31で検出した吐出圧力を用いて求めた高圧飽和温度が決定した目標高圧飽和温度となるように圧縮機20の回転数が制御されることで、室内機5−1〜5−10の各々で要求される暖房能力が十分に発揮される。
【0065】
以上に説明した目標低圧飽和温度Tlstや目標高圧飽和温度の決定を行う際、本実施形態の空気調和装置1のように複数台の室内機5−1〜5−10が存在する場合は、室内機5−1〜5−10の各々のガス管圧力損失ΔPpを求め、求めたガス管圧力損失ΔPpのうちの一番大きなガス管圧力損失ΔPp、つまり、冷媒配管長が一番長い室内機のガス管圧力損失ΔPpを用いて、目標低圧飽和温度Tlstや目標高圧飽和温度を決定すればよい。冷媒配管長が一番長い室内機のガス管圧力損失ΔPpを用いて、目標低圧飽和温度Tlstや目標高圧飽和温度を決定しておけば、当該室内機より冷媒配管長が短い他の室内機においても、冷房能力や暖房能力が十分に発揮できるからである。
【0066】
<ガス管圧力損失の算出と目標温度の決定に関わる処理の流れ>
次に、
図3に示すフローチャートを用いて、室外機制御手段200のCPU210が、ガス管圧力損失ΔPpの算出、および、算出したガス管圧力損失ΔPpを用いて目標温度を決定する際の処理の流れについて説明する。
図3では、STはステップを示し、これに続く数字はステップの番号を示している。また、
図3では、既出のガス管圧力損失ΔPp、および、体積循環量Cvに加えて、各室内機5−1〜5−10の液側温度センサ61で検出する液側温度をTl、液側温度Plを用いて算出する液側圧力をPrl、吸入圧力センサ32で検出する吸入圧力をPl、吸入圧力Plを用いて算出する低圧飽和温度をTlsとする。
【0067】
空気調和装置1の設置後に、作業者の指示により目標温度決定のための処理が開始されると、室外機制御手段200のCPU210は、まずは冷媒回路10を冷房サイクルとする(ST1)。具体的には、CPU210は、
図1(A)に破線で示すように、四方弁22のポートaとポートbとが連通するように、また、ポートcとポートdとが連通するように切り換えて、各室内熱交換器51が蒸発器として機能するとともに、室外熱交換器23が凝縮器として機能する状態とする。
【0068】
次に、CPU210は、各室内機5−1〜5−10に圧力損失判定運転を指示する(ST2)。ここで、圧力損失算出運転とは、前述した方法でガス管圧力損失ΔPpを算出するための運転を意味する。CPU210は、通信部230を介して各室内機5−1〜5−10に圧力損失算出運転を指示する旨を送信し、これを受信した各室内機5−1〜5−10は、室内熱交換器51の冷媒出口側における冷媒過熱度が正値となるように室内機膨張弁52の開度を調整するとともに、制御上の最大風量となるように室内機ファン55を制御する。
【0069】
次に、CPU210は、圧力損失算出運転を開始する(ST3)。具体的には、CPU210は、吸入圧力Plが目標低圧飽和温度Tlstの基準値(本実施形態では、7.0℃)に相当する圧力となるように圧縮機20を制御するとともに、外気温度センサ36で検出した外気温度に応じて定められる目標高圧圧力となるように室外機ファン28を制御する。
【0070】
以上説明したST2およびST3の処理により、冷媒回路10の各装置が前述したガス管圧力損失ΔPpを算出する際の動作となる。
【0071】
次に、CPU210は、冷媒回路10が安定したか否かを判断する(ST4)。具体的には、CPU210は、前述したように、吐出圧力センサ32で検出した吐出圧力を用いて求めた高圧飽和温度が所定の範囲の値、例えば、目標高圧飽和温度の基準値±2℃の範囲の値となれば、冷媒回路10が安定したと判断する。
【0072】
冷媒回路10が安定していなければ(ST4−No)、CPU210は、ST4に処理を戻して冷媒回路10が安定するのを待つ。冷媒回路10が安定すれば(ST4−Yes)、CPU210は、各室内機5−1〜5−10のそれぞれが検出した液側温度Tlを取り込み、取り込んだ液側温度Tlを用いて液側圧力Prlを算出する(ST5)。なお、CPU210は、各室内機5−1〜5−10の液側温度センサ61のそれぞれが検出した液側温度Tlを通信部230を介して取り込む。
【0073】
次に、CPU210は、吸入圧力センサ32で検出した吸入圧力Plをセンサ検出部240を介して取り込む(ST6)。そして、CPU210は、ST6で算出した各室内機5−1〜5−10の液側圧力Prlの各々から吸入圧力Plを減じて、室内機5−1〜5−10毎にガス管圧力損失ΔPpをそれぞれ算出し(ST7)、ST7で算出した室内機5−1〜5−10毎のガス管圧力損失ΔPpの中から最大値を選択する(ST8)。
【0074】
次に、CPU210は、体積循環量Cvを算出する(ST9)。具体的には、CPU210は、前述したように圧縮機20の回転数と排除容積と体積効率を積算して求める。そして、CPU210は、ST8で求めたガス管圧力損失ΔPpの最大値とST9で算出した体積循環量Cvを用いて目標温度を決定し(ST10)処理を終了する。ここで、目標温度は、冷房運転時は目標低圧温度Tlstであり、暖房運転時は目標高圧温度である。また、目標温度の決定は、
図2に示したガス管圧力損失ΔPpと体積循環量Cvとに関連付けて目標温度を定めたテーブルなどを予め記憶部220に記憶しておき、この記憶したテーブルなどを参照して行えばよい。
【0075】
以上説明したように、本実施形態の空気調和装置1では、冷媒回路10を冷房サイクルとし、各室内機5−1〜5−10の液側温度センサ61で検出した液側温度Tlを用いて求めた液側圧力Prlの各々から吸入圧力センサ32で検出した吸入圧力Plを減じて、各室内機5−1〜5−10のガス管圧力損失ΔPpをそれぞれ求める。そして、求めた各ガス管圧力損失ΔPpの中の最大値と体積循環量Cvとに基づいて、空調運転時の目標温度を決定する。従って、室外機2と室内機5−1〜5−10とを接続する冷媒配管長に応じた最適な目標温度を設定でき、室内機5−1〜5−10で十分な空調能力を発揮させることができる。
【0076】
なお、以上に説明した実施形態では、室外機2に10台の室内機5−1〜5−10が接続された空気調和装置1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、室内機5が11台以上であっても10台未満の複数台であっても同様に適用可能である。また、室外機2に接続される室内機5が1台であっても同様に適用可能であり、ガス管圧力損失ΔPpを求めることができる構成を有し、
図2の体積循環量Cvとガス管圧力損失ΔPpとの関係を用いて目標温度を補正できるものであればよい。